JP2017087361A - マルチワイヤ放電加工装置 - Google Patents

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正毅 淵山
Masatake Fuchiyama
正毅 淵山
松原 政幸
Masayuki Matsubara
政幸 松原
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Abstract

【課題】インゴットに形成する加工溝の幅を抑制することができるマルチワイヤ放電加工装置を提供すること。【解決手段】マルチワイヤ放電加工装置1は、ワイヤRとインゴットIを固定する基台41と高周波パルス電源ユニット60と制御手段100とを備える。制御手段100はワイヤRとインゴットIとの電位差を測定する電圧測定手段とワイヤRとインゴットIとの間の電流値を測定する電流測定手段の測定値を判定する判定手段101を備える。判定手段101は、電位差が閾値未満の場合、短絡状態と判定し、電位差が閾値以上且つ高周波パルス電圧の印加開始から電流値の上昇開始までの時間が所定時間未満の場合、短絡放電状態と判定し、電位差が閾値以上且つ上昇開始までの時間が所定時間以上の場合、通常放電状態と判定し、加工送り手段43の送り速度を上げる。【選択図】図1

Description

本発明は、マルチワイヤ放電加工装置に関する。
シリコンにより構成されたインゴットをウエーハにスライスするのには、砥粒とワイヤを用いたワイヤーソーによるスライスが知られているが、SiCにより構成されたインゴットのような硬質な被加工物をスライスする場合、砥粒による除去力が小さすぎて加工時間が長くかかりすぎたり、加工負荷によりワイヤの断線が発生するため、マルチワイヤ放電加工装置の開発が行われている(例えば、特許文献1参照)。
特開2012−125879号公報
特許文献1に示されたマルチワイヤ放電加工装置において、放電によってインゴットをスライスするために、インゴットに形成される加工溝の幅が、ワイヤの直径よりも大きな幅に形成される。このために、特許文献1に示されたマルチワイヤ放電加工装置は、高価なSiCにより構成されるインゴットをスライスするには、インゴットに形成される加工溝の幅を出来るだけ抑える加工技術が要求される。
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、インゴットに形成する加工溝の幅を抑制することができるマルチワイヤ放電加工装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のマルチワイヤ放電加工装置は、複数のガイドローラーに複数回巻回して走行するワイヤと、半導体である被加工物を固定する導電材で形成された基台と、該ワイヤと該基台を相対移動させて該基台に固定された被加工物にワイヤが切り込む加工送り手段と、該ワイヤと該基台に高周波パルス電圧を印加する高周波パルス電源ユニットと、各構成要素を制御する制御手段と、を備えるマルチワイヤ放電加工装置であって、該高周波パルス電源ユニットは、電源と、ワイヤに給電するワイヤ用給電子と、該基台に給電する基台用給電子と、該ワイヤ用給電子と被加工物との電位差を測定する電圧測定手段と、ワイヤと被加工物との間で流れる電流値を測定する電流測定手段と、を備え、該制御手段は、該電圧測定手段と該電流測定手段の測定値に対し、放電加工状態を判定する判定手段を備え、該判定手段は、該電位差が閾値未満の場合、ワイヤと被加工物とが短絡していると判定しパルス電圧の印加を休止又は該加工送り手段の駆動を停止し、該電位差が閾値以上且つ、パルス電圧の印加開始から該電流値の上昇開始までの時間が所定時間未満の場合、短絡しつつも放電が発生する短絡放電状態と判定して加工条件を維持し、該電位差が閾値以上且つ、パルス電圧の印加開始から該電流値の上昇開始までの時間が前記所定時間以上の場合、通常放電状態と判定し、該短絡放電状態にすべく該加工送り手段の送り速度を上げて該時間を該所定時間未満に調整することを特徴とする。
前記マルチワイヤ放電加工装置は、該電位差が閾値以上且つ所定回数のパルス電圧を印加した際、印加したパルス電圧の数に対し前記閾値以上の電位差が検出されるパルスの数の割合が所定数以下の場合、該パルス電圧の印加開始から該電流値の上昇開始までの時間の閾値である該所定時間を減じる事が望ましい。
本願発明のマルチワイヤ放電加工装置は、インゴットに形成する加工溝の幅を抑制することができるという効果を奏する。
図1は、実施形態に係るマルチワイヤ放電加工装置の構成例を示す概略図である。 図2は、図1に示すマルチワイヤ放電加工装置の被加工物の周辺を拡大して示す概略斜視図である。 図3は、図1に示すマルチワイヤ放電加工装置の高周波パルス電源ユニットの構成を示す回路図である。 図4は、図1に示すマルチワイヤ放電加工装置の高周波パルス電源ユニットが印加する高周波パルス電圧と、電圧測定手段が測定した電位差と、電流測定手段が測定した電流値との関係の一例を示す図である。 図5は、図1に示すマルチワイヤ放電加工装置のワイヤがインゴットに切り込む状態の平面図である。 図6は、図5中A部が放電加工状態の一例である無放電状態である場合を拡大して示す図である。 図7は、図5中A部が放電加工状態の一例である通常放電状態である場合を拡大して示す図である。 図8は、図5中A部が放電加工状態の一例である短絡放電状態である場合を拡大して示す図である。 図9は、図5中A部が放電加工状態の一例である短絡状態である場合を拡大して示す図である。 図10は、図1に示すマルチワイヤ放電加工装置の加工動作の一例を示すフローチャートである。
