以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
以下、図1〜図11を用いて、本発明に係るハンドルロック装置の第1実施形態について説明する。なお、図面において適宜示される矢印UPは自転車上方側を示している。
図1には、第1実施形態に係るハンドルロック装置を有する自転車用連動錠が取り付けた自転車が側面図にて示されている。図1に示されるように、本実施形態のハンドルロック装置10は、自転車用連動錠4の一部を構成している。すなわち、自転車用連動錠4は、自転車2の後車輪6をロックする車輪ロック装置8と、この車輪ロック装置8と連動して自転車2のハンドル12をロックするハンドルロック装置10と、を備えている。また、ハンドルロック装置10は、操作手段としての連動ワイヤー14によって車輪ロック装置8と結ばれており、連動ワイヤー14は、自転車2のフレーム16に取付片17によって部分的に結束されている。連動ワイヤー14については、後に説明する。
図2及び図3には、ハンドルロック装置10が斜視図にて示されている。図2及び図3に示されるように、ハンドルロック装置10は、自転車2のヘッドパイプ(フレーム)18に固定される本体ケース20を備えている。本体ケース20は、ヘッドパイプ18に取り付けられる筒状部20Aと、筒状部20Aの側方に延設された箱状の延設部20Bと、を備えている。延設部20Bの上面には、透明な樹脂材が嵌め込まれた窓部20Cが形成されている。窓部20Cからは、ハンドル12がロック状態なのかロック解除状態なのかを表示する表示部(表示マーク)22(図4参照)が見えるようになっている。
図4には、ハンドルロック装置10の内部構成が斜め上方側から見た状態で斜視図にて示されている。図5には、ハンドルロック装置10が本体ケース20等の一部を裁断すると共に上下を逆転した状態で斜視図にて示されている。図4に示されるように、ハンドルロック装置10は、本体ケース20の延設部20Bに揺動可能に支持された揺動部材24と、揺動部材24の揺動によりスライド可能となると共にハンドル12(図1参照)をロックするロックピン26と、を備えている。
揺動部材24は、延設部20Bに回動可能に支持された回動軸24Aと、回動軸24Aの軸方向中間部でヘッドパイプ18の軸方向に沿って略下方側に突出する爪部24Bと、回動軸24Aの軸方向の爪部24Bとは異なる位置で回動軸24Aの側方に突出するワイヤー受け部24Cと、を備えている。爪部24Bは、ロックピン26の上面に形成された溝部26Aに挿入されている(図5参照)。そして、回動軸24Aの回動により爪部24Bが揺動することで、ロックピン26がロック方向(矢印A方向)及びロック解除方向(矢印Aと反対方向)にスライド可能となる。
連動ワイヤー14は、アウターワイヤー14Aの内部に挿通されると共に軸方向に移動可能なインナーワイヤー14Bを備えている。アウターワイヤー14Aの軸方向の一端部は、本体ケース20の下部に調整ネジ34を介して接続されている。ワイヤー受け部24Cは、インナーワイヤー14Bの軸方向の一端部(図1中の車輪ロック装置8と反対側の端部)と対向する位置に配置されており、インナーワイヤー14Bの軸方向の一端部が当接することによって揺動する。より具体的には、車輪ロック装置8(図1参照)をロック状態となるように操作すると、インナーワイヤー14Bの軸方向の一端部が図4中の上方側(矢印B方向)に移動してワイヤー受け部24Cを押し、ワイヤー受け部24Cを揺動させる。これにより、回動軸24Aが回動し、爪部24Bが筒状部20Aの方向に揺動することで、ロックピン26がロック方向(矢印A方向)にスライド可能となる。すなわち、インナーワイヤー14Bは、ハンドル12をロックさせる方向に揺動部材24(ワイヤー受け部24C及び爪部24B)を揺動させる。
