JP5742518B2 - 高意匠性インモールド転写フィルムおよび高意匠性インモールド成型品 - Google Patents
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Description
本発明により、ホログラムや光輝性パターンの任意の図柄をインモールド転写フィルムの任意の部分に設けることが可能となり、従来にない高意匠性インモールド転写フィルムや高意匠性インモールド成型品を得ることができる。
なお、本明細書では、電離放射線硬化性樹脂とは電離放射線を照射しない硬化する前の前駆体であり、電離放射線を照射して硬化したものを電離放射線硬化樹脂と呼ぶ。
レジンタイプの溶融転写材料は、もともとは各種カード類への記録に使われている。カード類は読み取り装置やゲートなどに出し入れされるため、記録された図柄や文字の耐久性が必要である。レジンタイプの溶融転写材料は耐久性があり、軟化することはあっても熱で融けることはないので本発明で使用される。通常では転写しにくい材料ではあるが、剥離層や接着層等を設けるなどの層構成により、サーマルヘッドで転写が可能となる。
また、ホログラムにはレリーフ型ホログラムと、体積型ホログラムがあり本発明に利用されるのはレリーフ型ホログラムである。レリーフ型ホログラムは、レーザー光線を物体に当てて反射してくる物体光と、レーザーの参照光が重なってできる干渉縞を、微小な凹凸に変換してその表面にアルミなどの反射層を蒸着したものである。光輝性パターンもマイクロオーダーのレリーフ形状で、反射層との作用で特異な光学的な意匠性を有する効果を持つ。そのため、包装材料に特殊な意匠を付与する方法として利用されてきた。
しかしながら特許文献1に記載のホログラムは、インモールド転写フィルム上にサーマルヘッドで転写されたものではなく、本発明を示唆する記述もない。
しかしながら、転写の対象とするものはカード類の平面への転写であり、本発明のような、立体物の曲面への転写ではない。
さらに、ホログラムや回折格子などのレリーフ構造を、カード類などの物品にサーマルヘッドで転写できる転写フィルムは、例えば特許文献3に記載されている。しかしながら記載されている転写サイズの最小の面積は段落番号(0090)に記載されている0.04mm2の面積のドットであり、本発明のような高い解像度でホログラムや光輝性パターンの図柄を転写させるようなものではない。
また、パッチ状にハーフカットされたあらかじめ形状が決められたホログラムや光輝性パターンは、カード類などの平面上には転写できるが、スタンプ法で立体成型品に直接転写することはできなかった。また、スタンプでベースフィルムに転写することは可能であるが、別工程となりコストアップとなる。また曲面への熱転写プレス機の購入などの、初期費用も余分にかかることになる。
そこで本発明はインモールド成型において、カラー図柄と共に高解像度のホログラムや光輝性パターンの図柄をインモールド転写フィルムの任意の部分に設けることにより、従来にない高意匠性インモールド転写フィルムを提供しようとするものである。また、該転写フィルムを利用して、高意匠性インモールド成型品を提供しようとするものである。
成型樹脂/接着層(必要に応じ)/カラー図柄/ホログラムや光輝性パターンの図柄/接着層/ハードコート層
両図柄内にはそれぞれの転写フィルムにおける層構造が存在するが、ここでは省略している。その他、インモールド転写フィルムには必要に応じて、プライマー層、接着層、反射層、表面保護層などがあっても良い。
レリーフタイプの該図柄が不透明金属を蒸着した反射型ホログラムや反射型光輝性パターンであれば、反射ホログラムや反射型光輝性パターンの図柄を網点で形成するか、図柄の形成を全面ではなく部分的にすることにより、下に形成されている溶融転写材料の図柄を見ることができる。
このようにして本発明では、任意のカラーやモノクロの図柄とホログラムや光輝性パターンの任意の図柄を持つ、高意匠性インモールド転写フィルムを得ることができる。該転写フィルムを用いるインモールド成型で、カラーまたはモノクロの図柄とホログラムや光輝性パターンの図柄で加飾された、従来にない高意匠性成型品を得ることができる。
