JP6406333B2 - 過給機付エンジンの制御装置及び制御方法 - Google Patents

過給機付エンジンの制御装置及び制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、過給機付エンジンの制御装置及び制御方法に関する。
従来より、排気ガスによってタービンを回転させることによりコンプレッサを駆動して、吸気を過給するターボ過給機であって、タービンへの排気ガスの入口通路における、排気ガスの流路断面積を調整するための複数の可動式ベーン(可動部材)を有するターボ過給機を備えたエンジンが知られている(例えば特許文献1)。
特許文献1に記載のターボ過給機は、上記コンプレッサによる過給圧が第1設定圧以上であるときに、該過給圧が低下するように上記可動式ベーンを開き側に作動させる信号を上記可動式ベーンのアクチュエータに送る第1過給圧低下制御手段と、上記コンプレッサによる過給圧が、上記第1設定圧よりも大きい値に設定された第2設定圧以上であるときに、上記可動式ベーンを上記第1過給圧低下制御手段よりも大きく開き側に作動させるように、上記アクチュエータに信号を送る第2過給圧低下制御手段と、上記コンプレッサによる過給圧が、上記第2設定圧よりも大きい値に設定された第3設定圧以上であるときに、エンジンへの燃料供給を中止させる燃料カット制御手段と、を備えている。
特開2001−132466号公報
ところで、タービンへの入口通路における、排気ガスの流路断面積を調整するための1つ又は複数の可動部材を有するターボ過給機では、エンジンの燃焼室内で燃料を燃焼させた際に発生する煤が、上記可動部材に付着することによって、上記可動部材がタービンケーシング等に固着してしまうことがある。
流路断面積を小さく絞った状態で上記可動部材が固着すると、タービンを回転させるための排気エネルギーが高くなるため、タービンの回転数が、ターボ過給機自体を損傷させるような回転数まで上昇する可能性が高くなる。
特許文献1に記載のターボ過給機付エンジンでは、コンプレッサによる過給圧が第2過給圧以上であるときに、上記可動部材を出来る限り大きく開き側に作動させるように上記可動部材のアクチュエータに信号を送り、該信号を送った後でも、過給圧が低下せず第3過給圧以上になったときに、上記可動部材が固着したと判定して、エンジンへの燃料供給を中止させるようにしている。これにより、上記エンジンからの排圧が抑えられるため、タービン回転数を下げることができ、ターボ過給機の損傷を防止することができる。
しかしながら、上記可動部材の固着の判定には一定時間が必要である。近年のターボ過給機は、小型化される傾向にあり、小型のターボ過給機は過給レスポンスが高いため、上記可動部材の固着の判定を行っている間に、ターボ過給機が損傷してしまうおそれがある。そのため、タービンの回転数を適切に制御して、ターボ過給機の損傷を防止するという観点からは、改良の余地がある。
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、タービンの回転数を適切に制御して、ターボ過給機の損傷を防止することができる過給機付エンジンの制御装置及び制御方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、過給機付エンジンの制御装置を対象として、上記エンジンの燃焼室内に燃料を供給可能に構成された燃料噴射弁と、上記エンジンの排気通路に設けられたタービンと上記エンジンの吸気通路に設けられたコンプレッサとを有し、上記排気通路内を流れる排気ガスによって上記タービンを回転させることにより、上記コンプレッサを駆動するターボ過給機であって、上記排気通路において、上記タービンへの上記排気ガスの入口通路における、該排気ガスの流路断面積を変更可能に構成された1つ又は複数の可動部材を有するターボ過給機と、上記排気通路における上記タービンよりも排気上流側の部分の排気ガスの圧力を検出する排圧検出手段と、上記複数の可動部材の開度であるノズル開度を検出するノズル開度検出手段と、上記エンジンの出力軸の回転角からエンジン回転数を検出するエンジン回転数検出手段と、上記燃料噴射弁から上記燃焼室に供給される燃料の供給量を制御する燃料供給量制御手段と、上記排圧検出手段によって検出された検出排圧が第1所定排圧以上であるときに、上記ノズル開度検出手段によって検出される検出ノズル開度と、上記エンジン回転数検出手段によって検出されるエンジン回転数とに基づいて上限燃料供給量を設定する上限燃料供給量設定手段と、を備え、上記燃料供給量制御手段は、上記検出排圧が上記第1所定排圧以上であるときに、上記エンジンの1サイクルあたりの燃料の供給量を、上記上限燃料供給量設定手段によって設定された上限燃料供給量以下に制限する燃料供給量制限制御を実行するように構成されている、ものとした。
この構成によると、可動部材が固着状態であるか否かの判定を待つこと無く、検出排圧が第1所定排圧以上であるときに、燃料供給量制限制御が実行される。
すなわち、タービンの回転数は、基本的には、排圧が高いほど高くなるため、排圧が第1所定排圧以上に上昇したときに、タービンの回転数が、ターボ過給機自体を損傷させるような回転数まで上昇する可能性が高い(以下、「タービンが過回転状態となる可能性が高い」という)として、燃料供給量制限制御を実行する。この燃料供給量制限制御により、燃料の供給量を制限して、上記排気通路における上記タービンよりも排気上流側の部分(以下、排気上流部という)の排圧を低下させることができる。これにより、可動部材が固着状態であるか否かの判定の完了を待つこと無く、タービンが過回転状態となる可能性が高いときに、速やかに、タービンを回転させるための排気エネルギーを低下させて、タービンの回転数を低下させることができる。この結果、タービンの回転数を適切に制御して、ターボ過給機の損傷を防止することができる。
上記過給機付エンジンの制御装置において、上記燃料供給量制御手段は、上記検出排圧が、上記第1所定排圧よりも大きい値に設定された第2所定排圧以上であるときには、上記燃料供給量制限制御において、上記燃料の供給量を0にするように構成されている、ことが望ましい。
すなわち、例えば、可動部材が、排気ガスの流路断面積が最小となるような位置で固着してしまうと、上記排気上流部内の排圧が、タービンが過回転状態となるような排圧まで急激に上昇してしまうことがある。このときには、燃焼室への燃料供給自体を一時的に停止させて、排気上流部内の排圧を一気に低下させることが望ましい。そこで、検出排圧が第2所定排圧以上であり、タービンが過回転状態となる可能性がさらに高いときには、燃料供給量を0にすることにより、上記排気上流部の排圧を急激に低下させることができる。これにより、一層、ターボ過給機の損傷を防止することができる。
上記過給機付エンジンの制御装置の一実施形態では、上記コンプレッサによる吸気の過給圧を検出する過給圧検出手段をさらに備え、上記上限燃料供給量設定手段は、上記過給圧検出手段によって検出された検出過給圧が所定過給圧以上であるときには、上記検出排圧が上記所定排圧未満であるときであっても、上記ノズル開度検出手段によって検出される検出ノズル開度と上記エンジン回転数検出手段によって検出されるエンジン回転数とに基づいて上限燃料供給量を設定するように構成され、上記燃料供給量制御手段は、上記過給圧検出手段によって検出された検出過給圧が上記所定過給圧以上であるときには、上記検出排圧が上記第1所定排圧未満であるときであっても、上記燃料供給量制限制御を実行するように構成されている。
すなわち、コンプレッサの回転数は、タービンの回転数が高いほど高くなり、タービンの回転数は、基本的には、排圧が高いほど高くなるため、排圧に基づいて燃料供給量制限制御を実行していれば、タービンが過回転状態となることを抑制することができる。しかしながら、可動式ベーンが固着してから排気上流部内の排圧が上昇するには僅かに時間がかかるため、例えば、可動部材が、排気ガスの流路断面積が最小となるような位置で固着したときには、排圧が第1所定排圧まで上昇する前にタービンが過回転状態となる可能性もある。
