ところで、従来のパルプモウルド製青果物収納トレーを、上記外箱6内にセットする際、上記外箱6の上面開口部の両短辺側には、対向方向に突出する一対の抜止板6a,6aが設けられているため、収納トレーを上記外箱6内にセットするには、パルプモウルド製青果物収納トレーの全体を湾曲させて、収納トレーの一方の短辺側の縁部と、該収納トレーの他方の短辺側の縁部とを、一旦、当該外箱6内の上記抜止板6a,6aの下側に収納し、その後、パルプモウルド製青果物収納トレーを上記湾曲状態から伸長状態に弾性復帰させることにより、上記外箱6内の底面に、当該パルプモウルド製青果物収納トレーをセットすることが行われていた。
しかしながら、特許文献2(同文献の図5参照)に示すように、従来のパルプモウルド製青果物収納トレーは、各青果物収納凹部間の隔壁には、比較的幅の狭い凹弧状の部分50と、その凹弧状の部分50の上部に当該上部を閉鎖するように補強用の板状隔壁51が設けられ(図10(c)参照)、上記青果物収納トレー自体の剛性が高いため、該トレーを湾曲させ難く、円滑にパルプモウルド製青果物収納トレーを外箱内にセットすることができない場合がある、という課題があった。
また、外箱6内の底面にパルプモウルド製青果物収納トレーを収納載置した後、各トレーの青果物収納凹部にトマト等の青果物を手作業にて収納していくが、上記抜止板6a,6aの直下、即ち、上記抜止板6a,6aの中央寄り端部6a’,6a’より、奥側の青果物収納凹部にトマト等の青果物を収納する必要がある。ところが、従来のパルプモウルド製収納トレーは、各青果物収納凹部の周りには、補強用の比較的高い上向き突出部52が形成されており(図10(b)参照)、従って、上記抜止板6a,6aの端部6a’,6a’より奥部側Eに青果物を収納する際、上記上向き突出部52が邪魔になり、円滑に収納することができない、という課題があった。
また、この種のパルプモウルド製青果物収納トレーは、製造工場から各農家、卸売店等に運搬されるが、その際、複数枚の青果物収納トレーを重ねた状態(スタッキングした状態)で、トラック等にて運搬される。このとき、従来のパルプモウルド製青果物収納トレーは、トマト等の収納時の剛性(例えば、トマトを収納トレーに収納した状態で、収納トレーの両側を以って持ち上げたとき、収納トレー自体の湾曲をできるだけ抑える)を重視していたため、収納トレーの各凹部間に、比較的高い隔壁(上記板状隔壁51(図10(b)参照))が設けられ、これら板状隔壁51により剛性を確保していた。
ところが、この種のパルプモウルド製青果物収納トレーは、複数枚を積み重ねたとき、上記板状隔壁51が上下に凹凸状に嵌合し得ないため、この板状隔壁51の存在によって縦方向の高さ(嵩高さ=スタッキング高さK’(図11参照))が高くなり、パルプモウルド製青果物収納トレーとしての運搬効率が高くない、という課題があった。
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされた者であり、パルプモウルド製青果物収納トレーを円滑に湾曲状態とすることができ、外箱内に円滑に収納できるパルプモウルド製青果物収納トレーを提供することを目的とする。
また本発明は、外箱内の隅部(奥部側E)における青果物収納凹部にも青果物を収納し易いパルプモウルド製青果物収納トレーを提供することを目的とする。
また本発明は、複数枚のパルプモウルド製青果物収納トレーを積み重ねた場合、従来よりも嵩高さを大幅に低くすることのできるパルプモウルド製青果物収納トレーを提供することを目的とする。
本発明は上記課題を解決するために、
