JP6224568B2 - メカニカルシール - Google Patents

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Description

本発明は、シール端面に動圧発生溝が形成されているメカニカルシールに関する。
従来、回転環が回転している間、回転環と固定環が接触しないように、これらのうちのいずれか一方のシール端面に動圧発生溝が形成されているメカニカルシールが知られている。このように構成されたメカニカルシールにおいては、密封領域内にパージガスが供給され、動圧発生溝にパージガスが供給され続けられる。これにより、動圧発生溝により発する動圧によって、回転環と固定環が離れた状態が維持される。
しかしながら、回転環の回転速度が遅い使用環境の場合には、動圧発生溝に供給されるパージガスの量が少なく、動圧が不十分となり、回転環と固定環が接触してしまい易い。また、回転環が取り付けられている回転軸の軸振れが大きな使用環境の場合にも回転環と固定環が接触してしまい易い。
特開2010−65755号公報 特開平6−17941号公報
本発明の目的は、動圧を高めることで、回転環と固定環が接触してしまうことを抑制可能とするメカニカルシールを提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
すなわち、本発明のメカニカルシールは、
互いのシール端面同士が対向して配置される回転環と固定環とを備え、これら回転環及び固定環の径方向の内側と外側のうちのいずれか一方に形成される密封領域にはパージガスが供給されると共に、前記回転環と固定環のうちのいずれか一方のシール端面には、径方向の内側と外側のうち前記密封領域が形成される側に連通する動圧発生溝が形成されているメカニカルシールにおいて、
前記動圧発生溝は、前記密封領域に連通する部分の溝の深さが深くなる段付き溝により構成されると共に、
前記シール端面には、径方向の内側と外側のうち前記密封領域が形成される側の周縁に
沿って環状の切り欠きが形成されており、該切り欠きによって、前記動圧発生溝は、前記密封領域に連通する部分の溝の深さが深くなっていることを特徴とする。
本発明によれば、動圧発生溝はパージガスが供給される密封領域に連通する部分の溝の深さが深いため、動圧発生溝に供給されるパージガスの量を多くすることができる。従って、段付き溝ではない動圧発生溝の場合に比べて、動圧を高めることが可能となる。また、動圧発生溝は段付き溝のため、密封領域に連通する部分の溝の深さが深くても、全体に溝の深さが深い訳ではないので、動圧を発生させるという動圧発生溝本来の機能が失われてしまうこともない。更に、シール端面の全周から、パージガスをシール端面に導入させることが可能となる。
以上説明したように、本発明によれば、動圧を高めることで、回転環と固定環が接触してしまうことを抑制することができる。
図1は本発明の実施例1に係るメカニカルシールを備える密封構造の模式的断面図である。 図2は本発明の実施例1に係る第1メカニカルシールの回転環におけるシール端面の正面図である。 図3は本発明の実施例1に係る第1メカニカルシールの回転環の一部を破断した模式的断面図である。 図4は本発明の実施例1に係る第1メカニカルシールの回転環の模式的断面図の一部である。 図5は本発明の実施例1に係る第1メカニカルシールの回転環の模式的断面図の一部である。 図6は本発明の実施例1に係る第2メカニカルシールの回転環におけるシール端面の正面図である。 図7は本発明の実施例1に係る第2メカニカルシールの回転環の一部を破断した模式的断面図である。 図8は本発明の実施例2に係る第2メカニカルシールの回転環におけるシール端面の正面図である。
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
(実施例1)
図1〜図7を参照して、本発明の実施例1に係るメカニカルシールを備える密封構造について説明する。なお、本実施例においては、撹拌機において、撹拌用の撹拌翼を回転させる回転軸と、ハウジングとの間の環状隙間を密封する密封構造を例にして説明する。
<密封構造全体>
特に、図1を参照して、本発明の実施例に係る密封構造の全体構成について説明する。図1は本発明の実施例1に係るメカニカルシールを備える密封構造の模式的断面図である。なお、図1における断面図は、メカニカルシールや回転軸の中心軸線を含む断面図である。また、本実施例に係る密封構造を構成する各種部材については、後述するスプリング140,230及びピン150,250を除き環状の部材である。