そこで、燃料供給量制御手段を、検出過給圧が所定過給圧以上であるときには、上記検出排圧が上記第1所定排圧未満であるときであっても、燃料供給量制限制御を実行するように構成する。過給圧は、基本的に、コンプレッサの回転数が高いほど高くなるため、排圧の他に、過給圧に基づいて燃料供給量制限制御を実行することによって、排気上流部内の排圧が第1所定排圧以上でない状態で、タービンが過回転状態となる可能性が高いときでも、タービンが過回転状態となること抑制して、ターボ過給機の損傷を防止することができる。
上記検出排圧が上記第2所定排圧以上であるときに、上記燃料供給量制限制御において、上記燃料の供給量を0にするように構成されている上記過給機付エンジンの制御装置の一実施形態では、上記燃料供給量制御手段は、上記検出排圧が上記第1所定排圧以上かつ上記第2所定排圧未満であるときに、上記燃料供給量制限制御において、上記燃料の供給量が上記検出排圧に基づいて設定されるときには、上記検出排圧が上記第1所定排圧に対して高いほど、上記燃料の供給量を小さく設定するように構成されている。
この構成により、上記燃料供給量制限制御において、上記燃料の供給量が検出排圧に基づいて設定されるときには、検出排圧が第1所定排圧に対して大きいほど、上記燃料の供給量が小さくなるよう制御されるため、上記排気上流部の排圧が第1所定排圧に対して、高い側に大きく離れていたとしても、上記排気上流部の排圧を速やかに低下させることができる。これにより、ターボ過給機の損傷をより防止することができる。
上記過給機付エンジンの制御装置において、上記検出排圧が上記第1所定排圧以上であるときに、上記複数の可動部材が上記流路断面積を変更可能な状態であるか否かを判定する固着判定を行う固着判定手段を更に備え、上記固着判定手段による上記固着判定は、上記検出排圧に基づいて設定される目標ノズル開度と上記ノズル開度検出手段によって検出される検出ノズル開度とのずれ量が所定値以上である状態が、所定時間以上続いたか否かを判定する判定である、という構成でもよい。
上記過給機付エンジンの制御装置において、上記燃料供給量制御手段は、上記エンジンに対する要求トルクに基づいて目標燃料供給量を設定するように構成されており、上記燃料供給量制御手段による上記燃料供給量制限制御は、上記上限燃料供給量及び上記検出排圧に基づいて求められる制限燃料供給量と、上記目標燃料供給量とを比較して、少ない方の供給量を最終燃料供給量に設定する制御である、という構成でもよい。
また、本発明の別の態様は過給機付きエンジンの制御方法の発明であり、この発明は、エンジンの燃焼室内に燃料を供給可能に構成された燃料噴射弁と、上記エンジンの排気通路に設けられたタービンと上記エンジンの吸気通路に設けられたコンプレッサとを有し、上記排気通路内を流れる排気ガスによって上記タービンを回転させることにより、上記コンプレッサを駆動するターボ過給機であって、上記排気通路において、上記タービンへの上記排気ガスの入口通路における、該排気ガスの流路断面積を変更可能に構成された1つ又は複数の可動部材を有するターボ過給機とを備えた過給機付エンジンの制御方法であって、上記排気通路における上記タービンよりも排気上流側の部分の排気ガスの圧力を検出する排圧検出工程と、上記複数の可動部材の開度であるノズル開度を検出するノズル開度検出工程と、上記エンジンの出力軸の回転角からエンジン回転数を検出するエンジン回転数検出工程と、上記燃料噴射弁から上記燃焼室に供給される燃料の供給量を設定する燃料供給量設定工程と、上記排圧検出工程で検出された検出排圧が、第1所定排圧以上であるときに、上記ノズル開度検出工程で検出された上記ノズル開度と、上記エンジン回転数検出工程で検出されたエンジン回転数とに基づいて上限燃料供給量を設定する上限燃料供給量設定工程とを含み、上記燃料供給量設定工程は、上記検出排圧が上記第1所定排圧以上であるときには、上記エンジンの1サイクルあたりの燃料の供給量を、上記上限燃料供給量設定工程で設定された上限燃料供給量以下に設定する工程である、という構成とした。
この構成によると、タービンが過回転状態となる可能性が高いときには、燃料供給量設定工程において、燃料の供給量を制限して、上記排気上流部の排圧を速やかに低下させることができる。これにより、可動部材が固着状態であるか否かの判定の完了を待つこと無く、タービンが過回転状態となる可能性が高いときに、速やかに、タービンを回転させるための排気エネルギーを低下させて、タービンの回転数を低下させることができる。この結果、タービンの回転数を適切に制御して、ターボ過給機の損傷を防止することができる。
上記過給機付エンジンの制御方法において、上記燃料供給量設定工程は、上記検出排圧が、上記第1所定排圧よりも大きい値に設定された第2所定排圧以上であるときには、上記燃料の供給量を0に設定する工程である、ことが望ましい。
この構成によると、検出排圧が第2所定排圧以上であり、タービンが過回転状態となる可能性がさらに高いときには、燃料供給量設定工程において、燃料供給量を0に設定することにより、上記排気上流部の排圧を急激に低下させることができる。これにより、一層、ターボ過給機の損傷を防止することができる。
上記過給機付エンジンの制御方法の一実施形態では、上記コンプレッサによる吸気の過給圧を検出する過給圧検出工程をさらに含み、上記上限燃料供給量設定工程は、上記過給圧検出工程で検出された検出過給圧が所定過給圧以上であるときには、上記検出排圧が上記所定排圧未満であるときであっても、上記ノズル開度検出工程で検出された上記ノズル開度と、上記検出されたエンジン回転数とに基づいて上限燃料供給量を設定する工程であり、上記燃料供給量設定工程は、上記過給圧検出工程で検出された検出過給圧が所定過給圧以上であるときには、上記検出排圧が上記第1所定排圧未満であるときであっても、上記エンジンの1サイクルあたりの燃料の供給量を上記上限燃料供給量以下に設定する工程である。
すなわち、過給圧は、基本的に、コンプレッサの回転数が高いほど高くなるため、排圧の他に、過給圧に基づいてエンジンの1サイクルあたりの燃料の供給量を上限燃料供給量以下に制限することによって、排気上流部内の排圧が第1所定排圧以上でない状態で、タービンが過回転状態となる可能性が高いときでも、タービンが過回転状態となること抑制して、ターボ過給機の損傷を防止することができる。
上記燃料供給量設定工程が、上記検出排圧が上記第2所定排圧以上であるときには、上記燃料の供給量を0に設定する工程である、過給機付エンジンの制御方法において、上記燃料供給量設定工程は、上記検出排圧が上記第1所定排圧以上かつ上記第2所定排圧未満であるときに、上記燃料の供給量が上記検出排圧に基づいて設定されるときには、上記検出排圧が上記第1所定排圧に対して高いほど、上記燃料の供給量を小さく設定する工程である、ことが望ましい。
この構成により、上記燃料供給量設定工程において、上記燃料の供給量が検出排圧に基づいて設定されるときには、検出排圧が第1所定排圧に対して大きいほど、上記燃料の供給量が小さくなるよう制御されるため、上記排気上流部の排圧が第1所定排圧に対して、高い側に大きく離れていたとしても、上記排気上流部の排圧を速やかに低下させることができる。これにより、ターボ過給機の損傷をより防止することができる。
上記過給機付エンジンの制御方法において、上記検出排圧が上記第1所定排圧以上であるときに、上記複数の可動部材が上記流路断面積を変更可能な状態であるか否かを判定する固着判定を行う固着判定工程を更に含み、上記固着判定工程は、上記排圧検出工程の検出結果に基づいて設定された目標ノズル開度と上記ノズル開度検出工程によって検出された検出ノズル開度とのずれ量が所定値以上である状態が、所定時間以上続いたか否かを判定する工程である、という構成でもよい。
上記過給機付エンジンの制御方法において、上記燃料供給量設定工程は、上記検出排圧が上記第1所定排圧以上であるときには、上記エンジンの1サイクルあたりの燃料の供給量を、上記上限燃料供給量設定工程で設定された上限燃料供給量以下に設定する工程であるとともに、上記エンジンに対する要求トルクに基づいて目標燃料供給量を設定する工程であり、さらに上記燃料供給量設定工程は、上記上限燃料供給量及び上記検出排圧に基づいて求められる制限燃料供給量と、上記目標燃料供給量とを比較して、少ない方の供給量を最終燃料供給量に設定する工程である、という構成でもよい。