例えば、DNPという図柄を網点面積率70%で転写した場合と、網点面積率40%で転写した場合、同じDNPという図柄であっても反射強度が異なり、異なる意匠性を付与することができる。
本発明のように、ホログラムや光輝性パターンの図柄を75lpiの線数で、網点形状で転写することにより、成型品の形状に応じて光り方が変化し、かつ網点面積率に応じた輝度の制御が可能となり、ホログラムや光輝性パターンの図柄がカラーまたはモノクロの図柄の上部にあっても下地の色や画像を透けてみせることが可能となった。
図1は、インモールド転写フィルムのベースフィルム31の模式断面図である。1は接着層、2はハードコート層、3は離型層、4は基材である。
構成として、基材4/離型層3/ハードコート層2/接着層1、となる。
構成として、耐熱滑性層5/基材6/剥離層7/ホログラムや光輝性パターンを形成する樹脂層8/金属反射層または透明反射層16/接着層9、となる。
構成として、耐熱滑性層10/基材11/剥離層12/カラーインキ層13、となる。
転写時の接着性を改善するため、カラーインキ層の上に接着層を設けることもある。
構成として、基材4/離型層3/ハードコート層2/接着層1/ホログラムや光輝性パターンの任意の図柄21、となる。
この構成のインモールド転写フィルムを使用して、インモールド成型すると、転写される図柄層は、ハードコート層2/接着層1/ホログラムや光輝性パターンの任意の図柄21、である。
構成として、基材4/離型層3/ハードコート層2/接着層1/ホログラムや光輝性パターンの任意の図柄21/カラー図柄22、である。
この構成のインモールド転写フィルムを使用して、インモールド成型すると、転写される図柄層は、ハードコート層2/接着層1/ホログラムや光輝性パターンの任意の図柄21/カラー図柄22、である。
構成として、基材4/離型層3/ハードコート層2/接着層1/ホログラムや光輝性パターンの図柄21/レジンタイプの溶融転写カラー図柄22/接着層23、である。
この構成において、転写される図柄層は、ハードコート層2/接着層1/ホログラムや光輝性パターンの図柄21/レジンタイプの溶融転写カラー図柄22/接着層23、である。
上記層構成のうち、ホログラムや光輝性パターンの図柄21と、レジンタイプの溶融転写カラー図柄22は、上下逆転してもよい。
(基材)インモールド転写フィルムのベースフィルム31の基材4としては、耐熱性、機械的強度、製造に耐える機械的強度、耐溶剤性などがあれば、用途に応じて種々の材料が適用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ナイロン(登録商標)(登録商標)6などのポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニルなどのビニル系樹脂、ポリメチルメタアクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリカーボネート、セロファン、セルロースアセテートなどのセルロース系フィルム、などがある。好ましくは、耐熱性、機械的強度の点で、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂のフィルムで、ポリエチレンテレフタレートが最適である。該基材の厚さは、通常、2.5〜100μm程度が適用できるが、38〜75μmがインモールド転写フィルムの用途には好ましい。
(樹脂組成物(1))樹脂組成物(1)は(イ)分子中にイソシアネート基を3個以上有するイソシアネート類、(ロ)分子中に水酸基を少なくとも1個と(メタ)アクリロイルオキシ基を少なくとも2個有する多官能(メタ)アクリレート類、又は(ハ)分子中に水酸基を少なくとも2個有する多価アルコール類の反応生成物であるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーで、電離放射線硬化性を有するウレタン変性アクリレート樹脂である。好ましいウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、具体的には、MHX405ニス((株)DNPファインケミカル製、電離放射線硬化性樹脂商品名)、ユピマーUV・V3031(三菱化学(株)製、電離放射線硬化性樹脂商品名)が例示できる。
