JP2001132466A - エンジンの過給圧制御装置 - Google Patents

エンジンの過給圧制御装置

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JP2001132466A
JP2001132466A JP31494899A JP31494899A JP2001132466A JP 2001132466 A JP2001132466 A JP 2001132466A JP 31494899 A JP31494899 A JP 31494899A JP 31494899 A JP31494899 A JP 31494899A JP 2001132466 A JP2001132466 A JP 2001132466A
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Japan
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pressure
supercharging pressure
supercharging
negative pressure
engine
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JP31494899A
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Kota Matsue
浩太 松江
Masatoshi Shoji
正敏 小路
Takeshi Shigeta
剛 重田
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Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 タービン22への排気流速を調節する可動ベ
ーン24…24を負圧アクチュエータ30により駆動す
るようにした可変容量型排気ターボ過給機(VGT)2
0の過給圧制御装置Aにおいて、可動ベーン24…24
の固着等に起因して過給圧が過大になることを未然に防
止する。 【解決手段】 エンジン1の吸気通路7に過給圧センサ
81を配設し、該センサにより検出された過給圧が第1
設定圧以上でかつその過給圧の上昇率が所定値以上のと
き、過給圧が低下するように、負圧アクチュエータ30
の制御目標負圧を相対的に小さい第1目標負圧減量値だ
け減量補正する(S4→S10→S14〜S16)。そ
れでもなお過給圧が上昇して、第1設定圧よりも高い第
2設定圧以上になったとき、制御目標負圧を相対的に大
きい第2目標負圧減量値だけ減量補正する(S4→S5
→S8→S9)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、タービン効率を変
更可能な可変容量型過給機により過給圧を制御する過給
圧制御装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】従来より、一般に、燃焼室から排出され
る排気のエネルギーを利用して、燃焼室へ供給される空
気量の増大を図る過給機は、排気通路に排気流を受けて
回転駆動されるタービンを配置するとともに、吸気通路
に該タービンによって回転駆動されるブロワを配置した
構成とされている。
【0003】また、最近では、例えば特開平10-77
856号公報に開示されるように、タービン入口に傾き
が可変とされた可動ベーンを備え、該ベーンで形成され
るノズルの開度を調整可能とした可変容量型過給機(バ
リアブル・ジオメトリ・ターボチャージャ:VGT)が
用いられるようになり、このVGTをディーゼルエンジ
ンに採用してタービン効率を連続的に変化させることに
より、空気利用率を高めて燃焼効率を向上させ、エミッ
ション対策を図ることが広く行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した可
変容量型過給機において、例えばエンジンのアイドル運
転時のように可動ベーンを全閉にした状態から、エンジ
ンが加速運転に移行して可動ベーンを開き側に作動させ
るときには、その可動ベーンがタービンケーシングに押
し付けられて正常に作動しないことがある。このような
場合、排気エネルギーの増大に伴い過給圧が許容値を超
えてしまい、エンジンの信頼性に問題が生じる。
【0005】この問題について詳述すると、まず、可動
ベーンを全閉にしたとき、排気圧により可動ベーンの支
軸が軸穴で傾斜し、これに伴い可動ベーンも傾斜して、
該可動ベーンの排気上流側における軸受け側側面と該側
面に対向するタービンケーシングとの間に隙間が形成さ
れる。そして、この間隙を介して可動ベーンの軸受け側
側面が排気圧を受け、支軸が軸穴から突出して、可動ベ
ーンの先端が反軸受け側のタービンケーシングに押し付
けられることになる。
【0006】従って、可動ベーンは排気圧により前記タ
ービンケーシングに押し付けられて、全閉のまま固着し
た状態になり、この状態でエンジンの加速運転により排
気エネルギーが増加することで、過給圧が許容値を超え
てしまうのである。
【0007】このような可動ベーンの固着の問題は、可
動ベーンとタービンケーシングとの間のなじみが十分に
進んでいない初期の期間(エンジン運転累積時間が短い
期間)に特に発生し易いので、例えば実公昭62-440
96号公報に開示されるように、可動ベーンの先端をテ
ーパ状にカットして可動ベーンがタービンケーシングに
押し付けられる力を低減し、可動ベーンの動きをスムー
スにするという先行技術がある。
【0008】しかしながら、前記先行技術(実公昭62
-44096号公報)においては、テーパカット度合い
の設定が極めて難しく、可動ベーンの動きを重視してテ
ーパカットを大きくすると、可動ベーンを通過する排気
量が増加するので、低排気量時のタービン効率が低下し
てしまう。一方、逆にタービン効率を重視してテーパカ
ットを小さくすると、可動ベーンがタービンケーシング
に押し付けられる力を十分に低減できず、可動ベーンを
スムースに作動させるという作用効果を十分に得ること
ができない。
【0009】また、上述の如き可変容量型過給機におい
て、可動ベーン開度(全閉開度)の初期セットばらつき
に起因して、可動ベーンが全体として閉じぎみになって
いる場合には、この可動ベーンが前記のようにタービン
ケーシングに押し付けられていないときでも、排気流速
が高くなり過ぎて、過給圧が許容値を超えてしまうこと
がある。
【0010】本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、可変容量型過給機に
よる過給圧が所定以上に上昇したときのその過給圧の制
御手順に工夫を凝らし、可動ベーンの固着等に起因して
過給圧が過大になることを未然に防止することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明の解決手段では、過給機による吸気の過給圧
が所定の第1設定圧以上になったとき、過給圧が低下す
るように可動ベーンを開き側に作動させるとともに、そ
れでもなお過給圧が上昇して、前記第1設定圧よりも高
い第2設定圧以上になったときには、前記可動ベーンを
さらに大きく開き側に作動させるようにした。
【0012】具体的に、請求項1の発明では、エンジン
の排気により吸気を過給する過給機と、該過給機により
吸気通路に生成される過給圧を変更調節する過給圧可変
機構と、該過給圧可変機構をエンジンの運転状態に応じ
て作動制御する基本過給圧制御手段とを備えたエンジン
の過給圧制御装置を前提とする。そして、前記過給圧可
変機構は、過給機の排気タービンへの排気流速を調節す
る可動ベーンを有するものとし、前記吸気通路の過給圧
を検出する過給圧検出手段と、該過給圧検出手段による
検出値が第1設定圧以上のとき、過給圧が低下するよう
に前記可動ベーンを開き側に作動させる第1過給圧低下
制御手段と、前記過給圧検出手段による検出値が前記第
1設定圧よりも高い第2設定圧以上のとき、可動ベーン
