JP4325031B2 - エンジンの過給圧制御装置 - Google Patents

エンジンの過給圧制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はエンジンの過給圧制御装置、より詳しくは、タービン効率可変型の過給機と、排気通路内の排気ガスを吸気通路側へ還流する排気ガス還流装置とを併せて備えるエンジンの過給圧制御装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
燃焼室から排出される排気ガスの流動のエネルギーを利用して、燃焼室へ供給される空気量の増大を図る過給機は、一般に、排気通路に排気ガスの流動を受けて回転駆動されるタービンを配置し、また吸気通路に該タービンによって回転駆動されるブロワを配置した構成で、吸入空気と燃料との混合を促進し、酸素利用率を上げて燃焼効率を向上させることから、特に、エミッション対策としてディーゼルエンジン等に広く搭載される。
【0003】
近年では、タービン入口に傾きが可変とされた可動ベーンを備え、該ベーンで形成されるノズルの開度を調整可能としたタービン効率可変型の過給機(バリアブル・ジオメトリ・ターボチャージャ:VGT)が広く採用されるに至っている。この過給機では、タービンに対するノズルの開度を調整することにより、タービン効率を連続的に変化させて、吸気通路内に生成される過給圧を運転状態に応じて制御することが可能となる。例えば特公昭62−8612号公報には、上記ノズルの開度をエンジン回転数とエンジン負荷とに応じて変化させ、特に、エンジン回転数が低いときはノズル開度を小さくし、エンジン回転数が高いときは大きくすると共に、エンジン負荷が低いときはノズル開度を大きくし、エンジン負荷が高いときは小さくする技術が開示されている。これによれば、低回転域においては高回転域に比べて過給効率が高められるからトルクを増大することができると共に、高負荷域においては低負荷域に比べて過給効率が高められるからエンジンの最大出力を増大することができることになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一方、排気中のNOx(窒素酸化物)の低減を主たる目的として、燃焼室から排出された排気ガスを排気通路と吸気通路との間に設けた還流通路を介して排気通路側から吸気通路側へ還流して燃焼室に再循環する排気ガス還流装置(EGR)がエンジンに備えられる場合がある。しかし、このような排気ガス還流装置と上記のような可変型過給機とが併せて備えられたエンジンに上記公報開示の技術を適用すると次のような問題が生じる。
【0005】
すなわち、例えばアイドル時等の低回転且つ低負荷の運転状態においては、上記技術によれば、ノズル開度は、エンジン回転数が低いからエンジン回転数が高いときに比べて小さくされるものの、エンジン負荷が低いからエンジン負荷が高いときに比べて大きくされる。つまり、排気ガスは下流側に抜け易くなり、排気通路において、エンジンの排気ポートから過給機のノズルないしタービンの配設部位までの間の排気ガス圧が低くなる。
【0006】
ここで、還流装置の還流通路は、一般に、上記過給機のノズルないしタービンの上流側において排気通路に接続されているから、結局、低回転且つ低負荷時は、上記還流通路を介して排気ガスを吸気通路側に還流させる推進力となる排気通路側の圧力が低くなる結果、所定の排気ガス還流量を確保することが困難となる。しかも、低回転低負荷時は排気ガス量が少なく、もともと排気ガス還流量を確保し難い状況にあるから、上記不具合が増長される傾向にある。
【0007】
この問題に対処するためには、吸気通路側に吸気シャッタのような絞り弁を設けて該吸気通路内に負圧を生成し、これを排気ガス還流の推進力とすることが考えられるが、部品点数の増大や、構成の複雑化、あるいはコストの増大をまねき好ましくない。
【0008】
さらに、上記のような低回転低負荷状態からアクセルペダルを踏み込んで発進する際には次のような問題も生じる。すなわち、発進時にアクセルペダルが踏み込まれると、エンジン回転数がまだそれほど上昇していないがエンジン負荷が急激に増大した状態が生じる。このような低回転且つ高負荷の運転状態においては、上記技術によれば、ノズル開度は、依然としてエンジン回転数が低いからエンジン回転数が高いときに比べて小さくされ、且つ、エンジン負荷が高くなっているからエンジン負荷が低いときに比べて小さくされる。つまり、過給機の過給効率が最大限に大きくされることになり、その結果、タービンの回転数が急激に上昇し、過回転を起こして、タービン軸の焼付き等の過給機の信頼性の問題が発生することになる。
【0009】
本発明は、タービン効率可変型の過給機と排気ガス還流装置とを併せて備えるエンジンにおける上記のような不具合に対処するもので、低回転且つ低負荷時における排気ガス還流量の確保と、低回転且つ低負荷状態からの発進時における過給機の信頼性の確保とを同時に図ることを課題とする。以下、その他の課題を含め、本発明を詳しく説明する。
【0010】
【課題を解決するための手段】
すなわち、上記課題を解決するため、本願の特許請求の範囲における請求項1に記載の発明は、排気通路に設けられた過給機のタービンに対するノズルの開度をエンジン回転数が高くなるほど及びエンジン負荷が高くなるほど小さくなるように調整することにより上記過給機で吸気通路内に生成される過給圧を制御する過給圧制御手段と、排気通路と吸気通路とを連通する還流通路を介して排気ガスを吸気通路側へ還流する排気ガス還流手段とを備えるエンジンの過給圧制御装置であって、上記排気ガス還流手段が、少なくともエンジンが低回転且つ低負荷の運転状態にあるときに、上記排気ガスの還流を行うと共に、上記過給圧制御手段は、エンジンが上記運転状態にあるときは、上記ノズルの開度を小さくし、エンジンが低回転且つ低負荷の運転状態から低回転且つ高負荷の運転状態へ移行するに従って、ノズルの開度を大きくすることを特徴とする。
【0011】
これによれば、エンジンが低回転且つ低負荷の運転状態にあるときは、排気ガスの還流が行なわれると共に、過給機のノズルの開度が小さくされる。つまり、排気ガスは下流側に抜け難くなり、排気通路においてエンジンの排気ポートから過給機のノズルないしタービンの配設部位までの間の排気ガス圧が高くなる。その結果、還流通路を介して排気ガスを吸気通路側に還流させる推進力が高くなり、吸気通路側に絞り弁等の別部材を設けずとも、併設されている過給機を利用することにより、所定の排気ガス還流量を良好に確保することが可能となる。
【0012】
なお、低回転低負荷時は、前述したように、排気ガス量が少ないから、上記のようにノズル開度を小さくしても、タービンが過回転することがなく、また過給効率が過大となることがない。
【0013】
一方、エンジンが低回転且つ高負荷の運転状態にあるときは、過給機のノズルの開度が大きくされる。したがって、低回転低負荷の運転状態からの発進時にアクセルペダルが踏み込まれて低回転高負荷の運転状態に移行したときには、ノズル開度が閉状態から開状態に切り換えられる。その結果、排気ガスは下流側に抜け気味となり、タービンの回転数が急激に上昇することがなく、タービンの過回転やタービン軸の焼付き等の過給機の信頼性の問題が回避される。特に、低回転域において、エンジン負荷が高くなるほどノズル開度が次第に大きくなっていくので、低回転低負荷の運転状態からの発進時にアクセルペダルが踏み込まれて低回転高負荷の運転状態に移行する途中で、中程度のノズル開度を滑らかに経由し、ノズル開度の閉から開への急激な切換えがよりよく緩和される。その結果、タービンに作用する駆動力の増大率が滑らかに低減されて、運転者への違和感が抑制される。