本発明を実施するための形態につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
〔実施形態〕
実施形態に係るマルチワイヤ放電加工装置の構成例について説明する。図1は、実施形態に係るマルチワイヤ放電加工装置の構成例を示す概略図である。図2は、図1に示すマルチワイヤ放電加工装置の被加工物の周辺を拡大して示す概略斜視図である。図3は、図1に示すマルチワイヤ放電加工装置の高周波パルス電源ユニットの構成を示す回路図である。図4は、図1に示すマルチワイヤ放電加工装置の高周波パルス電源ユニットが印加する高周波パルス電圧と、電圧測定手段が測定した電位差と、電流測定手段が測定した電流値との関係の一例を示す図である。
マルチワイヤ放電加工装置1は、図1に示すように、ワイヤRにより被加工物であるインゴットIを放電加工するものであり、ワイヤRと、繰り出しボビン20と、巻き取りボビン21と、ガイドローラ部30と、インゴットIを支持する支持機構40と、高周波パルス電源ユニット60と、制御手段100とを備えている。
繰り出しボビン20には、未使用のワイヤRが一定量巻回されている。ワイヤRは、ガイドローラ部30の複数のガイドローラー30c,30d,30e,30fに複数回巻回して走行する。ワイヤRは、切断面が円形に形成され、芯部と、芯部の周面を被覆する被覆部とから構成されている。芯部は、高純度の鋼であり、例えばピアノ線である。被覆部は、黄銅やタングステン、モリブデンなどの芯部より放電しやすい電気抵抗の低い材料で形成されている。ワイヤRの直径は、例えば、50μm〜140μm程度である。もちろん、ワイヤRの直径は、50μm〜140μmに限定されず、例えば100μm〜200μmでもよい。また、ワイヤRは、高純度の鋼である芯部と、黄銅やタングステン、モリブデンなどの被覆部とから構成されても、黄銅のみから形成されてもよい。また、ワイヤRは、その切断面が円形である例を説明したが、円形以外であってもよい。例えば、ワイヤRは、その切断面が楕円形や多角形であってもよい。繰り出しボビン20は、ガイドローラ部30に向けてワイヤRを繰り出す。
ガイドローラ部30は、繰り出しボビン20の近傍に配設され、繰り出しボビン20から繰り出されたワイヤRが複数回巻き掛けられる。ガイドローラ部30は、互いに軸方向が平行な複数のガイドローラー30a〜30gを含む。ガイドローラ部30のガイドローラー30a〜30gの軸方向は、繰り出しボビン20の軸方向と平行である。ガイドローラー30a〜30gは、円柱状に形成され、ワイヤRが走行する方向に間隔をおいて配設されている。
ガイドローラー30a,30bは、繰り出しボビン20の近傍に配設され、繰り出しボビン20により繰り出され、ワイヤRを巻き掛けてワイヤRをガイドローラー30c〜30gに向けて送り出す。
ガイドローラー30c〜30fは、並列ワイヤ部310を構成し、ワイヤRを環状に支持するように配設されている。例えば、並列ワイヤ部310のガイドローラー30c,30d,30e,30fは、環状のワイヤRを内側から支持するように配設されている。並列ワイヤ部310は、図2に示すように、ガイドローラー30a,30bにより送り出されたワイヤRを軸方向(Y軸方向)に一定の間隔をあけて複数回巻き掛ける。並列ワイヤ部310のワイヤRは、例えば、軸方向に0.5mm〜数mm程度の間隔をあけてガイドローラー30c〜30fに10周巻き掛けられている。
ここで、Y軸方向は、ガイドローラー30a〜30gの軸方向である。X軸方向は、Y軸方向と水平面上で直交する方向である。Z軸方向は、X軸方向及びY軸方向に直交する方向、本実施形態では、鉛直方向である。
並列ワイヤ部310において、ガイドローラー30cは、ガイドローラー30bにより送り出されたワイヤRを巻き掛けてガイドローラー30dに送り出す。ガイドローラー30dは、ガイドローラー30cにより送り出されたワイヤRを巻き掛けてガイドローラー30eに送り出す。ガイドローラー30eは、ガイドローラー30dにより送り出されたワイヤRを巻き掛けてガイドローラー30fに送り出す。ガイドローラー30fは、ガイドローラー30eにより送り出されたワイヤRを巻き掛けてガイドローラー30cに送り出す。これで、並列ワイヤ部310を構成するガイドローラー30c〜30fに1周巻き掛けられたことになる。ワイヤRは、軸方向に0.5mm〜数mm程度の間隔をあけつつ並列ワイヤ部310のガイドローラー30c〜30fに残り9周巻き掛けられる。並列ワイヤ部310は、10周巻き掛けられた最後のワイヤRをガイドローラー30cからガイドローラー30gに送り出す。なお、ガイドローラー30c、ガイドローラー30d、ガイドローラー30e及びガイドローラー30fは、図1に示すように、側方から見て矩形の角に配置されて、ガイドローラー30c、ガイドローラー30d、ガイドローラー30e及びガイドローラー30fに支持されたワイヤRは、ガイドローラー30c、ガイドローラー30d、ガイドローラー30e及びガイドローラー30fを角とする矩形上を周回する。
