JP6406337B2 - エンジンの制御方法及び制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、可変容量型ターボ過給機を備えたエンジンの制御方法及び制御装置に関する。
過給機を備えたディーゼルエンジンにおいて、NO吸蔵触媒や尿素SCRシステム等の後処理装置を用いることなくNOの排出量を低減するため、大量のEGRガスを燃焼室に導入することが知られている。大量のEGRガスを導入することによって、燃焼室における酸素濃度を低減させると共に燃焼を緩慢にさせて、燃焼温度の低減を図り、燃焼室におけるNOの生成が抑制される。
この場合、大量のEGRガスは、過給機のタービン上流側の排気通路から該過給機のコンプレッサ下流側の吸気通路を連通する高圧EGR通路と、タービン下流側の排気通路からコンプレッサ上流側の吸気通路を連通する低圧EGR通路とを介して、供給されるようになっている。このようなディーゼルエンジンでは、一般に、低負荷時には高圧EGR通路を介してEGRガスが導入され、高負荷時には低圧EGR通路を介してEGRガスが導入される。
低圧EGR通路は燃焼室に至るまでの経路が長いため、低圧EGR通路を介してのEGRガス流量の調整には応答遅れが生じやすい。この応答遅れを補うため、可変容量型ターボ過給機(VGターボ:Variable Geometry Turbocharger)による過給圧制御によって、燃焼室における酸素濃度を管理することが知られている。
VGターボは、タービンホイールに供給される排気ガスの流路面積(ノズル面積)を拡縮可能なノズルベーンを有し、例えば低速時にノズル面積を縮小することにより排気ガスの流速を早めてタービンホイールの回転上昇を早め、高速時にズル面積を拡大することによりタービンホイールの回転上昇を抑制することを可能にしている。すなわち、ノズルベーンを開閉することにより過給圧を応答性よく調整できるようになっている。
ノズルベーンは、アクチュエータによって所望の目標開度に開閉駆動されるようになっているが、開閉動作に異常が生じる場合がある。例えば、ノズルベーンには、排気ガスから受ける排気圧の影響により開閉動作に、目標開度に対する応答遅れ(渋りとも呼ぶ)が生じる場合がある。特に、ノズルベーンが閉側に位置する場合、排気圧が増大するため、ノズルベーンの応答遅れが発生しやすい。また、ノズルベーンの摺動部に燃焼生成物等の異物が噛み込んだ場合、ノズルベーンは開閉不能になり固着してしまう。
このように、ノズルベーンの開動動作に異常が生じた場合には、過給圧を応答性よく調整できなくなり、排気ガス性能が悪化することになる。特に、ノズルベーンが固着した場合、例えば、開側において固着すると低速時において過給圧を上昇させ難くなり、閉側において固着すると高速時において排気圧及び過給圧が異常に高くなると共にターボが過回転状態となってしまい、エンジン本体及び過給機が損傷してしまう虞がある。
特許文献1には、ターボ回転数が所定以上のときに燃料噴射量を制限することが開示されている。燃料噴射量を制限することによって、タービンホイールに供給される排気ガスエネルギを低減して、この結果、ターボ回転数が低減されるようになっている。
特開2016−65505号公報
従来、VGターボは、中排気量(例えば2Lクラス)以上のディーゼルエンジンに主に採用されていたが、近年、小排気量ディーゼルエンジン(例えば1.5Lクラス)にも採用されている。小排気量ディーゼルエンジンの場合、特に低速時において、排気ガス流量の少なさに起因してVGターボであっても過給レスポンスの向上が十分でない場合がある。このため、タービン軸のイナーシャを低減させることによって、過給レスポンスを向上させることが行われている。
しかしながら、タービン軸のイナーシャを低減させることによって、ターボ回転数が過回転状態になりやすくなる。特に、ノズルベーンに過度の応答遅れが生じ又は固着状態となっている場合には、ターボ回転数は短時間で過回転状態となってしまう虞がある。このため、特許文献1のように、燃料噴射量を制限するだけでは、過回転を防止できない場合がある。
すなわち、ノズルベーンに過度の応答遅れ又は固着等の異常が生じていないときに基づいて、ターボ回転数が所定値を超えないように燃料噴射量の制限値を設定すれば、ノズルベーンに異常が生じている場合には燃料噴射量の制限が不十分となり、過回転状態になってしまう可能性がある。また、ノズルベーンに異常が生じているときに基づいて、ターボ回転数が所定値を超えないように燃料噴射量の制限値を設置すれば、ノズルベーンに異常が生じていない場合には燃料噴射量の制限が過大となりトルクダウンが大きくなりドライバに違和感を生じさせる可能性がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ノズルベーンに過度の応答遅れ又は固着等の異常が生じていない場合に違和感を生じさせずに過給機が過回転状態となることを防止すると共に、ノズルベーンに異常が生じている場合にも過給機が過回転状態となることを防止できる、エンジンの制御方法及び制御装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本願発明は次のように構成したことを特徴とする。
