JP5169382B2 - インモールド用転写箔、及びそれを用いた立体成形品 - Google Patents

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Description

本発明は、インモールド用転写箔に関し、さらに詳しくは、成形用金型内へ挿入し成形することで、成形品の立体面への追従性がよく、白化せずに蛍光発光性のホログラムを転写することのできるインモールド用転写箔、及び成形品に関するものである。
本明細書において、配合を示す「比」、「部」、「%」などは特に断わらない限り質量基準であり、「/」印は一体的に積層されていることを示す。また、「PET」は「ポリエチレンテレフタレート」の略語、同意語、機能的表現、通称、又は業界用語である。また、「ホログラム」は「ホログラムと、回折格子などの光回折性機能を有するものも含む。
(主なる用途)本発明のインモールド用転写箔を用いた成形品の主なる用途としては、日用品や生活用品などの機器本体、食品や各種物品の容器類、電子機器や事務用品などの筐体類など立体成形品で、成形品の表面に、蛍光発光性のホログラムによる特異な意匠性やセキュリティ性を向上させたもので、成形品の形状や内容物は任意である。しかしながら、意匠性やセキュリティ性を向上させるために、成形品の表面に蛍光発光性のホログラムを転写した用途であれば、特に限定されるものではない。
(背景技術)従来、上記の用途の媒体、例えば、ブランド品や高級品では経済的価値を持つため、不正に偽造されることが絶えず、種々の改竄防止策が提案され、セキュリティ性の向上が図られている。偽造が困難で、セキュリティ性に優れ、光回折効果を持つホログラムを媒体へ転写することが知られている。また、セキュリティ性に優れる1つとして蛍光発光性の蛍光があり、該蛍光は赤外線または紫外線照射下で可視領域の蛍光を生じるが、通常の白色光源下においては目視不能であり、偽造、変造の防止に使用されている。しかしながら、従来の蛍光は蛍光染料や蛍光増白剤を用いているので、耐熱性や耐光性に欠ける欠点があった。一方、射出成形などによる成形品の平面や曲面では、成形時に、ホログラムなどの転写箔を金型内へ挿入して、射出成形と同時にホログラムを転写することが行われている。しかしながら、該転写は平面又は1方向の曲面に制限される。立体部分は溶融した高温の射出成形樹脂の流れによって、ホログラムなどの転写箔が伸張しシワや破れが発生し、また伸張及び/又は収縮によって、割れ、伸縮ジワによって光輝性が変化し、特に反射層がアルミニウム薄膜のみの場合には、本来の金属光沢が伸縮によって白化し全く金属光沢が失われ、ホログラムも消失してしまう。従来は伸縮の影響を最小に押えようと、伸縮の少ない部分へホログラムを貼着又は転写したり、小さい面積のホログラムとしたりすることで、伸縮の影響を最小に押えなければならなかった。
従って、さらなる意匠性やセキュリティ性の向上のために、ホログラムを有する転写箔を用いてインモールド射出成形法で転写した立体の射出成形品であっても、熱で白化しない耐熱性と、立体面へよく追従して割れや白化などが少なく、耐熱性や耐光性に優れる蛍光発光性のホログラムを有するインモールド用転写箔、及びそれを用いた成形品が求められている。
(先行技術)従来、基材、印刷層、光回折構造層(本発明のホログラム層に相当する)及び熱接着性樹脂層とを含む積層シートで作製したラベルを、インモールドラベリング方式の射出成形により一体化成形するカップ状容器が知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、ホログラム層が成形される周壁は平面であり立体面ではない。
また、加飾転写層(本発明のホログラム層を含む)を伸縮性材料に転写した後に、少なくとも表面の一部に凹凸又は曲面を有する成形品本体の表面の一部分に加熱加圧により転写した表面装飾成形品が知られている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、加飾転写層を直接成形品へ転写はできないという欠点がある。
さらに、ベースフィルム、保護層、金属薄膜(本発明のホログラム層と反射層に相当する)、接着層とからなる転写フィルムを作製し、この転写フィルムを挟んで一対の金型を型締めし、該金型内に溶融樹脂を射出して金属薄膜をつけ爪本体の表面に転写するつけ爪の製法が知られている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、つけ爪は1方向の大きな曲面で、転写フィルム自身は平面を巻き付けた状況であり、三次元の立体とは言い難い、また、転写フィルムを構成する保護層、金属薄膜、及び接着層の材料についても、極く一般的なものであり、立体物への転写で最大の問題点であある材料の伸縮性については記載も示唆もされていない。
さらにまた、本出願人も立体成形品を成形する際に微細な凹凸を予め形成しておいてから、該微細な凹凸面へ反射層を設けてホログラムとするものを開示している(例えば、特許文献4〜5参照。)。しかしながら、微細な凹凸を予め形成せるために微細な凹凸を賦型する専用の賦型フィルムを作成せねばならず、またそれを用いたインモールド成形方法も煩雑であり、さらに形成した微細な凹凸へ反射層を設ける工程が必要で、高コストとなるという問題点がある。
以上の特許文献1〜5のいずれにも、ホログラム層についての記載も示唆もない。
さらにまた、本出願人は、基材フィルム上に、剥離層または、離型層と保護層、ホログラム形成層、ホログラム効果層および接着層からなるホログラム転写箔において、上記剥離層または、離型層と保護層と、ホログラム形成層との間、または上記ホログラム効果層と接着層との間に無色または白色の蛍光顔料を含む蛍光顔料印刷層が設けられていることを特徴とするホログラム転写箔を開示している(例えば、特許文献6参照。)。
しかしながら、従来の蛍光顔料では耐光性や耐候性などの耐久性に欠け、かつ、ホログラム効果層と蛍光顔料印刷層の2層とせねばならず、製造が複雑で高コストとなるという問題点がある。
特開2005−7647号公報 特開2004−58599号公報 特開2003−9941号公報 特開2004−163482号公報 特開2004−284178号公報 特開2006−1212号公報
そこで、本発明はこのような問題点を解消するためになされたものである。その目的は、さらなる意匠性やセキュリティ性の向上のために、ホログラムを有する転写箔を用いてインモールド射出成形法で転写した立体の射出成形品であっても、熱で白化しない耐熱性と、立体面へよく追従して割れや白化などが少なく、耐熱性や耐光性に優れる蛍光発光性のホログラムを有するインモールド用転写箔、及びそれを用いた成形品を提供することである。