また、これらガイドローラー30c、ガイドローラー30d、ガイドローラー30e及びガイドローラー30fのうち対角線上に位置するガイドローラー30d及びガイドローラー30fは、モーター32d,32fによって回転し、外周で支持したワイヤRの走行速度を制御するモーター駆動ローラである。ガイドローラー30c、ガイドローラー30d、ガイドローラー30e及びガイドローラー30fは、並列ワイヤ部310の周回するワイヤRと同数即ち10本のガイド溝33が回転方向に沿って設けられる。ガイド溝33は、ガイドローラー30c、ガイドローラー30d、ガイドローラー30e及びガイドローラー30fの軸方向に等間隔に設けられる。ガイド溝33の深さは、0.1mmから0.3mm程度である。
ガイドローラー30gは、巻き取りボビン21の近傍に配設され、並列ワイヤ部310から送り出されたワイヤRを巻き掛けて巻き取りボビン21に送り出す。巻き取りボビン21は、ガイドローラー30gから送り出された使用済みのワイヤRを巻き取って回収する。
なお、繰り出しボビン20及び巻き取りボビン21は、図示しないモータによって回転駆動される。ガイドローラー30a〜30gに巻き掛けられたワイヤRが走行する速度は、0.5m/sec〜1m/sec程度である。また、並列ワイヤ部310のガイドローラー30e,30fにより張設されたワイヤRは、インゴットIをウエーハにスライスする切断ワイヤ部320を構成する。切断ワイヤ部320のワイヤRは、Z軸方向に沿って上向きへ走行する。
インゴットIは、円柱形状であり、切断ワイヤ部320のワイヤRの間隔で円板状のウエーハにスライスされる。インゴットIは、体積抵抗率が0.01Ωcm以上でかつ1000Ωcm以下の半導体である。インゴットIを構成する半導体は、SiC、単結晶ダイヤ等である。
支持機構40は、切断ワイヤ部320の近傍に設けられている。支持機構40は、基台41と、支持柱42と、加工送り手段43とを備えている。基台41は、インゴットIを固定するものであり、導電性を有する導電材で形成される。基台41は、前面41cにインゴットIの周面Iaが導電性接着剤Bにより接着されて固定される。インゴットIは、その端面Ieが切断ワイヤ部320のワイヤRが走行するZ軸方向と略平行になるように基台41に固定される。
支持柱42は、棒状に形成されており、Z軸方向に立設されている。支持柱42は、一端に基台41が固定され、他端に加工送り手段43が固定されている。加工送り手段43は、基台41とワイヤRとをX軸方向に相対移動させるものである。実施形態において、加工送り手段43は、基台41に固定されたインゴットIにワイヤRが切り込むもの、即ち、インゴットIにワイヤRを切り込ませて、ウエーハにスライスするものである。例えば、加工送り手段43は、X軸方向に沿って延在される図示しないボールねじと、パルスモータ等で構成される駆動源とを有する。加工送り手段43は、ボールねじのナットに固定された支持柱42をX軸方向に沿って移動させて、基台41とワイヤRとを相対的に移動させ、基台41に固定したインゴットIに切断ワイヤ部320のワイヤRを切り込ませる。
マルチワイヤ放電加工は、誘電体である水や油などの加工液Fの中で実施される。切断ワイヤ部320は、加工液Fが貯留された加工槽50の中に浸漬されている。加工槽50の中で、加工液Fに浸漬された切断ワイヤ部320のワイヤRがインゴットIを加工する。
加工槽50は、上面に開口部53を有している。基台41は、開口部53から加工槽50の内部に挿入される。基台41は、加工槽50に対してX軸方向に往復移動が可能となる。加工槽50は、ガイドローラー30d及びガイドローラー30eを収容し、ガイドローラー30d及びガイドローラー30eを加工液F中に浸漬する。ガイドローラー30cにより送り出されたワイヤRは、開口部53から加工槽50の内部に進入する。加工槽50の内部に進入したワイヤRは、加工槽50内に配設されたガイドローラー30d及びガイドローラー30eを介して、開口部53から加工槽50の外部に送り出される。
高周波パルス電源ユニット60は、ワイヤRと基台41に高周波パルス電圧PV(図4に示す)を印加するものである。高周波パルス電源ユニット60は、図3に示すように、電源61と、ワイヤRに給電するワイヤ用給電子62と、基台41に取り付けられて基台41に給電する基台用給電子63と、電圧測定手段66と、電流測定手段67とを備える。
また、高周波パルス電源ユニット60は、高周波パルス電圧PVを調整する電圧調整手段64と、高周波パルス電圧PVの周波数を所定の周波数に調整するパルス調整手段65とを備えている。高周波パルス電源ユニット60は、ワイヤ用給電子62に接続され、ワイヤ用給電子62を介して高周波パルス電圧PVをワイヤRに供給する。
