JP6098836B2 - エンジンの排気制御装置 - Google Patents
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Description
このように構成された本発明においては、フラップ制御手段は、EGR装置の作動中に、原則、フラップ開度をエンジンの運転状態に応じた開度に設定する制御を行い、EGR装置の作動中において、ドライバからの加速要求がある場合には、エンジンの運転状態に応じて設定されるフラップ開度を閉じ側に補正する制御を行う。このようにフラップ開度を閉じ側に補正すると、ターボ過給機による過給圧が上昇して、エンジンに供給される酸素量が増加する。そのため、エンジンに供給する燃料噴射量を増量することができ、ドライバからの加速要求に応じた加速性能を確保することが可能となる。また、エンジンの運転状態に応じて設定されるフラップ開度を閉じ側に補正する制御は、目標過給圧に基づいてフラップ開度を変化させる制御と比較して、フラップ開度の変動が小さいため、EGR装置による排気ガス還流の制御性を確保することができる。
以上のことから、本発明によれば、EGR装置による排気ガス還流の制御性を確保しつつ、良好な加速性能を確保することができる、具体的にはリニアな加速感をドライバに与えることができる。
本発明において、好ましくは、タービンの下流側の排気通路上には、排気シャッター弁が設けられ、EGR装置は、この排気シャッター弁の上流側の排気通路から吸気通路へ排気ガスを還流させ、EGR装置によって還流させる排気ガスの量を、排気シャッター弁の開度によって調整してもよい。
このように構成された本発明においては、エンジンに供給される供給酸素量(燃焼前の吸気に含まれる酸素量)に基づいて、エンジンのスモークを抑制するための制限噴射量を求め、この制限噴射量に基づいてフラップ開度を閉じ側に補正するので、例えば排気ガスの酸素濃度(燃焼後における残余の酸素の濃度)に基づいて制限噴射量を求める手法と比較して、早い段階で制限噴射量に基づいた燃料噴射量の制御を行うことができる。その結果、制限噴射量を速やかに要求噴射量に近付けることができ、エンジンに供給する燃料噴射量を速やかに増量させて、加速性能を効果的に向上させることが可能となる。
このように構成された本発明においては、要求噴射量と制限噴射量との差分に応じて、フラップ開度を閉じ側に補正する補正量を設定するので、例えばこの差分が大きいほどフラップ開度の補正量を大きくするので、ターボ過給機による過給圧を速やかに上昇させて、制限噴射量を速やかに増加させることができる。したがって、エンジンに供給する燃料噴射量を効果的に増量することができ、加速性能を効果的に向上させることが可能となる。
このように構成された本発明においては、フラップ開度の補正量に応じて、エンジンに供給する燃料噴射量を増量するので、フラップ開度の閉じ側への補正量に応じて増加する制限噴射量に従って、エンジンに供給する燃料噴射量を適切に増量することができる。
まず、図1を参照して、本発明の実施形態によるエンジンの排気制御装置が適用されたエンジンシステムについて説明する。図1は、本発明の実施形態によるエンジンの排気制御装置が適用されたエンジンシステムの概略構成図である。
また、吸気系INにおいては、エアクリーナ3の直下流側の吸気通路1上には、吸入空気量を検出するエアフローセンサ101と吸気温度を検出する吸気温度センサ102とが設けられ、ターボ過給機5のコンプレッサ5aには、このコンプレッサ5aの回転数を検出するターボ回転数センサ103が設けられ、吸気シャッター弁7には、この吸気シャッター弁7の開度を検出する吸気シャッター弁位置センサ105が設けられ、インタークーラ8の直下流側の吸気通路1上には、吸気温度を検出する吸気温度センサ106と吸気圧を検出する吸気圧センサ107とが設けられ、サージタンク12には、吸気マニホールド温度センサ108が設けられている。これらの、吸気系INに設けられた各種センサ101〜108は、それぞれ、検出したパラメータに対応する検出信号S101〜S108をECU60に出力する。
また、エンジンEには、エンジンEなどを冷却する冷却水の温度を検出する冷却水温度センサ109と、クランクシャフト25のクランク角度を検出するクランク角センサ110と、油圧及び/又は油温を検出する油圧/油温センサ111と、オイルレベルを検出する光学式オイルレベルセンサ112と、が設けられている。これらの、エンジンEに設けられた各種センサ109〜112は、それぞれ、検出したパラメータに対応する検出信号S109〜S112をECU60に出力する。
