JP6219415B2 - 培養装置 - Google Patents

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Description

本実施の形態は、細胞を培養する培養装置に関する。
従来から、細胞を培養するために用いられる培養装置が知られている。この培養装置では、温度等を一定に保つためのインキュベータが用いられている。このインキュベータの一例としては、例えば特開2000−37184号公報が知られている。特開2000−37184号公報では、筐体と、この筐体内の環境条件を調整する環境条件調整手段と、筐体内に設けられ試料を収納した容器を載置する載置部と、筐体内の滅菌もしくは洗浄の処理を行う処理手段とを備えたインキュベータが開示されている。
また、別の例としては特開2000−93156号公報が知られている。特開2000−93156号公報では、筐体と、この筐体の内部に配置され試料を収容した容器を複数個載置する試料テーブルと、筐体の内部の環境を所定の条件に維持する環境コントロール部と、筐体に開口された第1開口部と、この第1開口部を塞ぐ開閉自在な第1の扉と、筐体もしくは第1の扉に形成され第1開口部よりも小さく、かつ少なくとも1個の容器が通過できる大きさの第2開口部と、この第2開口部を塞ぐ開閉自在な第2の扉を備えたインキュベータが開示されている。
しかしながら、従来から提供されているインキュベータでは、筐体内の温度等を均一にすることが十分に行われていなかった。
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、筐体内の温度、気体の分布等を高い精度で均一にすることができるインキュベータ部を備えた培養装置を提供する。
本発明による培養装置は、
インキュベータ部を備えた培養装置であって、
前記インキュベータ部は、
内部筐体と、
前記内部筐体内に設置され、細胞を収容した容器を載置するための載置部と、
前記内部筐体内に設置された複数の加熱部であって、上下方向に延びた対称軸に対して対称となるように設置された複数の加熱部と、
前記内部筐体内の上方位置の中央部に設置され、前記内部筐体内の気体を吸い込み、吸い込んだ前記気体を排出する気体循環部と、
前記気体循環部から排出された気体を、前記対称軸に対して対称となるように、前記内部筐体内で分散させる分散部材と、
を有する。
本発明による培養装置において、
前記分散部材は、各加熱部又は各加熱部の上方に向かって気体を吹き付けるように、前記気体循環部から排出された気体を前記内部筐体内で分散させてもよい。
本発明による培養装置において、
前記インキュベータ部は、前記載置部と前記加熱部との間であって、前記載置部の周縁の少なくとも一部を取り囲むようにして設置された遮熱部材をさらに有し、
前記遮熱部材の下方には、隣接する部材との間に間隙が形成されてもよい。
本発明による培養装置において、
前記インキュベータ部は、前記載置部を前記対称軸を中心に回転させるための駆動部をさらに有してもよい。
本発明による培養装置において、
前記インキュベータ部は、前記気体循環部に、調整気体を供給するための調整気体供給部をさらに有し、
前記内部筐体内の気体内の前記調整気体の濃度を調整できてもよい。
本発明による培養装置は、
前記調整気体供給部から供給される調整気体を殺菌するための調整気体殺菌部をさらに備えてもよい。
本発明による培養装置において、
前記調整気体は酸素を含み、
前記調整気体殺菌部は前記調整気体に対して紫外線を照射してもよい。
本発明による培養装置において、
前記インキュベータ部は、前記載置部の下方に載置され、加湿用の水を収容する加湿水収容部をさらに有してもよい。
本発明による培養装置において、
前記インキュベータ部は、前記容器が前記載置部上に載置されているかを検知するための検知部をさらに有してもよい。
本発明による培養装置において、
前記載置部は複数設けられており、
前記内部筐体は、各載置部に対応して設置された開閉扉を有してもよい。
本発明による培養装置において、
前記載置部の数と前記開閉扉の数とは同数になっていてもよい。
本発明による培養装置において、
前記インキュベータ部は、前記対称軸に沿って上下方向で延在し、前記載置部を水平方向で保持する保持部をさらに有し、
前記載置部は、前記保持部で保持された第一載置部と、前記第一載置部の周縁外方側に位置し、前記第一載置部で保持された第二載置部と、前記第一載置部と前記第二載置部との間に載置された弾性部材と、を有してもよい。
本発明による培養装置において、
前記載置部は複数設けられ、
前記載置部は、下方で隣接する載置部に対して上下方向で移動可能となるようにして、下方で隣接する載置部上に載置されてもよい。
本発明による培養装置は、
前記内部筐体を取り囲むようにして配置された外部筐体と、
前記外部筐体内の上方に設置され、前記外部筐体内に気体を供給する外部気体供給部と、
前記外部筐体内の下方に設置され、前記外部気体供給部から供給された気体を排出する外部気体排出部と、をさらに備えてもよい。
本発明による培養装置は、
前記内部筐体を取り囲むようにして配置された外部筐体と、
前記外部筐体内に設置され、前記供給部から供給される気体を殺菌するための殺菌部をさらに備えてもよい。
本発明による培養装置において、
前記殺菌部は殺菌灯であり、
前記殺菌灯の下方には、前記殺菌灯から照射される殺菌光が前記外部筐体外に漏れ出すことを防止するための遮光板が設置されてもよい。
本発明による培養装置において、
