JP6228807B2 - 薬剤除去フィルター、薬剤除去システム、及び薬剤除去方法 - Google Patents

薬剤除去フィルター、薬剤除去システム、及び薬剤除去方法 Download PDF

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Description

本発明は、血液製剤から薬剤を除去する薬剤除去フィルター、薬剤除去システム、及び薬剤除去方法に関するものである。
近年、輸血分野においては、血液製剤中に含まれる病原体あるいは白血球の増殖能を輸血前に失活(不活化)させる技術が、欧州を中心に普及している。このような不活化技術は、大別して薬剤(不活化薬剤)投与、光照射、またはこれらの組み合わせによって達成される。
病原体とは、例えば、ウイルス、細菌、原虫、寄生虫などのDNAやRNAを有するものである。病原体の不活化によって、HBV、HCV、HIV、HAV、HEV、HTLV、WNV、CMVなどのウイルスによる感染症、細菌による感染症、バベシア症、シャーガス病、マラリアなどの原虫による感染症といった輸血に伴う感染症を防止することができる。仮に、血液製剤に未知の病原体種あるいは検出困難な希薄な濃度レベルの病原体が含まれていた場合でも、不活化によって、感染症のリスクを抑えることができる。また、白血球の不活化によって、白血球が原因で引き起こされる輸血による副作用を抑えることができる。白血球が原因となる輸血による副作用には、比較的軽微なものとして、頭痛、吐き気、悪寒、及び非溶血性発熱反応などがあり、重篤なものとしては、輸血後GVHD(Graft Versus Host Disease)などがある。
病原体に対する不活化技術としては、血漿製剤の場合、S/D法(Octapharma社)、UVC照射(Macopharma社)、メチレンブルーと可視光照射の組み合わせ(Macopharma社)、アモトサレンとUVA照射の組み合わせ(CERUS社)、リボフラビンとUVB照射の組み合わせ(Termo BCT社)によるものがある。
また、血小板製剤の場合は、アモトサレンとUVA照射の組み合わせ(CERUS社)によるものが欧州を中心に利用されている。更に、赤血球製剤の場合は、エチレンイミン多量体(Inactine,VITEX社)、アクリジン誘導体(CERUS社)、リボフラビンとUVB照射の組み合わせ(Termo BCT社)、ジメチルメチレンブルー(米赤十字社)等によるものがある。このような病原体の不活化技術自体は開発が進んでいる。
血液製剤の不活化技術において不活化薬剤を使用する場合、不活化後の遊離薬剤は通常、除去する必要がある。これは遊離薬剤が、輸血投与される人体(受血者)に対し有害な作用を及ぼすためである。不活化薬剤には主として二通りの機序がある。一つは有機溶剤と界面活性剤を血液製剤に添加し、病原体細胞のリン脂質膜を溶解させる不活化機序である。もう一つはDNAの末端塩基を標的とした化学結合性を持つ薬剤を血液製剤に添加し、病原体DNA末端塩基に不可逆的な結合を形成することで病原体の転写、複製を阻止する不活化機序である。いずれも不活化後の残分薬剤が血液製剤中に残存したまま輸血に提供された場合、受血者の健常な血球細胞膜や体細胞膜に損傷や抗体産生を引き起こし、発がん性、変異原性を示す恐れがある等の副作用が知られているため、薬剤除去が必要である。
従来、例えば、特許文献1〜3に示されるように、フィルターの入口から血液製剤を流入させて重力により出口から排出させ、血液製剤中の薬剤を除去するフロー式技術が知られている。また、例えば、特許文献2、3に示されるように、容器内で血液製剤をフィルター材に長時間接触させ、容器を振とうさせながら、薬剤をフィルター材に吸着させることで除去するバッチ式技術が知られている。
特表2003−512093号公報 特開2012−67126号公報 特開2010−31049号公報
しかし、特許文献1は、多孔質不織材料を含む薬剤除去フィルターにより、血漿製剤から薬剤を除去するフロー式技術に関するものであり、血漿製剤からの薬剤除去率については十分な性能を示しているが、血小板、および赤血球を含む血液製剤に適用した場合の薬剤除去能、溶血の程度については言及されていない。
また、特許文献2は、多孔質合成高分子粒子を含む薬剤除去フィルターにより、血漿製剤、あるいは血小板製剤から薬剤を除去するフロー式技術、およびバッチ式技術に関するものである。フロー式技術は、流速の増加とともに薬剤吸着能が不十分となる傾向が示されており、バッチ式技術は、十分な薬剤除去能を得るために3時間以上の長時間、振とう接触を要するため、十分な薬剤除去率を得るための処理時間が長いという問題がある。また、赤血球を含む血液製剤に適用した場合の薬剤除去能、溶血の程度については言及されていない。
