JP6137496B2 - エンジンの制御装置 - Google Patents
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Description
このように構成された本発明においては、ターボ過給機の過回転が生じた場合に、燃料噴射量を減量する制御を行うと共に、目標過給圧を実現するように実行される過給圧制御(具体的には過給圧F/B制御)による、フラップ開度の閉じ側への変化を制限する制御を行うので、この過給圧制御によるターボ回転数の上昇を抑制して、燃料噴射量の減量によってターボ過給機の過回転を適切に防止することができる。
また、本発明においては、燃料噴射量を減量する制御、及びフラップ開度の閉じ側への変化を制限する制御を行った後に、フラップ開度を全開に設定するので、燃料噴射量の減量によってターボ過給機の過回転が解消されない場合であっても、フラップ開度を全開に設定することでターボ過給機の過回転を防止できるようになる。
他の観点では、本発明は、エンジンの制御装置であって、排気通路に設けられたタービンと吸気通路に設けられたコンプレッサとを備え、排気ガスによってタービンを回転させることによりコンプレッサを駆動して吸気を過給するターボ過給機であって、過給圧を調整可能な可動式のフラップを更に備えるターボ過給機と、エンジンの運転状態に基づいて目標過給圧を設定し、実過給圧がこの目標過給圧に設定されるように、ターボ過給機のフラップの開度であるフラップ開度を制御するフラップ制御手段と、ターボ過給機の回転数が第1所定値以上である場合に、エンジンに供給する燃料噴射量を減量する制御を行うと共に、フラップ制御手段によるフラップ開度の閉じ側への変化を制限する制御を行い、ターボ過給機の回転数を低下させるターボ回転数低下制御手段と、を有し、ターボ回転数低下制御手段による制御によってターボ過給機の回転数が第2所定値未満にまで低下した場合に、燃料噴射量の減量を停止して燃料噴射を復帰させる制御を行い、この制御の後に、フラップ制御手段による目標過給圧に基づいたフラップ開度の制御を再開させる復帰制御手段を更に有する、ことを特徴とする。
このように構成された本発明においては、ターボ回転数低下制御手段による制御によってターボ過給機の過回転が解消した場合に、燃料噴射を復帰させる制御を行い、この制御の後に目標過給圧を実現するための過給圧制御を再開するので、つまり、これらの制御を同時に復帰させずに順番に復帰させるので、復帰に伴うトルク変動や音の変化を適切に抑制することができる。
このように構成された本発明においては、ターボ過給機の過回転が生じた際に設定されていた開度にフラップ開度を固定する制御を行うので、フラップ開度の閉じ側への変化を確実に制限することができ、ターボ回転数の上昇を効果的に抑制することができる。
まず、図1を参照して、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置が適用されたエンジンシステムについて説明する。図1は、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置が適用されたエンジンシステムの概略構成図である。
また、吸気系INにおいては、エアクリーナ3の直下流側の吸気通路1上には、吸入空気量を検出するエアフローセンサ101と吸気温度を検出する吸気温度センサ102とが設けられ、ターボ過給機5のコンプレッサ5aには、このコンプレッサ5aの回転数(ターボ回転数)を検出するターボ回転数センサ103が設けられ、吸気シャッター弁7には、この吸気シャッター弁7の開度を検出する吸気シャッター弁位置センサ105が設けられ、インタークーラ8の直下流側の吸気通路1上には、吸気温度を検出する吸気温度センサ106と吸気圧を検出する吸気圧センサ107とが設けられ、サージタンク12には、吸気マニホールド温度センサ108が設けられている。これらの、吸気系INに設けられた各種センサ101〜108は、それぞれ、検出したパラメータに対応する検出信号S101〜S108をECU60に出力する。
また、エンジンEには、エンジンEなどを冷却する冷却水の温度を検出する冷却水温度センサ109と、クランクシャフト25のクランク角度を検出するクランク角センサ110と、油圧及び/又は油温を検出する油圧/油温センサ111と、オイルレベルを検出する光学式オイルレベルセンサ112と、が設けられている。これらの、エンジンEに設けられた各種センサ109〜112は、それぞれ、検出したパラメータに対応する検出信号S109〜S112をECU60に出力する。
また、燃料供給系FSにおいては、高圧燃料ポンプ33には、燃料温度を検出する燃料温度センサ114が設けられ、コモンレール35には、燃圧を検出する燃圧センサ115が設けられている。これらの、燃料供給系FSに設けられた各種センサ114、115は、それぞれ、検出したパラメータに対応する検出信号S114、S115をECU60に出力する。