電源61は、加工用の高周波パルス電圧PVをワイヤRと基台41とに印加する加工用電源61Pと、加工用電源61Pと極性が反対にワイヤRと基台41とに接続された加工補助用のオフ用電源61Oとを備える。実施形態において、加工用電源61Pは、プラス側が基台用給電子63に接続され、マイナス側がワイヤ用給電子62に接続される。オフ用電源61Oは、プラス側がワイヤ用給電子62に接続され、マイナス側が基台用給電子63に接続される。加工用電源61PがワイヤRと基台41に印加するパルス電圧PVP(図4に示す)の電圧値は、オフ用電源61OがワイヤRと基台41に印加するパルス電圧PVO(図4に示す)の電圧値よりも高い。
電圧調整手段64は、加工用電源61Pとワイヤ用給電子62との間に設けられる加工用抵抗64Pと、オフ用電源61Oと基台用給電子63との間に設けられるオフ用抵抗64Oとを備える。パルス調整手段65は、加工用電源61Pとワイヤ用給電子62との間に設けられる加工用スイッチ65Pと、オフ用電源61Oと基台用給電子63との間に設けられるオフ用スイッチ65Oとを備える。加工用スイッチ65P及びオフ用スイッチ65Oは、制御手段100によりオンオフが切換られて、かつ高周波パルス電圧PVの周波数を所定の周波数に調整する。
ワイヤ用給電子62は、図2に示すように、ベース部材62aに軸心回りに回転自在に設けられた電極ローラ62bと従動ローラ62cとを備える。電極ローラ62bは、電源61から高周波パルス電圧PVが供給される。電極ローラ62bと従動ローラ62cは、円柱状に形成され、かつ互いに平行に配置されている。電極ローラ62bと従動ローラ62cは、ガイドローラー30a〜30gと平行である。電極ローラ62bと従動ローラ62cは、ガイドローラー30fとガイドローラー30cとの間に張設されるワイヤRに当接されている。ワイヤ用給電子62は、電極ローラ62bと従動ローラ62cとの間にワイヤRを通し、ワイヤRに当接された電極ローラ62bと従動ローラ62cとがワイヤRの走行に従動して回転する。また、電極ローラ62bと従動ローラ62cは、並列ワイヤ部310の周回するワイヤRと同数即ち10本のガイド溝62dが回転方向に沿って設けられる。ガイド溝62dは、電極ローラ62bと従動ローラ62cの軸方向に等間隔に設けられる。また、高周波パルス電源ユニット60は、基台41に固定される基台用給電子63に接続され、基台41を介して高周波パルス電圧PVをインゴットIに供給する。
高周波パルス電源ユニット60は、ワイヤRとインゴットIとの極間に、図4に示す高周波パルス電圧PVを所定の周波数で印加する。実施形態において、高周波パルス電源ユニット60は、図4に示すように、加工用電源61Pから矩形波状のパルス電圧PVPを印加した後、オフ用電源61Oから矩形波状のパルス電圧PVOを印加して、高周波パルス電圧PVを印加する。即ち、高周波パルス電圧PVは、加工用電源61Pからのパルス電圧PVPとオフ用電源61Oからのパルス電圧PVOにより構成される。
高周波パルス電源ユニット60からワイヤRとインゴットIとの極間に高周波パルス電圧PVを印加すると、ワイヤRは、正面に配置されたインゴットIに対して放電(火花)S(図7及び図8に示す)を行う。例えば、加工液F中で絶縁状態にあるインゴットIとワイヤRの間隔が数十μm位まで近づくと、両者の絶縁が破壊されて放電(火花)Sが発生する。この放電(火花)SによってインゴットIが加熱されて溶融され、さらに液体の温度が急激に上昇することにより液体が気化し、体積膨張によって溶融箇所を飛散させる。このように、マルチワイヤ放電加工装置1は、ワイヤRとインゴットIとの極間に高周波パルス電圧PVを印加することで、インゴットIを溶融すると共に飛散させる処理を断続的に行ってインゴットIの放電加工を実施する。
電圧測定手段66は、ワイヤ用給電子62と基台用給電子63とに接続されて、ワイヤ用給電子62とインゴットIとの電位差を測定する。電圧測定手段66は、測定値を制御手段100に出力する。電流測定手段67は、基台用給電子63に接続されて、放電によりワイヤRとインゴットIとの間で流れる電流値を測定する。電流測定手段67は、測定値を制御手段100に出力する。
また、マルチワイヤ放電加工装置1は、図1に示すように、ワイヤRの走行方向の繰り出しボビン20とガイドローラ部30との間に配置された張力調整ユニット80と、ワイヤRの走行方向のガイドローラ部30のガイドローラー30gと巻き取りボビン21との間に配置された張力調整ユニット90と、を備える。張力調整ユニット80,90は、ワイヤRに張力を付与するとともに、ワイヤRに付与する張力を調整可能である。
