JP6168482B2 - エンジンの制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンの制御装置に係わり、特に、車両の運転状態に基づきエンジンを制御するエンジンの制御装置に関する。
従来、スリップ等により車両の挙動が不安定になった場合に安全方向に車両の挙動を制御するもの(横滑り防止装置等)が知られている。具体的には、車両のコーナリング時等に、車両にアンダーステアやオーバーステアの挙動が生じたことを検出し、それらを抑制するように車輪に適切な減速度を付与するようにしたものが知られている。
一方、上述したような車両の挙動が不安定になるような走行状態における安全性向上のための制御とは異なり、通常の走行状態にある車両のコーナリング時におけるドライバによる一連の操作(ブレーキング、ステアリングの切り込み、加速、及び、ステアリングの戻し等)が自然で安定したものとなるように、コーナリング時に減速度を調整して操舵輪である前輪に加わる荷重を調整するようにした車両運動制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
更に、ドライバのステアリング操作に対応するヨーレート関連量(例えばヨー加速度)に応じて車両の駆動力を低減させることにより、ドライバがステアリング操作を開始したときに減速度を迅速に車両に生じさせ、十分な荷重を操舵輪である前輪に迅速に加えるようにした車両用挙動制御装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この車両用挙動制御装置によれば、ステアリング操作の開始時に荷重を前輪に迅速に加えることにより、前輪と路面との間の摩擦力が増加し、前輪のコーナリングフォースが増大するので、カーブ進入初期における車両の回頭性が向上し、ステアリングの切り込み操作に対する応答性が向上する。これにより、ドライバが意図したとおりの車両挙動を実現する。
特開2011−88576号公報 特開2014−166014号公報
ところで、車両の運転状態の変化などに応じて、エンジントルクを急激に上昇させる要求が発せられる場合がある。例えば、上記のように、ドライバがステアリング操作を開始したときに車両に減速度を生じさせるようにエンジントルクを低下させた後に、エンジントルクを復帰させるべく、エンジントルクを急激に上昇させる要求が発せられることがある。このよう場合、エンジントルクの上昇速度が大き過ぎることで、エンジンの燃焼安定性やエミッション性能やドライバビリティが低下してしまう場合がある。例えば、ディーゼルエンジンでは、気筒内の空気の応答遅れによって酸素が少ない状態が生じ、この状態において多量の燃料が噴射されることで、煤が排出される場合がある。加えて、ディーゼルエンジンでは、エンジントルクの上昇前の低トルク時にEGRガス量が抑えられることで酸素濃度が高い状態が生じ、この状態において多量の燃料が噴射されることで、異常燃焼が発生する恐れがある。
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、エンジントルクが上昇するときの上昇速度を適切に制限して、燃焼安定性やエミッション性能を確保することができる、エンジンの制御装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、車両の運転状態に基づきエンジンを制御するエンジンの制御装置であって、アクセルペダルの操作を含む車両の運転状態に基づき基本目標トルクを決定する基本目標トルク決定手段と、車両のステアリング操作に基づき、基本目標トルクを低下させるためのトルク低減量を決定するトルク低減量決定手段であって、このトルク低減量決定手段は、ステアリング操作が変化したときにトルク低減量を増加させ、この後にトルク低減量を0に向けて低下させる、トルク低減量決定手段と、基本目標トルクとトルク低減量とに基づき最終目標トルクを決定する最終目標トルク決定手段と、最終目標トルクを出力させるようにエンジンを制御するエンジン制御手段と、を有し、更に、トルク低減量決定手段によってトルク低減量が低下されて、最終目標トルク決定手段によって決定された最終目標トルクが上昇するときに、この最終目標トルクの上昇速度が予め定めた判定閾値を超えるか否かに応じて、この最終目標トルクの上昇に伴う気筒内の燃焼状態の変化を判定する燃焼状態判定手段と、最終目標トルクの上昇速度が判定閾値を超えることで、燃焼状態判定手段によって燃焼状態の変化が大きいと判定された場合に、最終目標トルクの上昇速度を判定閾値以下に制限するように、最終目標トルクを補正する最終目標トルク補正手段と、を有することを特徴とする。
このように構成された本発明では、トルク低減量決定手段によってトルク低減量が低下されて、最終目標トルク決定手段によって決定された最終目標トルクが上昇するときに、この最終目標トルクの上昇速度が判定閾値を超える場合に、燃焼状態判定手段が、最終目標トルクの上昇に伴う気筒内の燃焼状態の変化が大きいと判定して、最終目標トルク補正手段が、最終目標トルクの上昇速度を判定閾値以下にするように、最終目標トルクを補正する。これにより、エンジントルクが上昇するときの上昇速度を適切に制限して、エンジンの燃焼安定性やエミッション性能やドライバビリティの低下を抑制することができる。
特に、本発明によれば、ステアリング操作に基づき決定されたトルク低減量の時間変化を最終目標トルクの時間変化に反映することができ、これにより、ドライバのステアリング操作に応じた減速度を車両に迅速に付加して荷重を前輪に加え、コーナリングフォースを迅速に増大させることによりステアリング操作に対する応答性を向上させることができ、燃焼安定性を確保しつつ、ドライバの意図した車両挙動を正確に実現するようにエンジンEを制御することができる。
本発明において、好ましくは、判定閾値は、ステアリングを切り込んだ後に切り戻す操作が所定の操舵速度以上で行われたときにトルク低減量決定手段によって決定されたトルク低減量を適用した最終目標トルクの上昇速度に基づき設定される。
このように設定された判定閾値を適用することで、上記のようなステアリング操作が行われた場合に発生する可能性が高い、大きな燃焼状態の変化を抑制して、エンジンの燃焼安定性やエミッション性能やドライバビリティを適切に確保することができる。