また、排気系EXにおいては、ターボ過給機5のタービン5bの上流側の排気通路41上には、排気圧を検出する排気圧センサ116と排気温度を検出する排気温度センサ117とが設けられ、DOC45の直上流側及びDOC45とDPF46との間には、それぞれ、排気温度を検出する排気温度センサ118、119が設けられ、DPF46には、このDPF46の上流側と下流側との排気圧の差を検出するDPF差圧センサ120が設けられ、DPF46の直下流側の排気通路41上には、酸素濃度を検出するリニアO2センサ121と排気温度を検出する排気温度センサ122とが設けられている。これらの、排気系EXに設けられた各種センサ116〜122は、それぞれ、検出したパラメータに対応する検出信号S116〜S122をECU60に出力する。
図2に示すように、タービンケーシング153内に形成されたタービン室153aには、そのほぼ中央部に配置されたタービン5bの周囲を取り囲むように複数の可動式のフラップ5c、5c、…が配設され、各フラップ5cはタービン室153aの一方の側壁を貫通する支軸131aにより回動可能に支持されている。各フラップ5cは、それぞれ支軸5dの回りに図2の時計回りに回動して、相互に近接するように傾斜すると、各フラップ5cの相互間に形成されるノズル155、155、…の開度(ノズル断面積)が小さく絞られて、排気流量の少ないときでも高い過給効率を得ることができる。一方、各フラップ5cを上記と反対側に回動させて、相互に離反するように傾斜させれば、ノズル断面積が大きくなるので、排気流量の多いときでも通気抵抗を低減して、過給効率を高めることができる。
また、リング部材157は、リンク機構158を介してアクチュエータのロッド163に駆動連結されており、該アクチュエータの作動によりリング部材157を介して各フラップ5cが回動される。すなわち、リンク機構158は、一端部をリング部材157に回動可能に連結された連結ピン158aと、該連結ピン158aの他端部に一端部を回動可能に連結された連結板部材158bと、該連結板部材158bの他端部に連結されると共に、タービンケーシング153の外壁を貫通する柱状部材158cと、該柱状部材158cのタービンケーシング153外へ突出する突出端部に一端部を連結された連結板部材158dとからなり、該連結板部材158dの他端部が連結ピン(図示せず)によりアクチュエータのロッド163に回動可能に連結されている。
図3に示すように、低負荷・低回転数側に規定されたエンジンEの運転領域R1(第1運転領域に相当する)は、高圧EGR装置43が作動される高圧EGR領域であり、この高圧EGR領域R1よりも高負荷・高回転数側に規定されたエンジンEの運転領域R2(第2運転領域に相当する)は、低圧EGR装置48が作動される低圧EGR領域である。より詳しくは、低圧EGR領域R2内の一部の領域(高圧EGR領域R1との境界付近の領域)では、低圧EGR装置48だけでなく、高圧EGR装置43も作動される、つまり高圧EGR装置43及び低圧EGR装置48の併用領域となる。また、低圧EGR領域R2よりも更に高負荷・高回転数側に規定されたエンジンEの運転領域R3は、高圧EGR装置43及び低圧EGR装置48のいずれも作動されない領域(以下では適宜「非EGR領域」と呼ぶ。)である。
次に、図4を参照して、本発明の実施形態によるエンジンシステム200において実施される基本制御について説明する。図4は、本発明の実施形態による基本制御を示すフローチャートである。このフローでは、要求噴射量などに応じた目標酸素濃度及び目標吸気温度を実現するための制御がなされる。また、このフローは、ECU60によって所定の周期で繰り返し実行される。
次いで、ステップS12では、ECU60は、アクセル開度センサ100が検出したアクセル開度(検出信号S100に対応する)に基づいて、エンジンEから出力させるべき目標トルクを設定する。
次いで、ステップS13では、ECU60は、ステップS12で設定した目標トルクと、エンジン回転数とに基づいて、燃料噴射弁20から噴射させるべき要求噴射量を設定する。
次いで、ステップS14では、ECU60は、ステップS13で設定した要求噴射量と、エンジン回転数とに基づいて、燃料の噴射パターンと、燃圧と、目標酸素濃度と、目標吸気温度と、EGR制御モード(高圧EGR装置43及び低圧EGR装置48の両方又は一方を作動させるモード、或いは高圧EGR装置43及び低圧EGR装置48のいずれも作動させないモード)とを設定する。
次いで、ステップS15では、ECU60は、ステップS14で設定した目標酸素濃度及び目標吸気温度を実現する状態量を設定する。例えば、この状態量には、高圧EGR装置43によって吸気系INに還流させる排気ガス量(高圧EGRガス量)や、低圧EGR装置48によって吸気系INに還流させる排気ガス量(低圧EGRガス量)や、ターボ過給機5による過給圧などが含まれる。
次いで、ステップS16では、ECU60は、ステップS15で設定した状態量に基づいて、エンジンシステム200の各構成要素のそれぞれを駆動する各アクチュエータを制御する。この場合、ECU60は、状態量に応じた制限値や制限範囲を設定し、状態値が制限値や制限範囲による制限を遵守するような各アクチュエータの制御量を設定して制御を実行する。