本実施例に係る密封構造は、撹拌機において、不図示の撹拌翼を回転させる回転軸300と、回転軸300の軸孔を有するハウジング400との間の環状隙間を密封するために設けられる。この密封構造は、設置された状態にある撹拌窯500の上部に設けられる。図1中、(A)は大気側であり、(B)は撹拌窯500の内部側である。そして、不図示の撹拌翼は、回転軸300における下方に備えられている。
本実施例に係る密封構造は、タンデム形のメカニカルシールを備えている。ここで、タンデム形とは、メカニカルシールを2個用いる方式で、各々のメカニカルシールが同じ方向を向いている構造(回転環、固定環が軸方向に同じ順番で設けられている構造)をいう。本実施例においては、上方側(大気側)に第1メカニカルシール100が設けられ、下方側(窯の内部側)に第2メカニカルシール200が設けられている。
また、本実施例においては、回転軸300を保護するために、回転軸300の外周には第1スリーブ310が取り付けられ、更に第1スリーブ310の外周に第2スリーブ320が取り付けられている。そして、これらのスリーブと、撹拌窯500に固定されたハウジング400との間の環状隙間が、第1メカニカルシール100及び第2メカニカルシール200によって密封される。
ハウジング400は、ハウジング本体410と、ハウジング本体410と撹拌窯500との間に固定されるフランジ420とを備えている。ハウジング本体410とフランジ420には、それぞれドレイン通路412,421が形成されている。また、ハウジング本体410には、第1メカニカルシール100と第2メカニカルシール200との間の密封領域Rにパージガスを供給するための供給通路411が形成されている。
第1メカニカルシール100は、第1スリーブ310に固定される回転環110と、ハウジング400の内周面に固定されたケース130に対して設けられる固定環120とを備えている。これらの回転環110と固定環120は、互いのシール端面同士が対向して配置される。また、第1メカニカルシール100は、固定環120を回転環110側に向かって付勢するスプリング140を備えている。ここで、回転環110は回転軸300に対して回転しないように構成され、固定環120はハウジング400に対して回転しないように構成されている。より具体的には、回転環110は、第2スリーブ320に固定されたピン150によって、第2スリーブ320に対して回転しないように構成されることで、回転軸300に対して回転しないようになっている。また、固定環120は不図示のピンによって、ハウジング本体410に対して回転しないように構成されることで、ハウジング400に対して回転しないようになっている。
以上の構成により、回転軸300の回転と共に回転環110が回転し、静止状態にある固定環120と回転する回転環110のシール端面同士により密封機能が発揮される。また、スプリング140によって、固定環120が回転環110側に付勢されるため、固定環120と回転環110との間で安定的に密封機能が発揮される。
第2メカニカルシール200は、第1スリーブ310に固定される回転環210と、ハウジング本体410に対して設けられる固定環220とを備えている。これらの回転環210と固定環220は、互いのシール端面同士が対向して配置される。また、第2メカニカルシール200は、固定環220を回転環210側に向かって付勢するスプリング230及びコンプレッションリング240を備えている。ここで、回転環210は回転軸300に対して回転しないように構成され、固定環220はハウジング400に対して回転しないように構成されている。より具体的には、回転環210は、第2スリーブ320に固定されたピン250によって、第2スリーブ320に対して回転しないように構成されることで、回転軸300に対して回転しないようになっている。また、固定環220は不図示のピンによって、ハウジング本体410に対して回転しないように構成されることで、ハウジング400に対して回転しないようになっている。
以上の構成により、回転軸300の回転と共に回転環210が回転し、静止状態にある固定環220と回転する回転環210のシール端面同士により密封機能が発揮される。また、スプリング230及びコンプレッションリング240によって、固定環220が回転