本発明において、好ましくは、判定閾値は、トルク低減量決定手段によってステアリング操作に応じて決定されたトルク低減量を最終目標トルクに適用している間にアクセルペダルを所定の開度以上踏み込む操作が行われた場合の、このアクセルペダル操作に応じた最終目標トルクの上昇速度に基づき設定される。
このように設定された判定閾値を適用することで、上記のようなアクセルペダル操作が行われた場合に発生する可能性が高い、大きな燃焼状態の変化を抑制して、エンジンの燃焼安定性やエミッション性能やドライバビリティを適切に確保することができる。
本発明において、好ましくは、トルク低減量決定手段は、車両の操舵速度が増大するほど、トルク低減量を増大させ且つこの増大量の増加割合を低減するように、トルク低減量を決定する。
このように構成された本発明によれば、車両の操舵が開始され、車両の操舵速度が増大し始めると、トルク低減量を迅速に増大させることができ、これにより、車両の操舵開始時において減速度を迅速に車両に付加し、十分な荷重を操舵輪である前輪に迅速に加えることができる。これにより、操舵輪である前輪と路面との間の摩擦力が増加し、前輪のコーナリングフォースが増大するので、カーブ進入初期における車両の回頭性を向上することができ、燃焼安定性を確保しつつ、ステアリングの切り込み操作に対する応答性を向上できる。
本発明において、好ましくは、基本目標トルク決定手段は、アクセルペダルの操作を含む車両の運転状態に基づき車両の目標加速度を決定し、その目標加速度に基づき基本目標トルクを決定する。
このように構成された本発明によれば、目標加速度に基づき基本目標トルクを決定するので、燃焼安定性を確保しつつ、ドライバの意図する加速を正確に実現するようにエンジンを制御することができる。
本発明において、好ましくは、エンジンの制御装置は、気筒内に燃料を噴射する燃料噴射装置を備えたディーゼルエンジンの制御装置であり、エンジン制御手段は、最終目標トルクをディーゼルエンジンに出力させるように燃料噴射装置の燃料噴射量を制御する。
このように構成された本発明によれば、トルク低減量を反映した最終目標トルクに応じてディーゼルエンジンの燃料噴射量を変化させることにより、アクセルペダルの操作以外の車両の運転状態に基づき決定されたトルク低減量の時間変化を高い応答性で正確に実現することができ、ドライバの意図した車両挙動を正確に実現するようにエンジンを制御することができる。
本発明のエンジンの制御装置によれば、エンジントルクが上昇するときの上昇速度を適切に制限して、燃焼安定性やエミッション性能を確保することができる。
本発明の実施形態によるエンジンの制御装置が適用されたエンジンシステムの概略構成図である。 本発明の実施形態によるエンジンの制御装置の電気的構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態によるエンジンの制御装置がエンジンを制御するエンジン制御処理のフローチャートである。 本発明の実施形態によるエンジンの制御装置がトルク低減量を決定するトルク低減量決定処理のフローチャートである。 本発明の実施形態によるエンジンの制御装置が決定する付加減速度と操舵速度との関係を示したマップである。 本発明の実施形態によるエンジンの制御装置を搭載した車両が旋回を行う場合における、エンジンの制御装置によるエンジン制御に関するパラメータの時間変化を示す線図であり、図6(a)は右旋回を行う車両を概略的に示す平面図、図6(b)は図6(a)に示したように右旋回を行う車両の操舵角の変化を示す線図、図6(c)は図6(b)に示したように右旋回を行う車両の操舵速度の変化を示す線図、図6(d)は、図6(c)に示した操舵速度に基づき決定された付加減速度の変化を示す線図、図6(e)は図6(d)に示した付加減速度に基づいて決定されたトルク低減量の変化を示す線図、図6(f)はトルク変化フィルタによる平滑化前後の基本目標トルクの変化を示す線図、図6(g)は基本目標トルクとトルク低減量とに基づき決定された最終目標トルクの変化を示す線図、図6(h)は最終目標トルクに基づき決定された燃料噴射量の変化を示す線図、図6(i)は図6(h)に示したように燃料噴射量の制御を行った場合に車両に発生するヨーレート(実ヨーレート)の変化と、トルク低減量決定部が決定したトルク低減量に基づく燃料噴射量の制御を行わなかった場合の実ヨーレートの変化とを示す線図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置を説明する。
[システム構成]
まず、図1により、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置が適用されたエンジンシステムについて説明する。図1は、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置が適用されたエンジンシステムの概略構成図である。
図1に示すように、エンジンシステム200は、主に、ディーゼルエンジンとしてのエンジンEと、エンジンEに吸気を供給する吸気系INと、エンジンEに燃料を供給するための燃料供給系FSと、エンジンEの排気ガスを排出する排気系EXと、エンジンシステム200に関する各種の状態を検出するセンサ96〜110と、エンジンシステム200の制御を行うPCM(Power-train Control Module)60と、を有する。
まず、吸気系INは、吸気が通過する吸気通路1を有しており、この吸気通路1上には、上流側から順に、外部から導入された空気を浄化するエアクリーナ3と、通過する吸気を圧縮して吸気圧を上昇させる、ターボ過給機5のコンプレッサ5aと、通過する吸気流量を調整する吸気シャッター弁7と、通水された冷却水を用いて吸気を冷却する水冷式のインタークーラ8と、エンジンEに供給する吸気を一時的に蓄えるサージタンク12と、が設けられている。
また、吸気系INにおいて、エアクリーナ3の直下流側の吸気通路1上には、吸入空気量を検出するエアフローセンサ101と吸気温度を検出する吸気温度センサ102とが設けられ、ターボ過給機5のコンプレッサ5aには、このコンプレッサ5aの回転数(ターボ回転数)を検出するターボ回転数センサ103が設けられ、吸気シャッター弁7には、この吸気シャッター弁7の開度を検出する吸気シャッター弁位置センサ105が設けられ、インタークーラ8の直下流側の吸気通路1上には、吸気温度を検出する吸気温度センサ106と吸気圧を検出する吸気圧センサ107とが設けられ、サージタンク12には、吸気マニホールド温度センサ108が設けられている。これらの、吸気系INに設けられた各種センサ101〜108は、それぞれ、検出したパラメータに対応する検出信号S101〜S108をPCM60に出力する。
