JP2016140927A - ウェーハの製造方法及びマルチワイヤ放電加工装置 - Google Patents

ウェーハの製造方法及びマルチワイヤ放電加工装置 Download PDF

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Yasunobu Tawa
靖展 多和
正毅 淵山
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正毅 淵山
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智久 加藤
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Abstract

【課題】ウェーハを平坦にスライスすることができるウェーハの製造方法及びマルチワイヤ放電加工装置を提供する。
【解決手段】インゴットの揺動角度が所定の範囲に含まれる場合、速い速度でインゴットを揺動させる。一方、インゴットの揺動角度が所定の範囲に含まれない場合、遅い速度でインゴットを揺動させる。これにより、インゴットの中央の加工領域に放電加工が集中することを回避できる。従って、インゴットの加工領域において放電加工が略等しく実施されるので、インゴットの加工溝の溝幅を等しく形成できる。これにより、インゴットから形成されたウェーハの中央付近が凹むことを防止できる。
【選択図】図4

Description

本発明は、ウェーハの製造方法及びマルチワイヤ放電加工装置に関する。
従来、円柱状インゴットからウェーハを切り出す場合等における切断手段として、砥粒を用いたワイヤーソーが知られている。しかし、このようなワイヤーソーでは、加工用砥粒が混合された加工液(スラリー)を同時供給する必要があり、その取扱いは容易でない。また、ワイヤがワークに直接接触するため、特に硬度の高いSiC(炭化ケイ素)等の場合、加工中にワイヤが断線するおそれがあり、断線が生じた場合には復旧までに長時間を要する問題があった。
そこで、マルチワイヤ放電加工装置が発案された。放電加工によりワイヤとインゴットは接触していないため、インゴットにかかる負荷が非常に低く、スラリーによるスクラッチ等の傷の発生もないという効果がある。
放電加工では、放電加工により発生する切削屑がワイヤとインゴットの間に滞留すると、切削屑を介して放電が集中したり、それにより加熱したワイヤが切れたりする問題がある。そこで、インゴットの両側に加工液供給手段(ノズル)を設置して、ワイヤに沿ってインゴットの両側から加工溝に加工液を供給して切削屑を除去する方法が採られている。また、加工液が充分行き渡るように、インゴットをワイヤに対して揺動させる加工方法も採用されている。
特開2012−240128号公報
しかしながら、インゴットを揺動させることで、インゴットの外周付近がワイヤに近接する時間が他の領域より短くなるため、スライスされたウェーハが平坦ではないという課題があった。
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ウェーハを平坦にスライスすることができるウェーハの製造方法及びマルチワイヤ放電加工装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るウェーハの製造方法は、ワイヤでインゴットを放電加工しウェーハにスライスするウェーハの製造方法であって、間隔をおいて隣接する複数のガイドローラに軸方向に間隔をあけて複数回巻き掛けられたワイヤと、インゴットを固定する基台部と、該基台部に固定されたインゴットが並列する該ワイヤに切り込むように該ワイヤと該基台部とを相対的に加工送りさせる駆動手段と、該ワイヤと該基台部に固定されたインゴットに高周波パルス電力を供給する高周波パルス電源ユニットと、を備えたマルチワイヤ放電加工装置を用い、該ワイヤとインゴットとを加工送りさせつつ、インゴットの切断面に沿ってインゴットが任意の角度で天秤のごとく揺動するよう該ワイヤとインゴットとを相対移動させて加工する加工ステップにおいて、インゴットの揺動角度が所定の範囲を超えインゴットの外周付近が該ワイヤに近接した際に揺動速度を減速し、インゴットの外周付近とその他の領域との加工時間の不均衡を補うことを特徴とする。