本願の請求項1に記載の、本発明の一態様は、タービンに供給される排気ガスの流路面積を可変可能なノズルベーンを有する可変容量型過給機を備えたエンジンの制御方法であって、前記エンジンの運転状態に応じて、前記ノズルベーンの目標開度と前記エンジンに供給される燃料の目標噴射量とを設定する工程と、前記ノズルベーンの開度を前記目標開度に制御する工程と、前記過給機の回転数が、前記過給機の許容回転数に対して余裕代を考慮して低く設定された回転数閾値以上であるか否か判定する工程と、前記ノズルベーンの実開度と前記目標開度との差であるノズル偏差が、前記目標開度に対する前記ノズルベーンの応答遅れ及び固着を検出するためのノズル偏差閾値以上であるか否か判定する工程と、前記過給機の回転数が前記回転数閾値以上であり且つ前記ノズル偏差が前記ノズル偏差閾値未満である第1条件の成立時に、前記エンジンに供給する燃料を前記目標噴射量より少ない第1噴射量に制限し、前記過給機の回転数が前記回転数閾値以上であり且つ前記ノズル偏差が前記ノズル偏差閾値以上である第2条件の成立時に、前記エンジンに供給する燃料を前記第1噴射量より少ない第2噴射量に制限する工程と、を有する、ことを特徴としている。
また、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載のエンジンの制御方法であって、前記制限する工程において、前記第2条件の成立時に、前記過給機上流側の排気圧が所定値以上である場合、前記エンジンに供給する燃料を第2噴射量より更に制限する、ことを特徴としている。
また、請求項3に記載の、本発明の他の態様は、タービンに供給される排気ガスの流路面積を可変可能なノズルベーンを有する可変容量型過給機を備えたエンジンの制御装置であって、前記エンジンの運転状態に応じて、前記ノズルベーンの目標開度と前記エンジンに供給される燃料の目標噴射量とを設定する目標設定部と、前記ノズルベーンの開度を前記目標開度に制御するノズルベーン制御部と、前記過給機の回転数が、前記過給機の許容回転数に対して余裕代を考慮して低く設定された回転数閾値以上であるか否か判定する過回転判定部と、前記ノズルベーンの実開度と前記目標開度との差であるノズル偏差が、前記目標開度に対する前記ノズルベーンの応答遅れ及び固着を検出するためのノズル偏差閾値以上であるか否か判定するノズル偏差判定部と、前記過給機の回転数が前記回転数閾値以上であり且つ前記ノズル偏差が前記ノズル偏差閾値未満である第1条件の成立時に、前記エンジンに供給する燃料を前記目標噴射量より少ない第1噴射量に制限し、前記過給機の回転数が前記回転数閾値以上であり且つ前記ノズル偏差が前記ノズル偏差閾値以上である第2条件の成立時に、前記エンジンに供給する燃料を前記第1噴射量より更に少ない第2噴射量に制限するように、燃料噴射弁を制御する燃料噴射弁制御部と、を有する、ことを特徴としている。
また、請求項4に記載の発明は、前記請求項3に記載のエンジンの制御装置であって、前記燃料噴射弁制御部は、前記第2条件の成立時に、前記過給機上流側の排気圧が所定値以上である場合、前記エンジンに供給する燃料を第2噴射量より更に制限する、ことを特徴としている。
前記の構成により、本願各請求項の発明によれば、次の効果が得られる。
まず、請求項1に記載の発明によれば、第1条件の成立時には、ノズル偏差がノズル偏差閾値未満であるので、ノズルベーンを過度の応答遅れなく制御できる。この場合、ノズルベーンの開度を制御しつつ、エンジンに供給する燃料を目標噴射量より少ない第1噴射量に制限することで過給機の過回転を防止できる。一方、第2条件の成立時には、ノズル偏差がノズル偏差閾値以上であるので、ノズルベーンに過度の応答遅れ又は固着が生じている。この場合、ノズルベーンの開度を早急に制御することができないので、エンジンに供給する燃料を第1噴射量より更に制限された第2噴射量に制限することによって、過給機の過回転を防止できる。
したがって、ノズル偏差がノズル偏差閾値以上であるか否かに基づいて、エンジンに供給する燃料供給量の制限量を変化させることで、第1条件の成立時には燃料供給量が過度に制限されることを抑制しつつ、第2条件の成立時には燃料供給量を適切に制限して、過給機の過回転を適切に防止できる。これにより、ノズルベーンに過度の応答遅れ又は固着等の異常が生じていない場合に違和感を生じさせずに過給機が過回転状態となることを防止すると共に、ノズルベーンに異常が生じている場合にも過給機が過回転状態となることを防止できる。

また、請求項2に記載の発明によれば、過給機上流側の排気圧が所定値以上である場合、エンジンに供給する燃料を第2噴射量より更に制限することによって、過給機の過回転を可及的に防止できる。また、エンジンに供給する燃料を更に制限することによって、エンジンの出力が大幅に低下するので、運転者に故障を了知させやすい。
また、請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果が、エンジンの制御装置において実現される。
また、請求項4に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明の効果が、エンジンの制御装置において実現される。
すなわち、本発明に係るエンジンの制御方法及び制御装置によれば、ノズルベーンに過度の応答遅れ又は固着等の異常が生じていない場合に違和感を生じさせずに過給機が過回転状態となることを防止すると共に、ノズルベーンに異常が生じている場合にも過給機が過回転状態となることを防止できる。
本発明の実施形態に係るエンジンシステムの概略構成図である。 ターボ過給機のタービン室を拡大した縦断面図である。 EGRの作動領域の説明図である。 エンジンシステムの基本制御を示すフローチャートである。 ターボ過給機の制御システムの概略構成を示すブロック図である。 ターボ過給機の過回転防止制御を示すフローチャートである。 図6の制御におけるエンジンシステムの作動を示すタイムチャートである。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置について説明する。
