まず、図1〜図8を用いて、本発明を適用した演出出力玩具の構成について説明する。この説明では、便宜上、図1の上側を上、下側を下と表記し、他の図についてもこれに準じて上、下を表記する。
この演出出力玩具は、玩具本体10と、蓋部20と、操作用具30と、アイテム40と、演出出力部50と、電源部60とを備えている。
玩具本体10は、ABS樹脂等の合成樹脂から略円錐台状に形成されており、ABS樹脂等の合成樹脂から成る着脱可能な上面部11を開口部分に有している。上面部11には、揺動部12が揺動可能に装着された円状の開口11aと、アイテム40を着脱可能に装着するためのハートマーク状の孔から成るアイテム装着部11bと、第1押圧部13が押し込み可能に装着された円状の孔11cと、第2押圧部14が押し込み可能に装着された円状の孔11dが設けられている。
揺動部12は、ポリカーボネイト等の合成樹脂から略半球状に、かつ、光透過が可能な半透明または透明に形成されている。揺動部12はリング状の鍔部12aの内側に凹曲面部12bを有しており、鍔部12aの外周面に環状溝12a1を有している。
図3(A)に示したように、揺動部12は、鍔部12aの環状溝12a1に上面部11の開口11aの縁が入り込むようにして開口11aに装着されている。環状溝12a1の内径が開口11aの内径よりも小さく、かつ、環状溝12a1の外径が開口11aの内径よりも大きいため、これら径の差に基づく量だけ、開口11aに装着された揺動部12は揺動部12を上から見たときに径方向(放射方向)に任意に揺動させることができる。すなわち、揺動部12の鍔部12aに設けられた環状溝12a1は、上面部11の開口11aとの協働によって、揺動部12の揺動量を規制するための揺動量規制部(符号省略)を構成している。
また、図3(A)に示したように、上面部11の開口11aに装着された揺動部12は、上面部11の下側に配置された少なくとも2個のバネ等の弾性部材15によってその側部を支えられており、これらバネ等の弾性部材15によって図3(A)に示した静止状態が保持されている。加えて、上面部11の下側には、揺動部12の揺動を検出するための揺動検出部52を構成する2個の接触型センサ52aおよび52bが、180度の等角度間隔で、かつ、図3(A)に示した静止状態において揺動部12の接触を検出しないように配置されている(図4を参照)。接触型センサ52aおよび52bの機能等については後に詳述する。
図3(B)に示したように、上面部11のアイテム装着部11bの下側には、アイテム装着部11bへのアイテム40と図6および図7に示したアイテム40-1および40-2の装着を検出するとともに、装着されたアイテム(40、40-1および40-2)の種類を識別するための装着検出部54が配置されている(図4を参照)。この装着検出部54の機能等については後に詳述する。
図3(C)および図3(D)に示したように、第1押圧部13と第2押圧部14のそれぞれは、孔11cおよび11dからの抜け出しを防止するためのリング状の鍔(符号省略)を有している。第1押圧部13と第2押圧部14はABS樹脂等の合成樹脂から成る。また、上面部11の下側には、第1押圧部13と第2押圧部14への押圧を個別に検出するための押しボタンスイッチ55および56が配置されている(図3および図4を参照)。これら押しボタンスイッチ55および56の機能等については後に詳述する。
蓋部20は、ABS樹脂等の合成樹脂から略円錐台状に形成されている。この蓋部20は、連結部CPを介して玩具本体10に開閉可能に連結されており、閉じた状態で玩具本体10の上面部11を覆い隠すことができる。連結部CPは玩具本体10に設けた軸部CPa(図2を参照)と蓋部20に設けた2個の軸部CPbとから成り、軸部CPaの両端に設けられた凸部または凹部(図示省略)を各軸部CPbの一端に設けられた凹部または凸部(図示省略)に係合されている。勿論、軸部CPaおよび各軸部CPbとして筒状のものを用い、軸部CPaおよび各軸部CPbの内孔にシャフトを挿入した構成を採用しても蓋部20の開閉は可能である。
また、蓋部20の内面には、鏡部21が設けられているとともに、操作用具30を着脱可能に取り付けることが可能な1対の弾性片から成る操作用具取付部22が設けられている。操作用具取付部22を構成する1対の弾性片の対向面には凹部(符号省略)が設けられており、操作用具30の一端を一方の弾性片の凹部に嵌め、かつ、他端を他方の弾性片の凹部に嵌めることよって、操作用具30を取り付けることができる。操作用具取付部22に取り付けられている操作用具30を取り出すときには、各弾性片の弾性を利用して操作用具30を引き抜けばよい。
操作用具30は、ABS樹脂等の合成樹脂から棒状に形成されており、先端部31が丸みを帯びている。図1には一端のみに丸みを帯びた部分を設けた操作用具30を示したが、両端に丸みを帯びた部分を設けてもよい。