ハードコート層2の好ましい厚さは2μm〜10μmである。
次にホログラムや光輝性パターンの転写フィルムについて述べる
ホログラムや光輝性パターンの転写フィルム32の層構成は下記のとおり。
耐熱滑性層5/基材6/剥離層7/ホログラムを形成する樹脂層8/反射層16/接着層9
ホログラムや光輝性パターンの転写フィルム32の構成で、剥離層7とホログラムや光輝性パターンを形成する樹脂層8の材料として、ほぼ同じ樹脂の樹脂組成物を用いることで、剥離層7とホログラムや光輝性パターンを形成する樹脂層8の破断伸度をほぼ同じにすることができ、サーマルヘッドで転写する際の箔切れ性がよくなる。
しかしながら、本発明のように高い解像度でサーマルヘッドで転写する場合には、ポリエチレンテレフタレートフィルムが最適で、基材の厚さは、その強度および耐熱性等が適切になるように選択することで、通常は4.5〜12μm程度のものが好ましく用いられる。
通常は、アクリル系樹脂に塩酢ビ樹脂を添加して混合したものが良好で、基材6とホログラムを形成する樹脂8との箔もちをよくすることができる。
高精細にサーマルヘッドで転写するためには、剥離層とホログラムや光輝性パターンを形成する樹脂層は同一の種類の樹脂であることが望ましい。全く同一ということは必要ではなく、樹脂の基本骨格や硬化の反応機構が同じで、同種類の親和性の高い樹脂であればよい。サーマルヘッドでの転写で、高い解像度を得るためには重要なポイントである。
ーティング法としては、例えば、ロールコート、リバースロールコート、トランスファー
ロールコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、などが適用できる。この剥離
層の厚さは、通常は乾燥時で0.1μm〜10μm程度、好ましくは0.2μm〜0.5μmである。剥離層と後述するホログラムや光輝性パターンを形成する樹脂層は、互いに親和性のある樹脂群より選択され、剥離層とホログラムや光輝性パターンを形成する樹脂層は一緒に転写されるので、高い解像度をえるためには2つの層の厚みの合計は1.0μm前後であることが好ましい。
本発明のホログラム転写フィルムにおけるホログラムや光輝性パターンは、合成樹脂層の片面に、レリーフホログラムの微細凹凸が形成された層である。
元となるホログラムの種類にはいろいろあり、レリーフホログラム、フルネルホログラム、レーザー再生ホログラム(イメージホログラムなど)、白色光再生ホログラム(レインボーホログラムや光輝性パターン)、カラーホログラム、コンピュータホログラム、ホログラフィック回折格子等が挙げられる。
光輝性パターンは、レリーフ形状がヘアライン柄、万線柄、マット柄、回折格子等であるようなマイクロオーダーのレリーフ形状で、反射層との作用で特異な光学的な意匠性を有する効果をいう。これもホログラムと同様の微細凹凸が形成された層である。
ホログラムや光輝性パターンを形成する樹脂層8としては、インモールド転写フィルムのベースフィルム31のハードコート層2に使用した、樹脂組成物(1)及び樹脂組成物(2)を使うことも可能であり、加えて(3)のシリコーンオイル又は反応性シリコーンを添加した組成物を電離放射線で硬化させてなる層とすることもできる。しかしながら、特に樹脂組成物(1)や樹脂組成物(2)の混合物に限定されることはない。一例としてウレタン変性アクリレート樹脂をベースとする硬化性樹脂が利用できる。
