JP6222966B2 - 基板検査装置および基板検査方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の導体パターンを有する回路基板における各導体パターンの導通状態および絶縁状態を検査する基板検査装置および基板検査方法に関するものである。
この種の基板検査装置として、特開2001−66351号公報に開示された回路基板検査装置が知られている。この回路基板検査装置は、複数のプローブを有するフィクスチャおよび接続計測部を備えて、回路基板における各導体パターン(ランドパターン)の導通検査や各導体パターンの間の絶縁検査を実行可能に構成されている。一方、この種の基板検査装置を用いて、数多くの導体パターンを有する回路基板に対する絶縁検査を行う際の効率を向上させる方法として、1対N方式の絶縁検査が知られている。この1対N方式の絶縁検査では、各導体パターンの中から1つの導体パターンを選択し、検査用信号を出力する電源部における低電位および高電位のいずれか一方に選択対象の導体パターンを接続すると共に、選択対象の導体パターンを除く他の全ての導体パターンを同電位として電源部における低電位および高電位の他方に接続して行う検査を、選択対象の1つの導体パターンを変更しつつ行う。この方法で検査を行うことにより、検査回数を大幅に削減することが可能となる。
この場合、上記の絶縁検査を行う際には、一般的に、各導体パターンにおける予め規定された複数の検査ポイントにプローブをそれぞれ接触させた状態で、全てのプローブと電源部との接続および接続解除をスキャナスイッチ等を用いて行うことによって検査用信号の供給を行う。このような構成を採用することで、各導体パターンの導通検査および上記した絶縁検査の双方を行うことが可能となっている。
特開2001−66351号公報(第3−4頁、第1図)
ところが、上記した従来の基板検査装置には、以下の問題点がある。すなわち、従来の基板検査装置では、回路基板の各導体パターンに設けられている複数の検査ポイントにプローブをそれぞれ接触させ、各プローブの全てを電源部における低電位および高電位のいずれかに接続して絶縁検査を行っている。この場合、数多くの導体パターンを有する回路基板では、検査ポイントの数も多いため、各検査ポイントに接触させるプローブの数、各プローブに接続されているケーブルの数、および各ケーブルに接続されているスキャナスイッチの数もそれぞれ多くなる結果、これらの数多くのプローブ、ケーブルおよびスキャナスイッチの相互間の浮遊容量が大きくなる。したがって、従来の基板検査装置には、このような回路基板に対する絶縁検査を行うときに、検査用信号の供給開始から導体パターン間の電圧が絶縁検査に必要な規定電圧に達するまでの時間が、大きな浮遊容量に起因して長くなり、これによって検査効率が低下するという問題点が存在する。また、上記した浮遊容量が大きいときには、多くの電荷がチャージされることとなるため、チャージされた電荷の放電に起因してスキャナスイッチが故障し易いという問題点も存在する。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、検査効率を向上させると共に故障を防止し得る基板検査装置および基板検査方法を提供することを主目的とする。
上記目的を達成すべく請求項1記載の基板検査装置は、複数の導体パターンを有する回路基板の当該各導体パターンにおける予め規定された複数の検査ポイントにそれぞれ接触しているプローブを介しての当該各導体パターンに対する信号出力部からの検査用信号の供給を制御する制御部と、前記プローブを介して前記検査用信号が前記導体パターンに供給されている状態で検出される物理量に基づいて当該導体パターンの導通検査および当該導体パターンの絶縁検査を実行する検査部とを備えた基板検査装置であって、前記制御部は、前記絶縁検査の実行時において、前記導通検査で導通状態が良好と判定された前記導体パターンについては当該導体パターンの前記各検査ポイントにそれぞれ接触している前記各プローブの1つだけを供給対象として当該1つのプローブを介して前記検査用信号を供給させると共に、前記導通検査で導通状態が不良と判定された前記導体パターンについては当該導体パターンの前記各検査ポイントにそれぞれ接触している前記各プローブの全てを供給対象として当該全てのプローブを介して前記検査用信号を供給させる。