また、燃料供給系FSにおいては、高圧燃料ポンプ33には、燃料温度を検出する燃料温度センサ114が設けられ、コモンレール35には、燃圧を検出する燃圧センサ115が設けられている。これらの、燃料供給系FSに設けられた各種センサ114、115は、それぞれ、検出したパラメータに対応する検出信号S114、S115をECU60に出力する。
また、排気系EXにおいては、ターボ過給機5のタービン5bの上流側の排気通路41上には、排気圧を検出する排気圧センサ116と排気温度を検出する排気温度センサ117とが設けられ、DOC45の直上流側及びDOC45とDPF46との間には、それぞれ、排気温度を検出する排気温度センサ118、119が設けられ、DPF46には、このDPF46の上流側と下流側との排気圧の差を検出するDPF差圧センサ120が設けられ、DPF46の直下流側の排気通路41上には、酸素濃度を検出するリニアO2センサ121と排気温度を検出する排気温度センサ122とが設けられている。これらの、排気系EXに設けられた各種センサ116〜122は、それぞれ、検出したパラメータに対応する検出信号S116〜S122をECU60に出力する。
図2に示すように、タービンケーシング153内に形成されたタービン室153aには、そのほぼ中央部に配置されたタービン5bの周囲を取り囲むように複数の可動式のフラップ5c、5c、…が配設され、各フラップ5cはタービン室153aの一方の側壁を貫通する支軸131aにより回動可能に支持されている。各フラップ5cは、それぞれ支軸5dの回りに図2の時計回りに回動して、相互に近接するように傾斜すると、各フラップ5cの相互間に形成されるノズル155、155、…の開度(ノズル断面積)が小さく絞られて、排気流量の少ないときでも高い過給効率を得ることができる。一方、各フラップ5cを上記と反対側に回動させて、相互に離反するように傾斜させれば、ノズル断面積が大きくなるので、排気流量の多いときでも通気抵抗を低減して、過給効率を高めることができる。
また、リング部材157は、リンク機構158を介してアクチュエータのロッド163に駆動連結されており、該アクチュエータの作動によりリング部材157を介して各フラップ5cが回動される。すなわち、リンク機構158は、一端部をリング部材157に回動可能に連結された連結ピン158aと、該連結ピン158aの他端部に一端部を回動可能に連結された連結板部材158bと、該連結板部材158bの他端部に連結されると共に、タービンケーシング153の外壁を貫通する柱状部材158cと、該柱状部材158cのタービンケーシング153外へ突出する突出端部に一端部を連結された連結板部材158dとからなり、該連結板部材158dの他端部が連結ピン(図示せず)によりアクチュエータのロッド163に回動可能に連結されている。
図3に示すように、低負荷・低回転数側に規定されたエンジンEの運転領域R1(第1運転領域に相当する)は、高圧EGR装置43が作動される高圧EGR領域であり、この高圧EGR領域R1よりも高負荷・高回転数側に規定されたエンジンEの運転領域R2(第2運転領域に相当する)は、低圧EGR装置48が作動される低圧EGR領域である。より詳しくは、低圧EGR領域R2内の一部の領域(高圧EGR領域R1との境界付近の領域)では、低圧EGR装置48だけでなく、高圧EGR装置43も作動される、つまり高圧EGR装置43及び低圧EGR装置48の併用領域となる。また、低圧EGR領域R2よりも更に高負荷・高回転数側に規定されたエンジンEの運転領域R3は、高圧EGR装置43及び低圧EGR装置48のいずれも作動されない領域(以下では適宜「非EGR領域」と呼ぶ。)である。
次に、図4を参照して、本発明の実施形態によるエンジンシステム200において実施される基本制御について説明する。図4は、本発明の実施形態による基本制御を示すフローチャートである。このフローでは、要求噴射量などに応じた目標酸素濃度及び目標吸気温度を実現するための制御がなされる。また、このフローは、ECU60によって所定の周期で繰り返し実行される。
次いで、ステップS12では、ECU60は、アクセル開度センサ100が検出したアクセル開度(検出信号S100に対応する)に基づいて、エンジンEから出力させるべき目標トルクを設定する。
次いで、ステップS13では、ECU60は、ステップS12で設定した目標トルクと、エンジン回転数とに基づいて、燃料噴射弁20から噴射させるべき要求噴射量を設定する。
次いで、ステップS14では、ECU60は、ステップS13で設定した要求噴射量と、エンジン回転数とに基づいて、燃料の噴射パターンと、燃圧と、目標酸素濃度と、目標吸気温度と、EGR制御モード(高圧EGR装置43及び低圧EGR装置48の両方又は一方を作動させるモード、或いは高圧EGR装置43及び低圧EGR装置48のいずれも作動させないモード)とを設定する。