上記の課題を解決するために、請求項1の発明に係わるインモールド用転写箔は、インモールド射出成形法で立体成形品を成形する際に射出成形用金型内へ挿入し、基材と、該基材の一方の面へ離型層、ホログラム層、透明反射層及び高輝度インキ層及び接着層が設けられてなるインモールド用転写箔において、前記離型層がメラミン系樹脂であり、前記ホログラム層がハードコート性の電離放射線硬化樹脂、シリコーン、蛍光発光性の希土類錯体、及びフィラーを含む蛍光発光性のホログラム層であり、前記電離放射線硬化樹脂が(1)分子中にイソシアネート基を3個以上有するイソシアネート類、(2)分子中に水酸基を少なくとも1個と(メタ)アクリロイルオキシ基を少なくとも2個有する多官能(メタ)アクリレート類、又は(3)分子中に水酸基を少なくとも2個有する多価アルコール類の反応生成物であるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する電離放射線硬化性樹脂の硬化物であり、前記シリコーンが反応性シリコーンであり、前記蛍光発光性の希土類錯体がEu 3+ 、Tb 3+ 、Yb 3+ 、Nd 3+ 、Er 3+ 、Sm 3+ 、Dy 3+ 、Ce 3+ のいずれかの希土類イオンLn 3+ である光学活性希土類錯体であり、前記フィラーが球状ビーズのポリエチレンワックスであり、前記ホログラム層の質量基準の配合比が電離放射線硬化性樹脂:希土類錯体:シリコーン:フィラー=100:0.01〜10:0.1〜10:0.01〜10であり、前記高輝度インキ層が少なくとも有機脂肪酸、メチルシリルイソシアネート又はセルロース誘導体で表面処理した金属蒸着膜細片を含み、かつ、前記電離放射線硬化性樹脂を該電離放射線硬化性樹脂の吸収波長領域が前記希土類錯体の吸収波長領域と異なる波長250nm以下の紫外領域の照射で硬化させることを特徴とするインモールド用転写箔である。請求項2の発明に係わる立体成形品は、請求項1記載のインモールド用転写箔を用いて、インモールド射出成形法で成形された立体成形品に、前記ホログラム層、前記透明反射層、前記高輝度インキ層及び前記接着層が転写されてなることを特徴とする立体成形品である。
請求項1の本発明によればホログラム層へ電離放射線を照射して反応(硬化)させる際に、希土類錯体の阻害を受けず、必要最小限の照射量で硬化でき、、熱で白化しない耐熱性と、伸縮率が大きくても伸縮へ追従性がよく、意匠性とセキュリティ性に優れ、かつ、耐熱性や耐光性に優れる蛍光発光性のホログラムを、立体面へ割れや白化などの少なく転写することのできるインモールド用転写箔が提供される。
請求項2の本発明によれば、請求項1効果に加えて、意匠性とセキュリティ性に優れ、耐熱性や耐光性に優れる蛍光発光性のホログラムを、立体面へでも割れや白化などの少なく転写された立体成形品が提供される。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
図1は、本発明の1実施例を示すインモールド用転写箔の断面図である。
図2は、本発明のインモールド用転写箔を用いて、転写した成形品の断面図である。
(インモールド用転写箔)本発明のインモールド用転写箔10は、図1に示すように、基材11と、該基材の一方の面へ離型層13、ホログラム層15、透明反射層17、高輝度インキ層18及び接着層19の層構成において、ホログラム層15、高輝度インキ層18及び離型層13が特定の材料からなる。即ち、離型層13がメラミン系樹脂であり、ホログラム層15がハードコート性の電離放射線硬化樹脂、シリコーン、蛍光発光性の希土類錯体、及びフィラーを含む蛍光発光性のホログラム層であり、高輝度インキ層が少なくとも有機脂肪酸、メチルシリルイソシアネート又はセルロース誘導体で表面処理した金属蒸着膜細片を含むようにする。さらに、ホログラム層15の主成分をハードコート性の電離放射線硬化樹脂、シリコーン、蛍光発光性の希土類錯体、及びフィラーを含むことで、(1)電離放射線硬化前の塗膜が指乾状態で、(2)電離放射線硬化後の23℃における破断伸度が5%以上で、かつ、(3)基材11、離型層13、ホログラム層15、透明反射層17、高輝度インキ層18及び接着層19を設けたインモールド用転写箔10状態で、150℃雰囲気中に1時間放置しても白化しない耐熱性を有する。さらにまた、ホログラム層15へ蛍光発光性の希土類錯体を含ませることで、従来の蛍光発光性剤と比較して、格段に優れた耐熱性や耐光性を有する蛍光発光性が得られる。蛍光発光効果と共に、ハードコート性効果、ホログラム効果が発現する。
本発明によれば、次のような効果を奏することができる。
(1)ホログラム層15はハードコート性の電離放射線硬化樹脂、シリコーン、及びフィラーを含むことで、(1)電離放射線硬化後の23℃における破断伸度が5%以上である。(2)基材、離型層、ホログラム層、及び接着層を設けたインモールド用転写箔状態で、150℃雰囲気中に1時間放置しても白化しない耐熱性を有する。このようにすることで、熱白化しない耐熱性と、立体面へ追従し割れにくい柔軟性が得られ、インモールド射出成形法でも、立体成形品の表面へ転写さることができる。(3)ホログラム層15へ耐熱性や耐光性に優れる蛍光発光性の希土類錯体を含ませることで、従来の蛍光発光剤と比較して、格段に優れた耐熱性や耐光性を有する蛍光発光性が得られる。(4)ホログラム層15へ耐熱性に優れる蛍光発光性の希土類錯体を含ませることで、ホログラムを賦型する際の熱で蛍光発光剤が劣化せず、蛍光発光性が維持される。(5)また、蛍光発光性の希土類錯体の吸収波長領域が電離放射線硬化樹脂の吸収波長領域と異なっているようにすることで、ホログラム層15の電離放射線硬化樹脂の硬化を、蛍光発光剤が阻害しないので、充分に硬化させることができる。(6)従って、従来は蛍光層と、それを保護するハードコート層などの保護層の2層であったものを、ホログラム層15へ蛍光発光性の希土類錯体を含ませることができて、ハードコート性を有するホログラム層15の1層とすることができる。(7)蛍光発光性、ハードコート性のホログラム層15が、蛍光発光する時には、エンボス(ホログラム)の輪郭でも発光するために、この界面での蛍光発光しない部分との光量差からエッジが際立って光るという効果もあり。セキュリティ性が向上する。
本発明のインモールド用転写箔10は、インモールド射出成形法で、立体成形品への蛍光発光性のホログラム層を転写した成形品100を図2に示す。なお、図2は作図の都合上、成形品は平面に描いているが、三次元の立体状である。成形品100のホログラム層15は、ハードコート層、ホログラム層、及び蛍光層の3つの効果を奏することができ、しかも、立体面へ転写された成形品である。
(インモールド射出成形法)まず、インモールド射出成形法とは、(1)インモールド用転写箔10を準備する工程と、(2)該インモールド用転写箔10を射出成形用金型内へ挿入する工程と、(3)該射出成形用金型へ樹脂を射出成形し密着させることで、該樹脂の表面へインモールド用転写箔10のホログラム層15、透明反射層17、高輝度インキ層18及び接着層19を転写する工程と、(4)冷却後、金型を解放し、インモールド用転写箔10の基材11及び離型層13を剥離して成形品を取り出す工程と、からなる射出成形法で、立体面へホログラムが転写された成形品100を製造できる。