また、請求項記載の基板検査装置は、請求項1記載の基板検査装置において、前記制御部は、前記絶縁検査の実行時において、前記各導体パターンの中から選択した1つの導体パターンにおける前記供給対象のプローブを同電位とした状態で前記検査用信号の低電位および高電位の一方に当該プローブを接続させて当該検査用信号を供給させると共に、前記選択対象の導体パターンを除く他の全ての導体パターンにおける前記供給対象のプローブを同電位とした状態で前記低電位および前記高電位の他方に接続させて前記検査用信号を供給させる接続処理を当該選択対象の導体パターンを変更しつつ実行する。
また、請求項記載の基板検査方法は、複数の導体パターンを有する回路基板の当該各導体パターンにおける予め規定された複数の検査ポイントにそれぞれ接触しているプローブを介しての当該各導体パターンに対する信号出力部からの検査用信号の供給を制御し、前記プローブを介して前記検査用信号が前記導体パターンに供給されている状態で検出される物理量に基づいて当該導体パターンの導通検査および当該導体パターンの絶縁検査を実行する基板検査方法であって、前記絶縁検査の実行時において、前記導通検査で導通状態が良好と判定した前記導体パターンについては当該導体パターンの前記各検査ポイントにそれぞれ接触している前記各プローブの1つだけを供給対象として当該1つのプローブを介して前記検査用信号を供給させると共に、前記導通検査で導通状態が不良と判定した前記導体パターンについては当該導体パターンの前記各検査ポイントにそれぞれ接触している前記各プローブの全てを供給対象として当該全てのプローブを介して前記検査用信号を供給させる。
また、請求項記載の基板検査方法は、請求項記載の基板検査方法において、前記絶縁検査の実行時において、前記各導体パターンの中から選択した1つの導体パターンにおける前記供給対象のプローブを同電位とした状態で前記検査用信号の低電位および高電位の一方に当該プローブを接続させて当該検査用信号を供給させると共に、前記選択対象の導体パターンを除く他の全ての導体パターンにおける前記供給対象のプローブを同電位とした状態で前記低電位および前記高電位の他方に接続させて前記検査用信号を供給させる接続処理を当該選択対象の導体パターンを変更しつつ実行する。
請求項1記載の基板検査装置、および請求項記載の基板検査方法では、絶縁検査の実行時において、導通検査で導通状態が良好と判定された導体パターンについては、その導体パターンの各検査ポイントにそれぞれ接触している各プローブの1つだけを介して導体パターンに検査用信号を供給させる。このため、この基板検査装置および基板検査方法によれば、導体パターンの各検査ポイントに接触している全てのプローブを介して検査用信号を供給させる構成および方法と比較して、供給対象の各プローブの相互間、各プローブに接続されている各ケーブルの相互間、および信号出力部と各ケーブルとの接続を切り替える各スイッチの相互間の浮遊容量を十分に小さく抑えることができる。したがって、この基板検査装置および基板検査方法によれば、導体パターンに対する検査用信号の供給開始から導体パターン間の電圧が絶縁検査に必要な規定電圧に達するまでの時間(浮遊容量に電荷がチャージされるまでに要する時間)を十分に短縮させることができる結果、検査効率を十分に向上させることができる。また、絶縁検査の実行時において、導通検査で導通状態が不良と判定された導体パターンについては、その導体パターンの各検査ポイントにそれぞれ接触しているプローブの全てを介して導体パターンに検査用信号を供給させる。このため、例えば、導体パターンに断線が生じているとしても、その導体パターンの全域に検査用信号を供給させることができるため、導体パターン間の絶縁状態を確実に検査することができる。また、上記した浮遊容量を十分に小さく抑えることができるため、チャージされた電荷を十分に小さく抑えることができる。したがって、この基板検査装置および基板検査方法によれば、チャージされた電荷の放電に起因するスキャナスイッチ等の故障を確実に防止することができる。