通常、ホログラムは物体光と参照光との光の干渉による干渉縞を凹凸のレリーフ形状で記録されたもので、例えば、フレネルホログラムや光輝性パターンのレーザー再生ホログラム、及びレインボーホログラムや光輝性パターンの白色光再生ホログラム、さらに、それらの原理を利用したカラーホログラム、コンピュータジェネレーティッドホログラム(CGH)、ホログラフィック回折格子などがある。レリーフ形状は凹凸形状であり、特にホログラムに限定されるものではなく、微細な凹凸形状を有する光拡散、光散乱、光反射、光回折などの機能を発現するものでもよく、例えば、フーリエ変換やレンチキュラーレンズ、光回折パターン、モスアイ、が形成されたものがある。また、光回折機能はないが、特異な光輝性を発現するヘアライン柄、マット柄、万線柄、干渉パターンなどでもよい。
透明タイプのホログラムを形成する透明反射層は、ホログラム効果を発現できる光透過性のものであれば、いかなる材料のものも使用できる。例えば、レリーフ形成層の樹脂と屈折率の異なる透明材料が挙げられる。この場合の屈折率はレリーフ形成層の樹脂の屈折率より大きくても、小さくてもよいが、屈折率の差は0.1以上が好ましく、より好ましくは0.5以上であり、1.0以上が最適である。好適に使用される透明タイプ反射層としては、酸化チタン(TiO2)、硫化亜鉛(ZnS)、Cu・Al複合金属酸化物等が挙げられる。
(レジンタイプの感熱転写材料)通常の溶融転写材料は、加熱印字時に溶融して転写するワックスタイプが主流であるが、本発明のインモールド転写時には、高温で高圧の溶融した樹脂が転写フィルムに直接接触するので、ワックスで形成された画像は流れてしまう。
そのため、本発明のインモールド転写フィルムに用いる感熱転写材料は、レジンタイプの溶融転写材料を用いる。
レジンタイプの溶融転写材料はいろいろ提案されているが、例えばポリエステルフィルムのような基材の上に剥離層、着色インク層を積層することで得られる。
適切な厚みは乾燥重量で0.7〜1.2g/m2で、最適な厚みは0.8g/m2である。
剥離層が設けられた基材の反対側には、サーマルヘッドの熱で基材が破損されないように耐熱層を設ける。アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン微粒子、金属石鹸などを必要に応じ配合する。適切な厚みは乾燥重量で0.2〜0.5g/m2である。最適な厚みは0.3g/m2である。
適切な厚みは乾燥重量で0.4〜1.0g/m2である。最適な厚みは0.6g/m2である。
使用するサーマルヘッドとしては、市販の適切なサーマルヘッドが利用できる。本発明に使用したサーマルヘッドについて説明するが、特に他のサーマルヘッドの使用を妨げるものではない。
本発明で使用したサーマルヘッドAの発熱素子の仕様は以下の通り
記録幅 357.3mm
発熱素子数 8448ドット
発熱素子ピッチ 0.0423mm
解像度 600dpi (23.64ドット/mm)
発熱素子サイズ
横幅 0.029mm
縦幅 0.076mm
この高解像度のサーマルヘッドと、高解像度で転写が可能な本発明のホログラム転写フィルムや光輝性パターン転写フィルムの組み合わせで、これまでにない高解像度の網点を記録することができる。本発明ではホログラムや光輝性パターンの図柄を75lpiの線数で網点表現が可能である。これまではこのような高解像度でホログラムや光輝性パターンの網点を転写することはできなかった。
送りピッチを勘案すればより多くの階調も表現可能である。
転写される網点の最大サイズは、
横幅= 0.0423mm(発熱素子ピッチ)×8=0.3384mm
であり、網点の縦の長さは、ドット間隔を開けない送りピッチで印字すると、
縦長さ=0.076×4=0.304mm
となる。つまり、横幅0.338mm、縦長0.304mmの範囲で網点画像を印字できる。通常は、一つのドットを印字して網点のサイズを変化させて階調を表現する。あるいは、ランダムな小ドットを上記範囲内で印字した合計の面積で、階調を表現することも可能である。
25.4mm÷0.3384mm=75.06lpi
有効数字を考慮すれば75lpiの線数の網点の図柄の転写が可能であるといってよい。 1網点の横幅の発熱素子のドット数を多くすれば、さらに高階調の図柄が転写されるが 線数は75lpiより解像度は落ちる。
