JP6219594B2 - 薄膜形成装置、及び薄膜形成方法 - Google Patents

薄膜形成装置、及び薄膜形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、薄膜形成装置、及び薄膜形成方法に関し、特に、被成膜部材(光学素子)の表面に蒸着材料を蒸着させることにより薄膜を形成するための装置及び方法に関する。
例えば、ガラス基板などの光学素子表面に反射防止などのために、光学素子の表面に光学薄膜を形成する方法として真空蒸着法が知られている。真空蒸着法では、真空にした容器内において蒸着材料を加熱蒸発させ、ガラスレンズなどの光学素子の表面に被成膜材料に蒸着材料を堆積させることにより薄膜を形成する。また、このような真空蒸着法の一つとして、イオンアシスト蒸着法が知られている。イオンアシスト蒸着法では、イオンガンによるイオンビーム照射により、従来の加熱蒸発方式に比べ、蒸発した蒸着材料を被成膜部材の表面に高い緻密度で堆積させることができる。(例えば、非特許文献1のp.665−667の図7参照)
小林昭、河西敏雄、森脇俊道「超精密生産技術大系 第2巻 実用技術」、初版、株式会社フジ・テクノシステム、1994年8月23日、p.665−667の図7
しかしながら、従来、イオンアシスト蒸着法に用いられている熱電子励起型のイオンガンは、照射されるイオンビームのイオン電流密度が高緻密度膜を広い領域に形成するのに十分とはいえない。このようなイオン電流密度が不十分なイオンガンを用いて形成された薄膜は、膜密度が低くなってしまう。膜密度の低い薄膜では、反射防止などの性能が充分に得られないという光学的特性の問題や、くもりやヤケなどの外観上の問題、温度や湿度の変化により、反射率特性が変化する(波長シフト)などの信頼性の問題、膜付着強度が十分でなく、膜剥がれなど機械的耐久性が十分でないという問題などがある。
本発明は、上記の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、被成膜部材(光学素子)の表面に緻密な薄膜を形成することができる薄膜形成装置を提供することである。
本発明の薄膜形成装置は、被成膜部材の表面に蒸着材料を蒸着させることにより、被成膜部材の表面に薄膜を形成するための装置であって、被成膜部材が取り付けられた保持部材と、蒸着材料を蒸発させる蒸発部と、保持部材に向かって蒸発部から蒸発した蒸着材料中にイオンビームを照射するイオンガンと、を備え、イオンガンは、アノード及びカソードと、アノード及びカソードの間にガスを供給し、プラズマを発生させるプラズマ供給手段と、アノード及びカソードの間に電位差が生じるように、アノード及びカソードにそれぞれ電圧を印加するアノード電源及びカソード電源と、を含み、カソードは、カソード電源に並列接続された複数の熱電子発生部材を有する。
また、本発明の薄膜形成方法は、被成膜部材の表面に蒸着材料を蒸着させることにより、被成膜部材の表面に薄膜を形成する方法であって、蒸着材料を蒸発させる蒸発ステップと、イオンガンにより、被成膜部材に向かって蒸発した蒸着材料中にイオンビームを照射する照射ステップと、を備え、イオンガンは、アノード及びカソードと、アノード及びカソードにそれぞれ電圧を印加するアノード電源及びカソード電源と、を含み、カソードは、カソード電源に並列接続された複数のフィラメントからなり、照射ステップでは、アノードとカソードとの間にプラズマを供給し、アノード及びカソードの間に電位差が生じるように、アノード電源によりアノードに電圧を印加するとともに、複数の熱電子発生部材からなるカソードに電圧を印加する。
本発明によれば、被成膜部材の表面に緻密な薄膜を形成することができる。
本実施形態の薄膜形成装置の構成を示す鉛直断面図である。 図1の薄膜形成装置に用いられているイオンガンの構成を示す模式図である。 図2に示すイオンガンの保持部材(ドーム)中心からの距離に対する保持部材(ドーム)上のイオン電流密度比の関係を示すグラフである。 図1に示す保持部材を蒸発部側から見たときの底面図である。 図4に示す保持部材中心PからA方向およびB方向における保持部材内のイオン電流密度比の関係を示すグラフである。 図4に示す保持部材中心PからC方向およびD方向における保持部材内のイオン電流密度比の関係を示すグラフである。 本実施形態の薄膜形成装置に用いられたイオンガン及び従来の薄膜形成装置に用いられていたイオンガンから保持部材上に照射される熱電子量比を示すグラフである。 蒸着材料としてSiO2を用いて蒸着を行った際に測定した蒸着速度と、SiO2を用いた薄膜の真空中屈折率との関係を従来のイオンガンを用いた薄膜形成装置と比較して示すグラフである。 蒸着材料としてTa25を用いて蒸着を行った際に測定した蒸着速度と、Ta25を用いた薄膜の真空中屈折率との関係を従来のイオンガンを用いた薄膜形成装置と比較して示すグラフである。 従来のイオンガンの照射方向を説明するための各方向のイオン電流密度を示すグラフである。 本実施形態のイオンガンの照射方向を説明するための各角度方向におけるイオン電流密度を示すグラフ(その1)である。 本実施形態のイオンガンの照射方向を説明するための各角度方向におけるイオン電流密度を示すグラフ(その2)である。 本実施形態のイオンガンの照射方向を説明するための各角度方向におけるイオン電流密度を示すグラフ(その3)である。 別の実施形態による薄膜形成装置のカソードにおけるフィラメントの配置を示す図(その1)である。 別の実施形態による薄膜形成装置のカソードにおけるフィラメントの配置を示す図(その2)である。 別の実施形態による薄膜形成装置のカソードにおけるフィラメントの配置を示す図(その3)である。 別の実施形態による薄膜形成装置のカソードにおけるフィラメントの配置を示す図(その4)である。 別の実施形態による薄膜形成装置のカソードにおけるフィラメントの配置を示す図(その5)である。 別の実施形態による薄膜形成装置のカソードにおけるフィラメントの配置を示す図(その6)である。
以下、本発明の薄膜形成装置の一実施形態を図面を参照しながら、詳細に説明する。以下の説明では、被成膜部材として、光学素子(レンズ)等のガラス基板の表面に薄膜を形成する場合を例として説明する。