制御手段100は、繰り出しボビン20、巻き取りボビン21、ガイドローラー30d、ガイドローラー30f、加工送り手段43及び高周波パルス電源ユニット60の各スイッチ65P,65Oなどのマルチワイヤ放電加工装置1の各構成要素を制御する。制御手段100は、繰り出しボビン20、巻き取りボビン21、ガイドローラー30d及びガイドローラー30fにモータ駆動信号を出力し、ワイヤRの繰り出しや巻き取り、ワイヤRの案内をするように制御する。また、制御手段100は、加工送り手段43にモータ駆動信号を出力してインゴットIを切断ワイヤ部320のワイヤRに切り込ませるように制御する。また、制御手段100は、高周波パルス電源ユニット60に制御信号を出力して高周波パルス電力の出力時間などを制御する。また、制御手段100は、電圧測定手段66と電流測定手段67の測定値に対し、ワイヤRとインゴットIとの間の放電加工状態(放電(火花)Sの有無、短絡の有無)を判定する判定手段101を備える。
なお、制御手段100は、コンピュータシステムを含む。制御手段100は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有する。
制御手段100のCPUは、ROMに記憶されているコンピュータプログラムに従ってRAM上で演算処理を実施して、マルチワイヤ放電加工装置1を制御するための制御信号を、入出力インターフェース装置を介してマルチワイヤ放電加工装置1の各構成要素に出力する。また、制御手段100は、加工動作の状態や画像などを表示する液晶表示装置などにより構成される図示しない表示手段や、オペレータが加工内容情報などを登録する際に用いる入力手段と接続されている。入力手段は、表示手段に設けられたタッチパネルと、キーボード等とのうち少なくとも一つにより構成される。
次に、マルチワイヤ放電加工装置1がインゴットIの放電加工を実施した際の放電加工状態を図面に基づいて説明する。図5は、図1に示すマルチワイヤ放電加工装置のワイヤがインゴットに切り込む状態の平面図である。図6は、図5中A部が放電加工状態の一例である無放電状態である場合を拡大して示す図である。図7は、図5中A部が放電加工状態の一例である通常放電状態である場合を拡大して示す図である。図8は、図5中A部が放電加工状態の一例である短絡放電状態である場合を拡大して示す図である。図9は、図5中A部が放電加工状態の一例である短絡状態である場合を拡大して示す図である。
マルチワイヤ放電加工装置1は、加工動作において、図4に示すように、ワイヤRとインゴットIとの極間に高周波パルス電圧PVを所定の周波数で印加する。マルチワイヤ放電加工装置1は、図5に示すように、ワイヤRがインゴットIに切り込むと、図6から図9に示すように、インゴットIにワイヤRが切り込んだ加工溝PDが形成され、加工溝PD内にインゴットIを構成する材料等からなる加工屑PWが形成される。
マルチワイヤ放電加工装置1は、加工中にワイヤRと加工溝PDの内面即ちインゴットIとの距離が増加することなどによって、図6に示すように、ワイヤRとインゴットIとの間に放電が発生しない放電加工状態の一例である無放電状態となることがある。この無放電状態では、電圧測定手段66が測定したワイヤRとインゴットIとの間の電位差EPが、図4に示すように、予め定められた閾値SVを超え、かつ電流測定手段67が測定したワイヤRとインゴットIとの間で流れる電流値が零のままとなる。
また、マルチワイヤ放電加工装置1は、加工中にワイヤRと加工溝PDの内面即ちインゴットIとの間の絶縁が破壊され、図7に示すように、ワイヤRとインゴットIとの間に放電(火花)Sが発生する放電加工状態の一例である通常放電状態となることがある。この通常放電状態では、電圧測定手段66が測定したワイヤRとインゴットIとの間の電位差EPが、図4に示すように、予め定められた閾値SVを超え、且つ電流測定手段67が測定したワイヤRとインゴットIとの間で流れる電流値が予め定められた電流用閾値ESVを超える。この通常放電状態では、ワイヤRとインゴットIとの間に放電(火花)Sが発生した後に、ワイヤRからインゴットIに電流が流れるので、高周波パルス電圧PVの印加開始から時間TD後にワイヤRからインゴットIに流れる電流値が零を超える上昇開始することとなる。実施形態において、通常放電状態時に高周波パルス電圧PVの印加開始からワイヤRからインゴットIに流れる電流値が零を超える上昇開始までの時間TDは、400nsec以上でかつ700nsec以下である。
また、通常放電状態では、ワイヤRとインゴットIとの間に印加される複数の高周波パルス電圧PVのうち全ての高周波パルス電圧PVにより放電(火花)Sが発生するわけでない。即ち、マルチワイヤ放電加工装置1は、通常放電状態中に無放電状態が生じることがある。
