JP6233597B2 - エンジンの制御装置 - Google Patents
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Description
このように構成された本発明においては、アクセル踏込速度が所定値以上である場合には(具体的にはアクセルペダルが踏み込まれている最中)、アクセル踏込速度に応じてエンジントルクを変化させ、アクセル踏込速度が所定値未満である場合には(具体的にはアクセルペダルの踏み込みが終了した後)、アクセル踏込速度が所定値以上である場合に適用したエンジントルクの変化率よりも小さな所定の変化率によって、エンジントルクを変化させる。これにより、例えば、アクセルペダルの踏み込み終了後に、アクセルペダルが踏み込まれていた際と同等の変化率でエンジントルクを上昇させる比較例による構成よりも、エンジントルクが目標トルクに到達するまでの時間が長くなり、エンジントルクが上昇している時間が長くなるので、加速の伸び感をドライバに与えることができる。したがって、本発明によれば、ドライバに与える加速感と伸び感を向上することができる。
また、本発明においては、目標トルクが所定値より大きい場合には、目標トルクが大きいほど、エンジントルクの変化率を大きくするので、目標トルクの大きさに依らずに、エンジントルクが目標トルクに到達するまでの時間をほぼ一定にすることができる。したがって、目標トルクが大きい場合にもエンジントルクを速やかに目標トルクに到達させることができ、ドライバに与える加速感を確保することができる。
また、本発明においては、目標トルクが所定値未満の領域では、目標トルクが小さいほど、エンジントルクの変化率を大きくするので、この領域でのアクセル操作に対する応答性(初期応答性)及び車速追従性を確保することができる。
別の観点では、本発明は、アクセル操作状態に基づいて設定した目標トルクに到達させるようにエンジントルクを制御するエンジンの制御装置であって、アクセル開度がアクセルペダルの踏み込み方向に変化しているときに、アクセル踏込速度に応じてエンジントルクを変化させる第1のトルク制御手段と、アクセル開度がほぼ一定であるときに、第1のトルク制御手段によるエンジントルクの変化率よりも小さな所定の変化率によって、エンジントルクを変化させる第2のトルク制御手段と、を有することを特徴とする。
このように構成された本発明においては、アクセル踏込速度が所定値未満である場合に、つまりアクセル開度がほぼ一定である場合に、目標トルクに向けて略一定の変化率でエンジントルクを変化させるので、リニアな加速感をドライバに与えることができる。
このように構成された本発明においては、エンジン回転数が大きいほど、エンジントルクの変化率を大きくするので、エンジン回転数が大きくなると車速が大きくなることで増大する走行抵抗に依らずに、良好な加速感を確保することができる。加えて、エンジン回転数が大きい場合には、車両の加速に対するドライバの期待度が高くなるが、本発明によれば、そのようなドライバの期待度を適切に満たすことが可能となる。
このように構成された本発明においては、エンジントルクが負値から正値に転じるときに、エンジントルクを所定値に所定時間保持するので、この際にエンジンの傾き方向が変わることで発生し得る振動(ショック)を適切に抑制することができる。
まず、図1を参照して、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置が適用されたエンジンシステムについて説明する。図1は、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置が適用されたエンジンシステムの概略構成図である。
また、吸気系INにおいては、エアクリーナ3の直下流側の吸気通路1上には、吸入空気量を検出するエアフローセンサ101と吸気温度を検出する吸気温度センサ102とが設けられ、ターボ過給機5のコンプレッサ5aには、このコンプレッサ5aの回転数を検出するターボ回転数センサ103が設けられ、吸気シャッター弁7には、この吸気シャッター弁7の開度を検出する吸気シャッター弁位置センサ105が設けられ、インタークーラ8の直下流側の吸気通路1上には、吸気温度を検出する吸気温度センサ106と吸気圧を検出する吸気圧センサ107とが設けられ、サージタンク12には、吸気マニホールド温度センサ108が設けられている。これらの、吸気系INに設けられた各種センサ101〜108は、それぞれ、検出したパラメータに対応する検出信号S101〜S108をECU60に出力する。
また、エンジンEには、エンジンEなどを冷却する冷却水の温度を検出する冷却水温度センサ109と、クランクシャフト25のクランク角度を検出するクランク角センサ110と、油圧及び/又は油温を検出する油圧/油温センサ111と、オイルレベルを検出する光学式オイルレベルセンサ112と、が設けられている。これらの、エンジンEに設けられた各種センサ109〜112は、それぞれ、検出したパラメータに対応する検出信号S109〜S112をECU60に出力する。
また、燃料供給系FSにおいては、高圧燃料ポンプ33には、燃料温度を検出する燃料温度センサ114が設けられ、コモンレール35には、燃圧を検出する燃圧センサ115が設けられている。これらの、燃料供給系FSに設けられた各種センサ114、115は、それぞれ、検出したパラメータに対応する検出信号S114、S115をECU60に出力する。