【0014】
なお、アクセルペダルが踏み込まれた当初の短時間は、まだ閉状態から開状態に完全に切り換わっていないノズルに対し、すでに増量した排気ガスが吹き込んで、タービンに大きな回転駆動力が加わり、これがタービンの回転を上昇させる最初の推進力となる。したがって、そののちノズル開度が大きくされてタービンに作用する駆動力がそれほど増大しなくても、タービンは十分大きな慣性で回り続け、加速性能が大きく落ち込むことがない。
【0015】
次に、請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、エンジンが低回転且つ低負荷の運転状態は、アイドル時の運転状態であることを特徴とする。
【0016】
これによれば、アイドル状態という発生頻度の高いエンジンの運転状態において、上記のようにして排気ガス還流量が良好に確保され、またアイドル状態からの発進という同じく発生頻度の高いエンジンの運転状態において、上記のようにして過給機の信頼性が良好に確保される。
【0017】
次に、請求項3に記載の発明は、上記請求項1又は請求項2に記載の発明において、過給圧制御手段は、エンジンが低回転且つ中負荷の運転状態にあるときには、ノズルの開度を低回転低負荷時の開度と低回転高負荷時の開度との間の開度にすることを特徴とする。
【0018】
これによれば、低回転域において、エンジン負荷が低いときはノズル開度が最も小さくされ、エンジン負荷が中程度であるときはノズル開度がそれよりも大きくされ、そしてエンジン負荷が高いときはノズル開度が最も大きくされる。したがって、低回転低負荷の運転状態からの発進時にアクセルペダルが踏み込まれて低回転高負荷の運転状態に移行する途中で、中程度のノズル開度を経由するから、ノズル開度の閉から開への急激な切換えが緩和される。その結果、タービンに作用する駆動力の増大率が段階的に低減されて、運転者への違和感が抑制される。
【0021】
以下、発明の実施の形態を通して、本発明をさらに詳しく説明する。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1に示すように、本実施の形態に係るエンジン1は、多気筒ディーゼルエンジンであって、各気筒2(1つのみ図示する)内にピストン3が往復動可能に嵌挿されている。ピストン3により区画される燃焼室の上方には、燃料噴射弁4から燃料が噴射される予燃焼室5が設けられている。
【0023】
燃焼室にエアクリーナ6で濾過した吸気を供給する吸気通路7は、その下流端部において分岐し、それぞれ吸気バルブ8を備えた吸気ポートで各気筒2の燃焼室に接続されている。燃焼室から排気を排出する排気通路9は、その上流端部において分岐し、それぞれ排気バルブ10を備えた排気ポートで各気筒2の燃焼室に接続されている。排気通路9には、エンジン水温が低いときに閉じ方向に駆動されて暖機を促進する排気シャッタ11、排気中のHC、CO、NOxを浄化する触媒コンバータ12、及びサイレンサ13等が配設されている。
【0024】
吸気通路7にはターボ過給機20のブロア21が、また排気通路9にはターボ過給機20のタービン22がそれぞれ配設されている。タービン22は排気通路9内の排気エネルギーにより回転駆動されてブロア21を回転駆動し、回転駆動されたブロワ21は吸気通路7内の吸気を圧縮する。ブロア21の下流側には、該ブロア21で圧縮されて高温となった吸気を冷却し、吸気の密度を大きくするインタークーラ14が配設されている。
【0025】
ターボ過給機20は、図2に示すように、排気ガスが矢印方向に流れ込んでくるタービン室23の入口に、軸24a回りに回動可能な複数の可動ベーン24…24がタービン22を取り囲むように配置されたタービン効率可変型の過給機(VGT)である。同図に実線で示すように、可動ベーン24…24を相互に近接させるように傾斜させて、該ベーン24…24で形成されるノズル25…25の開度(ノズル断面積)を小さく絞れば過給効率が高くなり、逆に鎖線で示すように、可動ベーン24…24を相互に離反させるように傾斜させて、ノズル25…25の開度を大きく開けば過給効率が低くなる。
【0026】
可動ベーン24…24は負圧アクチュエータ30によって傾斜角度が変更される。負圧アクチュエータ30は、図3に示すように、アクチュエータハウジング31を仕切るダイヤフラム32に接続されたロッド33を有し、このロッド33の先端部に可動ベーン24…24が連結されたリング(図示せず)が接続されている。ダイヤフラム32で画成された負圧室34にはスプリング35が内装されている。
【0027】
負圧室34内の負圧が弱い(負圧の絶対値が小さい)ときには、ロッド33がスプリング35の付勢力によってハウジング31外へ進出し、該ロッド33の先端部のリングが回動して可動ベーン24…24をノズル25…25の開方向に回動させる。一方、負圧室34内の負圧が強い(負圧の絶対値が大きい)ときには、ロッド33がスプリング35の付勢力に抗してハウジング31内に後退し、該ロッド33の先端部のリングが逆方向に回動して可動ベーン24…24をノズル25…25の閉方向に回動させる。
【0028】
負圧室34に通じるVGT負圧通路36はデューティソレノイドバルブ37に接続されている。このデューティソレノイドバルブ(VGTDSV)37は、エンジン1のクランク軸により駆動されるバキュームポンプ38から第1負圧ライン39を介して供給される負圧と、第1大気圧ライン40を介して供給される大気圧とから、印加されたデューティ率に応じた値の負圧(VGT負圧)を生成し、これを上記VGT負圧通路36を介して負圧アクチュエータ30の負圧室34に供給する。
【0029】
VGTDSV37は、デューティ率が0%のときに、VGT負圧通路36と第1負圧ライン39との連通度を0%とし、VGT負圧通路36と第1大気圧ライン40との連通度を100%として、負圧アクチュエータ30のロッド33を最大限に進出させ、ノズル25…25の開度を最大限に大きくする。一方、VGTDSV37は、デューティ率が100%のときに、VGT負圧通路36と第1負圧ライン39との連通度を100%とし、VGT負圧通路36と第1大気圧ライン40との連通度を0%として、負圧アクチュエータ30のロッド33を最大限に後退させ、ノズル25…25の開度を最大限に小さくする。そして、VGTDSV37は、これらの中間のデューティ率で、ノズル25…25の開度、すなわちVGT20の過給効率を滑らかに調整する。
【0030】
なお、上記第1負圧ライン39には、バキュームポンプ38で生成される負圧の変動を抑制する負圧タンク15が接続されている。
【0031】
吸気通路7と排気通路9との間には、排気通路9内の排気の一部を吸気通路7に戻して各気筒2の燃焼室に還流する排気ガス還流通路(EGR通路)50が設けられている。このEGR通路50は、排気通路9におけるタービン22よりも上流側の部位と、吸気通路7におけるブロワ21よりも下流側の部位とを連絡する。EGR通路50には、排気を冷却し、排気の密度を大きくするEGRクーラ51が配設されている。EGR通路50は、EGRクーラ51の下流側において、第1、第2の分岐通路52,53に分岐したのち再合流し、各分岐通路52,53にそれぞれ第1、第2の排気ガス還流量調整弁(EGR弁)54,55が配設されている。
【0032】
各EGR弁54,55は、相互に類似の構成で、図4に示すように、弁ハウジング56を仕切るダイヤフラム57に接続された弁棒58を有し、この弁棒58の先端部に各分岐通路52,53に突出する弁本体59が連結されている。ダイヤフラム57で画成された負圧室60にはスプリング61が内装されている。