(基材)基材11としては、耐熱性、機械的強度、製造に耐える機械的強度、耐溶剤性などがあれば、用途に応じて種々の材料が適用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ナイロン6などのポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニルなどのビニル系樹脂、ポリメチルメタアクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリカーボネート、セロファン、セルロースアセテートなどのセルロース系フィルム、などがある。好ましくは、耐熱性、機械的強度の点で、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂のフィルムで、ポリエチレンテレフタレートが最適である。該基材の厚さは、通常、2.5〜50μm程度が適用できるが、4〜25μmが転写性の点で好ましい。
該基材は、これら樹脂を主成分とする共重合樹脂、または、混合体(アロイを含む)、若しくは複数層からなる積層体であっても良い。また、該基材は、延伸フィルムでも、未延伸フィルムでも良いが、強度を向上させる目的で、一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムが好ましい。該基材は、これら樹脂の少なくとも1層からなるフィルム、シート、ボード状として使用する。該基材は、塗布に先立って塗布面へ、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理、プライマー(アンカーコート、接着促進剤、易接着剤とも呼ばれる)塗布処理、予熱処理、除塵埃処理、蒸着処理、アルカリ処理、などの易接着処理を行ってもよい。また、必要に応じて、充填剤、可塑剤、着色剤、帯電防止剤などの添加剤を加えても良い。
(離型層)離型層13としては、離型性樹脂、離型剤を含んだ樹脂、電離放射線で架橋する硬化性樹脂などがあるが、本発明ではメラミン系樹脂を用いる。該メラミン系樹脂を用いることで、後述する保護層保護層14との組合わせで安定した剥離性を発揮する。
離型層13の形成は、該樹脂を溶媒へ分散又は溶解して、ロールコート、グラビアコート、コンマコート、プレーコートなどの印刷又はコーティング方法で、少なくとも1部に塗布し乾燥して塗膜を形成する。また、要すれば、温度30℃〜120℃で加熱乾燥、あるいはエージングしてもよい。離型層13の厚さとしては、通常は0.01μm〜5μm程度、好ましくは0.5μm〜3μm程度である。該厚さは薄ければ薄い程良いが、0.1μm以上であればより良い成膜が得られて剥離力が安定する。
(ホログラム層)ホログラム層15としては、電離放射線硬化樹脂、シリコーン及びフィラーを含ませ、さらに蛍光発光性の希土類錯体を含ませる。このようにすることで、電離放射線硬化後でも熱で白化しない耐熱性と、伸縮へ追従性がよく、割れや白化などのホログラム効果の低下が少ない意匠性に優れ、耐熱性や耐光性に優れる蛍光発光性のホログラムを立体面へ転写することができる。
(希土類錯体)蛍光発光性の希土類錯体とは、蛍光発光する光学活性希土類錯体で、光学活性部位を持つ希土類錯体のことをいい、光学活性部位を持つ配位子が配位している希土類錯体か、もしくは希土類錯体の正四角反柱型の配位構造の、希土類金属原子周辺の絶対配置に関して存在する2種の立体異性体(Δ体、Λ体)のうち、一方が過剰に含まれている状態の希土類錯体をいう。このような構造の希土類錯体は、発光特性に優れ、半値幅の狭いシャープな発光スペクトルを示すものである。特に、希土類イオンLn3+がEu3+、Tb3+、Yb3+、Nd3+、Er3+、Sm3+、Dy3+、Ce3+、のいずれかである希土類錯体は弱い励起光でも強い発光をする強発光性の希土類錯体であり、好ましく用いられる。例えば、一般式(1)、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)などがある。また、希土類錯体には<−Cn2n+1(nは1〜22の整数)>基を含むことが耐熱性や安定性の点で好ましい。具体的には、ルミシス(登録商標、総販売元:セントラルテクノ社製、製造元:株式会社日生化学工業所)R−600、G−900、YB−1200などが例示できる。詳しくは、WO2005/044770号公報、特開2006−249075号公報、特開2005−97240号公報、に記載されている。
Figure 0005169382
Figure 0005169382
(式中、Dは重水素原子、ハロゲン原子又は水素原子を含まないC1〜C22の脂肪族基を示す)
Figure 0005169382
(式中、XはC−RまたはNを表し、Rは水素原子または置換基を表す)
Figure 0005169382
発光効率のよい希土類錯体を用いることで、バインダ樹脂である電離放射線硬化樹脂樹脂に含有させる蛍光発光性の希土類錯体の割合は質量基準で、0.01〜10%程度、好ましくは0.1〜5%である。この範囲未満では蛍光発光の強度が小さく、この範囲を超えても蛍光発光の強度は充分過ぎて、高コストとなってしまう。
(波長領域)さらに、バインダ樹脂である電離放射線硬化樹脂は電離放射線硬化性樹脂の硬化物であり、該電離放射線硬化性樹脂としては、前記樹脂系のうち、蛍光発光性の希土類錯体の吸収波長領域、及び蛍光発光波長領域に吸収がないか、吸収が小さいものが好ましい。
蛍光発光性の希土類錯体の吸収波長領域に吸収があると、電離放射線硬化性樹脂へ電離放射線を照射して反応(硬化)させてホログラム層15を形成する際に、希土類錯体が電離放射線の1部を吸収してしまい、反応(硬化)不良をきたし耐久性不足となったり、又は多大な照射量を要して高コストとなってしまうのである。この点で、前記のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する電離放射線硬化性樹脂系が好ましく、該樹脂系は波長250nm以下の紫外領域の照射でも硬化させることができる。また、蛍光発光性の希土類錯体の蛍光発光波長領域に吸収があると、ホログラム層15/接着層19が転写された媒体へ、蛍光発光させるとために、例えば紫外線を照射した際に、電離放射線硬化性樹脂が紫外線の1部を吸収してしまい、発光不良をきたし蛍光の輝度不足となったり、又は多大な照射量を必要として蛍光発光装置の高出力によって大型化、高コストとなってしまうのである。なお、硬化前の電離放射線硬化性樹脂と硬化後の電離放射線硬化樹脂の吸収波長領域は同様である。