また、特許文献3は、多孔質合成高分子粒子を不活性媒体で固定化した薬剤除去装置に関するものである。薬剤除去能を向上させるため、多孔質表面積を大きくする必要があるので、粒径を小粒径に限定し、比表面積をある一定以上の値とすることで十分な薬剤吸着能が得られるような多孔質合成高分子粒子を用いている。さらに不活性媒体を繊維ネットワーク等とすることにより、小粒径粒子間を血液が流れるとき、血球と小粒子間の摩擦を防止できるので、血小板、白血球、赤血球が損傷することを防止し、溶血を防ぐことができる。特にフロー装置として用いる場合には血液流路を十分確保できるので、効率的に薬剤除去できる利点がある。フロー装置、バッチ装置として用いる場合いずれも、溶血を防止しながらも高率な薬剤除去率が得られ、小粒径の粒子が脱落して輸血される危険性を防止できる。この技術は血小板、血漿、赤血球製剤への適用が可能である。しかし、小粒径の粒子を繊維ネットワーク上に固定するためには、多孔質合成高分子などの吸着剤粒子の他に比較的低融点のポリマーシースを準備しなければならず、繊維ネットワーク形成のための加熱工程が必要であり、さらに樹脂に分散する粒子密度など、品質管理や製造工程管理が煩雑であるという欠点、および製造コストが高価であるという欠点を持つ。
そこで、本発明は、血漿、血小板、赤血球、全血などの血液製剤を不活化する薬剤を、溶血を抑えながらしかも短時間に効率よく除去することができるフロー式の薬剤除去フィルター、薬剤除去システム、及び薬剤除去方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、薬剤を吸着除去可能な比表面積及び平均粒径を有する粒子状活性炭を所定の寸法、及び通気圧損で容器内に収めた筒状デバイスを設計することにより、溶血を抑えながら不活化薬剤を高除去率で除去できる不活化薬剤除去フィルターを提供できるという知見を得た。
つまり、本発明の薬剤除去フィルターは、血液製剤中に含まれる不活化対象物を不活化する薬剤を、血液製剤から除去する薬剤除去フィルターであって、血液製剤が導入される入口と、血液製剤が排出される出口とを有する筒状容器と、筒状容器内に収納され、薬剤を吸着除去可能な粒子状活性炭と、を備え、粒子状活性炭は、比表面積が900m/g以上、1800m/g以下であり、かつ筒状容器内に直径D、高さLで収容され、L/D比が0.5以上、4.4以下であり、通気圧損は、0.005kPa以上、0.030kPa以下である、ことを特徴とする。
この薬剤除去フィルターによれば、薬剤を吸着除去可能な粒子状活性炭を備えており、薬剤除去フィルターの通気圧損を0.005kPa以上、0.030kPa以下に制御することにより、赤血球を含む血液製剤に用いた場合でも、血球との摩擦が少なくなり血液ろ過時の抵抗が少なく溶血を抑えることができる。また、粒子状活性炭として、比表面積が900m/g以上、1800m/g以下の粒子を使用し、筒状容器内にL/D比が0.5以上、4.4以下で収容した薬剤除去フィルターを設計すれば、溶血を抑えながら高い薬剤除去率を得ることができる。
つまり、本発明の薬剤除去フィルターは、通気圧損を小さくし、薬剤吸着粒子として比表面積が大きい粒子を用いることを特徴としており、この技術によって赤血球製剤を含む血液製剤中での溶血を抑え、かつ高い薬剤除去率を得ることができる。本発明の薬剤除去フィルターは、粒子を筒状容器に充填するという簡易な製造方法により得られ、赤血球を含む血液製剤の溶血を抑えながら、被処理液中の薬剤を効率よく除去、および回収することができ、特許文献3の薬剤除去装置の問題点を解決できる。
さらに、本発明の薬剤除去フィルターは、粒子状活性炭の粒径の平均値を1.2〜2.5mmとすると好適である。1.2mmより小さい場合は、血液との接触による摩擦の効果で溶血する傾向にあり、2.5mmより大きい場合は、十分な細孔表面積を得られないため薬剤除去能が低下する傾向にある。
さらに、粒子状活性炭は、親水化材で被覆されていると好適である。これによれば、赤血球と粒子状活性炭との間の疎水的な付着力が抑制されるため、赤血球表面膜がろ過時に受ける物理的摩擦を減らし、より溶血を抑えることができる。
本発明の薬剤除去システムは、上記薬剤除去フィルターと、血液製剤を貯留する血液製剤貯留手段と、薬剤が薬剤除去フィルターによって除去された血液製剤を回収する回収手段と、を備えていることを特徴とする。
この薬剤除去システムによれば、赤血球を含む血液製剤を溶血させることなく、不活化薬剤を効率よく除去することができ、かつフロー式であるため、バッチ式のように長時間の除去工程を必要とすることもなく、短時間で効率的に薬剤除去工程を完了できる。
本発明の薬剤除去方法は、上記の薬剤除去フィルターを用いた薬剤除去方法であって、血液製剤を入口から導入するとともに出口から排出し、薬剤を除去する薬剤除去工程を備えていることを特徴とする。
この薬剤除去方法によれば、バッチ式のように長時間の除去工程を必要とせず、短時間で効率的に薬剤除去工程を完了できる。また、粒子を筒状容器に充填するという簡易な製造方法により得られる薬剤除去フィルターを用いるので、赤血球を含む血液製剤の溶血を抑えながら、被処理液中の薬剤を効率よく除去、および回収することができ、特許文献3の薬剤除去装置の問題点を解決できる。