第1に、方形のトレーの上面に複数の青果物収納凹部(2)が一体に形成されたパルプモウルド製青果物収納トレーにおいて、上記各青果物収納凹部(2)の上面開口周縁には該上面開口周縁に沿って複数の上向き突出部(4a)が設けられており、上記各上向き突出部(4a)間には隣接する上記青果物収納凹部(2)との間を仕切るための隔壁(5a,5b)が設けられており、上記隔壁(5a,5b)の内、上記トレーの長手方向の中央部を短辺に沿って二分する分割線(L)に沿って位置する隔壁についてのみ、上記他の隔壁よりも高さを高く形成すると共に、その上面が上記分割線(L)に沿う直線状の複数の水平隔壁(5a)により構成し、上記水平隔壁(5a)以外の他の隔壁は、上記水平隔壁(5a)より高さの低い凹弧状の隔壁(5b)により構成し、かつ上記複数の上向き突出部(4a)において、上記トレー両端の上記短辺の縁部(1a,1b)に沿って位置する上記青果物収納凹部(2(2−8),(2−4),(2−3),(2−7))におけるトレー中央部寄りに位置する上記上向き突出部を、上記他の上向き突出部(4a)の高さより低い低上向き突出部(4a’)により形成したものであるパルプモウルド製青果物収納トレーにより構成される。
このように構成すると、上記分割線Lに沿う上記水平隔壁を折り曲げ線として当該トレーを青果物収納凹部の形成された面を外側として円滑に湾曲させることができるので、外箱内に円滑に当該トレーを収納することができ、湾曲に伴ってトレーに亀裂等が形成されることもない。また、外箱内に収納した後、外箱の左右の抜止板の下側に位置する青果物収納凹部に青果物を収納する際、青果物挿入経路に位置する低上向き突出部の高さが低いので、円滑に青果物を抜止板の下方位置の青果物収納凹部に収納することができる。
第2に、上記凹弧状の隔壁(5b)の最も低い位置の高さは、上記低上向き突出部(4a’)の高さよりも低く、かつ、上記青果物収納凹部(2)の底部(2’)より高い位置であり、上記水平隔壁(5a)の高さは、上記凹弧状の隔壁(5b)の上記最も低い位置の高さより高く、上記上向き突出部(4a)の高さより低い高さとなるように形成したものである上記第1記載のパルプモウルド製青果物収納トレーにより構成される。
このように構成すると、凹弧状の隔壁は青果物収納凹部の底部より高いので、青果物収納凹部間の隔壁としての機能を発揮し得ると共に、水平隔壁は凹弧状の隔壁よりも高く形成され、しかも分割線に沿って直線状に形成されているので、トレーを外向きに湾曲する際の、湾曲の折り曲げ線としての機能を発揮し、トレーを円滑に湾曲させることができる。
第3に、上記上向き突出部(4a)の高さは、上記トレーの縁部(1a,1b,1c,1d)の高さと同じであり、上記低上向き突出部(4a’)の高さは、上記上向き突出部(4a)の高さより低く、上記凹弧状の隔壁(5b)の最も低い位置の高さよりも高い位置に形成したものである上記第1又は2記載のパルプモウルド製青果物収納トレーにより構成される。
このように構成すると、上向き突出部を上記トレーの縁部と同じ高さとすることで、トレー全体の強度を確保すると共に、低上向き突出部は、上向き突出部より低くして青果物の挿入を円滑になし得ると共に、凹弧状の隔壁よりも高く形成することで、突出部としての補強機能をも維持することができる。
第4に、上記分割線(L)の方向に交差する上記トレーの縁部(1c,1d)に存在する上記上向き突出部(4b,4b)の上面に、上記分割線(L)に沿う短辺方向の直線状リブ(9,9)を形成したものである上記第1〜3の何れかに記載のパルプモウルド製青果物収納トレーにより構成される。
このように構成すると、トレーの縁部にも分割線に沿う方向の直線状リブが存在するので、トレーをより湾曲し易い構成とすることができると共に、湾曲に伴うトレーの破損等を防止することができる。
第5に、上記トレーの上記短辺側の縁部(1a又は1b)を、外箱(6)の一方側壁(6b)に係合した状態で、上記直線状の水平隔壁(5a)に沿う方向を折り曲げ線として、上記トレーをその上面側を外側方向に湾曲し得るように構成したものであることを特徴とする上記第1〜4の何れかに記載のパルプモウルド製青果物収納トレーにより構成される。
このように構成すると、トレーを容易に湾曲して、当該トレーを外箱内に円滑にセットすることができ、作業効率を向上させることができると共に、湾曲に伴うトレーの破損等をも防止することができる。
