JP6168482B2 - エンジンの制御装置 - Google Patents
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Description
このように構成された本発明では、トルク低減量決定手段によってトルク低減量が低下されて、最終目標トルク決定手段によって決定された最終目標トルクが上昇するときに、この最終目標トルクの上昇速度が判定閾値を超える場合に、燃焼状態判定手段が、最終目標トルクの上昇に伴う気筒内の燃焼状態の変化が大きいと判定して、最終目標トルク補正手段が、最終目標トルクの上昇速度を判定閾値以下にするように、最終目標トルクを補正する。これにより、エンジントルクが上昇するときの上昇速度を適切に制限して、エンジンの燃焼安定性やエミッション性能やドライバビリティの低下を抑制することができる。
特に、本発明によれば、ステアリング操作に基づき決定されたトルク低減量の時間変化を最終目標トルクの時間変化に反映することができ、これにより、ドライバのステアリング操作に応じた減速度を車両に迅速に付加して荷重を前輪に加え、コーナリングフォースを迅速に増大させることによりステアリング操作に対する応答性を向上させることができ、燃焼安定性を確保しつつ、ドライバの意図した車両挙動を正確に実現するようにエンジンEを制御することができる。
このように設定された判定閾値を適用することで、上記のようなステアリング操作が行われた場合に発生する可能性が高い、大きな燃焼状態の変化を抑制して、エンジンの燃焼安定性やエミッション性能やドライバビリティを適切に確保することができる。
このように設定された判定閾値を適用することで、上記のようなアクセルペダル操作が行われた場合に発生する可能性が高い、大きな燃焼状態の変化を抑制して、エンジンの燃焼安定性やエミッション性能やドライバビリティを適切に確保することができる。
このように構成された本発明によれば、車両の操舵が開始され、車両の操舵速度が増大し始めると、トルク低減量を迅速に増大させることができ、これにより、車両の操舵開始時において減速度を迅速に車両に付加し、十分な荷重を操舵輪である前輪に迅速に加えることができる。これにより、操舵輪である前輪と路面との間の摩擦力が増加し、前輪のコーナリングフォースが増大するので、カーブ進入初期における車両の回頭性を向上することができ、燃焼安定性を確保しつつ、ステアリングの切り込み操作に対する応答性を向上できる。
このように構成された本発明によれば、目標加速度に基づき基本目標トルクを決定するので、燃焼安定性を確保しつつ、ドライバの意図する加速を正確に実現するようにエンジンを制御することができる。
このように構成された本発明によれば、トルク低減量を反映した最終目標トルクに応じてディーゼルエンジンの燃料噴射量を変化させることにより、アクセルペダルの操作以外の車両の運転状態に基づき決定されたトルク低減量の時間変化を高い応答性で正確に実現することができ、ドライバの意図した車両挙動を正確に実現するようにエンジンを制御することができる。
まず、図1により、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置が適用されたエンジンシステムについて説明する。図1は、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置が適用されたエンジンシステムの概略構成図である。
また、吸気系INにおいて、エアクリーナ3の直下流側の吸気通路1上には、吸入空気量を検出するエアフローセンサ101と吸気温度を検出する吸気温度センサ102とが設けられ、ターボ過給機5のコンプレッサ5aには、このコンプレッサ5aの回転数(ターボ回転数)を検出するターボ回転数センサ103が設けられ、吸気シャッター弁7には、この吸気シャッター弁7の開度を検出する吸気シャッター弁位置センサ105が設けられ、インタークーラ8の直下流側の吸気通路1上には、吸気温度を検出する吸気温度センサ106と吸気圧を検出する吸気圧センサ107とが設けられ、サージタンク12には、吸気マニホールド温度センサ108が設けられている。これらの、吸気系INに設けられた各種センサ101〜108は、それぞれ、検出したパラメータに対応する検出信号S101〜S108をPCM60に出力する。
また、排気系EXにおいては、ターボ過給機5のタービン5bの上流側の排気通路41上には、排気圧を検出する排気圧センサ109が設けられ、DPF46の直下流側の排気通路41上には、酸素濃度を検出するリニアO2センサ110が設けられている。これらの、排気系EXに設けられた各種センサ109及び110は、それぞれ、検出したパラメータに対応する検出信号S109及びS110をPCM60に出力する。
次に、図2により、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置の電気的構成を説明する。図2は、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置の電気的構成を示すブロック図である。