【0033】
負圧室60内の負圧が弱い(負圧の絶対値が小さい)ときには、弁棒58がスプリング61の付勢力によってハウジング56外へ進出し、弁本体59を各分岐通路52,53の閉方向に移動させる。一方、負圧室60内の負圧が強い(負圧の絶対値が大きい)ときには、弁棒58がスプリング61の付勢力に抗してハウジング56内に後退し、弁本体59を各分岐通路52,53の開方向に移動させる。
【0034】
第1EGR弁54の負圧室60に通じる第1EGR負圧通路62はデューティソレノイドバルブ63に、第2EGR弁55の負圧室60に通じる第2EGR負圧通路64はオンオフソレノイドバルブ65にそれぞれ接続されている。バキュームポンプ38で生成された負圧が第2の負圧ライン66を介して供給される負圧調整用のデューティソレノイドバルブ67と、大気圧が第2の大気圧ライン68を介して供給される大気圧調整用のデューティソレノイドバルブ69とが備えられ、最終的に大気圧調整用デューティソレノイドバルブ69で予備調整された負圧が予備調整負圧ライン70を介して上記デューティソレノイドバルブ63に供給される。
【0035】
このデューティソレノイドバルブ(EGRDSV)63は、三方弁であって、デューティ率が0%のときに、第1EGR負圧通路62と予備調整負圧ライン70との連通度を0%とし、且つ第1EGR負圧通路62を大気開放として、第1EGR弁54の弁棒58を最大限に進出させ、第1EGR分岐通路52を完全に閉じる。一方、EGRDSV63は、デューティ率が100%のときに、第1EGR負圧通路62と予備調整負圧ライン70との連通度を100%として、第1EGR弁54の弁棒58を最大限に後退させ、第1EGR分岐通路52を完全に開く。そして、EGRDSV63は、これらの中間のデューティ率で、第1EGR分岐通路52の開度、すなわち排ガス還流量(EGR量)を滑らかに調整する。
【0036】
一方、上記のように二つのデューティソレノイドバルブ67,69で予備調整されず、バキュームポンプ38で生成されたままの負圧が、上記第2負圧ライン66から分岐した無調整負圧ライン71を介して上記オンオフソレノイドバルブ65に直接供給される。このオンオフソレノイドバルブ(EGRSV)65も、また三方弁であって、オフのときに、第2EGR負圧通路64と無調整負圧ライン71との連通度を0%とし、且つ第2EGR負圧通路64を大気開放として、第2EGR弁55の弁棒58を最大限に進出させ、第2EGR分岐通路53を完全に閉じる。一方、EGRSV65は、オンのときに、第2EGR負圧通路64と無調整負圧ライン71との連通度を100%として、第2EGR弁55の弁棒58を最大限に後退させ、第2EGR分岐通路53を完全に開く。
【0037】
このような異なる性格の第1、第2のEGR弁54,55をEGR通路50に並列に配置することにより、両EGR弁54,55の容量を大きくすることなく、第2のEGR弁55でEGR量を応答性よく速やかに広い範囲で増減調整しながら、第1のEGR弁54でEGR量を精度よく緻密に高い分解能で微調整することが可能となる。
【0038】
このように、EGR通路50の上流端部が、排気通路9におけるVGT20の可動ベーン24…24、ないし開度(断面積)可変のノズル25…25、あるいはタービン22の配設部位の上流側に開口されていることから、上記VGT20のノズル25…25の開度を小さく絞れば、それが排気通路9内の排気ガスの流動にとって抵抗となり、排気ガスはEGR通路50を経由して吸気通路7側に還流され易くなる。したがって、同じEGR弁54,55の開度であっても、VGT20のノズル開度が小さいときは、大きいときに比べて、EGR量は増える傾向となる。
【0039】
このエンジン1に備えられたコントロールユニット100は、燃料噴射弁4から燃焼室ないし予燃焼室5に噴射する燃料噴射量及び燃料噴射時期をエンジン1の運転状態に応じて制御するほか、少なくとも、吸気通路7に配設された吸入空気圧センサ(過給圧センサ)81及び吸入空気温センサ82からの信号と、VGT負圧通路36に配設され、負圧アクチュエータ30の負圧室34に供給されるVGT負圧を検出するVGT負圧センサ83からの信号と、第1EGR弁54の弁棒58のリフト量、すなわち第1EGR分岐通路52の開度を検出するリフト量センサ84からの信号と、エンジン1の冷却水の温度を検出する水温センサ85からの信号と、エンジン1のクランク軸の回転角度からエンジン回転数を検出する電磁ピックアップ式のエンジン回転数センサ86からの信号と、図示しないアクセルペダルの操作量(踏込量)からアクセル開度を検出するアクセル開度センサ87からの信号と、エンジンルームの温度を検出するエンジンルーム温センサ88からの信号と、内蔵された大気圧センサ89からの信号とを入力し、これらの信号が示す検出値に基いて、上記VGTDSV37を介しての過給圧制御(VGT制御)を実行すると共に、EGRDSV63、EGRSV65、負圧調整用デューティソレノイドバルブ67、及び大気圧調整用デューティソレノイドバルブ69を介しての排気ガス還流制御(EGR制御)を実行する。
【0040】
特に、EGR制御については、図5にEGR領域として示すように、エンジン回転数が低く且つエンジン負荷(燃料噴射量)が低い運転状態から、エンジン回転数が中程度且つエンジン負荷が中程度の運転状態に亘る範囲内(定常運転状態)において、これを実行する。このEGR制御は、例えばEGR通路50に配設した第1EGR弁54のリフト量センサ84で検出される実リフト量を目標リフト量に収束させるEGR量のフィードバック制御である。
【0041】
これに対し、図5に非EGR領域として示すように、エンジン回転数が高い運転状態、ないしエンジン負荷が高い運転状態(加速運転状態)においては、EGR制御は実行しない。これは、エンジン1の加速運転時には、燃料噴射量の増大に応じて吸入空気量を速やかに増大させる必要があり、そのためにはEGR制御を非実行として、EGR量を速やかに減少させる必要があるからである。なお、減速時においてもまたEGR制御は実行しない。
【0042】
一方、VGT制御については、図6に示すように、基本的動作としては、エンジン回転数又はエンジン負荷が高くなるほど、すなわち加速運転状態になるほど、良好な加速性能を得るために、VGTDSV37に対するデューティ率を大きくし、ノズル25…25の開度を小さくして、VGT20による過給効率を高くする。
【0043】
しかし、図6に符号R1、R2、R3で示すように、低回転領域においては、エンジン負荷が高くなるほど、デューティ率を小さくし、ノズル25…25の開度を大きくする。すなわち、アイドル状態を含む低回転且つ低負荷領域(R1)では、例えばデューティ率を100%としてノズル25…25の開度を最大限に小さくし、低回転且つ中負荷領域(R2)では、例えばデューティ率を50%としてノズル25…25の開度を中程度に大きくし、低回転且つ高負荷領域(R3)では、例えばデューティ率を0%としてノズル25…25の開度を最大限に大きくする。
【0044】
これにより、エンジン1が低回転且つ低負荷の運転状態(R1)にあるときには、EGR弁54,55を介しての排気ガスの還流が行なわれると共に、VGT20のノズル25…25の開度が小さくされるから、これが排気ガスの流動の抵抗となって排気通路9内の排気ガスは下流側に抜け難くなり、排気通路9において、エンジン1の排気ポートから、VGT20の可動ベーン24…24ないしノズル25…25、あるいはタービン22の配設部位までの間の排気ガス圧が高くなる。その結果、EGR通路50を経由させて排気ガスを吸気通路7側に還流させる推進力が高くなり、例えば吸気通路7側に絞り弁等の別部材を設けて該吸気通路7内に負圧を生成するようなことをしなくても、このエンジン1に併設されているVGT20を利用することによって、所定のEGR量を良好に確保することが可能となる。