サーマルヘッドの発熱素子のサイズが大きくなれば、当然ながら網点の線数は75lpiより印刷の解像度は落ちる。
サーマルヘッドで細線を記録する場合、必ずあい隣り合う2つの発熱素子で細線を記録する必要がある。それは線を記録する方向が転写フィルムの送り方向だけではなく、送り方向と角度を持つ線も存在するからである。特に転写フィルムの送り方向と45度の角度をなす細線は、1つの発熱素子では切れ切れの点線になるため、必ずあい隣り合う2つの発熱素子で細線を記録する必要がある。
ドット間の発熱しない部分と、発熱素子1ドットを加えたものが発熱素子ピッチであるから、
1ドット+隣接ドット間隔=発熱素子ピッチ=0.0423mm
そうすると発熱素子2ドットと隣接ドットの間隔を加えると、
2ドット+隣接ドット間隔=0.0423+0.029=0.0713mm
理論上の転写フィルムの送り方向では理論値71.3μmの幅の細線となる。
転写フィルムの送り方向と45度をなす細線の幅の理論値は、
71.3μm×√2=100.8μm
となる。
本発明においても、あい隣り合う2つの発熱素子で記録される細線は70μm〜100μmであった。
さらに、ホログラムや光輝性パターンの図柄とレジンタイプのカラー図柄を合わせて、インモールド成型した成型品上に転写して、高意匠性の成型品を得ることはこれまではできなかった。
しかも、得られる図柄はオンデマンドの任意の画像であり、必要な製品だけをつくれるので省資源の社会の流れにもあっている。
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、これに限定されるも
のではない。
『インモールド転写フィルムのベースフィルム』
(離型層とハードコート層)
基材4として厚さ50μmのPETフィルムを用い、該基材4の一方の面へ、グラビアコート法で、TCM01メジューム(大日本インキ社製、メラミン樹脂商品名)塗工液を乾燥後膜厚2μmになるように塗布し乾燥して、180℃20秒間焼き付けて、離型層3を形成した。
該離型層3面へ、下記のハードコート層塗工液をグラビアリバースコーターで乾燥後の厚さが5μmになるように、塗工し100℃で乾燥させて、未硬化のハードコート層2とした。
MHX405ニス(株式会社DNPファインケミカル製) 80部
紫光UV3520EA(日本合成化学工業株式会社製、エステル単位含有)20部
ポリエチレンワックス(平均粒径5μm) 4部
光重合開始剤(商品名イルガキュア184) 5部
溶媒(メチルイソブチルケトン:トルエン=1:1) 300部
<プライマー層塗工液組成>
酢酸ビニル塩化ビニル共重合樹脂 10部
ポリエステル系樹脂 10部
溶媒(トルエン:酢酸エチル=1:1) 80部
<接着層の塗工液組成>
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 30部
アクリル樹脂 10部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 70部
その後、高圧水銀灯を用いて紫外線を照射して硬化させて、ハードコート層2を形成した。
厚さ4.5μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ(株)製、ルミラー)を基材とし、その一方の面に、剥離層、ホログラムや光輝性パターンを形成する樹脂層、透明反射層、接着層を順次、以下の条件にて、積層させてホログラムや光輝性パターンの転写フィルムを作製した。但し、基材の他方の面には、下記組成の耐熱滑性層塗工液により、グラビアコーティングにより、乾燥時1.0μmの厚さになるように塗布、乾燥して、耐熱滑性層5を予め形成しておいた。
<耐熱滑性層の塗工液組成>
スチレン−アクリルニトリル共重合体 18部
(ダイセル化学工業株式会社製:セビアンNA)
ポリエステル樹脂(ユニチカ株式会社製:エリーテルUE−3200) 1部
ジンクステアリンホスフェート(堺化学工業株式会社製:LBT−1830) 9部
尿素樹脂架橋粉末(有機フィラー、粒径0.14μm:日本化成株式会社製) 9部