アイテム40は、ABS樹脂等の合成樹脂から成り、図1および図5(A)および図5(B)に示した形状を有している。すなわち、アイテム40は、円盤状の台板部41と、台板部41の上面に設けられた球状のアイテム本体42と、台板部41の下面に設けられたハートマーク状の外形を有する差し込み部43と、差し込み部43の下面に設けられた識別ピン44とを有している。差し込み部43は、玩具本体10の上面部11に設けられたアイテム装着部11bに差し込まれる部分であり、その外形はアイテム装着部11bの外形と略一致している。台板部41は、アイテム装着部11bへの差し込み部43の差し込み量を規制する部分である。識別ピン44は、装着検出部54の検出対象となる部分である。
図6および図7は図1に示したアイテム40とは異なるアイテム40-1および40-2をそれぞれ示す。アイテム40-1は、図6(A)〜図6(C)に示したように、アイテム本体42が直方体状であり、識別ピン44の数および位置がアイテム40と異なる。アイテム40-2は、図7(A)〜図7(C)に示したように、アイテム本体42が四角錐状であり、識別ピン44の数および位置がアイテム40と異なる。
演出出力部50は、図8に示したように、制御部51と、揺動検出部52と、発光部53と、装着検出部54と、第1押圧部13用の押しボタンスイッチ55と、第2押圧部14用の押しボタンスイッチ56と、電源スイッチ57と、発音部58と、記憶部59とを有している。制御部51は、マイクロコンピュータ、各種ドライバおよび各種インターフェース等を有しており、動作制御用のプログラムをROMに格納している。この演出出力部50は、玩具本体10内に配置されている(図4を参照)。
揺動検出部52は、先に説明したように2個の接触型センサ52aおよび52bを有しており、玩具本体10の上面部11の下側に配置されている(図3および図4を参照)。この接触型センサ52aおよび52bには、揺動部12の揺動に基づく押圧を検出可能なマイクロスイッチが好ましく使用できる。
発光部53は、3個の発光素子53a〜53cを有しており、玩具本体10の上面部11の下側(揺動部12の非露出面側)、好ましくは揺動部12の下側に配置されている(図4を参照)。各発光素子53a〜53cは、好ましくはフルカラーLED(RGB−LED)である。各発光素子53a〜53cにフルカラーLEDを用いた場合には、発光素子53a〜53cそれぞれにおいて7色以上の発光、例えば赤色、緑色、青色の他に、桃色、橙色、黄色、空色、紫色、白色等の多色発光が可能となる。勿論、発光素子としてフルカラーLEDを用いる場合には発光素子の総数を1個としてもよい。また、3個の発光素子53a〜53cを赤色LEDと緑色LEDと青色LEDの組み合わせに変えても、フルカラーLEDを用いた場合と同様の多色発光が可能である。
装着検出部54は、先に説明したように玩具本体10の上面部11のアイテム装着部11bの下側に配置されており(図3および図4を参照)、複数個、好ましくは6個または5個の検出部54aを有している。これら検出部54aには、アイテム40、40-1および40-2の識別ピン44による押圧を検出可能なマイクロスイッチが好ましく使用できる。すなわち、この装着検出部54は、アイテム40、40-1および40-2の識別ピン44による検出部54aの押圧に基づいてアイテム装着部11bへのアイテム40、40-1および40-2の装着を検出できる他、アイテム40、40-1および40-2の識別ピン44による検出部54aの押圧パターンに基づいてアイテム40-1および40-3の種類を識別することができる。
第1押圧部13用の押しボタンスイッチ55と第2押圧部14用の押しボタンスイッチ56は、先に説明したように玩具本体10の上面部11の下側に配置されている(図3および図4を参照)。
電源スイッチ57は、電源部60から制御部51への電源の供給および遮断を行うためのものである。ちなみに、電源スイッチ57は玩具本体10の下面に設けられている。また、電源部60は乾電池や充電池等から成り、玩具本体10の下面に取り出し可能に設けられている。
発音部58はスピーカ等から成り、音記憶部40は発音部58から出力される音声および効果音の他、アイテム対応の発色パターン等を記憶している。このアイテム対応の発色パターンは、例えば図9および図10の動作フロー中の第1発光(ステップST5)と第2発光(ステップST8)と第3発光(ステップST11)と第4発光(ステップST14)と第5発光(ステップST17)と最終発光(ステップST20)で発光される色および発光方法(点灯または点滅)がアイテム40、40-1および40-2の種類毎に異なるように、アイテム40、40-1および40-2それぞれに対して予め定めたものである。
次に、図9〜図11を用い、かつ、図1〜図8に記した符号を適宜引用して、前述の演出出力玩具の動作フローについて説明する。なお、遊戯者が玩具本体10に対して行う操作は、電源スイッチ57の操作とアイテム(40、40-1および40-2)の装着および取り外しを除き、原則として図1に示した操作用具30を用いて行われる。