前記殺菌部は殺菌灯であり、
前記外部筐体の少なくとも一部は透明又は半透明となっており、
前記外部筐体のうち透明又は半透明となっている箇所は前記殺菌灯から照射される殺菌光が前記外部筐体外に漏れ出すことを防止する材質から形成されてもよい。
本発明による培養装置は、
前記内部筐体に隣接して配置された搬送用筐体と、
前記搬送用筐体内に設置され、前記内部筐体との間で前記容器を出し入れするための搬送機構と、
前記搬送機構を上下方向に移動させる上下駆動機構と、をさらに備えてもよい。
本発明による培養装置において、
前記載置部は、同心円で複数の円弧状の隙間が形成された円盤状の板を有し、
円周方向において隣接する円弧状の隙間は、前記容器が載置される予定の位置で閉じて閉鎖部を形成してもよい。
本発明による培養装置において、
前記閉鎖部の前記円周方向における距離は前記容器の前記円周方向における距離と略同一となってもよい。
図1は、本発明の実施の形態による自動培養システムの構成を示す概略上方平面図である。 図2は、本発明の実施の形態による自動培養システムの制御ブロック図である。 図3は、本発明の実施の形態で用いられる容器搬送部を示した正面図である。 図4は、本発明の実施の形態で用いられるインキュベータ部を取り囲んだ外部筐体等を示した斜視図である。 図5は、本発明の実施の形態で用いられる外部筐体内の気体の流れを示した斜視図である。 図6は、本発明の実施の形態で用いられる外部筐体内に設置された殺菌灯、遮光板等を示した斜視図である。 図7は、本発明の実施の形態で用いられるインキュベータ部を示した斜視図である。 図8は、本発明の実施の形態で用いられるインキュベータ部の断熱扉を取り外した態様を示した斜視図である。 図9は、図8に示した態様から、遮熱部材及び加湿水トレーを取り除いた態様を示した斜視図である。 図10は、本発明の実施の形態で用いられる内部筐体内の構造を示した側方断面図である。 図11Aは、本発明の実施の形態で用いられる載置部を上方から見た上方平面図である。 図11Bは、本発明の実施の形態で用いられる載置部の変形例を上方から見た上方平面図である。 図12は、本発明の実施の形態で用いられる載置部等の側方断面図である。 図13は、本発明の実施の形態で用いられる検知部等を示した斜視図である。 図14は、本発明の実施の形態によるインキュベータ部関連の部材に関する制御ブロック図である。 図15は、インキュベータ部の内部筐体に隣接して搬送用筐体が配置された例を示した側方断面図である。 図16は、本発明の実施例及び比較例による、温度プルアップ特性の測定結果を示したグラフである。 図17は、本発明の実施例及び比較例による、停電時における温度降下特性の測定結果を示したグラフである。 図18は、本発明の実施例及び比較例による、扉を開いた時の温度の復帰特性の測定結果を示したグラフである。 図19は、本発明の実施例及び比較例による、扉を開いた時の二酸化炭素濃度の復帰特性の測定結果を示したグラフである。
実施の形態
《構成》
以下、本発明に係る培養装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。ここで、図1乃至図19は本発明の実施の形態を説明するための図である。
本実施の形態の培養装置は、あらゆる細胞を培養するために用いることができ、(ヒト)iPS細胞、(ヒト)ES細胞等の多能性幹細胞、骨髄間質細胞(MSC)等の軟骨細胞、樹状細胞等の様々な細胞を培養する際に用いることができる。本実施の形態では、以下、iPS細胞を自動で培養する自動培養システムを用いて説明するが、これはあくまでも一例であることには留意が必要である。つまり、本実施の形態のように自動で細胞を培養するものでなくても、本発明による培養装置を用いることができることには留意が必要である。
[全体構成]
まず、本実施の形態による自動培養システムの装置構成について説明する。
図1に示すように、本実施の形態の自動培養システムは、原料細胞を保管する原料保管装置10と、細胞等を密閉状態で収容した第一密閉容器70(図3参照)を搬送する容器搬送部60と、容器搬送部60で搬送された第一密閉容器70を受け取り、第一密閉容器70から細胞を収容した第二密閉容器75(特許請求の範囲の「容器」に対応する。)を取り出し、取り出した第二密閉容器75内の細胞を内部で培養する自動培養装置20,30とを備えている。なお、本実施の形態では、以下、主として、特許請求の範囲の「容器」が第二密閉容器75であることを前提として説明するが、このような態様に限られることはなく、培養用ディッシュや培養用シャーレ等の様々な容器を用いることができることには留意が必要である。
本実施の形態では、上述したようにiPS細胞を用いた態様で説明することから、原料保管装置10はiPS細胞を樹立するiPS細胞樹立装置11を含んでいる。なお、原料保管装置10は、他にも、ユニット恒温槽、遠心分離機、自動血球計数装置、自動磁気細胞分離器、フローサイトメーター、遺伝子導入装置等を含んでいる。
本実施の形態の自動培養装置20,30は、iPS細胞を自動で培養する複数(図1に示した態様では4つ)のiPS細胞自動培養装置20と、iPS細胞から分化した分化細胞を自動で培養する複数(図1に示した態様では8つ)の分化細胞自動培養装置30とを有している。なお、本実施の形態において、単に「自動培養装置」と述べたときは、iPS細胞自動培養装置20、分化細胞自動培養装置30、又は、iPS細胞自動培養装置20及び分化細胞自動培養装置30の両方のことを意味している。また、特に断りが無い限り、本実施の形態において単に「細胞」と述べたときは、iPS細胞の元となる体細胞等の原料細胞、iPS細胞、分化細胞、又は、原料細胞、iPS細胞及び分化細胞のいずれか2つもしくは全部のことを意味している。