を前記第1過給圧低下制御手段よりも大きく開き側に作
動させる第2過給圧低下制御手段とを備える構成とす
る。
【0013】前記の構成により、エンジンの運転中に過
給機による吸気の過給圧が第1設定圧以上になると、過
給圧が低下するように第1過給圧低下制御手段により可
動ベーンが開き側に作動される。ここで、過給圧の上昇
が可動ベーン開度の初期セットばらつきに起因するもの
であれば、前記のように可動ベーンが開き側に作動する
ことで、過給圧が低下する。
【0014】一方、可動ベーンが固着して過給圧が上昇
しているのであれば、前記第1過給圧低下制御手段によ
る過給圧低下制御によっても実際の過給圧は低下しない
ことがあるが、この場合には、吸気の過給圧が第2設定
圧以上になると、今度は第2過給圧低下制御手段により
可動ベーンが前記第1過給圧低下制御手段よりも大きく
開き側に作動される。このときには可動ベーンを駆動す
るアクチュエータの操作量変化が大きくなるため、可動
ベーンはタービンケーシングへ押し付ける力に抗して開
き側に作動し、これにより、過給圧を過大になる前に低
下させることができる。
【0015】請求項2の発明では、過給圧可変機構は、
可動ベーンを開閉作動させる負圧式アクチュエータを有
するものとし、基本過給圧制御手段は、エンジンがアイ
ドル運転状態のときには前記アクチュエータにより可動
ベーンを全閉状態にさせるものとする。そして、第1過
給圧低下制御手段を、前記アクチュエータへ供給する負
圧を第1設定量だけ変化させるものとし、かつ第2過給
圧低下制御手段を、前記アクチュエータへ供給する負圧
を前記第1設定量よりも大きな第2設定量だけ変化させ
るものとする。
【0016】この構成では、吸気の過給圧を調節するた
めの可動ベーンを負圧式アクチュエータにより駆動する
ようにしたので、該可動ベーンの開作動量を相対的に大
きくすれば、その分、アクチュエータの操作量、即ち目
標負圧の変化量も大きくなり、可動ベーンに作用する駆
動力そのものが相対的に大きくなる。従って、第2過給
圧低下制御手段により可動ベーンを相対的に大きく開き
側に作動させることで、固着している可動ベーンをター
ビンケーシングへ押し付ける力に抗して開き側に作動さ
せることができる。
【0017】また、エンジンのアイドル運転時に可動ベ
ーンが全閉状態にされるので、この可動ベーンは通常は
ストッパに当接して開度の安定した状態になる。このこ
とで、エンジンの排気の一部を過給機よりも上流側の排
気通路から吸気系に還流させる排気還流装置を装備した
場合、前記のように可動ベーンの開度が安定すること
で、該可動ベーンよりも上流側の排気圧が安定し、そこ
から吸気系に還流される排気の還流量も安定し、そのこ
とによってエミッションのばらつきを抑制することがで
きる。
【0018】請求項3の発明では、第1過給圧低下制御
手段は、過給圧の上昇変化率が設定値以上のときにの
み、可動ベーンの作動制御を行うものとする。
【0019】すなわち、可動ベーン開度の初期セットが
閉じぎみにセットされている場合には、過給圧が第1設
定圧以上になると同時にその時の過給圧上昇率も大きく
なるので、前記構成の如く、この点に着目して過給圧が
第1設定圧以上であってかつ過給圧上昇率が設定値以上
のときにのみ、可動ベーンを開作動させて、過給圧を低
下させるようにすることで、過給圧が過大に至らない場
合であるにも拘わらず、不要に過給圧が低下されること
を減らして、この不要の過給圧低下による走行性の悪化
を抑制することができる。
【0020】請求項4の発明では、過給圧検出手段によ
る検出値が第2設定圧よりも高い第3設定圧以上のと
き、エンジンへの燃料供給を中止させる燃料カット制御
手段を設けた。このことで、過給圧が第2設定圧よりも
高い第3設定値以上になったときには、可動ベーンの初
期セットばらつきやエンジン初期の一時的な可動ベーン
の固着ではなく、アクチュエータやセンサ異常による可
動ベーンの完全固着異常であると判断し、燃料カット制
御手段によりエンジンへの燃料供給を中止させること
で、過給圧が過大になることを確実に防止できる。
【0021】請求項5の発明では、第1又は第2過給圧
低下制御手段の少なくとも一方の制御によって過給圧が
低下した後の所定期間、基本過給圧制御手段による過給
圧の上昇側への制御ゲインを増大補正するゲイン補正手
段を設けた。
【0022】すなわち、第1又は第2過給圧低下制御手
段による過給圧低下制御によって過給圧が強制的に低下
させられたときには、この過給圧の低下幅が大きいの
で、その後の過給圧の上昇側への回復が遅れて、走行性
の悪化を招くことがある。そこで、この発明では、前記
のように過給圧が低下したときに、その後の所定期間、
過給圧の上昇側への制御ゲインを増大させることによ
り、過給圧を速やかに上昇させて、走行性の悪化を抑制
することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基いて説明する。
【0024】(全体構成)図1は本発明の過給圧制御装
置を多気筒ディーゼルエンジン1に適用した実施形態を
示し、このエンジン1の各気筒2(1つのみ図示する)
内にはピストン3が往復動可能に嵌挿されていて、該ピ
ストン3により気筒2内に区画される燃焼室の上方に、
燃料噴射弁4から燃料を噴射される予燃焼室5が設けら
れている。また、燃焼室にエアクリーナ6で濾過した吸
気を供給する吸気通路7は、その下流端部において分岐
し、それぞれ吸気バルブ8を備えた吸気ポートにより各
気筒2の燃焼室に接続されている。一方、燃焼室から排
気を排出する排気通路9はその上流端部において分岐
し、それぞれ排気バルブ10を備えた排気ポートにより
各気筒2の燃焼室に接続されている。この排気通路9に
は、エンジン水温が低いときに閉じ側に駆動されて暖機
を促進する排気シャッタ11、排気中のHC、CO、N
Oxを浄化する触媒コンバータ12、及びサイレンサ1
3等が配設されている。
【0025】前記吸気通路7にはターボ過給機20のブ
ロア21が、また排気通路9にはターボ過給機20のタ
ービン22がそれぞれ配設されている。タービン22は
排気通路9を流れる排気を受けて回転し、これによりブ
ロア21が回転駆動されて吸気通路7の吸気を圧縮す
る。また、ブロア21の下流側には、該ブロア21で圧
縮されて高温となった吸気を冷却するインタークーラ1
4が配設されている。
【0026】前記ターボ過給機20は、タービン22へ
の排気流速を可動ベーン24…24により調節して、タ
ービン効率を連続的に変更するようにした可変容量型過
給機(VGT)である。すなわち、図2及び図3に示す
ように、タービンケーシング23内に形成されたタービ
ン室23aには、略中央部に配置されたタービン22の
周囲を取り囲むように複数の可動ベーン24…24が配
設され、この各可動ベーン24はタービン室23aの一
側側壁(図3の右側側壁)を貫通する支軸24aにより
回動可能に支持されている。そして、それら可動ベーン
24…24がそれぞれ支軸24aの回りに図2の時計回
りに回動して、相互に近接するように傾斜すると、該可
動ベーン24…24相互間に形成されるノズル25…2
5の開度(ノズル断面積)が小さく絞られて、排気流量
の少ないときでも高い過給効率が得られる。一方、可動
ベーン24…24を前記と反対側に回動させて、相互に
離反するように傾斜させれば、ノズル断面積が大きくな
るので、排気流量の多いときでも通気抵抗を低減して、
過給効率を高めることができる。
【0027】より詳しくは、タービンケーシング23の
内部には、タービン室23aに対しタービン軸22aの
延びる方向に隣接して、該タービン室23に対応するよ
うに環状の空洞部23bが形成されており、前記可動ベ
ーン24…24の支軸24a…24aは、それぞれ、前
記空洞部23bとタービン室23aとの間の隔壁を貫通
して、該空洞部23b内に突出している。この支軸24
a…24aの突出端部にはそれぞれ馬蹄形状の連結部材
26…26の基端部が取り付けられ、この各連結部材2
6の先端側に連結ピン26aの一端部が摺動可能に取り