(電離放射線硬化性樹脂組成物M)電離放射線硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ変性アクリレート樹脂、ウレタン変性アクリレート樹脂、アクリル変性ポリエステル等が適用でき、好ましくはウレタン変性アクリレート樹脂である。好ましいウレタン変性アクリレート樹脂としては、「電離放射線硬化性樹脂組成物M」である。該「電離放射線硬化性樹脂組成物M」としては、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する電離放射線硬化性樹脂の硬化物、具体的には、特開2001−329031号公報で開示されている光硬化性樹脂が好ましい。具体的には、MHX405ニス(ザ・インクテック(株)製、電離放射線硬化性樹脂商品名)、ユピマーUV・V3031(三菱化学(株)製、電離放射線硬化性樹脂商品名)が例示できる。即ち、「電離放射線硬化性樹脂組成物M」(1)分子中にイソシアネート基を3個以上有するイソシアネート類、(2)分子中に水酸基を少なくとも1個と(メタ)アクリロイルオキシ基を少なくとも2個有する多官能(メタ)アクリレート類、又は(3)分子中に水酸基を少なくとも2個有する多価アルコール類の反応生成物であるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する電離放射線硬化性樹脂と(メタ)アクリレートオリゴマーの硬化物、及び滑剤を含み、かつ、ホログラム層は(1)分子中にイソシアネート基を3個以上有するイソシアネート類、(2)分子中に水酸基を少なくとも1個と(メタ)アクリロイルオキシ基を少なくとも2個有する多官能(メタ)アクリレート類、又は(3)分子中に水酸基を少なくとも2個有する多価アルコール類の反応生成物であるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する電離放射線硬化性樹脂(本明細書では「電離放射線硬化性樹脂組成物M」と呼称する)である。また、必要に応じて、(メタ)アクリレートオリゴマーなどを含ませてもよい。
((メタ)アクリレートオリゴマー)(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、耐熱性のあるオリゴマーであればよく、例えば、日本合成化学社の商品名;紫光6630B、7510B、7630Bなどが例示できる。含有させる質量基準での割合としては、「電離放射線硬化性樹脂組成物M」100部に対して10〜30部程度、好ましくは15〜25部である。この範囲未満では耐熱性が不足し、この範囲を超えては耐熱性はよいが、ヒビ割れしやすい。
(シリコーン)シリコーンとしてはシリコーンオイルや反応性シリコーンなどが例示できる。好ましくは反応性シリコーンで、電離放射線で硬化時に樹脂と反応し結合して一体化したり、1部は残留するものもある。該反応性シリコーンとしてはアクリル変性、メタクリル変性、又はエポキシ変性などで変性した反応性シリコーンで、該反応性シリコーンを含有させる質量基準での割合としては「電離放射線硬化性樹脂組成物M」100に対して、0.1〜10部程度、好ましくは0.3〜5部である。この範囲未満ではレリーフの賦型時にプレススタンパとの剥離が不十分であり、プレススタンパの汚染を防止することが困難で賦型性が悪い。また、この範囲を超えてはホログラム層面への透明反射層の密着性が低く、ホログラム層と透明反射層との間で剥離し商品価値を失ってしまう。従来のシリコーンオイルの添加では、透明反射層との密着性が悪い。
(フィラー)フィラーとしてはマイクロシリカやポリエチレンワックスが例示できる。ポリエチレンワックスとしては、ポリエチレン系樹脂の粒子やビーズが挙げられるが、好ましくは球状ビーズである。但し、ポリエチレンワックスを添加すると、箔切れ性は低下するので、その添加量は、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して、0.01〜10質量部程度、好ましくは0.1〜5質量部とする。
このように、ホログラム層15へ電離放射線硬化樹脂、シリコーン及びフィラーを含ませることで、次の作用効果を兼ねさせることができる。(1)電離放射線硬化前の塗布状態のホログラム層15の塗膜は指乾状態でべとつかず、ブロッキングせずに巻き取ることができるので、ロールツーロール加工ができる。(2)ホログラム層15へは反応性シリコーンを含ませることで、賦型性がよいので、レリーフ構造を容易に賦型でき、賦型後に電離放射線で硬化できる。また、ホログラム層15は伸縮が大きな立体的な成形品へ転写しても、伸縮へ追従性がよく、割れや白化などのホログラム効果の低下が少ない意匠性に優れたホログラムを立体面へ転写することのできる。電離放射線硬化後の23℃における破断伸度を5%以上、好ましくは7%以上とすることができる。5%未満では伸縮時にヒビ割れたり白化したりする。7%以上であると、伸縮率が高くても伸縮時にヒビ割れたり白化したりしない。(3)基材11、離型層13、ホログラム層15、透明反射層17、高輝度インキ層18、及び接着層19を設けたインモールド用転写箔状態で、150℃、好ましくは170℃雰囲気中に1時間放置しても白化しない耐熱性を有するので、通常の射出成形での樹脂温度である150〜200℃の熱でもホログラムが劣化しない。200℃の熱でも瞬間的なために、ホログラム像が劣化しないのである。なお、耐熱性は接着層19を設けても設けなくとも同じである。
さらに、次の作用効果もある。
(4)転写後のホログラム層15は最表面層となり、極めて過酷な環境での使用、長期間にわたる使用、及び/又は多数回の繰り返し使用などでも、溶剤、機械的な摩擦、及び摩耗からホログラムを保護し、傷付きにくく耐久性に優れる。(5)ホログラム層15はメラミン系樹脂を用いた離型層13と界面を接しているので、安定した剥離性を有し、転写時には箔切れがよく、バリなどの発生も極めて少なくすることができる。
(破断伸度)保護層14及び/又はホログラム層15の伸縮性を破断伸度で表し、該層の破断伸度(%)の測定方法は、23℃55%RHの条件下でUV硬化後樹脂層を24時間以上放置した後、株式会社オリエンテックテンシロン万能試験機RTA−100を用いデータ処理は、テンシロン多機能型データ処理TYPE MP−100/200S Ver.44を用い測定を行なった。試料幅10mm、チャック間距離50mm、RANGEは20%、荷重は100kgの条件で、引っ張り速度10mm/minで引っ張り、破断伸度は、引っ張り時の破断または亀裂が入ったときの破断点伸びの自長に対する伸び率とした。ハードコート層12及び/又はホログラム層15の破断伸度の測定では、ハードコート層12及び/又はホログラム層15膜のみを作成するのは難しいため、25μm剥離PETに10μmのハードコート層12及び/又はホログラム層15を形成し、メタルハライドランプにて積算露光量250mjで露光した後に剥離して試料とした。
(耐熱性)ホログラム層の耐熱性は、基材、離型層、ホログラム層、透明反射層、高輝度インキ層及び接着層を設けたインモールド用転写箔状態で、150℃から170℃のオーブン中に1時間放置して、目視によりヒビ割れ及び/又は白化しないものを合格とした。
(ホログラム層の形成)ホログラム層15の形成は、上記の電離放射線硬化性樹脂、蛍光発光性の希土類錯体、必要に応じてシリコーン、ポリエチレンワックス、光重合開始剤、可塑剤、安定剤、界面活性剤等を加え、溶媒へ分散または溶解して、ロールコート、グラビアコート、コンマコート、ダイコートなどの公知のコーティング方法で塗布し乾燥して、電離放射線で反応(硬化)させればよい。ホログラム層15の厚さとしては、通常は1μm〜30μm程度、好ましくは2μm〜20μm程度である。複数回の塗布でもよい。