以上説明したように、本発明の過給機付きエンジンの制御装置及び制御方法によると、可動部材が固着状態であるか否かに関わらず、検出排圧が第1所定排圧以上であるときに、ノズル開度検出手段によって検出される検出ノズル開度と、エンジン回転数検出手段によって検出されるエンジン回転数とに基づいて上限燃料供給量が設定され、エンジンの1サイクルあたりの燃料の供給量が上記上限燃料供給量以下に制限されるため、タービンの回転数が、ターボ過給機自体を損傷させるような回転数まで上昇する可能性が高いときに、可動部材が固着状態であるか否かの判定を待つことなく、上記燃料の噴射量を制限して、上記排気通路における上記タービンよりも排気上流側の部分の排圧を低下させて、速やかに、タービンを回転させるための排気エネルギーを低下させることができる。この結果、タービンが過回転状態となることを抑制して、ターボ過給機の損傷を防止することができる。
本発明の実施形態に係る制御装置が適用されたエンジンシステムを示す概略図である。 ターボ過給機のタービン室を拡大した図である。 図2のIII-III線で切ったタービン室の断面図である。 エンジンの制御系を示すブロック図である。 エンジン回転数及びノズル開度に基づいて上限燃料噴射量を決定するためのマップの一例である。 排圧及び過給圧に基づいて燃料噴射量を設定する際の処理動作を示すフローチャートである。 検出排圧が第1所定排圧以上の排圧となり、燃料噴射量制限制御が実行される際の、燃料噴射量及び排圧の変化を示すタイミングチャートである。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る制御装置が適用されたエンジンシステム200を示す。エンジンシステム200は、主に、ディーゼルエンジンとしてのエンジンEと、エンジンEに吸気を供給する吸気系INと、エンジンEに燃料を供給するための燃料供給系FSと、エンジンEから排出される排気ガスを、エンジンEが搭載された車両の外部に排出するための排気系EXと、エンジンシステム200に関する各種の状態を検出する複数のセンサと、エンジンシステム200の制御を行うパワートレインコントロールモジュール50(図4参照、以下、Powertrain Control Moduleを省略してPCM50という)と、を有している。
エンジンEは、複数の気筒16a(図1では1つのみを記載)を有する多気筒エンジンであって、上記複数の気筒16aが設けられたシリンダブロック16と、このシリンダブロック16上に配設されたシリンダヘッド12と、シリンダブロック16の下側に配設され、エンジンEの駆動系の潤滑に用いられる潤滑油が貯留されたオイルパン18とを有している。エンジンEの各気筒16a内には、ピストン23が気筒16a内を往復運動可能にそれぞれ嵌挿されていて、このピストン23の頂面と気筒16aの側壁とシリンダヘッド14の下面とによって、燃焼室17が気筒16a毎に形成されている。
上記ピストン23は、コンロッド24を介して、エンジンEの出力軸としてのクランクシャフト25と連結されており、該クランクシャフト25は、ピストン23の往復運動によって回転される。
上記シリンダヘッド14には、気筒16a毎に吸気ポート19及び排気ポート29が形成されているとともに、これら吸気ポート19及び排気ポート29における燃焼室17側の開口を開閉する吸気バルブ15及び排気バルブ27がそれぞれ配設されている。また、シリンダヘッド14には、燃焼室17内に燃料を供給可能に構成された燃料噴射弁20と、エンジンEの始動時等において、吸気と燃料との混合気への着火性を高めるためのグロープラグ21とが気筒16a毎にそれぞれ配設されている。
さらに、エンジンシステム200には、エンジンEの出力を利用して発電するオルタネータ26が設けられている。
エンジンEには、エンジンE等を冷却するための冷却水の温度を検出する冷却水温度センサ109と、クランクシャフト25の回転角からエンジンEの回転数を検出するエンジン回転数センサ110(エンジン回転数検出手段)と、オイルパン28内のオイルレベルを検出するための光学式オイルレベルセンサ111とが設けられている。
また、このエンジンEは、その排気量を1.5リットル程度とした、比較的排気量の小さいエンジンとなるように構成されている。このエンジンEは、比較的小型軽量であり且つ、機械抵抗が低く、燃費性能が高い。
吸気系INは、エンジンEの各気筒16aの吸気ポート19に連通する吸気通路1を有している。この吸気通路1の吸気上流側端部には、上記車両の外部から導入された吸気を濾過するエアクリーナー3が配設されている。一方、吸気通路1における吸気下流側端部の近傍部分には、エンジンEに供給する吸気を一時的に蓄えるサージタンク12が配設されている。吸気通路1におけるサージタンク12よりも吸気下流側の部分は、気筒16a毎に分岐する吸気マニホールド(図示省略)によって構成されており、該吸気マニホールドにおける吸気下流側の端部が、各気筒16aの吸気ポート19にそれぞれ接続されている。
吸気通路1におけるエアクリーナー3とサージタンク12との間には、吸気上流側から吸気下流側に向かって順に、後述する低圧EGR装置48の低圧EGR通路48aと吸気通路1との接続部と、ターボ過給機5のコンプレッサ5aと、各気筒16aの燃焼室17への吸気の流量を調整するための吸気シャッター弁7と、上記コンプレッサ5aにより過給された空気を冷却するインタークーラー8と、後述する高圧EGR装置43の高圧EGR通路43aと吸気通路1との接続部とがそれぞれ配設されている。また、インタークーラー8には、冷却水が通る通路である冷却水通路10を介して、インタークーラー8に通水する冷却水の流量を調整するウォーターポンプ9が接続されている。尚、インタークーラー8に通水する冷却水(つまり、冷却水通路10を通る冷却水)は、エンジンEから供給されるようになっている。
吸気系INにおいて、吸気通路1の、エアクリーナー3よりも吸気下流側かつコンプレッサ5aよりも吸気上流側(厳密には、後述する低圧EGR通路48aと吸気通路1との接続部よりも吸気上流側)の部分には、吸気量を検出するエアフローセンサ102とエアクリーナー3通過直後の吸気の温度を検出する第1吸気温度センサ103とが設けられている。また、吸気シャッター弁7には、該吸気シャッター弁7の開度を検出する吸気シャッター弁開度センサ105が設けられ、吸気通路1の、インタークーラー8よりも吸気下流側かつサージタンク12よりも吸気上流側(厳密には、後述する高圧EGR通路43aと吸気通路1との接続部よりも吸気上流側)の部分には、インタークーラー8を通過した直後の吸気の温度を検出する第2吸気温度センサ106とターボ過給機5のコンプレッサ5aにより過給され、インタークーラー8を通過した後の吸気の過給圧を検出する過給圧センサ107(過給圧検出手段)とが設けられている。さらに、吸気通路1には、吸気通路1における上記吸気マニホールドの温度を検出する吸気マニホールド温度センサ108が設けられている。
燃料供給系FSは、燃料を貯留する燃料タンク30と、該燃料タンク30から燃料噴射弁20に燃料を供給するための燃料供給通路38とを有する。燃料供給通路38上には、上流側(燃料タンク30側)から順に、低圧燃料ポンプ31と、高圧燃料ポンプ33と、コモンレール35とが設けられている。低圧燃料ポンプ31には、燃料ウォーマー32が設けられ、高圧燃料ポンプ33には、燃圧レギュレーター34が設けられ、コモンレール35には、コモンレール減圧弁36が設けられている。燃料タンク30に貯留された燃料は、低圧燃料ポンプ31によって高圧燃料ポンプ33に送られ、高圧燃料ポンプ33に送られた燃料は、該高圧燃料ポンプ33によってコモンレール35に圧送される。コモンレール35は、圧送された燃料を、比較的高い燃料圧力で蓄えることが可能であり、コモンレール35に蓄えられた燃料は、燃料噴射弁20が開弁することによって、燃料噴射弁20の燃料噴射口から燃焼室17に噴射(供給)される。尚、図示は省略しているが、燃料供給通路38における、低圧燃料ポンプ31と高圧燃料ポンプ33との間の部分及び低圧燃料ポンプ31と高圧燃料ポンプ33との間の部分の少なくとも一方には、燃料タンク30に貯留された燃料に含まれる異物等を除去するための燃料フィルタが設けられている。