本発明によれば、血液製剤を不活化する薬剤を、溶血を抑えながら効率よく除去することができる薬剤除去フィルター、薬剤除去システム、及び薬剤除去方法を提供することができる。
本発明の実施形態に係る薬剤除去フィルターの断面図である。 本発明の実施形態に係る薬剤除去システムの構成を示す図である。
以下、図面を参照しつつ本発明に係る薬剤除去フィルターの好適な実施形態について詳細に説明する。
(薬剤除去フィルター)
まず、図1を参照して、実施形態に係る薬剤除去フィルター1について説明する。薬剤除去フィルター1は、血液製剤中の不活化対象物を不活化するための薬剤を吸着除去する薬剤吸着カラムである。血液製剤とは、全血製剤、濃厚赤血球製剤、血小板製剤、血漿製剤等の輸血に用いられる各種血液製剤である。また、血液製剤中の不活化対象物とは、例えば病原体や白血球などであり、薬剤とは、例えば、病原体不活化薬剤である。
ここで、「病原体不活化」とは、ウイルス、細菌、原虫、寄生虫などの病原体に対し、それらが複製または増殖する能力を奪うことである。また、「病原体不活化薬剤」とは、血液製剤中に混入している、ウイルス、細菌、原虫、寄生虫などの病原体を不活化する機能を持つ薬剤である。また、病原体不活化薬剤を用いて行う不活化のための処理(病原体不活化処理)とは、病原体不活化薬剤を血液製剤中に添加し、必要に応じて一定時間光を照射する処理方法である。病原体不活化薬剤は、光増感作用により一重項酸素、ヒドロキシラジカル、過酸化水素等の反応性の高い化合物を発生させ、病原体DNAやRNAに障害を与えたり、病原体DNAやRNAの塩基間に共有結合を生成させ、病原体DNAの開裂、RNAによるウイルスタンパク発現や自己複製に関する挙動を妨げたりすることで病原体を不活化する。病原体不活化薬剤としては、アクリジン誘導体、チアジン誘導体、フェノチアジン誘導体、ピリジン誘導体、ポルフィリン誘導体、クマリン誘導体、ピリミジン誘導体、リボフラビン、ソラレン誘導体、エチレンイミン多量体等が挙げられる。
薬剤除去フィルター1は、入口2aと出口2bとを有する円筒形カラム(筒状容器)2と、円筒形カラム2内に収容された粒子状活性炭3とを備えている。円筒形カラム2の入口2aには、入口栓7aが設けられている。入口栓7aは、円筒形カラム2の内径と同じ径に打ち抜かれた円板形状をなし、その外周端面にねじが形成されている。入口栓7aは、当該ねじを円筒形カラム2の入口2aの内面側に形成されたねじに螺合させて入口2aを密栓している。また、入口栓7aの中央には、血液製剤を導入するための血液回路が接続される入口接続部4aが円筒形カラム2の内部と連通可能に設けられている。同様に出口2bには、出口栓7bが設けられている。出口栓7bは、円筒形カラム2の内径と同じ径に打ち抜かれた円板形状をなし、その外周端面にねじが形成されている。出口栓7bは、当該ねじを円筒形カラム2の出口2bの内面側に形成されたねじに螺合させて出口2bを密栓している。出口栓7bの中央には、血液製剤を排出するための血液回路が接続される出口接続部4bが円筒形カラム2の内部と連通可能に設けられている。
入口栓7aと出口栓7bの粒子状活性炭3側には、粒子状活性炭3を円筒形カラム2内に固定するためのメッシュ5、及びメッシュ5を押圧するシリコン製のOリング6がそれぞれ設けられている。メッシュ5は、ポリエチレン製であり、赤血球が通る孔径を有する。
(円筒形カラム)
円筒形カラム2の材料は、生体適合性の良いポリ塩化ビニル、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、シリコンゴム、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリグリコレート、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の材料から選択されることが好ましい。
なお、本実施形態では円筒形であるが、これに限られない。内部にて粒子状活性炭3を保持でき、本発明が意図する通気圧損の値が得られる筒状の容器であれば、断面が楕円形状や多角形状のものであってもよい。
(粒子状活性炭)
粒子状活性炭3は、円筒形カラム2内に柱状に収納されている。粒子状活性炭3は、薬剤を吸着除去可能であり、特に、赤血球の溶血を低減可能な材料であれば足りる。粒子状活性炭3は、例えば、木炭、ヤシ殻、鋸屑、素灰、木片などの植物系原料、石油ピッチ、石炭ピッチ、石炭コークス、タール泥炭、亜炭などの鉱物系原料及びフェノール樹脂、レーヨン、アクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂などの樹脂素材である活性炭原料を球状化し、不融化、賦活、及びふるい分けすることで形成される。更に、焼成、賦活、整粒、水洗、及び乾燥工程を経ることによって、より真球度が高く硬質になるとともに、マイクロポアが形成される。またあるいは、上記原料を不融化、炭化、整粒、賦活、洗浄、乾燥、破砕、ふるい分けすることにより顆粒状の粒子状活性炭3が形成される。