(ホログラム)次に、ホログラム層15の表面には、ホログラムなどの光回折効果の発現する所定のレリーフ構造を賦型し、硬化させる。ホログラムは物体光と参照光との光の干渉による干渉縞を凹凸のレリーフ形状で記録されたもので、例えば、フレネルホログラム等のレーザ再生ホログラム、及びレインボーホログラム等の白色光再生ホログラム、さらに、それらの原理を利用したカラーホログラム、コンピュータジェネレーティッドホログラム(CGH)、ホログラフィック回折格子などがある。レリーフ形状は凹凸形状であり、特に限定されるものではなく、微細な凹凸形状を有する光拡散、光散乱、光反射、光回折などの機能を発現するものでもよく、例えば、フーリエ変換やレンチキュラーレンズ、光回折パターン、モスアイ、が形成されたものである。また、光回折機能はないが、特異な光輝性を発現するヘアライン柄、マット柄、万線柄、干渉パターンなどでもよい。
これらのレリーフ形状の作製方法としてはホログラム撮影記録手段を利用して作製されたホログラムや回折格子の他に、干渉や回折という光学計算に基づいて電子線描画装置等を用いて作製されたホログラムや回折格子をあげることもできる。また、ヘアライン柄や万線柄のような比較的大きなパターンなどは機械切削法でもよい。これらのホログラム及び/又は回折格子の単一若しくは多重に記録しても、組み合わせて記録しても良い。これらの原版は公知の材料、方法で作成することができ、通常、感光性材料を塗布したガラス板を用いたレーザ光干渉法、電子線レジスト材料を塗布したガラス板に電子線描画装置を用いてパターン作製する電子線描画法をなどが適用できる。
(レリーフの賦型)ホログラム層15面へ、上記のレリーフ形状を賦形(複製ともいう)する。ホログラムの賦型は、公知の方法によって形成でき、例えば、回折格子やホログラムの干渉縞を表面凹凸のレリーフとして記録する場合には、回折格子や干渉縞が凹凸の形で記録された原版をプレス型(スタンパという)として用い、上記樹脂層上に前記原版を重ねて加熱ロールなどの適宜手段により、両者を加熱圧着することにより、原版の凹凸模様を複製することができる。
(レリーフの硬化)ホログラム層15は、スタンパでエンボス中、又はエンボス後に、電離放射線を照射して、電離放射線硬化性樹脂を硬化させる。上記の電離放射線硬化性樹脂は、レリーフを形成後に、電離放射線を照射して硬化(反応)させると電離放射線硬化樹脂(ホログラム層15)となる。電離放射線としては、電磁波が有する量子エネルギーで区分する場合もあるが、本明細書では、すべての紫外線(UV‐A、UV‐B、UV‐C)、可視光線、ガンマー線、X線、電子線を包含するものと定義する。従って、電離放射線としては、紫外線(UV)、可視光線、ガンマー線、X線、または電子線などが適用できるが、紫外線(UV)が好適である。電離放射線で硬化する電離放射線硬化性樹脂は、紫外線硬化の場合は光重合開始剤、及び/又は光重合促進剤を添加し、エネルギーの高い電子線硬化の場合は添加しないで良く、また、適正な触媒が存在すれば、熱エネルギーでも硬化できる。ホログラム層15として、熱硬化性樹脂を用いた場合には、使用する熱硬化性樹脂の硬化条件に応じた温湿度環境下で、エージングを行い硬化させればよい。
なお、保護層14の硬化はホログラム層15と同時でもよく、予め硬化させておいてもよい。
(レリーフの絵柄)ホログラム層15の絵柄を擬似連続絵柄とすることが好ましい。擬似連続絵柄はプレス型(スタンパという)を作成する際に、小さなレリーフ版の複数を、精度よく突合せてつなぎ目を目立たなくしたり、つなぎ目を樹脂で埋めたりすればよい。このように、擬似連続絵柄とすることで、できるだけ大きな面積、又は好ましくは全面とすることもできる。大面積又は全面のホログラム絵柄を背景とし他の任意な印刷絵柄と、同調させたり、合わせたりして、さらなる特異な意匠性を向上させることができる。印刷絵柄は、層間又は層表面に、公知の印刷法などで適宜設ければよく、印刷絵柄はインモールド用転写箔、及び/又は収縮フィルムのいずれへ設けてもよい。
(透明反射層)透明反射層17は、所定のレリーフ構造を設けたホログラム層15面のレリーフ面へ設けることにより、レリーフの反射及び/又は回折効果を高めるので、ホログラム層15の反射率と異なれば、特に限定されない。透明な透明反射層17として、ほぼ無色透明な色相で、その光学的な屈折率がホログラム層のそれとは異なることにより、金属光沢が無いにもかかわらず、ホログラムなどの光輝性を視認できるから、透明なホログラムを作製することができる。例えば、ホログラム層15よりも光屈折率の高い薄膜、および光屈折率の低い薄膜とがあり、前者の例としては、ZnS、TiO2、Al23、Sb23、SiO、SnO2、ITO等があり、後者の例としては、LiF、MgF2、AlF3がある。好ましくは、金属酸化物又は窒化物であり、具体的には、Be、Mg、Ca、Cr、Mn、Cu、Ag、Al、Sn、In、Te、Fe、Co、Zn、Ge、Pb、Cd、Bi、Se、Ga、Rb、Sb、Pb、Ni、Sr、Ba、La、Ce、Au等の酸化物又は窒化物他はそれらを2種以上を混合したもの等が例示できる。またアルミニウム等の一般的な光反射性の金属薄膜も、厚みが200Å以下になると、透明性が出て使用できる。透明金属化合物の形成は、金属の薄膜と同様、ホログラム層15のレリーフ面に、10〜2000nm程度、好ましくは20〜1000nmの厚さになるよう、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVDなどの真空薄膜法などにより設ければよい。
(高輝度インキ層)高輝度インキ層18を透明反射層17面へ設けることにより、ホログラムの再生像および/または回折格子が明瞭に視認できるようになる。従来、金属光沢の透明反射層としては、通常、特殊機能を発揮させるものを除いては、真空蒸着法で形成したアルミニウムの金属薄膜が用いられてきた。他の、例えば、圧延法のアルミニウム箔では、真空薄膜法の金属薄膜ほどの金属光沢が、得られなかった。また、他の金属では、色調を帯びていたり、高コストためである。このように、真空蒸着法のアルミニウム薄膜が、実際に実用されている汎用用途では、全てと言って良いほどに、また、長期間にわたって用いられてきた。また、従来からも、金属光沢を付与する印刷インキがあったが、該インキはアルミニウムペーストやアルミニウム粉等の金属顔料を用いた、シルバーまたはゴールド等のメタリック調印刷インキである。アルミニウムペーストには、リーフィングタイプとノンリーフィングタイプがあるが、いずれを用いても、真空薄膜法の金属薄膜の金属光沢には、はるかに及ばなかった。さらにまた、蒸着アルミニウム薄膜を粉砕した粉末を用いたインキがあったが、表面処理が異なり分散性が悪く、十分な高輝度が得られなかった。