また、燃料供給系FSには、高圧燃料ポンプ33に、燃料の温度を検出する燃料温度センサ114が設けられ、コモンレール35に、該コモンレール35内の燃料の圧力を検出する燃圧センサ115が設けられている。
排気系EXは、排気ガスが通過する排気通路41を有している。排気通路1は、エンジンEの各気筒16aの排気ポート29と連通しており、エンジンEと排気通路41との接続部分は、気筒16a毎に分岐して排気ポート29の外側端に接続された独立通路と該各独立通路が集合する集合部とを有する排気マニホールド(図示省略)によって構成されている。
排気通路41における排気マニホールドよりも排気下流側には、排気上流側から順に、後述する高圧EGR装置43の高圧EGR通路43aと排気通路41との接続部と、排気通路41を通過する排気ガスによって回転され、この回転によって上記コンプレッサ5aを回転駆動する、ターボ過給機5のタービン5bと、排気ガスの浄化機能を有する酸化触媒45及びディーゼルパティキュレートフィルタ(以下、Diesel particulate filterを省略してDPFという)46と、後述する低圧EGR装置48の低圧EGR通路48aと排気通路41との接続部と、上記車両外部に排出する排気流量を調整する排気シャッター弁49とが設けられている。
酸化触媒45は、白金又は白金にパラジウムを加えたもの等を担持した酸化触媒を有していて、排気ガス中のCO及びHCが酸化されてCO2及びH2Oが生成する反応を促す触媒である。また、DPF46は、排気ガス中の煤等の微粒子を捕集して、該排気ガスを浄化するフィルタである。
排気系EXにおいて、排気通路41の、タービン5bよりも排気上流側の部分(以下、排気上流部41aという)には、該排気上流部41aにおける排気ガスの温度を検出する第1排気温度センサ116と、上記排気上流部41aにおける排気ガスの圧力(以下、単に排圧という)を検出する排圧センサ117(排圧検出手段)とが設けられている。また、排気通路41の、タービン5bよりも排気下流側かつ酸化触媒45よりも排気上流側の部分には、酸化触媒45を通過する前の排気ガスの温度を検出する第2排気温度センサ118が設けられ、排気通路41の、酸化触媒45とDPF46との間の部分には、酸化触媒45の通過後かつDPF46の通過前の排気ガスの温度を検出する第3排気温度センサ119が設けられ、DPF46には、該DPF46の排気上流側と排気下流側との排圧の差を検出するDPF差圧センサ120が設けられている。さらに、排気通路41の、DPF46よりも排気下流側(厳密には、後述する低圧EGR通路48aと排気通路41との接続部よりも排気下流側)かつ排気シャッター弁49よりも排気上流側の部分には、該部分における排気ガス中の酸素濃度を検出するリニアO2センサ121と、当該部分における排気ガスの温度を検出する第4排気温度センサ122とが設けられている。
本実施形態のエンジンシステム200は、さらに、排気ガスの一部を吸気側に還流させるための装置として、高圧EGR装置43と低圧EGR装置48とを有している。高圧EGR装置43は、排気通路41における上記排気マニホールドとターボ過給機5のタービン5bとの間の部分と、吸気通路1におけるインタークーラー8とサージタンク12との間の部分とを接続する高圧EGR通路43aと、該高圧EGR通路43aを通過させる排気ガスの流量を調整する高圧EGRバルブ43bとを有しており、排気通路41に排出された比較的高圧の排気ガスを吸気側に還流させる。一方、低圧EGR装置48は、排気通路41におけるDPF46と排気シャッター49との間の部分と吸気通路1におけるエアクリーナー3とターボ過給機5のコンプレッサ5aとの間の部分とを接続する低圧EGR通路48aと、該低圧EGR通路48aを通過する排気ガスを冷却するための低圧EGRガスクーラー48bと、上記低圧EGR通路48aを通過させる排気ガスの流量を調整する低圧EGRバルブ48cと、上記低圧EGR通路48aを通過させる排気ガスに含まれる煤等の混入物を捕集するための低圧EGRフィルタ48dとを有しており、排気通路41に排出された比較的低圧の排気ガスを吸気側に還流させる。
本実施形態のエンジンシステム200に設けられたターボ過給機5は、タービン5bが低速で回転するときでも効率良く過給を行うことができるように小型に形成されているとともに、エンジンEの運転状態に応じてタービン5bに流入する排気ガスの流路断面積を変化させることで、タービン5bに流入する排気ガスの流速を調整可能な可変容量型のターボ過給機として構成されている。タービン5bの入口、つまり排気通路41におけるタービン5bの直上流部には、排気ガスの流路断面積を調整のための可動式ベーン(可動部材)5cが配設されている。
ここで、図2及び図3を参照しながら、ターボ過給機5のタービン5b周辺の構造について説明する。
図2及び図3に示すように、タービン5bは、タービンケーシング153内に形成されたタービン室153aの略中央部に配設されており、該タービン5bの周囲を取り囲むように複数の可動式ベーン5cが配設されている。各可動式ベーン5cは、図3に示すように、タービン室153aの一方側の壁部(図3における可動式ベーン5cの右側の壁部)を貫通する支軸5dによって回動可能に支持されている。そして、可動式ベーン5cがそれぞれ支軸5dの周りに回動して(図2で時計回りに回動して)、相互に近接するように傾斜すると、可動式ベーン5c相互間に形成されるノズル155の開度(ノズル断面積)が小さく絞られて、排気流量が少ないときでも、タービン5bを回転させるための排気エネルギーを高くすることができるため、高い過給効率が得られるようになる。一方で、可動式ベーン5cが上記とは反対側に回動して(図2で反時計回りに回動して)、相互に離反するように傾斜すると、ノズル断面積が大きくなり、排気流量の多いときでも通気抵抗を低減して、過給効率を高くすることができる。ノズル断面積は、排気ガスの流路断面積に相当する。
より詳しくは、図3に示すように、タービンケーシング153の内部には、タービン室153aに対しタービン軸の延びる方向に隣接して、該タービン室153に対応するように環状の空洞部153bが形成されており、上記可動式ベーン5cの支軸5dは、それぞれ、上記空洞部153bとタービン室153aとの間の隔壁を貫通して、該空洞部153b内に突出している。この支軸5dの上記空洞部153bに突出した部分には、それぞれ馬蹄形状の連結部材156の基端部が取り付けられ、この各連結部材156の先端側に連結ピン156aの一端部が摺動可能に取り付けられている。また、該連結ピン156aの他端部は、可動式ベーン5cに対応するように空洞部153bの全周に亘って配置されたリング部材157に回動可能に固定されている。
リング部材157は、リンク機構158を介してアクチュエータ162(図4参照)のロッド163に駆動連結されている。詳しくは、図3に示すように、リンク機構158は、一端部がリング部材157に回動可能に連結された連結ピン158aと、該連結ピン158aの他端部に一端部を回動可能に連結された第1連結板部材158bと、該第1連結板部材158bの他端部に連結されるとともに、タービンケーシング153の外壁を貫通する柱状部材158cと、該柱状部材158cのタービンケーシング153外へ突出する突出端部に一端部を連結された第2連結板状部材158dとからなり、該第2連結板状部材158dの他端部が、連結ピン153eによりアクチュエータ162のロッド163に回動可能に連結されている。そして、上記アクチュエータ162の作動により、ロッド163が動作して、該動作がリンク機構158を介してリング部材157に伝達されて、リング部材157がタービン軸の軸線X周りに回動することで、可動式ベーン5cがそれぞれ支軸5d周りに同期回動されるようになっている。すなわち、ノズル155の開度は、ロッド163の動作によって変更されるようになっている。
また、ターボ過給機5において、ロッド163の近傍位置には、ロッド163の位置を検出するノズルポジションセンサ123が設けられている。