また、本発明に係るマルチワイヤ放電加工装置は、ワイヤでインゴットを放電加工しウェーハにスライスするマルチワイヤ放電加工装置であって、間隔をおいて隣接する複数のガイドローラに軸方向に間隔をあけて複数回巻き掛けられたワイヤと、インゴットを固定する基台部と、該基台部に固定されたインゴットが並列する該ワイヤに切り込むように該ワイヤと該基台部とを相対的に加工送りさせる駆動手段と、該ワイヤと該基台部に固定されたインゴットに高周波パルス電力を供給する高周波パルス電源ユニットと、各構成要素を制御する制御手段と、を備え、該駆動手段は、該ワイヤとインゴットとを加工送りさせつつ、インゴットの切断面に沿ってインゴットを任意の角度で天秤のごとく揺動させ、インゴットの揺動角度が所定の範囲を超えインゴットの外周付近が該ワイヤに近接した際に揺動速度を減速し、インゴットの外周付近とその他の領域との加工時間の不均衡を補うことを特徴とする。
本発明のウェーハの製造方法及びマルチワイヤ放電加工装置では、揺動角度が所定の範囲を超えた際に揺動速度を減速させ、インゴットの外周付近の加工時間を長くしてその他の領域と均衡を保つことで、ウェーハを平坦にスライスできるという効果を奏する。
図1は、マルチワイヤ放電加工装置の構成例を示す正面図である。 図2は、インゴットの揺動角度を示す図である。 図3は、マルチワイヤ放電加工装置の動作例を示すフローチャート(メインルーチン)である。 図4は、インゴットの加工送り例を示すフローチャート(サブルーチン)である。 図5は、インゴットの揺動例(その1)を示す正面図である。 図6は、インゴットの揺動例(その2)を示す正面図である。 図7は、インゴットの加工例を示す側面図である。 図8は、インゴットの加工例を示す一部拡大図である。
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
〔実施形態〕
実施形態に係るマルチワイヤ放電加工装置の構成例について説明する。図1は、マルチワイヤ放電加工装置の構成例を示す正面図である。図2は、インゴットの揺動角度を示す図である。
マルチワイヤ放電加工装置1は、ワイヤRでインゴットIを放電加工してウェーハに切断(スライス)するものである。マルチワイヤ放電加工装置1は、図1に示すように、繰り出しボビン10と、ガイドローラ部20と、巻き取りボビン30と、切断ワイヤ部40と、基台部50と、直動機構60と、揺動機構70と、加工槽80と、給電手段90と、一対の加工液供給手段100A,100Bと、移動手段110と、制御手段120とを備えている。
繰り出しボビン10は、ワイヤRをガイドローラ部20に繰り出すものである。繰り出しボビン10には、放電加工に用いられる黄銅などの金属線である未使用のワイヤRが巻き回されている。
ガイドローラ部20は、繰り出しボビン10の近傍に配設され、ワイヤRを案内するものである。ガイドローラ部20は、円柱状のガイドローラ21〜24を備えている。4個のガイドローラ21〜24は、その軸方向が平行で、矩形の形状を成すようにそれぞれが矩形の角に配設されている。
ガイドローラ21とガイドローラ22で形成される線分と、ガイドローラ24とガイドローラ23で形成される線分は平行になるように配設されている。ガイドローラ21〜24は、繰り出しボビン10から繰り出されたワイヤRを複数回掛け回して巻き取りボビン30に送り出す。巻き取りボビン30は、ガイドローラ部20の近傍に配設され、ガイドローラ部20から送り出された使用済みのワイヤRを巻き取るものである。
繰り出しボビン10、ガイドローラ21〜24及び巻き取りボビン30は、図示しないモータによって回転駆動される。なお、全てのガイドローラ21〜24をモータ駆動とする必要はなく、例えばガイドローラ22,24を従動ローラとしてもよい。
ここで、Y軸方向は、ガイドローラ21〜24の軸方向である。X軸方向は、Y軸方向に同一水平面上で直交し、ワイヤRが走行する第1の方向である。Z軸方向は、X軸方向及びY軸方向に直交する方向、すなわち鉛直方向であり、ワイヤRが走行する第2の方向である。
繰り出しボビン10は、図示しないモータによって回転駆動され、ワイヤRをガイドローラ21に対して繰り出す。ガイドローラ21は、繰り出しボビン10から繰り出されたワイヤRを巻き掛けてガイドローラ22に送り出す。ガイドローラ22は、ガイドローラ21から送り出されたワイヤRを巻き掛けてガイドローラ23に送り出す。ガイドローラ23は、ガイドローラ22から送り出されたワイヤRを巻き掛けてガイドローラ24に送り出す。ガイドローラ24は、ガイドローラ23から送り出されたワイヤRを巻き掛けてガイドローラ21に送り出す。これにより、ガイドローラ21〜24にワイヤRが1周巻き掛けられたことになる。