図3に示すように、第一密閉容器70は第二密閉容器75を載置するための複数(図3では8つ)の棚71を有しており、各棚71に第二密閉容器75が載置される。そして、複数の第二密閉容器75が第一密閉容器70内に収容された状態で、第一密閉容器70が容器搬送部60によって搬送されることとなる。なお、第二密閉容器75は、細胞だけではなく後述する資材のうち、液体培地、薬品等を収容してもよい。
iPS細胞自動培養装置20は、図1に示すように筐体22と、図2に示すように、iPS細胞の培養に伴って変化する液体培地成分を分析する培地分析部24と、iPS細胞を検査するとともに状態の悪いiPS細胞の除去を行う細胞検査除去部25と、液体培地やタンパク質分解酵素を含む液体等を保管するとともに供給し、iPS細胞を播種する前の前処理を行ったり、iPS細胞を播種したり、iPS細胞を回収したりする液体保管供給部26と、第二密閉容器75を保持し、温度、湿度及び気体濃度のいずれか一つ又はこれらの全てを自動で調整するインキュベータ部27と、iPS細胞自動培養装置20内で用いられた使用済み液体培地、使用済み洗浄液、使用済み試薬等を含む廃液を筐体22から下方に排出するための排出部28と、を有している。また、iPS細胞自動培養装置20は、iPS細胞自動培養装置20内で第二密閉容器75等を搬送する装置内搬送部23も有している。なお、上述した液体保管供給部26は、第二密閉容器75の上下を反転させる機能も有している。ちなみに、本実施の形態のように第二密閉容器75を用いる場合には、インキュベータ部27内の湿度の管理を特に行わなくてもよくなることから、細胞培養環境の管理を簡素化することができる。また、このような第二密閉容器75を採用することで、空気中からのコンタミネーションが起こるおそれがなく、搬送も容易となる。
上述した液体保管供給部26は、液体培地を図示しない流入口から第二密閉容器75内に適宜供給することで、第二密閉容器75内の古い液体培地を新しい液体培地に自動で入れ替える。また、細胞検査除去部25は、取得されたiPS細胞の情報に基づいて、第二密閉容器75の図示しないフィルムの表面に塗られたECM(Extracellular matrix)から不良iPS細胞を選択的に剥離させる。その後で、液体保管供給部26が液体培地を流入口から第二密閉容器75内に供給することで、浮遊した不良iPS細胞を図示しない流出口を介して第二密閉容器75から押し出す。なお、第二密閉容器75内のiPS細胞を選択的に剥離させる手法としては、iPS細胞に超音波や光をあてるという手法、第二密閉容器75の外方から物理的な力を与える手法等をとることができる。また、このような手法を用いる際には、タンパク質分解酵素を併用してもよい。
また、液体保管供給部26は、タンパク質分解酵素を流入口から第二密閉容器75内に適宜供給することで第二密閉容器75のフィルム77の表面に塗られたECMからiPS細胞を剥離させる。その後で、液体保管供給部26が液体培地を流入口から第二密閉容器75内に供給することで、浮遊したiPS細胞が流出口を介して第二密閉容器75から押し出される。押し出されたiPS細胞は、薄めて懸濁液とした後で複数の別の第二密閉容器75内に収容される(播種される)。このようにして、iPS細胞自動培養装置20はiPS細胞の継代を自動で行う。
iPS細胞自動培養装置20内の温度は、インキュベータ部27によって、例えば温度が約37℃となるように調整される。また、iPS細胞自動培養装置20内の気体濃度は、インキュベータ部27によって、二酸化炭素や窒素を適宜加えることで調整される。また、必要に応じて、インキュベータ部37によって湿度が約100%となるように調整されてもよい。
分化細胞自動培養装置30は、図1に示すように筐体32と、図2に示すように、分化細胞の培養に伴って変化する液体培地成分を分析する培地分析部34と、分化細胞を検査するとともに状態の悪い分化細胞の除去を行う細胞検査除去部35と、液体培地やタンパク質分解酵素を含む液体等を保管するとともに供給し、分化細胞を播種する前の前処理を行ったり、分化細胞を播種したり、分化細胞を回収したりする液体保管供給部36と、第二密閉容器75を保持し、温度、湿度及び気体濃度のいずれか一つ又はこれらの全てを自動で調整するインキュベータ部37と、分化細胞自動培養装置30内で用いられた使用済み液体培地、使用済み洗浄液、使用済み試薬等を含む廃液を筐体32から下方に排出するための排出部38と、を有している。また、分化細胞自動培養装置30は、分化細胞自動培養装置30内で第二密閉容器75等を搬送する装置内搬送部33も有している。
上述した液体保管供給部36は、液体培地を流入口から第二密閉容器75に適宜供給することで、第二密閉容器75内の古い液体培地を新しい液体培地に自動で入れ替える。また、細胞検査除去部35は、取得された分化細胞の情報に基づいて、第二密閉容器75のフィルム77の表面に塗られたECMから不良分化細胞を選択的に剥離させる。その後で、液体保管供給部36が液体培地を流入口から第二密閉容器75内に供給することで、浮遊した不良分化細胞を流出口を介して第二密閉容器75から押し出す。なお、第二密閉容器75内の分化細胞を選択的に剥離させる手法としては、分化細胞に超音波や光をあてるという手法、第二密閉容器75の外方から物理的な力を与える手法等をとることができる。また、このような手法を用いる際には、タンパク質分解酵素を併用してもよい。