上述のように構成されたエンジンシステム200は、PCM50によって制御される。PCM50は、プログラムを実行するCPU、プログラムやデータを格納するメモリ、カウンタタイマ群、インターフェース及びこれらのユニットを接続するパスを有するマイクロプロセッサで構成されている。
PCM50には、図4に示すように、各種のセンサからの検出信号が入力される。そうしたセンサとしては、例えば、上記車両の車速を検出する車速センサ100と、上記車両のドライバによるアクセルペダルの踏み込み量(ドライバの操作によるアクセル開度)を検出するアクセル開度センサ101と、エンジンEの回転数を検出するエンジン回転数センサ110と、ターボ過給機5のコンプレッサ5aにより過給され、インタークーラー8を通過した後の吸気の過給圧を検出する過給圧センサ107と、排気上流部41aにおける排圧を検出する排圧センサ117と、ロッド163の位置を検出するノズルポジションセンサ123とである。
PCM50は、これらの検出信号に基づいて種々の演算を行うことによってエンジンEや車両の状態を判定し、これに応じて燃料噴射弁20及びロッド163を駆動させるアクチュエータ162を含む種々の装置(グロープラグ19、及び、各種の弁(吸気シャッター弁7、排気シャッター弁49、高圧EGR弁43b、及び低圧EGR弁48c))へ制御信号を出力する。
PCM50は、基本的には、上記車両のドライバが要求するトルク(以下、要求トルクという)に基づいて、エンジンEの1サイクルあたりに燃焼室17内に噴射する燃料の噴射量(以下、燃料噴射量という)を設定して、該設定された燃料噴射量だけ燃料噴射弁20から燃焼室17に燃料が噴射されるように、上記燃料噴射量に基づくパルス幅を有する信号を、上記燃料噴射弁20に出力する。PCM50には、予め要求トルクに基づいて燃料噴射量を決定するためのマップが格納されており、PCM50は、要求トルクに基づいて燃料噴射量を設定するときには、上記マップに従って燃料噴射量を設定する。このことから、PCM50は燃料供給量制御手段を構成する。以下の説明において、要求トルクに基づいて設定された燃料噴射量を目標燃料噴射量という。尚、上記目標燃料噴射量は、後述する上限燃料噴射量(上限燃料供給量)に対して多くなることも少なくなることもある。また、上記要求トルクは、車速センサ100、アクセル開度センサ101及びエンジン回転数センサ110の検出信号に基づいて決定される。
また、PCM50は、ノズルポジションセンサ123によって検出されたロッド163の位置から、ノズル155の開度、すなわち、タービン5bの入口通路における、排気ガスの流路断面積を検出する。すなわち、PCM50は流路断面積検出手段を構成する。尚、上記排気ガスの流路断面積を直接検出することが可能なセンサを設けて、上記排気ガスの流路断面積を検出するようにしてもよい。
さらに、PCM50は、排圧センサ117によって検出される検出排圧に基づいて、目標ノズル開度を設定し、ノズル開度が該目標ノズル開度になるようにアクチュエータ162を作動させ、ロッド163を駆動させて、適切な過給圧が得られつつ、タービン5bの回転数が、ターボ過給機5自体を損傷させるような回転数まで上昇しないように、ノズル開度を調整する。尚、以下の説明において、「回転数が、ターボ過給機5自体を損傷させるような回転数まで上昇した状態」のことを「過回転状態」という。
上述のように、ノズル開度を調整することによって、吸気の過給圧を応答性よく立ち上げて、燃焼効率の向上等を図りつつ、タービン5bが過回転状態となることを防止することができる。しかしながら、可動式ベーン5cが正常に作動しなくなった場合、タービン5bが過回転状態となる可能性がある。すなわち、図3に示すように、可動式ベーン5cとタービン室153aの側壁部とのクリアランスは、極めて狭く形成されており、排気ガス中に含まれる煤などが可動式ベーン5cと上記側壁部との間の部分に堆積すると、可動式ベーン5cが、上記側壁部に固着した固着状態になってしまうことがある。特に、可動式ベーン5cが閉じ側に位置している状態で固着してしまうと、タービン5bに作用する排気ガスの流速が異常に高くなって、タービン5bが過回転状態となり、最終的にターボ過給機5自体が損傷してしまうおそれがある。
このような、可動式ベーン5cの固着に対する対策として、排気上流部41a内の排圧を検出して、検出された排圧が第1所定排圧以上であるときに、可動式ベーン5cが固着状態であるか否かを判定して、可動式ベーン5cが固着状態であると判定された後に、燃焼室17への燃料噴射量を減少させ、排気量を減少させることで、排気上流部41a内の排圧を下げて、タービン5bの回転数の上昇を抑制するという方法がある。しかしながら、本実施形態のエンジンEのように、比較的小型のエンジンでは、ターボ過給機5も小型であり、このような小型のターボ過給機5は、過給レスポンスが高いため、可動式ベーン5cが固着した後、可動式ベーン5cの固着判定を行っている間に、タービン5bが過回転状態になるおそれがある。
そこで、本実施形態では、PCM50は、排圧センサ117によって検出された検出排圧が第1所定排圧以上であるときには、エンジン回転数センサ110によって検出される検出エンジン回転数と、ノズルポジションセンサ123によって検出される検出ノズル開度とに基づいて、上限燃料噴射量を設定し、固着判定がなされるよりも先に、上記燃料噴射量を、上記上限燃料噴射量以下に制限する燃料噴射量制限制御(燃料供給量制限制御)を実行する。ここで、上記第1所定排圧は、可動式ベーン5cの開き側への応答遅れや、エンジンEから排出される排気ガスの流量の増大等による、排圧の異常増大を検出するための閾値であって、例えば、400kPa程度である。また、上記上限燃料噴射量は、排気上流部41a内の排圧を、上記第1所定排圧よりも小さい排圧にすることが可能な燃料噴射量である。
以下、PCM50により実行される燃料噴射量制限制御について、具体的に説明する。
PCM50は、先ず、上記検出エンジン回転数と上記検出ノズル開度とに基づいて、上記上限燃料噴射量を設定する。PCM50には、図5に示すような上記上限燃料噴射量を決定するためのマップが予め格納されており、PCM50は該マップを読み込んで上記上限燃料噴射量を設定する。すなわち、PCM50は上限燃料供給量設定手段を構成する。
図5に示すように、PCM50は、上記検出エンジン回転数が同じであれば、上記検出ノズル開度が小さいほど上記上限燃料噴射量を小さい値に設定する。すなわち、ノズル開度が小さい状態では、排気上流部41a内の排圧が上昇しやすく、タービン5bを回転させる排圧エネルギーが高くなりやすい。そのため、上記検出ノズル開度が小さいほど、上記上限燃料噴射量を減少させ、エンジンEから排気通路41に排出される排気ガスの流量を小さくして、排気上流部41a内の排圧を下げるようにしている。また、PCM50は、排気ガスの流量が、タービン5bが過回転状態となり得ないような流量にしかならない程度にエンジン回転数が低い領域を除いて、上記検出ノズル開度が同じであれば、上記検出エンジン回転数が高いほど上記上限燃料噴射量を小さい値に設定する。すなわち、エンジン回転数が高い状態であれば、エンジンEから排気通路41に排出される排気ガスの流量が大きくなり、排気上流部41a内の排圧が上昇しやすくなる。そのため、上記上限燃料噴射量を減少させ、エンジンEから排気通路41に排出される排気ガスの流量を小さくして、排気上流部41a内の排圧を下げるようにしている。尚、図5に示すようなマップは、予め実験によって定められるものであり、ターボ過給機毎に異なるマップになり得るものである。
PCM50は、上記上限燃料噴射量を設定した後、上記検出排圧と上記第1所定排圧とを比較して、上記第1所定排圧に対する上記検出排圧の大きさに基づいて係数AEXを決定する。PCM50は、係数AEXを決定した後、上記上限燃料噴射量に上記係数AEXを乗じて、エンジン回転数、ノズル開度及び排圧に基づいて定められる燃料噴射量である制限燃料噴射量を算出する。
次に、PCM50は、上記制限燃料噴射量と上記目標燃料噴射量とを比較して、上記制限燃料噴射量が上記目標燃料噴射量以下であるときには、上記制限燃料噴射量を、実際に燃焼室17に噴射する燃料の噴射量(以下、最終燃料噴射量という)に設定する一方、上記制限燃料噴射量が上記目標燃料噴射量よりも大きいときには、上記目標燃料噴射量を最終燃料噴射量に設定する。