付けられている。また、該連結ピン26aの反対側の端
部は、前記可動ベーン24…24に対応するように空洞
部23b内全周に亘って配置されたリング部材27に回
動可能に固定されている。そして、前記リング部材27
が軸線X回りに回動されることで、可動ベーン24…2
4はそれぞれ支軸24aの回りに同期回動されるように
なっている。尚、図示しないが、全閉状態の可動ベーン
24…24に当接して保持するストッパ部材が設けられ
ている。
【0028】また、前記リング部材27は、リンク機構
28を介して負圧アクチュエータ30のロッド33に駆
動連結されていて、該負圧アクチュエータ30の作動に
よりリング部材27を介して可動ベーン24…24が回
動されるようになっている。すなわち、前記リンク機構
28は、一端部をリング部材27に回動可能に連結され
た連結ピン28aと、この連結ピン28aの他端部に一
端部を回動可能に連結された連結板部材28bと、この
連結板部材28bの他端部に連結されるとともに、ター
ビンケーシング23の外壁を貫通する柱状部材28c
と、この柱状部材28cのタービンケーシング23外へ
突出する突出端部に一端部を連結された連結板部材28
dとからなり、該連結板部材28dの他端部が連結ピン
28eにより前記負圧アクチュエータ30のロッド33
に回動可能に連結されている。
【0029】前記負圧アクチュエータ30は、図4に示
すように、ロッド33がアクチュエータハウジング31
を仕切るダイヤフラム32に接続され、このダイヤフラ
ム32で画成された負圧室34にスプリング35が内装
されていて、負圧室34内の負圧が弱い(負圧の絶対値
が小さい)ときには、ロッド33がスプリング35の付
勢力によってハウジング31外へ進出する一方、負圧室
34内の負圧が強い(負圧の絶対値が大きい)ときに
は、ロッド33がスプリング35の付勢力に抗してハウ
ジング31内に後退するようになっている。そして、そ
のロッド33が進出すると、前記リンク機構28を介し
てリング部材27が図2の反時計回り方向に回動され、
可動ベーン24…24もそれぞれ同図の反時計回り方向
に回動して、ノズル断面積が大きくなる。一方、前記ロ
ッド33が後退すれば、リング部材27は同図の時計回
り方向に回動され、各可動ベーン24も同図の時計回り
方向に回動されて、ノズル断面積が小さくなる。
【0030】また、前記負圧アクチュエータ30の負圧
室34に通じるVGT負圧通路36は、デューティソレ
ノイドバルブ37に接続されている。このデューティソ
レノイドバルブ(VGTDSV)37は、エンジン1の
クランク軸により駆動されるバキュームポンプ38から
第1負圧ライン39を介して供給される負圧と、第1大
気圧ライン40を介して供給される大気圧とから、印加
されたデューティ率に応じた値の負圧(VGT負圧)を
生成し、これを前記VGT負圧通路36を介して負圧ア
クチュエータ30の負圧室34に供給するようになって
いる。
【0031】前記VGTDSV37は、デューティ率が
0%のときに、VGT負圧通路36と第1負圧ライン3
9との連通度を0%とし、VGT負圧通路36と第1大
気圧ライン40との連通度を100%として、負圧アク
チュエータ30のロッド33を最大限に進出させ、ノズ
ル25…25の開度を最大限に大きくする。一方、VG
TDSV37は、デューティ率が100%のときに、V
GT負圧通路36と第1負圧ライン39との連通度を1
00%とし、VGT負圧通路36と第1大気圧ライン4
0との連通度を0%として、負圧アクチュエータ30の
ロッド33を最大限に後退させ、ノズル25…25の開
度を最大限に小さくする。そして、VGTDSV37
は、これらの中間のデューティ率で、ノズル25…25
の開度、すなわちVGT20の過給効率を滑らかに調整
する。尚、前記第1負圧ライン39には、バキュームポ
ンプ38で生成される負圧の変動を抑制する負圧タンク
15が接続されている。また、前記VGT20の可動ベ
ーン24…24、連結部材26…26、リング部材2
7、リンク機構28、負圧アクチュエータ30、VGT
DSV37等により、VGT20により吸気通路7に生
成される過給圧を変更調節する過給圧可変機構が構成さ
れている。
【0032】前記吸気通路7と排気通路9との間には、
排気通路9の排気の一部を吸気通路7に戻して各気筒2
の燃焼室に還流させる排気還流通路(EGR通路)50
が設けられている。このEGR通路50は、排気通路9
におけるタービン22よりも上流側の部位と、吸気通路
7におけるブロワ21よりも下流側の部位とを連絡す
る。EGR通路50には、排気を冷却し、排気の密度を
大きくするEGRクーラ51が配設されている。EGR
通路50は、EGRクーラ51の下流側において、第
1、第2の分岐通路52,53に分岐したのち再合流し
ていて、各分岐通路52,53にはそれぞれ第1、第2
の排気還流量調整弁(EGR弁)54,55が配設され
ている。
【0033】それら各EGR弁54,55は、相互に類
似の構成で、図5に示すように、弁ハウジング56を仕
切るダイヤフラム57に接続された弁棒58を有し、こ
の弁棒58の先端部に各分岐通路52,53に突出する
弁本体59が連結されている。ダイヤフラム57で画成
された負圧室60にはスプリング61が内装されてい
る。そして、負圧室60内の負圧が弱い(負圧の絶対値
が小さい)ときには、弁捧58がスプリング61の付勢
力によってハウジング56外へ進出し、弁本体59を各
分岐通路52,53の閉方向に移動させる。一方、負圧
室60内の負圧が強い(負圧の絶対値が大きい)ときに
は、弁棒58がスプリング61の付勢カに抗してハウジ
ング56内に後退し、弁本体59を各分岐通路52,5
3の開方向に移動させる。
【0034】前記第1EGR弁54の負圧室60に通じ
る第1EGR負圧通路62はデューティソレノイドバル
ブ63に、第2EGR弁55の負圧室60に通じる第2
EGR負圧通路64はオンオフソレノイドバルブ65に
それぞれ接続されている。バキュームポンプ38で生成
された負圧が第2の負圧ライン66を介して供給される
負圧調整用のデューティソレノイドバルブ67と、大気
圧が第2の大気圧ライン68を介して供給される大気圧
調整用のデューティソレノイドバルブ69とが配設さ
れ、最終的に大気圧調整用デューティソレノイドバルブ
69で予備調整された負圧が予備調整負圧ライン70を
介して前記デューティソレノイドバルブ63に供給され
る。
【0035】このデューティソレノイドバルブ(EGR
DSV)63は、三方弁であって、デューティ率が0%
のときに、第1EGR負圧通路62と予備調整負圧ライ
ン70との連通度を0%とし、かつ第1EGR負圧通路
62を大気開放として、第1EGR弁54の弁棒58を
最大限に進出させ、第1EGR分岐通路52を完全に閉
じる。一方、EGRDSV63は、デューティ率が10
0%のときに、第1EGR負圧通路62と予備調整負圧
ライン70との連通度を100%として、第1EGR弁
54の弁棒58を最大限に後退させ、第1EGR分岐通
路52を完全に開く。そして、EGRDSV63は、こ
れらの中間のデューティ率で、第1EGR分岐通路52
の開度、すなわち排ガス還流量(EGR量)を滑らかに
調整する。
【0036】一方、前記のように二つのデューティソレ
ノイドバルブ67,69で予備調整されず、バキューム
ポンプ38で生成されたままの負圧が、前記第2負圧ラ
イン66から分岐した無調整負圧ライン71を介して前
記オンオフソレノイドバルブ65に直接供給される。こ
のオンオフソレノイドパルブ(EGRSV)65も、ま
た三方弁であって、オフのときに、第2EGR負圧通路
64と無調整負圧ライン71との連通度を0%とし、か
つ第2EGR負圧通路64を大気開放として、第2EG
R弁55の弁棒58を最大限に進出させ、第2EGR分
岐通路53を完全に閉じる。一方、EGRSV65は、
オンのときに、第2EGR負圧通路64と無調整負圧ラ
イン71との連通度を100%として、第2EGR弁5
5の弁棒58を最大限に後退させ、第2EGR分岐通路
53を完全に開く。
【0037】このような異なる性格の第1、第2のEG
