(第1実施形態)
本発明の好適な実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。図1は部品実装システム10の概略説明図、図2は、部品実装機11の電気的な接続関係を表すブロック図、図3は、実装ヘッド24及びカメラユニット60の説明図である。なお、本実施形態において、左右方向(X軸)、前後方向(Y軸)及び上下方向(Z軸)は、図1に示した通りとする。この第1実施形態では、実装ヘッド24自体に複数の基準マーク(第1基準マーク51及び第2基準マーク52)を配設した態様を説明する。
部品実装システム10は、部品実装機11と、管理コンピュータ80とを備えている。部品実装システム10は、電子部品(以下「部品P」という)を基板16に実装する実装処理をそれぞれ実施する複数の部品実装機11が上流から下流に配置されている。図1では、説明の便宜のため部品実装機11を1台のみ示している。なお、実装処理とは、部品を基板上に配置、装着、挿入、接合、接着する処理などを含む。部品実装機11は、図1に示すように、基台13と、基台13の上に設置された実装機本体14と、実装機本体14に装着されたリールユニット38とを備えている。基台13は、直方体に形成された重量物であり、裏面の四隅には図示しないキャスタが取り付けられている。
実装機本体14は、基台13に対して交換可能に設置されている。この実装機本体14は、基板16を搬送する基板搬送装置18と、XY平面を移動可能な実装ヘッド24と、実装ヘッド24に取り付けられZ軸へ移動可能な吸着ノズル40と、吸着ノズル40に吸着された部品を撮像するカメラユニット60と、実装ヘッド24に取り付け可能な複数種類の吸着ノズルをストックするノズルストッカ44と、各種制御を実行する制御装置70(図2参照)とを備えている。この実装機本体14に配設されている基板搬送装置18、X軸スライダ26、Y軸スライダ30、実装ヘッド24及びカメラユニット60などにより、実装処理部12が構成されている。
基板搬送装置18は、図1の前後に間隔を開けて設けられ左右方向に延びる支持板20,20と、両支持板20,20の互いに対向する面に設けられたコンベアベルト22,22(図1では片方のみ図示)とを備えている。コンベアベルト22,22は、支持板20,20の左右に設けられた駆動輪及び従動輪に無端状となるように架け渡されている。基板16は、一対のコンベアベルト22,22の上面に乗せられて左から右へと搬送される。この基板16は、裏面側に多数立設された支持ピン23によって支持されている。
実装ヘッド24は、部品Pを保持(吸着)し基板16上へ移動させるものであり、X軸スライダ26の前面に取り付けられている。X軸スライダ26は、前後方向にスライド可能なY軸スライダ30の前面に、左右方向にスライド可能となるように取り付けられている。Y軸スライダ30は、前後方向に延びる左右一対のガイドレール32,32にスライド可能に取り付けられている。なお、ガイドレール32,32は、部品実装機11の内部に固定されている。Y軸スライダ30の前面には、左右方向に延びる上下一対のガイドレール28,28が設けられ、このガイドレール28,28にX軸スライダ26が左右方向にスライド可能に取り付けられている。実装ヘッド24は、X軸スライダ26が左右方向に移動するのに伴って左右方向に移動し、Y軸スライダ30が前後方向に移動するのに伴って前後方向に移動する。なお、各スライダ26,30は、それぞれ駆動モータにより駆動される。また、実装ヘッド24は、Z軸モーター34を内蔵し、Z軸に沿って延びるボールネジ36に取り付けられたノズル保持体42と一体化された吸着ノズル40の高さをZ軸モーター34によって調整する。
実装ヘッド24は、図3に示すように、吸着ノズル40を複数装着するノズル保持体42と、吸着された部品Pの位置の基準とする第1基準マーク51と、吸着された部品Pの位置の基準とする第2基準マーク52とを備えている。また、実装ヘッド24は、第1基準マーク51を装着及び取り外し可能である第1装着部54と、第2基準マーク52を装着及び取り外し可能である第2装着部56と、を備えている。第1装着部54は、ノズル保持体42の交換に支障のない実装ヘッド24の角部、即ち、カメラユニット60の撮像範囲の一端側に配設されている(後述図5参照)。また、第2装着部56は、ノズル保持体42の交換に支障のない、第1装着部54に対して対角の実装ヘッド24の角部、即ち、カメラユニット60の撮像範囲の他端側に配設されている。