図1は、本実施形態の薄膜形成装置の構成を示す鉛直断面図である。同図に示すように、本実施形態の薄膜形成装置1は、気密に形成されたチャンバー4内に配設されたガラス基板(光学素子)2を保持する保持部材10と、蒸着材料を蒸発させる蒸発部8と、イオンビームを照射するイオンガン6と、膜厚センサ部15と、制御部18と、真空ポンプ20と、を備える。
保持部材10はドーム形状の部材からなり、頂部が上方に位置し、かつ、中心軸Xが鉛直方向に延びるように設けられている。また、保持部材10は、チャンバー4に固定された回動機構(不図示)により、中心軸Xを中心として回動可能である。なお、回動機構としては、例えば、保持部材10の周縁部の下面にギアを設けておき、このギアを装置外部に設けられたモーターに接続された歯車の上に載置する構成を用いることができる。このような機構によれば、モーターを回転させることにより、保持部材10を回転させることができる。なお、保持部材10の形状は、平板形状や円錐形状、四角錐形状などでもよい。
保持部材10の頂部には開口が設けられ、この開口に膜厚センサ部15を構成する検出子14と検出器16とが取り付けられている。また、ガラス基板2は、薄膜形成の対象となる面が下方に向いた状態で、保持部材10の内面側の検出子14の周囲に取り付けられている。
膜厚センサ部15は、チャンバー4の上部における保持部材10の中心軸Xとの交点に当たる位置に設けられた検出器16と、検出子14とから構成される。検出器16としては、例えば、膜厚センサ部15が光学式膜厚計の場合、測定光源と受光部から構成される検出器16からの測定光を、検出子14となるモニターガラスに向かって照射し、検出子14となるモニターガラスからの反射光の光量を検出器16の受光部で検出する。検出子14のモニターガラスに薄膜が形成されると、薄膜の厚さに応じて検出器16の受光部で検出される光量(モニターガラスの反射率の変化のよる反射光量または透過光量)が変化する。その光量変化の値からモニターガラス上に形成される薄膜の光学的膜厚(屈折率nと物理的膜厚dの積)を測定することができる。検出器16により検出された薄膜の光学的膜厚変化による光量変化の信号は制御部18に送信される。なお、反射光を検出する方法に代えて、モニターガラスからの透過光の光量を検出器16の受光部で検出する方法を採用することができる。この場合、検出器16は、例えば、チャンバー4の下部における保持部材10の中心軸Xとの交点に当たる位置に設けることができる。
また、膜厚センサ部15が水晶振動子式膜厚計の場合、振動子制御部と振動周波数測定部から構成される検出器16からの信号を検出子14となる水晶振動子へ送信し、検出子14となる水晶振動子の振動周波数を検出器16で検出する。検出子14の水晶振動子に薄膜が形成されると、検出器16で検出される振動周波数が変化する。その周波数変化の値から水晶振動子上に形成される薄膜の物理的膜厚dを測定することができる。検出器16により検出された薄膜の物理的膜厚dの変化による周波数変化の信号は制御部18に送信される。
なお、光学式膜厚計及び水晶振動子式膜厚計のいずれの膜厚センサ部15の場合でも、検出器16または検出子14は必ずしも、保持部材10の上方に設ける必要はなく、保持部材10の下方や、保持部材10上のガラス基板2付近、チャンバー4の内壁部付近に設けてもよい。
蒸発部8は、例えば、SiO2やTa25などの蒸着材料を加熱することにより蒸発させる。蒸発部8により蒸発させられた蒸着材料は、チャンバー4内に拡散する。なお、蒸発部8において蒸着材料を蒸発させる方法としては、例えば、電子銃により電子ビームを蒸着材料に照射して加熱する方法や、ヒータ等により加熱する方法を用いることができる。
制御部18は、マイクロコンピュータ等からなり、膜厚センサ部15から受信した検出子14に形成された薄膜の厚さに関する情報に基づき、蒸発部8の加熱を制御し、蒸着材料の蒸発量を制御する。すなわち、制御部18は、検出子14に形成された薄膜の厚さが所定の厚さよりも薄い場合には、蒸発部8を、蒸着材料を蒸発させるように制御し、検出子14に所定の厚さの薄膜が形成された場合には、蒸発部8における蒸着材料の蒸発を停止するように制御する。
さらに、所定の膜厚に到達した瞬間に、蒸発部8上部に設けた蒸発部8のシャッター(不図示)を閉じることにより、蒸発した蒸着材料がチャンバー4内に拡散するのを妨げ、保持部材10の設置されたガラス基板2へそれ以上堆積しないようにする。
真空ポンプ20は、チャンバー4内の気体を外部へ排出し、チャンバー4内の気圧を低下させ、真空状態に近づける。これにより、蒸着材料のガラス基板2への付着を妨げる蒸着材料のチャンバー4内の気体分子との衝突を防止できる。
また、蒸着材がSiO2やTiO2、Ta25、Nb25、Al23などの酸化物の場合、成膜中に、真空ポンプ20による排気をしながら、チャンバー4内へ酸素ガスを導入孔(不図示)から導入し、排気速度(真空圧)と導入ガス流量を制御することで一定の酸素濃度中で蒸着させることにより酸化物薄膜の酸化数制御や酸素欠陥防止を行うことができる。
また、イオンガン6は、後述する実験結果を踏まえて、チャンバー4に設置された保持部材10の最下部Pとイオンガン6の照射口Rの距離が50cm以上となり、かつ、保持部材10の中心軸Xから側方へオフセットするように配置されている。また、イオンガン6は、照射されるイオンビームの照射方向CLが、イオンガン6と膜厚センサ部15を結ぶ直線上からずれ、かつ、イオンガン6と保持部材10との間で、保持部材10の中心軸Xと交差するように傾けて設けられている。なお、イオンビームの照射方向CLと保持部材10の中心軸Xとは、図面上に置いて交差しているが、実際の実空間(三次元)では交差しない(すなわち、ビームの照射方向CLと、中心軸Xとが奥行き方向にずれている)。以下の説明においては、このようにビームの照射方向CLと、中心軸Xとが実際の実空間においては交差しなくても、中心軸Xが含まれる特定の平面にビームの照射方向を投影した際に投影したビームの照射方向CLと中心軸Xとが交差する場合も、「交差するように傾けて設けられている」と表現する。