そして、PCM50は、燃料噴射量が、設定した最終燃料噴射量となるよう燃料噴射弁20を作動させる。具体的には、燃料噴射弁20から最終燃料噴射量だけ燃料が燃焼室17に噴射されるようなパルス幅を有する信号を、上記燃料噴射弁20に出力する。
このように、上記検出排圧が上記所定排圧以上であるときに、燃料噴射量制限制御を実行することによって、エンジンEから排気通路41に排出される排気量が減少するため、排気上流部41a内の排圧が減少する。これにより、タービン5bを回転させるための排気エネルギーが減少するため、タービン5cの回転数の上昇が抑えられる。この結果、可動式ベーン5cが閉じ側に位置した状態で固着したとしても、タービン5bが過回転状態となることを抑制して、ターボ過給機5の損傷を防止することができる。
しかしながら、例えば、可動式ベーン5cが、上記ノズル開度が最小となる位置で固着してしまうと、排気上流部41a内の排圧が、タービン5bが過回転状態となるような排圧まで急激に上昇してしまうことがある。また、上記燃焼噴射量制限制御を実行している間に、排気上流部41a内の排圧が、タービン5bが過回転状態となるような排圧まで上昇することもある。これらのときには、燃焼室17への燃料噴射自体を一時的に停止させて、排気上流部41a内の排圧を一気に低下させることが望ましい。
そこで、本実施形態では、PCM50は、上記検出排圧が、上記第1所定排圧よりも高い値に設定された第2所定排圧以上であるときには、最終燃料噴射量を0にするように構成されている。詳しくは、PCM50は、上記検出排圧が上記第2所定排圧以上であるときには、上記係数AEXを0にして、上記制限燃料噴射量を0にする。上記制限燃料噴射量が0になることにより、最終燃料噴射量が0に設定されて、燃料噴射が一時的に停止されるため、エンジンEからの排気ガスの流量を急激に減少させて、排気上流部41a内の排圧を一気に低下させることができる。この結果、タービン5bを回転させるための排気エネルギーを減少させて、タービン5bが過回転状態となることを抑制して、ターボ過給機5の損傷を防止することができる。ここで、上記第2所定排圧は、タービン5bが過回転状態となるような排圧よりも僅かに低い値に設定されており、ターボ過給機の構成に基づいて設定される。
上述のように、係数AEXは、上記検出排圧が上記第2所定排圧であるときに0に設定されるようになっている。係数AEXは、上記検出排圧が上記第1所定排圧以上かつ上記第2所定排圧未満の範囲において、上記検出排圧が上記第1所定排圧に対して高い程小さい値に設定される。具体的には、上記検出排圧が上記第1所定排圧であるときを1として、上記第1所定排圧から上記第2所定排圧に近づくほど0に近い値に設定される。尚、上記検出排圧が、上記第1所定排圧と上記第2所定排圧との間の値であるときの係数AEXは、エンジンEとターボ過給機5との相互作用による排圧の上昇及び低下を、予め実験によって検出することで定められており、ターボ過給機毎に異なる値に設定され得るものである。
尚、PCM50は、上述のような燃料噴射量制限制御を実行しつつ、可動式ベーン5cの固着判定についても同時進行で行っており、可動式ベーン5cが実際に固着しているか否かについても判定を行っている。該固着判定は、上記検出排圧に基づいて設定されたノズル155の上記目標ノズル開度に対する上記検出ノズル開度のずれ量が所定値以上である状態が、所定時間以上続いたか否か検出することによって行う。上記所定時間は3秒程度である。
ここで、タービン5cの回転数は、排気上流部41a内の排圧が高いほど高くなるため、基本的には、上記検出排圧に基づいて燃料噴射量を制御することで、タービン5bが過回転状態となることを防止することができるが、可動式ベーン5cが固着してから排気上流部41a内の排圧が上昇するには僅かに時間がかかるため、例えば、可動式ベーン5cが、上記ノズル開度が最小となる位置で固着したときには、排気上流部41a内の排圧が上記第1所定排圧まで上昇する前にタービン5bが過回転状態となる可能性がある。
そこで、本実施形態では、PCM50は、過給圧センサ107によって検出された検出過給圧が所定過給圧以上であるときには、上記検出排圧が上記所定排圧未満であるときであっても上記燃料噴射量制限制御を実行するように構成されている。
具体的には、PCM50は、上記検出過給圧が上記所定過給圧以上であるときは、上記検出エンジン回転数と上記検出ノズル開度とに基づいて、上限燃料噴射量を設定した後、上記検出過給圧と上記所定過給圧とを比較して、係数ABOを設定する。次に、PCM50は、上記上限燃料噴射量に係数ABOを乗じて制限燃料噴射量を設定する。そして、PCM50は、上記制限燃料噴射量と上記目標燃料噴射量とを比較して、上記制限燃料噴射量が上記目標燃料噴射量以下であるときには、最終燃料噴射量を上記制限燃料噴射量に設定する一方、上記制限燃料噴射量が上記目標燃料噴射量よりも大きいときには、上記目標燃料噴射量を最終燃料噴射量に設定する。その後、PCM50は、上記燃料噴射量が、設定した最終燃料噴射量となるよう燃料噴射弁20を作動させる。尚、係数ABOは、係数AEXと同様に、予め実験によって定められており、上記検出過給圧が上記所定過給圧に対して大きい程、小さい値に設定されるようになっている。また、係数ABOは、ターボ過給機毎に異なる値に設定され得るものである。
これにより、上記検出排圧が上記第1所定排圧未満であるときであっても、上記検出過給圧が上記所定過給圧以上であり、タービン5bが過回転状態となってしまう可能性があるときには、燃料噴射量が制限されるため、タービン5bが過回転状態となることを抑制して、ターボ過給機5の損傷を防止することができる。
上述のように、PCM50による燃料噴射量制限制御は、上記検出排圧が上記第1所定排圧以上であるという条件、及び、上記検出過給圧が上記所定過給圧以上であるという条件の少なくとも一方の条件が満たされたときに実行される。上記2つの条件が両方満たされたときには、PCM50は、上記検出排圧及び上記検出過給圧に基づいて、係数AEXと係数ABOとをそれぞれ設定し、燃料噴射量をより抑えることができる方の係数、すなわち、小さい方の係数を選択して、上記制限燃料噴射量を算出する。逆に、上記2つの条件の両方が満たされなかったときには、上記燃料噴射量制限制御は実行されない。
次に、燃料噴射量制限制御を実行する際のPCM50の処理動作について、図6のフローチャートに基づいて説明する。尚、以下で説明するフローチャートは、上記検出排圧が上記第1所定排圧以上であるという条件、及び、上記検出過給圧が所定過給圧以上であるという条件の少なくとも一方の条件が満たされた後に実行されるフローチャートである。
最初のステップS101で、各種センサやスイッチからの入力信号を読み込み、次のステップS102で、上記ドライバの要求トルクに基づいて目標燃料噴射量を設定する。
続く、ステップS103では、検出エンジン回転数と検出ノズル開度とに基づいて上限燃料噴射量を設定する。
次のステップS104では、排圧センサ117により排気上流部41a内の排圧を検出して、次のステップS105で、係数AEXを設定する。尚、上記検出排圧が上記第1所定排圧以上でないときには、係数AEXは無限大に設定される。
続く、ステップS106では、過給圧センサ107により、コンプレッサ5aによる吸気の過給圧を検出して、次のステップS107で、係数ABOを設定する。尚、上記過給圧が上記所定過給圧以上の過給圧でないときには、係数ABOは無限大に設定される。
次のステップS108では、係数AEXと係数ABOとを比較して、小さい方の係数を選択する。尚、上述したように、このフローチャートは、上記検出排圧が上記第1所定排圧以上であるという条件、及び、上記検出過給圧が所定過給圧以上であるという条件の少なくとも一方の条件が満たされた後に実行されるものであるため、係数AEX及び係数ABOの両方が無限大に設定されていることはなく、係数AEX及び係数ABOの少なくとも一方は、0以上かつ1以下の値に設定されている。
続く、ステップS109では、上記ステップS108で選択した方の係数を、上記上限燃料噴射量に乗じて上記制限燃料噴射量を算出する。