また、液体保管供給部36は、タンパク質分解酵素を流入口から第二密閉容器75内に適宜供給することで第二密閉容器75のフィルム77の表面に塗られたECMから分化細胞を剥離させる。その後で、液体保管供給部36が液体培地を流入口から第二密閉容器75内に供給することで、浮遊した分化細胞が流出口を介して第二密閉容器75から押し出される。押し出された分化細胞は、薄めて懸濁液とした後で複数の別の第二密閉容器75内に収容される(播種される)。このようにして、分化細胞自動培養装置30は分化細胞の継代を自動で行う。
分化細胞自動培養装置30内の温度は、インキュベータ部37によって、例えば温度が約37℃となるように調整される。また、分化細胞自動培養装置30内の気体濃度は、インキュベータ部37によって、二酸化炭素や窒素を適宜加えることで調整される。なお、分化細胞自動培養装置30の液体保管供給部36は、分化を誘導させる際に、分化誘導因子を含む液体培地を供給してもよい。また、必要に応じて、インキュベータ部37によって湿度が約100%となるように調整されてもよい。
図2に示すように、iPS細胞自動培養装置20は、培地分析部24、細胞検査除去部25、液体保管供給部26、インキュベータ部27、排出部28、装置内搬送部23の各々に通信接続され、これらを制御する制御部29を有する。この制御部29は、iPS細胞自動培養装置20に関して、ステータスを管理したり、ログを管理したり、培養スケジュールを管理したり、ユーザインターフェース機能を果たしたりする。また、分化細胞自動培養装置30は、培地分析部34、細胞検査除去部35、液体保管供給部36、インキュベータ部37、排出部38、装置内搬送部33の各々に通信接続され、これらを制御する制御部39を有する。この制御部39は、分化細胞自動培養装置30に関して、ステータスを管理したり、ログを管理したり、培養スケジュールを管理したり、ユーザインターフェース機能を果たしたりする。
なお、上述したiPS細胞樹立装置11も、iPS細胞自動培養装置20及び分化細胞自動培養装置30と同様の構成となっている。つまり、iPS細胞樹立装置11は、図1に示すように筐体12bと、図2に示すように、液体培地を分析する培地分析部14と、原料細胞を検査するとともに状態の悪い原料細胞の除去を行う細胞検査除去部15と、液体培地やタンパク質分解酵素を含む液体等を保管するとともに供給する液体保管供給部16と、筐体12b内の温度、湿度及び気体濃度のいずれか一つ又はこれらの全てを自動で調整するインキュベータ部17と、iPS細胞樹立装置11内で用いられた使用済み液体培地、使用済み洗浄液、使用済み試薬等を含む廃液を筐体12bから下方に排出するための排出部18と、を有している。また、iPS細胞樹立装置11は、iPS細胞樹立装置11内で第二密閉容器75等を搬送する装置内搬送部13も有している。また、iPS細胞樹立装置11は、培地分析部14、細胞検査除去部15、液体保管供給部16、インキュベータ部17、排出部18、装置内搬送部13の各々に通信接続され、これらを制御する制御部19を有する。なお、各制御部19,29,39は、例えばパソコン等の外部装置90に接続されている。
本実施の形態の容器搬送部60は、図3に示すように、第一密閉容器70を下方にぶら下げるようにして保持する保持部61を有し、天井に設けられたレール65に沿って移動するようになっている。
図1に示すように、iPS細胞自動培養装置20は、第一密閉容器70から第二密閉容器75を搬入するための搬入部21を有している。この搬入部21は、第二密閉容器75に収容されたiPS細胞を搬入するとともに培養されたiPS細胞を搬出するための細胞用搬入出部(図示せず)と、第二密閉容器75に収容された資材を搬入するための資材用搬入部(図示せず)と、を有していてもよい。同様に、図1に示すように、分化細胞自動培養装置30は、第一密閉容器70から第二密閉容器75を搬入するための搬入部31を有している。この搬入部31も、第二密閉容器75に収容されたiPS細胞を搬入するとともに培養された分化細胞を搬出するための細胞用搬入出部(図示せず)と、第二密閉容器75に収容された資材を搬入するための資材用搬入部(図示せず)と、を有していてもよい。本実施の形態において資材とは、液体培地、試薬、洗浄液、培養プレート、バイアル、フィルター、針等である。また、図1に示すように、iPS細胞樹立装置11も、第一密閉容器70を搬入するための搬入部12aを有している。
本実施の形態の自動培養システムは、図1に示すように、第一密閉容器70内を殺菌するための殺菌装置1と、iPS細胞自動培養装置20で培養されたiPS細胞を所定のタイミングで搬入部81から受け取り、iPS細胞を検査するiPS細胞分析装置80と、分化細胞自動培養装置30で培養された分化細胞を所定のタイミングで搬入部86から受け取り、分化細胞を検査する分化細胞分析装置85と、自動培養装置20,30で培養されたiPS細胞、分化細胞、又は、iPS細胞及び分化細胞の両方を搬入部41から受け取り冷凍保存する冷凍保存装置40とを備えている。なお、冷凍保存装置40は複数個設けられていてもよいし、部屋全体が冷やされており部屋自体が冷凍庫として機能してもよい。そして、部屋に冷凍保存装置40が複数個設けられている場合や部屋自体が冷凍庫として機能するような場合には、当該部屋の天井にレール65が設けられ、このレール65に沿って容器搬送部60が移動できるようになってもよい。
