JP6219992B2 - 立体感のある金属調意匠を持つ加飾シート及びその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の一見地に係る立体感のある金属調意匠を持つ加飾シートの製造方法は、熱可塑性樹脂を主材として光を透過する透明フィルム基材と透明フィルム基材に形成された第1光学反射層とを有する被転写シート及び、転写用基材フィルムと転写用基材フィルムの一方主面の側に形成された第2光学反射層を含む反射パターン形成層とを有する転写シートを準備する準備工程と、転写用基材フィルムの一方主面の側を被転写シートに向けて被転写シートに転写シートを重ね、所定の意匠に対応した転写面を持つ転写型を転写用基材フィルムの他方主面側に押し当てて、被転写シートに反射パターン形成層の一部を食い込ませて接着する加圧工程と、被転写シートから転写シートを剥離して被転写シートに食い込んだ反射パターンを被転写シートに転写することにより平面視において所定の意匠を形成する転写工程とを備える。
本発明の一見地に係る加飾シートの製造方法では、加圧工程と転写工程で、所定の意匠に対応した転写面を持つ転写型を転写基材フィルムの他方主面側に押し当てて接着することから、転写パターンの転写の再現性が良くなり、短いリードタイムで環境負荷を小さくできるので、立体感のある金属調意匠を持つ加飾シートを安価に提供することができる。
また、上述の立体感のある金属調意匠を持つ加飾シートの製造方法において、加圧工程では、反射パターンを、透明フィルム基材側に0.5μm以上食い込ませるように構成されてもよい。反射パターンが、透明フィルム基材側に0.5μm以上食い込むことから、再現性が良くなるばかりでなく、形成された加飾シートの金属調意匠の立体感が増して見栄えも良くなる。
本発明の一見地に係る加飾シートでは、反射パターンが、透明フィルム基材側に0.5μm以上食い込んでいることから、微細な立体感のある金属調意匠を持ち且つ安価であるだけでなく、意匠を構成する反射パターンの周囲が強調されて立体感が増して見栄えが良くなっている。
(1)加飾された製品
本発明の第1実施形態に係る加飾シートにより加飾された製品としてスマートフォンを例に挙げて説明する。図1(a)、図1(b)及び図2に示されているように、射出成形によって形成される樹脂ケース51の表面に加飾シート10が形成されて、スマートフォン50が加飾されている。図1(a)に示されているスマートフォン50の樹脂ケース51の表側にある画面52の周囲が、例えば金属調に加飾されている。また、図1(b)に示されているスマートフォン50の裏側も金属調に加飾されている。さらに、スマートフォン50の樹脂ケース51の裏側にロゴマークなどの立体感のある意匠53が描かれている。
加飾シート10は、地模様として金属調の装飾効果を出すために全体に形成された下地金属層22(第1光学反射層の例)と、図1(b)に示されているような模様、文字及び図案などの意匠を描くためのパターン金属層32(第2光学反射層の例)とが、透明フィルム基材23を挟んで離れて配置されることによって、立体感のある金属調意匠が表現されている。
このような立体的な金属調の装飾効果をさらに際立たせるには、パターンを微細化することが望ましい。加飾シート10では、反射パターン30のパターン幅W1(図2参照)は、例えば、数百μmである。
図1(b)のI−I線で切断した断面が図2に示されている。加飾シート10は、樹脂ケース51の上に貼り付けられている。樹脂ケース51の上に、順に、シート接着層21、下地金属層22、透明フィルム基材23、易接着層24、パターン接着層31、パターン金属層32、蒸着アンカー層33、保護層34及び透明インキ層40が形成されている。これらシート接着層21、下地金属層22、透明フィルム基材23、易接着層24、パターン接着層31、パターン金属層32、蒸着アンカー層33、保護層34及び透明インキ層40のうちの互いに隣接する層は直接接触している層である。なお、透明インキ層40は易接着層24にも直接接触している。
これらのうち、シート接着層21、下地金属層22、透明フィルム基材23及び易接着層24が基材蒸着フィルム20を構成し、パターン接着層31、パターン金属層32、蒸着アンカー層33及び保護層34が反射パターン30を構成する。
次に、反射パターン30を構成しているパターン接着層31、パターン金属層32、蒸着アンカー層33及び保護層34について詳細に説明する。
(2−1−1)パターン金属層32