<システム構成>
まず、図1を参照して、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置が適用されたエンジンシステムについて説明する。図1は、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置が適用されたエンジンシステムの概略構成図である。
図1に示すように、エンジンシステム200は、主に、ディーゼルエンジンとしてのエンジンEと、エンジンEに吸気を供給する吸気系INと、エンジンEに燃料を供給するための燃料供給系FSと、エンジンEの排気ガスを排出する排気系EXと、エンジンシステム200に関する各種の状態を検出するセンサ99〜122と、エンジンシステム200の制御を行うECU(制御装置:Electronic Control Unit)60と、を有する。
まず、吸気系INは、吸気が通過する吸気通路1を有しており、この吸気通路1上には、上流側から順に、外部から導入された空気を浄化するエアクリーナ3と、通過する吸気を圧縮して吸気圧を上昇させる、ターボ過給機5のコンプレッサ5a(コンプレッサホイール)と、通過する吸気流量を調整する吸気シャッター弁7と、通水された冷却水を用いて吸気を冷却する水冷式のインタークーラ8と、インタークーラ8に通水する冷却水の流量を制御する電動ウォータポンプ9と、インタークーラ8と電動ウォータポンプ9とを接続し、これらの間で冷却水を循環させる通路である冷却水通路10と、エンジンEに供給する吸気を一時的に蓄えるサージタンク12と、が設けられている。
また、吸気系INにおいては、エアクリーナ3の直下流側の吸気通路1上には、吸入空気量を検出するエアフローセンサ101と吸気温度を検出する吸気温度センサ102とが設けられ、ターボ過給機5のコンプレッサ5aには、このコンプレッサ5aの回転数(ターボ回転数)を検出するターボ回転数センサ103が設けられ、吸気シャッター弁7には、この吸気シャッター弁7の開度を検出する吸気シャッター弁位置センサ105が設けられ、インタークーラ8の直下流側の吸気通路1上には、吸気温度を検出する吸気温度センサ106と吸気圧を検出する吸気圧センサ107とが設けられ、サージタンク12には、吸気マニホールド温度センサ108が設けられている。これらの、吸気系INに設けられた各センサ101〜108は、それぞれ、検出したパラメータに対応する検出信号D101〜D108をECU80に出力する。
次に、エンジンEは、吸気通路1(詳しくは吸気マニホールド)から供給された吸気を燃焼室17内に導入する吸気バルブ15と、燃焼室17に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁20と、始動時などでの着火を確保するための補助熱源としてのグロープラグ21と、燃焼室17内での混合気の燃焼により往復運動するピストン23と、ピストン23の往復運動により回転されるクランクシャフト25と、燃焼室17内での混合気の燃焼により発生した排気ガスを排気通路41へ排出する排気バルブ27と、を有する。更に、エンジンEには、このエンジンEの出力を利用して発電するオルタネータ26が設けられている。
また、エンジンEには、エンジンEなどを冷却する冷却水の温度を検出する冷却水温度センサ109と、クランクシャフト25のクランク角度を検出するクランク角センサ110と、油圧及び/又は油温を検出する油圧/油温センサ111と、オイルレベルを検出する光学式オイルレベルセンサ112と、が設けられている。これらの、エンジンEに設けられた各センサ109〜112は、それぞれ、検出したパラメータに対応する検出信号D109〜D112をECU80に出力する。
次に、燃料供給系FSは、燃料を貯蔵する燃料タンク30と、燃料タンク30から燃料噴射弁20に燃料を供給するための燃料供給通路38とを有する。燃料供給通路38には、上流側から順に、低圧燃料ポンプ31と、高圧燃料ポンプ33と、コモンレール35とが設けられている。また、低圧燃料ポンプ31には燃料ウォーマー32が設けられ、高圧燃料ポンプ33には燃圧レギュレータ34が設けられ、コモンレール35にはコモンレール減圧弁36が設けられている。
また、燃料供給系FSにおいては、高圧燃料ポンプ33には、燃料温度を検出する燃料温度センサ114が設けられ、コモンレール35には、燃圧を検出する燃圧センサ115が設けられている。これらの、燃料供給系FSに設けられた各センサ114、115は、それぞれ、検出したパラメータに対応する検出信号D114、D115をECU80に出力する。
次に、排気系EXは、排気ガスが通過する排気通路41を有しており、この排気通路41上には、上流側から順に、通過する排気ガスによって回転され、この回転によって上記したようにコンプレッサ5aを駆動する、ターボ過給機5のタービン5b(タービンホイール)と、排気ガスの浄化機能を有するディーゼル酸化触媒(DOC:Diesel Oxidation Catalyst)45及びディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF:Diesel particulate filter)46と、通過する排気流量を調整する排気シャッター弁49と、が設けられている。DOC45は、排出ガス中の酸素を用いて炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)などを酸化して水と二酸化炭素に変化させる触媒であり、DPF46は、排気ガス中の粒子状物質(PM:Particulate Matter)を捕集するフィルタである。