上述した殺菌装置1の一例としては、第一密閉容器70内に過酸化水素ガスや高温ガス等の殺菌ガスを供給することで殺菌するものを挙げることができる。また、殺菌装置1の別の例としては、第一密閉容器70を閉状態としたまま外部から例えばγ線や紫外線を照射することで第一密閉容器70内を殺菌するものも挙げることができる。ちなみに、外部から第一密閉容器70が搬入される前に、第一密閉容器70の内部が例えばγ線や紫外線を用いて殺菌されてもよい。なお、液体培地等はγ線や紫外線で破損してしまうタンパク質等を含有している場合がある。この場合は、過酸化水素ガスや高温ガス等の殺菌ガスで殺菌することが望ましい。
《インキュベータ部近辺の構成》
次に、上述したインキュベータ部近辺の構成について説明する。なお、以下では、iPS細胞樹立装置11のインキュベータ部17、iPS細胞自動培養装置20のインキュベータ部27及び分化細胞自動培養装置30のインキュベータ部37のいずれか1つ、いずれか2つ、又は、全てのことを「インキュベータ部100」と示して説明する。なお、本実施の形態では、iPS細胞樹立装置11のインキュベータ部17、iPS細胞自動培養装置20のインキュベータ部27及び分化細胞自動培養装置30のインキュベータ部37の各々は同様の構成となっている。
インキュベータ部100は、図7に示すような内部筐体101を有している。インキュベータ部100は、図10に示すように、この内部筐体101内に設けられ、上下方向に延びた対称軸に沿って延びた中心シャフト110(特許請求の範囲の「保持部」に対応する。)と、中心シャフト110によって水平方向で保持され、細胞を収容した第二密閉容器75を載置するための複数(本実施の形態では9つ)の載置部120と、中心シャフト110を回転させることで各載置部120を回転させるモータ等の駆動部130と、内部筐体101内に設置された複数の加熱部140とを有している。図8及び図9に示すように、この加熱部140は対称軸に対して対称となるように設置されており、より具体的には、内部筐体101の四隅に載置されている(図8及び図9では1つの加熱部140が載置部120等で隠れて見えないようになっている。)。本実施の形態の各加熱部140は、略U字形状となっており、例えばフィンヒーター等のヒーターである。
図7に示すように、内部筐体101の前面側には、各載置部120に対応して設置され、各載置部120上に第二密閉容器75を載置したり各載置部120上から第二密閉容器75を取り出したりするための開閉扉105が設けられている。本実施の形態では、9つの開閉扉105が設けられ、各開閉扉105が各載置部120に対応して位置づけられている。なお、載置部120の数と開閉扉105の数とは同数(本実施の形態では9つ)になっている。
上述した内部筐体101は4つの断熱扉101aを有している。本実施の形態では、前面の断熱扉101aにだけ開閉扉105が設けられている態様を用いているが、これに限られることはなく、開閉扉105は複数の断熱扉101a(2つの断熱扉101a、3つの断熱扉101a及び4つの断熱扉101a)に設けられてもよい。このように複数の断熱扉101aに開閉扉105を設けることで、あらゆる方向から装置内搬送部13,23,33がアクセスすることができるようになり、処理効率を高めることができる。この開閉扉105には電磁錠106(図14参照)が設置されている。そして、内部筐体101内の二酸化炭素の濃度が高い場合、酸素濃度が低い場合、後述する高温殺菌する際には、制御部19,29,39は電磁錠106によって必ず開閉扉105をロックするようになっている。このため、本実施の形態によれば、高い安全性を実現することができる。
なお、本実施の形態の4つの断熱扉101aは取り外し可能となっている(図8参照)。このため、例えばインキュベータ部100をメンテナンスする時にこれらの断熱扉101aを取り外すことができ、非常にメンテナンス性に優れたものとなっている。なお、この断熱扉101aは2種類の断熱材料を使用したハイブリッド構造となっており、断熱材料の一つは例えば真空断熱材となっている。
本実施の形態の載置部120は、図12に示すように、中心シャフト110で保持され、中心が開口した円板形状の第一載置部121と、第一載置部121の周縁外方側に位置し、第一載置部121によって後述する弾性部材123を介して保持され、中心が開口した円板形状の第二載置部122と、第一載置部121と第二載置部122との間に載置された弾性部材123とを有している。
なお、各載置部120は、中心シャフト110で保持されつつ、下方で隣接する載置部120上に載置されることとなる。そして、中心シャフト110で保持できる上限を超えなければ、任意の数の載置部120を設置することができるようになっている。このため、本実施の形態によれば、必要に応じて載置部120の数を調整して、細胞の培養を行うことができる。
上述したように、各載置部120は下方で隣接する載置部120上に載置されているだけであり、下方で隣接する載置部120に対して固定されておらず、下方で隣接する載置部120に対して上下方向で移動可能となっている。他方、各載置部120の第一載置部121は中心シャフト110で保持されることから、各第一載置部121は水平方向で移動することができないようになっている。