ワイヤRは、ガイドローラ21〜24の軸方向(Y軸方向)に一定の間隔をあけて複数回、例えば8回巻き掛けられている。ガイドローラ22に最後に巻き掛けられたワイヤRは、巻き取りボビン30に送り出されて巻き取られる。このように、ワイヤRは、ガイドローラ21〜24の軸方向に一定の間隔をあけて複数回、例えば8回巻き掛けられ、ガイドローラ21〜24の間で並列してX軸方向及びZ軸方向に走行する。
切断ワイヤ部40は、インゴットIを切断する箇所であり、X軸方向に隣接する一対のガイドローラ23とガイドローラ24との間に一定のテンションを有して張設された複数本、例えば8本の並列するワイヤRによって構成される。切断ワイヤ部40を構成するワイヤRの間隔は0.5mm〜数mm程度である。インゴットIは、このワイヤRの間隔で切断される。インゴットIは導電性がある材料であり、SiC、単結晶ダイヤ、シリコン、GaN(窒化ガリウム)等から形成されている。この例では、インゴットIの形状は、円柱である。
基台部50は、インゴットIを固定するものであり、切断ワイヤ部40に対向した位置に配設されている。例えば、基台部50は、切断ワイヤ部40の上方に配設され、装置本体2に対してZ軸方向に上下動自在に配設されている。基台部50は、基台51と、取り付け板52とを備えている。基台51には、Z軸方向の下側に取り付け板52が固定されている。取り付け板52には、図示しない導電性接着剤により、インゴットIの周面が固定される。
直動機構60及び揺動機構70は、駆動手段であり、ワイヤRとインゴットIとを加工送りさせつつ、インゴットIの切断面I(図5等参照)に沿ってインゴットIを任意の角度で天秤のごとく揺動させるものである。直動機構60は、基台部50の取り付け板52に固定されたインゴットIを加工送り方向(Z軸方向)に移動させる。例えば、直動機構60は、Z軸方向に平行に延在される図示しないボールねじと、パルスモータ等で構成される駆動源とを有する。直動機構60は、ボールねじのナットに固定された基台部50を加工送り方向に移動させ、基台部50の取り付け板52に固定されたインゴットIの周面を切断ワイヤ部40のワイヤRに切り込ませる。
揺動機構70は、Y軸方向を回転軸とし、揺動の回転支点Pには、インゴットIの中心が位置合わせされる。揺動機構70は、基台部50に配設され、基台部50を回転させるための図示しない歯車と、歯車を回転させる図示しないパルスモータとを備えている。パルスモータを正転又は逆転させ、Y軸方向に回転支点Pを通る回動軸回りに基台部50を回転させてインゴットIを揺動させる。インゴットIを揺動させる揺動速度は、0.5°/s〜5°/s程度である。インゴットIを揺動させる揺動角度θは、回転支点PをZ軸方向に通る直線を始線L(0°)としたとき、始線Lに対して時計回りLに+5°以下程度であり、反時計回りLに−5°以下程度である。
加工槽80は、誘電体である純水や油などの加工液Fが貯留されている。加工槽80の中には、切断ワイヤ部40のワイヤRが浸漬されている。放電加工は、切断ワイヤ部40のワイヤRが浸漬された状態で実施される。
加工槽80の底には、ウェーハを収容するための籠81が配置されている。籠81は、インゴットIの真下に配置されている。籠81は、インゴットIのサイズよりも大きく形成され、一定の深さを有している。基台51の取り付け板52に固定されたインゴットIが切断されて分離されたウェーハは、沈下して籠81に収容される。
給電手段90は、ワイヤRに高周波パルス電力を供給するものである。給電手段90は、高周波パルス電源ユニット91と、2個の電極92とを備えている。高周波パルス電源ユニット91は、基台51に接続され、基台51を介してインゴットIにプラスの高周波パルス電力を供給する。また、高周波パルス電源ユニット91は、2個の電極92に接続されている。一方の電極92は、ガイドローラ21とガイドローラ24との間に張設されるワイヤRに接続され、他方の電極92は、ガイドローラ22とガイドローラ23との間に張設されるワイヤRに接続されている。高周波パルス電源ユニット91は、2個の電極92を介してマイナスの高周波パルス電力をワイヤRに供給する。