該メタリックインキ層は、金属光沢様(メタリック調)を付与する印刷インキを用いた印刷層であり、少なくとも有機脂肪酸、メチルシリルイソシアネート、又はセルロース誘導体で表面処理されている蒸着金属膜を粉砕した蒸着金属膜細片を含有させた高輝度インキを用いた印刷層である。印刷法なので、部分的に設けてもよく、高輝度インキ透明反射層を既存の印刷設備で安価に製造することができる。金属薄膜片とバインダとからなる高輝度インキを用いたメタリック印刷層(高輝度インキ層18)を透明反射層17面へ印刷することで、よりメタリック調の高輝度を発揮でき、光回折画像の透明反射層とする。また、意匠性が高く、かつ、目視で容易に真偽が判定できてセキュリティ性も高まり、小ロット生産にも対応でき、また、コストも低くできるという著しい効果を発揮する。また、高輝度インキ層18とは印刷法なので、他の印刷層があればこの印刷絵柄に同調させて、高輝度インキ層を設けることが容易である。印刷絵柄と同調するように設けることで、より一層意匠効果が高まる。部分的とは、文字、数字、記号、イラスト、模様、写真などのすべての絵柄が使用できる。
また、従来の真空蒸着法で形成したアルミニウムの金属薄膜は、十分な金属光沢が得られる。しかしながら、意匠的に高めるために、部分的なアルミニウムの金属薄膜を設けるには、一旦、真空成膜法でアルミニウム金属薄膜を全面に設けた後に、別工程で、レジストを印刷しエッチングするので、コストが非常に高く、また、製造工程が多くなって小ロット生産に向かない。しかも、高温や曲げられると、白化するという欠点がある。立体面へインモールド射出成形すると、平面状の転写箔は射出された高温の溶融樹脂で立体面に沿って引き伸ばされると、金属透明反射層では細かいヒビ割れ(クラック)が発生して、輝度が低下したり、白化してホログラムが観察できなくなるという欠点がある。
ところが、本発明のインモールド用転写箔10を用いると、透明反射層17及び高輝度インキ層18とを併用することで、金属透明反射層を持つホログラムと同等の輝度を有しながら、高温で引き伸ばされても白化しにくく、明るいホログラムを立体面へ転写できるインモールド用転写箔10となる。透明反射層17は立体面に沿って引き伸ばされてクラックが発生するが、目立たず、またそのクラック部分は高輝度インキ層18の高輝度メタリック透明反射層で補助されて、輝度が維持されるのである。高輝度インキ層18は金属透明反射層のように1層の薄膜ではなく、表面処理された金属蒸着膜細片の分散層であり、立体面に沿って引き伸ばされても、クラックが発生せず、メタリック光沢が維持される。もちろん、ホログラム層15も立体面に沿って引き伸ばされるが、破断伸度が5%以上と大きくクラックは発生しない。ホログラムのレリーフも引き伸ばされるが、光回折効果を維持できる程度の伸びであるし、又は推定伸度に応じて、微細の程度をあげておいてもよい。基材11も立体面に沿って引き伸ばされるが、充分に追従できる伸度を持っているので問題はない。
(高輝度インキ)透明反射層17、及び高輝度インキ層18の2層とすることで、明るいホログラム転写箔層15部分の光回折画像が視認できるようになる。該高輝度インキとしては、金属蒸着膜に匹敵する金属光沢を有する高輝度インキで、金属蒸着膜細片の表面を有機脂肪酸、メチルシリルイソシアネート、又はセルロース誘導体で処理して、インキ中への分散性を向上させて、インキ塗膜の金属光沢を高輝度としたものである。該インキは、有機脂肪酸、メチルシリルイソシアネート、またはセルロース誘導体で表面処理した金属蒸着膜細片、バインダ、添加剤、及び溶剤からなり、必要に応じてグラビアインキ、スクリーンインキ、又はフレキソインキ化すればよい。
金属蒸着膜細片の金属としては、アルミニウムが適用できるが、必要に応じて、金、銀、銅、真鍮、チタン、クロム、ニッケル、ニッケルクロム、ステンレス等も使用できる。金属蒸着膜の厚さは、0.01〜0.1μmが好ましく、さらに好ましくは0.03〜0.08μmであり、インキ中に分散させた金属蒸着膜細片の大きさは、5〜25μmが好ましく、さらに好ましくは10〜15μmである。大きさが、この範囲未満の場合はインキ塗膜の輝度が不十分となり、この範囲を超えると、グラビア版のセルに入りにくく、またスクリーン版が目詰まりし易く、印刷塗膜の光沢が低下する。
金属蒸着膜細片は、まず、ポリエステルフィルム/剥離層/蒸着膜/表面の酸化防止トップコート層からなる蒸着フィルムを作成する。剥離層、トップコート層は、特に限定されないが、例えば、セルロース誘導体、アクリル樹脂、塩素化ポリプロピレンなどが適用できる。上記蒸着フィルムを、溶剤中に浸積して、金属蒸着膜を剥離、撹拌、濾別、乾燥して、金属蒸着膜細片を得る。該金属蒸着膜細片を温度10〜35℃、30分程度、撹拌しながら、有機脂肪酸、メチルシリルイソシアネート、又はセルロース誘導体溶液を加え、金属蒸着膜細片の表面に有機脂肪酸、メチルシリルイソシアネート、又はセルロース誘導体を吸着させて、金属蒸着膜細片の表面処理を行う。セルロース誘導体としては、ニトロセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、エチルセルロース等が適用できる。セルロース誘導体の添加量は、金属がアルミニウムの場合は、蒸着膜細片に対して1〜20質量%が好ましい。
該表面処理の後、金属蒸着膜細片を分離、又は金属蒸着膜細片スラリーをそのまま、バインダ及び溶剤へ配合、分散させてインキ化する。該バインダとしては、公知のインキ使われているものでよく、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、セラック、アルキッド樹脂等がある。該インキには、必要に応じて、着色用顔料、染料、ワックス、可塑剤、レベリング剤、界面活性剤、分散剤、消泡剤、キレート化剤などの添加剤を添加してもよい。インキの溶剤は、公知のインキ用溶剤を使用することができ、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族または脂環式炭化水素、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類、メタノール、エタノール、IPA等のアルコール類、アセトン、MEK等のケトン類、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル等がある。
また、通常のインキは、ロールミル、ボールミルなどで混練して、顔料た添加剤をサブミクロンまで微粒子化し高度に分散させて、印刷適性を持たせる。しかしながら、本発明で使用する高輝度インキは、混練工程を必要とせず、攪拌機で混合するだけでよく分散し、金属光沢が損なわれない。即ち、高輝度の金属光沢を発現させるためには、金属蒸着膜細片の大きさが5〜25μm程度が必要で、上記混練工程を行うと金属光沢が極端に低下してしまう。
(高輝度インキ印刷)以上のようにして得られたインキを、公知のグラビア印刷、スクリーン印刷、又はフレキソ印刷で、所要の絵柄を製版して、印刷し、乾燥、必要に応じて硬化すればよい。