環210側に付勢されるため、固定環220と回転環210との間で安定的に密封機能が発揮される。
なお、密封構造においては、各部材同士を固定するために、ボルトやセットスクリュなどの複数の固定具(不図示)が設けられている。固定具については公知技術であるので、その説明は省略する。更に、密封構造には、各部材同士の隙間を密封するために、複数のOリングOが設けられている。OリングOについても公知技術であるので、その説明は省略する。
<回転環>
特に、図2〜図7を参照して、本実施例に係る回転環について、より詳細に説明する。図2は本発明の実施例1に係る第1メカニカルシールの回転環におけるシール端面の正面図である。図3は本発明の実施例1に係る第1メカニカルシールの回転環の一部を破断した模式的断面図である。なお、図3は回転環の中心軸線を含む面で第1メカニカルシールの回転環の一部を切断した断面図である。図4は本発明の実施例1に係る第1メカニカルシールの回転環の模式的断面図の一部であり、回転環を周方向に切断した断面図の一部を拡大した図である。図5は本発明の実施例1に係る第1メカニカルシールの回転環の模式的断面図の一部であり、回転環を第1螺旋形溝に沿って切断した断面図の一部を拡大した図である。図6は本発明の実施例1に係る第2メカニカルシールの回転環におけるシール端面の正面図である。図7は本発明の実施例1に係る第2メカニカルシールの回転環の一部を破断した模式的断面図である。なお、図7は回転環の中心軸線を含む面で第2メカニカルシールの回転環の一部を切断した断面図である。
まず、図2〜図5を参照して、第1メカニカルシール100における回転環110について説明する。回転環110のシール端面のうち内周面側(径方向の内側(密封領域R側))は、複数の動圧発生溝が形成された動圧発生溝形成部111で構成され、外周面側は平面部113により構成されている。また、回転環110の内周端面付近には、ピン150が挿入されるスリット112が2箇所に設けられている。
そして、本実施例に係る動圧発生溝形成部111は、第1螺旋形溝111aと、第2螺旋形溝111bと、第3螺旋形溝111cとから構成される。また、これら第1螺旋形溝111a、第2螺旋形溝111b、及び第3螺旋形溝111cはそれぞれ隣接し、かつこの順序で周方向に繰り返すように設けられている。また、これらの螺旋形溝は、回転環110の回転方向Xに向かうにつれて外周面側から内周面側に伸びるように構成されている。更に、これらの螺旋形溝は、いずれも外周面側の先端付近においては、外周面側に向かうにつれて幅が徐々に狭くなるように構成されている(図2参照)。これにより、効率的に動圧が発生する。
そして、本実施例に係る螺旋形溝は、いずれも密封領域Rに連通する部分の溝の深さが深くなる段付き溝により構成されている。すなわち、第1螺旋形溝111aは、外周面側の溝浅部111a1と内周面側の溝深部111a2により段付き溝となっている。また、第2螺旋形溝111bは、外周面側の溝浅部111b1と内周面側の溝深部111b2により段付き溝となっている。更に、第3螺旋形溝111cは、外周面側の溝浅部111c1と内周面側の溝深部111c2により段付き溝となっている。
また、本実施例に係る螺旋形溝の溝底は、いずれも平面部113と平行な平面により構成されている。つまり、第1螺旋形溝111aにおける溝浅部111a1及び溝深部111a2と、第2螺旋形溝111bにおける溝浅部111b1及び溝深部111b2と、第3螺旋形溝111cにおける溝浅部111c1及び溝深部111c2は、いずれも平面部113と平行な平面により構成されている。
そして、本実施例においては、回転環110のシール端面には、内周面側の周縁に沿って環状の切り欠きが形成されている。この切り欠きによって、動圧発生溝は、密封領域Rに連通する部分の溝の深さが深くなっている。図2中の円110Lは、この切り欠きにより形成される各螺旋形溝における段差部分を示している。
なお、本実施例においては、各螺旋形溝における溝深さは、例えば次のように設定される。すなわち、第1螺旋形溝111aにおける溝浅部111a1の溝深さはAμmに設定され、溝深部111a2の溝深さはA1(>A)μmに設定される。また、第2螺旋形溝111bにおける溝浅部111b1の溝深さはB(>A1)μmに設定され、溝深部111b2の溝深さはB1(>B)μmに設定される。更に、第3螺旋形溝111cにおける溝浅部111c1の溝深さはC(>B1)μmに設定され、溝深部111c2の溝深さはC1(>C)μmに設定される。