また、排気系EXにおいては、ターボ過給機5のタービン5bの上流側の排気通路41上には、排気圧を検出する排気圧センサ116と排気温度を検出する排気温度センサ117とが設けられ、DOC45の直上流側及びDOC45とDPF46との間には、それぞれ、排気温度を検出する排気温度センサ118、119が設けられ、DPF46には、このDPF46の上流側と下流側との排気圧の差を検出するDPF差圧センサ120が設けられ、DPF46の直下流側の排気通路41上には、酸素濃度を検出するリニアO2センサ121と排気温度を検出する排気温度センサ122とが設けられている。これらの、排気系EXに設けられた各センサ116〜122は、それぞれ、検出したパラメータに対応する検出信号D116〜D122をECU80に出力する。
更に、本実施形態では、ターボ過給機5は、排気エネルギーが低い低速回転時でも効率良く過給を行えるように小型に構成されていると共に、タービン5bの全周を囲むように複数の可動式のノズルベーン5cが設けられ、これらのノズルベーン5cによりタービン5bへの排気の流通断面積(ノズル断面積)を変化させるようにした容量可変型ターボ過給機(VGターボ:Variable Geometry Turbocharger)として構成されている。例えば、ノズルベーン5cは、ダイヤフラムに作用する負圧の大きさが電磁弁により調節されるアクチュエータによって回動される。また、そのようなアクチュエータの位置により、ノズルベーン5cの開度を検出するノズルベーン開度センサ104が設けられている。このノズルベーン開度センサ104は、検出したノズルベーン開度に対応する検出信号D104をECU80に出力する。
ここで、図2を参照して、本発明の実施形態によるターボ過給機5のノズルベーン5cについて具体的に説明する。図2は、ターボ過給機5のタービン室を拡大した縦断面の構成を模式的に示す。
図2に示すように、タービンケーシング153内に形成されたタービン室153aには、そのほぼ中央部に配置されたタービン5bの周囲を取り囲むように複数の可動式のノズルベーン5c、5c、…が配設され、各ノズルベーン5cはタービン室153aの一方の側壁を貫通する支軸5dにより回動可能に支持されている。各ノズルベーン5cは、それぞれ支軸5dの回りに図2の時計回りに回動して、相互に近接するように傾斜すると、各ノズルベーン5cの相互間に形成されるノズル155、155、…の開度(ノズル断面積)が小さく絞られて、排気流量の少ないときでも高い過給効率を得ることができる。一方、各ノズルベーン5cを上記と反対側に回動させて、相互に離反するように傾斜させれば、ノズル断面積が大きくなるので、排気流量の多いときでも通気抵抗を低減して、過給効率を高めることができる。
また、リング部材157は、リンク機構158を介してアクチュエータのロッド163に駆動連結されており、該アクチュエータの作動によりリング部材157を介して各ノズルベーン5cが回動される。すなわち、リンク機構158は、一端部をリング部材157に回動可能に連結された連結ピン158aと、該連結ピン158aの他端部に一端部を回動可能に連結された連結板部材158bと、該連結板部材158bの他端部に連結されると共に、タービンケーシング153の外壁を貫通する柱状部材158cと、該柱状部材158cのタービンケーシング153外へ突出する突出端部に一端部を連結された連結板部材158dとからなり、該連結板部材158dの他端部が連結ピン(図示せず)によりアクチュエータのロッド163に回動可能に連結されている。
図1に戻ると、本実施形態によるエンジンシステム200は、更に、高圧EGR装置43及び低圧EGR装置48を有する。高圧EGR装置43は、ターボ過給機5のタービン5bの上流側の排気通路41とターボ過給機5のコンプレッサ5aの下流側(詳しくはインタークーラ8の下流側)の吸気通路1とを接続する高圧EGR通路43aと、高圧EGR通路43aを通過させる排気ガスの流量を調整する高圧EGRバルブ43bと、を有する。低圧EGR装置48は、ターボ過給機5のタービン5bの下流側(詳しくはDPF46の下流側で且つ排気シャッター弁49の上流側)の排気通路41とターボ過給機5のコンプレッサ5aの上流側の吸気通路1とを接続する低圧EGR通路48aと、低圧EGR通路48aを通過する排気ガスを冷却する低圧EGRクーラ48bと、低圧EGR通路48aを通過させる排気ガスの流量を調整する低圧EGRバルブ48cと、低圧EGRフィルタ48dと、を有する。
高圧EGR装置43によって吸気系INに還流される排気ガス量(以下「高圧EGRガス量」と呼ぶ。)は、ターボ過給機5のタービン5b上流側の排気圧と、吸気シャッター弁7の開度によって作り出される吸気圧と、高圧EGRバルブ43bの開度とによって概ね決定される。また、低圧EGR装置48によって吸気系INに還流される排気ガス量(以下「低圧EGRガス量」と呼ぶ。)は、ターボ過給機5のコンプレッサ5a上流側の吸気圧と、排気シャッター弁49の開度によって作り出される排気圧と、低圧EGRバルブ48cの開度とによって概ね決定される。
