例えば上製本(ハードカバー)では表紙にチリが形成される。したがって、背表紙と中身の地との間にはのどの近辺で段差が形成される。特許文献1に記載のしおりでは、中身の地に薄板本体の短辺が合わせられると、補助薄板が背表紙の下端を回り込まなければならず、薄板本体と補助薄板との間で亀裂が生じやすかった。
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、簡単に書籍に対して位置合わせされることができ、亀裂の発生を防止することができるしおりを提供することを目的とする。
本発明の一態様は、一平面内で広がって、当該一平面内で第1直線に接する一短辺、および、当該一平面内で当該第1直線に直交する第2直線に接する一長辺を規定する一葉の薄板本体と、前記薄板本体の前記一短辺に連続し、前記第2直線から外側に向かって前記第1直線に沿って延び、前記第1直線回りで、前記一平面に沿って広がる面内姿勢から、前記一平面に直交する起立姿勢まで屈折する補助薄板とを備え、前記一長辺には前記薄板本体から前記補助薄板を分断する切り込みが形成されるしおりに関する。
こういったしおりによれば、補助薄板が面内姿勢に位置すると、しおり全体は一平面内で広がる。しおりは書籍に挟まれることができる。しおりはしおり固有の機能を発揮する。その一方で、薄板本体が一長辺で書籍ののどに挟まれ一短辺で中身の地に合わせ込まれ、中身の外側で補助薄板が起立姿勢に位置すると、補助薄板は書籍の背表紙の下端で背表紙から後方に突き出ることができる。作業者が補助薄板を手前に引くと、書籍は棚板その他の表面をスライドする。こうして書籍は簡単に引き出されることができる。
例えば上製本(ハードカバー)では書籍の表紙にチリが形成される。閉じられた書籍では、背表紙と中身の地との間にのどの近辺で段差が形成される。しおりによれば、薄板本体の一長辺が書籍ののどに当てられても、切り込みの働きで補助薄板は薄板本体から離れることから、起立姿勢の補助薄板は緩い曲線を描いて背表紙の下端を回り込むことができる。切り込みなしで補助薄板が一長辺付近から湾曲する場合に比べて、補助薄板と薄板本体との境界で応力集中は回避されることができる。こうして薄板本体と補助薄板との間で亀裂の発生は良好に防止されることができる。
本発明の他の態様は、一平面内で広がって、当該一平面内で第1直線に接する一短辺、および、当該一平面内で当該第1直線に直交する第2直線に接する一長辺を規定する一葉の薄板本体と、前記薄板本体の前記一短辺から連続して前記第2直線に沿って延び、前記第1直線回りで、前記一平面に沿って広がる面内姿勢から、前記一平面に直交する起立姿勢まで屈折する第1補助薄板と、前記第1補助薄板の外側で前記一短辺に交差する第3直線で前記第1補助薄板に連続し、前記第2直線に沿って延び、前記第3直線回りで、前記第1補助薄板を含む平面に沿って広がる面内姿勢から折り重ねられる第2補助薄板とを備えるしおりに関する。
こういったしおりによれば、第1補助薄板および第2補助薄板が面内姿勢に位置すると、しおり全体は一平面内で広がる。しおりは書籍に挟まれることができる。しおりはしおり固有の機能を発揮する。その一方で、薄板本体が一長辺で書籍ののどに挟まれ一短辺で中身の地に合わせ込まれると、第1補助薄板および第2補助薄板は地から外側に突き出る。第1補助薄板が薄板本体に対して起立姿勢に位置し、起立姿勢の第1補助薄板に第2補助薄板が折り重ねられると、第2補助薄板は書籍の背表紙の下端で背表紙から後方に突き出ることができる。作業者が第2補助薄板を手前に引くと、書籍は棚板その他の表面をスライドする。こうして書籍は簡単に引き出されることができる。
例えば上製本(ハードカバー)では書籍の表紙にチリが形成される。閉じられた書籍では、背表紙と中身の地との間にのどの近辺で段差が形成される。しおりによれば、薄板本体の一長辺が書籍ののどに当てられても、第2補助薄板の折り重ねの働きで第1補助薄板に対して第2補助薄板の動きは許容されることから、第2補助薄板は緩い曲線を描いて背表紙の下端を回り込むことができる。薄板本体に連続する第1補助薄板が背表紙から引き出される場合に比べて、第1補助薄板と薄板本体との境界や第2補助薄板と第1補助薄板との境界で応力集中は回避されることができる。こうして薄板本体と第1補助薄板との間や第1補助薄板と第2補助薄板との間で亀裂の発生は良好に防止されることができる。