図2は、図1の薄膜形成装置1に用いられているイオンガン6の構成を示す模式図である。同図に示すように、イオンガン6は、アノード26及びカソード22と、これらアノード26及びカソード22の間にアルゴン等の放電ガスを供給する放電ガス供給手段(不図示)と、アノード26及びカソード22にそれぞれ電圧を印加するアノード電源28及びカソード電源24と、を備える。
アノード26は、中心に向かって傾斜するすり鉢状の窪みが形成された導電体からなり、中心に上下方向に貫通する開口26Aが設けられている。アノード26は、アノード電源28に接続されており、アノード電源28により電圧が印加されている。
カソード22は、アノード26に対して同じ高さに配置された複数(本実施形態では4本)の熱電子発生部材としてのフィラメント22Aからなる。本実施形態では、これらフィラメント22Aは、略等間隔に平行に延びるように、水平に配列されている。また、これら複数のフィラメント22Aは、ノードX,Yを介してカソード電源24に並列接続されており、カソード電源24により電圧が印加されている。また、カソード電源24の正極側においてアースが取られている。なお、図2では、複数のフィラメント22Aがカソード電源24に並列接続されていることを示す都合上、これら複数のフィラメント22Aの高さが異なるように図示している。
アノード電源28及びカソード電源24は、アノード26とカソード22との間に電位差が生じるように、アノード26及びカソード22に電圧を付与している。これにより、アノード26とカソード22との間には、これらを結ぶ方向に電場が形成されている。
放電ガス供給手段は、アルゴンや酸素等の放電ガスをアノード26に形成された開口26Aからアノード26とカソード22との間に供給する。そして、放電ガスが間に存在した状態で、アノード26とカソード22の間に電圧が印加されることにより、放電が生じ、放電ガスがプラズマ化する。このように、本実施形態では、放電ガス供給手段と、電圧が印加され放電を生じるアノード26及びカソード22により、プラズマ発生手段が構成されている。プラズマ化した酸素イオンO2+及びアルゴンイオンAr+は、アノード26とカソード22の間に生じた電場によりアノード26からカソード22に向かって力を受ける。このようにして、イオンガン6は、酸素イオンO2+及びアルゴンイオンAr+からなるイオンビームを照射することができる。
図1に戻り、イオンガン6は、保持部材10およびガラス基板2の被成膜面上に向けて、蒸発部8から蒸発した蒸着材料中にイオンビームを照射する。これにより、蒸発部8から蒸発した蒸着材料が、ガラス基板2の表面に、高緻密かつ均一な膜質の薄膜を形成することができる。
薄膜形成装置1を繰り返し使用すると、チャンバー4の内側、特に、保持部材10のイオンガン6側の面には、蒸着材料が堆積する。そして、真空ポンプ20によりチャンバー4の内部の気体を排出すると、堆積物中に吸着されていた物質、主に水分がガス化してチャンバー4内に放出される。このように放出されたチャンバー4内の水分は、真空ポンプ20により一部排気することができるが、一部はガラス基板2の表面に形成した薄膜内に取り込まれてしまう。このように、薄膜中に水分が取り込まれてしまうと、薄膜の品質(膜密度、屈折率)が不安定になったり、膜の均一性が低下したりしてしまう。
このような場合の解決方法として、本実施形態の薄膜形成装置1を用いて、ガラス基板2の表面に薄膜を形成する場合には、蒸発部8による蒸着材料の蒸発の開始前に、真空ポンプ20による排気をしながら、保持部材10外側周辺に設けた加熱ヒータを用い、保持部材10およびガラス基板2、チャンバー4の内壁を加熱し、さらにこれに追加して、イオンガン6による予備加熱を積極的に行う。特に、本実施形態のイオンガン6は、フィラメント22Aが複数本あることでフィラメント22Aからの輻射熱も大きくなるため、加熱ランプヒータとしても有効に利用できる。
また、イオンガン6の輻射熱による予備加熱は、保持部材10およびガラス基板2の被成膜側の表面やチャンバー4の内壁の中部から下部の領域まで広い範囲に熱伝達しやすく、十分かつ均一に加熱できる。このため、保持部材10およびガラス基板2の被成膜側の表面やチャンバー4の内壁に堆積した膜内に吸着されていた物質のガス化を促進し、真空ポンプ20により外部へ排出することができる。これにより、成膜中におけるチャンバー4内の堆積物からのガス発生を低減することができ、チャンバー4内で成膜中に発生する水分等の薄膜内への吸着や取り込みを防止でき、イオンガン6によるイオンアシスト蒸着に加え、さらに、膜厚の安定性や膜質の均一性を得ることができる。
また、従来、蒸着開始前には、真空ポンプ20による排気をしながら、保持部材10外側周辺に設けた加熱ヒータ(図示せず)を用い、保持部材10およびガラス基板2、チャンバー4の内壁部を加熱することにより、保持部材10およびガラス基板2、チャンバー4の内壁部の表面や堆積した薄膜内に吸着した水分やガス成分など気化し排気除去する工程を行う。この方法では、加熱ヒータは、本来、保持部材10に設置されたガラス基板2を加熱する目的で、保持部材10の外側周辺に配置されるので、保持部材10およびガラス基板2の被成膜側の表面やチャンバー4の内壁の中部から下部の領域は加熱ヒータの熱が伝導しにくく、十分かつ均一に加熱できないため、チャンバー4の内壁部の表面や堆積した薄膜内に吸着した水分やガス成分など十分に加熱気化できず、真空排気除去が十分にできなかった。
また、従来、保持部材10の表面やチャンバー4の内壁の中部から下部の領域は、蒸着材料を加熱する電子銃やイオンアシスト蒸着のイオンガンの輻射熱を受けるため、また、繰返しの蒸着作業により、蒸着材料が多く堆積する領域でもある。このため、成膜中に、電子銃の輻射熱で局部的にさらに温度が上昇しやすく、堆積した膜からの水分やガス成分などが発生し、これら水分等が成膜中に薄膜内へ取り込まれてしまうことにより、成膜の不安定性や膜質の不均一性が発生していた。特に、水分は真空引き後の残圧の主成分となるため、成膜中に膜中に取り込まれ、膜質の不均一性や成膜の不安定性を起こしていた。
これに対して、本実施形態においては、蒸発部8による蒸着材料の蒸発の開始前に、真空ポンプ20による排気をしながら、保持部材10外側周辺に設けた加熱ヒータを用い、保持部材10およびガラス基板2、チャンバー4の内壁を加熱することに追加して、イオンガン6による予備加熱を積極的に行うことにより、これらの問題を解決できる。