R弁54,55をEGR通路50に並列に配置すること
により、両EGR弁54,55の容量を大きくすること
なく、第2のEGR弁55でEGR量を応答性よく速や
かに広い範囲で増減調整しながら、第1のEGR弁54
でEGR量を精度よく繊密に高い分解能で微調整するこ
とが可能となる。また、前記のように、EGR通路50
の上流端部が、排気通路9におけるVGT20のタービ
ン22よりも上流側に開口されていることから、前記V
GT20のノズル25…25の開度を小さく絞れば、そ
れが排気通路9の排気流動にとって抵抗になり、排気は
EGR通路50を経由して吸気通路7側に還流され易く
なる。従って、同じEGR弁54,55の開度であって
も、VGT20のノズル開度が小さいときは、大きいと
きに比べて、EGR量は増える傾向がある。
【0038】このエンジン1に備えられたコントロール
ユニット100は、燃料噴射弁4から燃焼室ないし予燃
焼室5に噴射する燃料噴射量及び燃料噴射時期をエンジ
ン1の運転状態に応じて制御するほか、少なくとも、吸
気通路7に配設された過給圧検出手段としての吸入空気
圧センサ(過給圧センサ)81及び吸人空気温センサ8
2からの信号と、VGT負圧通路36に配設され、負圧
アクチュエータ30の負圧室34に供給されるVGT負
圧を検出するVGT負圧センサ83からの信号と、第1
EGR弁54の弁棒59のリフト量、すなわち第1EG
R分岐通路52の開度を検出するリフト量センサ84か
らの信号と、エンジン1の冷却水の温度を検出する水温
センサ85からの信号と、エンジン1のクランク軸の回
転角度からエンジン回転数を検出する電磁ピックアップ
式のエンジン回転数センサ86からの信号と、図示しな
いアクセルペダルの操作量からアクセル開度を出するア
クセル開度センサ87からの信号と、エンジンルームの
温度を検出するエンジンルーム温センサ88からの信号
と、内蔵された大気圧センサ89からの信号とを入力
し、これらの信号が示す検出値に基いて、前記VGTD
SV37を介しての過給圧制御(VGT制御)を実行す
ると共に、EGRDSV63、EGRSV65、負圧調
整用デューティソレノイドバルブ67、及び大気圧調整
用デューティソレノイドバルブ69を介しての排気還流
制御(EGR制御)を実行する。
【0039】特に、前記EGR制御においては、エンジ
ン回転数が低くかつエンジン負荷(燃料噴射量)が低い
運転状態から、エンジン回転数が中程度かつエンジン負
荷が中程度の運転状態に亘る範囲(定常運転状態)で、
排気の還流を実行する。このEGR制御は、例えばEG
R通路50に配設した第1EGR弁54のリフト量セン
サ84で検出される実リフト量を目標リフト量に収束さ
せるEGR量のフィードバック制御とすればよい。ま
た、エンジン回転数が高い運転状態、ないしエンジン負
荷が高い運転状態では排気は還流させない。これは、エ
ンジン1の加速運転時には、燃料噴射量の増大に応じて
吸入空気量を速やかに増大させる必要があり、そのため
には排気の還流量を速やかに減少させる必要があるから
である。尚、減速時においてもまたEGR制御は実行し
ない。
【0040】(VGT制御)この実施形態に係る過給圧
制御装置Aでは、前記の如く、コントロールユニット1
00によりVGTDSV37を介して吸気の過給圧を制
御するVGT制御を行うようにしている。このVGT制
御においては、例えば図6に示すように、基本的にエン
ジン回転数又はエンジン負荷が高くなるほど、VGTD
SV37に対するデューティ率を小さくし、ノズル25
…25の開度を大きくして、排気流量の増大に応じた高
い過給効率が得られるようにする。また、同図に符号R
1、R2、R3で示す所定の低回転領域においては、エ
ンジン負荷に対応してノズル25…25の開度を制御す
る。すなわち、アイドル状態を含む低回転かつ低負荷領
域(R1)では、例えばデューティ率を100%として
ノズル25…25の開度を最大限に小さくし、低回転か
つ中負荷領域(R2)では、例えばデューティ率を50
%としてノズル25…25の開度を中程度に大きくし、
低回転かつ高負荷領域(R3)では、例えばデューティ
率を0%としてノズル25…25の開度を最大限に大き
くする。
【0041】これにより、エンジン1が低回転かつ低負
荷の運転状態(R1)にあるときには、EGR弁54,
55を介しての排気の還流が行なわれると共に、VGT
20のノズル25…25の開度が小さくされるから、こ
れが排気の流動の抵抗となって排気通路9の排気は下流
側に抜け難くなり、排気通路9において、エンジン1の
排気ポートから、VGT20の可動ベーン24…24な
いしノズル25…25、あるいはタービン22の配設部
位までの間の排気圧が高くなる。この結果、例えば吸気
通路7側に絞り弁等の別部材を設けて該吸気通路7に負
圧を生成するようなことをしなくても、VGT20を利
用して、所定のEGR量を良好に確保することが可能に
なる。また、低回転低負荷時は、そもそも排気量が少な
いから、このようにVGT20のノズル25…25の開
度を小さくしても、タービン22が過回転することがな
く、VGT20の過給効率が過大になることもない。
【0042】一方、エンジン1が低回転かつ高負荷の運
転状態(R3)にあるときには、VGT20のノズル2
5…25の開度が大きくされるから、前記の低回転低負
荷の運転状態(R1)からの発進時にアクセルペダルが
踏み込まれて、この低回転高負荷の運転状態(R3)に
移行した際には、ノズル25…25の開度が閉状態から
開状態に切り換えられる。その結果、排気通路9の排気
は下流側に抜け易くなり、タービン22の回転数が急激
に上昇することがなく、タービン22の過回転や、焼付
き等のVGT20の信頼性の問題が回避される。
【0043】また、発進時にアクセルペダルが踏み込ま
れた当初の短時間は、まだ閉状態から開状態に完全に切
り換わっていないノズル25…25に対し、すでに増量
した排気が吹き込んで、タービン22に大きな回転駆動
力が加わり、これがタービン22の回転を上昇させる最
初の推進力となるから、そののちノズル25…25の開
度が大きくされてタービン22に作用する駆動力がそれ
ほど増大しなくても、タービン22は十分大きな慣性で
回り続け、加速性能が大きく落ち込むことがない。
【0044】特に、低回転かつ低負荷状態、すなわちア
イドル状態という発生頻度の高いエンジン1の運転状態
において、前記のようにしてEGR量が良好に確保さ
れ、また、該アイドル状態からの発進という同じく発生
頻度の高いエンジン1の運転状態において、前記のよう
にしてVGT20の信頼性が良好に確保される。
【0045】さらに、エンジン1が低回転かつ中負荷の
運転状態(R2)にあるときには、VGT20のノズル
25…25の開度が、前記両運転状態(R1),(R
3)のときのノズル25…25の開度の中間の開度とさ
れるから、前記発進時に運転状態(R1)から運転状態
(R3)に移行する途中で、中程度のノズル開度を経由
することになり、ノズル開度が段階的に大きくされて、
閉状態から開状態への急激な切換えが緩和される。その
結果、タービン22に作用する駆動力の増大率が段階的
に低減されることにより、運転者の違和感が低減され
る。
【0046】尚、前記図6には、エンジン1の低回転領
域をその負荷状態に応じてR1,R2,R3の三つの領
域に分割した場合を示したが、これに限らず、四つ以上
の領域に分割してよいことはいうまでもない。こうすれ
ば、低回転低負荷の運転状態からの発進時に低回転高負
荷の運転状態に移行する途中で、VGT20のノズル2
5…25の開度が滑らかに大きくなり、ノズルの閉状態
から開状態への切換えがより一層、緩和される。この結
果、タービン22に作用する駆動力の増大率が滑らかに
変化し、運転者の違和感がより一層低減される。
【0047】このようなVGT20の過給圧制御は、エ
ンジン回転数やエンジン負荷等の運転状態に応じて設定
される目標過給圧になるように、そのノズル25…25
の開度が連続的にフィードバック制御されることによっ
て実現する。具体的に、例えばエンジン負荷が極めて高