また、請求項記載の基板検査装置、および請求項記載の基板検査方法では、絶縁検査の実行時において、導通検査で導通状態が良好と判定された導体パターンの各検査ポイントに接触している各プローブの1つだけを介して導体パターンに検査用信号を供給させる。このため、この基板検査装置および基板検査方法によれば、複数のプローブを介して検査用信号を供給させる構成および方法と比較して、浮遊容量をさらに小さく抑えることができる。したがって、この基板検査装置および基板検査方法によれば、検査効率をさらに向上させることができると共に、スキャナスイッチ等の故障をより確実に防止することができる。
また、請求項記載の基板検査装置、および請求項記載の基板検査方法では、絶縁検査の実行時において、選択した1つの導体パターンにおける供給対象のプローブを同電位とした状態で検査用信号の低電位および高電位の一方に接続させると共に、選択対象の導体パターンを除く他の全ての導体パターンにおける供給対象のプローブを同電位とした状態で検査用信号の低電位および高電位の他方に接続させる接続処理を選択対象の導体パターンを変更しつつ実行する。つまり、この基板検査装置および基板検査方法では、1対N方式で絶縁検査を実行する。したがって、この基板検査装置および基板検査方法によれば、1対1方式で絶縁検査を実行する構成および方法と比較して、検査効率を一層向上させることができる。
基板検査装置1の構成を示す構成図である。 回路基板100の構成を示す構成図である。 基板検査方法を説明する第1の説明図である。 多面付回路基板200の構成を示す構成図である。 基板検査方法を説明する第2の説明図である。
以下、基板検査装置および基板検査方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
最初に、基板検査装置の一例としての図1に示す基板検査装置1の構成について説明する。基板検査装置1は、例えば図2に示す複数の導体パターンP1〜P8(以下、区別しないときには「導体パターンP」ともいう)を有する回路基板100における各導体パターンPの導通状態および絶縁状態を、後述する基板検査方法に従って検査可能に構成されている。具体的には、基板検査装置1は、図1に示すように、基板保持部2、プローブユニット3、移動機構4、スキャナ部5、信号出力部6、検査部7、記憶部8および制御部9を備えて構成されている。
基板保持部2は、保持板と、保持板に取り付けられて回路基板100の端部を挟み込んで固定するクランプ機構(いずれも図示せず)とを備えて、回路基板100を保持可能に構成されている。プローブユニット3は、図1に示すように、複数のプローブ31を備えて治具型に構成されている。この場合、プローブユニット3は、回路基板100の各導体パターンPに予め規定されている複数検査ポイントE(図2参照)に対してプローブ31が1つずつ接触するように、プローブ31の数や配列パターンが規定されている。移動機構4は、制御部9の制御に従い、プローブユニット3を上下方向に移動させることによってプロービングを実行する。
スキャナ部5は、複数のスイッチ(図示せず)を備えて構成され、制御部9の制御に従って各スイッチをオン状態またはオフ状態に移行させることにより、プローブユニット3の各プローブ31と信号出力部6との接続および接続解除、並びに各プローブ31と検査部7との接続および接続解除を行う。
信号出力部6は、図1に示すように、電流信号出力回路61および電圧信号出力回路62を備えて構成されている。電流信号出力回路61は、制御部9の制御に従い、検査用電流信号Si(検査用信号の一例)を生成して出力する。また、電圧信号出力回路62は、制御部9の制御に従い、検査用電圧信号Sv(検査用信号の他の一例:以下、検査用電流信号Siおよび検査用電圧信号Svを区別しないときには「検査用信号S」ともいう)を生成する。
検査部7は、制御部9の制御に従い、プローブユニット3の各プローブ31を介して検査用電流信号Siが回路基板100の導体パターンPに供給されている状態においてプローブ31の間(検査ポイントEの間)に生じる電圧(物理量の一例)を測定して、その測定値に基づいて導体パターンPの導通状態を検査する導通検査を実行する。また、検査部7は、制御部9の制御に従い、各プローブ31を介して検査用電圧信号Svが回路基板100の各導体パターンPに供給されている状態において各導体パターンPの間に流れる電流(物理量の他の一例)を測定して、その測定値に基づいて各導体パターンP間の絶縁状態を検査する絶縁検査を実行する。以下、導通検査および絶縁検査を合わせて「導体パターン検査」ともいう。