上述したように、本実施の形態では、下方で隣接する載置部120上に載置部120を載置するだけの構造となっており、余計な配線や配管を用いないことから、載置部120上の第二密閉容器75を回転させつつ細胞を培養することができる。なお、このように載置部120上の第二密閉容器75を回転させることなく、細胞の培養中は駆動部130を停止させておくことももちろん可能である。また、細胞を培養する際には、後述するように検知部185(図13参照)が載置部120上に第二密閉容器75が載置されているかを判断する際と比較して、非常に低速で回転させることもできる。この場合には、載置部120を回転させつつ、細胞が振動のストレスを受けることを極力抑制することができる。
図11A及び図11Bに示すように、本実施の形態の載置部120は、同心円で複数の円弧状の隙間が形成された円盤状の板を有している。また、円周方向において隣接する円弧状の隙間は、容器が載置される予定の位置で閉じて閉鎖部を形成している。そして、図11Bに示すように、この閉鎖部の円周方向における距離は、当該円周方向に沿って測った際の第二密閉容器75の距離と略同一になっていてもよい。このような態様を採用することで、載置部120に第二密閉容器75が載置されている場合と載置部120に第二密閉容器75が載置されていない場合とで、概ね同じ気流とすることができ、仮に載置部120に載置される第二密閉容器75の数が変わっても気流の変化を減らすことができる。なお、図11Bのような態様を採用する場合には、第二密閉容器75のフィルムが上方に位置づけられるようにして、載置部120上に第二密閉容器75が載置されることとなる。
また、載置部120は、第二密閉容器75の位置決めを行う位置決め部を有しており、この位置決め部は本実施の形態では複数の突起部125からなっている。より具体的には、突起部125は、略矩形形状である第二密閉容器75の四隅の角を一対の突起部125が挟み込むようにして配置されている。このように、本実施の形態では、予め決まった位置に第二密閉容器75を載置することができ、その結果、仮に第二密閉容器75を最大数載置した状態でも、予めシミュレーションしたとおりに内部筐体101内で気体を流すことができ、内部筐体101内の温度安定性や昇温レスポンスを高めることができる。ちなみに、図11Aに示す態様では、第二密閉容器75のフィルムが下方と位置づけられるようにして、載置部120上に第二密閉容器75が載置されてもよいし、第二密閉容器75のフィルムが上方と位置づけられるようにして、載置部120上に第二密閉容器75が載置されてもよい。
図10に示す駆動部130としては、例えばABS ENC.(Absolute encoder:絶対値エンコーダー)を内蔵したDDモータ(ダイレクトドライブモータ)を採用することもできる。このような態様では、高精度で位置決めすることができ、低振動で無限に回転させることができる。なお、このような態様に限られることはなく、駆動部130としては、例えば、ステッピングモータやタイミングベルトを使用した電動アクチュエータを採用することもできる。
インキュベータ部100は、図10に示すように、内部筐体101内の上方位置の中央部に設置され、内部筐体101内の気体を下方から吸い込み、吸い込んだ気体を円周方向に排出する気体循環部150を有している。そして、この気体循環部150の周縁外方には、気体循環部150から排出された気体を、対称軸に対して対称となるように内部筐体101内で分散させ分散部材(ディフューザー)160が配置されている(図8及び図9参照)。本実施の形態では、分散部材160は、各加熱部140の上方に向かって、このため内部筐体101の四隅に気体を吹き付けるように、気体循環部150から円周方向に排出された気体を内部筐体101内で分散させるようになっている(図8参照)。なお、分散部材160は、分散する気体に圧力を付与するだけでなく、当該気体を案内する案内羽根の機能も果たしている。なお、本実施の形態の気体循環部150は、例えばシッロコ式ファン、遠心式ファン、軸流式ファン等のファンからなっている。
本実施の形態では、分散部材160は、気体循環部150から排出された気体を、各加熱部140の「上方」に向かって吹き付ける態様を用いて説明するが、これに限られることはない。例えば、分散部材160は、気体循環部150から排出された気体を、各加熱部140に向かって「直接」吹き付けるようにしてもよい。
図8に示すように、インキュベータ部100は、載置部120と加熱部140との間であって、載置部120の周縁を取り囲むようにして設置された遮熱部材170をさらに有している。そして、遮熱部材170の下方には、隣接する部材、すなわち本実施の形態では「内部筐体101の底部」の上面との間に間隙が形成されている。
図8に示すように、上述した載置部120の下方には加湿用の水を収容した加湿水トレー180(特許請求の範囲の「加湿水収容部」に対応する。)が載置されている。この加湿水トレー180の材料としては例えば銅合金ステンレス又は銅合金を用いることができる。このような態様を採用した場合には、加湿水を殺菌することができる点で有益である。
本実施の形態では、気体循環部150(図10参照)から気体が排出される。そして、このように気体循環部150から排出された気体は分散部材160で案内されて、図8の実線の矢印で示すように、各加熱部140の上方に向かって吹き付けられる。そして、各加熱部140の上方に向かって吹き付けられた気体は、遮熱部材170の外周側を降下しつつ加熱部140によって加熱される。そして、内部筐体101の底部の上面まで降下した気体は、遮熱部材170と内部筐体101の底部の上面との間の間隙を通過して遮熱部材170の内周側の領域に流れ込み、当該領域を上昇して、載置部120及び第二密閉容器75を加熱し(図8の点線の矢印参照)、ひいては第二密閉容器75内の細胞を加熱した後で気体循環部150から吸い込まれる。そして、このように気体循環部150から吸い込まれた気体は再び気体循環部150から排出されて、上述した流れを繰り返す。