【0045】
また、低回転低負荷時は、そもそも排気ガス量が少ないから、このようにVGT20のノズル25…25の開度を小さくしても、タービン22が過回転することがなく、VGT20の過給効率が過大となることもない。
【0046】
一方、エンジン1が低回転且つ高負荷の運転状態(R3)にあるときには、VGT20のノズル25…25の開度が大きくされるから、上記の低回転低負荷の運転状態(R1)からの発進時にアクセルペダルが踏み込まれて、この低回転高負荷の運転状態(R3)に移行した際には、ノズル25…25の開度が閉状態から開状態に切り換えられる。その結果、排気通路9内の排気ガスは下流側に抜け易くなり、タービン22の回転数が急激に上昇することがなく、タービン22の過回転や、タービン軸22a(図1参照)の焼付き等のVGT20の信頼性の問題が回避される。
【0047】
また、発進時にアクセルペダルが踏み込まれた当初の短時間は、まだ閉状態から開状態に完全に切り換わっていないノズル25…25に対し、すでに増量した排気ガスが吹き込んで、タービン22に大きな回転駆動力が加わり、これがタービン22の回転を上昇させる最初の推進力となるから、そののちノズル25…25の開度が大きくされてタービン22に作用する駆動力がそれほど増大しなくても、タービン22は十分大きな慣性で回り続け、加速性能が大きく落ち込むことがない。
【0048】
特に、低回転且つ低負荷状態、すなわちアイドル状態という発生頻度の高いエンジン1の運転状態において、上記のようにしてEGR量が良好に確保され、また、該アイドル状態からの発進という同じく発生頻度の高いエンジン1の運転状態において、上記のようにしてVGT20の信頼性が良好に確保されるから、いずれも顕著に好ましい効果が得られることになる。
【0049】
さらに、エンジン1が低回転且つ中負荷の運転状態(R2)にあるときには、VGT20のノズル25…25の開度が、上記両運転状態(R1),(R3)のときのノズル25…25の開度の間の開度とされるから、上記発進時に運転状態(R1)から運転状態(R3)に移行する途中で、中程度のノズル開度を経由することになり、ノズル開度が段階的に大きくされて、閉から開への一気の急激な切換えが緩和される。その結果、タービン22に作用する駆動力の増大率が段階的に低減されて、運転者が違和感を感じることが低減される。
【0050】
なお、図6には、低回転領域を、エンジン負荷に応じてR1,R2,R3の三つの領域に分割した場合を示したが、これに限らず、四つ以上の領域に分割してよいことはいうまでもない。低回転低負荷の運転状態からの発進時に低回転高負荷の運転状態に移行する途中で、VGT20のノズル25…25の開度が滑らかに大きくなり、ノズル開度の閉から開への切換えがよりよく緩和される。その結果、タービン22に作用する駆動力の増大率が滑らかに低減され、運転者が違和感を感じることがより一層低減されることになる。
【0051】
次に、VGT20は、エンジン回転数やエンジン負荷等の運転状態に応じて設定される目標過給圧が実現するように、そのノズル25…25の開度がフィードバック制御される。特に、図7に過給圧フィードバック領域(a)として示すように、エンジン負荷が極めて高い運転状態と、同じく過給圧フィードバック領域(b)として示すように、エンジン回転数が中程度且つエンジン負荷が中程度の運転状態とにおいては、吸気通路7に配設した過給圧センサ81で検出される実過給圧が目標過給圧となるように、ノズル25…25の開度をフィードバック制御する過給圧フィードバック制御が行なわれる。
【0052】
これは、領域(a)においては、そもそも目標過給圧が、著しく高いエンジン負荷(燃料噴射量)に対応して、極めて高い値に設定されるから、吸気通路7内の実際の過給圧に基いて、精度よく、VGT20の制御を行わないと、過給圧が大きくなり過ぎ、タービン22が過回転し、その結果、タービン軸22aの焼付き等のVGT20の信頼性の問題が生じるためである。
【0053】
また、領域(b)については、図7に鎖線で示すように、該領域(b)がEGR領域の範囲内にあるから、同じく吸気通路7内の実際の過給圧に基いて、精度よく、VGT20の制御を行わないと、EGR通路50を経由するEGR量がバラつき、EGR量のフィードバック制御が困難となり、その結果、NOx排出量にバラつきが生じるためである。
【0054】
これに対し、図7にVGT負圧フィードバック領域として示すように、エンジン回転数が低い運転領域及び定常運転領域を含むその他の運転領域においては、上記の過給圧フィードバック制御に代えて、VGT負圧通路36に配設したVGT負圧センサ83で検出される実VGT負圧が目標VGT負圧となるように、ノズル25…25の開度をフィードバック制御するVGT負圧フィードバック制御が行なわれる。
【0055】
これは、概略、次のような理由による。すなわち、上記の過給圧フィードバック制御では、精度の面においては優れるものの、吸気通路7内の実過給圧を過給圧センサ81で検出してから、その実過給圧と目標過給圧との偏差がなくなるようなデューティ率信号をVGTDSV37に出力し、VGT負圧アクチュエータ30の負圧室34に供給されるVGT負圧が変化して、VGT20のノズル開度が調節され、その結果、実際にタービン効率が変化して、最終的に吸気通路7内の実過給圧が増減制御されるまでのタイムラグが比較的大きく、応答性の面でやや難がある。この応答遅れの不具合は、排気ガス量が少なく、したがって、実過給圧の増減変化が遅れ気味となる低回転領域において、特に問題となる。
【0056】
のみならず、時間的にかなり以前にVGTDSV37に出力したデューティ率信号に対応する実過給圧に基いて偏差が算出されるから、フィードバック制御量が大きくなり過ぎ、いきおい、オーバーシュートし易く、ハンチングが起こって、制御の安定性の面でも難が生じる。また、吸気通路7内に生成される過給圧は幅広い値をとるから、この点においてもハンチングが生じ易くなる。この制御安定性の不具合は、エンジン出力の変動をもたらすため、安定した走行を行っている定常運転領域において、特に問題となる。
【0057】
一方、VGT制御における直接の制御対象はVGTDSV37であり、その制御の最終的な結果は吸気通路7内に発生する過給圧となって現われるのであるが、上記VGTDSV37が直接的に生成するVGT負圧と、該VGT負圧を受けて変化するVGT20のノズル25…25の開度、ないしVGT20で生成される上記過給圧との間には、間接的ではあるが相関関係がある。したがって、VGT制御の最終的な結果である吸気通路7内の実過給圧の代わりに、上記VGTDSV37が直接的に生成するVGT負圧通路36内のVGT負圧に基いて、VGT20をフィードバック制御することも可能である。
【0058】
しかも、この場合、VGT負圧は、VGTDSV37が直接生成する結果であるから、上記過給圧フィードバック制御のような長いタイムラグがなく、さらにVGT負圧は、過給圧に比べてとり得る値の幅が狭く、したがって、応答遅れの不具合、及び制御安定性の不具合が解消される。
【0059】