本発明は上述のように構成されたものであるから、パルプモウルド製青果物収納トレーを青果物収納凹部の形成された面を外側として円滑に湾曲させて、外箱内に円滑に当該トレーを収納することができる。また、当該トレーを外箱内に収納した後、外箱の左右の抜止板の下方に位置する青果物収納凹部に青果物を収納する際、挿入経路に位置する低上向き突出部の高さが低いので、円滑に青果物を青果物収納凹部に収納することができる。
また、凹弧状の隔壁は青果物収納凹部の底部より高いので、青果物収納凹部間の隔壁としての機能を発揮し得ると共に、水平隔壁は凹弧状の隔壁よりも高く形成され、しかも分割線に沿って直線状に形成されているので、パルプモウルド製青果物収納トレーを湾曲する際、湾曲の折り曲げ線としての機能を発揮し、当該トレーを円滑に湾曲させることができる。
また、上向き突出部をパルプモウルド製青果物収納トレーの縁部と同じ高さとすることで、当該トレー全体の強度を確保すると共に、低上向き突出部は、上向き突出部より低くして青果物の挿入を円滑にし得ると共に、凹弧状の隔壁よりも高く形成することで、突出部としての補強機能をも維持することができる。
また、パルプモウルド製青果物収納トレーの縁部にも分割線に沿う直線状リブが存在するので、当該トレーをより湾曲し易い構成であると共に、湾曲に伴うトレーの破損等を防止することができる。
また、パルプモウルド製青果物収納トレーを容易に湾曲して、当該トレーを外箱内に円滑にセットすることができ、作業効率を向上させることができると共に、湾曲に伴う当該トレーの破損等をも防止することができる。
また、水平隔壁以外の隔壁は、凹弧状の隔壁により構成し、従来のような板状隔壁は存在しないので、複数のパルプモウルド製青果物収納トレーを積み重ねたときの嵩高さを低くすることができ、運搬効率をも向上し得る。
以下、本発明に係るパルプモウルド製青果物収納トレーについて詳細に説明する。
本発明は、図1、図2、図9に示すように、方形のトレー1の上面に複数の青果物収納凹部2が一体に形成されたパルプモウルド製青果物収納トレーにより構成される。本実施形態では、青果物収納凹部2は、全部で20個形成されており、長方形(方形)のトレー1の長手方向に沿って5個の一列が、短辺方向に4列(R1〜R4)形成されている(図1参照)。
尚、図1において、説明の便宜上、紙面に向かって左右方向を「左右」と定義し、「左右」の方向に直交する方向において、紙面に向かって下側を「前方」、紙面に向かって上側を「後方」と定義する。また、青果物収納凹部2については、位置を特定する場合は、「2(2−1)」又は「2−1」のように枝番付の符号にて示す。
当該トレー1の後方の一列R1の青果物収納凹部2は、図1における左端の青果物収納凹部2(2−8)が、トレー1の短辺の左側の縁部1aに沿うように、上記縁部1aに近接して設けられており、同列R1の右端の青果物収納凹部2(2−2)と右側の短辺の縁部1bとの間の上向き突出部4cには補強用凹部3aが設けられている(図1参照)。
上記一列R1に隣接する他の一列R2の右端の青果物収納凹部2(2−3)はトレー1の短辺の右側の縁部1bに沿うように、上記縁部1bに近接して設けられており、同列R2の左端の青果物収納凹部2(2−9)と上記短辺の縁部1aとの間の上向き突出部4dには補強用凹部3b(図9も参照)が設けられている。
さらに、上記列R2に隣接する青果物収納凹部2の列R3は、図1における左端の青果物収納凹部2(2−4)がトレー1の短辺の左側の縁部1aに沿うように、上記縁部1aに近接して設けられており、同列R3の右端の青果物収納凹部2(2−6)と上記短辺の縁部1bとの間の上向き突出部4dには補強用凹部3cが設けられている。
また、上記列R3に隣接する列R4の右端の青果物収納凹部2(2−7)はトレー1の短辺の右側の縁部1bに沿うように、上記縁部1bに近接して設けられており、同列R4の左端の青果物収納凹部2(2−5)と上記短辺の縁部1aとの間の上向き突出部4cには補強用凹部3dが設けられている。