記憶部8は、制御部9によって実行される信号供給処理において用いられる導体パターンデータDpを記憶する。この場合、導体パターンデータDpは、回路基板100における導体パターンP毎の検査ポイントEを特定する情報を含んで構成されている。また、記憶部8は、検査部7によって実行される導通検査および絶縁検査の結果を記憶する。
制御部9は、図外の操作部から出力される操作信号に従って基板検査装置1を構成する各部を制御する。具体的には、制御部9は、移動機構4によるプローブユニット3の移動を制御する。また、制御部9は、検査部7に対して導体パターン検査(導通検査および絶縁検査)を実行させる(実行を指示する)。また、制御部9は、検査部7による導体パターン検査の実行時に信号供給処理を実行する。この信号供給処理では、制御部9は、検査部7によって導体パターン検査としての導通検査が実行されるときには、信号出力部6の電流信号出力回路61を制御して検査用電流信号Siを出力させ、検査部7によって導体パターン検査としての絶縁検査が実行されるときには、信号出力部6の電圧信号出力回路62を制御して検査用電圧信号Svを出力させる。
また、制御部9は、この信号供給処理において、スキャナ部5を制御することにより、回路基板100の導体パターンPの各検査ポイントEにそれぞれ接触しているプローブユニット3の各プローブ31と信号出力部6とを接続させてプローブ31を介しての検査用信号Sの供給を制御する。また、この信号供給処理では、制御部9は、検査部7による絶縁検査の実行時において、導通検査で導通状態が良好と判定された導体パターンPについては導体パターンPの各検査ポイントEに接触している各プローブ31のうちの1つだけを供給対象として、そのプローブ31を介して導体パターンPに検査用電圧信号Svを供給させる。また、導通検査で導通状態が不良と判定された導体パターンPについては導体パターンPの各検査ポイントEに接触しているプローブ31の全てを供給対象として、それらのプローブ31を介して導体パターンPに検査用電圧信号Svを供給させる。
次に、基板検査装置1を用いて回路基板100における各導体パターンPの間の絶縁状態および各導体パターンPの導通状態を検査する基板検査方法、およびその際の基板検査装置1の動作について、図面を参照して説明する。
まず、検査対象の回路基板100を基板保持部2における保持板(図示せず)に載置し、次いで、基板保持部2のクランプ機構(図示せず)で回路基板100の端部を挟み込んで固定することにより、回路基板100を基板保持部2に保持させる。続いて、図外の操作部を用いて検査開始操作を行う。この際に、制御部9が、操作部から出力された操作信号に従い、移動機構4を制御してプローブユニット3を下向きに移動させる。これにより、プローブユニット3の各プローブ31の先端部が各導体パターンPの各接続点Eにそれぞれ接触(プロービング)させられる。また、制御部9は、記憶部8から導体パターンデータDpを読み出す。
次いで、制御部9は、検査部7に対して導体パターン検査としての導通検査の実行を指示する。また、制御部9は、信号供給処理を実行する。この信号供給処理では、制御部9は、信号出力部6の電流信号出力回路61を制御して検査用電流信号Siを出力させる。また、制御部9は、読み出した導体パターンデータDpに基づき、回路基板100に設けられている導体パターンPを特定し、そのうちの1つの導体パターンP(例えば、図2に示す導体パターンP1)を選択する。続いて、制御部9は、導体パターンデータDpに基づき、導体パターンP1の検査ポイントE1〜E3(図3参照)を特定する。
次いで、制御部9は、スキャナ部5を制御して、検査ポイントE1〜E3のうちの2つ検査ポイントE(例えば、検査ポイントE1,E2)にそれぞれ接触している各プローブ31の一方を検査用電流信号Siの低電位(信号出力部6の電流信号出力回路61における低電位側の出力端子)に接続させると共に、各プローブ31の他方を検査用電流信号Siの高電位(電流信号出力回路61の高電位側の出力端子)に接続させる。これにより、検査ポイントE1,E2間に検査用電流信号Siが供給される。