ハンドルロック装置10は、ロックピン26をハンドル12のロック方向に付勢する付勢手段としてのプッシュバネ(コイルスプリング)28と、揺動部材24(ワイヤー受け部24C及び爪部24B)をハンドル12のロックを解除する方向に復帰させる復帰バネ30と、を備えている。復帰バネ30は、回動軸24Aに巻き掛けられている。ロックピン26は、スライド方向を長手方向とした略矩形状の部材であり、上面に長手方向と直交する方向に貫通する溝部26Aが形成されている。また、ロックピン26における筒状部20Aと反対側の壁面には、プッシュバネ28の一端部が挿入される凹部26Bが形成されている(図5及び図7参照)。プッシュバネ28の他端部は、本体ケース20の延設部20Bの内壁に支持されている。なお、ロックピン26は、凹部26Bの代わりに凸部を設ける構成としてもよい。
図4、図7及び図8に示されるように、揺動部材24には、回動軸24Aの軸方向の一端部側(復帰バネ30と反対側)に規制部材としての規制部32が設けられている。規制部32は、回動軸24Aの軸方向における爪部24Bの側方に、ロックピン26のスライド方向に沿って設けられている(図7及び図8参照)。本実施形態では、規制部32は、回動軸24Aにヘッドパイプ18の軸方向(略上下方向)を長手方向として取り付けられており、側面視にて上部側の幅が下部側の幅よりも広い略扇状とされている(図4参照)。規制部32の下方側の端部32Aは、ヘッドパイプ18の軸方向に沿って爪部24Bよりも下方側に突出した形状とされている。これにより、ロックピン26が規制部32の側壁に当たることで、ロックピン26の側方への動きが規制されるようになっている。すなわち、規制部32は、揺動部材24の爪部24Bが、ロックピン26の溝部26Aに挿入された状態を維持することで、ロックピン26の姿勢を保つ「姿勢維持手段」として機能している。
また、規制部32は、回動軸24Aの軸方向における本体ケース20の窓部20Cが設けられた側に配置されている(図8参照)。図4に示されるように、規制部32の上面には、ハンドル12がロック状態なのかロック解除状態なのかを示す表示部22(図1参照)が設けられている。規制部32は、回動軸24Aの回動により揺動する。本実施形態では、表示部22は、規制部32の揺動方向に沿って、ロック状態を表示する赤色マーク22Aと、ロック解除状態を表示する青色マーク22Bとを備えている。
図4及び図5に示されるように、本体ケース20の筒状部20Aの内側には、ハンドル12のフォークに連結される被ロック部材としての操縦管40が挿入されている。操縦管40は、ハンドル12のフォークと共に回転する。操縦管40は、略円筒状に形成されており、操縦管40の外周面40Aには、複数のロック溝40Bが形成されている。ロック溝40Bは、操縦管40の軸方向に沿って配置された略矩形状の溝とされている。ハンドルロック装置10では、爪部24Bが筒状部20Aの方向に揺動すると、プッシュバネ28の作用により、ロックピン26がロック方向(矢印A方向)に付勢され、ロックピン26の先端部26Cが、操縦管40の何れか1つのロック溝40Bに嵌まり込むことで、ハンドル12がロックされるようになっている(図10参照)。
操縦管40は、軸方向の上下でそれぞれベアリングを保持するリテーナ42を介して支持部材としてのフタ44及び上ワン46に回転可能に支持されている(図5参照)。フタ44及び上ワン46はヘッドパイプ(フレーム)18に固定ナット48により固定されている。
図6には、本体ケース20の窓部20C側(上部側)が内側から見た状態で平面図にて示されている。図6に示されるように、本体ケース20の内部には、ロックピン26の先端部26C側に、ロックピン26をスライド方向に沿って案内すると共にロックピン26の上面及び左右の側面を囲む案内溝20Dが設けられている(図7等参照)。本実施形態では、本体ケース20は、金属製とされている。本体ケース20の延設部20Bの案内溝20Dを挟んで筒状部20Aと反対側には、凹状に窪んだ窪み部20Eが形成されており、窪み部20Eに窓部20Cが設けられている。すなわち、本体ケース20の窪み部20Eにおける窓部20Cの周囲は、薄い板材で構成されている。