高周波パルス電源ユニット91から高周波パルス電力を供給して、ワイヤRとインゴットIとの極間に電圧を印加すると、切断ワイヤ部40のワイヤRは、正面に配置されたインゴットIに対して放電を行う。例えば、加工槽80の液中で絶縁状態にあるインゴットIとワイヤRの間隔が数十μm位まで接近すると、インゴットIとワイヤRの絶縁が破壊されて放電が発生する。この放電によってインゴットIが加熱されて溶融され、さらに加工液Fの温度が急激に上昇することにより加工液Fが気化し、体積膨張によって溶融箇所を飛散させる。このように、高周波パルス電力を供給して極間に電圧を印加することで、ワイヤRによりインゴットIを溶融すると共に飛散させる処理を断続的に行ってインゴットIを切断する。このとき、インゴットIとワイヤRとの隙間には、切削屑U(図8参照)が発生する。
一対の加工液供給手段100A,100Bは、インゴットIを挟んだワイヤRの走行方向(X軸方向)の前後に配設され、ワイヤRに沿ってインゴットIに加工液Fを噴射して切削屑Uを除去するものである。
移動手段110は、インゴットIの外周面に沿って一対の加工液供給手段100A,100BをX軸方向に移動させてインゴットIの近傍に位置付けるものである。移動手段110は、加工液供給手段100A,100Bを支持するブラケット111と、ワイヤRの走行方向(X軸方向)に対して平行に延在される図示しないボールねじと、パルスモータ等で構成される駆動源とを有し、ボールねじのナットにはブラケット111が固定されている。
ブラケット111の形状は直方体であり、長手方向がZ軸方向を向くように装置本体2に取り付けられている。それぞれのブラケット111の下端側には加工液供給手段100A,100Bの各々が取り付けられ、ブラケット111の上端側は、ボールねじのナットに固定されている。装置本体2には、ブラケット111がX軸方向に移動する範囲において、長穴112が開口されている。移動手段110は、ボールねじのナットに固定されたブラケット111を、長穴112に沿ってワイヤRの走行方向(X軸方向)に移動させる。移動手段110は、インゴットIとワイヤRとの隙間の切削屑Uを効果的に除去するために、加工液供給手段100A,100BがインゴットIに対して最短距離をとるように、ワイヤRの走行方向(X軸方向)に進退移動させる。
制御手段120は、高周波パルス電源ユニット91に接続され、高周波パルス電力の周波数などを制御する。また、制御手段120は、直動機構60及び揺動機構70に接続され、インゴットIを揺動させながら加工送り方向に移動させる。例えば、制御手段120は、揺動機構70のパルスモータの駆動回路に正転パルス信号又は逆転パルス信号を出力して、インゴットIを正転又は逆転させて揺動させる。
制御手段120は、図2に示すように、揺動機構70のパルスモータの駆動回路に出力した正転パルス信号及び逆転パルス信号のパルス数に基づいて揺動角度±θを判断する。正転パルス信号及び逆転パルス信号のパルス数がゼロの場合、インゴットIの揺動角度θは0°である。正転パルス信号が出力されると、そのパルス数だけ時計回りLにインゴットIが回転する。また、逆転パルス信号が出力されると、そのパルス数だけ反時計回りLにインゴットIが回転する。制御手段120は、インゴットIの揺動角度±θが所定の範囲を超え、インゴットIの外周付近がワイヤRに近接した際に揺動速度を減速し、インゴットIの外周付近とその他の領域との加工時間の不均衡を補うように制御する。
次に、マルチワイヤ放電加工装置1を用いてウェーハを製造する方法について説明する。図3は、マルチワイヤ放電加工装置の動作例を示すフローチャート(メインルーチン)である。図4は、インゴットの加工送り例を示すフローチャート(サブルーチン)である。図5は、インゴットの揺動例(その1)を示す正面図である。図6は、インゴットの揺動例(その2)を示す正面図である。図7は、インゴットの加工例を示す側面図である。図8は、インゴットの加工例を示す一部拡大図であり、図7の囲い部分Jを拡大した図である。
先ず、制御手段120は、高周波パルス電源ユニット91を制御して、インゴットIとワイヤRに高周波パルス電力を供給する(図3に示すメインルーチンのステップS1)。