続いて、検査部7は、制御部9の指示に従って導通検査を実行する。この導通検査では、検査部7は、検査用電流信号Siの供給に伴って検査ポイントE1,E2の間に生じる電圧を測定する。次いで、検査部7は、電圧の測定値および検査用電流信号Siの電流値に基づいて抵抗値を算出し、その抵抗値と基準値とを比較して検査ポイントE1,E2間の導通状態を検査する。この場合、図3に示すように、検査ポイントE1,E2間に断線がなく正常に繋がっているときには、抵抗値が基準値以下となるため、検査部7は、検査ポイントE1,E2間の導通状態が良好であるとの判定をする。
続いて、制御部9は、検査ポイントE1,E2に代えて検査ポイントE2,E3にそれぞれ接触しているプローブ31を検査用電流信号Siの低電位および高電位にそれぞれ接続させる。また、検査部7は、導通検査を実行して、検査ポイントE2,E3間の導通状態の良否を判定する。この場合、図3に示すように、検査ポイントE2,E3間に断線がなく正常に繋がっているときには、抵抗値が基準値以下となるため、検査部7は、検査ポイントE2,E3間の導通状態が良好であるとの判定をする。
次いで、制御部9は、導通検査対象の導体パターンPを他の導体パターンP(例えば、図3に示す導体パターンP2)に変更して信号供給処理を実行し、検査部7は、導体パターンP2についての導通検査を実行する。この場合、同図に示すように、導体パターンP2の検査ポイントE5,E6間に断線が生じているときには、抵抗値が基準値を超えるため、検査部7は、検査ポイントE5,E6間の導通状態が不良であるとの判定をする。
次いで、制御部9は、導通検査対象の導体パターンPを他の導体パターンPに順次変更して信号供給処理を実行し、検査部7は、導通検査対象の導体パターンPが変更される度に、その導体パターンPについての導通検査を順次実行する。また、制御部9は、検査部7による導通検査の結果を記憶部8に記憶させる。
続いて、制御部9は、全ての導体パターンPについての導通検査が終了したときには、検査部7に対して導体パターン検査としての絶縁検査(一例として、1対N方式での絶縁検査)の実行を指示すると共に、信号供給処理を実行する。この場合、制御部9は、信号供給処理において、信号出力部6の電圧信号出力回路62を制御して検査用電圧信号Svを出力させる。
次いで、制御部9は、記憶部8に記憶されている導通検査の検査結果に基づき、各導体パターンPに対する検査用電圧信号Svの供給に用いるプローブ31(供給対象のプローブ31)を導体パターンP毎に選定する。具体的には、制御部9は、まず、導通検査の検査結果に基づき、各導体パターンPの導通状態が導通検査において良好と判定されたか否かを判別する。
この場合、導通状態が良好と判定された導体パターンPについては、その導体パターンPにおける各検査ポイントEに接触している全てのプローブ31を供給対象として用いることなく、これらのプローブ31の1つだけを供給対象として用いることで、その導体パターンPの全域に検査用電圧信号Svを供給することができる。このため、導通状態が良好と判定された導体パターンPについては、その導体パターンPの各検査ポイントEに接触している各プローブ31のうちの1つだけを供給対象として選定する。具体的には、図3に示すように、断線が発生していない導体パターンP1については、制御部9は、検査ポイントE1〜E3に接触しているプローブ31のいずれか1つだけを供給対象として選定する。
一方、導通状態が不良と判定された導体パターンPについては、その導体パターンPにおける各検査ポイントEに接触している全てのプローブ31を供給対象としなければ、その導体パターンPの全域に検査用電圧信号Svを供給することができないおそれがある。具体的には、図3に示すように、断線が発生している導体パターンP2については、例えば検査ポイントE6に接触しているプローブ31だけを供給対象として検査用電圧信号Svを供給したとしても、導体パターンP1の全域に検査用電圧信号Svを供給することができないため、同図に示す導体パターンP1,P2間の短絡(絶縁状態の不良)を検出することができないこととなる。このため、導通状態が不良と判定された導体パターンPについては、制御部9は、その導体パターンPの各検査ポイントEに接触しているプローブ31の全てを供給対象として選定する。