第1基準マーク51には、円盤状のマーク部材51aが円周上に並んで4つ配設されている。また、第2基準マーク52には、円盤状のマーク部材52aが円周上に並んで4つ配設されている。このマーク部材52aは、マーク部材51aとは光学的特性が異なっている。即ち、実装処理部12は、第1基準マーク51と、少なくとも第1基準マーク51とは光学的特性の異なる第2基準マークとを備えている。ここでは、マーク部材52aは、光学的特性として、反射率及び色がマーク部材51aと異なるものとする。例えば、マーク部材51aは、カメラユニット60に撮像される撮像面51bを含め反射率が比較的高く白色である。一方、マーク部材52aは、カメラユニット60に撮像される撮像面52bを含め反射率が比較的低く無彩色(灰色)である。この撮像面51b,52bは、吸着ノズル40よりも高い位置に配設されており、吸着ノズル40に吸着された部品P及び基板16に既に実装されている部品との干渉が防止されている。第1基準マーク51や第2基準マーク52は、作業者の手作業により、第1装着部54や第2装着部56に装着され、又は第1装着部54や第2装着部56から取り外される。このように、実装処理部12では、第1基準マーク51及び第2基準マーク52を備えることにより、吸着ノズル40に吸着された部品Pを撮像する際に照明の明るさが変わった場合に、これらを使い分けて使用することができるように構成されている。
吸着ノズル40は、圧力を利用して、ノズル先端に部品を吸着したり、ノズル先端に吸着している部品を離したりするものである。この吸着ノズル40は、図2に示すように、電磁弁46を介して真空ポンプ47及びエア配管48のいずれか一方に接続される。吸着ノズル40に部品を吸着するには、真空ポンプ47と吸着ノズル40とが連通するように電磁弁46を位置決めする。これにより、吸着ノズル40の内部は負圧になり、部品が吸着ノズル40の先端に吸着される。一方、部品を吸着ノズル40から外すには、エア配管48と吸着ノズル40とが連通するように電磁弁46を位置決めする。これにより、吸着ノズル40の内部は正圧になり、吸着ノズル40の先端に吸着された部品が外れる。吸着ノズル40は、図示しないモータを駆動源とする回転装置によって回転(自転)し、吸着ノズル40によって吸着した部品の角度を調整可能となっている。
リールユニット38は、複数のリールを備え、実装機本体14の前側に着脱可能に取り付けられている。各リールには、テープが巻き付けられ、テープの表面には、部品が長手方向に沿って保持されている。これらの部品は、テープの表面を覆うフィルムによって保護されている。こうしたテープは、リールから後方に向かって巻きほどかれ、フィーダ部においてフィルムが剥がされて部品が露出した状態で、実装ヘッド24により吸着される取出位置に送り出される。
ノズルストッカ44は、複数種類の吸着ノズル40をストックするボックスである。吸着ノズル40は、実装ヘッド24のノズル保持体42に取り外し可能に装着されており、部品を実装する基板16の種類や部品の種類に適したものに交換される。
カメラユニット60は、実装ヘッド24に吸着された部品Pと実装ヘッド24が有する第1基準マーク51及び第2基準マーク52とを撮像するユニットであり、基板搬送装置18の前側の支持板20の前方に配置されている。このカメラユニット60の撮像範囲は、カメラユニット60の上方である。カメラユニット60は、上方に光を照射し実装ヘッド24に保持された部品Pに対して複数の照明状態で光を照射可能な照明部61と、照明部61を制御する照明制御部62とを備えている。カメラユニット60は、受光により電荷を発生させ発生した電荷を出力する撮像素子63と、入力された電荷に基づいて画像データを生成する画像処理部64とを備えている。また、カメラユニット60は、照明部61と撮像素子63との間に配設されたメインレンズ65と、第1基準マーク51及び第2基準マーク52の撮像に用いられるサブレンズ66とを備えている。照明部61は、例えば、上、中、下段に配設されたランプ、及び図示しない落射ランプを有し、吸着ノズル40に吸着された部品Pへ照射される光の明るさ(光量)、光の波長及び光の照射位置などを調整可能な光源である。照明部61は、上段のランプを点灯すると側方から光を照射し、下段のランプを点灯すると側方且つ下方から光を照射し、落射ランプを点灯すると下方から光を照射する。