ここで、図3を参照して、本発明の実施形態において、高圧EGR装置43が作動されるエンジンEの運転領域(以下では「高圧EGR領域」と呼ぶ。)及び低圧EGR装置48が作動されるエンジンEの運転領域(以下では「低圧EGR領域」と呼ぶ。)について説明する。図3は、横軸にエンジン回転数を示し、縦軸に燃料噴射量(エンジン負荷に相当する)を示しており、高圧EGR領域及び低圧EGR領域を模式的に表している。
図3に示すように、低負荷・低回転数側に規定されたエンジンEの運転領域R1(第1運転領域に相当する)は、高圧EGR装置43が作動される高圧EGR領域であり、この高圧EGR領域R1よりも高負荷・高回転数側に規定されたエンジンEの運転領域R2(第2運転領域に相当する)は、低圧EGR装置48が作動される低圧EGR領域である。より詳しくは、低圧EGR領域R2内の一部の領域(高圧EGR領域R1との境界付近の領域)では、低圧EGR装置48だけでなく、高圧EGR装置43も作動される、つまり高圧EGR装置43及び低圧EGR装置48の併用領域となる。また、低圧EGR領域R2よりも更に高負荷・高回転数側に規定されたエンジンEの運転領域R3は、高圧EGR装置43及び低圧EGR装置48のいずれも作動されない領域(以下では適宜「非EGR領域」と呼ぶ。)である。
図1に戻ると、本実施形態によるECU80は、上述した各センサ101〜122の検出信号D101〜D122に加えて、外気温を検出する外気温センサ98、大気圧を検出する大気圧センサ99、及びアクセルペダル95の開度(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサ100のそれぞれが出力した検出信号D98〜D100に基づいて、エンジンシステム200内の構成要素に対する制御を行う。具体的には、ECU80は、ターボ過給機5のタービン5bにおけるノズルベーン5cの開度を制御すべく、このノズルベーン5cを駆動するアクチュエータ(不図示)に対して制御信号C130を出力する。また、ECU80は、吸気シャッター弁7の開度を制御すべく、吸気シャッター弁7を駆動するアクチュエータ(不図示)に対して制御信号C131を出力する。また、ECU80は、インタークーラ8に供給する冷却水の流量を制御すべく、電動ウォータポンプ9に対して制御信号C132を出力する。また、ECU80は、エンジンEの燃料噴射量などを制御すべく、燃料噴射弁20に制御信号C133を出力する。また、ECU80は、オルタネータ26、燃料ウォーマー32、燃圧レギュレータ34及びコモンレール減圧弁36を制御すべく、これらのそれぞれに対して制御信号C134、C135、C136、C137を出力する。また、ECU80は、高圧EGRバルブ43bの開度を制御すべく、高圧EGRバルブ43bを駆動するアクチュエータ(不図示)に対して制御信号C138を出力する。また、ECU80は、低圧EGRバルブ48cの開度を制御すべく、低圧EGRバルブ48cを駆動するアクチュエータ(不図示)に対して制御信号C139を出力する。また、ECU80は、排気シャッター弁49の開度を制御すべく、排気シャッター弁49を駆動するアクチュエータ(不図示)に対して制御信号C140を出力する。
<基本制御>
次に、図4を参照して、本発明の実施形態によるエンジンシステム200において実施される基本制御について説明する。図4は、本発明の実施形態による基本制御を示すフローチャートである。このフローでは、要求噴射量などに応じた目標酸素濃度及び目標吸気温度を実現するための制御がなされる。また、このフローは、ECU80によって所定の周期で繰り返し実行される。
まず、ステップS11では、ECU80は、上述した各センサ98〜122が出力した検出信号D98〜D122のうちの少なくとも一以上を取得する。
次いで、ステップS12では、ECU80は、アクセル開度センサ100が検出したアクセル開度に基づいて、エンジンEから出力させるべき目標トルクを設定する。
次いで、ステップS13では、ECU80は、ステップS12で設定した目標トルクと、エンジン回転数とに基づいて、燃料噴射弁20から噴射させるべき要求噴射量(D要求Q)を設定する。
次いで、ステップS14では、ECU80は、ステップS13で設定した要求噴射量と、エンジン回転数とに基づいて、燃料の噴射パターンと、燃圧と、目標酸素濃度と、目標吸気温度と、EGR制御モード(高圧EGR装置43及び低圧EGR装置48の両方又は一方を作動させるモード、或いは高圧EGR装置43及び低圧EGR装置48のいずれも作動させないモード)とを設定する。
次いで、ステップS15では、ECU80は、ステップS14で設定した目標酸素濃度及び目標吸気温度を実現する状態量を設定する。例えば、この状態量には、高圧EGR装置43によって吸気系INに還流させる排気ガス量(高圧EGRガス量)や、低圧EGR装置48によって吸気系INに還流させる排気ガス量(低圧EGRガス量)や、ターボ過給機5による過給圧などが含まれる。
次いで、ステップS16では、ECU80は、ステップS15で設定した状態量に基づいて、エンジンシステム200の各構成要素のそれぞれを駆動する各アクチュエータを制御する。この場合、ECU80は、状態量に応じた制限値や制限範囲を設定し、状態値が制限値や制限範囲による制限を遵守するような各アクチュエータの制御量を設定して制御を実行する。
<ターボ過回転防止制御>
以下では、本発明の実施形態による、ターボ過給機5のノズルベーン5cの一時的な応答遅れを抑制しつつ、ターボ過給機5が過回転状態となることを防止するための制御(ターボ過回転防止制御)について説明する。