次に、制御手段120は、直動機構60及び揺動機構70を制御して、インゴットIを揺動させながら加工送り方向に移動させる(ステップS2)。例えば、制御手段120は、直動機構60のパルスモータの駆動回路にパルス信号を出力してインゴットIをZ軸方向に下降させる(図4に示すサブルーチンのステップS21)。
次に、制御手段120は、インゴットIが揺動を開始しているか否かを判定し、インゴットIが揺動を開始していなければ揺動を開始する(ステップS22)。インゴットIは、例えば始線L(0°)を基準として+5°〜−5°の範囲で揺動する。例えば、インゴットIは、揺動を開始していない状態、すなわち揺動角度θが0°の状態から、先ず、時計回りLに5°回転して+5°回転した状態となる。次に、インゴットIは、+5°回転した状態から反転して反時計回りLに5°回転して0°の状態となる。次に、インゴットIは、0°の状態から反時計回りLに5°回転して−5°回転した状態となる。次に、インゴットIは、−5°回転した状態から反転して時計回りLに5°回転して0°の状態となり、時計回りL及び反時計回りLにそれぞれ1回揺動したことになる。このように、インゴットIは、その揺動角度θが、0°、+5°、0°−5°、0°の順番を繰り返して揺動する。
次に、制御手段120は、インゴットIの揺動角度θが所定の範囲、すなわち+3°〜−3°の範囲であるか否かを判定する(ステップS23)。ここで、所定の範囲(+3°〜−3°)は、揺動範囲(+5°〜−5°)に基づいて決定される。例えば、揺動範囲の最大角度の半分程度を所定の範囲における最大角度とする。インゴットIを時計回りLに+1°揺動させる場合に必要な正転パルス信号のパルス数は、例えば10パルスである。また、インゴットIを反時計回りLに−1°揺動させる場合に必要な逆転パルス信号のパルス数は、例えば10パルスである。制御手段120は、インゴットIが時計回りL又は反時計回りLに揺動される度に正転パルス信号又は逆転パルス信号のパルス数をカウントし、正転パルス信号と逆転パルス信号のパルス数の差分を演算して、正転パルス信号又は逆転パルス信号のパルス数とする。制御手段120は、正転パルス信号又は逆転パルス信号のパルス数が、0〜30の範囲の場合、インゴットIの揺動角度θが所定の範囲(+3°〜−3°)に含まれていると判断する(ステップS23:YES)。例えば、制御手段120は、図5に示すように、正転パルス信号のパルス数が20、すなわち揺動角度θが+2°の場合、所定の範囲(+3°〜−3°)に含まれていると判断する。
次に、制御手段120は、インゴットIを速い速度で揺動させる。例えば、制御手段120は、第1速度(例えば40パルス/s(4°/s))でインゴットIを時計回りLに切断面Iに沿って揺動させる(ステップS24)。ここで、第1速度は、従来の揺動加工の速度、すなわちインゴットIを一定速度で揺動させて加工する場合の速度よりも速い速度が好ましい。
次に、制御手段120は、揺動角度θが揺動範囲(+5°〜−5°)における最大角度(+5°、−5°)であるか否かを判定する(ステップS25)。例えば、制御手段120は、正転パルス信号又は逆転パルス信号のパルス数が50であるか否かを判定し、正転パルス信号又は逆転パルス信号のパルス数が50でない場合、例えば正転パルス信号のパルス数が20の場合(ステップS25:YES)、インゴットIの揺動する方向を時計回りLから反時計回りLへ反転させない。
揺動されたインゴットIとワイヤRが接近すると、インゴットIの始線Lから中央部Iまでの加工領域T1とワイヤRとの絶縁が破壊されて放電が発生し、ワイヤRによりインゴットIの加工領域T1が溶融されて切断される(図3に示すメインルーチンのステップS3)。例えば、図7に示すように、複数のワイヤRが、インゴットIの加工溝Dに切り込んだ状態で、インゴットIがZ軸方向に切断される。
次に、制御手段120は、インゴットIを完全に切断したか否かを判断する(ステップS4)。例えば、制御手段120は、直動機構60によりインゴットIを加工送り方向に移動させた移動距離と、インゴットIの切断距離の基準を示す基準値とを比較して、移動距離が基準値を超えていれば、インゴットIが完全に切断されてウェーハが形成されたと判断する。インゴットIを完全に切断後、図示しない移動手段により、インゴットIをウェーハの厚さ方向(Y軸方向)に移動させて、ウェーハを基台部50の取り付け板52から分離し、分離したウェーハを籠81に収容して、放電加工処理を終了する(ステップS4:YES)。なお、ワイヤRとインゴットIに流れる電力量によって放電が発生しているか否かを判断し、インゴットIが完全に切断されたと判断しても良い。