照明制御部62は、実装ヘッド24の吸着ノズル40に吸着された部品Pに応じた照明状態になるように照明部61を制御するコントローラである。撮像素子63は、CCDとしてもよいし、CMOSとしてもよい。メインレンズ65は、吸着された部品Pに焦点位置が合うように焦点距離が設定されており、凸レンズ及び凹レンズの組み合わせとしてもよい。サブレンズ66は、撮像面51b,52bに焦点位置が合うように焦点距離が設定されており、撮像面51b,52bと吸着部品との焦点距離の差を吸収するレンズである。カメラユニット60は、部品Pを吸着した吸着ノズル40がカメラユニット60の上方を通過する際、吸着ノズル40に吸着された部品P、第1基準マーク51及び第2基準マーク52を撮像し、撮像結果を制御装置70へ出力する。
制御装置70は、図2に示すように、CPU71を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、処理プログラムを記憶するROM72、各種データを記憶するHDD73、作業領域として用いられるRAM74、外部装置と電気信号のやり取りを行うための入出力インタフェース75などを備えており、これらはバス76を介して接続されている。この制御装置70は、基板搬送装置18、X軸スライダ26やY軸スライダ30の駆動モータ、実装ヘッド24のZ軸モータ34及び電磁弁46へ駆動信号を出力し、カメラユニット60からの画像信号を入力する。また、制御装置70は、リールユニット38や管理コンピュータ80と双方向通信可能に接続されている。なお、各スライダ26,30には図示しない位置センサが装備されており、制御装置70はそれらの位置センサからの位置情報を入力しつつ、各スライダ26,30の駆動モータを制御する。
この制御装置70は、機能ブロックとしての実装制御部77、検出部78及び判定部79を備えている。実装制御部77は、各部品のサイズや配置位置などの条件を含む実装条件情報に基づいて部品を実装する処理を実行する。実装条件情報は、例えば、部品の形状、サイズ、基板16における配置位置のほか、部品Pの光の反射率や色などの情報が含まれており、管理コンピュータ80で管理されている。また、実装制御部77は、吸着ノズル40やノズル保持体42などの装着及び取り外しを実行する。検出部78は、部品を装着していないときの実装ヘッド24の画像をリファレンスとし、部品Pの中心位置と吸着ノズル40の中心位置との差により吸着ノズル40に吸着された部品Pのずれ量や吸着角度を検出する処理を実行する。また、検出部78は、撮像画像に基づいて部品Pの実装ヘッド24での吸着状態の良否を検出する。判定部79は、検出したずれ量が予め経験的に定められた閾値よりも大きいか否か、あるいは、部品の形状が基準値よりも異なるか否かに基づいて、その吸着した部品を実装処理に用いるか否かを判定する処理を実行する。
管理コンピュータ80は、複数の部品実装機11の情報を管理するコンピュータであり、CPU、ROM及びRAMなどにより構成され装置全体の制御を司るコントローラーと、部品実装機11など外部機器と通信を行う通信部と、各種アプリケーションプログラムや各種データファイルを記憶する記憶部とを備える。また、管理コンピュータ80は、作業者が各種指令を入力するキーボード及びマウス等の入力デバイス82と、各種情報を表示するディスプレイ77と、を備えている。管理コンピュータ80は、記憶部に実装条件情報が記憶されており、部品実装機11からの依頼などに応じて部品実装機11へ実装条件情報を送信する。
次に、こうして構成された本実施形態の部品実装機11の動作、例えば、吸着ノズル40に吸着した部品Pを撮像しつつ基板16に配置する実装処理について説明する。図7は、制御装置70のCPU71により実行される実装処理ルーチンの一例を表すフローチャートである。このルーチンは、制御装置70のHDD73に記憶され、作業者による開始指示により実行される。このルーチンは、例えば、制御装置70の各機能ブロックである実装制御部77、検出部78及び判定部79の機能や、各ユニットを利用してCPU71が実行するものとする。なお、このルーチンでは、説明の便宜のため、吸着ノズル40に吸着した部品Pのずれ量の検出について主として説明する。このルーチンが開始されると、制御装置70のCPU71は、まず、実装条件情報を管理コンピュータ80から取得し、HDD73に記憶させる(ステップS100)。