い運転状態では、吸気通路7に配設した過給圧センサ8
1で検出される実過給圧が所定圧以上になっていれば、
この過給圧が目標過給圧になるようにノズル25…25
の開度をフィードバック制御する過給圧フィードバック
制御が行なわれる。これは、エンジン負荷が極めて高い
運転状態では、そもそも目標過給圧がエンジン負荷に対
応して極めて高い値に設定されるから、吸気通路7の実
際の過給圧に基いて精度良くVGT20の制御を行わな
いと、タービン22が過回転して、タービン軸22aの
焼付き等に至ることがあるからである。
【0048】一方、前記以外の運転状態では、前記の過
給圧フィードバック制御に代えて、VGT負圧通路36
に配設したVGT負圧センサ83で検出される実VGT
負圧が目標VGT負圧となるように、ノズル25…25
の開度をフィードバック制御するVGT負圧フィードバ
ック制御が行なわれる。これは、前記の過給圧フィード
バック制御は精度の面においては優れるものの、吸気通
路7の実際の過給圧を過給圧センサ81で検出してか
ら、VGT負圧アクチュエータ30への供給負圧を変化
させてVGT20のノズル開度を調節し、その結果とし
て吸気通路7の実過給圧が増減制御されるまでのタイム
ラグが比較的大きく、応答性の面でやや難があるからで
ある。
【0049】このような応答遅れの不具合は、排気ガス
量が少なくて、実過給圧の増減変化が遅れ気味となる低
回転領域において特に問題になるので、この実施形態の
VGT制御では、VGT20の信頼性確保のために特に
制御精度を高める必要のある高負荷運転状態を除いて、
精度の面ではやや劣るものの制御の応答性及び安定性の
面において優れるVGT負圧フィードバック制御を行う
ようにしている。尚、そのように過給圧フィードバック
制御と、負圧フィードバック制御とのいずれを実行する
かは、そのときの運転状態に要求される制御の特質と、
各制御が具備している特質との関係による。従って、前
記のように2つのフィードバック制御を選択的に切り換
えて実行するだけでなく、それらの制御を併用してフィ
ードバック制御を実行するようにしてもよい。
【0050】上述の如く、この実施形態のVGT制御に
よれば、VGT20のノズル25…25の開度をエンジ
ン1の運転状態に応じてきめ細かく制御することによ
り、吸気の過給圧を応答性よく立ち上げて、燃焼効率の
向上やエミッション低減を図りつつ、タービン22の過
回転や焼付き等の信頼性の問題を回避できるのである
が、このようなきめ細かな制御をしていても、例えばエ
ンジンの加速運転時等に可動ベーン24…24が正常に
開き側に作動しなくなって、排気エネルギーの増大に伴
い過給圧が過大になるというオーバーブーストの問題が
生じることがあった。すなわち、図3に仮想線の円Qで
囲んで示すように、可動ベーン24…24とタービン室
23aの側壁とのクリアランスは極めて狭いので、仮に
全閉状態で強い排気圧を受けた可動ベーン24が傾斜し
て、その先端部が対向するタービン室23aの壁面に押
し付けられると、その可動ベーン24は排気圧によりタ
ービン室23aの側壁に押し付けられて、全閉のまま動
かない固着状態になってしまうのである。
【0051】そこで、この実施形態では、本発明の特徴
部分として、前記のような可動ベーン24…24の固着
等に起因して、過給圧センサ81により検出される実過
給圧が所定以上に上昇したとき、この過給圧が過大にな
ってエンジン1の信頼性の問題が生じることを未然に防
止するために、可動ベーン24…24を強制的にかつ通
常よりも大きく開き側に作動させるようにしている。
【0052】次に、このようなVGT制御手順の一例
を、図7及び図8に示すフローチャート図に基づいて具
体的に説明する。まず、図7に示すフローのスタート後
のステップS1では、エンジン回転数センサ86、アク
セル開度センサ87等の各種センサからの信号を読み込
み、続くステップS2において、負圧アクチュエータ3
0の負圧室34に供給する基本目標負圧を設定する。こ
の基本目標負圧の設定は、エンジン1の始動時、アイド
ル運転時、部分負荷運転時、全負荷運転時等のような様
々な運転状態毎にそれぞれ行われ、例えば、エンジン1
の始動時に設定される始動時目標負圧としては、VGT
20のノズル開度が全開になるようなVGT負圧が設定
される。
【0053】また、エンジン1のアイドル運転時に設定
されるアイドル時目標負圧としては、VGT20のノズ
ル開度が全閉になるようなVGT負圧が設定される一
方、エンジン1の全負荷運転時に設定される全負荷時目
標負圧としては、VGT20のノズル開度が全開になる
ようなVGT負圧が設定される。さらに、これら以外の
とき、つまりエンジン1の部分負荷運転時に設定される
部分負荷時目標負圧としては、VGT20のノズル開度
がやや開いた状態になるようなVGT負圧が設定され
る。このことで、EGR制御が行われるエンジン1の低
回転低負荷状態では、所定のEGR量が良好に確保され
て、空燃比制御等が円滑に行われることになる。また、
発進時において、VGT20の信頼性の問題が回避され
ると共に、運転者の違和感が低減される。
【0054】前記ステップS2に続いて、ステップS3
では、過給圧センサ81からの信号に基づいて、吸気通
路7における過給圧が例えば略180kPa(第1設定
圧)を超えたかどうか判別し、この判別結果がNOなら
ばステップS17に進む一方、判別結果がYESならば
ステップS4に進む。このステップS4では、同様に過
給圧が例えば略213kPa(第2設定圧)を超えたか
どうか判別し、この判別結果がNOならばステップS1
0に進む一方、判別結果がYESならばステップS5に
進む。さらに、ステップS5では、過給圧が許容できる
上限値である例えば略221kPa(第3設定圧)を超
えたかどうか判別し、この判別結果がNOならばステッ
プS8に進む一方、判別結果がYESならばステップS
6に進む。
【0055】このステップS6では、過給圧が第3設定
圧を超えていて、エンジン1の信頼性を確保するために
過給圧を確実に低下させる必要があるので、後述の最終
的な目標負圧を強制的に零とする。続いて、ステップS
7において、そのように上限値を超えた過給圧を速やか
に低下させるオーバーブースト防止制御の実行中である
ことを示すオーバーブーストFLAGをオン状態にする
(オーバーブーストFLAG←1)。一方、前記ステッ
プS5において過給圧が上限値以下でNOと判定して進
んだステップS8では、今度は、過給圧が第2設定圧を
超えていることに対応して、可動ベーン24…24を相
対的に大きく開き側に作動させる第2減量補正制御を実
行すべく、減量FLAG2をオン状態にする(FLAG
2←1)。そして、続くステップS9において、目標負
圧を相対的に大きく減らすための補正値である第2目標
負圧減量値を設定する(目標負圧減量2設定)。
【0056】つまり、実過給圧が許容できる上限値であ
る第3設定圧を超えたときには、直ちに過給圧を低下さ
せるために目標負圧を零にする一方、第3設定圧を超え
ていなくても第2設定圧を超えていれば、過給圧は可動
ベーン24…24の固着等に起因して上昇していると判
断し、この過給圧が過大になることを未然に防止するた
めに、負圧アクチュエータ30の目標負圧を大きく減量
し、これにより、負圧アクチュエータ30から可動ベー
ン24…24に対し大きな駆動力を作用させて、固着し
ている可動ベーン24…24を強制的に開き側に作動さ
せる。
【0057】これに対し、前記ステップS4において過
給圧が第2設定圧以下でNOと判定して進んだステップ
S10では、まず、減量FLAG2がオン状態かどうか
判別し、判別結果がNOであればステップS14に進む
一方、判別結果がYESで、既に第2減量補正制御を実
行中であれば、ステップS11に進み、その第2減量補
正制御の結果として過給圧が略206kPaまで低下し
たかどうか判別する。そして、この判別結果がNOであ
れば前記ステップS8に進んで、引き続き第2減量補正
制御を行う一方、判別結果がYESで、過給圧が略20
6kPaまで低下していれば、第2減量補正制御を終了