本発明のさらに他の態様は、書籍と、一平面内で広がって、当該一平面内で前記書籍の地に沿って延びる第1直線に接する一短辺、および、当該一平面内で当該第1直線に直交して前記書籍ののどに沿って延びる第2直線に接する一長辺を規定する一葉の薄板本体と、前記薄板本体の前記一短辺から連続して、前記第1直線回りで、前記一平面に直交する起立姿勢に屈折する第1補助薄板と、前記第1補助薄板の外側で前記一短辺に交差する第3直線で前記第1補助薄板に連続し、前記第3直線回りで、前記第1補助薄板を含む平面に沿って広がる面内姿勢から折り重ねられて前記書籍の背表紙から引き出される第2補助薄板と、前記第2補助薄板から連続し、前記背表紙から離れた位置で前記第2補助薄板から起立し、外向き面に絵柄を有する画薄板とを備える書籍システムに関する。
薄板本体、第1補助薄板、第2補助薄板および画薄板は一平面内に収まってしおりを形成することができる。しおりは書籍に挟まれることができ、しおり固有の機能を発揮する。その一方で、第2補助薄板は書籍の背表紙の下端で背表紙から後方に突き出る。第2補助薄板から画薄板は起立する。その結果、外向き面の絵柄は視認されることができる。絵柄は書籍の収納場所に彩を与えることができる。しかも、作業者が例えば画薄板を手前に引くと、書籍は簡単に引き出されることができる。ここでは、絵柄には画像や写真、柄、模様、文字その他の視覚的表現が含まれる。
例えば上製本(ハードカバー)では書籍の表紙にチリが形成される。閉じられた書籍では、背表紙と中身の地との間にのどの近辺で段差が形成される。薄板本体の一長辺が書籍ののどに当てられても、第2補助薄板の折り重ねの働きで第1補助薄板に対して第2補助薄板の動きは許容されることから、第2補助薄板は緩い曲線を描いて背表紙の下端を回り込むことができる。薄板本体に連続する第1補助薄板が背表紙から引き出される場合に比べて、第1補助薄板と薄板本体との境界や第2補助薄板と第1補助薄板との境界で応力集中は回避されることができる。こうして薄板本体と第1補助薄板との間や第1補助薄板と第2補助薄板との間で亀裂の発生は良好に防止されることができる。
本発明の一態様に係る広告システムは、書籍システムを並べた書棚を備える。こうして書棚には絵柄が並べられる。複数の画薄板で1つの絵柄が構成されてもよく、画薄板ごとの絵柄が繰り返し配置されてもよい。書棚で絵柄は広告効果を発揮することができる。
以上のように本発明によれば、書籍に対して位置合わせされることができ、亀裂の発生を防止することができるしおりは提供される。
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。
図1は第1実施形態に係るしおりの平面図を示す。しおり11は1枚の薄板から形成される。しおり11の素材には紙や樹脂薄板、金属薄板が用いられる。しおり11は薄板本体12を備える。薄板本体12は一平面内で広がる。平面内には相互に平行に延びる第1仮想直線13および第2仮想直線14が規定される。薄板本体12は第1仮想直線13および第2仮想直線14の内側で広がる。ここでは、薄板本体12の輪郭は例えば縦長の長方形に規定される。長方形の一方の長辺(以下「第1長辺」)15aは一平面内で第1仮想直線13に接する。長方形の他方の長辺(以下「第2長辺」)15bは一平面内で第2仮想直線14に接する。長方形の一方の短辺(以下「第1短辺」)16は一平面内で第3仮想直線17に接する。第3仮想直線17は第1仮想直線13および第2仮想直線14に直交する。
薄板本体12には長方形の第1短辺16で補助薄板21が接続される。この補助薄板21は薄板本体12に連続する。すなわち、薄板本体12に一体化される。補助薄板21は第1仮想直線13および第2仮想直線14の間の領域から第1仮想直線13の外側に向かって第3仮想直線17に沿って延びる。ここでは、補助薄板21の輪郭は横長の長方形に規定される。長方形の一方の短辺(以下「第1短辺」)22は薄板本体12の第2長辺15bに連続する。すなわち、補助薄板21の第1短辺22と薄板本体12の第2長辺15bとは第2仮想直線14上に規定される。ただし、補助薄板21の第1短辺22と薄板本体12の第2長辺15bとは必ずしも1直線上に規定される必要はない。補助薄板21は第3仮想直線17に直交する方向に所定の幅Wを有する。補助薄板21の幅Wは、想定される書籍の厚みよりも小さく設定される。補助薄板21の長辺の長さLは薄板本体12の短辺の長さSの2倍に設定されることが望まれる。