次に、CPU71は、実装ヘッド24にノズル保持体42を装着すると共に、吸着ノズル40をノズル保持体42に装着し、部品Pを吸着していない実装ヘッド24をカメラユニット60により撮像し、これをリファレンス画像として取得する(ステップS110)。図5は、実装ヘッド24、第1基準マーク51及び第2基準マーク52の説明図である。なお、図5〜7は、カメラユニット60側から実装ヘッド24を見た説明図である。図5に示すように、ノズル保持体42は、吸着ノズル40a〜40dの4つのノズルを装着するものとして説明する。なお、ノズル保持体42は、1以上の吸着ノズル40を装着可能であればよい。ステップS110では、CPU71は、リファレンス画像を撮像するのに適した照明部61の照明状態で撮像を行う。撮像されたリファレンス画像は、図5に示すものと同様になるが、この画像から第1基準マーク51、第2基準マーク52、吸着ノズル40a〜40dの中心位置及びその距離(位置関係)を把握することができる。
次に、CPU71は、基板16の搬送及び固定処理を実行し(ステップS120)、実装条件情報の内容に基づいて基板16上に実装する部品Pを設定し、部品Pの情報を取得する(ステップS130)。部品Pの実装順番は、予め定められたものが実装条件情報に格納されているものとする。また、ここでは、部品Pの反射率などの色の情報を取得するものとする0。続いて、CPU71は、設定された部品Pの吸着及び移動処理を行う(ステップS140)。吸着処理では、CPU71は、該当する部品が収納されているリールユニット38の取出位置まで実装ヘッド24を移動し、吸着ノズル40を下降して吸着ノズル40に部品Pを吸着させる処理を行う。この吸着処理では、1以上の部品を吸着ノズル40a〜40dに吸着するものとしてもよい。また、移動処理では、CPU71は、部品Pを吸着した実装ヘッド24をカメラユニット60の上方を通過させて、基板16の実装位置まで移動する処理を行う。なお、この移動処理では、CPU71は、部品Pの反射率など撮像のしにくさに応じて、カメラユニット60の上方で実装ヘッド24を一旦停止させてもよい。
続いて、CPU71は、部品Pの反射率が第1基準範囲であるか第1基準範囲を下回る第2基準範囲であるかを判定する(ステップS150)。この部品実装機11は、部品Pの撮像面の反射率に応じて、明るい部品(第1基準範囲内)では第1基準マーク51を用い、暗い部品(第2基準範囲内)では第2基準マーク52を用いて部品Pのずれ量などを検出するように経験的に設定されているものとする。なお、それぞれの部品に適する基準マークを対応づけておき、それを読み出すことによりこのステップS150の処理に代えてもよい。部品Pの反射率が第1基準範囲であると判定されたときには、CPU71は、それに応じた照明状態で部品及び第1基準マーク51を撮像し(ステップS160)、第1基準マーク51を利用して吸着部品のずれ量を検出する(ステップS170)。図6は、反射率の高い部品P1のずれ検出の説明図である。なお、図6、7では、反射率の高い(明るい)吸着部品P1,P2が吸着ノズル40a,40bに吸着され、反射率の低い(暗い)吸着部品P3,P4が吸着ノズル40c,40dに吸着されているものとする。例えば、反射率の高い部品P1では、CPU71は、比較的暗い照明状態で撮像するものとし、このとき、第1基準マーク51と吸着ノズル40との関係を利用して吸着部品P1のずれ量を検出する。ずれ量の検出は以下のように行うことができる。例えば、CPU71は、撮像画像から第1基準マーク51及び吸着部品P1の中心位置を検出する。次に、リファレンス画像の第1基準マーク51の中心位置と撮像画像の第1基準マーク51の中心位置とを合わせ、このときの吸着ノズル40aの中心位置と撮像画像の吸着部品P1の中心位置とのずれをX軸、Y軸の座標値の差として求め、この差をずれ量とする。このようにして、吸着部品P1のノズル中心からのずれ量を求めることができる。