するために、続くステップS12において減量FLAG
2をオフ状態にし(FLAG2←0)、続くステップS
13で目標負圧減量値を零にする。
【0058】また、前記ステップS10において減量F
LAG2がオン状態でないNOと判別して進んだステッ
プS14では、今度は、過給圧の上昇率が予め設定した
所定値(設定値)以上かどうか判定する。そして、この
判定結果がNOで過給圧が徐々に増大しているのであれ
ば、過給圧の減量補正をする必要はないので、前記ステ
ップS13に進む一方、判定結果がYESで過給圧が急
激に上昇しているのであれば、ステップS15に進ん
で、可動ベーン24…24を相対的に小さく開き側に作
動させる第1減量補正制御を実行すべく、減量FLAG
1をオン状態にする(FLAG1←1)。そして、続く
ステップS16において、目標負圧を減らすための補正
値として、前記第2目標負圧減量値よりも小さな第1目
標負圧減量値を設定する(目標負圧減量1設定)。
【0059】つまり、VGT20による吸気の過給圧が
急上昇して、第1設定圧を超えたときには、このときに
は前記第1設定圧を超えたときに比べて過給圧が低くて
も、過給圧は過大になる虞れがあると判断し、この段階
で可動ベーン24…24を開き側に作動させることで、
過給圧が過大になることを未然に防止するようにしてい
る。但し、この場合には走行性の悪化を最小限にくい止
めるために、可動ベーン24…24の開き側への作動量
は相対的に小さいことが好ましいので、第1目標負圧減
量値は第2目標負圧減量値よりも小さく設定されてい
る。
【0060】一方、前記ステップS3において過給圧が
第1設定圧以下でNOと判定して進んだステップS17
では、減量FLAG1がオン状態かどうか判別し、判別
結果がNOであればステップS21に進む一方、判別結
果がYESで、既に第1減量補正制御を実行中であれ
ば、ステップS18に進み、その第1減量補正制御の結
果として過給圧が略173kPaまで低下したかどう
か、或いは第1減量補正制御の開始から所定時間(例え
ば100〜150m秒)が経過したかどうか判別する。
そして、過給圧が略173kPaまで低下しておらず、
かつ補正制御開始から所定時間が経過していないNOで
あれば、前記ステップS15に進んで引き続き第1減量
補正制御を行う一方、過給圧が略173kPaまで低下
したか又は補正制御開始から所定時間が経過していれ
ば、ステップS19に進み、減量FLAG1をオフ状態
にし(FLAG1←0)、続くステップS20で目標負
圧減量値を零にする。
【0061】このように、第1減量補正制御によって実
過給圧が所定値(略173kPa)まで低下していなく
ても、所定時間が経過したときに補正制御を終了するよ
うにしているのは、長時間の過給圧減量補正によって走
行性が大幅に悪化することを防止するためである。
【0062】また、前記ステップS17において減量F
LAG1がオン状態でないNOと判別して進んだステッ
プS21では、今度はオーバーブーストFLAGがオン
状態かどうか判別し、判別結果がNOであれば前記ステ
ップS21に進む一方、判別結果がYESで、オーバー
ブースト防止制御を実行中であれば、ステップS22に
進んで、過給圧が略152kPaまで低下したかどうか
判別する。そして、この判別結果がNOであれば前記ス
テップS6に進み、引き続いてオーバーブースト防止制
御を行う一方、判別結果がYESで、過給圧が略152
kPaまで低下していれば、ステップS23に進み、オ
ーバーブーストFLAGをオフ状態にし(オーバーブー
ストFLAG←0)、続くステップS20において、目
標負圧減量値を零にする。つまり、実過給圧が一旦、上
限値である第3設定圧を超えたときには、その過給圧が
十分に低下するまでは可動ベーン24…24を全開状態
に保持するようにしている。
【0063】前記図7のフローのステップS7,S9,
S13,S16,S20に続いて、図8に示すフローの
ステップS24では、上述の如く設定された基本目標負
圧を補正するための各種補正負圧を演算する。すなわ
ち、例えば大気圧が低いほど、また、吸気温度が高いほ
ど、燃焼室に供給される空気量を増大すべく、VGT2
0のノズル開度が閉じ側になるように補正を行う。
【0064】続いて、ステップS25において、前記ス
テップS2で求めた基本目標負圧、ステップS6,S
9,S16でそれぞれ設定した目標負圧減量値、及びス
テップS24で求めた各種補正負圧等に基づいて、目標
負圧のなまし処理演算を行う。この目標負圧なまし援算
は、例えば下記数1に示す演算式に従って、基本目標負
圧の急激な変化を抑制すべく、過去の履歴を考慮して行
なう。 [数1] FU1 = K1×FU1[i−1]+(1−K1)FU0[i] ここで、FU1はなまし処理後の今回値、FU1[i−
1]はなまし処理後の前回値であり、また、FU0は、
なまし処理前の今回値、つまり前記ステップS24まで
で得られた基本目標負圧である。さらに、K1はなまし
処理の度合いを決定する係数であって、例えば(0.5
<K1<1)とされている。
【0065】続いて、ステップS26〜S29において
進み補正を施す。この進み補正は例えば下記数2に示す
演算式に従って、過給圧変化の応答遅れを抑制する目的
で行なう。 [数2] FU2 = (FU1[i]− K2×FU1[i−1])/(1−K2) ここで、FU2は進み補正後の今回値、FU1[i]は
なまし処理後の今回値であり、また、FU1[i-1]
はなまし処理後の前回値である。さらに、K2は進み補
正係数であって、例えば(0<K2<0.5)とされて
いる。
【0066】詳しくは、前記ステップS26において、
まず、第1又は第2減量補正制御によって実過給圧が低
下してから所定期間が経過したかどうか判定する。この
判定結果がYESで所定期間内であれば、ステップS2
7に進んで、進み補正係数K2を相対的に大きな値に設
定する一方、前記ステップS26でNOと判定されれば
ステップS28に進み、進み補正係数K2は相対的に小
さな値に設定する。そして、前記ステップS27,S2
8に続くステップS29では、前記のような進み補正演
算を行う。
【0067】つまり、前記第1又は第2減量補正制御の
後の所定期間内は、該減量補正制御によって過給圧が強
制的にかつ大幅に低下させられているので、その後の過
給圧の上昇側への回復が遅れて、走行性の悪化を招くこ
とが懸念される。そこでこの場合には、進み補正係数K
2を相対的に大きな値とすることで、過給圧を上昇させ
る基本的なVGT制御の制御ゲインを増大させて、過給
圧を通常よりも速く上昇させるようにしている。
【0068】前記ステップS29に続いて、ステップS
30では、過給圧フィードバック制御の実行条件が成立
しているかどうかを判定する。例えば、実過給圧が略1
93kPaを超えているかどうか判別し、この判別結果
がYESであれば条件成立と判定してステップS31に
進み、前記過給圧センサ81からの信号に基づいて、検
出される実過給圧が目標過給圧になるようにフィードバ
ック(F/B)するための過給圧フィードバック補正量
を演算する。また、VGT負圧センサ83からの信号に
基づく負圧フィードバック補正量は零とする。一方、実
過給圧が略193kPa以下ならば、過給圧フィードバ
ック条件非成立と判定し、ステップS32で該過給圧フ
ィードバック補正量を零とするとともに、負圧フィード
バック補正量をVGT負圧センサ83からの信号に基づ
いて演算する。尚、それらのフィードバック補正量は、
例えばデューティ率が100%のときの負圧値等に基い
て負圧に変換し、これをフィードバック負圧とする。
【0069】そして、前記ステップS31,S32に続
くステップS33では、前記ステップS29で求めた進
み補正処理後の目標負圧と前記ステップS31,S32
で求めたフィードバック負圧とに基づいて、最終目標負
圧を演算し、続くステップS34において、前記最終目
標負圧をVGTDSV37に印加するデューティ値に変
換したのち、ステップS35において、このデューティ
値の信号をVGTDSV37に出力して、しかる後にリ