従って、上記青果物収納凹部2は、左右方向の5個の青果物収納凹部2からなる隣接する列R1〜R4において、互いに、上記補強用凹部3a,3b,3c,3dが形成された上向き突出部4c,4dの幅だけ、互い違いに左右にずれた状態で、長方形のトレー1上面に一体的に形成されている。
また当該トレー1の周囲の縁部(短辺側の左右の縁部1a,1b、及び、長手方向の前後の縁部1c,1d)の高さは同一であり、これらの高さと同一の高さに、複数の上向き突出部4a,4b,4c,4dが設けられている。即ち、これらの上向き突出部4a,4b,4c,4dの高さは、高さの低い低上向き突出部4a’(後述)を除き、上記トレー1の周囲の上記縁部1a〜1dの高さと同一である。
より具体的には、上記列R2,R3におけるトレー1の縁部1a,1b,1c,1dに沿わない位置の青果物収納凹部2(例えば青果物収納凹部2−1)の略円形の上面開口周縁には、θ=60度毎に6個の截頭円錐形状の上向き突出部4aが突出形成されており(尚、その内1つは截頭円錐形状の上記低上向き突出部4a’となる)、各隣接する青果物収納凹部2,2間は、これらの上向き突出部4a又は4a’によって隔離されている(図1参照)。
また、上記トレー1の長手方向の縁部1c,1dに沿う位置に存在する青果物収納凹部2(列R1,列R4)において、各隣接する青果物収納凹部2,2間には、上記縁部1c,1dに沿う略三角柱状の上向き突出部4bが設けられており、これらの青果物収納凹部2,2間の上記トレー1の縁部1c,1d側は上記上向き突出部4bによって相互に隔てられている。
さらに、上記トレー1の対角線上の一対のコーナ部には、上記補強用凹部3a,3dを有する略三角柱状の上向き突出部4c,4cが形成されており、これら上向き突出部4c,4cによって列R1の右端の青果物収納凹部2(2−2)と列R2の右端の青果物収納凹部2(2−3)が隔てられると共に、列R3の左端の青果物収納凹部2(2−4)と列R4の青果物収納凹部2(2−5)が隔てられている。
また、トレー1の左右の短辺側の縁部1b,1aには補強用凹部3c,3bを有する略直方体形状(ブロック状)の上向き突出部4d,4dが設けられており、これらの上向き突出部4d,4dの突部4d’,4d’によって列R2,R3,R4の右端部の青果物収納凹部2(2−3),2(2−6),2(2−7)が隔てられていると共に、列R1,R2,R3の左端の青果物収納凹部2(2−8),2(2−9),2(2−4)が隔てられている(図1参照)。
また、上記複数の上向き突出部4aにおいて、上記トレー1両端の短辺の縁部1a,1bに沿って位置する上記青果物収納凹部2(2−8と2−4)、2(2−3と2−7)におけるトレー中央部寄りに位置する上記上向き突出部のみを(尚、青果物収納凹部(2−4)、(2−3)については、トレー中央寄りに位置する2つの上向き突出部の内、何れか一つを)、上記他の上向き突出部4aの高さより低い低上向き突出部4a’(計4本)により形成している。尚、図3において、これら4本の低上向き突出部4a’について、ハッチングを施して示している(図9においては、低上向き突出部4a’の上面を黒く塗りつぶして示している)。
より具体的には、列R1の左端に位置する青果物収納凹部2(2−8)と列R2の左端に位置する青果物収納凹部2(2−9)との間に位置する低上向き突出部4a’、同じく上記列R1の右端に位置する青果物収納凹部2(2−2)と列R2の右端に位置する青果物収納凹部2(2−3)との間に位置する低上向き突出部4a’、さらには上記列R3の左端に位置する青果物収納凹部2(2−4)と列R4の左端に位置する青果物収納凹部2(2−5)との間に位置する低上向き突出部4a’、同じく列R3の右端に位置する青果物収納凹部2(2−6)と列R4の右端に位置する青果物収納凹部2(2−7)との間に位置する低上向き突出部4a’は、他の上向き突出部4aに比べて低い低上向突出部4a’として構成している(図3、図2、図4参照)。