また、マルチワイヤ放電加工装置1は、加工中にワイヤRと加工溝PDの内面即ちインゴットIとの間の絶縁が破壊され、図8に示すように、ワイヤRとインゴットIとの間に放電(火花)Sが発生するとともに、ワイヤRとインゴットIとが接触してワイヤRからインゴットIに放電(火花)Sによらずに直接電流が流れる放電加工状態の一例である短絡放電状態となることがある。この短絡放電状態では、電圧測定手段66が測定したワイヤRとインゴットIとの間の電位差EPが、ワイヤRとインゴットIとの間に放電(火花)Sが発生するために、図4に示すように、予め定められた閾値SVを超える。短絡放電状態では、ワイヤRとインゴットIとの間で電流が流れるので、電流測定手段67が測定したワイヤRとインゴットIとの間で流れる電流値が予め定められた電流用閾値ESVを超える。この短絡放電状態では、ワイヤRとインゴットIとの間に放電(火花)Sが発生した後にワイヤRからインゴットIに電流が流れるとともに、ワイヤRとインゴットIとが接触して電流が流れるので、高周波パルス電圧PVの印加開始から時間TDよりも短い時間TS後にワイヤRからインゴットIに流れる電流値が零を超える上昇開始することとなる。短絡放電状態では、放電と接触との双方によりワイヤRとインゴットIとの間に電流が流れるために、ワイヤRとインゴットIとの間の電位差EPが、通常放電状態の電位差EPよりも小さく、かつ放電(火花)Sが通常放電状態の放電(火花)Sよりも小さい。このために、短絡放電状態においてインゴットIに形成される加工溝PDの幅は、通常放電状態においてインゴットIに形成される加工溝PDの幅よりも狭い。
また、マルチワイヤ放電加工装置1は、加工中にワイヤRと加工溝PDの内面即ちインゴットIとが接触して、図9に示すように、ワイヤRとインゴットIとの間に放電(火花)Sが発生することなくワイヤRからインゴットIに直接電流が流れる短絡状態となることがある。この短絡状態では、電圧測定手段66が測定したワイヤRとインゴットIとの間の電位差EPが、ワイヤRとインゴットIとの間に放電(火花)Sが発生することなくワイヤRからインゴットIに電流が流れるために、図4に示すように、予め定められた閾値SVを超えない。短絡状態では、ワイヤRとインゴットIとの間で電流が流れるので、電流測定手段67が測定したワイヤRとインゴットIとの間で流れる電流値が予め定められた電流用閾値ESVを超える。この短絡状態では、ワイヤRとインゴットIとの間に放電(火花)Sが発生することなくワイヤRからインゴットIに直接電流が流れるだけであるので、高周波パルス電圧PVの印加開始から時間TS後にワイヤRからインゴットIに流れる電流値が零を超える上昇開始することとなる。実施形態において、短絡放電状態及び短絡状態時に高周波パルス電圧PVの印加開始からワイヤRからインゴットIに流れる電流値が零を超える上昇開始するまでの時間TSは、ワイヤRの長さ、ワイヤRの太さによるコイル(L)、コンデンサ(C)の容量に応じて決定し、例えば、100nsec以上でかつ150nsec以下である。
なお、電位差EPの閾値SVは、放電(火花)Sが発生しない短絡状態時の電位差EPよりも大きく、かつ放電(火花)Sが発生する通常放電状態及び短絡放電状態の電位差EPよりも小さい。このように、電位差EPの閾値SVとは、放電(火花)Sが発生したか否かを判定することができる値である。以上の無放電状態、通常放電状態、短絡放電状態、短絡状態をまとめると、以下の表1のようになる。
Figure 2017087361
次に、マルチワイヤ放電加工装置の加工動作の一例を図面に基づいて説明する。図10は、図1に示すマルチワイヤ放電加工装置の加工動作の一例を示すフローチャートである。
先ず、オペレータは、基台41にインゴットIを固定し、加工槽50内に加工液Fを貯留して、加工情報を制御手段100に登録する。マルチワイヤ放電加工装置1は、加工動作の開始指示があった場合に、加工動作を開始する(ステップST1)。加工動作において、制御手段100は、高周波パルス電源ユニット61を制御し、高周波パルス電力をワイヤRとインゴットIに供給する。また、制御手段100は、繰り出しボビン20からワイヤRを繰り出し、ガイドローラ部30によりワイヤRを案内させて、ワイヤRを走行させる。
ワイヤRは、ガイドローラー30bにより並列ワイヤ部310に送り出される。並列ワイヤ部310に送り出されたワイヤRは、切断ワイヤ部320でインゴットIを放電加工する。制御手段100は、加工送り手段43を制御し、インゴットIを切断ワイヤ部320のワイヤRに向けて移動させ、ワイヤRとインゴットIとの極間に電圧を印加して放電加工を実施し、インゴットIに加工溝PDを形成する。例えば、インゴットIとワイヤRとが接近すると放電(火花)Sが発生し、インゴットIが溶融されて飛散される処理を断続的に行って放電加工を実施し、インゴットIを複数のウエーハにスライスする。
制御手段100の判定手段101は、放電加工状態が、無放電状態、通常放電状態、短絡放電状態、短宅状態の何れかであるかを判定する(ステップST2)。
制御手段100の判定手段101は、電圧測定手段66の測定値に基づいて、ワイヤR即ちワイヤ用給電子62とインゴットIとの電位差が閾値SV未満か否かを判定することで、短絡状態であるか否かを判定する。(ステップST3)。制御手段100の判定手段101は、電位差が閾値SV未満である即ち短絡状態であると判定する(ステップST3:Yes)と、電位差が閾値SV未満である高周波パルス電圧PVの数をカウントし、カウントした数が所定の数連続したか否かを判定する(ステップST4)。制御手段100の判定手段101は、所定の数連続していないと判定する(ステップST4:No)と、ステップST2に戻る。なお、加工開始直後では、カウントした数が1となるので、ステップST2に戻り、電位差が閾値SV未満である高周波パルス電圧PVが所定の数連続すると、制御手段100の判定手段101は、所定の数連続したと判定し(ステップST4:Yes)、高周波パルス電圧PVの印加を休止又は加工送り手段43の駆動を停止し(ステップST12)、所定の時間が経過した後にステップST2に戻る。こうして、判定手段101は、電位差が閾値SV未満の場合、ワイヤRとインゴットIとが短絡している短絡状態と判定し、高周波パルス電圧PVの印加を休止又は加工送り手段43の駆動を停止し、所定の時間経過した後、ステップST2に戻る。