ターンする。
【0070】このように、実過給圧が所定以上に高いと
きだけ過給圧フィードバック制御を行うようにすること
で、エンジン1の低負荷ないし中負荷状態では過給圧制
御の応答遅れを抑えて、オーバーシュートやハンチング
の少ない安定した制御を実現するとともに、一方、高負
荷状態では制御精度の高い過給圧フィードバックにより
VGT20の信頼性の問題を解消することができる。
尚、前記ステップS30において、過給圧フィードバッ
ク制御の実行条件を、例えばエンジン回転数やアクセル
開度に基づいて判定するようにしてもよい。
【0071】前記図7に示すフローのステップS2と図
8に示すフローの各ステップとにより、VGT20の可
動ベーン24…24をエンジン1の運転状態に応じて作
動制御する基本過給圧制御手段100aが構成されてい
る。そして、この基本過給圧制御手段100aは、エン
ジン1がアイドル運転状態のときには負圧アクチュエー
タ30により可動ベーン24…24を全閉状態にさせる
ように構成されている。
【0072】また、前記図7に示すフローにおいて、ス
テップS3,S4からステップS10を経て、ステップ
S14〜S20へと進む制御手順は、過給圧センサ81
により検出された実過給圧が第1設定圧以上のとき、可
動ベーン24…24を相対的に小さく開き側に作動させ
る第1過給圧低下制御手段100bに対応している。そ
して、この第1過給圧低下制御手段100bは、過給圧
の上昇変化率が所定の設定値以上のときにのみ、前記可
動ベーン24…24の作動制御を行うように構成されて
いる。
【0073】さらに、前記図7に示すフローにおいて、
ステップS4,S5からステップS8,S9へ進む制御
手順、及びステップS4からステップS10〜S13へ
と進む制御手順は、過給圧センサ81により検出された
実過給圧が前記第1設定圧よりも高い第2設定圧以上の
とき、可動ベーン24…24を相対的に大きく開き側に
作動させる第2過給圧低下制御手段100cに対応して
いる。そして、前記第1及び第2過給圧低下制御手段1
00b,100cは、負圧アクチュエータ30への供給
負圧をそれぞれ第1及び第2目標負圧減量値だけ変化さ
せることにより、可動ベーン24…24を開き側に作動
させるように構成されている。
【0074】また、前記図8に示すフローのステップS
26〜S28により、前記第1又は第2過給圧低下制御
手段100b,100cの少なくとも一方による減量補
正制御が行われて、VGT20の過給圧が低下した後
に、所定期間は基本過給圧制御手段100aによるVG
T過給圧の上昇側への制御ゲインを増大補正するゲイン
補正手段100dが構成されている。
【0075】(燃料カット制御)この実施形態に係る過
給圧制御装置Aでは、上述の如きVGT制御の他に、過
給圧センサ81により検出された実過給圧が第3設定圧
以上のとき、コントロールユニット100からの制御信
号によって燃料噴射弁4による燃料噴射を中止させる燃
料カット制御を行うようにしている。
【0076】具体的に。例えば図9に示すフローのスタ
ート後のステップT1において、過給圧センサ81、エ
ンジン回転数センサ86、アクセル開度センサ87等の
各種センサからの信号を読み込み、続くステップT2に
おいて、前記過給圧センサ81からの信号に基づいて、
吸気通路7における過給圧が許容できる上限値である略
221kPa(第3設定圧)を超えたかどうか判別す
る。そして、この判別結果がNOならばステップT4に
進んで、燃料噴射弁4によりエンジン1の運転状態に応
じた分量の燃料を噴射させる一方、判別結果がYESな
らばステップT3に進み、前記燃料噴射弁4による燃料
噴射を中止させ(燃料カット)、しかる後にリターンす
る。
【0077】前記図9に示すフローの各ステップによ
り、過給圧センサ81の検出値が第3設定圧以上のとき
に、エンジン1への燃料供給を中止させる燃料カット制
御手段100eが構成されている。
【0078】次に、この実施形態の制御装置Aの作用効
果を図10に基づいて説明する。
【0079】同図に示すように、例えば、車両の発進加
速時において運転者がアクセルペダルを踏み込んだとき
(t=t0)、エンジン1は低回転かつ低負荷の運転状
態から低回転かつ中負荷又は高負荷の運転状態に移行
し、これに伴い、VGT制御によって負圧アクチュエー
タ30の目標負圧が徐々に低下され、VGT20の可動
ベーン24…24が徐々に開き側に作動される。この
際、アクセルペダルが踏み込まれた当初の短時間は、ま
だ全閉状態に近いノズル25…25に対してすでに排気
流量は増量しているので、タービン22に比較的大きな
回転駆動力が加わり、VGT20の過給圧は速やかに上
昇する。続いて、可動ベーン24…24の開作動により
ノズル断面積が大きくなる一方で、エンジン回転数の上
昇に伴い排気流量はさらに増大するので、過給圧は同図
に仮想線で示すように速やかにかつ滑らかに上昇するよ
うになる。
【0080】ここで、例えば、VGT20の可動ベーン
24…24の初期セットばらつきが大きくて、ノズル断
面積が比較的小さいままになっていたり、或いは可動ベ
ーン24…24が固着して、負圧アクチュエータ30に
よる通常の駆動力では正常に開作動しなかったりする
と、同図に実線で示すように、過給圧は急激に立ち上が
り、やがて第1設定圧(略180kPa)を超える。そ
して、このような急激な過給圧の立ち上がりに対応して
第1減量補正制御が開始され(減量1FLAGオン)、
第1過給圧低下制御手段100bにより目標負圧が第1
目標負圧減量値だけ減量されて、負圧アクチュエータ3
0により可動ベーン24…24が通常よりも大きい駆動
力で開き側に作動される。これにより、仮に、前記の過
給圧の急上昇が可動ベーン24…24の初期セットばら
つきに起因するものであるか、或いは可動ベーン24…
24が固着していても、その固着の程度が弱ければ、該
可動ベーン24…24は開き側に作動して、過給圧は低
下することになる。
【0081】しかし、可動ベーン24…24が強く固着
している場合には、前記第1減量補正制御によっても過
給圧は低下せず、この場合には、その第1減量補正制御
はその開始から所定時間(例えば100〜150m秒)
が経過した後に終了する(減量1FLAGオフ)。そし
て、その後に過給圧がさらに上昇して、第2設定圧(略
213kPa)以上になると、今度は第2減量補正制御
が開始され(減量2FLAGオン)、第2過給圧低下制
御手段100cにより目標負圧が第2目標負圧減量値だ
け減量される。すなわち、負圧アクチュエータ30の目
標負圧は前記第1減量補正制御に比べて大幅に減量され
(図例では目標負圧は零になっている)、可動ベーン2
4…24はその第1減量補正制御に比べてかなり大きい
駆動力で開き側に作動される。このことで、強く固着し
ている可動ベーン24…24も、タービン室23壁面へ
の押し付け力に抗して開き側に作動するようになり、こ
れにより、過給圧はタービン22の慣性によってやや上
昇した後に速やかに低下する。
【0082】このようにして過給圧が略206kPaま
で低下すると、第2減量補正制御は終了し(減量2FL
AGオフ)、それ以降は、通常のVGT制御が行われ
て、エンジン1の運転状態に応じた適切な過給圧が得ら
れるようになる。その際、前記第1又は第2減量補正制
御によって過給圧が低下した後の所定期間は、目標負圧
の演算における進み補正係数K2が相対的に大きな値と
されるので、過給圧が通常よりも速く上昇するようなV
GT制御が行われて、走行性の悪化が最小限度に抑えら
れる。
【0083】したがって、この実施形態に係るエンジン
の過給圧制御装置Aによれば、VGT20による吸気の
過給圧が第1設定圧以上になったとき、第1減量補正制
御によりVGT20の可動ベーン24…24を通常より
も強い駆動力で強制的に開き側に作動させ、それでもな
お過給圧が上昇して第2設定圧以上になれば、第2減量
補正制御により可動ベーン24…24をさらに強い駆動
力で開き側に作動させるようにしたので、該可動ベーン
24…24の固着等に起因してVGT過給圧が急激に上
昇したときでも、過給圧が過大になることを未然に防止