(接着層)高輝度インキ層18面、即ち被転写体と相対する面へ接着層19を設ける。該接着層19の材料としては、公知の加熱されると溶融または軟化して接着効果を発揮する感熱接着剤が適用でき、具体的には、塩化ビニール酢酸ビニール共重合樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂などが挙げられる。該材料樹脂を溶剤に溶解または分散させて、適宜顔料などの添加剤を添加して、公知のロールコーティング、グラビアコーティングなどの方法で塗布し乾燥させて、厚さ0.1〜30μm程度、好ましくは0.5〜10μmの層とする。接着層19の材料としては、公知の加熱されると溶融または軟化して接着効果を発揮する感熱接着剤が適用でき、具体的には、塩化ビニール酢酸ビニール共重合樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂などが挙げられる。該材料樹脂を溶剤に溶解または分散させて、適宜顔料などの添加剤を添加して、公知のロールコーティング、グラビアコーティングなどの方法で塗布し乾燥させて、厚さ0.1μmから30μmの層を得る。
(他の層)透明反射層17と高輝度インキ層18との間に印刷層を設けてもよく、該印刷層を全面に透明着色したり、絵柄印刷したりすることができる。また、ホログラム図柄や高輝度インキ層18の絵柄へ、文字、数字、記号、イラスト、模様、写真などの印刷絵柄を同調させて印刷すれば、より一層意匠効果が高まる。このようにして、基材11/離型層13/ホログラム層15/透明反射層17/印刷層16(必要に応じて)/高輝度インキ層18/接着層19の層構成からなるインモールド用転写箔10も得られる。
(インモールド射出成形)このようにして本発明のインモールド用転写箔10が準備できる。該インモールド用転写箔10を用いて、インモールド射出成形法して、立体面へホログラムが転写された成形品を製造することができる。まず、(2)該インモールド用転写箔10を射出成形用金型内へ挿入し、(3)該射出成形用金型へ樹脂を射出成形し密着させ、該樹脂の表面へインモールド用転写箔10のホログラムを転写し、(4)冷却後、金型を解放し、インモールド用転写箔の基材11及び離型層13を剥離して成形品を取り出す公知の方法でよい。なお、離型層13の1部がホログラム層15側に残る場合もあるが、剥離に支障はなく、本発明の範囲内である。
(ホログラム付き射出成形品)このように、離型層13、及びホログラム層15を特定の材料を用いたインモールド用転写箔10とし、インモールド射出成形法で立体面へ、ホログラム自身の熱で白化しない耐熱性、及び伸縮へ追従性がよく、割れや白化などが極めて少ない意匠性に優れたホログラムが転写されたホログラム付き成形品を製造できる。また、インモールド用転写箔10には、ホログラム絵柄を背景とし他の任意な印刷絵柄と合わせて、さらなる特異な意匠性も向上させることができる。
(射出成形品)射出樹脂の材料は特に限定されず、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、アクリル系樹脂などの射出樹脂のできる公知の樹脂でよい。該射出成形品の形状としては、特に限定されず、少なくとも1部分に立体部があれば、適用できる。立体部とは二次面、三次面でもよく、波状、曲面状、多面体状、円又は角錐状、球状などがあり、これらの1、又は複数の組合わせ、若しくはランダム形状でもよい。射出成形による成形品は、日用品や生活用品などの機器本体、食品や各種物品の容器類、携帯電話などの電子機器や事務用品などの筐体類などに使用できる。
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、これに限定されるものではない。なお、溶媒を除き、各層の各組成物は固形分換算の質量部である。
(実施例1)基材11として厚さ25μmのPETフィルムを用い、該基材11の一方の面へ、グラビアコート法で、TCM01メジューム(大日本インキ社製、メラミン樹脂商品名)塗工液を乾燥後2μmになるように塗布し乾燥して、180℃20秒間焼き付けて、離型層13を形成した。
該離型層13面へ、下記の電離放射線硬化性樹脂組成物をグラビアリバースコーターで乾燥後の厚さが2μmになるように、塗工し100℃で乾燥させた。
・<電離放射線硬化性樹脂組成物の作製手順>
まず、「電離放射線硬化性樹脂組成物M」は以下の手順で、生成した。撹拌機、還流冷却器、滴下漏斗及び温度計を取り付けた反応器に、酢酸エチル206.1g及びイソホロンジイソシアネートの三量体(HULS社製品、VESTANAT T1890、融点110℃)133.5gを仕込み、80℃に昇温して溶解させた。溶液中に空気を吹き込んだのち、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.38g、ペンタエリスリトールトリアクリレート(大阪有機化学工業社製品、ビスコート300)249.3g及びジブチル錫ジラウレート0.38gを仕込んだ。80℃で5時間反応させたのち酢酸エチル688.9gを添加して冷却した。
該「電離放射線硬化性樹脂組成物M」と、造膜性樹脂(アクリル系オリゴマー)、反応性シリコーン、ポリエチレンワックス、光重合開始剤、及び溶媒を下記の組成で配合して電離放射線硬化性樹脂組成物を調製した。
・<ホログラム層の電離放射線硬化性樹脂組成物>
「電離放射線硬化性樹脂組成物M」 25質量部
メタアクリレートオリゴマー(日本合成化学社製、商品名紫光6630B)5質量部
反応性シリコーン(信越化学社製、商品名X−22−2445) 0.15質量部
ルミシスR−600(セントラルテクノ社製、赤発光性の希土類錯体商品名)
0.3質量部
ポリエチレンワックス(平均粒径5μm) 0.6質量部
光重合開始剤(チバ社製、商品名イルガキュア184) 0.9質量部
溶媒(酢酸エチル:メチルイソブチルケトン=1:1) 70質量部
次に、該層は電離放射線硬化前であり、塗膜は指乾状態であった。該層面へ、2光束干渉法による回折格子から2P法で複製した擬似連続絵柄としたプレス型を複製装置のエンボスローラーに貼着して、相対するローラーと間で加熱プレス(エンボス)して、微細な凹凸パターンからなるレリーフを賦形させた。賦形後直ちに、高圧水銀灯を用いて紫外線を照射して硬化させて、ホログラム層15を形成した。
該ホログラム層15のレリーフ面へ、厚さ50nmの酸化チタンを真空蒸着法で形成して、透明反射層17とした。
該透明反射層17面へ、ファインラップスーパーメタリックシルバーインキ(大日本インキ化学工業社製、高輝度インキ商品名)を用いて、グラビア印刷法で、乾燥後の厚さが2μmになるように印刷して、高輝度インキ層18を形成した。
該高輝度インキ層18面へ、接着層組成物としてTM−A1HS(大日精化社製、商品名)をグラビアコーターで乾燥後の塗布量が1μmになるように、塗工し100℃で乾燥させて、接着層19を形成して、基材11/剥離層13/ホログラム層15/透明反射層17/高輝度インキ層18/接着層19の層構成からなる実施例1のインモールド用転写箔10を得た。
(実施例2)基材11として厚さ25μmのPETフィルムを用い、該基材11の一方の面へ、グラビアコート法で、メラミン樹脂塗工液を乾燥の厚さが2μmになるように塗布し乾燥して離型層13を形成した。
該離型層13面へ、下記の電離放射線硬化性樹脂組成物をグラビアリバースコーターで乾燥後の厚さが2μmになるように、塗工し100℃で乾燥させて、ホログラム層15を形成した。
・<ホログラム層の電離放射線硬化性樹脂組成物>