これは、当該パルプモウルド製青果物収納トレー1は、図8に示すように、通常上面開口の直方体箱(外箱)6の底部にセットして使用するが、上記外箱6の上面は、短辺側の左右両端部位置に、内部のトレー1の落下防止用の抜止板6a,6aが一定幅で設けられている(図1、図2、図3、図5、図8参照)。
この場合、短辺側の縁部に沿った青果物収納凹部2(2−8,2−4,2−3,2−7)は、その上面側の約半分が上記抜止板6a,6aによって覆われた状態となっている(図1、図5参照)。従って、これらの青果物収納凹部2,2に青果物(例えばトマトT)を収納する場合は、抜止板6a,6aの手前側から矢印X方向(図1、図3参照)にトマトTを挿入する必要がある。
このとき、上記挿入経路に位置する上記低上向き突起4a’(4か所)の高さを低くして、上記青果物収納凹部2(2−8,2−4,2−3,2−7)にトマトTを挿入し易くしているのである。
上記上向き突出部4aの高さは、上述のように、上記トレーの周縁部1a,1b,1c,1dの高さと同じであり、上記高さの低い低上向き突出部4a’の高さM(図4参照)は、上記上向き突出部4aの高さより低く、上記低い凹弧状の隔壁5bの高さ(最も低い位置5b’の高さ)よりも高い位置となるように形成する(図2、図4参照)。このように、上向き突出部4aを上記トレー1の縁部1a,1b等と同じ高さとすることで、トレー全体の強度を確保すると共に、低上向き突出部4a’の高さMは、上向き突出部4aより低くして青果物の挿入を円滑にし得ると共に、凹弧状の隔壁5bよりも高く形成することで、突出部としての補強機能をも維持発揮し得るように構成している。
上記各青果物収納凹部2における、上記各上向き突出部4a,4a間、上向き突出部4a又は4b又は4d又は4cと低上向き突出部4a’間、上向き突出部4a,4b間、上向き突出部4a,4d間には、隣接する青果物収納凹部2との間を仕切るための隔壁5a,5bが設けられている(図1、図10参照)。
上記隔壁5a,5bの内、上記トレー1の長手方向の中央部を短辺に沿って(前後方向に)二分する分割線L(図1参照)に沿って位置する隔壁(本実施形態では、4個の水平隔壁5a、図1において、ハッチングを施して示している)についてのみ、上記他の隔壁5bよりも高さを高く形成すると共に(図2の高さN参照)、その上面5a’が上記分割線Lに沿う方向の細長直線状の水平隔壁5a(図1に示すように本実施形態では4個)により構成し(図4参照)、上記水平隔壁5a以外の他の隔壁は、上記直線状の水平隔壁5aより高さの低い凹弧状の隔壁5bにより構成する(図1、図4、図10(a)(b)参照)。図9に水平隔壁5a(4か所)を、その上面のみを黒く塗り潰して示している。
上記高さの低い凹弧状の隔壁5bは、上記上向き突出部4a,4a間、上向き突出部4a又は4b又は4d又は4cと低上向突出部4a’間、上向き突出部4a,4b間に設けられており、隣接する各青果物収納凹部2,2間を隔てる壁としての機能を有している。そして、これらの凹弧状の隔壁5bは、図4に示すように、隣接する一対の上記上向き突出部4a,4b,4c,4d又は低上向き突出部4a’の各上面から各々下り斜面7,7を形成して凹状かつ下向き円弧状に形成された隔壁であり、その最も低い位置5b’の高さは、上記上向き突出部4a又は4a’の高さよりも低く、かつ、上記青果物収納凹部2の底部2’より高い位置となるように形成されている(図4参照)。このように、凹弧状の隔壁5bは青果物収納凹部2の底部2’より高いので、青果物収納凹部2間の隔壁としての機能を発揮し得るものである。
よって、例えば、列R2の青果物収納凹部2(2−1)において、6個の上向き突出部4a(内、1個は低上向き突出部4a’)が形成されたものは、当該青果物収納凹部2(2−1)の周囲に6か所の凹弧状の隔壁5bが形成されている(図1参照)。