およそ以上のような理由により、エンジン回転数が低い運転領域や、定常運転領域等においては、過給圧フィードバック制御に代えて、精度の面においてはやや劣るものの、制御の応答性及び安定性の面において優れる、VGT負圧フィードバック制御を実行するようにしたものである。
【0060】
なお、このように過給圧フィードバック制御と、負圧フィードバック制御とのいずれを実行するかは、そのときの運転状態に要求される制御の特質と、各制御が具備している特質との関係による。したがって、上記のように完全に両フィードバック制御を選択に切り換えて実行するだけでなく、例えば、両フィードバック制御の特質が要求される場合や、いずれのフィードバック制御の特質でもよい場合等は、両制御を併用してフィードバック制御を実行してもよい。
【0061】
さらに、あるいは、図8にオープン制御領域として示すように、上記のようにVGT制御に精度が要求されるエンジン負荷の極めて高い運転領域(過給圧フィードバック領域(a))、及び中回転中負荷のEGR領域とオーバーラップする運転領域(過給圧フィードバック領域(b))を除く、上記低回転領域及び定常運転領域を含むその他の運転領域においては、フィードバック制御を実行せずに、オープン制御を実行してもよい。ただし、その場合は、特にオープン制御領域から、過給圧フィードバック制御領域に移行したときのVGT20の制御形態の切換えに伴って、次のような問題が生じる。より具体的には、アクセルペダルが踏み込まれ、アクセル開度が急増する加速要求時のように、低負荷領域から領域(a)のような高負荷、全負荷のフィードバック領域に移行したときのVGT20の制御形態の切換えに伴って、次のような問題が生じる。
【0062】
すなわち、オープン制御時は、VGT20のノズル25…25の開度が、単に、エンジン回転数やエンジン負荷等の運転状態に応じて設定される基本目標過給圧が実現するように調整されるのに対し、過給圧フィードバック制御時は、VGT20のノズル25…25の開度が、さらに、実過給圧と目標過給圧との偏差も解消するように増減調整される。ここで、図23のタイムチャートに実線(ア)で示すように、フィードバック制御のための目標過給圧は、加速時に、アクセルペダルが踏み込まれ、運転状態が低負荷領域から高負荷ないし全負荷領域に移行して、過給圧フィードバック制御領域に突入した当初から直ちに算出、設定されるのに対し、実過給圧は、前述したようなVGT制御の応答遅れのために、鎖線(イ)で示すように、その立ち上がりが遅く、したがって、フィードバック制御開始時(時刻t11〜)における実過給圧(イ)と目標過給圧(ア)との間の偏差(Δ)は相当量大きなものとなる。
【0063】
その結果、これを解消しようとするフィードバック制御量が過大となり、いきおい、符号(ウ)で示すように、実過給圧がオーバーシュートし易くなって、タービン22の回転数が急激に上昇し、タービン22の過回転や、タービン軸22aの焼付き等のVGT20の信頼性の問題が発生することになる。また、制御がハンチングし易くなって、制御安定性が損なわれ、加速時といえども、エンジン出力が変動して運転者に違和感を与えてしまうことになる。
【0064】
そこで、コントロールユニット100は、例えば、加速時に、低負荷領域から高負荷ないし全負荷領域のフィードバック領域(a)に移行したときには、直ちには、VGT20の制御形態をフィードバック制御に切り換えることをせず、オープン制御のままとして、該オープン制御により、図23に破線(エ)で示すように、実過給圧が、フィードバック目標過給圧(ア)に対して、所定の範囲(h)内まで近づくのをまってから、時刻(t13)において、過給圧フィードバック制御に切り換えるように構成されている。
【0065】
これにより、同図に示すように、時刻(t11)で、アクセルペダルが踏み込まれて、アクセル開度が急増し、その結果、時刻(t12)で、エンジン回転数が、全負荷判定の所定回転数を越えて、全負荷判定フラグがセットされるような場合に、フィードバック領域への突入時(t11)には、フィードバック目標過給圧(ア)と実過給圧(エ)との偏差(Δ)が著しく大きくても、該過給圧偏差(Δ)に基くフィードバック制御が行なわれないから、VGT制御に、符号(ウ)で示すようなオーバーシュートや、ハンチングが発生するのを抑制することができる。
【0066】
そして、上記過給圧偏差(Δ)が、フィードバック目標過給圧(ア)と、フィードバック制御開始判定圧(k:フィードバック目標過給圧(ア)より圧力(h)だけ大きい圧力又は小さい圧力)との偏差(h)より小さくなった時点(t13)で、フィードバック制御が開始されるので、その比較的小さい過給圧偏差(Δ<h)を解消しようとするフィードバック制御量が過大となることがなく、オーバーシュートやハンチングが解消されて、VGT20の信頼性の問題、制御安定性の問題、エンジン出力の変動の問題が解消される。
【0067】
ここで、上記時刻(t11)〜(t13)の期間中は、オープン制御が続行されるのであるが、該期間中におけるVGT20のノズル25…25の開度を、通常設定されるノズル25…25の開度よりも、幾分開き気味として、実過給圧(エ)の立ち上がりを抑制するようにしてもよい。実過給圧(エ)がフィードバック制御開始判定圧(k)を越えてオーバーシュートすることが確実に回避でき、タービン22の過回転防止や、制御の安定化がより一層担保される。
【0068】
また、フィードバック領域(a),(b)への移行直後にはVGT20の制御形態をフィードバック制御に切り換えないということは、すなわち、該フィードバック制御を抑制することであるが、そのフィードバック制御を抑制する具体的手法としては、例えば、フィードバック制御のプログラムを実行すること自体を禁止することや、フィードバック制御のプログラムの実行は禁止しないが、それによって得られたフィードバック制御量を無効とすること、あるいは制御ゲインを小さくすること等が挙げられる。
【0069】
次に、コントロールユニット100は、例えば、アイドル運転時であって、暖機が終了し、エンジン温度ないしエンジンルーム温度が所定温度以上で安定しているとき、及びアイドルアップが終了し、エンジン回転数が安定して、バキュームポンプ38で生成される負圧が所定値で安定しているとき等に、VGTDSV37が生成するVGT負圧の学習を実行する。
【0070】
すなわち、VGTDSV37の固体差に起因して、同じデューティ率を印加しても、負圧アクチュエータ30に供給されるVGT負圧がバラついていると、VGT20のノズル25…25の開度が一定せず、所定の目標過給圧を実現することが困難となるから、かかる不具合を解消するために、VGTDSV37に対して、予め決められた所定のデューティ率を印加し、そのとき生成されたVGT負圧と、予め求めておいた基準VGT負圧との誤差を算出し、その誤差を考慮して、所定の目標過給圧を実現するためのVGTDSV37に印加するデューティ率を設定するのである。
【0071】
その場合に、負圧学習実行時の周辺環境が一定していないと、学習結果がまたバラつき、学習精度が低下することになる。そこで、エンジン温度やエンジンルーム温度等のVGTDSV37の周囲温度が一定で、該VGTDSV37の電気特性が安定しているときや、VGT負圧の元圧であるバキュームポンプ38で生成される元負圧が安定しているとき等に限って、このVGT負圧の学習を実行するようにしたものである。
【0072】
また、運転状態とは無関係に、予め決められた所定のデューティ率をVGTDSV37に印加するから、運転状態とは無関係な過給圧が生成する。したがって、それに伴う運転者の違和感を抑制するために、排気ガス量が少なく、得られる過給圧が低くて、影響の少ないアイドル運転時に限って、このVGT負圧の学習を実行するようにしたものである。