粒子状活性炭3は、通気圧損を0.005kPa以上、0.030kPa以下に制御する場合において、比表面積が900m/g以上、1800m/g以下であることが望ましい。比表面積が900m/g未満の場合には、薬剤除去率が低下するおそれがある。
ここで、比表面積とは、多孔質体の多孔度の指標であり、多孔質体の細孔表面積を含めた表面積を多孔質体の単位重量当たりに換算した量である。比表面積は、窒素分子の吸着量によるBET法や水銀圧入法などにより、細孔分布を測定して求めることができる。粒子状活性炭3は、特にミクロ孔(8Å〜20Å)、またはメソ孔(20Å〜500Å)に分布のピークがみられるものである。このような分布を有する細孔は、特に低分子不活化薬剤の吸着に優れた性能を発揮する。
粒子状活性炭3は、円筒形カラム2内に、直径D、高さLで収容されており、L/D比が0.5以上、4.4以下であることが好ましい。なお、本実施形態では、円筒形カラム2の内部に粒子状活性炭3が満たされるように充填されているため、粒子状活性炭3の収容状態を規定する直径D、及び高さLは、実質的に円筒形カラム2の内径、及び内部空間における長手方向の寸法と一致している。しかしながら、円筒形カラム2の内部が、より広い場合、例えば、長手方向の寸法が長い場合において、粒子状活性炭3の収容領域を調整することにより、L/D比を0.5以上、4.4以下の範囲にすることも可能である。
ここで、L/D比は、収容された状態の粒子状活性炭3の細長さの指標である。L/D比が0.5以上、4.4以下の範囲では、85%以上の薬剤除去率を得ることができるとともに、溶血を抑えることができる。L/D比のより好ましい範囲は、1.6以上、3.5以下である。L/D比が1.6以上の範囲では、99.5%の薬剤除去率が得られる。また、L/D比が3.5以下の範囲では、血液製剤を導入した際、目詰まりが起こりにくく、ろ過時間が短く処理が済むため好ましい。L/D比が大きすぎると、赤血球と粒子状活性炭3との接触頻度が高くなるため、赤血球表面が障害されやすく溶血しやすくなる傾向がある。逆にL/D比が小さすぎると、円筒形カラム2内に導入された血液製剤の流れに偏りが生じる。これによって、粒子状活性炭3の血液濡れ部分が偏り、濡れない部分の粒子は薬剤除去に寄与できず、十分な薬剤除去率が得られなくなるおそれがある。
粒子状活性炭3は、円筒形カラム2内に、通気圧損が0.005kPa以上、0.030kPa以下となるように充填されることが好ましい。通気圧損が0.005kPaより小さい範囲では、粒子状活性炭3の比表面積や、L/D比が十分高いフィルター設計を実施した場合でも、円筒形カラム2内の粒子間空隙が過大となり、粒子状活性炭3表面の細孔と薬剤との接触頻度が不十分となるため、薬剤除去率は85%より小さくなる。また、通気圧損が0.030kPaより大きい範囲では、円筒形カラム2内に粒子状活性炭3が充填された際、カラム中の粒子間空隙が過小となり、粒子状活性炭3と血球との接触頻度が過剰になるため、血液製剤の溶血を引き起こす。
ここでいう通気圧損とは、円筒形カラム2の入口2aから、通気線速70cm/分以上80cm/分で乾燥空気を流入し、入口2aと出口2bの間の圧力損失を測定した数値である。圧力損失の測定方法は、以下のとおりである。空気を排出する圧気を0.05MPaに調節する。次に圧気流量をマスフローラ―(ESTEC SEC−400)と膜流量計(ESTEC PAC−S5)を用いて上記通気線速の範囲に入るよう調節し、圧気流量を十分安定させた状態で、圧力トランスデューサ(COSMO PT−103B−A)を接続したDPゲージ(COSMO DP−330BA)に表示される圧力の数値を読み取る(バックグラウンド)。その後、圧気流量を十分安定させた圧気を円筒形カラム2の入口2aに差し込み、出口2bから圧気を自由に排出させ、圧気の流れが安定したのちにDPゲージに表示される圧力の数値を再び読み取る。最後に、円筒形カラム2の入口2aに圧気を差し込んだ後の通気圧損からバックグラウンドを差し引いた値をフィルターの通気圧損値として測定する。
本実施形態の粒子状活性炭3は球形であるが、球形以外の形状であっても使用できる。例えば、特開2012−67126号公報、2010−31049号公報等に記載されているような、球形から外れた非対称な断面構造をもつものでもよい。ただし、生産効率の高さの観点から、円形の断面構造である方が好ましい。球形とすることで、吸着能力が均一な薬剤除去フィルター1を大量生産しやすくなる。なお、球状とは、任意の断面のうち、円形、楕円形、非対称な楕円形を少なくとも1つ以上含む形状をいう。任意の断面のすべてが円形、楕円形、非対称な楕円形となる形状であることが好ましい。球形から大きく外れた形状の場合、円筒形カラム2内に充填する際、密に充填できなかったり、意図せず大きな空隙が生じたりすることがある。密に充填できない場合、十分な活性炭表面積が得られず、薬剤除去率が低下するおそれがある。また、大きな空隙が生じた場合、片流れが生じ、粒子状活性炭3の表面の一部が薬剤除去に利用されなくなり、薬剤除去率が低下するおそれがある。