一方、ステップS150で部品Pの反射率が第2基準範囲であると判定されたときには、CPU71は、それに応じた照明状態で部品及び第2基準マーク52を撮像し(ステップS180)、第2基準マーク52を利用して吸着部品のずれ量を検出する(ステップS190)。図7は、反射率の低い部品P3のずれ量検出の説明図である。例えば、反射率の低い部品P3では、CPU71は、比較的明るい照明状態で撮像するものとし、このとき、第2基準マーク52と吸着ノズル40との関係を利用して吸着部品P3のずれ量を検出する。第2基準マーク52と吸着ノズル40との関係を利用して吸着部品のずれ量を検出する処理は、上述したステップS170と同様の処理により行うことができる。ここで、ステップS160〜S190の処理について説明する。例えば、カメラユニット60が、明るい照明状態で吸着部品を撮像すると、反射率の高い第1基準マーク51では、明るくなりすぎることにより、マーク部材の認識ができなかったり、認識はできてもマーク位置が不正確となることがある(図7参照)。また、カメラユニット60が、暗い照明状態で吸着部品を撮像すると、反射率の低い第2基準マーク52では、暗くなりすぎることにより、マーク部材の認識ができなかったり、認識はできてもマーク位置が不正確となることがある。この部品実装機11では、吸着された部品を撮像する照明状態に合わせて、反射率の異なる基準マークを使い分けることにより、高精度な基準位置を得ることができるのである。
ステップS190のあと、又は、ステップS170のあと、CPU71は、吸着された部品をすべて撮像したか否か、即ちすべての吸着部品のずれ量を検出したか否かを判定する(ステップS200)。吸着部品をすべて撮像していないときには、CPU71は、ステップS150以降の処理を繰り返し実行し、吸着部品をすべて撮像したときには、検出したずれ量を補正した位置に部品Pを実装(配置)する処理を実行する(ステップS210)。続いて、CPU71は、現基板の部品実装機11による実装処理が完了したか否かを判定し(ステップS220)、現基板の実装処理が完了していないときには、ステップS130以降の処理を実行する。即ち、CPU71は、次に実装する部品を設定して吸着ノズル40に吸着させ、部品の反射率に応じた照明状態で吸着部品を撮像し、第1基準マーク51又は第2基準マーク52を利用して吸着部品のずれ量を検出し、このずれ量を補正して基板16に部品を実装する処理を行う。一方、現基板の実装処理が完了したときには、CPU71は、実装完了した基板16の排出処理を行い(ステップS230)、生産完了したか否かをすべての基板16に対して実装処理を行ったか否かに基づいて判定する(ステップS240)。すべての基板16に対して実装処理を行っていないときには、CPU71は、ステップS120以降の処理を繰り返し実行し、すべての基板16に対して実装処理を行ったときには、そのままこのルーチンを終了する。
以上説明した第1実施形態の部品実装機11によれば、実装ヘッド24に吸着された部品と、第1基準マーク51と、少なくとも第1基準マーク51とは光学的特性の異なる第2基準マーク52とを撮像する。例えば、部品によっては、その照明条件などを変更して撮像する場合があるが、ここでは、光学的特性の異なる複数の基準マークを備えるから、部品により適した基準マークを用いて部品を撮像可能である。また、この撮像画像を用いて、実装ヘッド24に吸着された部品と基準マークとの相対位置をより正確に検出することができる。したがって、吸着された部品の位置ずれの検出精度をより高めることができる。
また、第2基準マーク52は、第1基準マーク51に対して、光学的特性として、反射率及び色が異なるため、部品の反射率などに応じて、より適した基準マークを選択することができる。更に、実装ヘッド24は、第1基準マーク51及び第2基準マーク52を装着及び取外し可能である第1装着部54及び第2装着部56を備えているため、基準マークを取り替えることにより、保持された部品の位置ずれの検出精度を比較的容易により高めることができる。更にまた、実装ヘッド24は、カメラユニット60の撮像範囲の一端側に第1基準マーク51が配設され、撮像範囲の他端側(実装ヘッド24の対角側)に第2基準マーク52が配設されているため、実装処理の妨げを防止しつつ部品の位置ずれの検出精度をより高めることができる。そしてまた、吸着部品に対して複数の照明状態で光を照射可能な照明部61と、照明部61を制御する照明制御部62とを有しているため、照明状態に応じた基準マークを用いることにより、部品の位置ずれの検出精度をより高めることができる。そして更に、撮像画像に含まれる部品の画像と、第1及び第2基準マークのうち少なくとも一方の画像の位置に基づいて、実装ヘッド24に吸着された部品の位置ずれ量を検出するため、より確実な実装処理を実行することができる。
(第2実施形態)