【0073】
図9及び図10は、およそ以上のような特徴的動作を含むように構成されたVGTDSV37に対する制御プログラムの一例を示すメインフローである。ステップS1で、各センサからの検出信号を読み込んだうえで、ステップS2で、まず、負圧アクチュエータ30の負圧室34に供給する基本目標VGT負圧(Fa)を設定する。
【0074】
この基本目標VGT負圧(Fa)の設定は、図11に示すフローチャートに従って行なわれる。ステップS21〜S29で、エンジン1の様々な運転状態毎にそれぞれ対応する基本目標負圧がまず設定される。ここで、ステップS23で判定される過給カット領域とは、図12に示すように、エンジン回転数に拘らず、吸気通路7内の実過給圧が極めて高い領域をいい、実過給圧がこの範囲内にあるときは、VGT20による過給圧の生成が強制的に中止される。
【0075】
すなわち、エンジン1の始動時に設定される始動時目標負圧(ステップS21,S22)、及び、実過給圧が過給カット領域にあるときに設定される過給カット時目標負圧(ステップS23,S24)としては、それぞれVGT20のノズル開度が全開となるVGT負圧が設定される。
【0076】
そして、エンジン1の運転状態がアイドル状態であるときに設定されるアイドル時目標負圧(ステップS25,S26)としては、VGT20のノズル開度が全閉となるVGT負圧が設定され、エンジン1の運転状態が全負荷状態であるときに設定される全負荷時目標負圧(ステップS27,S28)としては、VGT20のノズル開度が全開となるVGT負圧が設定され、これら以外のとき、つまりエンジン1の運転状態が部分負荷状態であるときに設定される部分負荷時目標負圧(ステップS29)としては、VGT20のノズル開度がやや開となるVGT負圧が設定される。
【0077】
これにより、EGR制御が行われる低回転低負荷領域において、所定のEGR量が良好に確保され、空燃比制御等が円滑に進行することになる。また、発進時において、VGT20の信頼性の問題が回避されると共に、運転者に対する違和感が低減することになる。
【0078】
次いで、ステップS30で、このように設定された基本目標負圧に、大気圧による補正を施す。この補正は、例えば、図13に示すように、大気圧が低いほど、燃焼室に供給される空気量を増大するべく、VGT20のノズル開度が閉となるように行なう。
【0079】
次いで、ステップS31で、吸気温度による補正を施す。この補正は、例えば、図14に示すように、吸気温度が高いほど、燃焼室に供給される空気量を増大するべく、VGT20のノズル開度が閉となるように行なう。
【0080】
次いで、ステップS32で、このように補正された基本目標負圧に、なまし処理を施す。この処理は、例えば、次の数1に示す式に従って、基本目標負圧の急な変化を抑制するべく、過去の履歴を考慮して行なう。
【0081】
【数1】
Figure 0004325031
【0082】
ここで、FU1は、なまし処理後の今回値、FU1[i−1]は、なまし処理後の前回値、FU0は、なまし処理前の今回値、つまり上記ステップS31で吸気温度補正まで施されて得られた基本目標負圧、及びK1は、係数であって、例えば(0.5<K1<1)である。
【0083】
そして、最後に、ステップS33で、進み補正を施すことにより、基本目標VGT負圧(Fa)を設定する。この進み補正は、例えば、次の数2に示す式に従って、過給圧変化の応答遅れを抑制する目的で行なう。
【0084】
【数2】
Figure 0004325031
【0085】
ここで、FU2は、進み補正後の今回値、FU1[i]は、なまし処理後の今回値、FU1[i−1]は、なまし処理後の前回値、及びK2は、係数であって、例えば(0<K2<0.5)である。
【0086】
メインフローに戻り、次いで、ステップS3で、VGT負圧フィードバック制御の実行を許可する条件が成立しているか否かを判定する。その結果、条件成立時は、ステップS4で、VGT負圧フィードバック制御を実行して、そのフィードバック制御量(VGTフィードバック負圧:Fb)を設定する一方、条件非成立時は、ステップS5で、該VGTフィードバック負圧(Fb)をゼロとする。すなわち、VGT負圧フィードバック制御を行わない。
【0087】
ここで、ステップS3で判定される実行許可条件としては、例えば、エンジン1の運転状態が、図7に示すVGT負圧フィードバック領域にあり、且つ基本目標VGT負圧(Fa)の変化率が小さく、且つ実VGT負圧の変化率が小さいことである。
【0088】
ステップS4のVGT負圧フィードバック制御は、図15に示すフローチャートに従って行なわれる。ステップS41で、現制御サイクルまでにそれぞれ設定された基本目標VGT負圧を積算し、また、ステップS42で、現制御サイクルまでにそれぞれ検出された実VGT負圧を積算する。次いで、ステップS43で、以上のように積算した基本目標VGT負圧を平均化し、また、ステップS44で、以上のように積算した実VGT負圧を平均化する。つまり、目標負圧と実負圧とを共に積分処理することになる。これにより、フィードバック制御量の急変が回避され、これによってもVGT制御の安定化が図られることになる。
【0089】
次いで、ステップS45で、基本特性に基いて、以上のように平均化した基本目標VGT負圧からデューティ率を演算し、また、ステップS46で、基本特性に基いて、以上のように平均化した実VGT負圧からデューティ率を演算する。ここで、基本特性とは、VGT負圧の学習制御のための基準となる特性である。したがって、これらのステップS45,S46で算出されるデューティ率は、VGTDSV37の固体差に起因するVGT負圧のバラつきが考慮されていないことになる。そして、ステップS47で、両デューティ率の偏差(基本特性に基くデューティ率偏差)を演算する。
【0090】
次いで、ステップS48で、学習値に基いて、同じく平均化した基本目標VGT負圧からデューティ率を演算し、また、ステップS49で、学習値に基いて、同じく平均化した実VGT負圧からデューティ率を演算する。ここで、学習値とは、VGT負圧の学習制御で得られた学習補正量(予め求めておいた基準VGT負圧との誤差)である。したがって、これらのステップS48,S49で算出されるデューティ率は、VGTDSV37の固体差に起因するVGT負圧のバラつきが考慮されていることになる。そして、ステップS50で、両デューティ率の偏差(学習値に基くデューティ率偏差)を演算する。
【0091】
次いで、ステップS51で、以上のようにして算出した、基本特性に基くデューティ率偏差と、学習値に基くデューティ率偏差とから、VGT負圧フィードバック制御量を設定し、そして、最終的に、ステップS52で、例えば、次の数3に示す式に従って、制御量の急変を回避するために過去の履歴を反映させることにより、VGTフィードバック負圧(Fb)を設定する。
【0092】
【数3】
Figure 0004325031
【0093】
ここで、FBS[i]は、VGTフィードバック負圧(Fb)の今回値、FBS[i−1]は、VGTフィードバック負圧(Fb)の前回値、FBは、上記ステップS51で設定されたVGT負圧フィードバック制御量、及びK3は、係数であって、例えば(0<K3<0.5)である。
【0094】
メインフローに戻り、次いで、ステップS6で、VGT負圧の学習の実行を許可する条件が成立しているか否かを判定する。その結果、条件成立時は、ステップS7で、VGT負圧の学習を実行する。
【0095】