パターン金属層32は、金属で構成された金属光沢を持つ第2光学反射層であり、例えば金属蒸着層で形成される。金属蒸着層としては、例えばアルミニウム蒸着層及び錫蒸着層がある。第2光学反射層であるパターン金属層32には、全ての光を反射する全反射タイプと、一部の光を透過するハーフミラータイプとがある。全反射タイプのパターン金属層32では、実質的にほぼ全ての光を反射するために、例えば300Å〜500Åの範囲内で設定された厚さを有している。ハーフミラータイプのパターン金属層32は、一部の光を反射すると同時に一部の光を透過するために、例えば150Å〜200Åの範囲内で設定された厚さを有している。
パターン接着層31は、パターン金属層32と易接着層24とを接着するための層である。パターン接着層31は、例えば0.1μm〜1μmの範囲内で厚みが設定され、例えば0.5μmである。パターン接着層31は、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、又は塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を主材として形成される。副材として、例えば接着力を向上させるための高分子材料が含まれてもよい。ここで、主材とは、材料全体の重量の半分をその材料が占めるものである。パターン接着層31は、例えば、溶剤に溶解した樹脂を塗って乾燥したり熱で融解した樹脂を塗って固化したりすることにより形成される。樹脂を塗る技術には、例えばコーティング技術及び印刷技術がある。コーティング技術としては、例えばコンマコート法がある。印刷技術としては、例えばグラビア印刷及びオフセット印刷がある。
蒸着アンカー層33は、パターン金属層32の接着性を高めるための層である。パターン金属層32が形成されるとき、転写されるまでの間及び転写されるときに、蒸着アンカー層33は、パターン金属層32の形態の保持を補助する役割を果たす。パターン金属層32と結合する前の蒸着アンカー層33は、金属と結合する官能基を持つ化合物を含んでいる層であり、例えば、金属と結合する官能基としてイソシアネート基を持つ化合物を使って構成される。パターン金属層32と結合する前の蒸着アンカー層33は、例えばアクリル系樹脂とイソシアネートを含んで構成される。加飾シート10の蒸着アンカー層33では、既にイソシアネートと金属が化合して別の物質に変化している。
(2−1−4)保護層34
保護層34は、比較的硬度が高く傷つき難い透明の樹脂を用いて形成される。保護層34に用いられる樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ユリア系樹脂及びメラミン系樹脂がある。保護層34は、例えば0.1μm〜0.8μmの範囲内で厚みが設定される。
次に、基材蒸着フィルム20を構成しているシート接着層21、下地金属層22、透明フィルム基材23及び易接着層24について詳細に説明する。
(2−2−1)透明フィルム基材23
透明フィルム基材23は、熱可塑性樹脂で形成される。透明フィルム基材23を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレン樹脂及びポリプロピレン樹脂がある。透明フィルム基材23は、例えば、10μm〜100μmの範囲内で厚みが設定され、例えば20μmである。
(2−2−2)易接着層24
易接着層24は、転写時に、透明フィルム基材23とパターン接着層31との接着が容易に行えるようにするための層である。従って、易接着層24は、透明フィルム基材23よりもパターン接着層31と接着し易い材質で形成されている。易接着層24は、例えば熱可塑性樹脂又はUV(紫外線)硬化性樹脂で形成される。易接着層24を構成する熱可塑性樹脂には、例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂又は塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を用いることができる。易接着層24を構成するUV硬化性樹脂には、例えばエポキシアクリレート系樹脂、ウレタンアクリレート系樹脂を用いることができる。易接着層24の厚さは、例えば0.1μm〜10μmの範囲内で設定され、例えば5μmである。
下地金属層22もパターン金属層32と同様に、金属で構成された金属光沢を持つ第1光学反射層であり、例えば金属蒸着層で形成される。金属蒸着層としては、例えばアルミニウム蒸着層及び錫蒸着層がある。第1光学反射層である下地金属層22は、全反射タイプがある。下地金属層22の厚みも、パターン金属層32の全反射タイプと同様に設定できる。