図9には、自転車2の後車輪6(図1参照)をロックする車輪ロック装置8の内部構成が斜視図にて示されている。図9に示されるように、車輪ロック装置(サークル錠)8は、装置本体60に、後車輪6(図1参照)のロック時に後車輪6のスポークの間に挿通されるリング状のかんぬき62と、かんぬき62を後車輪6のロックを解除する方向に移動させる復帰バネ64と、かんぬき62と一体に設けられて後車輪6をロックする方向にかんぬき62を移動させる操作レバー66と、を備えている。連動ワイヤー14のアウターワイヤー14Aの内部に挿通されるインナーワイヤー14Bは、ロック時のかんぬき62の移動と連動して矢印C方向に押し出されるようになっている。
さらに、車輪ロック装置8は、インナーワイヤー14Bの軸方向の他端部(ハンドルロック装置10と反対側の端部)が固定されるワイヤー固定駒68と、ワイヤー固定駒68をハンドルロック装置10のロックを解除する方向に移動させる解除用バネ70と、ワイヤー固定駒68を移動方向にガイドする固定駒ガイド部72と、かんぬき62の拘束を外して後車輪6のロックを解除するための回転式の鍵74と、を備えている。ワイヤー固定駒68は、かんぬき62が後車輪6をロックする方向に移動する過程で、操作レバー66の突起66Aに押される当接部68Aを備えており、当接部68Aが押されてワイヤー固定駒68が移動することで、インナーワイヤー14Bが矢印C方向に押し出される構成とされている。
このような車輪ロック装置8では、後車輪6をロックする際には、操作レバー66を矢印D方向に操作する。操作レバー66の操作により、かんぬき62が後車輪6のスポークの間に挿通されることで、後車輪6がロックされる。また、かんぬき62が後車輪6のスポークの間に挿通される過程で操作レバー66の突起66Aがワイヤー固定駒68の当接部68Aを押す。これにより、ワイヤー固定駒68が移動し、インナーワイヤー14Bが矢印C方向に押し出される。
インナーワイヤー14Bが矢印C方向に押し出されることで、図4に示すインナーワイヤー14Bの軸方向の一端部(ハンドルロック装置10側の端部)が、図4中の上方側(矢印B方向)に移動する。これにより、インナーワイヤー14Bの軸方向の一端部が、揺動部材24のワイヤー受け部24Cを押し、回動軸24Aの回動により爪部24Bを揺動させることで、ハンドル12がロックされるようになっている。すなわち、車輪ロック装置8の後車輪6をロックする操作に連動して、ハンドルロック装置10が作動し、ハンドル12がロックされるようになっている。ハンドルロック装置10がハンドル12をロックする動作については、後述する。
また、後車輪6のロックを解除する際には、車輪ロック装置8の鍵74を所定の方向に回転させることで、かんぬき62の拘束が外れる。これにより、復帰バネ64が収縮し、かんぬき62が装置本体60の内部に引き戻されることにより、かんぬき62が後車輪6スポークの間から抜け出し、後車輪6のロックが解除される。同時に操作レバー66も、装置本体60の周方向に沿って矢印Dと反対方向に移動し、元の位置に復帰するようになっている。
また、かんぬき62の戻りと同時に、操作レバー66の突起66Aが移動し、突起66Aがワイヤー固定駒68の当接部68Aから離れるため、解除用バネ70の伸長によってワイヤー固定駒68が図9中のアウターワイヤー14Aと反対側の方向に移動する。このワイヤー固定駒68の移動によってインナーワイヤー14Bが引っ張られ、インナーワイヤー14Bが矢印Cと反対方向に移動する。これによって、図4中のワイヤー受け部24Cを上方に押し上げていたインナーワイヤー14Bがアウターワイヤー14A内に引き込まれる。同時に、図4に示す復帰バネ30の作用でワイヤー受け部24Cが反時計回りに回転し、ハンドル12のロックが解除させるようになっている。ハンドルロック装置10がハンドル12のロックを解除する動作については、後述する。
なお、車輪ロック装置8は、図9に示す構成に限定されるものではなく、自転車2の車輪をロックする動作に連動してインナーワイヤー14Bを押し出す構成であれば、他の構成に変更可能である。例えば、かんぬきを直線的に出し入れする箱型錠やバーロック等を用いてもよい。また、車輪ロック装置8は、自転車2の後車輪6をロックするものであるが、本発明はこれに限定されず、自転車2の前車輪をロックするものでもよい。