薄板本体12の第1短辺16に沿って第3仮想直線17上には第1長辺15aから切り込み23が形成される。切り込み23は薄板本体12と補助薄板21とを分断する。切り込み23には第1長辺15aから遠い一端で小径の円形の開口24が接続される。開口24は切り込み23の成長を防止する役割を果たす。
しおり11の表面で薄板本体12と補助薄板21との境界線上すなわち第3仮想直線17上には第1谷折り線25が規定される。同時に、しおり11の表面で補助薄板21には第1仮想直線13に平行に補助薄板21を横切る第2谷折り線26が規定される。第1谷折り線25は、例えば図2に示されるように、薄板本体12の第1短辺16上に延びる長尺の窪み(例えばV字溝)25aで形成される。こういった窪み25aは例えばしおり11の素材の押し潰しに基づき形成されればよい。第2谷折り線26は、図3に示されるように、第1谷折り線25と同様に長尺の窪み24aで形成される。第2谷折り線26に基づき、補助薄板21は、第1谷折り線25および第2谷折り線26の間に広がる第1板片21aと、第1谷折り線25から遠ざかる方向に第2谷折り線26から広がる第2板片21bとに区分けされる。
図4に示されるように、補助薄板21は薄板本体12に対して第1谷折り線25で屈折することができる。補助薄板21は、第3仮想直線17回りで、薄板本体12の表面を含む仮想平面内で広がる面内姿勢と、当該仮想平面に直交する起立姿勢との間で姿勢を変化させることができる。同様に、補助薄板21の第2板片21bは第1板片21aに対して第2谷折り線26で屈折することができる。ここでは、第2板片21bは、第1仮想直線13の外側で第1仮想直線13に平行な仮想平面内で延びる第4仮想直線27回りで、第1板片21aの表面を含む仮想平面内で広がる面内姿勢と、当該仮想平面から所定の角度αで起立する起立姿勢との間で姿勢を変化させることができる。第2板片21bの起立姿勢の確立にあたって所定の角度αは例えば任意の鋭角に設定されればよい。
次にしおり11の動作を簡単に説明する。まず、補助薄板21は薄板本体12に対して面内姿勢に設定される。同時に、補助薄板21の第2板片21bは第1板片21aに対して面内姿勢に設定される。すなわち、しおり11全体は一平面内で広がる。図5に示されるように、しおり11は書籍31の一頁の表面に置かれる。このとき、薄板本体12の第2長辺15bは書籍31ののど32に当てられる。したがって、補助薄板21の長辺の長さLは書籍31の横幅よりも短く設定されればよい。書籍31が閉じられると、しおり11の機能は実現される。
ここでは、書籍31は上製本(ハードカバー)に構成される。したがって、書籍31の表紙33、33にはチリ34が形成される。チリ34は中身35の地36よりも2〜3mm程度で下に向かって広がる。表側の表紙33と裏側の表紙33とは背表紙37で相互に接続される。その結果、書籍31が閉じられると、背表紙37と中身35の地36との間にはのど32の近辺で段差が形成される。
次に書籍31が書棚に収納される場面を想定する。図6は書棚39の構造を概略的に示す。書棚39は例えば箱形の外枠41を備える。外枠41は1対の側板42a、42bを備える。側板42a、42bは垂直方向すなわち重力方向に直立する。側板42a、42b同士は相互に平行に広がる。ここでは、側板42a、42bは例えば床面から直立する。側板42a、42b同士は、相互に平行に水平方向に広がる上板43および下板44で相互に結合される。こうして側板42a、42b、上板43および下板44の間には直方体の収容空間が区画される。収容空間の背面は背板(図示されず)で閉じられればよい。収容空間には例えば1枚以上の棚板45が例えば取り外し自在に設置される。棚板45は例えば上板43および下板44に平行に広がる。上板43と棚板45との間、棚板45同士の間、および、棚板45と下板44との間には書籍31の収納空間が区画される。個々の収納空間に縦置きの書籍31が水平方向に1列に並べられる。