粒子状活性炭3は、粒径の平均値が1.2mm以上、2.5mm以下の粒子であることが好ましい。粒径の平均値が1.2mmより小さいと、空隙の大きさが十分でないため、空隙を血球が通過する際、活性炭と血球との接触による摩擦が大きくなり、溶血するおそれがある。また、粒径の平均値が2.5mmより大きいと、空隙の大きさが十分あるため溶血しにくいが、粒子状活性炭3の表面積が小さくなり、十分な薬剤除去率が得られないおそれがある。
粒子状活性炭3は、ヒドロキシエチルメタクリレート系重合体をはじめとした生体親和性の高い親水化材で被覆されていることが好ましい。このような親水化材は、血液に対して影響がないものであれば、特に限定なくいかなるものでも使用できる。例えば、poly(2−hydroxyethyl methacrylate)(PHEMA)、poly(N−isopropyl acrylamide)(PNIPAAm)、poly(N,N−dimethyl acrylamide)(PDMAAm)、poly(vinyl alcohol)(PVA)、poly(N−vinyl−2−pyrrolidone)(PVP)等が挙げられる。この中でも特に汎用性が高く、生産コストが抑えらえるpoly(2−hydroxyethyl methacrylate)(PHEMA)、poly(N−vinyl−2−pyrrolidone)(PVP)等の合成高分子を素材とする親水化ポリマーが好ましい。
親水化ポリマー被覆により、赤血球と粒子状活性炭3との間の疎水的な付着力が抑制されるため、赤血球表面膜がろ過時に受ける物理的摩擦を減らし、溶血を抑えることができる。粒子状活性炭3は、親水化処理を行った後、更に湿熱滅菌または放射線滅菌を行うことが好ましい。これによって、粒子状活性炭3の表面に架橋が起こり、薬剤除去フィルター1の生産工程で、粒子状活性炭3の表面から粉塵が発生することが抑制される。これに伴い、薬剤除去フィルター1の使用時に、血液製剤に微粒子が混入することも抑制される。
(メッシュ)
メッシュ5は、円筒形カラム2の入口2a及び出口2bに設けられ、粒子状活性炭3を円筒形カラム2内に固定する固定部材として機能している。メッシュ5は、円筒形カラム2の内径と同じ径に打ち抜かれた円形形状をなしている。メッシュ5は、合成高分子材料からなり、血液に対して影響がなければ特に限定なくいかなるものでも使用できる。例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリトリフルオロクロルエチレン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース、セルロースアセテート等が挙げられる。この中でも特に汎用性が高く、安価なポリエチレン、ポリプロピレン等のポリエステルが好ましい。メッシュ5の孔径は、20μm以上、500μm以下が望ましい。孔径が20μm未満の場合、赤血球などの細胞成分が目詰まりを起こし通り抜けられないため、血液製剤の回収自体が困難となる。逆に、孔径が500μmを超える場合は、粒子状活性炭3がメッシュ5を通って漏出し、血液製剤中に混入するリスクがある。より好ましいメッシュ5の孔径は、150μm以上、250μm以下である。
薬剤除去フィルター1のように血液製剤を流入させ、フロー式で粒子状活性炭3のようなフィルター材に接触させるデバイスは、インラインカラムという。インラインカラムを用いる方法は、長時間に渡り血液製剤とフィルター材とを接触させるバッチ式のような振とう装置が必要ない。また、落差により短時間で不活化薬剤除去が完了するため、経済的、かつ作業が効率的であるため好ましい。バッチ式では、活性炭と赤血球との接触時間増加による赤血球表面の損傷により、溶血が引き起こされる傾向があるため、赤血球を含む血液製剤には適さない。
薬剤除去フィルター1の容量は、血液製剤500mlに対し、5〜20mlが望ましい。容量が5ml未満である場合には、薬剤除去に使用できる粒子状活性炭3の表面積が不足し、薬剤の除去効率が低下するおそれがある。容量が20mlを超える場合には、血液製剤が円筒形カラム2や血液回路内に残留することにより、血液製剤の回収率が90%を下回ってしまう。なお、薬剤除去フィルター1の容量とは、例えば、入口接続部4a、出口接続部4b及びOリング6の内側といった粒子状活性炭3が収容されていない部分も含めた容量である。
薬剤除去フィルター1に含まれる粒子状活性炭3は、使用の直前まで乾燥状態である。これにより、常温で滅菌状態を維持することができ、製造後に長期間保管されるような場合でも品質管理が容易である。また、血液製剤が粒子状活性炭3の表面に接触すると、被覆された親水化ポリマーが膨潤し、赤血球との接触による摩擦が減少するため、赤血球を含む血液製剤の溶血を抑制できる。また、親水化ポリマーにより活性炭表面の濡れ性が向上するため、片流れによる薬剤除去効率の低下をきたすことなく、良好な流量を維持しながら血液製剤をろ過することが可能である。