次に、本発明のハンドルロック装置10を備えた自転車用連動錠4の作用並びに効果について説明する。
図1等に示されるように、自転車用連動錠4では、ハンドル12及び後車輪6のロック解除時には、車輪ロック装置8のかんぬき62が装置本体60内に収容され、かんぬき62が後車輪6のスポークから抜けた状態とされている。これにより、自転車2の後車輪6が回転可能とされている。また、ハンドルロック装置10では、図4に示されるように、インナーワイヤー14Bの軸方向の一端部が、揺動部材24のワイヤー受け部24Cから離れている。この状態では、図5、図7及び図8に示されるように、揺動部材24の爪部24Bが、復帰バネ30の作用により、ロック溝40Bと反対側の方向に揺動している。この状態では、揺動部材24の爪部24Bが、ロックピン26の溝部26Aにおけるロック溝40Bと反対側の壁面を押しており、ロックピン26が、プッシュバネ28の付勢力に抗してロック解除方向(矢印Aと反対方向)に移動している。これにより、ロックピン26の先端部26Cが操縦管40のロック溝40Bから外れており、ハンドル12のロックが解除されている。
この自転車用連動錠4では、自転車2のハンドル12及び後車輪6をロックする際には、車輪ロック装置8の操作レバー66を操作する。図9に示されるように、操作レバー66を矢印D方向に操作すると、操作レバー66の移動と共にかんぬき62が後車輪6のスポークの間に挿通され、後車輪6がロックされる。また、かんぬき62が後車輪6のスポークの間に挿通される過程で、操作レバー66の突起66Aがワイヤー固定駒68の当接部68Aを押し、ワイヤー固定駒68の移動によりインナーワイヤー14Bが矢印C方向に押し出される。
インナーワイヤー14Bが矢印C方向に押し出されることで、図4に示すインナーワイヤー14Bの軸方向の一端部(ハンドルロック装置10側の端部)が、図4中の上方側(矢印B方向)に移動する。これにより、インナーワイヤー14Bの軸方向の一端部が、揺動部材24のワイヤー受け部24Cを押すことで、回動軸24Aが回動し、爪部24Bがロック溝40B側に揺動する。これにより、図10及び図11に示されるように、爪部24Bがロックピン26の溝部26A内で移動し、プッシュバネ28の作用により、ロックピン26がロック溝40Bの方向(図4及び図5中の矢印A方向)にスライドする。これによって、ロックピン26の先端部26Cが、操縦管40のロック溝40Bの何れか1つに嵌まり込み、操縦管40に接続されたハンドル12がロックされる。
一方、この自転車用連動錠4では、ハンドル12及び後車輪6のロックを解除する際には、車輪ロック装置8の鍵74を所定の方向に回転させる(図9参照)。これにより、かんぬき62の拘束が外れて復帰バネ64が収縮し、かんぬき62が装置本体60の内部に引き戻され、かんぬき62が後車輪6スポークの間から抜け出すことで、後車輪6のロックが解除される。
また、かんぬき62の戻りと同時に、操作レバー66の突起66Aが移動し、突起66Aがワイヤー固定駒68の当接部68Aから離れるため、解除用バネ70の伸長によってワイヤー固定駒68が図9中のアウターワイヤー14Aと反対側の方向に移動する。このワイヤー固定駒68の移動によってインナーワイヤー14Bが引っ張られ、矢印Cと反対方向に移動する。これによって、図4中のワイヤー受け部24Cを上方に押し上げていたインナーワイヤー14Bがアウターワイヤー14A内に引き込まれる。同時に、復帰バネ30の作用で揺動部材24の回動軸24Aが回動することで、ワイヤー受け部24Cが図4中の反時計回りに回転する。
図5、図7及び図8に示されるように、復帰バネ30の作用で揺動部材24の回動軸24Aが回動することで、爪部24Bがロック溝40Bと反対側に揺動し、爪部24Bがロックピン26の溝部26Aにおけるロック溝40Bと反対側の壁面を押す。これにより、ロックピン26がロック解除方向(矢印Aと反対方向)にスライドし、ロックピン26の先端部26Cが操縦管40のロック溝40Bから外れる。これにより、操縦管40に接続されたハンドル12のロックが解除される。