遊戯者が電源スイッチ57をオンにすると、音声が出力される(図9のステップST1を参照)。ステップST1で出力される音声は「蓋部を開けて、好みのアイテムを装着してください」である。
玩具本体10の上面部11のアイテム装着部11bに、アイテム40、40-1および40-2のうちのアイテム40が装着されると、同アイテム40の装着が検出されるとともに装着されたアイテム40の種類が識別され、装着されたアイテム40に対応した音声が出力され、第1発光が行われる(図9のステップST2〜ST5を参照)。ステップST4で出力される音声は「装着されたアイテムは[アイテムの名称]です」であり、ステップST5の第1発光は例えば桃色の点灯である。
先に説明したように揺動部12は光透過性を有するため、第1発光が桃色の場合には揺動部12全体が桃色に発色する。また、後記の各発光においても揺動部12全体が各発光色と同色に発色する。
第1発光が行われると、続いて、第1押圧部13への押圧を促す音声が出力され、第1押圧部13の押圧に基づいて第2発光が行われる(図9のステップST6〜ST8を参照)。ステップST6で出力される音声は「第1押圧部を操作用具の先端で押してください」であり、ステップST8の第2発光は例えば赤色の点灯である。
第2発光が行われると、続いて、第2押圧部14への押圧を促す音声が出力され、第2押圧部14の押圧に基づいて第3発光が行われる(図9のステップST9〜ST11を参照)。ステップST9で出力される音声は「第2押圧部を操作用具の先端で押してください」であり、ステップST11の第3発光は例えば白色の点灯である。
第3発光が行われると、続いて、揺動部12の揺動を促す音声が出力され、揺動部12の揺動(揺動検出部52の検出結果)に基づいて第4発光が行われる(図10のステップST12〜ST14を参照)。ステップST12で出力される音声は「揺動部の凹曲面部内を操作用具の先端でかき混ぜてください」である。
図11は、揺動部12の凹曲面部12b内を操作用具30の先端部31でかき混ぜたときの様子を示す。図11(A)は、かき混ぜ途中で操作用具30の先端部31から凹曲面部12b内に加えられた力によって揺動部12が図中左側に動いた様子を示すものであり、図中左側の接触型センサ52aは揺動部12の接触を検出するものの、図中右側の接触型センサ52bは揺動部12の接触を検出していない。図11(B)は、かき混ぜ途中で操作用具30の先端部31から凹曲面部12b内に加えられた力によって揺動部12が図中右側に動いた様子を示すものであり、図中右側の接触型センサ52bは揺動部12の接触を検出するものの、図中左側の接触型センサ52aは揺動部12の接触を検出していない。
ステップST12で出力される音声は遊戯者にかき混ぜを求めるものであるため、このかき混ぜに対応した揺動が揺動部12に生じていない場合、すなわち、図11に示した2個の接触型センサ52aおよび52bが交互に接触を検出するような揺動が揺動部12に生じていない場合には、ステップST13において揺動とは判断されない。これに対し、図11に示した凹曲面部12b内で操作用具30の先端部31が略円軌道にて動かされた場合には、2個の接触型センサ52aおよび52bが交互に接触を検出するため、これに基づいてかき混ぜに対応した揺動が揺動部12に生じていると判断される。ステップST14の第4発光は例えば桃色(第1発光の色)と赤色(第2発光の色)と白色(第3発光の色)の点滅である。
前記のかき混ぜに関しては、かき混ぜによって揺動部12が揺動したときの揺動音を非電気的に発生させるようにしてもよい。一例としては、揺動部12の凹曲面部12bの表面に凹凸を設けて、操作用具30の先端部31を動かしたときにこの凹凸によって音を発生させる手法である。他の例としては、玩具本体10の上面部11の開口11aの内周面に凹凸を設けて、揺動部12が適正に揺動したときにこの凹凸によって音を発生させる手法である。このような揺動音発生部を揺動部12または玩具本体10に設ければ、遊戯者にかき混ぜの手応えを感じさせることができるし、音と同時に発生する振動によってかき混ぜの手応えをより一層感じさせることができる。
第4発光が行われると、続いて、揺動部12の揺動をさらに促す音声が出力され、揺動部12の揺動に基づいて第5発光が行われる(図10のステップST15〜ST17を参照)。ステップST15で出力される音声は「かき混ぜを続けてください」である。また、ステップST17の第5発光は例えば第4発光(桃色と赤色と白色の点滅)と同じで揺動部12の揺動の時間経過に伴って点滅速度が徐々に速くなるものである。ちなみに、ステップST16の揺動判断はステップST13の揺動判断と同じである。