次に、図6及び図7を参照して、第2メカニカルシール200における回転環210について説明する。この回転環210のシール端面のうち外周面側(径方向の外側(密封領域R側))は、複数の動圧発生溝が形成された動圧発生溝形成部211で構成され、内周面側は平面部213により構成されている。また、回転環210の内周端面付近には、ピン250が挿入されるスリット212が2箇所に設けられている。
そして、本実施例に係る動圧発生溝形成部211は、第1螺旋形溝211aと、第2螺旋形溝211bと、第3螺旋形溝211cとから構成される。また、これら第1螺旋形溝211a、第2螺旋形溝211b、及び第3螺旋形溝211cはそれぞれ隣接し、かつこの順序で周方向に繰り返すように設けられている。また、これらの螺旋形溝は、回転環210の回転方向Xに向かうにつれて内周面側から外周面側に伸びるように構成されている。更に、これらの螺旋形溝は、いずれも内周面側の先端付近においては、内周面側に向かうにつれて幅が徐々に狭くなるように構成されている(図6参照)。これにより、効率的に動圧が発生する。
そして、本実施例に係る螺旋形溝は、いずれも密封領域Rに連通する部分の溝の深さが深くなる段付き溝により構成されている。すなわち、第1螺旋形溝211aは、内周面側の溝浅部211a1と外周面側の溝深部211a2により段付き溝となっている。また、第2螺旋形溝211bは、内周面側の溝浅部211b1と外周面側の溝深部211b2により段付き溝となっている。更に、第3螺旋形溝211cは、内周面側の溝浅部211c1と外周面側の溝深部211c2により段付き溝となっている。
また、本実施例に係る螺旋形溝の溝底は、いずれも平面部213と平行な平面により構成されている。つまり、第1螺旋形溝211aにおける溝浅部211a1及び溝深部211a2と、第2螺旋形溝211bにおける溝浅部211b1及び溝深部211b2と、第3螺旋形溝211cにおける溝浅部211c1及び溝深部211c2は、いずれも平面部213と平行な平面により構成されている。
そして、本実施例においては、回転環210のシール端面には、外周面側の周縁に沿って環状の切り欠きが形成されている。この切り欠きによって、動圧発生溝は、密封領域Rに連通する部分の溝の深さが深くなっている。図6中の円210Lは、この切り欠きにより形成される各螺旋形溝における段差部分を示している。
なお、本実施例においては、各螺旋形溝における溝深さは、例えば次のように設定される。すなわち、第1螺旋形溝211aにおける溝浅部211a1の溝深さはDμmに設定され、溝深部211a2の溝深さはD1(>D)μmに設定される。また、第2螺旋形溝
211bにおける溝浅部211b1の溝深さはE(>D1)μmに設定され、溝深部211b2の溝深さはE1(>E)μmに設定される。更に、第3螺旋形溝211cにおける溝浅部211c1の溝深さはF(>E1)μmに設定され、溝深部211c2の溝深さはF1(>F)μmに設定される。
<動作時のメカニズム>
撹拌機が動作中は、回転軸300と共に、第1メカニカルシール100における回転環110及び第2メカニカルシール200における回転環210が回転する。また、供給通路411から密封領域R内にパージガス(窒素ガスなど)が供給される。なお、密封領域R内の流体圧力は、大気側(A)の圧力よりも高く、かつ撹拌窯500の内部側(B)の圧力よりも高くなっており、所定の圧力を維持できるように構成されている。
ここで、第1メカニカルシール100における回転環110のシール端面のうち内周面側には、回転環110の回転方向Xに向かうにつれて外周面側から内周面側に伸びるように構成された複数の螺旋形溝により構成される動圧発生溝形成部111が設けられている。これにより、回転環110が回転している間、各螺旋形溝に沿って、内周面側から外周面側に向かって流れる気流による動圧が発生する。従って、第1メカニカルシール100における固定環120は、スプリング140による付勢力に抗して、回転環110から離れる方向に移動する。以上により、回転環110が回転している間、回転環110のシール端面と固定環120のシール端面との間には微小な隙間が形成される。そのため、これらのシール端面同士が接触してしまうことが抑制され、摺動摩耗が抑制される。