図2には、透明フィルム基材23に下地金属層22が直接形成されている場合が示されているが、透明フィルム基材23と下地金属層22との間に上述の蒸着アンカー層33のような下地金属層22の密着力を強化する層を設けてもよい。
(2−2−4)シート接着層21
シート接着層21は、下地金属層22と樹脂ケース51とを接着するための層である。シート接着層21は、例えば0.1μm〜5μmの範囲内で厚みが設定され、例えば1μmである。シート接着層21は、例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体又はウレタン系樹脂を主材として形成される。副材として、例えば接着力を向上させるための高分子材料が含まれてもよい。シート接着層21は、例えば、溶剤に溶解した樹脂を塗って乾燥したり熱で融解した樹脂を塗って固化したりすることにより形成される。樹脂を塗る技術には、例えばコーティング技術及び印刷技術がある。コーティング技術としては、例えばコンマコート法がある。印刷技術としては、例えばグラビア印刷及びオフセット印刷がある。
透明インキ層40は、透明の樹脂で形成される。透明インキ層40に用いられる樹脂としては、例えばUV硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂がある。透明インキ層40に用いられるUV硬化性樹脂としては、例えばエポキシアクリレート系樹脂及びウレタンアクリレート系樹脂がある。また、透明インキ層40に用いられる熱硬化性樹脂としては、例えばユリア系樹脂及びメラミン系樹脂がある。透明インキ層40は、着色されていてもよい。透明インキ層40を着色するときは、例えば着色インキを用いることができる。着色インキとしては、例えば顔料又は染料を着色剤として含有するものを用いることができる。
図3(a)乃至図3(d)には、加飾シート10の製造フローの概要が模式的に示されている。なお、図3(a)乃至図3(d)においては、見難くなるのを避けるために一部の層の記載が省略されている。図3(a)に示されている転写用基材フィルム36を準備する。図3(a)には示されていないが、この転写用基材フィルム36の一方主面36aの側にパターン金属層32を含む反射パターン形成層61(図4参照)が形成されるため、反射パターン30を転写し易くする目的で、一方主面36aにワックスを含む剥離層35(図4参照)が形成される。ワックスとしては、例えばポリエチレンワックス又はパラフィンワックスが用いられる。剥離層35は、熱可塑性樹脂とワックスとからなるもの及び硬化性樹脂とワックスとからなるものがある。剥離層35は、例えば0.1μm以下の厚みを有する。剥離層35の形成は、例えばコート法又は印刷法を用いて行うことができる。
剥離層35が形成された後に、図3には示されていないが、保護層34及び蒸着アンカー層33(図4参照)が順次形成される。その後さらに、図3(b)に示されているように、転写用基材フィルム36の一方主面36aの側に金属膜が蒸着されてパターン金属層32(第2光学反射層の例)が形成される。図3(b)には示されていないが、そのパターン金属層32の上にパターン接着層31(図4参照)が形成される。このような工程を経て、図4に示されている転写シート60が形成される。また、図3(b)に示されている準備工程では、転写シート60に加えて基材蒸着フィルム20(被転写シートの例)も準備されている。図5に示されているように、基材蒸着フィルム20においては、透明フィルム基材23の一方主面23aの側に下地金属層22(第1光学反射層の例)が形成されている。
このとき、転写ロール70は転写シート60の他方主面60bから押し当てられており、基材蒸着フィルム20と転写シート60に転写ロール70と弾性ロール80から圧力が加わると同時に、転写ロール70から熱が加わる。転写ロール70の温度は、例えば160℃〜200℃の範囲内で設定されている。転写ロール70は、断面円弧状に湾曲した転写面71を持っている。この転写面71は凸版構造である。この転写面71においては、意匠53に対応する部分が突出している。この転写ロール70と平行に弾性ロール80が配置される。弾性ロール80の外周には弾性体81が取り付けられている。弾性体81は、例えばゴムであり、この場合の弾性ロール80はゴムロールである。転写ロール70と弾性ロール80から基材蒸着フィルム20と転写シート60に高い圧力が加えられる。その結果、基材蒸着フィルム20に反射パターン形成層61の一部、つまり転写したい反射パターン30が食い込む。