制御手段100の判定手段101は、電位差が閾値SV以上であると判定する(ステップST3:No)と、電位差が閾値SV以上である高周波パルス電圧PVの数をカウントし、印加した高周波パルス電圧PVの数に対して閾値SV以上の電位差が検出される割合を求める。制御手段100の判定手段101は、求めた割合が所定数以下であるか否か、即ち短絡状態の発生率が高いか否かを判定する(ステップST5)。
求めた割合が所定数を超えている即ち短絡状態の発生率が低い(ステップST5:No)と判定すると、制御手段100の判定手段101は、短絡状態の発生率が高いか否かを判定するための高周波パルス電圧PVの印加開始から電流値の上昇開始までの時間の閾値である所定時間を長くする(ステップST6)。なお、所定時間は、時間TSよりも長く時間TDよりも短い時間である。
制御手段100の判定手段101は、高周波パルス電圧PVの印加開始から電流値の上昇開始までの時間が所定時間以上か否かを判定することで、通常放電状態であるか否かを判定する(ステップST7)。制御手段100の判定手段101は、所定時間未満であると判定する(ステップST7:No)と、放電加工状態が短絡放電状態であると判定して、加工条件である加工送り手段43のインゴットIの送り速度を所定速度だけ遅くする(即ち、送り速度を下げる)(ステップST8)。こうして、判定手段101は、電位差が閾値SV以上且つ、高周波パルス電圧PVの印加開始から電流値の上昇開始までの時間が所定時間未満の場合、短絡しつつも放電(火花)Sが発生する短絡放電状態と判定して、送り速度を下げる。
制御手段100の判定手段101は、所定時間以上であると判定する(ステップST7:Yes)と、放電加工状態が通常放電状態であると判定して、加工条件である加工送り手段43のインゴットIの送り速度を所定速度だけ早める(ステップST9)。こうして、判定手段101は、電位差が閾値SV以上且つ、高周波パルス電圧PVの印加開始から電流値の上昇開始までの時間が所定時間以上の場合、通常放電状態と判定し、短絡放電状態にすべく加工送り手段43の送り速度を上げて、高周波パルス電圧PVの印加開始から電流値の上昇開始までの時間を所定時間未満となるように調整する。
制御手段100の判定手段101は、送り速度を下げた(ステップST8)後、及び、送り速度を上げた(ステップST9)後、加工送り手段43の送り量などに基づいて加工が終了したか否かを判定する(ステップST10)。制御手段100の判定手段101は、加工が終了していないと判定する(ステップST10:No)と、ステップST2に戻り、加工が終了したと判定する(ステップST10:Yes)と、加工動作を終了する(ステップST11)。
制御手段100の判定手段101は、ステップST2からステップST10を複数繰り返すと、求めた割合が所定数以下即ち短絡状態の発生率が高いと判定する(ステップST5:Yes)ことがある。制御手段100の判定手段101は、求めた割合が所定数以下即ち短絡状態の発生率が高いと判定する(ステップST5:Yes)と、カウントした電位差が閾値SV以上である高周波パルス電圧PVの数を零にリセットするとともに、高周波パルス電圧PVの印加開始から電流値の上昇開始までの時間の閾値である前記所定時間を短くし(ステップST13)、ステップST7に進む。
こうして、判定手段101は、電位差が閾値SV以上且つ所定回数の高周波パルス電圧PVを印加した際、印加した高周波パルス電圧PVの数に対し閾値SV以上の電位差EPが検出されるパルスの数の割合が所定数以下の場合、高周波パルス電圧PVの印加開始から電流値の上昇開始までの時間の閾値である所定時間を減じる。このように、判定手段101は、通常放電状態において、無放電状態となることが増加すると、前記所定時間を短くして、通常放電状態と判定して加工送り手段43の送り速度を早めて、短絡放電状態を発生しやすくする。
前述した実施形態に係るマルチワイヤ放電加工装置1は、放電開始直後では、制御手段100の判定手段101が短絡状態の発生率が低い(ステップST5:No)と判定し、所定時間を長くする(ステップST6)ので、通常放電状態であると判定する(ステップST7:Yes)ことが多い。マルチワイヤ放電加工装置1は、制御手段100の判定手段101が通常放電状態であると判定する(ステップST7:Yes)と、送り速度を上げる(ステップST9)。すると、マルチワイヤ放電加工装置1は、短絡状態が発生しやすくなり、制御手段100の判定手段101が短絡状態の発生率が高い(ステップST5:Yes)と判定して、所定時間を短くする(ステップST13)。すると、マルチワイヤ放電加工装置1は、制御手段100の判定手段101が短絡放電状態であると判定し(ステップST7:No)、送り速度を下げ(ステップST8)、結果的に短絡放電状態が発生する割合を高い状態に維持することができる。