最初に、本発明の実施形態においてECU80が行う制御の概要について説明する。本実施形態では、ECU80は、エンジンEの運転状態(具体的には燃料噴射量及びエンジン回転数)に基づいて目標過給圧を設定し、実過給圧がこの目標過給圧に設定されるように、ターボ過給機5のノズルベーン5cの目標開度を設定し、ノズルベーン5cを目標開度に制御する。つまり、ECU80は、過給圧F/B制御を用いて、実過給圧を目標過給圧と比較しながら、目標過給圧が実現されるようにノズルベーン5cの目標開度を変化させる。典型的には、ECU80は、実過給圧が目標過給圧を下回っている場合には、ノズルベーン5cの目標開度を閉じ側に変化させる制御を行い、実過給圧が目標過給圧を上回っている場合には、ノズルベーン5cの目標開度を開き側に変化させる制御を行う。
ここで、本実施形態では、ECU80は、ターボ回転数が所定値以上である場合に、燃料噴射量を要求噴射量よりも制限する。また、ノズルベーン5cの実開度と目標開度との差であるノズル偏差が所定値以上である場合に、燃料噴射量を更に制限する。更に、ECU80は、ターボ過給機5の上流側の排気圧が所定値以上である場合に、エンジンEをフェールセーフモードに移行させて、燃料噴射量を更により一層制限する。これにより、エンジンEの燃焼室17における燃焼を制限して、ターボ過給機5に供給される排気ガスエネルギを段階的に制限することによって、ターボ過給機の過回転を抑制すると共に排気圧の低減を図る。
図5は、ターボ過回転防止制御を実行するための制御システムのブロック図である。図5に示されるように、ECU80は、アクセル開度センサ100、ターボ回転センサ103、ノズルベーン開度センサ104、排気圧センサ116からの検出信号に基づいて、ノズルベーン5c、燃料噴射弁20を制御する。
ECU80は、ノズルベーン5c及び燃料噴射弁20の制御目標となる状態量を設定する目標設定部として、ノズルベーン目標開度設定部81及び目標噴射量設定部82を有している。
ノズルベーン目標開度設定部81は、上述されたようにアクセル開度センサ100が検出したアクセル開度に基づいて設定された目標トルクを実現するのに必要な目標過給圧が得られるように、エンジンEの運転状態にしたがってノズルベーン5cの目標ノズル開度を設定する。目標噴射量設定部82は、目標トルクを実現するのに要する燃料噴射量を目標燃料噴射量(D要求Q)として設定する。
また、ECU80は、ノズルベーン5c及び燃料噴射弁20を制御する制御部として、ノズルベーン制御部83及び燃料噴射弁制御部84を有している。
ノズルベーン制御部83は、ノズルベーン目標開度設定部61によって設定された目標ノズル開度にノズルベーン5cを制御する。
燃料噴射弁制御部84は、燃料噴射弁20から噴射される燃料噴射量FPをD要求Qに制御する。また、燃料噴射弁制御部84は、ターボ過回転判定部85によってターボ回転数が所定値以上であることが判定された場合に、燃料噴射量FPを第1燃料噴射量に制限する。更に、燃料噴射弁制御部84は、ノズル偏差判定部86によってノズル偏差が所定値以上であることが判定された場合に、燃料噴射量FPを第2燃料噴射量に制限する。燃料噴射弁制御部84は、フェールセーフモードにおいて、燃料噴射量FPを第2燃料噴射量よりも更に制限する。
また、ECU80は、ターボ過給機5及びエンジンEの異常を判定する異常判定部として、ターボ過回転判定部85、ノズル偏差判定部86、及び排気圧判定部87を有している。
ターボ過回転判定部85は、ターボ回転センサ103の検出結果に基づいて、ターボ過給機5のターボ回転数(TC回転数)がTC回転数閾値NTC以上であるか否か判定する。TC回転数閾値NTCは、ターボ過給機5の物理的(強度上)な許容回転数に対して、制御上の余裕代を考慮して設定された閾値である。
ノズル偏差判定部67は、ノズルベーン開度センサ104が検出したノズルベーン5cの実開度に基づいて、ノズルベーン5cの実開度と目標ノズル開度との差であるノズル偏差を算出し、該ノズル偏差がノズル偏差閾値DVGT以上であるか否かを判定する。ノズル偏差閾値DVGTは、目標ノズル開度に対するノズルベーン5cの応答遅れ及び固着を検出するための閾値である。
ノズル偏差閾値DVGTは、例えば、ノズルベーン5cの全閉から全開位置に至る全開閉ストローク量の略50%に設定されており、これにより、ノズルベーン5c応答遅れを精度よく検出できる。ノズル偏差閾値DVGTが、全開閉ストローク量の50%未満に設定されている場合、過度にノズルベーン5cの応答遅れを検出してしまうことになる一方で、50%より大きくすると、ノズルベーン5cの応答遅れの検出に漏れが生じやすい。
排気圧判定部68は、排気圧センサ116が検出した排気圧に基づいて、ターボ過給機5の上流側の排気通路41の排気圧であるTC排気圧が、TC排気圧閾値PEXより低いか否かを判定する。TC排気圧閾値PEXは、ノズルベーン5cの開側への応答遅れや、エンジンEから排出される排気ガス流量の増大等による、排気圧の異常増大を検出するための閾値である。排気圧判定部68は、TC排気圧がTC排気圧閾値PEX以上であることを判定した場合、エンジンEをフェールセーフモードに移行させる。
図6は、上述したターボ過回転防止制御及びフェールセーフ制御におけるECU80の処理サイクルの流れを示すフローチャートである。本処理サイクルは、ECU80により、所定の周期で繰り返し実行される。まず、ステップS110において、ターボ過回転判定部85によって、TC回転数がTC回転数閾値NTCより低いか否か判定される。この判定がYESの場合、燃料噴射弁制御部84によって燃料噴射量FPがD要求Qに設定される(ステップS120)。