以下では、本発明の実施形態による、ターボ過給機5の過回転を防止するための制御(ターボ過回転防止制御)について説明する。
また、本実施形態では、ECU60は、ターボ過給機5の過回転が生じた場合に、このターボ過給機5の過回転を防止するためのターボ過回転防止制御として、エンジンEの燃焼室17に供給する燃料噴射量を減量する制御(以下では適宜「噴射量減量制御」と呼ぶ。)を行うと共に、上記した過給圧F/B制御によるVGT開度の閉じ側への変化を制限する制御を行う。この場合、ECU60は、過給圧F/B制御の実行を停止することで、当該過給圧F/B制御によるVGT開度の閉じ側への変化を制限する。
なお、ターボ回転数が所定値Th1に達する時刻t2では、本実施形態及び第2比較例の両方とも、VGT開度がほぼ全開の開度になっているものとする(グラフG31、G32参照)。
なお、このターボ過回転防止制御フローは、当該フローの実行開始時に、目標過給圧が実現されるようにVGT開度を変化させる過給圧F/B制御が実行されていることを前提としている。
1つの例では、ECU60は、過給圧F/B制御の実行を停止することで、VGT開度の閉じ側への変化を禁止し、VGT開度の開き側への変化については許容することとし、VGT開度を制御する。この例では、ECU60は、VGT開度を閉じ側には変化させないが、必要に応じて、VGT開度を開き側に適宜変化させる。
他の例では、ECU60は、過給圧F/B制御の実行を停止して、ターボ過給機5の過回転が生じた際に設定されていた開度にVGT開度を固定する制御を行い、VGT開度の閉じ側への変化を制限する。この例では、ECU60は、VGT開度を固定して、VGT開度を変化させない。
次に、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置の作用効果について説明する。
具体的には、本実施形態では、ターボ過給機5の過回転が生じた際に設定されていた開度にVGT開度を固定する制御を行うので、VGT開度の閉じ側への変化を確実に制限することができ、ターボ回転数の上昇を効果的に抑制することができる。
5 ターボ過給機
5a コンプレッサ
5b タービン
5c フラップ
20 燃料噴射弁
41 排気通路
43 高圧EGR装置
45 DOC
46 DPF
48 低圧EGR装置
60 ECU
200 エンジンシステム
E エンジン
Claims (3)
- エンジンの制御装置であって、
排気通路に設けられたタービンと吸気通路に設けられたコンプレッサとを備え、排気ガスによって上記タービンを回転させることにより上記コンプレッサを駆動して吸気を過給するターボ過給機であって、過給圧を調整可能な可動式のフラップを更に備える上記ターボ過給機と、
エンジンの運転状態に基づいて目標過給圧を設定し、実過給圧がこの目標過給圧に設定されるように、上記ターボ過給機のフラップの開度であるフラップ開度を制御するフラップ制御手段と、
上記ターボ過給機の回転数が第1所定値以上である場合に、エンジンに供給する燃料噴射量を減量する制御を行うと共に、上記フラップ制御手段による上記フラップ開度の閉じ側への変化を制限する制御を行い、上記ターボ過給機の回転数を低下させるターボ回転数低下制御手段と、
を有し、
上記ターボ回転数低下制御手段は、上記燃料噴射量を減量した後に、上記フラップ制御手段による上記フラップ開度の閉じ側への変化を制限する制御を行い、この制御の後に、上記フラップ開度を全開に設定する、ことを特徴とするエンジンの制御装置。 - エンジンの制御装置であって、
排気通路に設けられたタービンと吸気通路に設けられたコンプレッサとを備え、排気ガスによって上記タービンを回転させることにより上記コンプレッサを駆動して吸気を過給するターボ過給機であって、過給圧を調整可能な可動式のフラップを更に備える上記ターボ過給機と、
エンジンの運転状態に基づいて目標過給圧を設定し、実過給圧がこの目標過給圧に設定されるように、上記ターボ過給機のフラップの開度であるフラップ開度を制御するフラップ制御手段と、
上記ターボ過給機の回転数が第1所定値以上である場合に、エンジンに供給する燃料噴射量を減量する制御を行うと共に、上記フラップ制御手段による上記フラップ開度の閉じ側への変化を制限する制御を行い、上記ターボ過給機の回転数を低下させるターボ回転数低下制御手段と、
を有し、
上記ターボ回転数低下制御手段による制御によって上記ターボ過給機の回転数が第2所定値未満にまで低下した場合に、上記燃料噴射量の減量を停止して燃料噴射を復帰させる制御を行い、この制御の後に、上記フラップ制御手段による上記目標過給圧に基づいた上記フラップ開度の制御を再開させる復帰制御手段を更に有する、ことを特徴とするエンジンの制御装置。 - 上記ターボ回転数低下制御手段は、上記ターボ過給機の回転数が上記第1所定値以上となった際に設定されていた開度に上記フラップ開度を固定する制御を行って、上記フラップ制御手段による上記フラップ開度の閉じ側への変化を制限する、請求項1又は2に記載のエンジンの制御装置。
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