次に、図3乃至図5により、エンジンの制御装置が行う処理について説明する。図3は、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置がエンジンEを制御するエンジン制御処理のフローチャートであり、図4は、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置がトルク低減量を決定するトルク低減量決定処理のフローチャートであり、図5は、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置が決定する付加減速度と操舵速度との関係を示したマップである。
エンジン制御処理が開始されると、図3に示すように、ステップS1において、PCM60は車両の運転状態を取得する。具体的には、PCM60は、操舵角センサ96が検出した操舵角、アクセル開度センサ97が検出したアクセル開度、車速センサ98が検出した車速、車両の変速機に現在設定されているギヤ段等を含む、上述した各種センサ96〜110が出力した検出信号S96〜S110等を運転状態として取得する。
その結果、操舵速度の絶対値が減少していない場合、即ち操舵速度の絶対値が増大している又は操舵速度の絶対値が変化していない場合、ステップS24に進み、トルク低減量決定部63は、操舵速度に基づき目標付加減速度を取得する。この目標付加減速度は、ドライバの意図した車両挙動を正確に実現するために、ステアリング操作に応じて車両に付加すべき減速度である。
図5における横軸は操舵速度を示し、縦軸は目標付加減速度を示す。図5に示すように、操舵速度が閾値TS(例えば10deg/s)未満の場合、対応する目標付加減速度は0である。即ち、操舵速度が閾値TS未満の場合には、ステアリング操作に応じて車両に減速度を付加する制御が行われない。
一方、操舵速度が閾値TS以上の場合には、操舵速度が増大するに従って、この操舵速度に対応する目標付加減速度は、所定の上限値Dmax(例えば1m/s2)に漸近する。即ち、操舵速度が増大するほど目標付加減速度は増大し、且つ、その増大量の増加割合は小さくなる。
具体的には、トルク低減量決定部63は、前回の処理において決定した付加減速度から今回の処理のステップS24において決定した目標付加減速度への増大率がRmax以下である場合、ステップS24において決定した目標付加減速度を今回の処理における付加減速度として決定する。
一方、前回の処理において決定した付加減速度から今回の処理のステップS24において決定した目標付加減速度への変化率がRmaxより大きい場合、トルク低減量決定部63は、前回の処理において決定した付加減速度から今回の処理時まで増大率Rmaxにより増大させた値を今回の処理における付加減速度として決定する。
1つの例では、判定閾値は、ステアリングを切り込んだ後に切り戻す操作が所定の操舵速度以上や所定時間以内に行われた場合に、このときにトルク低減量決定部63によって決定されたトルク低減量を適用した最終目標トルクの上昇速度に基づき設定される。このようなステアリング操作が行われた場合には、付加したトルク低減量を速やかに0に向かって低下させるべく、最終目標トルクが急激に上昇されることにより、最終目標トルクの上昇に伴う気筒内の燃焼状態の変化が大きくなることが想定されるからである。
他の例では、判定閾値は、トルク低減量を最終目標トルクに適用している間にアクセルペダルを所定の開度以上踏み込む操作が行われた場合(つまりアクセルペダル開度の変化量が所定量以上である場合)の、このアクセルペダル操作に応じた基本目標トルクを適用した最終目標トルクの上昇速度に基づき設定される。このようなアクセル操作が行われた場合には、ドライバからの加速要求を満たすべく、最終目標トルクが急激に上昇されることにより、最終目標トルクの上昇に伴う気筒内の燃焼状態の変化が大きくなることが想定されるからである。
なお、上記した最終目標トルクの上昇速度は、単位時間当たりの最終目標トルクの変化量(上昇量)に相当し、最終目標トルクの上昇率や上昇度合いと同義である。
このようなステップS8の処理の後、ステップS9に進む。他方で、ステップS7の判定の結果、最終目標トルクの上昇速度が判定閾値を超えると判定されなかった場合(ステップS7:No)、つまり最終目標トルクの上昇速度が判定閾値以下である場合、上記のステップS8の処理を行わずに、ステップS9に進む。この場合には、ステップS6において決定された最終目標トルクは補正されず、そのまま用いられることとなる。
この図6(b)に示すように、位置Aにおいて右向きの操舵が開始され、ステアリングの切り足し操作が行われることにより右向きの操舵角が徐々に増大し、位置Bにおいて右向きの操舵角が最大となる。その後、位置Cまで操舵角が一定に保たれる(操舵保持)。