また、本実施形態の薄膜形成装置1では、上記の通り、イオンガン6を、保持部材10の中心軸X(回転軸)に対して、イオンビームの照射方向がイオンガン6と膜厚センサ16とを結ぶ直線からずれるように角度α傾ける。
複数のフィラメント22Aを有するイオンガン6は、イオン発生量が多く、イオン電流密度が大きいが、フィラメント22A(熱電子発生部材)の数が多く、フィラメント22Aを流れる電流量が大きいため、フィラメント22Aからの輻射熱量も大きい。このため、イオンガン6のイオンビームの照射方向を膜厚センサ15に向けてしまうと、フィラメント22Aの輻射熱により検出子14や検出器16の温度が上昇してしまい、熱の影響により検出子14や検出器16が変動してしまい、正確な膜厚測定ができなくなるなどの異常が生じる場合がある。
そこで、本実施形態では、イオンガン6を、イオンビームの照射方向がイオンガン6と、膜厚センサ部15、特に、検出子14や検出器16とを結ぶ直線からずれるように傾けている。これにより、イオンビームの放射方向の中心がガラス基板2の取り付けられた方向に向けられることとなり、ガラス基板2に照射されるイオンビームのイオン電流密度を向上できる。さらに、イオンビームの照射方向がイオンガン6と、膜厚センサ部15、特に、ガラス基板2とを結ぶ直線からずれるように傾けることにより、イオンガン6を構成するフィラメント22Aから膜厚センサ部15への輻射熱を低減することができ、ガラス基板2がイオンガン6のフィラメント22Aによる輻射熱で温度が上昇することにより、異常が発生するのを防止できる。
さらに、本実施形態の薄膜形成装置1では、イオンガン6は保持部材10の中心軸Xに対して、側方にZだけオフセットした位置に設け、さらに、イオンガン6から照射されるイオンビームの照射方向が、イオンガン6と保持部材10との間で、中心軸Xと交差するようにイオンガン6を傾けて設けることとした。このようにイオンガン6を配置することにより、イオンガン6から照射されたイオンビームは、保持部材10の中心軸Xに対してイオンガン6の反対側の部分(図1における右側)に向かって照射されることとなる。なお、イオンビームは、保持部材10の中心軸Xに対してイオンガン6の手前側の部分(図1における左側)に向かって照射してもよい。
これにより、イオンビームの照射方向が保持部材10の内面の半径部の中心(保持部材10の中心軸Xと縁との中間)に近い位置となり、また、保持部材10の内面に垂直に近い角度となり、保持部材10に照射される照射されるイオンビームの電流密度分布(イオン出力分布)の中央部付近を、ガラス基板2を設置する保持部材10の内面の半径部の中央部に近い位置に照射することができるので、イオンビームを有効に利用できる。
本願発明者らは、本実施形態の薄膜形成装置1と、従来の薄膜形成装置との薄膜形成の性能について比較実験を行ったので、以下に説明する。
図3は、図1に示すドーム状の保持部材10を停止した状態で保持部材10の中心に向けてイオンガン6によりイオンビームを照射した場合の、保持部材10の中心から周辺への半径方向の距離に対するイオンガン6から保持部材10へ向けて照射されたイオンの保持部材10の表面付近のイオン電流密度比の関係を示すグラフである。図3の縦軸は、電流密度比を表している。この電流密度比は、比較例における距離0cm(保持部材10の中心位置)のときの各々のイオン電流密度を基準に正規化した値としている。図3の横軸は、保持部材10の中心軸X(後述する保持部材10の中心P)からの距離を示している。
また、本実施形態の薄膜形成装置1のイオンガン6のフィラメント22Aとしては、4本の長さ60cm、直径0.5mmのフィラメントを並列接続した。また、イオンガン6の照射口Rと保持部材10の頂部Qとの間の距離は、68cmとしている。
また、図3には、本実施形態のイオンガン6のイオン電流密度の測定結果の他に、カソードが長さ60cm、直径0.5mmの1本のフィラメントからなるイオンガン(以下、従来のイオンガンという)のイオン電流密度の測定値の比を示している。なお、従来の薄膜形成装置とは、1本のフィラメントによりカソードが構成された(すなわち、複数のフィラメントが並列接続されていない)従来のイオンガンを用いた装置である。
なお、イオンガン6及び従来のイオンガンのイオン電流密度は、保持部材10を停止して測定した。また、測定には、ファラデーカップ(Faraday cup)を用いた。
図3に示すように、本実施形態のイオンガン6のイオン電流密度は、従来のイオンガンのイオン電流密度に比べて非常に大きい。また、本実施形態のイオンガン6は、保持部材10の中心軸Xから保持部材10の周辺への半径方向の距離が大きい位置でも、十分に大きなイオン電流密度を維持することができる。また、保持部材10を回転させてイオン電流密度を測定すると、保持部材10の表面全体のイオン電流密度は、さらに均一な分布になる。これより、本実施形態の薄膜形成装置1では、保持部材10を回転させて薄膜を形成することにより、保持部材10を回転させずに薄膜を形成する場合に比べて、より均一な膜厚分布の薄膜を形成できる。なお、十分に大きなイオン電流密度とは、図3において、電流密度比が3.0以上のことをいう。
図3においては、保持部材10の中心軸Xから保持部材10の周辺への半径方向の距離が大きくなった場合でも十分に大きなイオン電流密度を維持することができることについて説明したが、さらに、以下、本実施形態のイオンガン6が、保持部材10の全面にわたって高くかつ均一なイオン電流密度を維持できることについて説明する。
図4は、図1に示す保持部材10を蒸発部8側(装置下方)から見上げた際の底面図である。図4に示されるA方向は、保持部材10の中心である保持部材中心Pから蒸発部8側に向かう方向を示す(図1中において、中心軸Xから右側方向)。図4に示されるB方向は、保持部材中心Pからイオンガン6側に向かう方向を示す(図1中において、中心軸Xから左側方向)。図4に示されるC方向は、保持部材中心Pから薄膜形成装置1の手前側に向かう方向を示す(図1の中心軸Xから紙面手前方向)。図4に示されるD方向は、保持部材中心Pから薄膜形成装置1の奥側に向かう方向を示す(図1の中心軸Xから紙面奥側方向)。