次に、吸着ノズルの代わりに基準マークをノズル保持体42に装着する態様について説明する。図8は、実装処理部12B及びカメラユニット60Bを備えた別の部品実装機11Bの概略説明図である。図9は、部品実装機11Bが実行する別の実装処理ルーチンの一例を表すフローチャートである。図10は、第1基準マーク51B及び第2基準マーク52Bの切替の説明図であり、図10(a)は第1基準マーク51Bを装着した図、図10(b)は、第2基準マーク52Bを装着した図である。図11は、反射率の高い部品P1及び反射率の低い部品P3のずれ量検出の説明図であり、図11(a)は反射率の高い部品P1のずれ量検出の図、図11(b)は、反射率の低い部品P3のずれ量検出の図である。なお、上述した第1実施形態と同様の構成及び処理ステップについては、同じ符号及び同じステップ番号を付し、その説明を省略する。
部品実装機11Bの実装処理部12Bは、図8に示すように、部品を吸着する2以上の吸着ノズル40を装着及び取外し可能であり、第1基準マーク51B及び第2基準マーク52B(図10参照)を装着及び取外し可能である装着部54Bを備えたノズル保持体42を実装ヘッド24に装着している。第1基準マーク51B及び第2基準マーク52Bは、装着先がノズル保持体42である以外は上述した第1基準マーク51及び第2基準マーク52と同様であるため、その説明を省略する。なお、第1基準マーク51B及び第2基準マーク52Bの撮像面は、吸着ノズル40に吸着される部品の撮像面とほぼ同じ高さになっている。また、第1基準マーク51B及び第2基準マーク52Bは、不使用時にはノズルストッカ44(図1参照)にストックされる。カメラユニット60Bは、サブレンズ66を備えていない以外は、カメラユニット60と同様である。
次に、このように構成された部品実装機11Bの動作、例えば、吸着ノズル40に吸着した部品Pを撮像しつつ基板16に配置する実装処理について説明する。図9の実装処理ルーチンは、制御装置70のHDD73に記憶され、作業者による開始指示により実行される。このルーチンは、例えば、制御装置70の各機能ブロックや各ユニットを利用してCPU71が実行する。このルーチンが開始されると、CPU71は、ステップS100で実装条件情報を管理コンピュータ80から取得し、リファレンス画像を取得する(ステップS300)。リファレンス画像の取得は、例えば、図10に示すように、同じ装着部54Bに第1基準マーク51B及び第2基準マーク52Bを切り替えて装着し、それぞれ画像を撮像することにより行うものとしてもよい。こうすれば、部品Pを吸着する吸着ノズル40の装着数が減るのを防止することができる。なお、各基準マークは、ノズル保持体42に装着された際に、軸回転してその角度がずれることがあるが、例えば、回転規制面を各基準マーク及び装着部に形成することにより、この角度ずれを防止してもよい。あるいは、装着部54の回転機構により、基準マークを軸回転させることにより、この角度ずれを補正するものとしてもよい。
次に、CPU71は、ステップS120で基板16の搬送及び固定処理を行い、ステップS130で吸着部品を設定すると共にその情報を取得する。続いて、CPU71は、ステップS150の判定を行い、部品Pの反射率が第1基準範囲であると判定されたときには、第1基準マーク51Bを実装ヘッド24の装着部54Bに装着する処理を実行する(ステップS310)。この処理は実装制御部77が実行するものとする。次に、ステップS140で部品Pの吸着及び移動処理を行い、ステップS160で、部品Pに応じた照明状態で部品及び第1基準マーク51Bを撮像し、第1基準マーク51Bを利用して吸着部品のずれ量を検出する(ステップS320)。図11(a)は、反射率の高い部品P1のずれ検出の説明図である。なお、図11では、反射率の高い(明るい)吸着部品P1,P2が吸着ノズル40a,40bに吸着され、反射率の低い(暗い)吸着部品P3が吸着ノズル40cに吸着され、装着部54Bに基準マークが装着されるものとする。例えば、反射率の高い部品P1では、CPU71は、比較的暗い照明状態で撮像するものとし、このとき、第1基準マーク51Bと吸着ノズル40との関係を利用して吸着部品P1のずれ量を検出する。ずれ量の検出は、上述した第1実施形態と同様の方法で行うことができる。