続いて、各導体パターンPについての供給対象のプローブ31の選定が終了したときには、制御部9は、回路基板100における各導体パターンPの中から1つの導体パターンP(例えば、図2に示す導体パターンP1)を選択する。次いで、制御部9は、選択した導体パターンP1における供給対象のプローブ31(いずれか1つのプローブ31)を検査用電圧信号Svの低電位および高電位のいずれか一方の電位(電圧信号出力回路62における低電位側の出力端子および高電位側の出力端子のいずれか一方)に接続させる。また、制御部9は、選択対象の導体パターンP1を除く他の全ての導体パターンP(図2における導体パターンP2〜P8)における供給対象のプローブ31(導体パターンP2については全てプローブ31、導体パターンP3〜P8については導体パターンP毎に1つのプローブ31)を互いに同電位とした状態で検査用信号Sの低電位および高電位の他方の電位に接続させる(接続処理の実行)。これにより、各プローブ31を介して導体パターンP1と導体パターンP2〜P8との間に検査用電圧信号Svが供給される。
続いて、検査部7は、制御部9による絶縁検査の実行指示(制御の制御)に従い、絶縁検査を実行する。この絶縁検査では、検査部7は、検査用電圧信号Svの供給に伴って導体パターンP1と導体パターンP2〜P8との間に流れる電流を測定する。次いで、検査部7は、電流の測定値および検査用電圧信号Svの電圧値に基づいて抵抗値を算出し、その抵抗値と基準値とを比較して導体パターンP1と導体パターンP2〜P8との間の絶縁状態を検査する。この場合、検査部7は、抵抗値が基準値以上のときには導体パターンP1と導体パターンP2〜P8との間の絶縁状態が良好であるとの判定をし、抵抗値が基準値未満のときには導体パターンP1と導体パターンP2〜P8との間の絶縁状態が不良である(短絡が発生している)との判定をする(この例では、絶縁状態が不良であるとの判定をする)。
上記したように、各プローブ31のうちの1つだけを供給対象として信号出力部6(電圧信号出力回路62)に接続させることで、供給対象の各プローブ31の相互間、各プローブ31に接続されている図外の各ケーブルの相互間、およびスキャナ部5を構成する各スキャナスイッチの相互間の浮遊容量が小さく抑えられる。このため、導体パターンPに対する検査用信号Sの供給開始から導体パターンP間の電圧が絶縁検査に必要な規定電圧に達するまでの時間が十分に短縮される。また、上記した浮遊容量が十分に小さく抑えられるため、チャージされた電荷の放電に起因するスキャナスイッチ等の故障が防止される。
続いて、制御部9は、導体パターンP1に代えて導体パターンP2を選択して、接続処理を実行する。この場合、制御部9は、導体パターンP2における供給対象のプローブ31(全てのプローブ31)を検査用電圧信号Svの低電位および高電位のいずれか一方の電位に接続させる。また、制御部9は、導体パターンP2を除く全ての導体パターンP1,P3〜P8における供給対象のプローブ31(導体パターンP毎に1つのプローブ31)を検査用電圧信号Svにおける他方の電位に接続させる。これにより、各プローブ31を介して導体パターンP2と導体パターンP1,P3〜P8との間に検査用電圧信号Svが供給される。また、検査部7は、絶縁検査を実行して、導体パターンP2と導体パターンP1,P3〜P8との間の絶縁状態の良否を判定する。以下、制御部9は、選択対象の1つの導体パターンPを変更しつつ信号供給処理を実行し、検査部7は、選択対象の1つの導体パターンPが変更される度に絶縁検査を実行する。また、制御部9は、検査部7による絶縁検査の結果を記憶部8に記憶させる。
このように、この基板検査装置1および基板検査方法では、絶縁検査の実行時において、導通検査で導通状態が良好と判定された導体パターンPについては、その導体パターンPの各検査ポイントEにそれぞれ接触している各プローブ31の1つだけを介して導体パターンPに検査用電圧信号Svを供給させる。このため、この基板検査装置1および基板検査方法によれば、導体パターンPの各検査ポイントEに接触している全てのプローブ31を介して検査用電圧信号Svを供給させる構成および方法と比較して、供給対象の各プローブ31の相互間、各プローブ31に接続されている各ケーブルの相互間、およびスキャナ部5を構成する各スキャナスイッチの相互間の浮遊容量を十分に小さく抑えることができる。したがって、この基板検査装置1および基板検査方法によれば、導体パターンPに対する検査用信号Sの供給開始から導体パターンP間の電圧が絶縁検査に必要な規定電圧に達するまでの時間(浮遊容量に電荷がチャージされるまでに要する時間)を十分に短縮させることができる結果、検査効率を十分に向上させることができる。