次に、エンジンEは、吸気通路1(詳しくは吸気マニホールド)から供給された吸気を燃焼室17内に導入する吸気バルブ15と、燃焼室17に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁20と、燃焼室17内での混合気の燃焼により往復運動するピストン23と、ピストン23の往復運動により回転されるクランクシャフト25と、燃焼室17内での混合気の燃焼により発生した排気ガスを排気通路41へ排出する排気バルブ27と、を有する。
次に、燃料供給系FSは、燃料を貯蔵する燃料タンク30と、燃料タンク30から燃料噴射弁20に燃料を供給するための燃料供給通路38とを有する。燃料供給通路38には、上流側から順に、低圧燃料ポンプ31と、高圧燃料ポンプ33と、コモンレール35とが設けられている。
次に、排気系EXは、排気ガスが通過する排気通路41を有しており、この排気通路41上には、上流側から順に、通過する排気ガスによって回転され、この回転によって上記したようにコンプレッサ5aを駆動する、ターボ過給機5のタービン5bと、排気ガスの浄化機能を有するディーゼル酸化触媒(DOC:Diesel Oxidation Catalyst)45及びディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF:Diesel particulate filter)46と、通過する排気流量を調整する排気シャッター弁49と、が設けられている。DOC45は、排出ガス中の酸素を用いて炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)などを酸化して水と二酸化炭素に変化させる触媒であり、DPF46は、排気ガス中の粒子状物質(PM:Particulate Matter)を捕集するフィルタである。
また、排気系EXにおいては、ターボ過給機5のタービン5bの上流側の排気通路41上には、排気圧を検出する排気圧センサ109が設けられ、DPF46の直下流側の排気通路41上には、酸素濃度を検出するリニアO2センサ110が設けられている。これらの、排気系EXに設けられた各種センサ109及び110は、それぞれ、検出したパラメータに対応する検出信号S109及びS110をPCM60に出力する。
更に、本実施形態では、ターボ過給機5は、排気エネルギーが低い低速回転時でも効率良く過給を行えるように小型に構成されていると共に、タービン5bの全周を囲むように複数の可動式のフラップ5cが設けられ、これらのフラップ5cによりタービン5bへの排気の流通断面積(ノズル断面積)を変化させるようにした可変ジオメトリーターボチャージャー(VGT:Variable Geometry Turbocharger)として構成されている。例えば、フラップ5cは、ダイヤフラムに作用する負圧の大きさが電磁弁により調節され、アクチュエータによって回動される。また、そのようなアクチュエータの位置により、フラップ5cの開度(フラップ開度であり、以下では適宜「VGT開度」と呼ぶ。)を検出するVGT開度センサ104が設けられている。このVGT開度センサ104は、検出したVGT開度に対応する検出信号S104をPCM60に出力する。
本実施形態によるエンジンシステム200は、更に、高圧EGR装置43及び低圧EGR装置48を有する。高圧EGR装置43は、ターボ過給機5のタービン5bの上流側の排気通路41とターボ過給機5のコンプレッサ5bの下流側(詳しくはインタークーラ8の下流側)の吸気通路1とを接続する高圧EGR通路43aと、高圧EGR通路43aを通過させる排気ガスの流量を調整する高圧EGRバルブ43bと、を有する。低圧EGR装置48は、ターボ過給機5のタービン5bの下流側(詳しくはDPF46の下流側で且つ排気シャッター弁49の上流側)の排気通路41とターボ過給機5のコンプレッサ5bの上流側の吸気通路1とを接続する低圧EGR通路48aと、低圧EGR通路48aを通過する排気ガスを冷却する低圧EGRクーラ48bと、低圧EGR通路48aを通過させる排気ガスの流量を調整する低圧EGRバルブ48cと、低圧EGRフィルタ48dと、を有する。
高圧EGR装置43によって吸気系INに還流される排気ガス量(以下「高圧EGRガス量」と呼ぶ。)は、ターボ過給機5のタービン5b上流側の排気圧と、吸気シャッター弁7の開度によって作り出される吸気圧と、高圧EGRバルブ43bの開度とによって概ね決定される。また、低圧EGR装置48によって吸気系INに還流される排気ガス量(以下「低圧EGRガス量」と呼ぶ。)は、ターボ過給機5のコンプレッサ5a上流側の吸気圧と、排気シャッター弁49の開度によって作り出される排気圧と、低圧EGRバルブ48cの開度とによって概ね決定される。
[電気的構成]
次に、図2により、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置の電気的構成を説明する。図2は、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置の電気的構成を示すブロック図である。
本発明の実施形態によるPCM60(エンジンの制御装置)は、上述した各種センサ101〜110の検出信号S101〜S110に加えて、ステアリングホイールの回転角度を検出する操舵角センサ96、アクセルペダルの開度(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサ97、車速を検出する車速センサ98、外気温を検出する外気温センサ99、及び、大気圧を検出する大気圧センサ100のそれぞれが出力した検出信号S96〜S100に基づいて、ターボ過給機5、燃料噴射弁20、高圧EGR装置43、及び低圧EGR装置48に対する制御を行うべく、制御信号S130〜S133を出力する。
PCM60は、アクセルペダルの操作を含む車両の運転状態に基づき基本目標トルクを決定する基本目標トルク決定部61と、アクセルペダルの操作を含まない車両の運転状態に基づきトルク低減量を決定するトルク低減量決定部63と、基本目標トルクとトルク低減量とに基づき最終目標トルクを決定する最終目標トルク決定部65と、最終目標トルクの時間変化を平滑化するトルク変化フィルタ67と、最終目標トルクを出力させるようにエンジンEを制御するエンジン制御部69と、最終目標トルクの上昇に伴う気筒内の燃焼状態の変化を判定する燃焼状態判定部71と、燃焼状態判定部71によって燃焼状態の変化が大きいと判定された場合に、最終目標トルクを補正する最終目標トルク補正部73と、を有する。