次のステップS110では、上記目標燃料噴射量と上記制限燃料噴射量とを比較して、上記制限燃料噴射量が上記目標燃料噴射量以下であるか否かを判定する。上記ステップS110の判定がNOであるときにはステップS112に進む一方、上記ステップS110の判定がYESであるときにはステップS111に進む。
上記ステップS111では、上記制限燃料噴射量を最終燃料噴射量に設定する。ステップS111の後は、燃料噴射弁20に、最終燃料噴射量(つまり、上記制限燃料噴射量)だけ燃料が噴射されるような出力信号(パルス信号)を送った後、リターンする。
一方、上記ステップS112では、上記目標燃料噴射量を最終燃料噴射量に設定する。ステップS112の後は、燃料噴射弁20に、最終燃料噴射量(つまり、上記目標燃料噴射量)だけ燃料が噴射されるような出力信号(パルス信号)を送った後、リターンする。
PCM50は、上記検出排圧が上記第1所定排圧以上であるという条件、かつ、上記検出過給圧が上記所定過給圧以上であるという条件の少なくとも一方の条件が満たされている間、エンジンEの1サイクル毎に、上記フローチャートに基づいて上記燃料噴射量制限制御を行う。
次に、上述のように燃料噴射量制限制御を実行した場合の、排気上流部41a内の排圧及び燃料噴射量の変化について、図7を参照しながら説明する。排圧のグラフに示している破線は、上記第1所定排圧を表している。尚、図7に示す排圧は、排圧センサ117によって検出された検出排圧である。また、図7は、該図7に示す時間範囲において、上記検出過給圧が上記所定過給圧未満の状態であるときのタイミングチャートを示している。
上述したように、PCM50は、排気上流部41a内の排圧が上記第1所定排圧未満のときには、上記ドライバの要求トルクに基づいて設定された目標燃料噴射量で燃料を噴射する。そして、例えば時間t1において、上記ドライバから加速要求があると、PCM50は燃料噴射量が高くなるように上記目標燃料噴射量を設定して、燃料噴射弁20から燃焼室17へ燃料を噴射させる。また、上記ドライバから加速要求があったことによって、エンジン回転数も上昇する。このとき、エンジンEから排気上流部41aへの排気ガスの流量が増加するため、PCM50は、タービン5bが過回転状態となることを防ぐために、ノズル開度を大きくするように、アクチュエータ162を作動させる。
ここで、時間t2において、可動式ベーン5cが固着状態になると、排気上流部41a内の排圧が上昇していく。そして、時間t3において、排気上流部41a内の排圧(すなわち検出排圧)が上記第1所定排圧以上になると、PCM50は図6に示したフローチャートに基づいて、燃料噴射量制限制御を実行する。これにより、エンジンEから排気上流部41aへの排気ガスの流量が減少するため、可動式ベーン5cが固着状態のままであっても排気上流部41a内の排圧が徐々に減少していく。これにより、排気上流部41a内の排圧を上記第1所定排圧未満にすることができる。
尚、図7では明確に示していないが、上記検出排圧が上記第1所定排圧よりも小さくなったときには、PCM50は、上記燃料噴射量制限制御を停止させて、上記要求トルクに基づいて燃料噴射量を設定する(つまり、上記目標燃料噴射量を最終燃料噴射量に設定する)。そして、再び上記検出排圧が上記第1所定排圧以上になったときには、PCM50は、再び上記燃料噴射量制限制御を実行する。
また、PCM50は、時間t3において、排気上流部41a内の排圧が上記第1所定排圧以上になったときに、固着判定を開始する。上述したように、該固着判定は、上記目標ノズル開度に対する上記検出ノズル開度のずれ量が所定値以上である状態が、所定時間以上続いたか否か検出することで行われる判定であるため、判定開始から判定終了までに、所定時間程度(約3秒)の時間がかかる。そのため、時間t3から、所定時間程度の時間が経過した時間t4において固着判定が終了する。
図7の排圧のグラフには、上記燃料噴射量制限制御を実行せず、上記固着判定を行った後に燃料噴射量の制限を行う場合の排圧の変化を一点鎖線で示している。図7の排圧のグラフから、上記燃料噴射量制限制御を実行しない場合、固着判定を行っている間も排圧が上昇し続けることが分かる。このように、排圧が上昇し続けると、タービン5bが過回転状態となって、ターボ過給機5が損傷する可能性が高くなる。
したがって、本実施形態のように、上記燃料噴射量制限制御を実行することで、図7に示すように、可動式ベーン5cの固着判定が完了する前に、排気上流部41a内の排圧を上記第1所定排圧未満の排圧にすることができる。これにより、小型のターボ過給機など、過給レスポンスが高く、可動式ベーン5cの固着判定を行っている間に、タービン5bが過回転状態となる可能性が高いターボ過給機であっても、排気上流部41a内の排圧を速やかに減少させて、タービンが過回転状態となることを抑制して、ターボ過給機の損傷を防止することができる。
以上のように、本実施形態では、PCM50は、排圧センサ117によって検出された検出排圧が第1所定排圧以上であるときには、エンジン回転数センサ110によって検出される検出エンジン回転数と、ノズルポジションセンサ123によって検出される検出ノズル開度とに基づいて、上限燃料噴射量を設定し、上記燃料噴射量を、上記上限燃料噴射量以下に制限する燃料噴射量制限制御を実行するように構成されているため、上記検出排圧が上記第1所定排圧以上であり、タービン5bが過回転状態となる可能性が高いときに、可動式ベーン5cが固着状態であるか否かの判定を待つことなく、速やかに、排気上流部41a内の排圧を低下させて、タービン5bを回転させるための排気エネルギーを低下させることができる。この結果、タービン5bの回転数を適切に制御して、ターボ過給機5の損傷を防止することができる。
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
例えば、上述の実施形態では、ターボ過給機5は、タービン5bの周囲に複数の可動式ベーン5cが配置されるような構成であったが、これに限らず、タービンケーシング153内のタービン室153aへの入口部分に、排気ガスの流路断面積を調整するための可動式のダンパーを1つだけ配置するような構成であってもよい。
また、上述の実施形態では、ターボ過給機5は、比較的小型のターボ過給機であったが、これに限らず、小型のターボ過給機と比較して過給レスポンスが低い大型のターボ過給機であってもよい。
上述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
本発明は、タービンへの入口通路における、排気ガスの流路断面積を調整するための可動部材を備えたターボ過給機を有する過給機付エンジンの制御装置及び制御方法として有用である。
1 吸気通路
5 ターボ過給機
5a コンプレッサ
5b タービン
5c 可動式ベーン(可動部材)
20 燃料噴射弁
25 クランクシャフト(エンジンの出力軸)
41 排気通路
41a 排気上流部(排気通路におけるタービンよりも排気上流側の部分)
50 パワートレインコントロールモジュール(料供給量制御手段、上限燃料供給量設定手段)
107 過給圧センサ(過給圧検出手段)
110 エンジン回転数センサ(エンジン回転数検出手段)
117 排圧センサ(排圧検出手段)
123 ノズルポジションセンサ(ノズル開度検出手段
E エンジン

Claims (12)

  1. 過給機付エンジンの制御装置であって、
    上記エンジンの燃焼室内に燃料を供給可能に構成された燃料噴射弁と、
    上記エンジンの排気通路に設けられたタービンと上記エンジンの吸気通路に設けられたコンプレッサとを有し、上記排気通路内を流れる排気ガスによって上記タービンを回転させることにより、上記コンプレッサを駆動するターボ過給機であって、上記排気通路において、上記タービンへの上記排気ガスの入口通路における、該排気ガスの流路断面積を変更可能に構成された1つ又は複数の可動部材を有するターボ過給機と、
    上記排気通路における上記タービンよりも排気上流側の部分の排気ガスの圧力を検出する排圧検出手段と、
    上記複数の可動部材の開度であるノズル開度を検出するノズル開度検出手段と、
    上記エンジンの出力軸の回転角からエンジン回転数を検出するエンジン回転数検出手段と、