メラミン樹脂架橋粉末 4 .5部
(株式会社日本触媒製:エポスターS、粒径0.3μm)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 80部
<剥離層の塗工液組成>
MHX405ニス(株式会社DNPファインケミカル製) 80部
紫光UV3520EA(日本合成化学工業株式会社製、エステル単位含有) 20部
熱可塑性樹脂(ポリエステル、バイロン29SS) 2部 (東洋紡績株式会社製)
光重合開始剤 (商品名イルガキュア184) 5部
溶媒(メチルイソブチルケトン:トルエン=1:1) 300部
剥離層は、上記組成の剥離層塗工液により、グラビアコーティングにより、乾燥時0.5μmの厚さになるように塗布、乾燥して形成した。
<レリーフ形成用塗工液組成>
MHX405ニス(株式会社DNPファインケミカル製) 80部
紫光UV3520EA(日本合成化学工業株式会社製、エステル単位含有) 20部
反応性シリコーン(信越化学工業(株)製、商品名X−22−2445)0.15部
光重合開始剤 (商品名イルガキュア184) 5部
溶媒(メチルイソブチルケトン:トルエン=1:1) 300部
上記のレリーフ形成用塗工液をグラビアコーティングにより、乾燥後の厚さが0.5μmになるように、塗工し100℃で乾燥させた。
乾燥した層は電離放射線硬化前であり、塗膜は粘着性ではなかった。
電子線描画で回折格子の線を描画したレジストを現像してマスターを得、周知の方法でプレス型を作成した。プレス型を複製装置のエンボスローラーに貼着して、ホログラムを形成する層へ、相対するローラーと間で加熱プレス(エンボス)して、微細な凹凸パターンからなるレリーフを賦形させた。賦形後直ちに、高圧水銀灯を用いて紫外線を照射して離型層と光輝性パターンのレリーフ層を硬化させた。また、物体光と参照光を結像させたホログラムの画像を得、マスターを得た後、以後同様にしてホログラムレリーフ像を得た。
さらに、上記のホログラムや光輝性パターンのレリーフ層の上に、TiO2を真空蒸着法により、厚さ500Åの透明反射層を形成した。さらに透明反射層の上に、下記組成の接着層塗工液により、グラビアコーティングにより、乾燥時1.0μmの厚さになるように塗布、乾燥して接着層を形成した。
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 30部
アクリル樹脂 10部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 70部
厚さ4.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、ルミラー)の一方の面に、予め下記組成耐熱層用塗工液をバーコーターにより、固形分塗布量が0.3g/m2になるように塗布、乾燥して、耐熱層を形成しておく。
<耐熱層の塗工液組成>
ポリメチルメタクリレート樹脂 11.1部
(BR−85、三菱レイヨン株式会社製)
ポリエステル樹脂 0.3部
(エリーテルUE−3200、ユニチカ株式会社製)
ジンクステアリルホスフェート 5.7部
(LBT−1830、堺化学工業株式会社製)
メラミンアルデヒド縮合物 2.9部
(株式会社日本触媒製:エポスターS、粒径0.3μm)
トルエン 0.6部
MEK 79.4部
<剥離層の塗工液組成>
ポリメチルメタクリレート樹脂(BR−83、三菱レイヨン株式会社製) 21部
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂 9部
(SOLBIN C、日信化学工業株式会社製)
ポリエステル樹脂(バイロン200、東洋紡績株式会社製) 0.2部
トルエン 34.4部
MEK 34.4部
<黒色層塗工液組成>
黒顔料(C.I.NoPBk−7) 41.1部
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂 10.7部
(SOLBIN C、日信化学工業株式会社製)