第5発光が行われると、続いて、揺動部12の揺動をさらに促す音声が出力され、揺動部12の揺動に基づいて最終発光が行われる(図10のステップST18〜ST20を参照)。ステップST18で出力される音声は「かき混ぜを続けてください」である。また、ステップST20の最終発光は例えば虹色の点灯である。ちなみに、ステップST19の揺動判断はステップST13の揺動判断と同じである。
最終発光が行われると、続いて、一連の操作が完了したことを伝える音声が出力される(図10のステップST21を参照)。ステップST21で出力される音声は「おめでとうございます」である。
ステップST21で音声が出力されると、続いて、遊戯を続行するか否かを求める音声が出力される。(図10のステップST22を参照)。ステップST22で出力される音声は「遊戯を続行するときにはアイテムを交換してください。」である。
ステップST22で音声が出力された後は、続けて、アイテム40が玩具本体10の上面部11のアイテム装着部11bから取り外されたか否かが判断され(図10のステップST23を参照)、取り外された場合にはステップST2に移行する。一方、ステップST22で音声が出力された後に、予じめ定められた時間(例えば1分)が経過したときは遊戯は終了する。
ステップST2に移行して、アイテム40とは別のアイテム40-1または40-2が玩具本体10の上面部11のアイテム装着部11bに装着されると、第1発光(ステップST5)と第2発光(ステップST8)と第3発光(ステップST11)と第4発光(ステップST14)と第5発光(ステップST17)と最終発光(ステップST20)で発光される色および発光方法(点灯または点滅)が変化することは先に説明したとおりである。
なお、図9および図10の動作フローへの記載を省略したが、アイテムが装着されたタイミング(ステップST2を参照)と、各発光を行うタイミング(ステップST5、ST8、ST11、ST17およびST24を参照)と、かき混ぜに対応した揺動が検出されたタイミング(ステップST13、ST16およびST19を参照)とにおいて、装着と各発光と各揺動に応じた効果音、例えば擬音や音楽や台詞等が適宜出力されるようになっている。すなわち、各発光と各揺動に応じた効果音によって、遊戯としての面白さや楽しさを遊戯者により深く感じさせることができる。
次に、前述の演出出力玩具によって得られる効果について説明する。
(E1)遊戯者が揺動部12を揺動させる操作に応じて発光等の演出が行えるため、当該演出によって遊戯としての面白さや楽しさを遊戯者に感じさせることができる。また、揺動部12は調理器具でいうボウルに対応するものであり、遊戯者が揺動部12を揺動させる操作はかき混ぜに似せた操作であるため、このかき混ぜ操作によって遊戯者に調理を擬似的に体験させることもできる。さらに、揺動部12が光透過性を有し、かつ、前記演出が発光を含む場合には、揺動部12を発光色と同じ色に発色させることができるため、この発色による視覚効果を遊戯者に与えることができる。
(E2)装着されたアイテム(40、40-1および40-2)の種類に応じて前記演出を異ならせることができるので、アイテム(40、40-1および40-2)を交換する楽しさをも遊戯者に与えることができる。また、アイテム(40、40-1および40-2)のアイテム本体42を例えばスイーツに似せたものとすれば、あたかもスイーツを調理している感覚を遊戯者に与えることができる。
(E3)専用の操作用具30によって揺動部12を揺動させる操作を行わせることにより、前記のかき混ぜ操作をより一層調理に似せたものとすることができる。また、この操作用具30を蓋部20に着脱可能に取り付けることができるので、操作用具30が紛失することを極力防止することができる。
次に、前述の演出出力玩具の変形例について説明する。
(M1)玩具本体10に設けた第1押圧部13と第2押圧部14の押圧は遊戯者による選択的な操作とすることも可能である。この場合には、図9および図10の動作フローからステップST6〜ST8とステップST9〜ST11を除外して、ステップST6〜ST8に相当する処理を第1押圧部13の押圧に基づく割り込み処理として実行し、ステップST9〜ST11に相当する処理を第2押圧部14の押圧に基づく割り込み処理として実行してもよい。
(M2)アイテムとして3種類のアイテム40、40-1および40-2を示したが、4種類以上のアイテムを用意しておいてこれらの中から好みのアイテムを遊戯者に選択させるようにしてもよい。この場合、全てのアイテムの識別ピン44の数および位置を異ならせれば、アイテムの種類を識別させてアイテム毎に異なる演出を出力させることができる。
(M3)揺動検出部52として2個の接触型センサ52aおよび52bを有するものを示したが、接触型センサを3個としてこれらを120度の等角度間隔で配置しても揺動部12の揺動を検出することができる。また、接触型センサを1個としても揺動部12の揺動を検出することは可能である。