一方、ステップS150で部品Pの反射率が第2基準範囲であると判定されたときには、CPU71は、第2基準マーク52Bを実装ヘッド24の装着部54Bに装着する処理を実行する(ステップS330)。次に、ステップS340でステップS140と同様の部品Pの吸着及び移動処理を行い、ステップS180で、部品Pに応じた照明状態で部品及び第2基準マーク52Bを撮像し、第2基準マーク52Bを利用して吸着部品のずれ量を検出する(ステップS350)。図11(b)は、反射率の低い部品P3のずれ量検出の説明図である。例えば、反射率の低い部品P3では、比較的明るい照明状態で撮像するものとし、このとき、第2基準マーク52Bと吸着ノズル40との関係を利用して吸着部品P3のずれ量を検出する。そして、ステップS350のあと、又は、ステップS320のあと、CPU71は、ステップS200〜S240の処理を実行し、このルーチンを終了する。
以上説明した第2実施形態の部品実装機11Bによれば、実装ヘッド24に吸着された部品と、第1基準マーク51B、又は少なくとも第1基準マーク51Bとは光学的特性の異なる第2基準マーク52Bを撮像する。このため、上述した第1実施形態と同様に、光学的特性の異なる複数の基準マークを用いることにより、実装ヘッド24に吸着された部品と基準マークとの相対位置をより正確に検出することができる。したがって、吸着された部品の位置ずれの検出精度をより高めることができる。また、吸着ノズル40に代えて第1基準マーク51B及び第2基準マーク52Bのうちいずれか1以上の基準マークを装着可能であるため、比較的汎用的な構成で、部品の位置ずれの検出精度をより高めることができる。更に、制御装置70が第1基準マーク51B及び第2基準マーク52Bのうち1以上を実装ヘッド24の装着部54Bに装着させるため、自動的な処理により、部品の位置ずれの検出精度をより高めることができる。更にまた、実装ヘッド24に吸着される部品に応じて第1基準マーク51B及び第2基準マーク52Bのうちいずれか1つを実装ヘッド24に装着するため、部品を実装する処理の効率低下をより防止しつつ、部品の位置ずれの検出精度をより高めることができる。そしてまた、各基準マークは、吸着ノズル40が装着される装着部に装着されるため、吸着された部品の撮像面と基準マークの撮像面とをほぼ同じ高さにすることができる。このため、サブレンズ66などの構成を省略することができる。
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の実装ヘッド24が本発明の実装ヘッドに相当し、実装処理部12,12Bが実装処理部に相当し、カメラユニット60が撮像部に相当し、第1装着部54、第2装着部56及び装着部54Bが装着部に相当し、実装制御部77が装着制御部に相当する。また、第1基準マーク51,51Bが第1基準マークに相当し、第2基準マーク52,52Bが第2基準マークに相当する。また、照明部61が照明部に相当し、照明制御部62が照明制御部に相当し、検出部78が検出手段に相当する。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、光学的特性の異なる2つの基準マークを用いるものとしたが、特にこれに限定されず、例えば、部品Pの撮像条件に応じて3以上の基準マークを用いるものとしてもよい。例えば、部品実装機は、光学的特性の異なる第3基準マークや第4基準マークなどを備えるものとしてもよい。こうしても、実装ヘッド24に吸着された部品と基準マークとの相対位置をより正確に検出することができ、吸着された部品の位置ずれの検出精度をより高めることができる。
上述した実施形態では、第1基準マーク51及び第2基準マーク52は、反射率及び色が異なるものとしたが、光学的特性が異なるものとすれば、特にこれに限定されず、例えば、光学的特性として、反射率、輝度、色及び撮像される撮像面の角度のうち1以上が異なるものとしてもよい。更に、部品実装機は、これらのうち2以上を組み合わせた光学的特性の異なる基準マークを用いるものとしてもよい。図12は、別の基準マーク(マーク部材)の説明図であり、図12(a)が基準マーク51Cの説明図、図12(b)が基準マーク51Dの説明図である。例えば、図12に示すように、基準マーク51Cでは、外周に形成されたテーパ面51cを撮像面として有している。この基準マーク51Cでは、側方からの照明に対して、下方に配置された撮像素子63が撮像すると、リング状に明るい画像を得ることができる。あるいは、基準マーク51Dでは、内周側にくぼんで形成されたテーパ面51dを撮像面として有している。この基準マーク51Dでは、側方且つ下方からの照明に対して、下方に配置された撮像素子63が撮像すると、リング状の画像を得ることができる。このように、基準マーク51C,Dなど、撮像面の角度を変更した基準マークは、部品に応じて照明の角度を変える場合などに、部品の撮像条件に適したものとすることができる。