また、排気系EXにおいては、ターボ過給機5のタービン5bの上流側の排気通路41上には、排気圧を検出する排気圧センサ116と排気温度を検出する排気温度センサ117とが設けられ、DOC45の直上流側及びDOC45とDPF46との間には、それぞれ、排気温度を検出する排気温度センサ118、119が設けられ、DPF46には、このDPF46の上流側と下流側との排気圧の差を検出するDPF差圧センサ120が設けられ、DPF46の直下流側の排気通路41上には、酸素濃度を検出するリニアO2センサ121と排気温度を検出する排気温度センサ122とが設けられている。これらの、排気系EXに設けられた各種センサ116〜122は、それぞれ、検出したパラメータに対応する検出信号S116〜S122をECU60に出力する。
ここで、高圧EGR装置43によって吸気系INに還流される排気ガス量(以下「高圧EGRガス量」と呼ぶ。)は、排気通路41内における排気圧と、吸気シャッター弁7の開度によって作り出される吸気圧と、高圧EGRバルブ43bの開度とによって概ね決定される。また、低圧EGR装置48によって吸気系INに還流される排気ガス量(以下「低圧EGRガス量」と呼ぶ。)は、ターボ過給機5のコンプレッサ5a上流側の吸気圧と、排気シャッター弁49の開度によって作り出される排気圧と、低圧EGRバルブ48cの開度とによって概ね決定される。
次に、図2を参照して、本発明の実施形態によるエンジンシステム200において実施される基本制御について説明する。図2は、本発明の実施形態による基本制御を示すフローチャートである。このフローでは、要求噴射量などに応じた目標酸素濃度及び目標吸気温度を実現するための制御がなされる。また、このフローは、ECU60によって所定の周期で繰り返し実行される。
次いで、ステップS12では、ECU60は、アクセル開度センサ100が検出したアクセル開度(検出信号S100に対応する)に基づいて、エンジンEから出力させるべき目標トルクを設定する。
次いで、ステップS13では、ECU60は、ステップS12で設定した目標トルクと、エンジン回転数とに基づいて、燃料噴射弁20から噴射させるべき要求噴射量を設定する。
次いで、ステップS14では、ECU60は、ステップS13で設定した要求噴射量と、エンジン回転数とに基づいて、燃料の噴射パターンと、燃圧と、目標酸素濃度と、目標吸気温度と、EGR制御モード(高圧EGR装置43及び低圧EGR装置48の両方又は一方を作動させるモード、或いは高圧EGR装置43及び低圧EGR装置48のいずれも作動させないモード)とを設定する。
次いで、ステップS15では、ECU60は、ステップS14で設定した目標酸素濃度及び目標吸気温度を実現する状態量を設定する。例えば、この状態量には、高圧EGR装置43によって吸気系INに還流させる排気ガス量(高圧EGRガス量)や、低圧EGR装置48によって吸気系INに還流させる排気ガス量(低圧EGRガス量)や、ターボ過給機5による過給圧などが含まれる。
次いで、ステップS16では、ECU60は、ステップS15で設定した状態量に基づいて、エンジンシステム200の各構成要素のそれぞれを駆動する各アクチュエータを制御する。この場合、ECU60は、状態量に応じた制限値や制限範囲を設定し、状態値が制限値や制限範囲による制限を遵守するような各アクチュエータの制御量を設定して制御を実行する。
次に、本発明の実施形態によるエンジントルク制御について説明する。
特に、本実施形態では、ECU60は、アクセルペダル95が踏み込まれている最中には(つまりアクセル開度がアクセルペダル95の踏み込み方向に変化している際)、アクセルペダル95の踏込速度などに応じてエンジントルクを上昇させる制御を行い、このアクセルペダル95の踏み込みが終了した後(つまりアクセル開度がほぼ一定になった際)、アクセルペダル95が踏み込まれていた際に適用したエンジントルクの変化率よりも小さな変化率(つまり緩やかな傾き)によって、エンジントルクを上昇させる制御を行う。車速が大きくなると走行抵抗が大きくなるため、車速が大きくなるにつれて車両に働く加速力が低下するので、本実施形態では、そのような走行抵抗の上昇に合わせて、つまり走行抵抗に依らずに良好な加速感が得られるように、エンジントルクを上昇させる制御を行っている。
より詳しくは、グラフG2に示す目標トルクは、アクセル開度及びエンジン回転数により一義的に決定される、エンジントルクが最終的に到達すべきトルクであり、後述する到達目標トルクに相当する。また、グラフG3に示す実トルクは、そのようなグラフG2に示す目標トルク(到達目標トルク)にエンジントルクを到達させるまでの過程において、エンジントルクが設定されるべき目標トルクによって制御した場合のエンジントルクに相当し、基本的には、実トルクは当該目標トルクに一致する。