以上のような構成を有する実施形態の薬剤除去フィルター1によれば、比較的高濃度の不活化用の薬剤を有する血液製剤であっても、薬剤を高い除去率で除去できる。更に、この薬剤除去フィルター1によれば、回収される血液製剤の溶血を効果的に防ぐことができる。
また、薬剤除去フィルター1は、使用時において実質的に問題となるような形状変形を起こし得ない材料から成っている。これにより、適切なL/D比を保持し、十分な除去性能を維持することができる。
上述の特許文献1〜3に記載されるような従来の技術の場合、赤血球を含む血液製剤に対する薬剤除去手段としては遠心分離による除去しか実施見込みがないが、実施形態の薬剤除去フィルター1は、落差で血液製剤を処理するのみで良いため処理時間が大幅に減少できる利点がある。
(薬剤除去システム)
次に、実施形態に係る薬剤除去フィルター1を備えて構成される実施形態の薬剤除去システム10について図2を参照して説明する。図2は、薬剤除去システム10の構成図である。
薬剤除去システム10は、薬剤除去フィルター1と、血液製剤を貯留する血液製剤バック(血液製剤貯留手段)11と、薬剤を供給する薬剤供給部12と、不活化用バック13と、薬剤除去後の血液製剤を回収する処理液回収バック(血液製剤回収手段)14と、配管L1〜L5と、クランプC1〜C4と、を備える。
血液製剤は、例えば、全血、濃厚赤血球製剤、血小板製剤、血漿製剤等である。薬剤供給部12は、不活化用バック13に血液チューブなどの配管L1によって接続され、配管L1を通じて不活化用バック13に薬剤を供給する。血液製剤バック11は配管L2に接続され、配管L2は処理開始時に配管L1にSCD接続される。不活化用バック13は、血液製剤バック11及び薬剤供給部12から配管L1、L2を介して全血及び薬剤を受け入れ、不活化処理を行う。
不活化用バック13と薬剤除去フィルター1の入口接続部4a(図1参照)とは、配管L3によって互いに接続され、処理液回収バック14と薬剤除去フィルター1の出口接続部4b(図1参照)は、配管L4によって互いに接続されている。薬剤除去フィルター1には、配管L3を通じ、不活化薬剤を含む血液製剤が供給される。粒子状活性炭3を備えた薬剤除去フィルター1では、血液製剤中に含まれる薬剤を吸着除去する。薬剤を吸着除去された血液製剤は、配管L4を通じて処理液回収バック14に回収される。
また、配管L3、L4は分岐して薬剤除去フィルター1をバイパスする配管L5からなるバイパス経路を形成している。配管L5は、処理液回収バック14の空気抜きに用いられる。クランプC1は、配管L1の不活化用バック13がSCD接続される場所よりも不活化用バック13側に備えられている。また、クランプC2、C3、C4は、それぞれ配管L3、L5、L4に備えられている。
(薬剤除去方法)
続いて、薬剤除去システム10を用いた薬剤除去方法について説明する。
(1)まず、クランプC1、C2、C3、C4がすべて閉じていることを確認する。
(2)血液製剤バック11に接続する配管L2を配管L1にSCD接続する。
(3)クランプC1を開けて配管L1を開通させ、薬剤供給部12から配管L1を通じて薬剤を不活化用バック13に供給するとともに、血液製剤バック11から配管L2,L1を通じて血液製剤を落差によって不活化用バック13に導入する。
(4)配管L1をクランプC1より不活化用バック13側でシールして切り、血液製剤バック11及び薬剤供給部12側の配管L1を捨てる。
(5)不活化用バック13中で薬剤及び血液製剤を混和し、必要に応じて所定時間UV照射してからインキュベート(静置)する。インキュベート中に不活化が起こる。
(6)インキュベート完了後、不活化用バック13中で再度血液製剤を混和し、クランプC2、C4を開けて、不活化用バック13から、血液製剤を、配管L3を通じて薬剤除去フィルター1に送り出し、薬剤除去フィルター1をろ過する。薬剤除去フィルター1でろ過された血液製剤は、配管L4を通じて処理液回収バック14に回収される(薬剤除去工程)。
(7)クランプC3を開けて、配管L5を開通させる。
(8)処理液回収バック14の空気を、空になった不活化用バック13に配管L5を通して逃がす。
(9)クランプC2、C3、C4を閉じる。
(10)シールして、処理液回収バック14を取り出す。
以上、実施形態を参照しつつ本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、つまり、このシステムは、システムの構築例にすぎず、バッグや回路の構築方法、配置、およびシステムの使用条件、方法、手順を限定するものではない。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
(薬剤除去フィルターの作成)