することができる。
【0084】しかも、前記第1減量補正制御は単に過給
圧が第1設定圧を超えただけでは行わす、その過給圧の
上昇変化率が設定値以上のとき、即ち、可動ベーン24
…24の初期セットばらつきや固着等に起因して過給圧
が過大になる虞れがあると判断した場合にのみ、可動ベ
ーン24…24を開き側に作動させるようにしたので、
過給圧が過大に至らない場合であるにも拘わらず、不要
に過給圧が低下されることを減らして、この不要の過給
圧低下による走行性の悪化を抑制することができる。
【0085】また、VGT過給圧が許容上限値である第
3設定圧を超えたときには、負圧アクチュエータ30の
制御目標負圧を零にするとともに、燃料カット制御によ
りエンジンへ1の燃料供給を中止させるようにしてお
り、これにより、負圧アクチュエータ30やセンサ異常
による可動ベーン24…24の完全固着異常であって
も、過給圧が過大になることを確実に防止することがで
きる。
【0086】さらに、この実施形態では、エンジン1の
アイドル運転時には可動ベーン24…24が全閉状態に
されて、ストッパ部材に当接保持されるようになってい
る。このため、エンジン1のアイドル運転時に可動ベー
ン24…24の開度が安定した状態になり、該可動ベー
ン24…24よりも上流側の排気圧が安定し、そこから
吸気系に還流される排気の還流量も安定するので、その
ことによってエミッションのばらつきを抑制できる。
【0087】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
係るエンジンの過給圧制御装置によると、エンジンの過
給機による吸気の過給圧が所定の第1設定圧以上になっ
たとき、第1過給圧低下制御手段により過給圧が低下す
るように過給機の可動ベーンを開き側に作動させ、それ
でもなお過給圧が上昇して第2設定圧以上になれば、前
記可動ベーンを第2過給圧低下制御手段によりさらに大
きく開き側に作動させるようにしたので、該可動ベーン
の固着等を解消して、過給圧が過大になることを未然に
防止することができる。
【0088】請求項2の発明によると、過給機の可動ベ
ーンを負圧式アクチュエータにより駆動する場合に、該
可動ベーンの作動量を相対的に大きくすることで、可動
ベーンに作用する駆動力そのものを大きくすることがで
きるので、請求項1の発明の効果を十分に得ることがで
きる。
【0089】請求項3の発明によると、第1過給圧低下
制御手段を、過給圧の上昇変化率が設定値以上のときに
のみ可動ベーンの作動制御を行うものとしたので、不要
な過給圧の低下制御を減らして、走行性の悪化を抑制で
きる。
【0090】請求項4の発明によると、過給圧が第3設
定圧以上のときにはエンジンへの燃料供給を中止させる
ようにしたので、アクチュエータやセンサ異常による可
動ベーンの完全固着異常であっても、過給圧が過大にな
ることを確実に防止できる。
【0091】請求項5の発明によると、第1又は第2過
給圧低下制御手段の制御により過給圧を低下させた後の
所定期間、過給圧の上昇側への制御ゲインを増大補正す
ることで、過給圧低下制御後に過給圧を速やかに上昇さ
せて、走行性の悪化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の全体構成図である。
【図2】過給圧可変機構の概略構成を一部省略して示す
VGTのタービン室の拡大縦断面図である。
【図3】図2のIII-III線によるタービン室の断面図で
ある。
【図4】負圧アクチュエータの概略構成を示す拡大断面
図である。
【図5】EGR弁の概略構成を示す拡大断面図である。
【図6】VGTのノズル開度とエンジン運転領域との関
係を表わすマップ図である。
【図7】VGT制御の具体的な手順の一例を示すフロー
チャート図である。
【図8】同フローチャートの後半部分である。
【図9】燃料カット制御の具体的な手順の一例を示すフ
ローチャート図である。
【図10】車両の発進加速時のVGT制御により、負圧
アクチュエータの目標負圧とVGT過給圧とが変化する
様子を互いに対応付けて示すタイムチャート図である。
【符号の説明】
A 過給圧制御装置 1 エンジン 7 吸気通路 9 排気通路 20 ターボ過給機(VGT) 22 過給機タービン 24 可動ベーン 25 過給機ノズル 30 負圧アクチュエータ 81 過給圧センサ(過給圧検出手段) 100 コントロールユニット 100a 基本過給圧制御手段 100b 第1過給圧低下制御手段 100c 第2過給圧低下制御手段 100d ゲイン補正手段 100e 燃料カット制御手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 重田 剛 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 Fターム(参考) 3G005 DA02 EA04 EA15 EA16 FA23 GA04 GB24 GB36 GB79 GC05 GD28 GE02 GE03 GE07 GE08 GE09 HA05 HA12 JA01 JA24 JA39 JB02 JB24

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの排気により吸気を過給する過
    給機と、 前記過給機により吸気通路に生成される過給圧を変更調
    節する過給圧可変機構と、 前記過給圧可変機構をエンジンの運転状態に応じて作動
    制御する基本過給圧制御手段とを備えたエンジンの過給
    圧制御装置において、 前記過給圧可変機構は、過給機の排気タービンへの排気
    流速を調節する可動ベーンを有するものであり、 前記吸気通路の過給圧を検出する過給圧検出手段と、 前記過給圧検出手段による検出値が第1設定圧以上のと
    き、過給圧が低下するように前記可動ベーンを開き側に
    作動させる第1過給圧低下制御手段と、 前記過給圧検出手段による検出値が前記第1設定圧より
    も高い第2設定圧以上のとき、可動ベーンを前記第1過
    給圧低下制御手段よりも大きく開き側に作動させる第2
    過給圧低下制御手段とを備えていることを特徴とするエ
    ンジンの過給圧制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 過給圧可変機構は、可動ベーンを開閉作動させる負圧式
    アクチュエータを有し、 基本過給圧制御手段は、エンジンがアイドル運転状態の
    ときには前記アクチュエータにより可動ベーンを全閉状
    態にさせるものであり、 第1過給圧低下制御手段は、前記アクチュエータへ供給
    する負圧を第1設定量だけ変化させるものであり、 第2過給圧低下制御手段は、前記アクチュエータへ供給
    する負圧を前記第1設定量よりも大きな第2設定量だけ
    変化させるものであることを特徴とするエンジンの過給
    圧制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項1において、 第1過給圧低下制御手段は、過給圧の上昇変化率が設定
    値以上のときにのみ、可動ベーンの作動制御を行うよう
    に構成されていることを特徴とするエンジンの過給圧制
    御装置。
  4. 【請求項4】 請求項1において、 過給圧検出手段による検出値が第2設定圧よりも高い第
    3設定圧以上のとき、エンジンへの燃料供給を中止させ
    る燃料カット制御手段が設けられていることを特徴とす
    るエンジンの過給圧制御装置。
  5. 【請求項5】 請求項1において、 第1又は第2過給圧低下制御手段の少なくとも一方の制
    御によって過給圧が低下した後の所定期間、基本過給圧
    制御手段による過給圧の上昇側への制御ゲインを増大補
    正するゲイン補正手段が設けられていることを特徴とす
    るエンジンの過給圧制御装置。
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