1つの例では、ECU60は、目標トルク及びエンジン回転数に応じた変化率を設定し(この場合には、アクセル踏込速度がほぼ0のため、アクセル踏込速度に応じて変化率を変化させない)、この設定した変化率に従って実トルクを上昇させる。この例でも、ECU60は、目標トルク及びエンジン回転数のそれぞれが大きいほど、大きな変化率を適用する。他の例では、ECU60は、アクセルペダル95の踏み込み終了時に(時刻t2)、実トルクを目標トルクに到達させるまでの時間T1(例えば1〜2秒)を決定し、この時間T1の経過時点において実トルクが目標トルクに到達するように、実トルクを上昇させる。この例では、目標トルクやエンジン回転数などの種々のパラメータに応じて時間T1を変化させてもよいし、時間T1として固定値を用いてもよい。
なお、図3では、時刻t3以降において、実トルクが目標トルクにほぼ一致しているが、実際には、エアコンやオルタネータ26などの補機でのエネルギーの消費により、その分だけ、実トルクが目標トルクよりも下回ることとなる。
このような変化率補正係数マップによれば、アクセルペダル95が踏み込まれている時(アクセル踏込速度>0である時)には、1よりも大きな値の変化率補正係数が決定されるため、ベーストルク変化率が増幅されるが、アクセルペダル95の踏み込みが終了している時(アクセル踏込速度が0である時)には、1が変化率補正係数として決定されるため、ベーストルク変化率は増幅されない。そのため、図3で述べたように、アクセルペダル95が踏み込まれている時とアクセルペダル95の踏み込みが終了している時とで異なる変化率が実トルクに適用されることとなる。具体的には、アクセルペダル95の踏み込み終了後には、アクセルペダル95が踏み込まれている最中よりも小さな変化率が適用されることとなる。
なお、図5(A)に示すベーストルク変化率マップから、到達目標トルクに対応するベーストルク変化率が設定され、図5(B)に示すベーストルク変化率マップから、エンジン回転数に対応するベーストルク変化率が設定されることで、2つのベーストルク変化率が得られるが、ステップS25において目標トルクを算出するに当たっては、例えば、この2つのベーストルク変化率を乗算して得た値をベーストルク変化率として用いるとよい。
次に、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置の作用効果について説明する。
上述した実施形態では、アクセルペダル95が踏み込まれている最中には、アクセル踏込速度などに応じてエンジントルクを上昇させる制御を行い、アクセルペダル95の踏み込みが終了した後には、アクセルペダル95が踏み込まれている最中よりも小さな変化率でエンジントルクを上昇させる制御を行っていたが(図3等参照)、他の実施形態では、アクセル踏込速度が所定値以上であるときに、アクセル踏込速度などに応じてエンジントルクを上昇させる制御を行い、アクセル踏込速度が所定値未満であるときに、アクセル踏込速度が所定値以上であるときに用いた変化率よりも小さな変化率でエンジントルクを上昇させる制御を行ってもよい。つまり、アクセル踏込速度が完全に0になっていなくても、比較的小さな値である場合に、緩やかな傾きでエンジントルクを上昇させる制御を行ってもよい。
5 ターボ過給機
5a コンプレッサ
5b タービン
41 排気通路
43 高圧EGR装置
48 低圧EGR装置
60 ECU
95 アクセルペダル
100 アクセル開度センサ
200 エンジンシステム
E エンジン
Claims (5)
- アクセル操作状態に基づいて設定した目標トルクに到達させるようにエンジントルクを制御するエンジンの制御装置であって、
アクセル踏込速度が所定値以上であるときに、このアクセル踏込速度に応じてエンジントルクを変化させる第1のトルク制御手段と、
アクセル踏込速度が上記所定値未満であるときに、上記第1のトルク制御手段によるエンジントルクの変化率よりも小さな所定の変化率によって、エンジントルクを変化させる第2のトルク制御手段と、
を有し、
上記第2のトルク制御手段は、
上記目標トルクが所定値より大きい場合には、上記目標トルクが大きいほど、エンジントルクの変化率を大きくし、
上記目標トルクが上記所定値以下である場合には、上記目標トルクが小さいほど、エンジントルクの変化率を大きくする、
ことを特徴とするエンジンの制御装置。 - アクセル操作状態に基づいて設定した目標トルクに到達させるようにエンジントルクを制御するエンジンの制御装置であって、
アクセル開度がアクセルペダルの踏み込み方向に変化しているときに、アクセル踏込速度に応じてエンジントルクを変化させる第1のトルク制御手段と、
アクセル開度がほぼ一定であるときに、上記第1のトルク制御手段によるエンジントルクの変化率よりも小さな所定の変化率によって、エンジントルクを変化させる第2のトルク制御手段と、
を有することを特徴とするエンジンの制御装置。 - 上記第2のトルク制御手段は、上記目標トルクに向けて略一定の変化率でエンジントルクを変化させる、請求項1又は2に記載のエンジンの制御装置。
- 上記第2のトルク制御手段は、エンジン回転数が大きいほど、エンジントルクの変化率を大きくする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。
- 上記第1のトルク制御手段は、エンジントルクが負値から正値に転じるときに、エンジントルクを所定値に所定時間保持する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。
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