また、絶縁検査の実行時において、導通検査で導通状態が不良と判定された導体パターンPについては、その導体パターンPの各検査ポイントEにそれぞれ接触しているプローブ31の全てを介して導体パターンPに検査用電圧信号Svを供給させる。このため、例えば、導体パターンPに断線が生じているとしても、その導体パターンPの全域に検査用電圧信号Svを供給させることができるため、導体パターンP間の絶縁状態を確実に検査することができる。また、上記した浮遊容量を十分に小さく抑えることができるため、チャージされた電荷を十分に小さく抑えることができる。したがって、この基板検査装置1および基板検査方法によれば、チャージされた電荷の放電に起因するスキャナスイッチ等の故障を確実に防止することができる。
また、この基板検査装置1および基板検査方法では、絶縁検査の実行時において、導通検査で導通状態が良好と判定された導体パターンPの各検査ポイントEに接触している各プローブ31の1つだけを介して導体パターンPに検査用電圧信号Svを供給させる。このため、この基板検査装置1および基板検査方法によれば、複数のプローブ31を介して検査用電圧信号Svを供給させる構成および方法と比較して、浮遊容量をさらに小さく抑えることができる。したがって、この基板検査装置1および基板検査方法によれば、検査効率をさらに向上させることができると共に、スキャナスイッチ等の故障をより確実に防止することができる。
また、この基板検査装置1および基板検査方法では、絶縁検査の実行時において、選択した1つの導体パターンPにおける供給対象のプローブ31を同電位とした状態で検査用電圧信号Svの低電位および高電位の一方に接続させると共に、選択対象の導体パターンPを除く他の全ての導体パターンPにおける供給対象のプローブ31を同電位とした状態で検査用電圧信号Svの低電位および高電位の他方に接続させる接続処理を選択対象の導体パターンPを変更しつつ実行する。つまり、この基板検査装置1および基板検査方法では、1対N方式で絶縁検査を実行する。したがって、この基板検査装置1および基板検査方法によれば、1対1方式で絶縁検査を実行する構成および方法と比較して、検査効率を一層向上させることができる。
なお、絶縁検査の実行時において、導通検査で導通状態が良好と判定された導体パターンPの各検査ポイントEに接触している各プローブ31のうちの1つだけを介して検査用電圧信号Svを供給させる例について上記したが、これらのプローブ31の一部である任意の複数(2つ以上)のプローブ31を介して検査用電圧信号Svを供給させる構成および方法を採用することができる。
また、1対N方式で絶縁検査を実行する際に適用した例について上記したが、1対1方式で絶縁検査を実行する際に適用することができ、この場合においても、上記した各効果を実現することができる。また、M個の導体パターンPを2つのグループに分けて各グループの導体パターンPを検査用電圧信号Svの低電位および高電位にそれぞれ接続して行う絶縁検査をグループ分けの組み合わせを変更しつつN回(Nは(logM)以上であって(logM)に最も近い整数)実行するマルチプル方式での絶縁検査を実行する際に適用することもでき、この場合においても、上記した各効果を実現することができる。
また、上記した回路基板100に代えて、図4に示す多面付回路基板(多面取回路基板)200を検査対象とする場合において、この基板検査装置1および基板検査方法を適用することができる。この場合、回路基板200は、同図に示すように、複数の導体パターンPを有する同種類の複数の単位基板(この例では、9つの単位基板Fa〜Fi)を並べて全体として1枚に形成されている。
このように構成された多面付回路基板200を検査する場合においても、上記したように、絶縁検査の実行時において、導通検査で導通状態が良好と判定された導体パターンP(例えば、図5に示す導体パターンPa1)については各検査ポイントE(同図に示す検査ポイントEa1〜Ea3)に接触している各プローブ31の1つだけを介して検査用電圧信号Svを供給させることで、検査効率を十分に向上させることができると共に、スキャナスイッチ等の故障を確実に防止することができる。