このハンドルロック装置10では、回動軸24Aの軸方向における爪部24Bの側方に、ロックピン26のスライド方向に沿って規制部32が設けられている。図4、図7及び図8等に示されるように、規制部32の端部32A(略上下方向下方側の端部)は、ヘッドパイプ18の軸方向に沿って爪部24Bよりも突出した形状とされている。これにより、ロックピン26が規制部32の側壁に当たることで、ロックピン26の側方への動きが規制される。この規制部32によって、揺動部材24の爪部24Bがロックピン26の溝部26Aに挿入された状態が維持され、ロックピン26の姿勢が保たれている。なお、本実施形態では、規制部32の端部32Aは爪部24Bよりも突出した形状であるが、これに限定されず、規制部32の端部32Aは爪部24Bよりも突出していなくてもよい。
このようなハンドルロック装置10では、ハンドルロック装置10に負荷がかかり(例えば自転車2の駐輪場などでハンドル12を無理に回転させようとした場合など)、本体ケース20が破損した場合でも、ロックピン26が規制部32に当たることで、ロックピン26の側方への動きが規制される。これにより、揺動部材24の爪部24Bがロックピン26の溝部26Aに挿入された状態が維持される。このため、車輪ロック装置8のロック解除操作(ハンドルロック装置10のロックを解除する操作)と連動して、ハンドルロック装置10のロックピン26をロック解除方向にスライドさせることができ、ハンドル12をより確実にロック解除することができる。
また、本実施形態のハンドルロック装置10では、規制部32は、揺動部材24における爪部24Bの側方に設けられており、規制部32の端部32Aは、ヘッドパイプ18の軸方向に沿って爪部24Bより突出した形状とされている。これにより、ロックピン26が規制部32に当たることで、ロックピン26の溝部26Aが揺動部材24の爪部24Bから外れるのを抑制でき、揺動部材24の爪部24Bがロックピン26の溝部26Aに挿入された状態をより確実に維持することができる。
また、規制部32には、ハンドル12のロック状態とロック解除状態とを表示する表示部22が設けられており、揺動部材24の揺動により規制部32の表示部22が移動する。表示部22は、規制部32の揺動方向に沿って、ロック状態を表示する赤色マーク22Aとロック解除状態を表示する青色マーク22Bとを備えており、本体ケース20の窓部20Cから表示部22が識別される。このようなハンドルロック装置10では、規制部32に表示部22を設けることで、部品点数を削減することができる。
図18には、比較例のハンドルロック装置200の内部構成が示されている。図18に示されるように、ハンドルロック装置200では、本体ケース20の延設部20Bに揺動部材202が設けられている。揺動部材202は、回動軸202Aの周面から突出する爪部202Bを備えており、爪部202Bがロックピン26の溝部26Aに挿入されている。回動軸202Aの先端側(復帰バネ30と反対側)には、回動軸202Aの外径よりも外径が小さい小径部202Cが設けられている。小径部202Cの先端は、回動軸202Aの軸方向と交差する方向に配置された板状片204の凹部に挿入されており、小径部202Cは、板状片204の凹部に挿入された状態で回動する。板状片204は、本体ケース20の延設部20Bの内壁に当接されることで支持されている。揺動部材202の回動軸202Aには、規制部は設けられていない。
本体ケース20には、ロックピン26の先端部26C側に、ロックピン26をスライド方向に沿って案内する案内溝20Dが設けられている。図18及び図19(A)、(B)に示されるように、案内溝20Dは、ロックピン26の3面を囲む横面部208Aと、横面部208Aの両側の縦面部208B、208Cと、を備えている。本体ケース20の延設部20B内の案内溝20Dの奥側(筒状部20Aと反対側)には、凹状に窪んだ窪み部20Eが設けられており、窪み部20Eにおける案内溝20Dの縦面部208B、208Cの延長線から外れた位置に窓部20Cが設けられている(図19(A)参照)。この本体ケース20は、金属製であり、延設部20Bにおける窓部20Cの周囲は薄い板材で構成されている。