内径が13mm、容量5mLの円筒形カラムであるMoBiTec社ラボラトリーポリエチレンカラムを用いて、粒子状活性炭の静電気を除電ブラシ、除電シートにより除去しつつ、振動させながら、直径D=13mmで、L=21mmの高さまで密に充填した。なお、直径13mmの円形に打ち抜いた、孔径200μmのPEメッシュと外径13mm、内径9mmのシリコン製Oリングを薬剤除去フィルターの入口側、および出口側に挿入することにより、充填された粒子状活性炭を固定し、L/D比が1.6の薬剤除去フィルターを作成した。
(比表面積の測定)
(株)島津製作所の自動比表面積測定装置Tristar3000の測定セルに、PHEMAによって親水化コートされた粒子状活性炭を0.50g入れて密栓し、(株)島津製作所のサンプル脱ガス装置VacPrep061を用いて100ミリTorr以下で60分間脱ガスを行った。吸着ガスは窒素ガスとした。また、吸着温度は、液体窒素温度とした。定容式ガス吸着法によるBET比表面積の測定結果は、1100m/gであった。
(粒径の平均値の測定)
粒子状活性炭の集合体から、無作為に100個をサンプリングし、粒子が重ならず、顕微鏡画像範囲に収まるよう1つのガラスシャーレに、10個ずつ、計10個のシャーレに並べた。そのうち1つのシャーレをKEYENCE社製デジタル顕微鏡VHX−900にセットし、シャーレ底面に対し鉛直上方から光を当て、10個の粒子が一視野に収まるよう、倍率を25倍に合わせた後、標準ゲージを撮影し、正確なスケールを得た。次に、光量、焦点を合わせ、繰り返し10個のシャーレで撮影した後、顕微鏡に接続されたPCの画像解析ソフトを用いて、球の直径測定を行い、相加平均を計算することで粒径の平均値を計算したところ、2.0mmであった。
(通気圧損値の評価)
ESTEC社製マスフローラ―SEC−400と、ESTEC社製膜流量計PAC−S5を用いて通気線速75cm/分に調節した乾燥空気の圧気流量を十分安定させた状態で、COSMO社製圧力トランスデューサPT−103B−Aを接続したCOSMO社製DPゲージDP−330BAに表示される圧力の数値を読み取った(バックグラウンド)。その後、上記流量の圧気を円筒形カラム2の入口2aに差し込み、出口2bから圧気を自由に排出させ、圧気流量が安定した後にDPゲージに表示された圧力の数値を再び読み取った。最後に、円筒形カラム2の入口2aに圧気を差し込んだ後の圧力値から、バックグラウンドを差し引いたところ、0.012kPaであった。
(ろ過による薬剤除去方法)
生理食塩水にメチレンブルーを0.2mM溶解させたろ過前液を、上記薬剤フィルターの入口から流入させ、出口より排出させた。ろ過流速は、市販の白血球除去フィルターの全血ろ過に用いられる際の代表的な線速0.56(ml/分/cm)に合わせ44.7(ml/hr)に設定したシリンジポンプを用いてろ過を実施した。また、ろ過液の回収量は、市販の白血球除去フィルターを全血ろ過に用いる際の代表的な単位ろ材重量当たりの回収容量20.2(ml/g)に合わせた容量(ml)を回収した。
(薬剤除去率の評価)
得られたろ過前後液は、JASCO社製紫外可視分光光度計V−570により644nmの吸光度測定を行った。さらに濃度既知のメチレンブルー溶液により得た検量線を用いて濃度計算を実施し、薬剤除去率を以下の式により求めたところ、除去率は99.5%以上であった。
薬剤除去率(%)=(ろ過後のメチレンブルー濃度mM)/(ろ過前のメチレンブルー濃度mM)×100
(ヒト全血採取および保存条件)
健常人ヒト全血は、ヒト全血100mlに対し、抗凝固剤としてCPD14mlを添加する割合での採血を実施した結果得られた。ヒト全血は、室温22℃で保管し、採取から4時間以内に使用した。
(健常人ヒト全血ろ過条件)
上記方法で採血したろ過前液を、上記薬剤フィルターの入口から流入させ、出口より排出させた。ろ過流速は、市販の白血球除去フィルターの全血ろ過に用いられる際の代表的な線速0.56(ml/分/cm)に合わせ、44.7(ml/hr)に設定したシリンジポンプを用いてろ過を実施した。また、ろ過液の回収量は、市販の白血球除去フィルターを全血ろ過に用いる際の代表的な単位ろ材重量当たりの回収容量20.2(ml/g)に合わせた容量(ml)を回収した。
(上清ヘモグロビン値の測定方法)
溶血の評価は、以下のように行った。ろ過前後の血液を3000rpm、15分間遠心分離することにより、上清を回収した。その後、HemoCue社のPlasma/Low Hb System装置と、専用のキュベットStorage for HemoCue(登録商標)Plasma/Low Hb Microcuvettesを用いて上清Hb(遊離Hb)を測定したところ、0.00g/dLとなった。ここで「溶血が生じない」とは、上清Hb値が0.02g/dLを超えないことを意味する。
以上のように、実施例1の血液処理フィルターでは、L/D比1.6、粒径の平均値2.0mm、比表面積1100m/g、通気圧損0.012kPaとすることにより、薬剤除去率は99.5%以上、上清Hb値は0.00g/dLとなった。
このようにL/D比、通気圧損及び比表面積をそれぞれ適正な値とすることで十分な薬剤除去率が得られた。また、溶血が生じなかった。
(実施例2)