これらのPCM60の各構成要素は、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを記憶するためのROMやRAMの如き内部メモリを備えるコンピュータにより構成される。
[制御内容]
次に、図3乃至図5により、エンジンの制御装置が行う処理について説明する。図3は、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置がエンジンEを制御するエンジン制御処理のフローチャートであり、図4は、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置がトルク低減量を決定するトルク低減量決定処理のフローチャートであり、図5は、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置が決定する付加減速度と操舵速度との関係を示したマップである。
図3のエンジン制御処理は、車両1のイグニッションがオンにされ、エンジンの制御装置に電源が投入された場合に起動され、繰り返し実行される。
エンジン制御処理が開始されると、図3に示すように、ステップS1において、PCM60は車両の運転状態を取得する。具体的には、PCM60は、操舵角センサ96が検出した操舵角、アクセル開度センサ97が検出したアクセル開度、車速センサ98が検出した車速、車両の変速機に現在設定されているギヤ段等を含む、上述した各種センサ96〜110が出力した検出信号S96〜S110等を運転状態として取得する。
次に、ステップS2において、PCM60の基本目標トルク設定部61は、ステップS1において取得されたアクセルペダルの操作を含む車両の運転状態に基づき、目標加速度を設定する。具体的には、基本目標トルク設定部は、種々の車速及び種々のギヤ段について規定された加速度特性マップ(予め作成されてメモリなどに記憶されている)の中から、現在の車速及びギヤ段に対応する加速度特性マップを選択し、選択した加速度特性マップを参照して現在のアクセル開度に対応する目標加速度を決定する。
次に、ステップS3において、基本目標トルク決定部61は、ステップS2において決定した目標加速度を実現するためのエンジンEの基本目標トルクを決定する。この場合、基本目標トルク決定部61は、現在の車速、ギヤ段、路面勾配、路面μなどに基づき、エンジンEが出力可能なトルクの範囲内で、基本目標トルクを決定する。
次に、ステップS4において、トルク変化フィルタ67は、ステップS3において決定された基本目標トルクの時間変化を平滑化する。この平滑化の具体的な手法としては、既知の各種手法(例えば、基本目標トルクの変化率を閾値以下に制限することや、基本目標トルクの時間変化の移動平均を算出すること等)を用いることができる。
また、ステップS2〜S4の処理と並行して、ステップS5において、トルク低減量決定部63は、アクセルペダルの操作以外の車両の運転状態に基づきトルク低減量を決定するためのトルク低減量決定処理を実行する。このトルク低減量決定処理について、図4を参照して説明する。
図4に示すように、トルク低減量決定処理が開始されると、ステップS21において、トルク低減量決定部63は、ステップS1において取得した操舵角の絶対値が増大中か否かを判定する。その結果、操舵角の絶対値が増大中である場合、ステップS22に進み、トルク低減量決定部63は、ステップS1において取得した操舵角に基づき操舵速度を算出する。
次に、ステップS23において、トルク低減量決定部63は、操舵速度の絶対値が減少しているか否かを判定する。
その結果、操舵速度の絶対値が減少していない場合、即ち操舵速度の絶対値が増大している又は操舵速度の絶対値が変化していない場合、ステップS24に進み、トルク低減量決定部63は、操舵速度に基づき目標付加減速度を取得する。この目標付加減速度は、ドライバの意図した車両挙動を正確に実現するために、ステアリング操作に応じて車両に付加すべき減速度である。
具体的には、トルク低減量決定部63は、図5のマップに示した目標付加減速度と操舵速度との関係に基づき、ステップS22において算出した操舵速度に対応する目標付加減速度を取得する。
図5における横軸は操舵速度を示し、縦軸は目標付加減速度を示す。図5に示すように、操舵速度が閾値TS(例えば10deg/s)未満の場合、対応する目標付加減速度は0である。即ち、操舵速度が閾値TS未満の場合には、ステアリング操作に応じて車両に減速度を付加する制御が行われない。
一方、操舵速度が閾値TS以上の場合には、操舵速度が増大するに従って、この操舵速度に対応する目標付加減速度は、所定の上限値Dmax(例えば1m/s2)に漸近する。即ち、操舵速度が増大するほど目標付加減速度は増大し、且つ、その増大量の増加割合は小さくなる。
次に、ステップS25において、トルク低減量決定部63は、付加減速度の増大率が閾値Rmax(例えば0.5m/s3)以下となる範囲で今回の処理における付加減速度を決定する。
具体的には、トルク低減量決定部63は、前回の処理において決定した付加減速度から今回の処理のステップS24において決定した目標付加減速度への増大率がRmax以下である場合、ステップS24において決定した目標付加減速度を今回の処理における付加減速度として決定する。
一方、前回の処理において決定した付加減速度から今回の処理のステップS24において決定した目標付加減速度への変化率がRmaxより大きい場合、トルク低減量決定部63は、前回の処理において決定した付加減速度から今回の処理時まで増大率Rmaxにより増大させた値を今回の処理における付加減速度として決定する。
また、ステップS23において、操舵速度の絶対値が減少している場合、ステップS26に進み、トルク低減量決定部63は、前回の処理において決定した付加減速度を今回の処理における付加減速度として決定する。即ち、操舵速度の絶対値が減少している場合、操舵速度の最大時における付加減速度(即ち付加減速度の最大値)が保持される。
また、ステップS21において、操舵角の絶対値が増大中ではない(一定又は減少中である)場合、ステップS27に進み、トルク低減量決定部63は、前回の処理において決定した付加減速度を今回の処理において減少させる量(減速度減少量)を取得する。この減速度減少量は、例えば、予めメモリ等に記憶されている一定の減少率(例えば0.3m/s3)に基づき算出される。あるいは、ステップS1において取得された車両の運転状態やステップS22において算出した操舵速度に応じて決定された減少率に基づき算出される。