次いで、ステップS15では、ECU60は、ステップS14で設定した目標酸素濃度及び目標吸気温度を実現する状態量を設定する。例えば、この状態量には、高圧EGR装置43によって吸気系INに還流させる排気ガス量(高圧EGRガス量)や、低圧EGR装置48によって吸気系INに還流させる排気ガス量(低圧EGRガス量)や、ターボ過給機5による過給圧などが含まれる。
次いで、ステップS16では、ECU60は、ステップS15で設定した状態量に基づいて、エンジンシステム200の各構成要素のそれぞれを駆動する各アクチュエータを制御する。この場合、ECU60は、状態量に応じた制限値や制限範囲を設定し、状態値が制限値や制限範囲による制限を遵守するような各アクチュエータの制御量を設定して制御を実行する。
以下では、本発明の実施形態によるVGT開度制御について説明する。
なお、以下では、上述したような、エンジンEの運転状態(エンジン回転数及び燃料噴射量)に基づいてオープン制御によってVGT開度を設定する制御を、適宜「第1VGT開度制御」と呼ぶ。
なお、以下では、上述したような、ドライバからの加速要求時に、第1VGT開度制御により設定されるVGT開度を閉じ側に補正する制御を、適宜「第2VGT開度制御」と呼ぶ。
このような判定の結果、低圧EGR装置48が作動中であると判定されなかった場合(ステップS21:No)、処理は終了する。この場合には、ECU60は、低圧EGR装置48が作動していないので、本実施形態における第1VGT開度制御及び第2VGT開度制御のいずれも実行しない。
このような判定の結果、アクセル開度の変化量が所定値以上であると判定されなかった場合(ステップS22:No)、つまりアクセル開度の変化量が所定値未満である場合、処理はステップS29に進み、ECU60は、オープン制御によってVGT開度を制御する。この場合には、ECU60は、ドライバからの加速要求がないと判断して、低圧EGR装置48による排気ガス還流の制御性を確保すべく、通常の第1VGT開度制御を実行する。具体的には、ECU60は、エンジン回転数及び燃料噴射量に対して設定すべきVGT開度が対応付けられたマップを参照して、現在のエンジン回転数及び燃料噴射量に対応するVGT開度に設定する。より詳しくは、ECU60は、VGT開度センサ104によって検出されたVGT開度を監視しながら、実際のVGT開度が現在のエンジン回転数及び燃料噴射量に対応するVGT開度に設定されるように、ターボ過給機5のフラップ5cを駆動するアクチュエータに対する制御を行う。また、上記したマップは、実験や所定の演算式などにより予め作成されるものであり、燃費を悪化させることなく目標過給圧に近い過給圧が得られ、且つターボ過給機5のタービン5bの過回転が生じないようなVGT開度が、エンジン回転数及び燃料噴射量ごとに対応付けられている。
その結果、ターボ回転数が所定値未満であると判定されなかった場合(ステップS23:No)、つまりターボ回転数が所定値以上である場合、処理はステップS29に進み、ECU60は、オープン制御によってVGT開度を制御する。この場合には、ECU60は、ターボ過給機5の信頼性を確保する観点から、VGT開度を閉じ側に設定して過給圧を上昇させる第2VGT開度制御を実行せずに、通常の第1VGT開度制御を実行する。
その結果、インマニ圧が所定値未満であると判定されなかった場合(ステップS24:No)、つまりインマニ圧が所定値以上である場合、処理はステップS29に進み、ECU60は、オープン制御によってVGT開度を制御する。この場合には、ECU60は、エンジンシステム200内の構成要素の信頼性を確保する観点から、VGT開度を閉じ側に設定して過給圧を上昇させる第2VGT開度制御を実行せずに、通常の第1VGT開度制御を実行する。
その結果、エキマニ圧が所定値未満であると判定されなかった場合(ステップS25:No)、つまりエキマニ圧が所定値以上である場合、処理はステップS29に進み、ECU60は、オープン制御によってVGT開度を制御する。この場合には、ECU60は、エンジンシステム200内の構成要素の信頼性を確保する観点から、VGT開度を閉じ側に設定して過給圧を上昇させる第2VGT開度制御を実行せずに、通常の第1VGT開度制御を実行する。