    上記燃料噴射弁から上記燃焼室に供給される燃料の供給量を制御する燃料供給量制御手段と、
    上記排圧検出手段によって検出された検出排圧が第1所定排圧以上であるときに、上記ノズル開度検出手段によって検出される検出ノズル開度と、上記エンジン回転数検出手段によって検出されるエンジン回転数とに基づいて上限燃料供給量を設定する上限燃料供給量設定手段と、を備え、
    上記燃料供給量制御手段は、上記検出排圧が上記第1所定排圧以上であるときに、上記エンジンの1サイクルあたりの燃料の供給量を、上記上限燃料供給量設定手段によって設定された上限燃料供給量以下に制限する燃料供給量制限制御を実行するように構成されていることを特徴とする過給機付エンジンの制御装置。
  2. 請求項1に記載の過給機付エンジンの制御装置において、
    上記燃料供給量制御手段は、上記検出排圧が、上記第1所定排圧よりも大きい値に設定された第2所定排圧以上であるときには、上記燃料供給量制限制御において、上記燃料の供給量を0にするように構成されていることを特徴とする過給機付エンジンの制御装置。
  3. 請求項1又は2に記載の過給機付エンジンの制御装置において、
    上記コンプレッサによる吸気の過給圧を検出する過給圧検出手段をさらに備え、
    上記上限燃料供給量設定手段は、上記過給圧検出手段によって検出された検出過給圧が所定過給圧以上であるときには、上記検出排圧が上記所定排圧未満であるときであっても、上記ノズル開度検出手段によって検出される検出ノズル開度と上記エンジン回転数検出手段によって検出されるエンジン回転数とに基づいて上限燃料供給量を設定するように構成され、
    上記燃料供給量制御手段は、上記過給圧検出手段によって検出された検出過給圧が上記所定過給圧以上であるときには、上記検出排圧が上記第1所定排圧未満であるときであっても、上記燃料供給量制限制御を実行するように構成されていることを特徴とする過給機付エンジンの制御装置。
  4. 請求項2に記載の過給機付エンジンの制御装置において、
    上記燃料供給量制御手段は、上記検出排圧が上記第1所定排圧以上かつ上記第2所定排圧未満であるときに、上記燃料供給量制限制御において、上記燃料の供給量が上記検出排圧に基づいて設定されるときには、上記検出排圧が上記第1所定排圧に対して高いほど、上記燃料の供給量を小さく設定するように構成されていることを特徴とする過給機付エンジンの制御装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の過給機付エンジンの制御装置において、
    上記検出排圧が上記第1所定排圧以上であるときに、上記複数の可動部材が上記流路断面積を変更可能な状態であるか否かを判定する固着判定を行う固着判定手段を更に備え、
    上記固着判定手段による上記固着判定は、上記検出排圧に基づいて設定される目標ノズル開度と上記ノズル開度検出手段によって検出される検出ノズル開度とのずれ量が所定値以上である状態が、所定時間以上続いたか否かを判定する判定であることを特徴とする過給機付エンジンの制御装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の過給機付エンジンの制御装置において、
    上記燃料供給量制御手段は、上記エンジンに対する要求トルクに基づいて目標燃料供給量を設定するように構成されており、
    上記燃料供給量制御手段による上記燃料供給量制限制御は、上記上限燃料供給量及び上記検出排圧に基づいて求められる制限燃料供給量と、上記目標燃料供給量とを比較して、少ない方の供給量を最終燃料供給量に設定する制御であることを特徴とする過給機付エンジンの制御装置。
  7. エンジンの燃焼室内に燃料を供給可能に構成された燃料噴射弁と、
    上記エンジンの排気通路に設けられたタービンと上記エンジンの吸気通路に設けられたコンプレッサとを有し、上記排気通路内を流れる排気ガスによって上記タービンを回転させることにより、上記コンプレッサを駆動するターボ過給機であって、上記排気通路において、上記タービンへの上記排気ガスの入口通路における、該排気ガスの流路断面積を変更可能に構成された1つ又は複数の可動部材を有するターボ過給機とを備えた過給機付エンジンの制御方法であって、
    上記排気通路における上記タービンよりも排気上流側の部分の排気ガスの圧力を検出する排圧検出工程と、
    上記複数の可動部材の開度であるノズル開度を検出するノズル開度検出工程と、
    上記エンジンの出力軸の回転角からエンジン回転数を検出するエンジン回転数検出工程と、
    上記燃料噴射弁から上記燃焼室に供給される燃料の供給量を設定する燃料供給量設定工程と、
    上記排圧検出工程で検出された検出排圧が、第1所定排圧以上であるときに、上記ノズル開度検出工程で検出された上記ノズル開度と、上記エンジン回転数検出工程で検出されたエンジン回転数とに基づいて上限燃料供給量を設定する上限燃料供給量設定工程とを含み、
    上記燃料供給量設定工程は、上記検出排圧が上記第1所定排圧以上であるときには、上記エンジンの1サイクルあたりの燃料の供給量を、上記上限燃料供給量設定工程で設定された上限燃料供給量以下に設定する工程であることを特徴とする過給機付エンジンの制御方法。
  8. 請求項に記載の過給機付エンジンの制御方法において、
    上記燃料供給量設定工程は、上記検出排圧が、上記第1所定排圧よりも大きい値に設定された第2所定排圧以上であるときには、上記燃料の供給量を0に設定する工程であることを特徴とする過給機付エンジンの制御方法。
  9. 請求項7又は8に記載の過給機付エンジンの制御方法において、
    上記コンプレッサによる吸気の過給圧を検出する過給圧検出工程をさらに含み、
    上記上限燃料供給量設定工程は、上記過給圧検出工程で検出された検出過給圧が所定過給圧以上であるときには、上記ノズル開度検出工程で検出された上記ノズル開度と、上記検出されたエンジン回転数とに基づいて上限燃料供給量を設定する工程であり、
    上記燃料供給量設定工程は、上記過給圧検出工程で検出された検出過給圧が所定過給圧以上であるときには、上記検出排圧が上記第1所定排圧未満であるときであっても、上記エンジンの1サイクルあたりの燃料の供給量を上記上限燃料供給量以下に設定する工程であることを特徴とする過給機付エンジンの制御方法。
  10. 請求項に記載の過給機付エンジンの制御方法において、
    上記燃料供給量設定工程は、上記検出排圧が上記第1所定排圧以上かつ上記第2所定排圧未満であるときに、上記燃料の供給量が上記検出排圧に基づいて設定されるときには、上記検出排圧が上記第1所定排圧に対して高いほど、上記燃料の供給量を小さく設定する工程であることを特徴とする過給機付エンジンの制御方法。
  11. 請求項7〜10のいずれか1つに記載の過給機付エンジンの制御方法において、
    上記検出排圧が上記第1所定排圧以上であるときに、上記複数の可動部材が上記流路断面積を変更可能な状態であるか否かを判定する固着判定を行う固着判定工程を更に含み、
    上記固着判定工程は、上記排圧検出工程の検出結果に基づいて設定された目標ノズル開度と上記ノズル開度検出工程によって検出された検出ノズル開度とのずれ量が所定値以上である状態が、所定時間以上続いたか否かを判定する工程であることを特徴とする過給機付エンジンの制御方法。
  12. 請求項7〜11のいずれか1つに記載の過給機付エンジンの制御方法において、
    上記燃料供給量設定工程は、上記検出排圧が上記第1所定排圧以上であるときには、上記エンジンの1サイクルあたりの燃料の供給量を、上記上限燃料供給量設定工程で設定された上限燃料供給量以下に設定する工程であるとともに、上記エンジンに対する要求トルクに基づいて目標燃料供給量を設定する工程であり、
    さらに上記燃料供給量設定工程は、上記上限燃料供給量及び上記検出排圧に基づいて求められる制限燃料供給量と、上記目標燃料供給量とを比較して、少ない方の供給量を最終燃料供給量に設定する工程であることを特徴とする過給機付エンジンの制御方法。
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