上述した実施形態では、実装ヘッド24に部品Pを吸着させるものとしたが、実装ヘッド24に部品Pを保持するものとすれば、吸着するものに限定されない。例えば、実装ヘッド24は、把持部に部品Pを引っかけて保持させるものとしてもよい。
上述した第1実施形態では、第1装着部54及び第2装着部56により、装着、取り外し可能に第1基準マーク51及び第2基準マーク52を配設するものとしたが、特にこれに限定されず、第1基準マーク及び第2基準マークは、実装ヘッド24に固定されているものとしてもよい。こうすれば、固定位置から基準マークのずれがないため、吸着された部品の位置ずれの検出精度を更に高めることができる。
上述した第1実施形態では、第1基準マーク51及び第2基準マーク52を作業者の手作業により交換するものとしたが、特にこれに限定されない。例えば、1以上の基準マークをストッカにストックしておき、吸着ノズル40をノズル保持体42へ装着するのと同様に、実装ヘッド24を移動して基準マークを装着部へ自動で装着、取り外しを行うものとしてもよい。また、上述した第1実施形態では、装着部を2つ備え、基準マークを2つ配設するものとしたが、例えば、装着部を1つのみ備えるものとし、1以上の基準マークを装着、取り外しを行うものとしてもよい。このとき、上記のように基準マークを自動で交換するものとしてもよい。
上述した第1実施形態では、第1装着部54及び第2装着部56が対角上に配置され、撮像範囲の一端側と他端側とに基準マークを配設するものとしたが、特にこれに限定されず、対角上ではなく、撮像範囲の一辺の一端側と他端側とに配設されるものとしてもよい。あるいは、基準マークは、その配設される位置は任意であり、例えば、ノズル保持体42の中央に配設されていてもよい。なお、基準マークは、実装処理の妨げにならない領域に配設することが望ましい。
上述した第2実施形態では、1カ所の装着部54Bに複数の基準マークを切り替えて装着するものとしたが、特にこれに限定されず、複数の装着部にそれぞれ第1基準マーク51B、第2基準マーク52Bをそれぞれ装着するものとしてもよい。こうしても、部品の吸着数は減少するが、基準マークの取替処理の頻度が低下するため、処理効率の低下を抑制しつつ、部品の位置ずれの検出精度をより高めることができる。
上述した第2実施形態では、基準マークを複数備えるものとしたが、特にこれに限定されず、例えば、基準マークを1つだけ備えるものとしてもよい。即ち、部品を吸着する2以上の吸着ノズルを装着及び取外し可能である装着部をノズル保持体に備え、部品を吸着し基板上へ移動させる実装ヘッドと、実装ヘッドに吸着された部品と実装ヘッドが有する基準マークとを撮像するカメラユニットと、を備える実装処理部を備え、実装処理部は、装着部に装着及び取外し可能である基準マークを備えているものとしてもよい。こうすれば、実装ヘッドの装着部(ノズル保持体)に基準マークを装着することができるため、特別に基準マークを備えない実装装置においても、この基準マークを用いて実装ヘッドに吸着された部品のずれを検出することができる。この実装装置において、基準マークを実装ヘッドの装着部に装着させる装着制御部を備えたものとしてもよい。こうすれば、装着制御部により基準マークを取り替え可能であり、自動的な処理により、部品の位置ずれの検出精度をより高めることができる。このとき、装着制御部は、実装ヘッドに保持される部品に応じて基準マークを実装ヘッドに装着するものとしてもよい。あるいは、作業者が基準マークを実装ヘッドのノズル保持体42に配設された装着部に装着させるものとしてもよい。また、このような実装装置において、カメラユニットは、実装ヘッドに保持された部品に対して複数の照明状態で光を照射可能な照明部と、実装ヘッドに保持された部品に応じた照明状態に照明部を制御する照明制御部とを有しているものとしてもよい。こうすれば、照明状態に応じて部品の位置ずれの検出精度をより高めることができる。また、このような実装装置において、カメラユニットの撮像画像に含まれる部品及び基準マークのうち少なくとも一方の画像に基づいて、実装ヘッドに保持された部品の保持状態を検出する検出手段、を備えたものとしてもよい。