そして、ステップS28において、トルク低減量決定部63は、前回の処理において決定した付加減速度からステップS27において取得した減速度減少量を減算することにより、今回の処理における付加減速度を決定する。
ステップS25、S26、又はS28の後、ステップS29において、トルク低減量決定部63は、ステップS25、S26、又はS28において決定した今回の付加減速度に基づき、トルク低減量を決定する。具体的には、トルク低減量決定部63は、今回の付加減速度を実現するために必要となるトルク低減量を、ステップS1において取得された現在の車速、ギヤ段、路面勾配等に基づき決定する。このステップS29の後、トルク低減量決定部63はトルク低減量決定処理を終了し、メインルーチンに戻る。
図3に戻り、ステップS2〜S4の処理及びステップS5のトルク低減量決定処理を行った後、ステップS6において、最終目標トルク決定部65は、ステップS4において平滑化を行った後の基本目標トルクから、ステップS5のトルク低減量決定処理において決定したトルク低減量を減算することにより、最終目標トルクを決定する。
次に、ステップS7において、PCM60の燃焼状態判定部71が、上記のステップS6において決定した最終目標トルクと、前回の処理において設定した最終目標トルクとから、最終目標トルクの上昇速度を求め、この上昇速度が所定の判定閾値を超えるか否かを判定する。このステップS7では、燃焼状態判定部71は、最終目標トルクの上昇速度に基づいて、最終目標トルクの上昇に伴う気筒内の燃焼状態の変化が大きいか否かを判定する、具体的には燃焼安定性やエミッション性能やドライバビリティが低下してしまうような燃焼状態の変化が生じるか否かを判定する。そういった観点より、判定閾値は、最終目標トルクの上昇に伴う気筒内の燃焼状態の変化が大きくなるような、つまり燃焼状態の変化に起因して燃焼安定性やエミッション性能やドライバビリティが低下するような、最終目標トルクの上昇速度に相当する値が適用される。典型的には、この判定閾値には、事前に設定された固定値が適用される。
1つの例では、判定閾値は、ステアリングを切り込んだ後に切り戻す操作が所定の操舵速度以上や所定時間以内に行われた場合に、このときにトルク低減量決定部63によって決定されたトルク低減量を適用した最終目標トルクの上昇速度に基づき設定される。このようなステアリング操作が行われた場合には、付加したトルク低減量を速やかに0に向かって低下させるべく、最終目標トルクが急激に上昇されることにより、最終目標トルクの上昇に伴う気筒内の燃焼状態の変化が大きくなることが想定されるからである。
他の例では、判定閾値は、トルク低減量を最終目標トルクに適用している間にアクセルペダルを所定の開度以上踏み込む操作が行われた場合(つまりアクセルペダル開度の変化量が所定量以上である場合)の、このアクセルペダル操作に応じた基本目標トルクを適用した最終目標トルクの上昇速度に基づき設定される。このようなアクセル操作が行われた場合には、ドライバからの加速要求を満たすべく、最終目標トルクが急激に上昇されることにより、最終目標トルクの上昇に伴う気筒内の燃焼状態の変化が大きくなることが想定されるからである。
なお、上記した最終目標トルクの上昇速度は、単位時間当たりの最終目標トルクの変化量(上昇量)に相当し、最終目標トルクの上昇率や上昇度合いと同義である。
ステップS7の判定の結果、最終目標トルクの上昇速度が判定閾値を超えると判定された場合(ステップS7:Yes)、ステップS8に進み、PCM60の最終目標トルク補正部73が、最終目標トルクの上昇速度を制限すべく、上記のステップS6において決定した最終目標トルクを補正する。具体的には、最終目標トルク補正部73は、最終目標トルクの上昇速度を判定閾値以下にするように、ステップS6において決定した最終目標トルクを低下させる補正を行う。例えば、最終目標トルク補正部73は、判定閾値を超える最終目標トルクの上昇速度が判定閾値に一致するように、前回の処理において設定した最終目標トルクに基づき、今回適用すべき最終目標トルクを決定する。
このようなステップS8の処理の後、ステップS9に進む。他方で、ステップS7の判定の結果、最終目標トルクの上昇速度が判定閾値を超えると判定されなかった場合(ステップS7:No)、つまり最終目標トルクの上昇速度が判定閾値以下である場合、上記のステップS8の処理を行わずに、ステップS9に進む。この場合には、ステップS6において決定された最終目標トルクは補正されず、そのまま用いられることとなる。
次に、ステップS9において、エンジン制御部69は、ステップS6において設定した最終目標トルク或いはステップS8において補正した最終目標トルクと、エンジン回転数とに基づいて、燃料噴射弁20から噴射させるべき要求噴射量を設定する。
続いて、ステップS10において、エンジン制御部69は、ステップS9において設定した要求噴射量と、エンジン回転数とに基づいて、燃料の噴射パターンと、燃圧と、目標酸素濃度と、目標吸気温度と、EGR制御モード(高圧EGR装置43及び低圧EGR装置48の両方又は一方を作動させるモード、或いは高圧EGR装置43及び低圧EGR装置48のいずれも作動させないモード)とを設定する。
次に、ステップS11において、エンジン制御部69は、ステップS10において設定した目標酸素濃度及び目標吸気温度を実現する状態量を設定する。例えば、この状態量には、高圧EGR装置43によって吸気系INに還流させる排気ガス量(高圧EGRガス量)や、低圧EGR装置48によって吸気系INに還流させる排気ガス量(低圧EGRガス量)や、ターボ過給機5による過給圧などが含まれる。
次に、ステップS12において、エンジン制御部69は、ステップS11において設定した状態量に基づき、エンジンシステム200の各構成要素のそれぞれを駆動する各アクチュエータを制御する。この場合、エンジン制御部69は、状態量に応じた制限値や制限範囲を設定し、状態値が制限値や制限範囲による制限を遵守するような各アクチュエータの制御量を設定して制御を実行する。このようなステップS12の後、PCM60は、エンジン制御処理を終了する。