また、このように構成された多面付回路基板200を検査する場合においても、上記したように、導通検査で導通状態が不良と判定された導体パターンP(例えば、図5に示す導体パターンPa2)については各検査ポイントE(同図に示す検査ポイントEa4〜Ea6)に接触しているプローブ31の全てを介して検査用電圧信号Svを供給させることで、その導体パターンPに断線が生じているとしても、導体パターンPの全域に検査用電圧信号Svを供給させることができるため、導体パターンP間の絶縁状態を確実に検査することができる。
1 基板検査装置
5 スキャナ部
6 信号出力部
7 検査部
9 制御部
31 プローブ
61 電流信号出力回路
62 電圧信号出力回路
100 回路基板
200 多面付回路基板
E1〜E6,Ea1〜Ea6 検査ポイント
P1〜P8,Pa2,Pa1 導体パターン
S 検査用信号
Si 検査用電流信号
Sv 検査用電圧信号

Claims (4)

  1. 複数の導体パターンを有する回路基板の当該各導体パターンにおける予め規定された複数の検査ポイントにそれぞれ接触しているプローブを介しての当該各導体パターンに対する信号出力部からの検査用信号の供給を制御する制御部と、前記プローブを介して前記検査用信号が前記導体パターンに供給されている状態で検出される物理量に基づいて当該導体パターンの導通検査および当該導体パターンの絶縁検査を実行する検査部とを備えた基板検査装置であって、
    前記制御部は、前記絶縁検査の実行時において、前記導通検査で導通状態が良好と判定された前記導体パターンについては当該導体パターンの前記各検査ポイントにそれぞれ接触している前記各プローブの1つだけを供給対象として当該1つのプローブを介して前記検査用信号を供給させると共に、前記導通検査で導通状態が不良と判定された前記導体パターンについては当該導体パターンの前記各検査ポイントにそれぞれ接触している前記各プローブの全てを供給対象として当該全てのプローブを介して前記検査用信号を供給させる基板検査装置。
  2. 前記制御部は、前記絶縁検査の実行時において、前記各導体パターンの中から選択した1つの導体パターンにおける前記供給対象のプローブを同電位とした状態で前記検査用信号の低電位および高電位の一方に当該プローブを接続させて当該検査用信号を供給させると共に、前記選択対象の導体パターンを除く他の全ての導体パターンにおける前記供給対象のプローブを同電位とした状態で前記低電位および前記高電位の他方に接続させて前記検査用信号を供給させる接続処理を当該選択対象の導体パターンを変更しつつ実行する請求項1記載の基板検査装置。
  3. 複数の導体パターンを有する回路基板の当該各導体パターンにおける予め規定された複数の検査ポイントにそれぞれ接触しているプローブを介しての当該各導体パターンに対する信号出力部からの検査用信号の供給を制御し、前記プローブを介して前記検査用信号が前記導体パターンに供給されている状態で検出される物理量に基づいて当該導体パターンの導通検査および当該導体パターンの絶縁検査を実行する基板検査方法であって、
    前記絶縁検査の実行時において、前記導通検査で導通状態が良好と判定した前記導体パターンについては当該導体パターンの前記各検査ポイントにそれぞれ接触している前記各プローブの1つだけを供給対象として当該1つのプローブを介して前記検査用信号を供給させると共に、前記導通検査で導通状態が不良と判定した前記導体パターンについては当該導体パターンの前記各検査ポイントにそれぞれ接触している前記各プローブの全てを供給対象として当該全てのプローブを介して前記検査用信号を供給させる基板検査方法。
  4. 前記絶縁検査の実行時において、前記各導体パターンの中から選択した1つの導体パターンにおける前記供給対象のプローブを同電位とした状態で前記検査用信号の低電位および高電位の一方に当該プローブを接続させて当該検査用信号を供給させると共に、前記選択対象の導体パターンを除く他の全ての導体パターンにおける前記供給対象のプローブを同電位とした状態で前記低電位および前記高電位の他方に接続させて前記検査用信号を供給させる接続処理を当該選択対象の導体パターンを変更しつつ実行する請求項記載の基板検査方法。
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