図7に示されるように、書籍31の収納にあたってしおり11は書籍31の一頁の表面に置かれる。このとき、薄板本体12の第1短辺16は中身35の地36(頁の下端)に合わせ込まれる。同時に、薄板本体12の第1長辺15aは書籍31ののど32に挟み入れられる。中身35の地36とのど32とは相互に直交することから、挟み入れに応じて薄板本体12の第1短辺16は確実に地36に一致することができる。
図8に示されるように、補助薄板21は面内姿勢から起立姿勢に折り曲げられる。こういった折り曲げは、書籍31が閉じられる以前に実施されてもよく、書籍31が閉じられた後に実施されてもよい。書籍31が閉じられると、中身35の地36と背表紙37との間に段差が形成される。段差はチリ34の大きさに相当し例えば2〜3mm程度の高さを有する。このとき、薄板本体12の第1長辺15aがのど32に当てられても、切り込み23の働きで補助薄板21は薄板本体12から離れることから、起立姿勢の補助薄板21は緩い曲線を描いて背表紙37の下端を回り込むことができる。切り込み23なしで補助薄板21が第1長辺15a付近から湾曲する場合に比べて、補助薄板21と薄板本体12との境界で応力集中は著しく抑制されることができる。こうして薄板本体12と補助薄板21との間で亀裂の発生は良好に防止されることができる。
図9に示されるように、補助薄板21の広がりは、表側の表紙33を含む平面、および、裏側の表紙33を含む平面の間の空間に収まる。補助薄板21では第2板片21bは第1板片21aに対して起立姿勢に設定される。書籍31は収納空間に押し込まれる。書籍31は棚板45または下板44の表面に沿ってスライドすればよい。こうして書籍31は書棚39に収納される。書籍31では背表紙37から外側すなわち手前に補助薄板21は突き出る。補助薄板21の第2板片21bは棚板45または下板44の表面から鋭角で起立する。
次に書籍31が書棚39から取り出される場面を想定する。図10に示されるように、補助薄板21は作業者の指先で摘まれる。補助薄板21が手前に引き出されると、書籍31は簡単に棚板45または下板44の表面に沿ってスライドする。背表紙37が手前に倒れることなく書籍31は引き出されることができる。したがって、収納空間の高さHは書籍31の高さに限りなく近づけられることができる。収納空間の高さHは最小値に設定されることができる。上側の棚板45の下面と背表紙37の上端との間には指先の進入を受け入れる空間さえ要求されない。しかも、補助薄板21の第2板片21bは棚板45または下板44の表面から鋭角で起立することから、作業者は簡単に補助薄板21を摘むことができる。書籍31の取り出しは一層簡易化されることができる。
その一方で、書籍31の背表紙37の上端に作業者の引く力が作用する場面を想定する。図10に示されるように、引く力に応じて書籍31の背表紙37は背表紙37の下端回りで手前に倒れる。したがって、収納空間の高さhは書籍31の(表紙33の)対角線の長さに設定されなければならない。上側の棚板45の下面と書籍31の上端との間には余分な空間が要求されてしまう。
表1に示されるように、一般に、書籍31の大きさは統一化される。こういった統一化は書籍31の製作にあたって用紙の無駄の回避に寄与する。表1から明らかなように、書籍31の高さ(縦寸法)で単純に収納空間の高さHが決定されれば、従来のように対角線の長さで収納空間の高さhが決定される場合に比べて、書籍の大きさに応じて2.8[cm]〜6.7[cm]の縮小が見込まれる。その結果、例えばB6判の書籍専用の収納空間であれば、本実施形態に係る収納空間が6段に重ねられると、従来の収納空間が5段に重ねられる場合に比べても書棚39の高さは低く押さえ込まれることができる。従来に比べて書籍の収納密度は確実に高められることができる。
前述のしおり11の製造にあたって、例えば図11に示されるように、1枚の長方形の素材46が用いられることができる。前述のように、補助薄板21の長辺の長さLが薄板本体12の短辺の長さSの2倍に設定されれば、2枚のしおり11は1枚の長方形の素材46から無駄なく切り出されることができる。長方形の素材46は切断線47に沿って切り分けられればよい。ただし、補助薄板21の長辺の長さLは薄板本体12の短辺の長さSの2倍よりも短く設定されてもよい。長方形の素材46はいずれかの方向に連続してもよい。長方形の素材46には裁断と同時に谷折り線25、26が刻まれればよい。