これらの隔壁5bは、図4に示すように、凹弧状であり、その上面には、従来のパルプモウルド製青果物収納トレーのような水平の板状隔壁は設けられていないが、その幅t(図1、図2参照)は従来の隔壁よりも広く形成されている。本発明に係る凹弧状の隔壁5bはこのように構成することにより、これらパルプモウルド製青果物収納トレー1を複数枚スタッキングしたとき(図7参照)、下部のパルプモウルド製青果物収納トレー1の隔壁5b(下に凹状)の上面に、上部のパルプモウルド製青果物収納トレー1の隔壁5bの下部(下に凹状)が密着し得るため、スタッキング時の高さKを従来の同数のパルプモウルド製青果物収納トレーをスタッキングした場合の高さK’(図10参照)より低くすることができる(K<K’)。
上記高さの高い直線状の水平隔壁5aの高さNは、上記凹弧状の隔壁5bの上記最も低い位置5b’の高さより高く、上記上向き突出部4aの高さ(トレー1の縁部1a,1b,1c,1dの高さ)より低い高さ(若干低い高さ)に形成されている(図4参照)。より具体的には、図1、図4に示すように、上向き突出部4a又は4bから下り傾斜面8,8を形成し、両傾斜面8,8をつなぐ水平な直線状の上記上面5a’が形成されている。よって、水平隔壁5aは凹弧状の隔壁5bよりも高く形成され、しかも分割線Lに沿って直線状に形成されているので、トレー1を外向きに湾曲する際の、湾曲の折り曲げ線としての機能を発揮し、トレー1を円滑に湾曲させることができるのである。
また、上記分割線Lに沿って位置する上記トレー1の周縁部に存在する上記上向突出部4b,4bの上面に、上記分割線Lに沿う短辺方向の直線状リブ9,9を一体に形成している(図1参照)。その結果、上記直線状リブ9,9の両側の上記上向き突出部4b,4bの上面には、凹部10,10が形成されている(図1、図3、図9参照)。
上記分割線Lに沿う方向の細長直線状の水平隔壁5a及び、分割線Lに沿う方向の上記直線状リブ9,9を設けたのは、図6に示すように、当該トレー1が、上記分割線Lに沿う上記高い隔壁5aを折り曲げ線として、上面側を外側方向にして、湾曲し易いように構成するためである。
即ち、上記トレー1を上記外箱6内にセットする際、上記トレー1の短辺側の一縁(例えば縁部1a)側を、外箱6の左側の側壁6b(図6参照)に当接した状態で、上記直線状の水平隔壁5aに沿う方向を折り曲げ線として、上記トレー1をその上面側を外側方向に湾曲し(図6の二点鎖線参照)、右側の縁部1bを上記抜止板6aの端部6a’の内側に位置させ、その後、上記縁部1bを上記抜止板6aの下側に移動して、手を離すことにより、当該トレー1の弾性復帰力によって、湾曲状体が解消され、当該トレー1は方形箱の底面に容易にセットし得るように構成したものである。またトレー1の縁部1b,1cにも分割線Lに沿う方向の直線状リブ9,9が存在するので、トレー1をより湾曲し易い構成とすることができると共に、湾曲に伴うトレー1の破損等を防止することができる。
本発明に係るパルプモウルド製青果物収納トレーは上述のように構成されるものであるから、まず、当該トレー1を外箱6に収納する場合を説明する。
まず、図6に示すように、パルプモウルド製青果物収納トレー1の右端の縁部1bを把持し、左端の縁部1a側を外箱6の一方の抜止板6aの下側に挿入し、上記縁部1aを方形箱6の左短辺側の側壁6bに当接させる。
その後、右側の縁部1bを把持した状態で、当該トレー1の上面側が外側となるように、トレー1全体を湾曲させる(図6の二点鎖線参照)。
このとき、パルモウルド製青果物収納トレー1は、上記分割線Lに沿う方向に、4個の水平隔壁5aが形成されているため、これら水平隔壁5aを前後方向の湾曲の折り曲げ線として、容易に上面を外側に湾曲させることができる(図6二点鎖線参照)。
このとき、上記水平隔壁5a以外の各凹弧状の隔壁5bは、凹弧状であり、その幅tが広く形成されているので、上記水平隔壁5a以外の部分では、外側に湾曲し難い構造となっている。よって、上記右端の上記縁部1bを把持した手を矢印S方向(左方向)に移動することで、当該トレー1を上記分割線Lに沿う前後方向を略中心線として外側に円滑に湾曲させることができる。