ユピマーUV・V3031(三菱化学社製、紫外線硬化性樹脂商品名) 25質量部
メタアクリレートオリゴマー(日本合成化学社製、商品名紫光7510B)5質量部
反応性シリコーン(信越化学社製、商品名X−22−1602) 0.2質量部
ルミシスG−900(セントラルテクノ社製、緑発光性の希土類錯体商品名)
0.3質量部
マイクロシリカ 1質量部
光重合開始剤(チバ社製、商品名イルガキュア907) 1.75質量部
溶媒(酢酸エチル:メチルイソブチルケトン=1:1) 70質量部
次に、該ホログラム層15面へ、EB(電子線)描画法による回折格子から2P法で複製した擬似連続絵柄としたスタンパを複製装置のエンボスローラーに貼着して、相対するローラーと間で加熱プレス(エンボス)して、微細な凹凸パターンからなるレリーフを賦形させた。賦形後直ちに、高圧水銀灯を用いて紫外線を照射して硬化させた。
該ホログラム層15のレリーフ面へ真空蒸着法で厚さが50nmの酸化チタン薄膜を形成して透明反射層17を形成した。
該透明反射層17面へ、ファインラップスーパーメタリックシルバーインキ(大日本インキ化学工業社製、高輝度インキ商品名)を用いて、グラビア印刷法で、乾燥後の厚さが2μmになるように印刷して、高輝度インキ層18を形成した。
該高輝度インキ層18面へ、接着層組成物としてTM−A1HS(大日精化社製、商品名)をグラビアコーターで乾燥後の塗布量が1μmになるように、塗工し100℃で乾燥させて、接着層19を形成して、基材11/剥離層13/ホログラム層15/透明反射層17/高輝度インキ層18/接着層19の層構成からなる実施例2のインモールド用転写箔10を得た。
(実施例3)電離放射線硬化性樹脂組成物Mの代わりに、MHX405ニス(ザ・インクテック(株)製、紫外線硬化性(電離放射線硬化性樹脂)商品名)を用いる以外は、実施例1と同様にして、実施例3のインモールド用転写箔10を得た。
(実施例4〜6)
<射出成形>実施例1〜3のインモールド用転写箔10を射出成形装置の自動箔送り装置に、接着層面が成形樹脂側になるように挿入(インサート)し、スミペックスSTH−55(住友化学社製、アクリル樹脂商品名)を、溶融温度250℃、金型温度80℃の通常条件で射出成形を行った。冷却後、金型を解放し、基材11を剥離して取り出して、実施例4〜6のインモールド用転写箔を用いたホログラム付き成形品を得た。
なお、該射出成形は成形サイクル12秒で連続的に成形した。得られた成形品は3次元形状(周囲に5mmの縁取りがあり、中央部が球面状に盛り上った直径150mmのCDプレイヤーの部材)とした。
(評価)実施例1〜3の硬化前のホログラム層はいずれも指乾状態であり、巻取りができ、以降の工程もロールツーロール加工ができた。実施例1のホログラム層15の破断伸度は31%、実施例2のホログラム層15の破断伸度は31%、実施例2のホログラム層15の破断伸度は25%であった。
インモールド用転写箔10の耐熱性としては、実施例1が170℃、実施例2も170℃、実施例3が150℃でであった。
実施例4〜6のいずれの成形品も球面部及び縁取り部分にもインモールド用転写箔10は追随し、アクリル樹脂表面に転写され、該ホログラムは、射出成形の熱でも白化せず、球面部への追従性もよく、割れや白化などもなく正常に転写できた。
また、実施例4〜6の成形品100の最表面となっているホログラム層15面の鉛筆硬度試験を、JIS−K−5400に準拠して測定したところ、2H以上の硬度を有し、さらに、スクラッチ強度はサファイア200g以上であり、充分な耐久性を有していた。このことは、ホログラム層へ蛍光発光性の希土類錯体を含ませても、蛍光発光剤の吸収波長によって、電離放射線硬化性樹脂の硬化を阻害せず、充分に硬化できたことを示している。さらに、ホログラム層へ波長365nmのブラックライトで紫外線を照射すると、蛍光発光し、ホログラム画像の輪郭も見えた。
さらに、耐光性に関しては実施例1〜2のインモールド用転写箔10、及び実施例4〜6の成形品100を用いて、JIS−B−7753(サンシャインカーボンアーク灯式耐光性及び耐候性試験機)に準拠して測定を行い、500時間の照射後における画像の色の変化を照射前と比較して目視で評価した。実施例1〜3のいずれのインモールド用10、及び実施例4〜6のいずれの成形品100でも、著しい変化はなく良好な耐光性であった。このことは、ホログラム層へ含ませる蛍光発光剤の材料を希土類錯体と限定することで、得られた耐光性であり、意匠性やセキュリティ性の向上を図らることができた。
本発明の1実施例を示すインモールド用転写箔の断面図である。 本発明の1実施例を示すインモールド用転写箔の断面図である。
符号の説明
10:インモールド用転写箔
11:基材
13:離型層
15:ホログラム層
17:透明反射層
18:高輝度インキ層
19:接着層
100:成形品

Claims (2)

  1. インモールド射出成形法で立体成形品を成形する際に射出成形用金型内へ挿入し、基材と、該基材の一方の面へ離型層、ホログラム層、透明反射層及び高輝度インキ層及び接着層が設けられてなるインモールド用転写箔において、
    前記離型層がメラミン系樹脂であり、
    前記ホログラム層がハードコート性の電離放射線硬化樹脂、シリコーン、蛍光発光性の希土類錯体、及びフィラーを含む蛍光発光性のホログラム層であり、
    前記電離放射線硬化樹脂が(1)分子中にイソシアネート基を3個以上有するイソシアネート類、(2)分子中に水酸基を少なくとも1個と(メタ)アクリロイルオキシ基を少なくとも2個有する多官能(メタ)アクリレート類、又は(3)分子中に水酸基を少なくとも2個有する多価アルコール類の反応生成物であるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する電離放射線硬化性樹脂の硬化物であり、
    前記シリコーンが反応性シリコーンであり、
    前記蛍光発光性の希土類錯体がEu 3+ 、Tb 3+ 、Yb 3+ 、Nd 3+ 、Er 3+ 、Sm 3+ 、Dy 3+ 、Ce 3+ のいずれかの希土類イオンLn 3+ である光学活性希土類錯体であり、
    前記フィラーが球状ビーズのポリエチレンワックスであり、
    前記ホログラム層の質量基準の配合比が電離放射線硬化性樹脂:希土類錯体:シリコーン:フィラー=100:0.01〜10:0.1〜10:0.01〜10であり、
    前記高輝度インキ層が少なくとも有機脂肪酸、メチルシリルイソシアネート又はセルロース誘導体で表面処理した金属蒸着膜細片を含み、
    かつ、前記電離放射線硬化性樹脂を該電離放射線硬化性樹脂の吸収波長領域が前記希土類錯体の吸収波長領域と異なる波長250nm以下の紫外領域の照射で硬化させることを特徴とするインモールド用転写箔。
  2. 請求項1記載のインモールド用転写箔を用いて、インモールド射出成形法で成形された立体成形品に、前記ホログラム層、前記透明反射層、前記高輝度インキ層及び前記接着層が転写されてなることを特徴とする立体成形品。
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