ここで、ステップS6で判定される実行許可条件としては、例えば、エンジン1がアイドル状態にあり、且つアイドル状態に移行してから所定時間が経過しており、且つエンジン水温が所定温度以上であり、且つ大気圧が標準大気圧であり、且つエンジンルーム温度が所定温度以上であることである。これにより、VGTDSV37の電気特性が安定し、且つバキュームポンプ38で生成される負圧が安定して、学習精度が確保される状況において、このVGT負圧の学習が行なわれると共に、出力変動が僅かで、運転者への違和感が少なくなる状況において、このVGT負圧の学習が行なわれることになる。
【0096】
ステップS7のVGT負圧の学習は、図16ないし図18に示すフローチャートに従って行なわれる。本実施形態では、学習用にVGTDSV37に印可するデューティ率として、図19に示すように、80%、50%、20%の3種類のデューティ率を予め決めており、各デューティ率についてそれぞれステップS71〜S79、ステップS80〜S88、及びステップS89〜S97で学習を行い、最終的に、ステップS98で、それぞれ得られた学習値α,β,γ間を補完して、図20に鎖線で示すような全範囲に及ぶ学習データXを作成する。
【0097】
なお、学習用にVGTDSV37に印可するデューティ率の数や値は、特に限られるものではなく、上記設例値以外に、例えば、100%、50%、12.5%等であってもよい。
【0098】
以下、図21のタイムチャートを参照して説明する。なお、このタイムチャートにおいて、時刻(t1)でアイドルモードが判定されても、時刻(t2)まで学習の実行を待機するように示しているのは、アイドル状態に移行してから所定時間が経過していること、エンジン水温が所定温度以上であること、エンジンルーム温度が所定温度以上であること、という上記の実行許可条件を表わしているものである。
【0099】
まず、ステップS71で、第1の学習データの演算が完了していないことを確認する。この第1学習データは、3種類の学習用デューティ率のうちの一のデューティ率(図例では80%)を印加した時に得られる学習値αであり、ステップS79で演算される。
【0100】
次いで、ステップS72で、タイマー(Tt)をセットする。このセットするタイマーの値としては、例えば4秒等である。次いで、ステップS73で、学習用デューティ率(80%)をVGTDSV37に出力する。
【0101】
次いで、ステップS74で、タイマー(Tt)がゼロになったか否か、つまり、VGTDSV37に学習用デューティ率(80%)を4秒間印加したか否かを判定し、まだであれば、ステップS75で、学習用デューティ率(80%)をVGTDSV37に出力した後、所定時間(Ta)が経過したか否かを判定する。まだであれば、ステップS76で、タイマー(Tt)をデクリメントしてステップS73に戻る。ここで、所定時間(Ta)としては、例えば2秒等である。
【0102】
ステップS75で、所定時間(Ta)が経過しているときは、ステップS77で、VGT負圧センサ83を介してVGT負圧通路36内のVGT負圧を検出し、次いで、ステップS78で、各制御サイクル毎に検出されたこのVGT負圧を積算していく。
【0103】
そして、ステップS74で、タイマー(Tt)がゼロになったときに、ステップS79に進んで、例えば、ステップS78で積算された検出VGT負圧を平均化し、これと、基準となるVGT負圧とを比較して、その誤差を求めることにより、第1学習データαを演算する。
【0104】
ここで、VGTDSV37でVGT負圧通路36内に生成されるVGT負圧の検出を、該VGTDSV37に学習用デューティ率を出力したのち直ちには行わず、所定時間(Ta)が経過してから、タイマー(Tt)がゼロとなるまでの時間(Tb)内において行うのは、図21に示すように、VGTDSV37にデューティ率を印加しても、VGT負圧が実際に変化して安定するまでに時間がかかるから、該実VGT負圧が安定化する期間、すなわち、デューティ率印加時間(Tt)の後半部分でこれを検出するようにしたものである。
【0105】
以上により、図21に示す時刻(t2)〜(t3)が経過したことになり、上記ステップS71〜S79の第1学習データαの演算ルーティンに準じて、次のステップS80〜S88、及びステップS89〜S97で、それぞれ第2学習データβ、及び第3学習データγを演算する。これで、図21に示す時刻(t3)〜(t4)及び時刻(t4)〜(t5)が経過したことになる。
【0106】
そして、最終的に、ステップS98で、それぞれ得られた第1、第2、第3学習データα,β,γ間を線形補完することにより、図20に鎖線で示す全範囲学習データXを作成する。例えば、VGT負圧(a)を生成する場合、基準デューティ率は(b)であるが、学習の結果、該基準デューティ率(b)より学習補正値(c)だけ低いデューティ率(d)をVGTDSV37に印加する必要のあることが分かる。
【0107】
メインフローに戻り、次いで、ステップS8で、過給圧フィードバック制御の実行を許可する条件が成立しているか否かを判定する。その結果、条件成立時は、ステップS9で、過給圧フィードバック制御を実行して、そのフィードバック制御量(過給圧フィードバック負圧:Fc)を設定する一方、条件非成立時は、ステップS10で、該過給圧フィードバック負圧(Fc)をゼロとする。すなわち、過給圧フィードバック制御を行わない。
【0108】
ここで、ステップS8で判定される実行許可条件としては、例えば、エンジン1の運転状態が、図7又は図8に示す全負荷の過給圧フィードバック領域(a)又は部分負荷の過給圧フィードバック領域(b)にあり、且つ目標過給圧の変化率が小さく、且つ目標過給圧と実過給圧との偏差が所定値(h)以下であることである。
【0109】
これにより、エンジン1の運転状態が過給圧フィードバック領域(a)又は(b)に移行しても、過給圧フィードバック制御が直ちには開始されず、実過給圧がフィードバック目標過給圧に対して所定の範囲(h)内まで近づくのをまってから、過給圧フィードバック制御が開始されることになるから、前述したように、フィードバック領域(a),(b)に突入した際のVGT制御形態の切換えが円滑化して、オーバーシュートや制御のハンチングが抑制でき、VGT20の信頼性の問題や、制御安定性の問題、ないしエンジン出力の変動の問題が解消されることになる。
【0110】
ステップS9の過給圧フィードバック制御は、図22に示すフローチャートに従って行なわれる。ステップS101で、まず、基本目標過給圧を演算し、これを、ステップS102で、大気圧補正したのち、ステップS103で、吸気通路7内の実過給圧を過給圧センサ81を介して読み込む。
【0111】
次いで、ステップS104で、これらの大気圧補正した基本目標過給圧と実過給圧との偏差を算出したのち、ステップS105で、フィードバック補正量のうちの比例項(p項)を算出し、また、ステップS106で、フィードバック補正量のうちの積分項(i項)を算出する。そして、ステップS107で、現制御サイクルまでにそれぞれ算出された積分項(i項)の平均値を演算する。
【0112】
次いで、ステップS108で、過給圧フィードバック制御のうち、部分負荷の過給圧フィードバック領域(b)にあるのか、又は全負荷の過給圧フィードバック領域(a)にあるのかを判定し、それぞれステップS109又はS110において、区別して、前回の制御サイクルで求められた積分項(i項)に、上記ステップS107で算出した今回の積分項(i項)の平均値を加算し、且つ該積分項(i項)の上限値及び下限値でクリップする。
【0113】