補助薄板21は面内姿勢から起立姿勢に向かって所定の傾斜角で折り癖が付与されることが望まれる。傾斜角は面内姿勢と起立姿勢との間で鋭角を形成すればよい。傾斜角は90度に設定されることが望まれる。こういった折り癖によれば、前述のように書籍31の収納にあたって薄板本体12の第1短辺16が中身35の地36に合わせ込まれると、補助薄板21は自動的に面内姿勢から起立姿勢に変化する。したがって、書籍31の収納にあたって補助薄板21は棚板45または下板44の表面に平行に広がることができる。収納空間に対して書籍31の進入は妨げられない。補助薄板21の突き出しにも拘わらず書籍31の収納作業の手間は軽減される。
図12は第2実施形態に係るしおり11cを示す。このしおり11cでは、薄板本体12の第2長辺15bは例えば波線や曲線で規定される。こういった第2長辺15bによれば、薄板本体12すなわちしおり11cに様々な形状が与えられることができる。しおり11cのデザイン性は向上する。その他、薄板本体12の第2長辺15bには切り欠きその他の模様が刻まれてもよい。その他の構成は前述の第1実施形態と同様である。
図13は第3実施形態に係るしおり11dを示す。このしおり11dでは、薄板本体12の第1長辺15aには切り欠き48が刻まれる。ただし、第1長辺15aは第1仮想直線13と第2仮想直線14との間で規定されることが望まれる。すなわち、第1長辺15aは第1仮想直線13の内側に規定されることが望まれる。しかも、第1長辺15aは少なくとも2点で第1仮想直線13に接することが望まれる。2点間には十分な距離が確保されることが望まれる。こういった第1長辺15aによれば、第1長辺15aと第1短辺16との間で直交関係は確実に維持されることができる。前述のように第1長辺15aが書籍31ののど32に挟み入れられると、挟み入れに応じて第1短辺16は確実に中身35の地36に一致することができる。その他の構成は前述の第1実施形態と同様である。
図14は第4実施形態に係るしおり11fを示す。しおり11fは1枚の薄板から形成される。しおり11の素材には紙や樹脂薄板、金属薄板、その他の材質が用いられる。しおり11fは、しおり11と同様に、薄板本体12を備える。薄板本体12には長方形の第1短辺16で補助薄板51が接続される。補助薄板51は薄板本体12に連続する。補助薄板51は第1仮想直線13に沿って延びる。ここでは、補助薄板51の輪郭は縦長の長方形に規定される。長方形の一方の長辺(以下「第1長辺」)52は薄板本体12の第1長辺15aに連続する。すなわち、補助薄板51の第1長辺52と薄板本体12の第1長辺15aとは第1仮想直線13上に規定される。ただし、補助薄板51の第1長辺52と薄板本体12の第1長辺15aとは必ずしも1直線上に規定される必要はない。補助薄板51は第3仮想直線17に平行な方向に所定の幅Wを有する。補助薄板51の幅Wは、想定される書籍31の厚みよりも小さく設定される。
補助薄板51は第1薄板片(第1補助薄板)53および第2薄板片(第2補助薄板)54で構成される。第1薄板片53は第3仮想直線17で薄板本体12に連続する。第2薄板片54は第4仮想直線55で第1薄板片53に連続する。第4仮想直線55は第1薄板片53の外側で薄板本体12の第1短辺16に交差する。ここでは、第4仮想直線55は補助薄板51の縁および第3仮想直線17に同一点で交差する。第4仮想直線55と第3仮想直線17との交差角βは45度である。しおり11fの表面で薄板本体12と第1薄板片53との境界線上すなわち第3仮想直線17上には谷折り線が規定される。同時に、第1薄板片53と第2薄板片54との境界線上すなわち第4仮想直線55上には山折り線が規定される。谷折り線は第1および第2谷折り線25、26と同様に長尺の窪みで形成されればよい。山折り線は裏側に形成される長尺の窪みで特定されればよい。その他、第3仮想直線17上に山折り線が規定される一方で、第4仮想直線55上で谷折り線が規定されてもよい。あるいは、第3仮想直線17上および第4仮想直線55上にそれぞれ山折り線が規定されてもよく、それぞれ谷折り線が規定されてもよい。