次に、図6により、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置の作用を説明する。図6は、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置を搭載した車両が旋回を行う場合における、エンジンの制御装置によるエンジン制御に関するパラメータの時間変化を示す線図である。
図6(a)は、右旋回を行う車両を概略的に示す平面図である。この図6(a)に示すように、車両1は、位置Aから右旋回を開始し、位置Bから位置Cまで操舵角一定で右旋回を継続する。
図6(b)は、図6(a)に示したように右旋回を行う車両の操舵角の変化を示す線図である。図6(b)における横軸は時間を示し、縦軸は操舵角を示す。
この図6(b)に示すように、位置Aにおいて右向きの操舵が開始され、ステアリングの切り足し操作が行われることにより右向きの操舵角が徐々に増大し、位置Bにおいて右向きの操舵角が最大となる。その後、位置Cまで操舵角が一定に保たれる(操舵保持)。
図6(c)は、図6(b)に示したように右旋回を行う車両の操舵速度の変化を示す線図である。図6(b)における横軸は時間を示し、縦軸は操舵速度を示す。
車両の操舵速度は、車両の操舵角の時間微分により表される。即ち、図6(c)に示すように、位置Aにおいて右向きの操舵が開始された場合、右向きの操舵速度が生じ、位置Aと位置Bとの間において操舵速度がほぼ一定に保たれる。その後、右向きの操舵速度は減少し、位置Bにおいて右向きの操舵角が最大になると、操舵速度は0になる。更に、位置Bから位置Cまで右向きの操舵角が保持される間、操舵速度は0のままである。
図6(d)は、図6(c)に示した操舵速度に基づき決定された付加減速度の変化を示す線図である。図6(d)における横軸は時間を示し、縦軸は付加減速度を示す。また、図6(d)における実線は、図4のトルク低減量決定処理において決定された付加減速度の変化を示し、一点鎖線は、操舵速度に基づく目標付加減速度の変化を示す。この一点鎖線により示す目標付加減速度は、図6(c)に示した操舵速度の変化と同様に、位置Aから増大し始め、位置Aと位置Bとの間においてほぼ一定に保たれ、その後減少して位置Bにおいて0になる。
図4を参照して説明したように、トルク低減量決定部63は、ステップS23において操舵速度の絶対値が減少していない場合、即ち操舵速度の絶対値が増大している又は操舵速度の絶対値が変化していない場合、ステップS24において操舵速度に基づき目標付加減速度を取得する。続いて、ステップS25において、トルク低減量決定部63は、付加減速度の増大率が閾値Rmax以下となる範囲で各処理サイクルにおける付加減速度を決定する。
図6(d)では、位置Aから増大を開始した目標付加減速度の増大率が閾値Rmaxを上回っている場合を示している。この場合、トルク低減量決定部63は、増大率=Rmaxとなるように(即ち一点鎖線で示した目標付加減速度よりも緩やかな増大率で)付加減速度を増大させる。また、位置Aと位置Bとの間において目標付加減速度がほぼ一定に保たれている場合、トルク低減量決定部63は、付加減速度=目標付加減速度として決定する。
また、上述したように、図4のステップS23において操舵速度の絶対値が減少している場合、トルク低減量決定部63は、操舵速度の最大時における付加減速度を保持する。図6(d)では、位置Bに向かって操舵速度が減少している場合、それに伴って一点鎖線により示す目標付加減速度も減少するが、実線により示す付加減速度は最大値を位置Bまで維持する。
更に、上述したように、図4のステップS21において、操舵角の絶対値が一定又は減少中である場合、トルク低減量決定部63は、ステップS27において減速度減少量を取得し、その減速度減少量により付加減速度を減少させる。図6(d)では、トルク低減量決定部63は、付加減速度の減少率が徐々に小さくなるように、即ち付加減速度の変化を示す実線の傾きが徐々に緩やかになるように、付加減速度を減少させる。
図6(e)は、図6(d)に示した付加減速度に基づき決定されたトルク低減量の変化を示す線図である。図6(e)における横軸は時間を示し、縦軸はトルク低減量を示す。
上述したように、トルク低減量決定部63は、付加減速度を実現するために必要となるトルク低減量を、現在の車速、ギヤ段、路面勾配等のパラメータに基づき決定する。従って、これらのパラメータが一定である場合、トルク低減量は、図6(d)に示した付加減速度の変化と同様に変化するように決定される。
図6(f)はトルク変化フィルタ67による平滑化前後の基本目標トルクの変化を示す線図である。図6(f)における横軸は時間を示し、縦軸はトルクを示す。また、図6(f)における点線はトルク変化フィルタ67による平滑化前の基本目標トルクを示し、実線はトルク変化フィルタ67による平滑化後の基本目標トルクを示す。
アクセル開度、車速、ギヤ段等に基づき設定された目標加速度を実現するように決定された基本目標トルクは、図6(f)に点線で示すように、各種の外乱やノイズ等により急峻な変化を含む場合がある。この基本目標トルクをトルク変化フィルタ67により平滑化することで、図(f)に実線で示すように急峻な変化が抑制され、車両の急激な加減速が抑制されるようになっている。
図6(g)は基本目標トルクとトルク低減量とに基づき決定された最終目標トルクの変化を示す線図である。図6(g)における横軸は時間を示し、縦軸はトルクを示す。また、図6(g)における点線は図6(f)に示した平滑化後の基本目標トルクを示し、実線は最終目標トルクを示す。より詳しくは、実線に加えて一点鎖線が最終目標トルクを示しており、一点鎖線は補正前の最終目標トルクを示し、実線は補正後の最終目標トルクを示している。
図3を参照して説明したように、最終目標トルク決定部65は、ステップS4において平滑化を行った後の基本目標トルクから、ステップS5のトルク低減量決定処理において決定したトルク低減量を減算することにより、最終目標トルクを決定する。この最終目標トルクを決定するために用いられる基本目標トルクとトルク低減量の内、トルク変化フィルタ67による平滑化が行われるのは、アクセルペダルの操作を含む車両の運転状態に基づき決定された基本目標トルクのみである。言い換えると、最終目標トルクの時間変化において、アクセルペダルの操作以外の運転状態であるステアリング操作に基づき決定されたトルク低減量に対応する時間変化については、トルク変化フィルタ67による平滑化が行われない。従って、図6(g)に実線で示すように、トルク低減量はトルク変化フィルタ67によりなまされることなく、そのまま最終目標トルクに反映される。