ステップS110がNOの場合、ステップS130において、ノズル偏差判定部86によって、ノズル偏差がノズル偏差閾値DVGT未満であるか否か判定される。この判定がYESの場合、すなわち、TC回転数がTC回転数閾値NTC以上であり且つノズル偏差がノズル偏差閾値DVGT未満である第1条件の成立時には、燃料噴射弁制御部84によって、燃料噴射量FPがD要求Qよりも低い第1燃料噴射量Q1に制限される(ステップS140)。
ステップS130がNOの場合、ステップS150において、排気圧判定部87によって、TC排気圧がTC排気圧閾値PEXより低いか否か判定される。この判定がYESの場合、すなわち、TC回転数がTC回転数閾値NTC以上であり且つノズル偏差がノズル偏差閾値DVGT以上である第2条件の成立時には、燃料噴射弁制御部84によって、燃料噴射量FPが第1燃料噴射量よりも低い第2燃料噴射量Q2に制限される(ステップS160)。
ステップS150がNOの場合、すなわち第2条件が成立した場合においてTC排気圧がTC排気圧閾値PEX以上であるとき、燃料噴射弁制御部84によって、燃料噴射量FPが第2燃料噴射量Q2よりも低い第3燃料噴射量Q3に制限される(ステップS170)。第3燃料噴射量Q3は略ゼロ(すなわち燃料カット)であってもよく、これによって、燃焼室17における燃焼を制限して排気圧の低下を図ると共に、TC回転数を低下させる。
第1燃料噴射量Q1及び第2燃料噴射量Q2は、現在のエンジン回転数、TC回転数、及びノズルベーン5cの実開度を考慮して、TC回転数がターボ回転数閾値NTCを下回るように設定される。具体的には、第1燃料噴射量Q1及び第2燃料噴射量Q2は、現在のTC回転数とTC回転数閾値NTCとの差及び、該差の変化速度及び変化加速度に基づいてF/B制御により算出される。
ノズル偏差がノズル偏差DVGT以上である場合には、ノズルベーン5cに過度の応答遅れ又は固着が生じているので、ノズルベーン5cの制御によってTC回転数を早期に低下させることができない。この場合に、燃料噴射量FPを、第1燃料噴射量Q1より更に低減した第2燃料噴射量Q2に制限することによって、ノズルベーン5cに過度の応答遅れが生じ又は固着している場合であっても、ターボ過給機に供給される排気ガスエネルギを低減させることができるので、ターボ過給機5が過回転状態となることが防止される。
図7は、上記制御における、燃料噴射量FP、ノズルベーン5cの開度、ターボ回転数の推移の一例を示すタイムチャートである。図7(a)は、ノズルベーン5cに応答遅れが生じていない場合を示している。図7(b)は、ノズルベーン5cに軽度の応答遅れが生じている場合を示している。図7(c)は、ノズルベーン5cに過度の応答遅れが生じている場合を示している。図7(a)〜(c)において、いずれも時刻t0において加速が開始されて、ノズルベーン5cの目標開度が全閉側に制御されると共に、時刻t1以降ノズルベーン5cの目標開度が全開側へ制御されるものとする。
図7(a)に示すように、ノズルベーン5cに応答遅れが生じていない場合、燃料噴射量FPは、目標燃料噴射量(D要求Q)に設定される。時刻t2において、TC回転数がTC回転数閾値NTC以上となると、燃料噴射量FPは第1燃料噴射量Q1に制限される。ここで、第1燃料噴射量Q1は、TC回転数がターボ回転数閾値NTCを下回るように設定されており、D要求Qより低い。このため、TC回転数は、時刻t2以降、低減されてターボ回転数閾値NTC以下に抑制される。
同様に、図7(b)に示すように、ノズルベーン5cに軽度の応答遅れ(ノズル偏差がノズル偏差閾値DVGT未満)が生じている場合、燃料噴射量FPは、TC回転数がTC回転数閾値NTC未満である時刻t21まで、目標燃料噴射量(D要求Q)に設定される。ここで、ノズルベーン5cの開度は、図7(a)の場合に比して応答遅れの分だけ閉側に位置しているので、TC回転数は、時刻t2より早い時刻t21で、TC回転数閾値NTC以上になる。この場合、時刻t21以降、燃料噴射量FPは第1燃料噴射量Q1に制限され、上述したように、最終的にTC回転数はターボ回転数閾値NTC以下に抑制される。
一方、図7(c)に示すように、ノズルベーン5cに過度の応答遅れ(ノズル偏差がノズル偏差閾値DVGT以上)が生じている場合、燃料噴射量FPは、TC回転数がTC回転数閾値NTC未満である時刻t31まで、目標燃料噴射量(D要求Q)に設定される。ここで、ノズルベーン5cの開度は、図7(b)に比して閉側に位置しているので、TC回転数は、時刻t21よりも早い時刻t31で、TC回転数閾値NTC以上になる。この場合、時刻t31以降、燃料噴射量FPは第1燃料噴射量Q1に制限される。
更に、時刻t32において、ノズル偏差がノズル偏差閾値DVGT以上になると、更に燃料噴射量が第2燃料噴射量Q2に制限される。燃料噴射量FPの制限によって、ターボ過給機5に供給される排気ガスエネルギが低減されるので、この結果、ノズル偏差が縮小すると共に、TC回転数がターボ回転数閾値NTC以下に抑制される。
したがって、TC回転数がTC回転数閾値NTC以上となった場合に燃料噴射量FPは第1燃料噴射量Q1に制限され、ノズル偏差がノズル偏差閾値DVGT以上となった場合に燃料噴射量FPは第2燃料噴射量Q2に段階的に制限される。つまり、燃料噴射量FPを段階的に制限することによって、必要以上に燃料噴射量を制限することなく、ターボ過給機5の過回転が抑制されるようになっている。
上記説明したECU80においてなされる処理サイクルによれば、次の効果が発揮される。