なお、遮熱部材170の内周側の領域で気体が上昇するのは、当該気体が加熱部140で加熱されることと、当該気体が気体循環部150で吸い込まれる吸引力を受けるためである。ところで、図8では、遮熱部材170が配置されていない領域が存在するが、この領域は内部筐体101の前面側に位置しており、開閉扉105の内面に対向する位置となっている。このように遮熱部材170が配置されていない領域を介して、装置内搬送部13,23,33が、内部筐体101内の各載置部120上に第二密閉容器75を載置したり各載置部120上から第二密閉容器75を取り出したりすることとなる。
図10に示すように、本実施の形態のインキュベータ部100は、二酸化炭素及び/又は窒素である調整気体を供給するための調整気体供給部190と、調整気体供給部190から供給される調整気体を紫外線等で殺菌するための調整気体殺菌部(例えば紫外線殺菌灯等)195とを有している。なお、このように二酸化炭素及び/又は窒素である調整気体を調整気体殺菌部195で殺菌することによって、調整気体に含まれる微生物や細菌を殺菌することができる。また、調整気体には多少なりとも酸素が含まれていることから、調整気体殺菌部195として紫外線殺菌灯を採用した場合には、紫外線殺菌灯から照射される紫外線によって酸素からオゾンガスが発生し、インキュベータ部100内を当該オゾンガスで常時殺菌することもできる。
上述した中心シャフト110の内部には、調整気体供給部190から供給される調整気体を案内するための案内管111が配置されており、この案内管111を通過した調整気体は気体循環部150の下方に到達するようになっている。このように気体循環部150の下方に到達した調整気体は、この気体循環部150の下方から吸い込まれて気体循環部150の周縁外方に排出される。そして、このように気体循環部150から排出された気体は分散部材160(図8及び図9参照)で案内されて、各加熱部140の上方に向かって吹き付けられることとなる。なお、調整気体供給部190と中心シャフト110内の案内管111とは回転継手112を介して連結されている。
図13に示すように、本実施の形態のインキュベータ部100は、第二密閉容器75が載置部120上に載置されているかを検知するための検知部185を有している。本実施の形態の検知部185は、最も上方に位置する載置部120よりも上方に位置づけられ、光を下方向に向かって発光する発光部185aと、最も下方に位置する載置部120よりも下方に位置づけられ、発光部185aで発光された光を受光する受光部185bとを有している。なお、この態様は一例に過ぎず、例えば、発光部が最も下方に位置する載置部120よりも下方に位置づけられ、光を上方向に向かって発光し、発光部で発光された光を受光する受光部が最も上方に位置する載置部120よりも上方に位置づけられてもよい。載置部120の一部には開口部129が形成されており、この開口部129の少なくとも一部の上に第二密閉容器75が載置されるようになっている(図11A及び図11B参照)。このため、発光部185aから発光された光が第二密閉容器75の載置位置を通過する際に、当該光を閾値以上の強度で受光部185bが受光すれば当該位置に第二密閉容器75が載置されていないことを検知することができ、他方、当該光を受光部185bが受光しない又は閾値未満の強度で受光すれば該位置に第二密閉容器75が載置されていることを検知することができる。
なお、本実施の形態では、各載置部120の開口部129の水平方向位置が合致するようにして載置部120が中心シャフト110で保持されていることから、載置部120を一周するだけで、全ての載置部120に関して第二密閉容器75が載置されているかどうかを検知することができる。
図4に示すように、本実施の形態では、インキュベータ部100の内部筐体101を取り囲むようにして、外部筐体201が設けられている。内部筐体101の開閉扉105が設置される前面側で外部筐体201は開放されている。そして、この開放された部分に装置内搬送部13,23,33を有する他の装置が連結されることとなる。
本実施の形態の外部筐体201は4つのメンテナンス扉201aを有し、各メンテナンス扉201aは取り外し可能となっている。このため、例えばインキュベータ部100をメンテナンスする時にこれらのメンテナンス扉201aを取り外すことができ、非常にメンテナンス性に優れたものとなっている。
図5に示すように、外部筐体201内の上方には外部筐体201内に気体を供給する外部気体供給部210が設けられ、外部筐体201内の下方には外部気体供給部210から供給された気体を排出する外部気体排出部220が設けられている。外部気体供給部210は例えばファンフィルターユニット(FFU)であり、ファン及び高性能なフィルタ(HEPAフィルタ)を有するユニットである。このようなファンフィルターユニット(FFU)を採用することで、外部筐体201内をよりクリーンな環境にすることができる。また、本実施の形態では、外部気体排出部220が内部筐体101の両側方に配置されており、外部筐体201内の気体をバランスよく排気することができるようになっている(図5の矢印参照)。外部気体排出部220はルーバー(図示せず)を有し、このルーバーの開度を調整することで、外部筐体201内における気体の流れの速さや圧力を調整することができるようになっている。