操作者は、その後、トレー1の右側の端部1bを、外箱6の右側の抜止板6aの端縁6a’より内側に位置させると共に、当該トレー1の右側の端部1bを上記右側の抜止板6aより下側に位置させ、上記トレー1の右側の端部1bから手を離せば良い。
すると、パルプモウルド製青果物収納トレー1自身の弾性復帰力により、右側の端部1bが外箱6内において矢印S’方向(右方向)に復帰し、その結果、外箱6の底部6cに、当該パルプモウルド製青果物収納トレー1を、青果物収納凹部2を上向きとした状態でセットすることができる(図6、図8参照)。
その後、セットされたパルプモウルド製青果物収納トレー1の青果物収納凹部2内にトマトTを収納する作業を行う。
このとき、外箱6の抜止板6a,6aの下側(外箱6の隅部)にある青果物収納凹部2(2−8)(又は2(2−4))にトマトTを収納する場合は、図1又は図3の矢印Xの経路にてトマトTを青果物収納凹部2(2−8)(又は2(2−4))に収納するが、上記青果物収納凹部2(2−8)(2(2−4))の低上向き突出部4a’,4a’は低く形成されているので、上記抜止板6aの下側の青果物収納凹部2(2−8)(又は2(2−4))にトマトTを円滑に収納することができる。
また、同様に、外箱6の抜止板6a,6aの下側(外箱6の隅部)にある青果物収納凹部2(2−3)(又は2(2−7))にトマトTを収納する場合は、図1又は図3の矢印Xの経路にてトマトTを青果物収納凹部2(2−3)(又は2(2−7))に収納するが、上記青果物収納凹部2(2−3)(2(2−7))の低上向き突出部4a’,4a’は低く形成されているので、上記抜止板6aの下側の青果物収納凹部2(2−3)(又は2(2−7))にトマトTを円滑に収納することができる。
本発明は以上のように、パルプモウルド製青果物収納トレー1を青果物収納凹部2の形成された面を外側として円滑に湾曲させて、外箱6内に円滑に当該トレー1を収納することができる。また、当該トレー1を外箱6内に収納した後、外箱6の左右の抜止板6a,6aの下方に位置する青果物収納凹部2に青果物を収納する際、挿入経路に位置する低上向き突出部4a’の高さが低いので、円滑に青果物を青果物収納凹部2に収納することができる。
また、凹弧状の隔壁5bは青果物収納凹部2の底部2’より高いので、青果物収納凹部2間の隔壁としての機能を発揮し得ると共に、水平隔壁5aは凹弧状の隔壁5bよりも高く形成され、しかも分割線Lに沿う方向にて直線状に形成されているので、パルプモウルド製青果物収納トレー1を湾曲する際、湾曲の折り曲げ線としての機能を発揮し、当該トレー1を円滑に湾曲させることができる。
また、上向き突出部4aを上記トレー1の縁部1a,1b,1c,1dと同じ高さとすることで、パルプモウルド製青果物収納トレー全体の強度を確保すると共に、低上向き突出部4a’は、上向き突出部4aより低くして青果物の挿入を円滑にし得ると共に、凹弧状の隔壁5bよりも高く形成することで、突出部としての補強機能をも発揮することができる。
また、パルプモウルド製青果物収納トレー1の縁部1c,1dにも分割線Lに沿う方向の直線状リブ9,9が存在するので、当該トレーをより湾曲し易い構成にし得ると共に、湾曲に伴うトレーの破損等を防止することができる。
また、パルプモウルド製青果物収納トレー1を容易に湾曲して、当該トレー1を外箱6内に円滑にセットすることができ、作業効率を向上させることができると共に、湾曲に伴うトレーの破損等をも防止することができる。
また、水平隔壁5a以外の隔壁は、凹弧状の隔壁5bにより構成し、従来のような板状隔壁は存在しないので、複数のパルプモウルド製青果物収納トレー1を積み重ねたときの嵩高さを低くすることができ、運搬効率をも向上し得る。
尚、上記実施形態において、青果物収納凹部2の個数は一例であり、各種の個数のトレーが考えられる。また、1つの青果物収納凹部に対する上向き突出部の数、隔壁の数、配置等も青果物の形状、大きさに応じて各種の実施形態が考えられるものである。