加飾シート11には、シート接着層21が形成されていない。また、加飾シート11には、透明インキ層40が形成されていない。加飾シート11を完成品として流通させてもよいが、加飾シート11を加工して、シート接着層21及び透明インキ層40が形成されている加飾シート10を製造してもよい。加飾シート11から加飾シート10を製造するには、印刷法又はコート法を用いて加飾シート11にシート接着層21及び透明インキ層40を形成する。
上述のように、基材蒸着フィルム20(被転写シートの例)と転写シート60は、予め製造してストックしておくことができる。従って、加飾シート10,11の意匠が決まって転写ロール70(転写型)などの準備ができてから加飾シート10,11を製造するのに必要な時間つまりリードタイムの主要部は、準備工程から転写工程までに要する時間である。加圧工程と転写工程は、転写ロール70及び弾性ロール80を回転させて、その回転速度に合わせて基材蒸着フィルム20と転写シート60を移動させるだけであるので、エッチングやレーザ加工に比べれば短い時間で終えることができる。同一ライン内で、シート接着層21及び透明インキ層40を形成できるように製造ラインを形成すれば、基材蒸着フィルム20のロールと転写シート60のロールの巻き出しから加飾シート10の巻取りまでを考えると、シート接着層21及び透明インキ層40の形成工程を設けてもリードタイムは大きくは変わらない。また、エッチングに比べれば、洗浄のための水の使用や廃液の処理などを省くことができるので、環境負荷も低減されている。このように製造時のリードタイムの短縮と環境負荷の低減が、加飾シート10,11の製造コストの低下に寄与している。
第1実施形態による製造方法を用いて製造された立体感のある金属調意匠を持つ加飾シート11の一例と、従来の製造方法により製造された立体感のある金属調意匠を持つ加飾シートの一例について、粗さ計を用いて測定した結果を図6及び図7に示す。図6に示されている加飾シート11では、反射パターン30が基材蒸着フィルム20に食い込んでいることが分かる。反射パターン30が基材蒸着フィルム20に食い込んでいる食い込み量E1は、1.0μmから0.8μm程度である。それに対して、従来の製造方法により製造された図7に示されている加飾シート110では、このような食い込みは見られない。
食い込み量E1は、基材蒸着フィルム20の表面20aから反射パターン30のパターン接着層31の表面までの高さである。上記実施形態では、易接着層24の表面から反射パターン30のパターン接着層31の表面までの高さが食い込み量E1になる。このように反射パターン30が基材蒸着フィルム20に食い込んでいることにより、基材蒸着フィルム20の表面20aが陥没する。そして、断面視において、基材蒸着フィルム20の表面20aが反射パターン30の方を向くように傾斜する。この基材蒸着フィルム20の表面20aの変形によって反射パターン30の見え方が変化する。
次に、第1実施形態による製造方法を用いて製造された立体感のある金属調意匠を持つ加飾シートと、従来の製造方法により製造された立体感のある金属調意匠を持つ加飾シートの見栄えの違いを図8と図9とを用いて説明する。図8に示されている第1実施形態に係る反射パターン30の写真からは、意匠を構成する反射パターン30の周囲が強調されて立体感が増していることが分かる。それに対して、図9に示されている従来の反射パターン130の写真からは、全体として浮き出た感じがあるものの、図8に示されている第1実施形態に係る反射パターン30に比べれば、立体感が劣るものとなっている。図8に示されている見栄えを得るには、反射パターン30の食い込みが0.5μm以上であることが好ましい。
(5)加飾シート12の構成
図10には、第2実施形態に係る加飾シート12の断面構造の一例が示されている。第2実施形態に係る加飾シート12の構成において、第1実施形態の加飾シート10と異なる点は、下地金属層22の配置位置である。下地金属層22の配置位置を説明するため、第1実施形態において反射パターン30が形成される側を透明フィルム基材23の一方主面23aと呼び、その反対側を他方主面23bと呼ぶ。第1実施形態では、下地金属層22が透明フィルム基材23の一方主面23aの側に形成されていたが、第2実施形態の加飾シート12においては下地金属層22が透明フィルム基材23の他方主面23bの側に形成される。加飾シート12の下地金属層22は、透明フィルム基材23と易接着層24との間に形成されている。なお、透明フィルム基材23と易接着層24の厚さによって下地金属層22とパターン金属層32が隔てられることにより、パターン金属層32で描かれる意匠が立体的に見えることから、第1実施形態よりも第2実施形態の透明フィルム基材23と易接着層24とを厚く形成することが好ましい。