また、第2メカニカルシール200における回転環210のシール端面のうち外周面側には、回転環210の回転方向Xに向かうにつれて内周面側から外周面側に伸びるように構成された複数の螺旋形溝により構成される動圧発生溝形成部211が設けられている。これにより、回転環210が回転している間、各螺旋形溝に沿って、外周面側から内周面側に向かって流れる気流による動圧が発生する。従って、第2メカニカルシール200における固定環220は、スプリング230による付勢力に抗して、回転環210から離れる方向に移動する。以上により、回転環210が回転している間、回転環210のシール端面と固定環220のシール端面との間には微小な隙間が形成される。そのため、これらのシール端面同士が接触してしまうことが抑制され、摺動摩耗が抑制される。
<本実施例に係るメカニカルシールの優れた点>
本実施例に係るメカニカルシールによれば、シール端面に形成された動圧発生溝(螺旋形溝)は、パージガスが供給される密封領域Rに連通する部分の溝の深さが深いため、動圧発生溝に供給されるパージガスの量を多くすることができる。従って、段付き溝ではない動圧発生溝の場合に比べて、動圧を高めることが可能となる。また、動圧発生溝は段付き溝のため、密封領域Rに連通する部分の溝の深さが深くても、全体に溝の深さが深い訳ではないので、動圧を発生させるという動圧発生溝本来の機能が失われてしまうこともない。以上のように、本実施例に係るメカニカルシールによれば、回転軸300の回転速度が遅い使用環境の場合でも、動圧発生溝に供給されるパージガスの量を多くすることができ、十分な動圧を得ることができる。また、回転軸300の軸振れが大きな使用環境の場合でも、動圧を高めることで、シール端面同士が接触してしまうことが抑制される。また、動圧発生溝(螺旋形溝)において、パージガスが供給される密封領域Rに連通する部分の溝の深さ、及び当該部分(深溝部)の径方向の長さを調整することで、パージガスの導入量を調整することができる。
また、本実施時においては、シール端面には、密封領域Rが形成される側の周縁に沿って環状の切り欠きが形成されており、この切り欠きによって、動圧発生溝は、密封領域Rに連通する部分の溝の深さが深くなるように構成されている。従って、シール端面の全周
から、パージガスをシール端面に導入させることが可能となる。
なお、本実施例においては、動圧発生溝の一例として、螺旋形溝の場合を示したが、本発明は、螺旋形溝に限らず、各種動圧発生溝に適用することが可能である。以下、本発明を、ステップ型溝に適用する場合(実施例2)について説明する。ただし、本発明は、これら以外の動圧発生溝にも適用可能である。
(実施例2)
図8には、本発明の実施例2が示されている。上記実施例1では、動圧発生溝が螺旋形溝の場合を示したが、本実施例では、動圧発生溝がステップ型溝の場合について説明する。その他の構成および作用については実施例1と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。また、本実施例においては、第2メカニカルシールの回転環における動圧発生溝に本発明を適用した場合について説明するが、第1メカニカルシールの回転環における動圧発生溝に対しても同様の構成を適用可能である。また、動圧発生溝以外の構成については、実施例1で説明した通りであるので、その説明は省略する。図8は本発明の実施例2に係る第2メカニカルシールの回転環におけるシール端面の正面図である。
本実施例に係る回転環210Xのシール端面のうち外周面側(径方向の外側(密封領域側))は、複数の動圧発生溝が形成された動圧発生溝形成部211Xで構成され、内周面側は平面部213により構成されている。
そして、本実施例に係る動圧発生溝形成部211Xは、第1径方向溝211Xaと、第2径方向溝211Xbと、第3径方向溝211Xcとを備えている。そして、これらは、第1径方向溝211Xa、第2径方向溝211Xb、第3径方向溝211Xcの順に溝の深さが深くなるように構成されている。これにより、パージガスが第3径方向溝211Xcから第2径方向溝211Xbを通り、第1径方向溝211Xaへと流れていくことで、効率的に動圧が発生するようになっている。また、図8中、時計回り方向に、第1径方向溝211Xa、第2径方向溝211Xb、第3径方向溝211Xcの順に隣接して設けられる組と、第3径方向溝211Xc、第2径方向溝211Xb、第1径方向溝211Xaの順に隣接して設けられる組が、交互に配置されている。これにより、回転方向に関係なく、動圧が効率的に発生するようになっている。