実施形態に係るマルチワイヤ放電加工装置1は、ワイヤRとインゴットIとが僅かに接触して、印加された高周波パルス電圧PVがワイヤRに流れつつも、インゴットIが半導体により構成されるために、インゴットIに電気が蓄積されて、ワイヤRとインゴットIとの間で弱い力ながらも放電(火花)Sが発生する短絡放電状態で、インゴットIを加工する。このため、マルチワイヤ放電加工装置1は、短絡放電状態の放電(火花)Sが通常放電状態の放電(火花)Sよりも小さいために、短絡放電状態の放電(火花)Sによる除去量が通常放電状態の放電(火花)Sに比べると少なくなり、加工溝PDの幅を細くすることができる。その結果、マルチワイヤ放電加工装置1は、加工溝PDの幅をワイヤRの直径と同等にすることが可能となり、加工時間はかかってもインゴットIに形成する加工溝PDの幅を抑制するスライス加工が実現できるという効果を奏する。
また、マルチワイヤ放電加工装置1は、電位差が閾値SV以上且つ所定回数の高周波パルス電圧PVを印加した際、印加した高周波パルス電圧PVの数に対し閾値SV以上の電位差EPが検出されるパルスの数の割合が所定数以下の場合、高周波パルス電圧PVの印加開始から電流値の上昇開始までの時間の閾値である所定時間を減じる。通常放電状態は、所定回数の高周波パルス電圧の印加に対し、閾値SV以上の電位差が発生する割合が短絡放電状態に対し低く例えば70から90%程度である。逆に、短絡放電状態は、閾値SV以上の電位差が発生する割合が100%に近くなる。このため、マルチワイヤ放電加工装置1は、所定回数の高周波パルス電圧の印加に対し、閾値SV以上の電位差が発生する割合が所定数以下の場合、通常放電状態と判定し、電流値の上昇までの時間の閾値である所定時間を減じ(短くし)、加工送り手段43の送り速度を早めて、短絡放電状態を発生しやすくする。この結果、自動的に短絡放電状態となる時間の閾値である所定時間を割り出せ、マルチワイヤ放電加工装置1は、インゴットIに形成する加工溝PDの幅を抑制することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
1 マルチワイヤ放電加工装置
30c,30d,30e,30f ガイドローラー
41 基台
43 加工送り手段
60 高周波パルス電源ユニット
61 電源
62 ワイヤ用給電子
63 基台用給電子
66 電圧測定手段
67 電流測定手段
100 制御手段
101 判定手段
R ワイヤ
I インゴット(被加工物)
PV 高周波パルス電圧
EP 電位差
SV 閾値
TD,TS 時間

Claims (2)

  1. 複数のガイドローラーに複数回巻回して走行するワイヤと、半導体である被加工物を固定する導電材で形成された基台と、該ワイヤと該基台を相対移動させて該基台に固定された被加工物にワイヤが切り込む加工送り手段と、該ワイヤと該基台に高周波パルス電圧を印加する高周波パルス電源ユニットと、各構成要素を制御する制御手段と、を備えるマルチワイヤ放電加工装置であって、
    該高周波パルス電源ユニットは、
    電源と、ワイヤに給電するワイヤ用給電子と、該基台に給電する基台用給電子と、該ワイヤ用給電子と被加工物との電位差を測定する電圧測定手段と、ワイヤと被加工物との間で流れる電流値を測定する電流測定手段と、を備え、
    該制御手段は、
    該電圧測定手段と該電流測定手段の測定値に対し、放電加工状態を判定する判定手段を備え、
    該判定手段は、
    該電位差が閾値未満の場合、ワイヤと被加工物とが短絡していると判定しパルス電圧の印加を休止又は該加工送り手段の駆動を停止し、
    該電位差が閾値以上且つ、パルス電圧の印加開始から該電流値の上昇開始までの時間が所定時間未満の場合、短絡しつつも放電が発生する短絡放電状態と判定して加工条件を維持し、
    該電位差が閾値以上且つ、パルス電圧の印加開始から該電流値の上昇開始までの時間が前記所定時間以上の場合、通常放電状態と判定し、該短絡放電状態にすべく該加工送り手段の送り速度を上げて該時間を該所定時間未満に調整することを特徴とするマルチワイヤ放電加工装置。
  2. 該電位差が閾値以上且つ所定回数のパルス電圧を印加した際、印加したパルス電圧の数に対し前記閾値以上の電位差が検出されるパルスの数の割合が所定数以下の場合、該パルス電圧の印加開始から該電流値の上昇開始までの時間の閾値である該所定時間を減じることを特徴とする請求項1に記載のマルチワイヤ放電加工装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN109108410A (zh) * 2018-10-26 2019-01-01 江门霞光智能装备有限公司 一种采用改进型高频电源的线切割机床

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