このようなハンドルロック装置200では、例えば、自転車の駐輪場などでハンドルを無理に回転させようとすると、負荷により本体ケース20が破損する場合がある。本体ケース20は、窪み部20Eの窓部20Cの周囲は薄い板材で構成されているため、案内溝20Dの窓部20C側の縦面部208Bと横面部208Aとの境界線に沿って窪み部20Eの窓部20Cを分割するように亀裂210が発生しやすい。
このように本体ケース20に亀裂210が発生すると、本体ケース20の窪み部20Eの窓部20C付近が、揺動部材202の回動軸202Aの軸方向に拡がる。これにより、ロックピン26が本体ケース20の窪み部20Eの窓部20C(図19(A)参照)側にずれ、場合によっては、ロックピン26の溝部26Aが揺動部材202の爪部202Bから外れる可能性がある。このような場合に、プッシュバネ(図示省略)に押されてロックピン26がロック溝(図示省略)に嵌まり、ハンドルをロックした状態となる。その際、車輪ロック装置(図9参照)のロック解除操作により、ハンドルロック装置200のロックを解除しようとしても、ロックピン26の溝部26Aが揺動部材202の爪部202Bから外れているため、ロックピン26が動かず、ハンドルがロック解除されない可能性がある。
これに対して、本実施形態のハンドルロック装置10では、揺動部材24の回動軸24Aの軸方向における爪部24Bの側方に、ロックピン26のスライド方向に沿って規制部32が設けられている。このため、負荷により本体ケース20に亀裂が発生しても(図19参照)、ロックピン26が規制部32の側壁に当たることで、ロックピン26の側方への動きが規制され、揺動部材24の爪部24Bがロックピン26の溝部26Aに挿入された状態が維持される。このため、ハンドルロック装置10のロックを解除する操作と連動してハンドル12をより確実にロック解除することができる。
また、本実施形態のハンドルロック装置10では、規制部32は、回動軸24Aの軸方向における本体ケース20の窓部20Cが設けられた側に配置されている。これにより、本体ケース20の窓部20C付近が破損した場合でも、規制部32によりロックピン26が本体ケース20の窓部20C側にずれることが抑制される。このため、揺動部材24の爪部24Bがロックピン26の溝部26Aに挿入された状態をより確実に維持することができる。
〔第2実施形態〕
次に、図12を用いて、本発明に係るハンドルロック装置の第2実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
図12に示されるように、ハンドルロック装置80は、本体ケース20の延設部20Bに揺動可能に支持された揺動部材82を備えている。揺動部材82は、延設部20Bに回動可能に支持された回動軸24Aと、回動軸24Aの軸方向中間部から延設部20Bの窓部20C(図8参照)と反対側に突出する爪部24Bと、回動軸24Aの軸方向における復帰バネ30と反対側で回動軸24Aの周方向に沿って配置された突起部82Aと、を備えている。突起部82Aは、本体ケース20の窓部20C(図3参照)と対向する位置に設けられており、突起部82Aの周面にハンドル12のロック状態とロック解除状態とを表示する表示部(図示省略)を備えている。回動軸24Aの回動により突起部82Aが揺動することで、本体ケース20の窓部20Cに表示部が表示され、ハンドル12がロック状態であるのかロック解除状態であるのかが表示されるようになっている。