また、移動距離が基準値を超えていなければ、インゴットIが完全に切断されていないと判断して(ステップS4:NO)、上述のステップS2に戻って、インゴットIを加工送りする。例えば、制御手段120は、直動機構60のパルスモータの駆動回路にパルス信号を出力してインゴットIをZ軸方向に下降させる(図4に示すステップS21)。次に、制御手段120は、インゴットIが揺動を開始しているか否かを判定し、インゴットIが揺動を開始している場合、ステップS22の処理はスキップする。
次に、制御手段120は、インゴットIの揺動角度θが所定の範囲、すなわち+3°〜−3°の範囲であるか否かを判定する(ステップS23)。例えば、制御手段120は、正転パルス信号又は逆転パルス信号のパルス数が、30よりも大きい場合、インゴットIの揺動角度θが所定の範囲(+3°〜−3°)に含まれていないと判断する(ステップS23:NO)。例えば、制御手段120は、図6に示すように、正転パルス信号のパルス数が40、すなわち揺動角度θが+4°の場合、所定の範囲(+3°〜−3°)に含まれていないと判断する。
次に、制御手段120は、インゴットIを遅い速度で揺動させる。例えば、制御手段120は、第1速度よりも遅い第2速度(例えば20パルス/s(2°/s))でインゴットIを時計回りLに切断面Iに沿って揺動させる(ステップS27)。ここで、第2速度は、従来の揺動加工の速度と等しい速度が好ましい。
次に、制御手段120は、揺動角度θが揺動範囲(+5°〜−5°)における最大角度(+5°、−5°)であるか否かを判定する(ステップS25)。例えば、制御手段120は、正転パルス信号又は逆転パルス信号のパルス数が50であるか否かを判定し、正転パルス信号又は逆転パルス信号のパルス数が50でない場合、例えば正転パルス信号のパルス数が40の場合(ステップS25:YES)、インゴットIの揺動する方向を時計回りLから反時計回りLへ反転させない。
遅い第2速度で揺動されたインゴットIとワイヤRが接近すると、加工領域T1に加えて、インゴットIの中央部Iから外周部Iまでの加工領域T2もワイヤRとの絶縁が破壊されて放電が発生し、加工領域T1,T2が溶融されて切断される(図3に示すステップS3)。
なお、上述のステップS25で、制御手段120は、正転パルス信号又は逆転パルス信号のパルス数が50であると判定した場合(ステップS25:NO)、インゴットIの揺動する方向を時計回りLから反時計回りLへ反転させる(ステップS26)。
以上のように、実施形態に係るマルチワイヤ放電加工装置及びウェーハの製造方法によれば、始線Lを基準にしてインゴットIを時計回りL又は反時計回りLに揺動させる場合に、インゴットIの揺動角度θが所定の範囲に含まれる場合、従来の揺動加工の速度よりも速い第1速度で揺動させ、インゴットIの揺動角度θが所定の範囲に含まれない場合、従来の揺動加工の速度と等しい第2速度で揺動させる。
これにより、インゴットIの中央部Iまでの加工領域T1が放電加工される時間と、インゴットIの中央部Iから外周部Iまでの加工領域T2が放電加工される時間との差が抑制されるので、インゴットIの加工領域T1に放電加工が集中することを回避できる。従って、インゴットIの加工領域T1と加工領域T2とにおいて放電加工が略等しく実施されるので、インゴットIの加工領域T1の加工溝Dと加工領域T2の加工溝Dの溝幅を等しく形成できる。これにより、インゴットIから形成されたウェーハの中央付近が凹むことなく、ウェーハを平坦にスライスすることができる。また、第1速度は、従来の揺動加工の速度より速く、第2速度は、従来の揺動加工の速度と等しいので、第1速度で加工する加工量は従来よりも減少し、第2速度で加工する加工量は従来と同じ加工量なので、平坦にスライスしたウェーハの厚みを従来想定していたウェーハの厚みと等しい厚みに形成できる。
また、切削屑Uは、インゴットIの外周部I付近の加工領域T2と比較して中央部I付近の加工領域T1に滞留しやすく、滞留した切削屑Uは、放電加工を誘発するが、上述のように加工領域T1と加工領域T2との加工時間の不均衡を抑制することにより、加工領域T1の切削屑Uによる放電加工の影響を軽減できる。
〔変形例〕