トルエン 24.1部
MEK 24.1部
<シアン層塗工液>
青顔料(C.I.No.PB15:4) 11.5部
アクリル樹脂(BR−83、三菱レイヨン株式会社製) 15.75部
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂 5.25部
(SOLBIN C、日信化学工業株式会社製)
トルエン 33.5部
MEK 34.0部
<マゼンタ層塗工液>
赤顔料(C.I.No.PR122) 10.8部
アクリル樹脂(BR−83、三菱レイヨン株式会社製) 11.72部
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂 7.76部
(SOLBIN C、日信化学工業株式会社製)
トルエン 34.76部
MEK 34.96部
<イエロー層塗工液>
黄顔料(C.I.No.PY150) 12.0部
アクリル樹脂(BR−83、三菱レイヨン株式会社製) 16.35部
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂 5.5部
(SOLBIN C、日信化学工業株式会社製)
有機系分散剤 0.2部
トルエン 32.83部
MEK 33.33部
実施例1の段落番号(0090)から段落番号(0093)に示した方法で製造した、インモールド転写フィルムのベースフィルム(31)に、段落番号(0094)から段落番号(0099)に示す方法で製造したホログラムや光輝性パターンの転写フィルム(32)を、段落番号(0079)記載のサーマルヘッドで印字して、発熱素子2ドット分の70μm〜100μmの幅の細線の図柄が得られた。
また、網点面積85%の平網と、網点面積50%、網点面積25%、網点面積10%のそれぞれの75lpiの平網の図柄を印字して、図4に示すホログラムや光輝性パターンの図柄を転写されたインモールド転写フィルムが得られた。
次に、段落番号(0100)から段落番号(0106)に示した方法で製造した、レジンタイプの溶融転写フィルムをもちいて、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの転写フィルムを、段落番号(0079)に記載のサーマルヘッドを用いて、色分解されたカラー信号を順次転写して、ホログラムや光輝性パターンの図柄の上にカラー図柄が印字された、図5に示すインモールド転写フィルム(34)が得られた。
実施例1と同様にして発熱素子3ドット分の線と、発熱素子1ドット分の細線を印字した。発熱素子3ドット分の線はきれいに印字されたが、発熱素子1ドット分の細線は点線となったり、途中で切れたりして印字できなかった。
ホログラムや光輝性パターンの転写フィルム(32)の、剥離層の厚みを0.5μm、ホログラム形成する樹脂層を0.7μmとして、剥離層とホログラムを形成する樹脂層の合計の厚みを1.2μmとした以外は実施例1と同様にした。
70μm〜100μmの細線と、各種75lpiの平網の図柄は実施例1と同様に再現できた。
ホログラムや光輝性パターンの転写フィルム32の、剥離層の厚みを0.4μm、ホログラム形成する樹脂層を0.4μmとして、剥離層とホログラムを形成する樹脂層の合計の厚みを0.8μmとした以外は実施例1と同様にした。
70μm〜100μmの細線と、各種75lpiの平網の模様は再現できたが、実施例1よりはホログラムや光輝性パターンの輝度が低下し、設計通りの性能は得られなかった。
ホログラムや光輝性パターンの転写フィルム32の、剥離層の厚みを1.2μm、ホログラム形成する樹脂層を1.3μmとして、剥離層とホログラムを形成する樹脂層の合計の厚みを2.5μmとした以外は実施例1と同様にした。
70μm〜100μmの細線は一部再現されず、各種75lpiの平網も、中間部は再現できるが高濃度部がつぶれがちであり実施例1のような図柄は再現できなかった。
ホログラムや光輝性パターンの転写フィルム32の、剥離層の厚みを0.2μm、ホログラム形成する樹脂層を0.3μmとして、剥離層とホログラムを形成する樹脂層の合計の厚みを0.5μmとした以外は実施例1と同様にした。