(1)第1条件の成立時には、ノズル偏差がノズル偏差閾値DVGT未満であるので、ノズルベーン5cを過度の応答遅れなく制御できる。この場合、ノズルベーン5cの開度を制御しつつ、燃料噴射量FPをD要求Qより少ない第1燃料噴射量Q1に制限することでターボ過給機5の過回転を防止できる。一方、第2条件の成立時には、ノズル偏差がノズル偏差閾値DVGT以上であるので、ノズルベーン5cに過度の応答遅れ又は固着が生じている。この場合、ノズルベーン5cの開度を早急に制御することができないので、燃料噴射量FPを第1燃料噴射量Q1より更に制限された第2燃料噴射量Q2に制限することによって、ターボ過給機5の過回転を防止できる。
したがって、ノズル偏差がノズル偏差閾値DVGT以上であるか否かに基づいて、燃料噴射量FPの制限量を変化させることで、第1条件の成立時には燃料噴射量FPが過度に制限されることを抑制しつつ、第2条件の成立時には燃料噴射量FPを適切に制限して、ターボ過給機5の過回転を適切に防止できる。これにより、ノズルベーン5cに過度の応答遅れ又は固着等の異常が生じていない場合に違和感を生じさせずにターボ過給機5が過回転状態となることを防止すると共に、ノズルベーン5cに異常が生じている場合にもターボ過給機5が過回転状態となることを防止できる。
(2)TC排気圧がTC排気圧閾値以上である場合、燃料噴射量FPを第2燃料噴射量Q2より更に制限された第3燃料噴射量Q3することによって、燃焼室17における燃焼を制限して排気圧の低下を図ると共に、ターボ過給機5の過回転を可及的に防止できる。また、燃料噴射量FPを第3燃料噴射量Q3に制限することによって、大幅な出力低下を生じるので、エンジンシステム200の故障を運転者に了知させやすい。
以上説明したように、本発明に係るエンジンの制御方法及び制御装置によれば、ノズルベーンに過度の応答遅れ又は固着等の異常が生じていない場合に違和感を生じさせずに過給機が過回転状態となることを防止すると共に、ノズルベーンに異常が生じている場合にも過給機が過回転状態となることを防止できるので、この種の製造技術分野において好適に利用される可能性がある。
1 吸気通路
5 ターボ過給機
5a コンプレッサ
5b タービン
5c ノズルベーン
20 燃料噴射弁
41 排気通路
60 ECU
E エンジン
VGT ノズル偏差閾値
EX TC排気圧閾値
TC ターボ回転数閾値

Claims (4)

  1. タービンに供給される排気ガスの流路面積を可変可能なノズルベーンを有する可変容量型過給機を備えたエンジンの制御方法であって、
    前記エンジンの運転状態に応じて、前記ノズルベーンの目標開度と前記エンジンに供給される燃料の目標噴射量とを設定する工程と、
    前記ノズルベーンの開度を前記目標開度に制御する工程と、
    前記過給機の回転数が、前記過給機の許容回転数に対して余裕代を考慮して低く設定された回転数閾値以上であるか否か判定する工程と、
    前記ノズルベーンの実開度と前記目標開度との差であるノズル偏差が、前記目標開度に対する前記ノズルベーンの応答遅れ及び固着を検出するためのノズル偏差閾値以上であるか否か判定する工程と、
    前記過給機の回転数が前記回転数閾値以上であり且つ前記ノズル偏差が前記ノズル偏差閾値未満である第1条件の成立時に、前記エンジンに供給する燃料を前記目標噴射量より少ない第1噴射量に制限し、前記過給機の回転数が前記回転数閾値以上であり且つ前記ノズル偏差が前記ノズル偏差閾値以上である第2条件の成立時に、前記エンジンに供給する燃料を前記第1噴射量より少ない第2噴射量に制限する工程と、
    を有するエンジンの制御方法。
  2. 前記制限する工程において、前記第2条件の成立時に、前記過給機上流側の排気圧が所定値以上である場合、前記エンジンに供給する燃料を第2噴射量より更に制限する、
    請求項1に記載のエンジンの制御方法。
  3. タービンに供給される排気ガスの流路面積を可変可能なノズルベーンを有する可変容量型過給機を備えたエンジンの制御装置であって、
    前記エンジンの運転状態に応じて、前記ノズルベーンの目標開度と前記エンジンに供給される燃料の目標噴射量とを設定する目標設定部と、
    前記ノズルベーンの開度を前記目標開度に制御するノズルベーン制御部と、
    前記過給機の回転数が、前記過給機の許容回転数に対して余裕代を考慮して低く設定された回転数閾値以上であるか否か判定する過回転判定部と、
    前記ノズルベーンの実開度と前記目標開度との差であるノズル偏差が、前記目標開度に対する前記ノズルベーンの応答遅れ及び固着を検出するためのノズル偏差閾値以上であるか否か判定するノズル偏差判定部と、
    前記過給機の回転数が前記回転数閾値以上であり且つ前記ノズル偏差が前記ノズル偏差閾値未満である第1条件の成立時に、前記エンジンに供給する燃料を前記目標噴射量より少ない第1噴射量に制限し、前記過給機の回転数が前記回転数閾値以上であり且つ前記ノズル偏差が前記ノズル偏差閾値以上である第2条件の成立時に、前記エンジンに供給する燃料を前記第1噴射量より更に少ない第2噴射量に制限するように、燃料噴射弁を制御する燃料噴射弁制御部と、
    を有するエンジンの制御装置。
  4. 前記燃料噴射弁制御部は、前記第2条件の成立時に、前記過給機上流側の排気圧が所定値以上である場合、前記エンジンに供給する燃料を第2噴射量より更に制限する、
    請求項3に記載のエンジンの制御装置。
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