また、図5は、図4に示す保持部材中心PからA方向およびB方向における保持部材内のイオン電流密度比の関係を示すグラフである。また、図6は、図4に示す保持部材中心PからC方向およびD方向における保持部材内のイオン電流密度比の関係を示すグラフである。なお、図5及びの図6における電流密度比は、図3の実施例と同様に、図3に示される比較例における距離0cm(保持部材中心P)のときの各々のイオン電流密度を基準に正規化した値としている。また、図5及び図6は、図3の場合と同じ装置を用い、図3とは別の測定条件により、イオン電流密度を測定している。図5及び図6における縦軸は、電流密度比を表しており、図3の横軸は、保持部材中心Pからの距離を示している。
図5に示されるA方向において、保持部材10の中心Pの位置における電流密度比は4.6であり、保持部材10の中心Pからの距離が350mmの位置における電流密度比は3.2になっている。このように、保持部材中心Pにおける電流密度比に対する保持部材中心Pからの距離が350mmの位置における電流密度比の割合は、約70%であり、中心Pから離れた周辺部においても十分に大きなイオン電流密度を維持されている。
図5に示されるB方向において、保持部材中心Pの位置における電流密度比は4.6であり、保持部材中心Pからの距離が350mmの位置における電流密度比は3.7になっている。このように、保持部材中心Pにおける電流密度比に対する保持部材中心Pからの距離が350mmの位置における電流密度比の割合は、約80%であり、中心Pから離れた周辺部においても十分に大きなイオン電流密度を維持されている。
図6に示されるC方向において、保持部材中心Pの位置における電流密度比は4.6であり、保持部材中心Pからの距離が350mmの位置における電流密度比は3.2になっている。このように、保持部材中心Pにおける電流密度比に対する保持部材中心Pからの距離が350mmの位置における電流密度比の割合は、約70%であり、中心Pから離れた周辺部においても十分に大きなイオン電流密度を維持されている。
図6に示されるD方向において、保持部材中心Pの位置における電流密度比は4.6であり、保持部材中心Pからの距離が350mmの位置における電流密度比は3.8になっている。このように、保持部材中心Pにおける電流密度比に対する保持部材中心Pからの距離が350mmの位置における電流密度比の割合は、約83%であり、中心Pから離れた周辺部においても十分に大きなイオン電流密度を維持されている。
以上のように、本実施形態によれば、保持部材10の保持部材中心Pの位置における電流密度比に対する保持部材10の周辺部(保持部材10の中心Pからの距離が350mm付近)位置における電流密度比の割合のうち、割合が最も小さいA、C方向の割合でも約70%程度であり、保持部材10の周辺においても十分に大きなイオン電流密度を維持することができることがわかる。また、A〜D方向における保持部材中心Pからの距離が350mm付近の位置における各電流密度比は、同程度の比となっている。このことから、本実施形態のイオンガン6によれば、保持部材10の全面において、均一な薄膜を形成できることがわかる。これにより、イオンガン6を斜めに配置し、イオンビームを斜めに照射した構成において、広範囲にわたり均一な膜質の薄膜を形成することができる。
図7は、本実施形態の薄膜形成装置1に用いられたイオンガン6及び比較例として用いた従来の薄膜形成装置に用いられていたイオンガンの保持部材10上のガラス基板2に照射される熱電子量比を示すグラフである。図7の縦軸は、熱電子量比を示している。また、図7の横軸は、フィラメント22Aに流れるフィラメント電流を示している。同図における熱電子量比は、比較例のフィラメント電流30Aにおける熱電子量を基準として正規化している。なお、具体的には、図1に示す装置において、イオンガン6から保持部材10の中心部へ向けて照射された際のイオンの保持部材10の中心部の表面付近の熱電子量を測定している。
なお、上記の検討において、薄膜形成装置1のイオンガン6としては、カソードが長さ60cm、直径0.50mmの4本のフィラメント22Aが並列接続されてなるイオンガン6を用いている。また、イオンガン6と保持部材10の中心部の間の距離は68cmとしている。また、従来のイオンガンとしては、カソードに一本の長さ60cm、直径0.50mmのフィラメントからなる(すなわち、単一のフィラメントからなる)イオンガンを用いている。
なお、熱電子量測定は、保持部材10の回転は停止した(静止した)状態で行った。また、測定には、ファラデーカップを用いた。
図4に示すように、従来のイオンガンでは、フィラメント電流が20A程度以上から熱電子が発生し始め、フィラメント電流の増加とともに熱電子放出量比が増加している。従来のイオンガンでは、フィラメント電流を30A以上とすると、フィラメントが劣化し断線等を生じるため、フィラメント寿命が不十分となるためフィラメント電流をこれ以上増加させることはできなかった。
これに対して、本実施形態のイオンガン6によれば、フィラメント電流を30A以上とすることができ、フィラメント電流が70A以上から熱電子放出量が大きくなる。フィラメント電流が80Aでは約3.0、90Aでは約5.0、100Aでは約5.5と非常に大きな熱電子放出量を確認でき、本実施形態のイオンガン6の出力が非常に大きいことを確認できた。
このように、本実験により、本実施形態の薄膜形成装置1によれば、従来に比べてカソードに対して大きな電流を加えることができ、高いイオン電流密度のイオンビームを照射することができることが確認できる。このように、本実施形態の薄膜形成装置1によれば、高いイオン電流密度のイオンビームを照射することができるため、保持部材10上の広い範囲にガラス基板2などの光学素子の表面に緻密な薄膜構造を形成することができる。
また、本願発明者らは、薄膜形成装置1により蒸着材料としてSiO2及びTa25を用いて、ガラス基板2への蒸着材料の蒸着を行った。図8及び図9は、蒸着材料としてSiO2及びTa25を用いて蒸着を行った際に測定した蒸着速度(薄膜の形成速度)と、SiO2及びTa25を用いた薄膜の真空中屈折率との関係を、本実施形態の本発明のイオンガン6を用いた薄膜形成装置1と従来のイオンガンを用いた薄膜形成装置とを比較して示すグラフである。図5の縦軸は、SiO2を用いた薄膜の真空中屈折率を示しており、図8の横軸は、SiO2を用いて蒸着を行った際に測定した蒸着速度(薄膜の形成速度)を示している。図9の縦軸は、Ta25を用いた薄膜の真空中屈折率を示しており、図9の横軸は、Ta25を用いて蒸着を行った際に測定した蒸着速度(薄膜の形成速度)を示している。