揺動範囲の最大角度の半分程度を所定の範囲における最大角度としたが、揺動範囲の最大角度よりも小さい角度であれば、いかなる角度でもよい。また、第2速度を第1速度の半分の速度としたが、第2速度は第1速度よりも遅い速度であれば、いかなる速度でもよい。また、インゴットIの揺動速度は、第1速度と第2速度の2段階に設定したが、3段階以上に設定してもよい。
また、Z軸方向の上方から下方に向けてインゴットIを移動させて放電加工を実施したが、Z軸方向の下方から上方に向けてインゴットIを移動させて放電加工を実施してもよい。
また、切断ワイヤ部40のワイヤRをX軸方向に走行するように配設したが、切断ワイヤ部40のワイヤRをZ軸方向に走行するように配設してもよい。この場合、インゴットIは、X軸方向に加工送りされる。
また、基台部50の取り付け板52に固定されたインゴットIの中心位置を回転支点Pとしたが、これに限定されない。例えば、基台51の所定位置を回転支点PにしてインゴットIを揺動させてもよい。この場合、インゴットIの中心と回転支点Pとの位置がずれるため、インゴットIは振り子のごとく揺動される。
また、基台部50に固定されたインゴットIを揺動させたが、インゴットIを固定して切断ワイヤ部40をインゴットIの切断面Iに沿って天秤のごとく揺動させるようにしてもよい。
また、インゴットIが揺動する角度は、図示しない角度センサーを用いて検出してもよい。角度センサーは、基台部50に配設され、基台部50に固定されたインゴットIが揺動した角度を検出して制御手段120に出力する。制御手段120は、角度センサーからの出力に基づいてインゴットIの揺動を制御する。
また、第1速度で揺動させる範囲を+3°〜−3°と設定し、時計回りL及び反時計回りLに同じ角度揺動させたが、これに限定されない。例えば、第1速度で揺動させる範囲を+3.1°〜−3°と設定し、時計回りLと反時計回りLとで異なる角度に揺動させてもよい。
1 マルチワイヤ放電加工装置
40 切断ワイヤ部
50 基台部
60 直動機構
70 揺動機構
80 加工槽
91 高周波パルス電源ユニット
92 電極
D 加工溝
F 加工液
I インゴット
中央部
外周部
L 始線
反時計回り
時計回り
P 回転支点
R ワイヤ
T1,T2 加工領域
U 切削屑
θ 揺動角度

Claims (2)

  1. ワイヤでインゴットを放電加工しウェーハにスライスするウェーハの製造方法であって、
    間隔をおいて隣接する複数のガイドローラに軸方向に間隔をあけて複数回巻き掛けられたワイヤと、インゴットを固定する基台部と、該基台部に固定されたインゴットが並列する該ワイヤに切り込むように該ワイヤと該基台部とを相対的に加工送りさせる駆動手段と、該ワイヤと該基台部に固定されたインゴットに高周波パルス電力を供給する高周波パルス電源ユニットと、を備えたマルチワイヤ放電加工装置を用い、
    該ワイヤとインゴットとを加工送りさせつつ、インゴットの切断面に沿ってインゴットが任意の角度で天秤のごとく揺動するよう該ワイヤとインゴットとを相対移動させて加工する加工ステップにおいて、
    インゴットの揺動角度が所定の範囲を超えインゴットの外周付近が該ワイヤに近接した際に揺動速度を減速し、インゴットの外周付近とその他の領域との加工時間の不均衡を補うことを特徴とするウェーハの製造方法。
  2. ワイヤでインゴットを放電加工しウェーハにスライスするマルチワイヤ放電加工装置であって、
    間隔をおいて隣接する複数のガイドローラに軸方向に間隔をあけて複数回巻き掛けられたワイヤと、インゴットを固定する基台部と、該基台部に固定されたインゴットが並列する該ワイヤに切り込むように該ワイヤと該基台部とを相対的に加工送りさせる駆動手段と、該ワイヤと該基台部に固定されたインゴットに高周波パルス電力を供給する高周波パルス電源ユニットと、各構成要素を制御する制御手段と、を備え、
    該駆動手段は、
    該ワイヤとインゴットとを加工送りさせつつ、インゴットの切断面に沿ってインゴットを任意の角度で天秤のごとく揺動させ、
    インゴットの揺動角度が所定の範囲を超えインゴットの外周付近が該ワイヤに近接した際に揺動速度を減速し、インゴットの外周付近とその他の領域との加工時間の不均衡を補うことを特徴とするマルチワイヤ放電加工装置。
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