ホログラムや光輝性パターンの図柄自体が薄くなって、ホログラムや光輝性パターンを形成することができなかった。
実施例1の透明反射層の蒸着の代わりに、レリーフ形成層の上に、Al を真空蒸着法により、厚さ500Åの金属薄膜層を形成した以外は実施例1と同様にした。
ホログラムや光輝性パターンの、発熱素子2ドット分の70μm〜100μm幅の細線の図柄、網点面積85%の平網と、網点面積50%、網点面積25%、網点面積10%のそれぞれの75lpiの平網の図柄を上記カラー図柄の上に印字できて、射出成型物も良好であった。
実施例1で得られた加飾された成型品の、ホログラムや光輝性パターンの図柄を観察した。インモールド転写時に収縮または延伸されなかった転写フィルムの箇所の図柄層は、レリーフタイプのホログラムの図柄または光輝性パターンの図柄の網点が、75lpiの網点であった。
インモールド転写時に収縮または延伸された転写フィルムの箇所の図柄層では、レリーフタイプのホログラムの図柄または光輝性パターンの図柄の網点が、75lpiの網点解像度に、収縮または延伸された部分の線収縮率または線延伸率で割った網点解像度になっていた。
2:ハードコート層
3:離型層
4:基材
5:耐熱滑性層
6:基材
7:剥離層
8:ホログラムや光輝性パターンを形成する樹脂層
9:接着層
10:耐熱滑性層
11:基材
12:離型層
13:カラーインキ層
16:金属反射層または透明反射層
21:ホログラムや光輝性パターンの図柄
22:溶融転写カラー図柄
23:接着層
31:インモールド転写フィルムのベースフィルム
32:ホログラムまたは光輝性パターンの転写フィルム
33:溶融転写フィルム
34:ホログラムや光輝性パターンの図柄及びカラー図柄を持つインモールド転写フィ
ルム
35:ホログラムや光輝性パターンの図柄、カラー図柄および接着層を持つインモール
ド転写フィルム
Claims (5)
- 基材上に、離型層、ハードコート層、接着層、図柄層を順次積層してなり、図柄層には溶融転写材料で形成された図柄と、ホログラムの図柄、または光輝性パターンの図柄があるインモールド転写フィルムにおいて、当該図柄が、それぞれレジンタイプの溶融転写フィルムおよび、レリーフタイプのホログラム転写フィルム、または光輝性パターン転写フィルムから、サーマルプリンタによって転写された図柄であることを特徴とするインモールド転写フィルム。
- 接着層上に転写された、レリーフタイプのホログラムの図柄または光輝性パターンの図柄が、75lpiの網点で形成されていることを特徴とする、請求項1記載のインモールド転写フィルム。
- 接着層上に転写された、レリーフタイプのホログラムの図柄または光輝性パターンの図柄のなかの細線のうち、幅が70μmから100μmの細線があることを特徴とする、請求項1記載のインモールド転写フィルム。
- 加飾された成型品であって、インモールド転写フィルムから転写された図柄層のなかに、レジンタイプの溶融転写材料で形成された図柄と、レリーフタイプのホログラムの図柄または光輝性パターンの図柄を持ち、インモールド転写時に収縮または延伸されずに、等倍で転写された転写フィルムの箇所の図柄層において、レリーフタイプのホログラムの図柄または光輝性パターンの図柄の網点が、75lpiの網点であることを特徴とするインモールド成型品。
- 加飾された成型品であって、インモールド転写フィルムから転写された図柄層のなかに、レジンタイプの溶融転写フィルムから形成された図柄と、レリーフタイプのホログラムの図柄または光輝性パターンの図柄を持ち、インモールド転写時に収縮または延伸された転写フィルムの箇所の図柄層において、レリーフタイプのホログラムの図柄または光輝性パターンの図柄の網点が、75lpiの網点解像度に、収縮または延伸された部分の線収縮率または線延伸率で割った網点解像度になっていることを特徴とする、インモールド成型品。
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