車両の操舵速度は、車両の操舵角の時間微分により表される。即ち、図6(c)に示すように、位置Aにおいて右向きの操舵が開始された場合、右向きの操舵速度が生じ、位置Aと位置Bとの間において操舵速度がほぼ一定に保たれる。その後、右向きの操舵速度は減少し、位置Bにおいて右向きの操舵角が最大になると、操舵速度は0になる。更に、位置Bから位置Cまで右向きの操舵角が保持される間、操舵速度は0のままである。
図6(d)では、位置Aから増大を開始した目標付加減速度の増大率が閾値Rmaxを上回っている場合を示している。この場合、トルク低減量決定部63は、増大率=Rmaxとなるように(即ち一点鎖線で示した目標付加減速度よりも緩やかな増大率で)付加減速度を増大させる。また、位置Aと位置Bとの間において目標付加減速度がほぼ一定に保たれている場合、トルク低減量決定部63は、付加減速度=目標付加減速度として決定する。
上述したように、トルク低減量決定部63は、付加減速度を実現するために必要となるトルク低減量を、現在の車速、ギヤ段、路面勾配等のパラメータに基づき決定する。従って、これらのパラメータが一定である場合、トルク低減量は、図6(d)に示した付加減速度の変化と同様に変化するように決定される。
アクセル開度、車速、ギヤ段等に基づき設定された目標加速度を実現するように決定された基本目標トルクは、図6(f)に点線で示すように、各種の外乱やノイズ等により急峻な変化を含む場合がある。この基本目標トルクをトルク変化フィルタ67により平滑化することで、図(f)に実線で示すように急峻な変化が抑制され、車両の急激な加減速が抑制されるようになっている。
図3を参照して説明したように、最終目標トルク決定部65は、ステップS4において平滑化を行った後の基本目標トルクから、ステップS5のトルク低減量決定処理において決定したトルク低減量を減算することにより、最終目標トルクを決定する。この最終目標トルクを決定するために用いられる基本目標トルクとトルク低減量の内、トルク変化フィルタ67による平滑化が行われるのは、アクセルペダルの操作を含む車両の運転状態に基づき決定された基本目標トルクのみである。言い換えると、最終目標トルクの時間変化において、アクセルペダルの操作以外の運転状態であるステアリング操作に基づき決定されたトルク低減量に対応する時間変化については、トルク変化フィルタ67による平滑化が行われない。従って、図6(g)に実線で示すように、トルク低減量はトルク変化フィルタ67によりなまされることなく、そのまま最終目標トルクに反映される。
他方で、位置B以降において、付加減速度を減少させるべくトルク低減量が低下して、最終目標トルクが上昇することになるが、このときに、図3のステップS7において、燃焼状態判定部71が、図3のステップS6において決定された最終目標トルクの上昇速度が判定閾値を超えると判定する。そのため、図6(g)の一点鎖線及び実線に示すように、図3のステップS8において、最終目標トルク補正部73が、最終目標トルクの上昇速度を判定閾値以下に制限するように最終目標トルクを低下させる補正を行う。具体的には、最終目標トルク補正部73は、ステップS6において決定された最終目標トルクの上昇速度が判定閾値を超えている間、判定閾値に対応する速度で最終目標トルクを上昇させるように、最終目標トルクを補正する(図6(g)において、一点鎖線で示す最終目標トルクの代わりに適用された、実線で示す最終目標トルクが、判定閾値に対応するトルクである)。この後、ステップS6において決定された最終目標トルクの上昇速度が判定閾値以下となり、この最終目標トルクがそのまま適用される。
図6(h)の例では、エンジン制御部69は、ステップS6において設定した最終目標トルク又はステップS8において補正した最終目標トルクの時間変化において、トルク低減量に対応する時間変化については燃料噴射弁20から噴射させる燃料噴射量により制御を行う。従って、要求噴射量は、図6(h)に実線で示すように、図6(g)に示した最終目標トルクの時間変化と同じように変化する。
位置Aにおいて右向きの操舵が開始され、右向きの操舵速度が増大するにつれて図6(e)に示したようにトルク低減量を増大させると、車両の操舵輪である前輪の荷重が増加する。その結果、前輪と路面との間の摩擦力が増加し、前輪のコーナリングフォースが増大するため、車両の回頭性が向上する。即ち、図6(i)に示すように、位置Aと位置Bとの間において、トルク低減量に対応する制御を行わなかった場合(点線)よりも、トルク低減量を反映した最終目標トルクを実現するようにエンジンEの制御を行った場合(実線)の方が、車両に発生する時計回り(CW)のヨーレートが大きくなる。
また、図6(d)、(e)に示したように、位置Bに向かって操舵速度が減少するとき目標付加減速度も減少するが、トルク低減量を最大値のまま維持しているので、操舵の切り込みが継続されている間は前輪に付加した荷重が維持され、車両の回頭性が保たれる。