他方で、位置B以降において、付加減速度を減少させるべくトルク低減量が低下して、最終目標トルクが上昇することになるが、このときに、図3のステップS7において、燃焼状態判定部71が、図3のステップS6において決定された最終目標トルクの上昇速度が判定閾値を超えると判定する。そのため、図6(g)の一点鎖線及び実線に示すように、図3のステップS8において、最終目標トルク補正部73が、最終目標トルクの上昇速度を判定閾値以下に制限するように最終目標トルクを低下させる補正を行う。具体的には、最終目標トルク補正部73は、ステップS6において決定された最終目標トルクの上昇速度が判定閾値を超えている間、判定閾値に対応する速度で最終目標トルクを上昇させるように、最終目標トルクを補正する(図6(g)において、一点鎖線で示す最終目標トルクの代わりに適用された、実線で示す最終目標トルクが、判定閾値に対応するトルクである)。この後、ステップS6において決定された最終目標トルクの上昇速度が判定閾値以下となり、この最終目標トルクがそのまま適用される。
図6(h)は最終目標トルクに基づき決定された燃料噴射量の変化を示す線図である。図6(h)における横軸は時間を示し、縦軸は要求噴射量を示す。また、図6(h)における点線は図6(f)に示した平滑化後の基本目標トルクに対応する要求噴射量を示し、実線は図6(g)に示した最終目標トルクに対応する要求噴射量を示す。
図6(h)の例では、エンジン制御部69は、ステップS6において設定した最終目標トルク又はステップS8において補正した最終目標トルクの時間変化において、トルク低減量に対応する時間変化については燃料噴射弁20から噴射させる燃料噴射量により制御を行う。従って、要求噴射量は、図6(h)に実線で示すように、図6(g)に示した最終目標トルクの時間変化と同じように変化する。
図6(i)は、図6(b)に示したように操舵が行われる車両において、図6(g)に示した最終目標トルクを実現するようにエンジンEの制御を行った場合に車両に発生するヨーレート(実ヨーレート)の変化と、図6(e)に示したトルク低減量に対応する制御を行わなかった場合(即ち図6(g)に点線で示した平滑化後の基本目標トルクを実現するようにエンジンEの制御を行った場合)の実ヨーレートの変化とを示す線図である。図6(i)における横軸は時間を示し、縦軸はヨーレートを示す。また、図6(i)における実線は、最終目標トルクを実現するようにエンジンEの制御を行った場合の実ヨーレートの変化を示し、点線は、トルク低減量に対応する制御を行わなかった場合の実ヨーレートの変化を示す。
位置Aにおいて右向きの操舵が開始され、右向きの操舵速度が増大するにつれて図6(e)に示したようにトルク低減量を増大させると、車両の操舵輪である前輪の荷重が増加する。その結果、前輪と路面との間の摩擦力が増加し、前輪のコーナリングフォースが増大するため、車両の回頭性が向上する。即ち、図6(i)に示すように、位置Aと位置Bとの間において、トルク低減量に対応する制御を行わなかった場合(点線)よりも、トルク低減量を反映した最終目標トルクを実現するようにエンジンEの制御を行った場合(実線)の方が、車両に発生する時計回り(CW)のヨーレートが大きくなる。
また、図6(d)、(e)に示したように、位置Bに向かって操舵速度が減少するとき目標付加減速度も減少するが、トルク低減量を最大値のまま維持しているので、操舵の切り込みが継続されている間は前輪に付加した荷重が維持され、車両の回頭性が保たれる。
更に、位置Bから位置Cにおいて操舵角の絶対値が一定である場合、トルク低減量を滑らかに減少させるので、操舵の切り込みの終了に応じて徐々に前輪に付加した荷重を低減し、前輪のコーナリングフォースを減少させることにより車体を安定させつつ、エンジンEの出力トルクを回復させる。
[作用効果]
次に、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置の作用効果について説明する。
本実施形態では、トルク低減量決定部63によってトルク低減量が低下されて、最終目標トルク決定部65によって決定された最終目標トルクが上昇するときに、この最終目標トルクの上昇速度が判定閾値を超える場合に、燃焼状態判定部71が、最終目標トルクの上昇に伴う気筒内の燃焼状態の変化が大きいと判定して、最終目標トルク補正部73が、最終目標トルクの上昇速度を判定閾値以下にするように、最終目標トルクを補正する。これにより、エンジントルクの上昇速度を適切に制限して、エンジンEの燃焼安定性やエミッション性能やドライバビリティの低下を抑制することができる。
特に、本実施形態では、最終目標トルクの上昇速度を判定するための判定閾値を、ステアリングを切り込んだ後に切り戻す操作が所定の操舵速度以上で行われた場合に、このときにトルク低減量決定部63によって決定されたトルク低減量を適用した最終目標トルクの上昇速度に基づき設定するので、このようなステアリング操作が行われた場合に発生する可能性が高い、大きな燃焼状態の変化を抑制して、エンジンEの燃焼安定性やエミッション性能やドライバビリティを適切に確保することができる。
加えて、本実施形態では、最終目標トルクの上昇速度を判定するための判定閾値を、トルク低減量を最終目標トルクに適用している間にアクセルペダルを所定の開度以上踏み込む操作が行われた場合の、このアクセルペダル操作に応じた最終目標トルクの上昇速度に基づき設定するので、このようなアクセルペダル操作が行われた場合に発生する可能性が高い、大きな燃焼状態の変化を抑制して、エンジンEの燃焼安定性やエミッション性能やドライバビリティを適切に確保することができる。
また、本実施形態によれば、車両のステアリング操作に応じてトルク低減量を決定するので、ステアリング操作に基づき決定されたトルク低減量の時間変化を最終目標トルクの時間変化に反映することができ、これにより、ドライバのステアリング操作に応じた減速度を車両に迅速に付加して荷重を前輪に加え、コーナリングフォースを迅速に増大させることによりステアリング操作に対する応答性を向上させることができ、燃焼安定性を確保しつつ、ドライバの意図した車両挙動を正確に実現するようにエンジンEを制御することができる。