図8及び図9に示すように、本実施形態の薄膜形成装置1によれば、SiO2及びTa25を蒸着材料とした各場合において、蒸着速度が比較例と同等以上の範囲において、真空中屈折率が比較例に比べ、高くなっている。
比較例のイオンガンを用いた薄膜形成装置は薄膜の形成速度が遅いため、高屈折率膜、すなわち、緻密な構造を有する薄膜の形成には適していなかった。これに対して、本実施形態の薄膜形成装置1によれば、高屈折率の薄膜を、高い形成速度で形成することができることが確認された。
さらに、本願発明者らは、本実施形態の薄膜形成装置1を用いて製造した薄膜を表面に有するガラスレンズ(ガラス基板2)と、従来のイオンガンを用いた薄膜形成装置を用いて製造した表面に薄膜を有するガラスレンズとについて高温高湿条件における耐候性試験を行った。
本試験では、薄膜としては反射防止膜を形成した。膜構成G/(SiO2/Ta253/MgF2/Airを、硝種と形状が異なる2種類のレンズA、Bに本実施形態の薄膜形成装置1及び従来のイオンガンを用いた薄膜形成装置により形成し、これらに対して、温度60℃、湿度90%の環境下に放置し、240時間、480時間、720時間、1000時間経過した時点において、外観、反射率特性、膜強度に基づき劣化の有無を検討した。
表1に本試験の結果を示す。
Figure 0006219594
表1に示すように、本実施形態の薄膜形成装置1により製造された表面に薄膜を有するガラスレンズは、従来のイオンガンを用いた薄膜形成装置により製造されたガラスレンズに比べて、格段に耐候性が改善されていることが確認された。
さらに、本願出願人らは、本実施形態のイオンガン6を用いた薄膜形成装置1により製造された表面に薄膜を有するガラスレンズに対して、加熱試験(波長シフト試験)を行った。加熱試験では、常温における薄膜を形成したガラスレンズ2の分光特性(波長ごとの反射率)と、ヒータにより150℃まで加熱した状態で測定したガラスレンズの分光特性とを比較した。この結果、同一波長における常温下で測定した反射率(分光特性)と加熱時における反射率の測定値との差である反射率変化量(波長シフト量)は、測定誤差内の非常に小さい量であった。このことにより、本実施形態の薄膜形成装置1により製造された薄膜を有するガラスレンズ(ガラス基板2)は、高い緻密性を有する膜であることが確認された。
以上説明したように、本実施形態の薄膜形成装置1によれば、イオンガン6を構成するカソード22をカソード電源24に並列接続された複数のフィラメント22Aにより構成したため、従来よりも大きな電流をフィラメント22Aに流すことができる。これにより、イオンガン6から照射されるイオンビームのイオン電流密度を格段に増大させることができ、ガラス基板2に緻密な構造の薄膜を形成することができる。
また、従来、イオンアシスト蒸着法で用いられていたイオンガンの1つであるRF(高周波型)イオンガンは、加速エネルギーは大きいがイオン発生量は小さいものであった。このため、RFイオンガンを用いたイオンアシスト蒸着法では、個々のイオンのエネルギーは大きいものの、イオン量は少量であった。
これに対して、本実施形態の薄膜形成装置1に用いられているイオンガン6は、イオンガン6を構成するカソード22をカソード電源24に並列接続された複数のフィラメント22Aにより構成したため、従来のRFイオンガンに比べて、個々のイオンエネルギーは小さいものの、イオン発生量は大きい。このため、本実施形態の薄膜形成装置1によれば、イオンガン6から照射されたイオンの加速エネルギーは小さくとも十分に高緻密度の膜が保持部材10上の広範囲に形成できる。さらに、ガラス基板2の形状に合わせて回り込むため、屈折率や密度が高く、かつ、均一な膜を安定して形成できる。
また、このようなイオンアシスト蒸着法では、成膜時にガラス基板を保持部材10の周辺に設けたヒータなどにより、100〜350℃まで加熱する。しかしながら、このようなヒータを用いた方法では、温度分布が不均一であったり、加熱に時間がかかったりするという問題があった。
これに対して、本実施形態の薄膜形成装置1によれば、イオンガン6のカソード22を構成するフィラメント22Aからの輻射熱量が大きいため、この輻射熱によりガラス基板2を加熱することができる。これにより、従来、薄膜形成装置1に必要であったガラス基板2を加熱するためのヒータに比べ、保持部材10の広い範囲に設置されたガラス基板2を均一かつ短時間に加熱でき、さらに、従来の加熱ヒータによる加熱時間や加熱出力を削減または省略できる。
また、上記のようにイオンガン6を構成するカソード22をカソード電源24に並列接続された複数のフィラメント22Aにより構成することにより、フィラメント22Aからの輻射熱も大きくなることで、膜厚センサ部15の温度が上昇し、正確な測定ができなくなる場合がある。これに対して、本実施形態によれば、イオンガン6を、照射されるイオンビームの照射方向がイオンガン6と膜厚センサ部15を結ぶ直線上からずれるように傾けたため、膜厚センサ部15に対するフィラメント22Aからの輻射熱による影響を減らすことができる。また、このように、イオンガン6を傾けることにより、イオンビームの照射方向が保持部材10に取り付けられたガラス基板2に向けられるため、ガラス基板2により高いイオン電流密度のイオンビームを広範囲に均一に照射できる。
また、本実施形態によれば、イオンガン6を、保持部材10の中心軸Xからオフセットして設け、かつ、照射するイオンビームの照射方向がイオンガン6と保持部材10との間で、保持部材10の中心軸Xと交差するように傾けて設けることとしている。これにより、イオンビームは、その照射方向が保持部材10の内面に垂直に近い角度となるように照射され、保持部材10に照射されるイオンビームの単位面積当たりの電子量を最大化することができる。さらに、本実施形態によれば、保持部材10を回転させているため、保持部材10の内面におけるイオン電流密度を均一化させることができる。