更に、位置Bから位置Cにおいて操舵角の絶対値が一定である場合、トルク低減量を滑らかに減少させるので、操舵の切り込みの終了に応じて徐々に前輪に付加した荷重を低減し、前輪のコーナリングフォースを減少させることにより車体を安定させつつ、エンジンEの出力トルクを回復させる。
次に、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置の作用効果について説明する。
上述した実施形態においては、トルク低減量決定部63は、操舵速度に基づき目標付加減速度を取得し、この目標付加減速度に基づいてトルク低減量を決定すると説明したが、アクセルペダルの操作以外の車両の運転状態(操舵角、ヨーレート、スリップ率等)に基づきトルク低減量を決定するようにしてもよい。
例えば、トルク低減量決定部63は、操舵角及び車速から算出した目標ヨーレートや、ヨーレートセンサから入力されたヨーレートに基づき、車両に発生させるべき目標ヨー加速度を算出し、その目標ヨー加速度に基づき目標付加減速度を取得して、トルク低減量を決定するようにしてもよい。あるいは、加速度センサにより、車両の旋回に伴って発生する横加速度を検出し、この横加速度に基づきトルク低減量を決定するようにしてもよい。
5 ターボ過給機
5a コンプレッサ
5b タービン
5c フラップ
20 燃料噴射弁
41 排気通路
43 高圧EGR装置
48 低圧EGR装置
60 PCM
61 基本目標トルク決定部
63 トルク低減量決定部
65 最終目標トルク決定部
67 トルク変化フィルタ
69 エンジン制御部
71 燃焼状態判定部
73 最終目標トルク補正部
200 エンジンシステム
E エンジン
Claims (6)
- 車両の運転状態に基づきエンジンを制御するエンジンの制御装置であって、
アクセルペダルの操作を含む車両の運転状態に基づき基本目標トルクを決定する基本目標トルク決定手段と、
車両のステアリング操作に基づき、上記基本目標トルクを低下させるためのトルク低減量を決定するトルク低減量決定手段であって、このトルク低減量決定手段は、上記ステアリング操作が変化したときに上記トルク低減量を増加させ、この後に上記トルク低減量を0に向けて低下させる、上記トルク低減量決定手段と、
上記基本目標トルクと上記トルク低減量とに基づき最終目標トルクを決定する最終目標トルク決定手段と、
上記最終目標トルクを出力させるように上記エンジンを制御するエンジン制御手段と、
を有し、
更に、
上記トルク低減量決定手段によってトルク低減量が低下されて、上記最終目標トルク決定手段によって決定された最終目標トルクが上昇するときに、この最終目標トルクの上昇速度が予め定めた判定閾値を超えるか否かに応じて、この最終目標トルクの上昇に伴う気筒内の燃焼状態の変化を判定する燃焼状態判定手段と、
上記最終目標トルクの上昇速度が上記判定閾値を超えることで、上記燃焼状態判定手段によって上記燃焼状態の変化が大きいと判定された場合に、上記最終目標トルクの上昇速度を上記判定閾値以下に制限するように、上記最終目標トルクを補正する最終目標トルク補正手段と、
を有することを特徴とするエンジンの制御装置。 - 上記判定閾値は、ステアリングを切り込んだ後に切り戻す操作が所定の操舵速度以上で行われたときに上記トルク低減量決定手段によって決定された上記トルク低減量を適用した上記最終目標トルクの上昇速度に基づき設定される、請求項1に記載のエンジンの制御装置。
- 上記判定閾値は、上記トルク低減量決定手段によってステアリング操作に応じて決定された上記トルク低減量を上記最終目標トルクに適用している間にアクセルペダルを所定の開度以上踏み込む操作が行われた場合の、このアクセルペダル操作に応じた最終目標トルクの上昇速度に基づき設定される、請求項1に記載のエンジンの制御装置。
- 上記トルク低減量決定手段は、車両の操舵速度が増大するほど、上記トルク低減量を増大させ且つこの増大量の増加割合を低減するように、上記トルク低減量を決定する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。
- 上記基本目標トルク決定手段は、上記アクセルペダルの操作を含む車両の運転状態に基づき車両の目標加速度を決定し、その目標加速度に基づき上記基本目標トルクを決定する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。
- 上記エンジンの制御装置は、気筒内に燃料を噴射する燃料噴射装置を備えたディーゼルエンジンの制御装置であり、
上記エンジン制御手段は、上記最終目標トルクを上記ディーゼルエンジンに出力させるように上記燃料噴射装置の燃料噴射量を制御する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。
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