なお、第2実施形態の加飾シート12を構成する各層が第1実施形態の加飾シート10を構成する各層と同様であるため、第2実施形態の加飾シート12を構成する各層についての詳細な説明は省略する。
第2実施形態の加飾シート12の製造方法も、第1実施形態の加飾シート10の製造方法と同様に、準備工程と、加圧工程と、転写工程とを備えている。また、転写工程の後に、印刷法又はコート法を用いてシート接着層21及び透明インキ層40を形成する点も、第1実施形態の加飾シート10の製造方法と同様である。
第2実施形態の加飾シート12の製造方法で使用される基材蒸着フィルム90は、図10に示されているように、透明フィルム基材23、下地金属層22及び易接着層24が順に積層されたものである。基材蒸着フィルム20に替えて基材蒸着フィルム90を用いて、上述の加飾シート10の製造方法と同様の工程を経ることにより、加飾シート12を製造することができる。
第2実施形態に係る立体感のある金属調意匠を持つ加飾シート12においても、図11に示されている第2実施形態に係る反射パターン30は、模様を構成する反射パターン30の周囲が強調されて立体感が増していることが分かる。図11に示されている見栄えを得るには、反射パターン30の食い込みが0.5μm以上であることが好ましい。
以上、本発明の第1実施形態及び第2実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
(8−1)
上記第1実施形態及び第2実施形態において、下地金属層22及び/又はパターン金属層32は、ホログラムであってもよい。図12(a)〜図12(d)には、下地金属層22をホログラムとする場合の形成方法の概要が示されている。ホログラムを大量生産するには、図12(a)に示されているスタンパ210が使用される。スタンパ210は、例えば、金属板上に塗布された光硬化樹脂に干渉縞を露光し、離型用に硝酸銀の還元反応により銀メッキを施して形成される。また、スタンパ210は、例えば、表面に無電解ニッケルメッキカニゼンメッキを施すことによって耐久性が付与され、裏面を銅の電鋳によって裏打ちされる。ホログラムが形成される透明フィルム基材23には、UV硬化樹脂220が塗布される。
図12(b)に示されるように、透明フィルム基材23のUV硬化樹脂220に対してスタンパ210がプレスされた状態で、透明フィルム基材23の側から紫外線が照射される。紫外線でUV硬化樹脂220が硬化した後、図12(c)に示されているようにスタンパ210が離型される。次に、スタンパ210により凹凸が形成されたUV硬化樹脂220の上に金属が蒸着され(図12(d)参照)、ホログラムである下地金属層22Aが形成される。
同様にして、パターン金属層32をホログラムとすることもできる。また、パターン金属層32及び下地金属層22の両方をホログラムとしてもよい。
図2に示されている易接着層24と透明フィルム基材23との間には、他の層が設けられていない場合が示されているが、他の層が設けられてもよい。他の層としては、例えば、インキで図柄が描かれた図柄層がある。
(8−3)
上記第1実施形態及び第2実施形態では、易接着層24を用いる場合について説明したが、易接着層24を省いてもよい。
(8−4)
上記第1実施形態及び第2実施形態では、第1光学反射層及び第2光学反射層が金属層で形成される場合について説明したが、光を反射して金属調の光沢を表すものであれば金属層以外の層で第1光学反射層及び第2光学反射層を形成してもよい。例えば、第1光学反射層及び第2光学反射層を、金属光沢を示す有機金属で形成してもよい。
上記第1実施形態及び第2実施形態では、断面円弧状に湾曲した転写面71を持つ転写ロール70を転写型として用いる場合について説明したが、転写面は、断面円弧状に限られるものではなく、転写型から転写用基材フィルムに高い圧力を転写時に安定して掛けられるように転写面が凸状に湾曲していることが好ましい。このように安定して高い圧力を掛けられることで、微細な意匠の全体にムラなく良好な立体感を付与することができる。また、転写型の回動動作は、転写ロール70のように連続的に同じ方向に回転するものに限られるものではなく、例えば振り子のような往復動作も回動動作に含まれる。