さらに、本実施形態によれば、イオンガン6を保持部材10から50cm以上離間させているため、保持部材10の各部における照射されるイオンビームのイオン電流密度を均一にすることができる。
なお、本明細書では、上記のような複数のフィラメント22Aを備えたイオンガン6の照射方向は、以下のように定義するものとする。図10は、従来のイオンガンの照射方向を説明するための各方向のイオン電流密度を示すグラフであり、図11〜図13は、本実施形態のイオンガン6の照射方向を説明するための各角度方向におけるイオン電流密度を示すグラフである。図10に示すように、従来のイオンガンでは、イオンガンの中心軸方向(CL)に大きなピークを有する。このため、イオンガンの中心軸方向を照射方向とすればよかった。
これに対して、本実施形態の薄膜形成装置1に用いられているイオンガン6の各角度におけるイオン電流密度は、図11〜図13に示すように、従来に比べてピークの角度幅が大きかったり、複数のピークを有したりすることがある。
図11に示す例では、イオンガン6の中心軸方向から所定の角度範囲の間では、イオン電流密度が略一定であり、所定の角度範囲から外れると、イオン電流密度が小さくなっている。このため、同図に示すような場合には、イオンガン6の照射方向は、イオン電流密度が一定となっている角度範囲内のいずれの方向をも含むものであると定義される。なお、この場合、イオンガン6の照射方向の中心は、上記の所定の角度範囲の中心をいう。
図12に示す例では、イオンガン6のイオン電流密度は、イオンガン6の中心軸方向でピーク値を有するものの、その周辺でも非常に近い値を有している。このような場合には、イオンガン6のイオンビーム照射方向とは、イオン電流密度が所定の値(例えば、ピークの8割以上)よりも大きくなるような角度範囲をいうものとする。なお、この場合、イオンガン6の照射方向の中心は、ピークとなる角度又はイオン電流密度が所定の値よりも大きくなる角度範囲の中心をいう。
また、図13に示す例では、イオンビームのイオン電流密度は、複数の角度方向において、ピーク値を有している。このような場合には、イオン電流密度の谷部におけるイオン電流密度を閾値として、イオン電流密度がこの閾値よりも大きい角度範囲を、イオンビーム照射方向とする。なお、この場合、イオンガン照射密度の中心方向とは、イオンガンの中心軸の方向をいう。
なお、本実施形態では、カソード22が等間隔に配置され、カソード電源に並列接続された4本のフィラメント22Aからなる場合について説明したが、フィラメント22Aの配置はこれに限られない。
図14〜図19は、別の実施形態による薄膜形成装置のカソード22におけるフィラメント22Aの配置を示す図である。なお、これらの図に示すカソード22を用いる場合には、図中のX、Yを、図2におけるノードX、Yに接続すればよい。
図14に示すように、カソード22における一部(図14では中央)の隣接するフィラメント22Aの間隔を広くしてもよい。
また、図15に示すように、カソード22として、5本のフィラメント22Aを用いても良く、さらに、図16に示すように、これらフィラメント22Aのうち、一部(図15では、側方の隣接するフィラメント22Aの間隔を広くしてもよい。
また、図17に示すように、矩形状(図17では、正方形状)に配置された複数のフィラメント22Aをカソード電源に並列接続してカソード22を構成してもよい。
また、図18に示すように、三角形状に配置された複数のフィラメント22Aをカソード電源に並列接続してカソード22を構成してもよい。
さらに、図19に示すように、フィラメント22Aを渦巻状に配置して、カソード22を構成してもよい。
また、本実施形態では、ガラス基板2としてガラスレンズ(光学素子)の表面に薄膜を形成する場合について説明したが、ガラス基板2に限らず、被成膜部材の材料として、プラスチックスや結晶、セラミックス、ガラスセラミックスからなる、レンズや光学フィルター、偏光素子、回折素子、カバーガラス、ディスプレイ基板などの表面に薄膜を形成する場合であれば、本発明を適用できる。
また、本実施形態では、カソード22を構成する熱電子発生部材としてフィラメント22Aを備えたイオンガン6について説明したが、カソード電源としては多くの熱電子を放出できる形状であればよく、例えば、薄板状や棒状に形成されていてもよい。
また、本実施形態では、ドーム状の保持部材10を用いたが、これに限らず、平面状、や多角錐状、円錐状であってもよい。
また、本実施形態では、膜厚センサ15として、モニターガラス14からの反射光を受光する光学式膜厚センサを用いたが、これに限らず、水晶振動子式膜厚センサを用いてもよいし、光学式膜厚センサと水晶振動子式膜厚センサとを併用してもよい。なお、水晶振動子式膜厚センサは、成膜レートを制御するためのセンサとしても用いることができる。
また、本実施形態では、膜厚センサ15として、検出子14がモニターガラス14からの反射光または透過光の光量を検出する光学式膜厚センサおよび、検出子14が水晶振動子からなる水晶振動式膜厚センサをそれぞれ用いる場合について説明したが、これに限られない。本発明は、光学式膜厚センサと水晶振動式膜厚センサとを併用してもよい。また、膜厚センサ15は、膜厚を制御するために用いたが、蒸着速度(薄膜の堆積速度、成膜速度)を制御するためのセンサとしても用いることができる。
また、本実施形態によれば、上記のようにイオンビームのイオン電流密度を従来の熱電子励起型イオンガンに比べ格段に大きくすることができるため、イオンガン6と保持部材10の間の距離を50cm以上と大きくとることが可能となる。これにより、保持部材10の表面付近および表面の全体の広い空間領域へエネルギーの高いイオンを均一に照射することができる。このため、保持部材10の面積が大きい場合であっても本発明の適用が可能となる。特に、光学レンズや光学フィルターなどの光学部品のイオンアシスト蒸着による薄膜形成装置1では、多数個、一括成膜や大型光学部品の成膜を行うため、保持部材10の直径が50cm以上のものが必要となることが多いため、本発明の熱電子励起型イオンガン6は、イオンガン6と保持部材10の間の距離を大きくとることができる。また、大きなイオン電流密度を出力できるイオンガンが適する。