そして、ステップS111で、上記ステップS105で算出した比例項(p項)と、上記ステップS109又はS110で算出した積分項(i項)とから、最終的に、過給圧フィードバック制御の補正値を演算する。このように、特に積分項(i項)に平均化等の種々の処理を施すことによって、比例項(p項)によるフィードバック制御量の急変の影響が希釈化されて、このフィードバック制御の安定化が増強されることになる。
【0114】
なお、本実施形態では、上記ステップS105〜S111までで得られる上記比例項(p項)、積分項(i項)、及びフィードバック補正値は、VGT20のノズル25…25の開度として算出する。したがって、最後に、ステップS112で、上記ステップS111で算出したフィードバック補正値を、例えばデューティ率が100%のときの負圧値等に基いて、負圧に変換し、これを過給圧フィードバック負圧(Fc)とする。
【0115】
メインフローに戻り、次いで、ステップS11で、このようにして得られた基本目標VGT負圧(Fa)、VGTフィードバック負圧(Fb)、及び過給圧フィードバック負圧(Fc)を加算することにより、VGT目標負圧(Fo)を決定する。
【0116】
次いで、ステップS12で、VGT負圧の学習を実行中か否かを判定する。その結果、実行中であれば、ステップS13で、上記学習用デューティ率(80%、50%、20%等)に相当する負圧(Fg)を最終目標負圧(Ffo)とする一方、実行中でなければ、ステップS14で、上記VGT目標負圧(Fo)を最終目標負圧(Ffo)とする。
【0117】
次いで、ステップS15で、該最終目標負圧(Ffo)をVGTDSV37に印加するデューティ率(Da)に変換したのち、ステップS16で、各種の補正を施すことにより、最終デューティ率(Do)を演算する。ここで、ステップS16における補正のうち、学習補正は、上記ステップS7で実行されるVGT負圧学習で得られる学習データ(X)に基く補正である。また、バッテリ電圧による補正は、図24に示すようにバッテリ電圧が所定電圧以下で1以上となる補正係数を用いて、バッテリ電圧不足によるデューティ率低下を補うものである。
【0118】
次いで、ステップS17で、VGT20のノズル25…25を強制的に全開とすべき条件、つまり過給禁止条件が成立しているか否かを判定する。ここで、この過給禁止条件としては、例えば、イグニッションがOFFであるとき、始動時であるとき、排気シャッタ11が作動しており、排気ガス圧が変動するとき、又は、各種センサ類、特に当該VGT制御に関与する負圧センサ83等の故障判定時等である。
【0119】
その結果、条件成立時は、ステップS18で、上記ステップS16で各種の補正が施された最終デューティ率(Do)をゼロとしたのち、一方、条件非成立時は、ステップS18をスキップして、最終的に、ステップS19で、上記最終デューティ率(Do)の信号をVGTDSV37に出力する。
【0120】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、アイドル時等の低回転低負荷時は、過給効率を上げて吸気量を増やすためではなく、エミッション対策のための排気ガス還流量を増やすために、過給機タービンに対するノズルを閉じるから、合理的、効率的な過給機制御、過給圧制御が行える。その結果、過給効率可変型の過給機と、排気ガス還流装置とを併せて備えるエンジンにおいて、低回転低負荷時に排気ガス還流量を良好に確保でき、且つ、低回転低負荷状態からの発進時に過給機の信頼性を良好に確保できる。本発明は、エンジンの過給圧制御装置、特に、過給効率可変型の過給機と、排気ガス還流装置とを併せて備えるエンジンの過給圧制御装置一般に広く好ましく適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係るエンジンの全体構成図及び制御システム構成図である。
【図2】 過給機のタービン室の概略拡大断面図である。
【図3】 負圧アクチュエータの概略拡大断面図である。
【図4】 EGR弁の概略拡大断面図である。
【図5】 EGR制御を実行する運転領域を表わすマップ図である。
【図6】 過給機ノズルの開度と運転領域との関係を表わすマップ図である。
【図7】 過給圧のフィードバック制御を実行する運転領域を表わすマップ図である。
【図8】 過給圧のオープン制御を実行する運転領域を表わすマップ図である。
【図9】 過給機制御用デューティソレノイドバルブに対する具体的制御動作の一例を示すフローチャートである。
【図10】 同フローチャートの後半部分である。
【図11】 目標負圧の設定動作の一例を示すフローチャートである。
【図12】 過給カット領域を表わすマップ図である。
【図13】 ノズル開度と大気圧との関係を表わす特性図である。
【図14】 ノズル開度と吸気温度との関係を表わす特性図である。
【図15】 負圧フィードバック制御動作の一例を示すフローチャートである。
【図16】 負圧学習動作の一例を示すフローチャートである。
【図17】 同フローチャートの中間部分である。
【図18】 同フローチャートの後半部分である。
【図19】 負圧学習で作成される特性図の一例である。
【図20】 同特性から得られる学習データの一例である。
【図21】 負圧学習時のタイムチャートである。
【図22】 過給圧フィードバック制御動作の一例を示すフローチャートである。
【図23】 過給圧フィードバック制御時のタイムチャートである。
【図24】 バッテリ電圧と最終デューティ率を算出するための補正係数との関係を表わす特性図である
【符号の説明】
1 エンジン
7 吸気通路
9 排気通路
20 ターボ過給機
22 過給機タービン
24 可動ベーン
25 過給機ノズル
30 負圧アクチュエータ
36 VGT負圧通路
37 過給機制御用デューティソレノイドバルブ
50 排気ガス還流通路
54,55 EGR弁
81 過給圧センサ
82 吸入空気温センサ
83 VGT負圧センサ
85 水温センサ
86 エンジン回転数センサ
87 アクセル開度センサ
88 エンジンルーム温センサ
89 大気圧センサ
100 コントロールユニット

Claims (3)

  1. 排気通路に設けられた過給機のタービンに対するノズルの開度をエンジン回転数が高くなるほど及びエンジン負荷が高くなるほど小さくなるように調整することにより上記過給機で吸気通路内に生成される過給圧を制御する過給圧制御手段と、排気通路と吸気通路とを連通する還流通路を介して排気ガスを吸気通路側へ還流する排気ガス還流手段とを備えるエンジンの過給圧制御装置であって、上記排気ガス還流手段が、少なくともエンジンが低回転且つ低負荷の運転状態にあるときに、上記排気ガスの還流を行うと共に、上記過給圧制御手段は、エンジンが上記運転状態にあるときは、上記ノズルの開度を小さくし、エンジンが低回転且つ低負荷の運転状態から低回転且つ高負荷の運転状態へ移行するに従って、ノズルの開度を大きくすることを特徴とするエンジンの過給圧制御装置。
  2. エンジンが低回転且つ低負荷の運転状態は、アイドル時の運転状態であることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの過給圧制御装置。
  3. 過給圧制御手段は、エンジンが低回転且つ中負荷の運転状態にあるときには、ノズルの開度を低回転低負荷時の開度と低回転高負荷時の開度との間の開度にすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエンジンの過給圧制御装置。
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