また、本実施形態によれば、車両の操舵速度が増大するほど、トルク低減量を増大させ且つこの増大量の増加割合を低減するように、トルク低減量を決定するので、車両の操舵が開始され、車両の操舵速度が増大し始めると、トルク低減量を迅速に増大させることができ、これにより、車両の操舵開始時において減速度を迅速に車両に付加し、十分な荷重を操舵輪である前輪に迅速に加えることができる。これにより、操舵輪である前輪と路面との間の摩擦力が増加し、前輪のコーナリングフォースが増大するので、カーブ進入初期における車両の回頭性を向上することができ、燃焼安定性を確保しつつ、ステアリングの切り込み操作に対する応答性を向上できる。
また、本実施形態によれば、アクセルペダルの操作を含む車両の運転状態に基づき車両の目標加速度を決定し、その目標加速度に基づき基本目標トルクを決定するので、燃焼安定性を確保しつつ、ドライバの意図する加速を正確に実現するようにエンジンEを制御することができる。
また、本実施形態によれば、エンジンの制御装置は、気筒内に燃料を噴射する燃料噴射装置を備えたディーゼルエンジンの制御装置であり、エンジン制御部69は、最終目標トルクをディーゼルエンジンに出力させるように燃料噴射弁20の燃料噴射量を制御するので、燃料噴射量を変化させることにより、アクセルペダルの操作以外の車両の運転状態に基づき決定されたトルク低減量の時間変化を高い応答性で正確に実現することができ、ドライバの意図した車両挙動を正確に実現するようにエンジンEを制御することができる。
[変形例]
上述した実施形態においては、トルク低減量決定部63は、操舵速度に基づき目標付加減速度を取得し、この目標付加減速度に基づいてトルク低減量を決定すると説明したが、アクセルペダルの操作以外の車両の運転状態(操舵角、ヨーレート、スリップ率等)に基づきトルク低減量を決定するようにしてもよい。
例えば、トルク低減量決定部63は、操舵角及び車速から算出した目標ヨーレートや、ヨーレートセンサから入力されたヨーレートに基づき、車両に発生させるべき目標ヨー加速度を算出し、その目標ヨー加速度に基づき目標付加減速度を取得して、トルク低減量を決定するようにしてもよい。あるいは、加速度センサにより、車両の旋回に伴って発生する横加速度を検出し、この横加速度に基づきトルク低減量を決定するようにしてもよい。
また、上述した実施形態においては、最終目標トルクの上昇速度に基づいて、気筒内の燃焼状態の変化を判定して、最終目標トルクを補正するようにしていたが、他の例では、最終目標トルクの上昇速度に対応する付加減速度やトルク低減量の上昇速度(増加速度)に基づいて、気筒内の燃焼状態の変化を判定して、最終目標トルクを補正するようにしてもよい。この場合にも、燃焼安定性やエミッション性能やドライバビリティの低下に繋がる燃焼状態の変化を生じさせる最終目標トルクの上昇速度に基づいて、付加減速度やトルク低減量の上昇速度(増加速度)を判定するための判定閾値を設定するのがよい。
1 吸気通路
5 ターボ過給機
5a コンプレッサ
5b タービン
5c フラップ
20 燃料噴射弁
41 排気通路
43 高圧EGR装置
48 低圧EGR装置
60 PCM
61 基本目標トルク決定部
63 トルク低減量決定部
65 最終目標トルク決定部
67 トルク変化フィルタ
69 エンジン制御部
71 燃焼状態判定部
73 最終目標トルク補正部
200 エンジンシステム
E エンジン

Claims (6)

  1. 車両の運転状態に基づきエンジンを制御するエンジンの制御装置であって、
    アクセルペダルの操作を含む車両の運転状態に基づき基本目標トルクを決定する基本目標トルク決定手段と、
    車両のステアリング操作に基づき、上記基本目標トルクを低下させるためのトルク低減量を決定するトルク低減量決定手段であって、このトルク低減量決定手段は、上記ステアリング操作が変化したときに上記トルク低減量を増加させ、この後に上記トルク低減量を0に向けて低下させる、上記トルク低減量決定手段と、
    上記基本目標トルクと上記トルク低減量とに基づき最終目標トルクを決定する最終目標トルク決定手段と、
    上記最終目標トルクを出力させるように上記エンジンを制御するエンジン制御手段と、
    を有し、
    更に、
    上記トルク低減量決定手段によってトルク低減量が低下されて、上記最終目標トルク決定手段によって決定された最終目標トルクが上昇するときに、この最終目標トルクの上昇速度が予め定めた判定閾値を超えるか否かに応じて、この最終目標トルクの上昇に伴う気筒内の燃焼状態の変化を判定する燃焼状態判定手段と、
    上記最終目標トルクの上昇速度が上記判定閾値を超えることで、上記燃焼状態判定手段によって上記燃焼状態の変化が大きいと判定された場合に、上記最終目標トルクの上昇速度を上記判定閾値以下に制限するように、上記最終目標トルクを補正する最終目標トルク補正手段と、
    を有することを特徴とするエンジンの制御装置。
  2. 上記判定閾値は、ステアリングを切り込んだ後に切り戻す操作が所定の操舵速度以上で行われたときに上記トルク低減量決定手段によって決定された上記トルク低減量を適用した上記最終目標トルクの上昇速度に基づき設定される、請求項に記載のエンジンの制御装置。
  3. 上記判定閾値は、上記トルク低減量決定手段によってステアリング操作に応じて決定された上記トルク低減量を上記最終目標トルクに適用している間にアクセルペダルを所定の開度以上踏み込む操作が行われた場合の、このアクセルペダル操作に応じた最終目標トルクの上昇速度に基づき設定される、請求項に記載のエンジンの制御装置。
  4. 上記トルク低減量決定手段は、車両の操舵速度が増大するほど、上記トルク低減量を増大させ且つこの増大量の増加割合を低減するように、上記トルク低減量を決定する、請求項乃至のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。
  5. 上記基本目標トルク決定手段は、上記アクセルペダルの操作を含む車両の運転状態に基づき車両の目標加速度を決定し、その目標加速度に基づき上記基本目標トルクを決定する、請求項1乃至のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。
  6. 上記エンジンの制御装置は、気筒内に燃料を噴射する燃料噴射装置を備えたディーゼルエンジンの制御装置であり、
    上記エンジン制御手段は、上記最終目標トルクを上記ディーゼルエンジンに出力させるように上記燃料噴射装置の燃料噴射量を制御する、請求項1乃至のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。
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