そして、本実施例に係る径方向溝は、径方向に真っ直ぐに伸びるように構成されている。また、本実施例に係る径方向溝は、いずれも密封領域に連通する部分の溝の深さが深くなる段付き溝により構成されている。すなわち、第1径方向溝211Xaは、内周面側の溝浅部211Xa1と外周面側の溝深部211Xa2により段付き溝となっている。また、第2径方向溝211Xbは、内周面側の溝浅部211Xb1と外周面側の溝深部211Xb2により段付き溝となっている。更に、第3径方向溝211Xcは、内周面側の溝浅部211Xc1と外周面側の溝深部211Xc2により段付き溝となっている。
また、本実施例に係る径方向溝の溝底は、いずれも平面部213と平行な平面により構成されている。つまり、第1径方向溝211Xaにおける溝浅部211Xa1及び溝深部211Xa2と、第2径方向溝211Xbにおける溝浅部211Xb1及び溝深部211Xb2と、第3径方向溝211Xcにおける溝浅部211Xc1及び溝深部211Xc2は、いずれも平面部213と平行な平面である。
そして、本実施例においては、回転環210Xのシール端面には、外周面側の周縁に沿って環状の切り欠きが形成されている。この切り欠きによって、動圧発生溝は、密封領域に連通する部分の溝の深さが深くなっている。図8中の円210XLは、この切り欠きに
より形成される各径方向溝及び平面部における段差部分を示している。
本実施例においても、上記実施例1と同様の効果が得られることは言うまでもない。
(その他)
上記各実施例においては、動圧発生溝を構成する段付き溝は、いずれも2段で構成される場合を示した。つまり、いずれの段付き溝も、浅溝部と深溝部の2段で構成され、段差が1か所のみ設けられる場合を示した。しかしながら、本発明における段付き溝は、3段以上の複数段で構成することも可能である。
また、上記各実施例においては、回転環に動圧発生溝が設けられている場合を示したが、本発明は、固定環に動圧発生溝が設けられている場合にも適用可能である。
100 第1メカニカルシール
110 回転環
111 動圧発生溝形成部
111a 第1螺旋形溝
111a1 溝浅部
111a2 溝深部
111b 第2螺旋形溝
111b1 溝浅部
111b2 溝深部
111c 第3螺旋形溝
111c1 溝浅部
111c2 溝深部
112 スリット
113 平面部
120 固定環
130 ケース
140,230 スプリング
150,250 ピン
200 第2メカニカルシール
210,210X 回転環
211,211X 動圧発生溝形成部
211a 第1螺旋形溝
211a1 溝浅部
211a2 溝深部
211b 第2螺旋形溝
211b1 溝浅部
211b2 溝深部
211c 第3螺旋形溝
211c1 溝浅部
211c2 溝深部
211Xa 第1径方向溝
211Xa1 溝浅部
211Xa2 溝深部
211Xb 第2径方向溝
211Xb1 溝浅部
211Xb2 溝深部
211Xc 第3径方向溝
211Xc1 溝浅部
211Xc2 溝深部
212 スリット
213 平面部
220 固定環
240 コンプレッションリング
300 回転軸
310 第1スリーブ
320 第2スリーブ
400 ハウジング
410 ハウジング本体
411 供給通路
412,421 ドレイン通路
420 フランジ
500 撹拌窯
O Oリング
R 密封領域

Claims (1)

  1. 互いのシール端面同士が対向して配置される回転環と固定環とを備え、これら回転環及び固定環の径方向の内側と外側のうちのいずれか一方に形成される密封領域にはパージガスが供給されると共に、前記回転環と固定環のうちのいずれか一方のシール端面には、径方向の内側と外側のうち前記密封領域が形成される側に連通する動圧発生溝が形成されているメカニカルシールにおいて、
    前記動圧発生溝は、前記密封領域に連通する部分の溝の深さが深くなる段付き溝により構成されると共に、
    前記シール端面には、径方向の内側と外側のうち前記密封領域が形成される側の周縁に沿って環状の切り欠きが形成されており、該切り欠きによって、前記動圧発生溝は、前記密封領域に連通する部分の溝の深さが深くなっていることを特徴とするメカニカルシール。
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