なお、従来は、排気ガスの酸素濃度(燃焼後における残余の酸素の濃度に相当)に基づいてスモーク制限噴射量を求める手法を採用していた。この手法では、従前の燃焼で発生した排気ガスの酸素濃度を用いるため、スモーク制限噴射量に基づいた燃料噴射量の制御が遅れる傾向にあった。これに対して、本実施形態では、エンジンEに供給される供給酸素量(つまり燃焼前の吸気に含まれる酸素量)からスモーク制限噴射量を求めるので、早い段階でスモーク制限噴射量に基づいた燃料噴射量の制御を行うことができ、その結果、スモーク制限噴射量を速やかに要求噴射量に近付けることが可能となる。
このような判定の結果、要求噴射量がスモーク制限噴射量を超えると判定されなかった場合(ステップS27:No)、つまり要求噴射量がスモーク制限噴射量以下である場合、ステップS29に進み、ECU60は、オープン制御によってVGT開度を制御する。この場合には、スモーク制限噴射量に制限されずに要求噴射量をエンジンEに供給することができるため、ECU60は、通常の第1VGT開度制御を実行して、低圧EGR装置48による排気ガス還流の制御性を確保する。
また、ECU60は、VGT開度の補正量に応じて、エンジンEに供給する燃料噴射量を増量する。具体的には、VGT開度を閉側に補正すると、ターボ過給機5による過給圧が上昇し、エンジンEに供給される酸素量が増加して、スモーク制限噴射量が増加するので、ECU60は、VGT開度の閉じ側への補正量に応じて増加するスモーク制限噴射量に基づいて、エンジンEに供給する燃料噴射量を増量する。
次に、本発明の実施形態によるエンジンの排気制御装置の作用効果について説明する。
上述した実施形態では、高圧EGR装置43及び低圧EGR装置48の両方を有するシステムに本発明を適用する例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。本発明は、高圧EGR装置43及び低圧EGR装置48の一方ののみを有するシステムにも適用可能である。その場合にも、EGR装置の作動中に、原則、VGT開度をエンジンEの運転状態に応じた開度に設定する第1VGT開度制御を行い、EGR装置の作動中において、ドライバからの加速要求がある場合には、第1VGT開度制御により設定されるVGT開度を閉じ側に補正する第2VGT開度制御を行えばよい。
5 ターボ過給機
5a コンプレッサ
5b タービン
5c フラップ
41 排気通路
43 高圧EGR装置
48 低圧EGR装置
60 ECU
200 エンジンシステム
E エンジン
Claims (5)
- エンジンの排気制御装置であって、
排気通路に設けられたタービンと吸気通路に設けられたコンプレッサとを備え、排気ガスによって上記タービンを回転させることにより上記コンプレッサを駆動して吸気を過給するターボ過給機であって、過給圧を調整可能な可動式のフラップを更に備える上記ターボ過給機と、
所定の運転領域において、上記タービンの下流側の排気通路から上記コンプレッサの上流側の吸気通路へ排気ガスを還流させるEGR装置と、
上記ターボ過給機のフラップの開度であるフラップ開度を制御するフラップ制御手段と、を有し、
上記フラップ制御手段は、
上記EGR装置が排気ガスを還流させている場合に、上記フラップ開度をエンジンの運転状態に応じた開度に設定する第1制御手段と、
上記EGR装置が排気ガスを還流させている状態において、アクセル開度の変化量が所定値以上のときに、上記第1制御手段が設定したフラップ開度を閉じ側に補正する第2制御手段と、
を有する、ことを特徴とするエンジンの排気制御装置。 - 上記タービンの下流側の排気通路上には、排気シャッター弁が設けられ、上記EGR装置は、この排気シャッター弁の上流側の排気通路から吸気通路へ排気ガスを還流させ、
上記EGR装置によって還流させる排気ガスの量を、上記排気シャッター弁の開度によって調整する、請求項1に記載のエンジンの排気制御装置。 - 上記フラップ制御手段の第2制御手段は、エンジンに供給される供給酸素量に基づいて、エンジンのスモークを抑制するための制限噴射量を求め、アクセル開度に応じた要求噴射量が上記制限噴射量を超える場合に、上記第1制御手段が設定したフラップ開度を閉じ側に補正する、請求項1又は2に記載のエンジンの排気制御装置。
- 上記フラップ制御手段の第2制御手段は、上記要求噴射量と上記制限噴射量との差分に応じて、上記フラップ開度を閉じ側に補正する補正量を設定する、請求項3に記載のエンジンの排気制御装置。
- 上記フラップ制御手段の第2制御手段による上記フラップ開度の補正量に応じて、エンジンに供給する燃料噴射量を増量する噴射量増量手段を更に備える、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のエンジンの排気制御装置。
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