本体ケース20の窪み部20Eの側壁20Fには、ロックピン26のスライド方向に沿って配置されてロックピン26の側方への動きを規制する規制部材84が設けられている。規制部材84は、本体ケース20の側壁20Fに取り付けられた弾性体84Aと、弾性体84Aの側壁20Fと反対側の面に装着された板状体84Bと、を備えている。弾性体84Aは、例えば、発泡樹脂材などで形成されている。板状体84Bは、弾性体84Aよりも硬い部材で構成されており、ロックピン26の側面に沿って配置されている。
このようなハンドルロック装置80では、ロックピン26が規制部材84の板状体84Bに当たることで、ロックピン26の側方への動きが規制される。ロックピン26が板状体84Bに当たったときに、弾性体84Aが圧縮変形することで、ロックピン26がスライド方向に移動するのを妨げない構成となっている。規制部材84により、ロックピン26の側方への動きが規制されることで、揺動部材82の爪部24Bが、ロックピン26の溝部26Aに挿入された状態が維持される。すなわち、規制部材84は、ロックピン26の姿勢を保つ「姿勢維持手段」として機能している。
これによって、ハンドルロック装置80に負荷がかかり(例えば自転車の駐輪場などでハンドル12を無理に回転した場合など)、本体ケース20が破損した場合でも、ロックピン26が規制部材84の板状体84Bに当たることで、ロックピン26の側方への動きが規制される。これにより、揺動部材82の爪部24Bがロックピン26の溝部26Aに挿入された状態が維持される。このため、ハンドルロック装置80のロックを解除する操作と連動して、ロックピン26をロック解除方向にスライドさせることができ、ハンドル12をより確実にロック解除することができる。
なお、本実施形態では、規制部材84は、弾性体84Aと板状体84Bとを備えているが、この構成に代えて、規制部材を弾性体だけ又は板状体だけの構成としてもよい。
〔第3実施形態〕
次に、図13を用いて、本発明に係るハンドルロック装置の第3実施形態について説明する。なお、前述した第1及び第2実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
図13に示されるように、ハンドルロック装置90は、操縦管40(図5参照)を回転可能に支持する支持部材としての上ワン92を備えている。上ワン92は、本体ケース20の延設部20Bに沿って延びると共に、延設部20Bの窪み部20Eを覆う板状部92Aを備えている。板状部92Aには、ロックピン26のスライド方向に沿って配置されてロックピン26の側方への動きを規制する規制部材94が取り付けられている。規制部材94は、ロックピン26のスライド方向に沿って配置された板状片とされている。なお、揺動部材82は、第2実施形態のハンドルロック装置80に設けられたものと同じである。
このハンドルロック装置90では、ロックピン26が規制部材94に当たることで、ロックピン26の側方への動きが規制され、揺動部材82の爪部24Bが、ロックピン26の溝部26Aに挿入された状態が維持されるようになっている。すなわち、規制部材94は、ロックピン26の姿勢を保つ「姿勢維持手段」として機能している。
このようなこのハンドルロック装置90では、ハンドルロック装置90に負荷がかかり(例えば自転車の駐輪場などでハンドル12を無理に回転した場合など)、本体ケース20が破損した場合でも、ロックピン26が規制部材94に当たることで、ロックピン26の側方への動きが規制される。これにより、揺動部材82の爪部24Bがロックピン26の溝部26Aに挿入された状態が維持される。このため、ハンドルロック装置90のロックを解除する操作と連動して、ロックピン26をロック解除方向にスライドさせることができ、ハンドル12をより確実にロック解除することができる。
また、ハンドルロック装置90では、規制部材94が操縦管40(図5参照)を回転可能に支持する上ワン92の板状部92Aに設けられているため、本体ケース20が破損した場合でも、上ワン92及び規制部材94の位置は変わらない。すなわち、ロックピン26が上ワン92に設けられた規制部材94に当たることで、ロックピン26の溝部26Aが揺動部材82の爪部24Bから外れにくくなり、揺動部材82の爪部24Bがロックピン26の溝部26Aに挿入された状態をより確実に維持することができる。