上述の変形例では、転写面が凸状に湾曲しているものを用いたが、転写面が平坦な凸版構造の転写型を用い、転写シートと被転写シートを平坦なゴム板と転写型の間に挟んでプレスするようにしてもよい。
20,90 基材蒸着フィルム(被転写シートの例)
22,22A 下地金属層(第1光学反射層の例)
23 透明フィルム基材
24 易接着層
31 パターン接着層
32 パターン金属層(第2光学反射層の例)
36 転写用基材フィルム
40 透明インキ層
60 転写シート
61 反射パターン形成層
70 転写ロール(転写型の例)
71 転写面
80 弾性ロール
Claims (6)
- 熱可塑性樹脂を主材として光を透過する透明フィルム基材と前記透明フィルム基材に形成された第1光学反射層とを有する被転写シート及び、転写用基材フィルムと前記転写用基材フィルムの一方主面の側に形成された第2光学反射層を含む反射パターン形成層とを有する転写シートを準備する準備工程と、
前記第2光学反射層側と前記透明フィルム基材側とが向き合うように、前記被転写シートに前記転写シートを重ね、所定の意匠に対応した転写面を持つ転写型を前記転写用基材フィルムの他方主面の側に押し当てて、前記被転写シートの前記透明フィルム基材に前記反射パターン形成層の一部を食い込ませて接着する加圧工程と、
前記被転写シートから前記転写シートを剥離して前記被転写シートの前記透明フィルム基材に食い込んだ反射パターンを前記被転写シートに転写することにより平面視において前記所定の意匠を形成する転写工程とを備える、立体感のある金属調意匠を持つ加飾シートの製造方法。 - 熱可塑性樹脂を主材として光を透過する透明フィルム基材と前記透明フィルム基材に形成された第1光学反射層と前記透明フィルム基材又は前記第1光学反射層の上に形成された易接着層とを有する被転写シート及び、転写用基材フィルムと前記転写用基材フィルムの一方主面の側に形成された第2光学反射層を含む反射パターン形成層とを有する転写シートを準備する準備工程と、
前記第2光学反射層側と前記易接着層側とが向き合うように、前記被転写シートに前記転写シートを重ね、所定の意匠に対応した転写面を持つ転写型を前記転写用基材フィルムの他方主面の側に押し当てて、前記被転写シートの前記易接着層に前記反射パターン形成層の一部を食い込ませて接着する加圧工程と、
前記被転写シートから前記転写シートを剥離して前記被転写シートの前記易接着層に食い込んだ反射パターンを前記被転写シートに転写することにより平面視において前記所定の意匠を形成する転写工程とを備える、立体感のある金属調意匠を持つ加飾シートの製造方法。 - 前記転写型が転写ロールであって、前記転写ロールと平行に弾性ロールが配置され、
前記準備工程で準備される前記転写シートの前記反射パターン形成層には、前記被転写シートに接触する面に接着層が形成されており、
前記加圧工程では、前記転写ロールで加熱して前記転写ロールと前記弾性ロールにより挟んで圧力を加えることにより、前記反射パターンを食い込ませて接着する、請求項1又は請求項2に記載の立体感のある金属調意匠を持つ加飾シートの製造方法。 - 前記加圧工程では、前記反射パターンを0.5μm以上食い込ませる、請求項1から請求項3のいずれかに記載の立体感のある金属調意匠を持つ加飾シートの製造方法。
- 熱可塑性樹脂を主材として光を透過する透明フィルム基材と、
前記透明フィルム基材の一方主面に形成された第1光学反射層と、
平面視において所定の意匠を描くための第2光学反射層を含み、前記透明フィルム基材の他方主面に食い込んだ反射パターンとを備え、
前記第1光学反射層と前記第2光学反射層は、前記透明フィルム基材によって隔てて配置され、
前記透明フィルム基材は、その表面が前記反射パターンの周囲で前記反射パターンの方を向くように傾斜した、立体感のある金属調意匠を持つ加飾シート。 - 熱可塑性樹脂を主材として光を透過する透明フィルム基材と、
前記透明フィルム基材に形成された第1光学反射層と、
前記透明フィルム基材又は前記第1光学反射層の上に形成された易接着層と、
平面視において所定の意匠を描くための第2光学反射層を含み、前記易接着層に食い込んだ反射パターンとを備え、
前記易接着層は、その表面が前記反射パターンの周囲で前記反射パターンの方を向くように傾斜した、立体感のある金属調意匠を持つ加飾シート。
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