また、本実施形態では、熱電子励起型イオンガン6を用いた薄膜形成装置1について説明したが、熱電子励起型イオンガン6を用いた薄膜形成装置1は、RF(高周波型)イオンガンを用いた薄膜形成装置に比べ、イオンガン6本体のフィラメント22Aから熱電子を大量に発生するため、ガラス基板に蓄積した正の電荷を電気的に中和させるためのニュートラライザを設ける必要がない。つまり、熱電子励起型イオンガン6が、ニュートラライザの役割を兼ねている。このように、熱電子励起型イオンガン6を用いた薄膜形成装置1は、ニュートラライザを設ける必要がないため、薄膜形成装置1の大型を防止できるとともに、薄膜形成装置1内に設けられる各部材の配置に自由度を持たせることができる。
最後に、本発明の実施形態を、図等を用いて総括する。
本発明の実施形態は、図1、2に示すように、ガラス基板2の表面に蒸着材料を蒸着させることにより、ガラス基板2の表面に薄膜を形成するための薄膜形成装置1は、ガラス基板2が取り付けられた保持部材10と、蒸着材料を蒸発させる蒸発部8と、保持部材10に向かって蒸発部8から蒸発した蒸着材料中にイオンビームを照射するイオンガン6と、を備え、イオンガン6は、アノード26及びカソード22と、アノード26とカソード22の間にプラズマを供給するプラズマ供給手段と、アノード26とカソード22との間に電位差が生じるように、アノード26及びカソード22にそれぞれ電圧を印加するアノード電源28及びカソード電源24と、を含み、カソード22は、カソード電源24に並列接続された複数のフィラメント22Aを有する。
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1 薄膜形成装置
2 ガラス基板
4 チャンバー
6 イオンガン
8 蒸発部
10 保持部材
14 モニターガラス
15 膜厚センサ部
16 膜厚センサ
18 制御部
20 真空ポンプ
22 カソード
22A フィラメント
24 カソード電源
26 アノード
28 アノード電源。

Claims (7)

  1. 被成膜部材の表面に蒸着材料を蒸着させることにより、前記被成膜部材の表面に薄膜を形成するための装置であって、
    複数の被成膜部材が取り付けられた保持部材と、
    前記蒸着材料を蒸発させる蒸発部と、
    前記保持部材に向かって前記蒸発部から蒸発した蒸着材料中にイオンビームを照射するイオンガンと、を備え、
    前記イオンガンは、
    アノード及びカソードと、
    前記アノード及びカソードの間にガスを供給し、プラズマを発生させるプラズマ供給手段と、
    前記アノード及びカソードの間に電位差が生じるように、前記アノード及びカソードにそれぞれ電圧を印加するアノード電源及びカソード電源と、を含み、
    前記カソードは、前記カソード電源に並列接続された複数の熱電子発生部材を有し、
    前記被成膜部材はレンズであり、
    前記保持部材は、その中心軸を中心として回転可能であり、
    前記保持部材はドーム状であり、前記保持部材には前記複数の被成膜部材が前記中心軸の周りに取り付けられており、
    前記イオンガンは、前記保持部材の中心軸からオフセットして設けられており、かつ、照射するイオンビームの照射方向が前記イオンガンと前記保持部材との間で、前記保持部材の中心軸と交差するように、傾けて設けられている、薄膜形成装置。
  2. 前記薄膜形成装置は、検出子、及び、前記検出子に形成された薄膜の厚さを測定する膜厚センサを有する検出器をさらに備え、
    前記イオンガンから照射されるイオンビームの照射方向は、前記イオンガンと前記検出器を結ぶ直線上からずれている、請求項1に記載された薄膜形成装置。
  3. 前記検出子は、前記保持部材の中心部に設けられるモニターガラスであり、
    前記検出器は、前記モニターガラスに形成された薄膜の厚さを測定する前記膜厚センサを有する光学式膜厚センサであり、
    前記イオンガンから照射されるイオンビームの照射方向は、前記イオンガンと前記光学式膜厚センサを結ぶ直線上からずれている、請求項2に記載された薄膜形成装置。
  4. 前記モニターガラスは、前記保持部材の中心軸上に設けられている、
    請求項に記載された薄膜形成装置。
  5. 前記膜厚センサは、前記保持部材の中心軸上に設けられている、
    請求項3又は4に記載された薄膜形成装置。
  6. 前記イオンガンと前記保持部材との距離が50cm以上である、請求項1からのいずれか1項に記載された薄膜形成装置。
  7. 被成膜部材の表面に蒸着材料を蒸着させることにより、前記被成膜部材の表面に薄膜を形成する方法であって、
    前記蒸着材料を蒸発させる蒸発ステップと、
    イオンガンにより、保持部材に取り付けられた前記被成膜部材に向かって前記蒸発した蒸着材料中にイオンビームを照射する照射ステップと、を備え、
    前記イオンガンは、
    アノード及びカソードと、
    前記アノード及びカソードにそれぞれ電圧を印加するアノード電源及びカソード電源と、を含み、
    前記カソードは、
    前記カソード電源に並列接続された複数のフィラメントを有する、
    前記照射ステップでは、アノードとカソードとの間にプラズマを供給し、
    前記アノード及びカソードの間に電位差が生じるように、前記アノード電源により前記アノードに電圧を印加するとともに、前記複数の熱電子発生部材からなるカソードに電圧を印加し、
    前記保持部材には複数の被成膜部材が取り付けられ、
    前記被成膜部材はレンズであり、
    前記照射ステップでは、前記保持部材をその中心軸を中心として回転させ、
    前記保持部材はドーム状であり、前記保持部材には前記複数の被成膜部材が前記中心軸の周りに取り付けられており、
    前記イオンガンは、前記保持部材の中心軸からオフセットして設けられており、かつ、照射するイオンビームの照射方向が前記イオンガンと前記保持部材との間で、前記保持部材の中心軸と交差するように、傾けて設けられている、薄膜形成方法。
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