〔第4実施形態〕
次に、図14〜図17を用いて、本発明に係るハンドルロック装置の第4実施形態について説明する。なお、前述した第1〜第3実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
図14〜図17に示されるように、ハンドルロック装置100は、本体ケース20の延設部20Bに揺動可能に支持された揺動部材102を備えている。揺動部材102は、延設部20Bに回動可能に支持された回動軸24Aと、回動軸24Aの軸方向中間部から延設部20Bの窓部20C(図15等参照)と反対側に突出する突出部104と、回動軸24Aの軸方向における復帰バネ30と反対側で回動軸24Aの周方向に沿って配置された突起部82Aと、を備えている。突起部82Aには、窓部20Cと対向する位置に表示部(図示省略)が設けられている。
突出部104は、ロックピン26の溝部26Aに挿入される爪部104Aと、爪部104Aから溝部26Aと直交する方向に延びた姿勢維持手段としての延長部104Bと、を備えている。延長部104Bは、回動軸24Aの軸方向と直交する方向の断面が、爪部104Aの断面とほぼ同じに形成されており、爪部104Aと連続して回動軸24Aの軸方向に沿って延びている。また、延長部104Bは、本体ケース20の延設部20Bの窓部20Cが設けられた側に延びている。
このようなハンドルロック装置100では、揺動部材102の爪部104Aからロックピン26の溝部26Aと直交する方向に延びた延長部104Bが設けられている。これにより、本体ケース20が負荷により破損した場合に、ロックピン26がスライド方向と交差する方向に動いても(本体ケース20の延設部20Bの窓部20C側に動いても)、爪部104Aの延長部104Bがロックピン26の溝部26Aに挿入された状態が維持される(図16及び図17参照)。このため、ハンドルロック装置100のロックを解除する操作と連動して、ロックピン26をロック解除方向にスライドさせることができ、ハンドル12をより確実にロック解除することができる(図14及び図15参照)。
また、ハンドルロック装置100では、爪部104Aの延長部104Bは、本体ケース20の延設部20Bの窓部20Cが設けられた側に延びている。本体ケース20の窓部20Cが設けられた部位である窪み部20E付近は、本体ケース20に作用する負荷により破損しやすいが、窓部20Cが設けられた側に爪部104Aの延長部104Bが延びていることで、爪部104Aの延長部104Bがロックピン26の溝部26Aに挿入された状態を維持することができる。
なお、第4実施形態では、延長部104Bは、爪部104Aと連続して回動軸24Aの軸方向に沿って延びているが、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、姿勢維持手段としての延長部は、爪部104Aから不連続に延びていてもよい。より具体的には、爪部104Aと延長部104Bとの間に、ロックピン26の幅以下の幅を有するスリット、溝などが形成されていてもよい。このような構成でも、本体ケース20が負荷により破損した場合に、ロックピン26がスライド方向と交差する方向に動いても、爪部104Aから不連続に延びた延長部がロックピン26の溝部26Aに挿入された状態が維持される。このため、ハンドル12のロックを解除する操作と連動してロックピン26をロック解除方向にスライドさせることができる。
なお、第1〜第4実施形態では、ハンドルロック装置は、車輪ロック装置8の後車輪6をロックする操作に連動してハンドル12をロックする自転車用連動錠4に適用されていたが、本発明は、この構成に限定されるものではない。例えば、ハンドルロック装置は、車輪ロック装置8と連動せずに、独立してハンドル12をロックする構成でもよい。この場合、ハンドルロック装置の揺動部材に回動軸24Aを回動させる操作レバーなどの操作手段を設けることで、回動軸24Aの爪部をロック方向及びロック解除方向に揺動させることができる。