粒子状活性炭を実施例1と同じ円筒形カラムに充填する際、充填高さLを46mmに調整してL/D比を3.5とし、実施例1と同様の方法により測定した通気圧損が0.026kPaであったこと以外は、実施例1と同じ薬剤除去フィルター、及びろ過方法を用いたところ、薬剤除去率は99.5%以上、上清Hb値は0.01g/dLとなった。
このようにL/D比、通気圧損及び比表面積をそれぞれ適正な値とすることで十分な薬剤除去率が得られた。L/D比が実施例1よりも大きいため、通気圧損も実施例1より大きいが、上清Hb値は若干上昇した程度で、「溶血が生じない」範囲内であった。
(実施例3)
粒子状活性炭を実施例1と同じ円筒形カラムに充填する際、充填高さLを6.5mmに調整してL/D比を0.5とし、粒子状活性炭について、実施例1と同様の方法により測定した比表面積が900m/g、粒径の平均値が2.5mm、通気圧損が0.005kPaであったこと以外は、実施例1と同じ薬剤除去フィルター、及びろ過方法を用いたところ、薬剤除去率は85%、上清Hb値は0.00g/dLとなった。
L/D比を下限値、比表面積を下限値、粒径の平均値を上限値、及び通気圧損を下限値とすることで、薬剤除去率は低下したものの許容される値であった。また、溶血が生じなかった。
(実施例4)
粒子状活性炭を実施例1と同じ円筒形カラムに充填する際、充填高さLを57mmに調整してL/D比を4.4とし、粒子状活性炭について、実施例1と同様の方法により測定した比表面積が1800m/g、粒径の平均値が1.2mm、通気圧損が0.030kPaであったこと以外は、実施例1と同じ薬剤除去フィルター、及びろ過方法を用いたところ、薬剤除去率は99.5%以上、上清Hb値は0.02g/dLとなった。
このようにL/D比を上限値、比表面積を上限値、粒径の平均値を下限値、及び通気圧損を上限値とすることで、十分な薬剤除去率が得られた。通気圧損を上限値としたため、上清Hb値は「溶血が生じない」範囲の上限値となった。
(比較例1)
粒子状活性炭を実施例1と同じ円筒形カラムに充填する際、充填高さLを2.6mmに調整してL/D比を0.2とし、粒子状活性炭について、実施例1と同様の方法により測定した比表面積が900m/g、粒径の平均値が2.6mm、通気圧損が0.002kPaであったこと以外は、実施例1と同じ薬剤除去フィルター、及び薬剤除去方法を用いたところ、薬剤除去率は54%、上清Hb値は0.00g/dLとなった。
このようにL/D比を過小、粒径の平均値を過大、及び通気圧損を過小としたため、十分な薬剤除去率が得られなかった。通気圧損が低いため、溶血が生じなかった。
(比較例2)
粒子状活性炭を実施例1と同じ円筒形カラムに充填する際、充填高さLを60mmに調整してL/D比を4.6とし、粒子状活性炭について、実施例1と同様の方法により測定した比表面積が1800m/g、粒径の平均値が1.0mm、通気圧損が0.036kPaであったこと以外は、実施例1と同じ薬剤除去フィルター、及びろ過方法を用いたところ、薬剤除去率は99.5%以上、上清Hb値は0.13g/dLとなった。
このようにL/D比を過大、粒径の平均値を過小、及び通気圧損を過大としたため、十分な薬剤除去率が得られた。しかし、通気圧損が高いため、溶血が生じた。
薬剤除去率、溶血の評価結果を表1に示す。
Figure 0006228807

1…薬剤除去フィルター、2…円筒形カラム(筒状容器)、3…粒子状活性炭、10…薬剤除去システム、11…血液製剤バック(血液製剤貯留手段)、14…処理液回収バック(血液製剤回収手段)。

Claims (4)

  1. 血液製剤中に含まれる不活化対象物を不活化する薬剤を、前記血液製剤から除去する薬剤除去フィルターであって、
    前記血液製剤が導入される入口と、前記血液製剤が排出される出口とを有する筒状容器と、
    前記筒状容器内に収納され、前記薬剤を吸着除去可能な粒子状活性炭と、を備え、
    前記粒子状活性炭は、比表面積が900m/g以上、1800m/g以下であり、粒径の平均値が1.2mm以上、2.5mm以下であり、かつ前記筒状容器内に直径D、高さLで収容され、L/D比が0.5以上、4.4以下であり、
    通気圧損は、0.005kPa以上、0.030kPa以下である、ことを特徴とする薬剤除去フィルター。
  2. 前記粒子状活性炭は、親水化材で被覆されている、ことを特徴とする請求項1に記載の薬剤除去フィルター。
  3. 請求項1又は2に記載の薬剤除去フィルターと、
    前記血液製剤を貯留する血液製剤貯留手段と、
    前記薬剤が前記薬剤除去フィルターによって除去された前記血液製剤を回収する血液製剤回収手段と、を備えていることを特徴とする、薬剤除去システム。
  4. 請求項1又は2に記載の薬剤除去フィルターを用いた薬剤除去方法であって、
    前記血液製剤を前記入口から導入するとともに前記出口から排出し、前記薬剤を除去する薬剤除去工程を備えていることを特徴とする薬剤除去方法。
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