図15に示されるように、第1薄板片53は薄板本体12に対して谷折り線で屈折することができる。第1薄板片53は、第3仮想直線17回りで、薄板本体12の表面を含む仮想平面内で広がる面内姿勢と、当該仮想平面に直交する起立姿勢との間で姿勢を変化させることができる。第2薄板片54は、第4仮想直線55回りで、第1薄板片53を含む平面に沿って広がる面内姿勢から折り返されて第1薄板片53の裏面に重ねられる(折り重ねられる)ことができる。ここでは、第2薄板片54は第1薄板片53の裏面に下方から重ねられるものの、第2薄板片54は第1薄板片53の表面に上方から重ねられてもよい。
こういったしおり11fによれば、第1薄板片53および第2薄板片54が面内姿勢に位置すると、しおり11f全体は一平面内で広がる。しおり11fは書籍31に挟まれることができる。しおり11fはしおり固有の機能を発揮する。その一方で、薄板本体12が第1長辺15aで書籍31ののど32に挟まれ第1短辺16で中身35の地36に合わせ込まれると、第1薄板片53および第2薄板片54は地36から外側に突き出る。第1薄板片53が薄板本体12に対して起立姿勢に位置し、起立姿勢の第1薄板片53に第2薄板片54が折り重ねられると、第2薄板片54は書籍31の背表紙37の下端で背表紙37から後方に突き出ることができる。作業者が第2薄板片54を手前に引くと、書籍31は棚板その他の表面をスライドする。こうして書籍31は簡単に引き出されることができる。
前述と同様に、例えば上製本(ハードカバー)では書籍31の表紙33にチリ34が形成される。閉じられた書籍31では、背表紙37と中身35の地36との間にのど32の近辺で段差が形成される。しおり11fによれば、薄板本体12の第1長辺15aが書籍31ののど32に当てられても、第2薄板片54の折り重ねの働きで第1薄板片53に対して第2薄板片54の動きは許容されることから、第2薄板片54は緩い曲線を描いて背表紙37の下端を回り込むことができる。薄板本体12に連続する第1薄板片53が背表紙37から引き出される場合に比べて、第1薄板片53と薄板本体12との境界や第2薄板片54と第1薄板片53との境界で応力集中は回避されることができる。こうして薄板本体12と第1薄板片53との間や第1薄板片53と第2薄板片54との間で亀裂の発生は良好に防止されることができる。
図16は本発明の一実施形態に係る書籍システム56を概略的に示す。書籍システム56では書籍31にしおり11gが挟まれる。しおり11gは、しおり11fと同様に、薄板本体12および補助薄板51を備える。加えて、しおり11gでは補助薄板51に画薄板57が接続される。画薄板57は、補助薄板51の第2薄板片54から連続し、書籍31の背表紙37から離れた位置で第2薄板片54から起立する。画薄板57の外向き面には絵柄58が配置される。絵柄58は画薄板57の外向き面に印刷されればよい。絵柄58には画像や写真、柄、模様、文字その他の視覚的表現が含まれることができる。
しおり11gは、一平面内に薄板本体12、第1薄板片53、第2薄板片54および画薄板57を収めることができる。このとき、しおり11gは書籍31に挟まれることができ、しおり固有の機能を発揮する。その一方で、第2薄板片54は書籍31の背表紙37の下端で背表紙37から後方に突き出る。第2薄板片54から画薄板57は起立する。その結果、外向き面の絵柄58は視認されることができる。絵柄58は書籍31の収納場所に彩を与えることができる。しかも、作業者が例えば画薄板57を手前に引くと、書籍31は簡単に引き出されることができる。その他、しおり11gに代えて、第2薄板片54および画薄板57は書籍31の背表紙37に一体化されてもよい。
図17は本発明の一実施形態に係る広告システム59を概略的に示す。広告システム59では書棚39の棚板45や下板44上に書籍システム56が並べられる。書棚39には絵柄58が並べられる。複数の画薄板57で1つの絵柄58が構成されてもよく、画薄板57ごとの絵柄58が繰り返し配置されてもよい。書棚39で絵柄58は広告効果を発揮することができる。
なお、薄板本体12、第1板片21aおよび第2板片21bや、薄板本体12、第1薄板片53、第2薄板片54および画薄板57は、必ずしも1枚の薄板から形成される必要はなく、個々の部材が相互に結合されてもよい。その他、しおり11、11c、11d、11f、11gの素材は前述のものに限定される必要はなく前述の機能を果たすいかなる素材が利用されてもよい。