図6に示すように、外部筐体201内には、外部気体供給部210から供給される気体を殺菌するための殺菌灯230からなる殺菌部が設けられている。そして、この殺菌灯230は外部気体供給部210の気体吹き出し口211の近傍に配置されており、外部気体供給部210から吹き出された気体にUV等の殺菌光を照射することで当該気体を殺菌することができるようになっている。なお、本実施の形態では殺菌部が殺菌灯230からなる態様を用いているが、あくまでも一例であり、他の殺菌態様を利用することもできることには留意が必要である。
上述したメンテナンス扉201aは透明又は半透明となっているが、殺菌灯230から照射される殺菌光が外部筐体201外に漏れ出すことを防止する材質が用いられている。一例としては、メンテナンス扉201aの材料はUVをカットするポリカーボネートである。
また、本実施の形態では、図6に示すように、殺菌灯230の下方に、殺菌灯230から照射される殺菌光が外部筐体201外に漏れ出すことを防止するための遮光板240が、一定の角度で傾斜して設置されている。
ところで、本実施の形態の制御部19,29,39は、図14に示すように、駆動部130、開閉扉105、電磁錠106、気体循環部105、調整気体供給部190、検知部185、外部気体供給部210、外部気体排出部220、殺菌灯230及び後述する報知部195の各々に通信接続され、これらを制御するようになっている。
なお、図4及び図5に示すようにインキュベータ部100の内部筐体101を取り囲むようにして外部筐体201が設けられていることは、必ずしも必須ではない。例えば、図15に示すように、内部筐体101に隣接して配置されたデリバリーチャンバ201(特許請求の範囲の「搬送用筐体」に対応する。)と、デリバリーチャンバ201内に設置され、デリバリーチャンバ201との間で第二密閉容器75を出し入れするための搬送機構203と、搬送機構203を上下方向に移動させる上下駆動機構202と、が設けられていてもよい。
本実施の形態のデリバリーチャンバ201は、外気に対するシール性(気密性)を有しており、内部筐体101の開閉扉105が設置される前面側において内部筐体101に気密に連結されている。そして、このデリバリーチャンバ201に、装置内搬送部13,23,33を有するとともに外気に対するシール性を有するトランスファーチャンバ301が気密に連結されることとなる。図15では、装置内搬送部13,23,33に符号303を付して示している。
図15の矢印で示すように、第二密閉容器75をインキュベータ部100に搬入する場合には、第二密閉容器75は、装置内搬送部303によりトランスファーチャンバ301からデリバリーチャンバ201へと搬入され、搬送機構203に載せられる。次に、第二密閉容器75は上下駆動機構202により搬送機構203と一緒に上下方向に移動され、目的とする開閉扉105に対応する高さ位置で静止される。そして、目的とする開閉扉105が開かれた後、第二密閉容器75は、搬送機構203によりトランスファーチャンバ301から内部筐体101へと搬入され、載置部120に載せられる。第二密閉容器75をインキュベータ部100から搬出する場合には、前述の工程が逆の順序で行われることにより、第二密閉容器75は載置部120から装置内搬送部303まで取り出される。
好ましくは、デリバリーチャンバ201には、不図示の加熱部が設けられており、デリバリーチャンバ201内の雰囲気は、例えば37℃となるように温度制御されている。加熱部としては、例えばフィンヒーター等のヒーターを用いることができる。
また、好ましくは、デリバリーチャンバ201には、不図示のHガス供給部が接続され、定期的にHガスを用いてデリバリーチャンバ201内を殺菌することが可能となっている。この場合、デリバリーチャンバ201内の雰囲気によりインキュベータ部100の内部筐体101内が汚染されることを防止できる。
《効果》
次に、上述した構成からなる本実施の形態によって達成される効果であって、まだ述べていない効果又はとりわけ重要な効果について説明する。
本実施の形態によれば、図8及び図9に示すように、複数の加熱部140が上下方向に延びた対称軸(図10参照)に対して対称となるように配置され、かつ、分散部材160が気体循環部150から排出された気体を対称軸に対して対称となるように内部筐体101内で分散させる。このため、インキュベータ部100の内部筐体101内の温度、気体の分布等を高い精度で均一にすることができる。この結果、第二密閉容器75内の細胞を安定した状態で培養することができる。
また、本実施の形態では、分散部材160が、各加熱部140の上方に向かって気体を吹き付けるように、気体循環部150から排出された気体を内部筐体101内で分散させる。このため、気体循環部150から排出された気体をすぐに加熱部140で加熱し上昇気流にすることができるので、内部筐体101内の気体の流れを活発にすることができる。したがって、内部筐体101内の温度、気体の分布等をより高い精度で均一にすることができる。また、このようにすぐに上昇気流にすることで、内部筐体101内での気体の上下方向の動きを活発にすることができ、開閉扉105を開けた際に、いわゆるエアカーテンとしての機能を発揮することを期待できる。この結果、開閉扉105を開けた際に、温度が急激に下がってしまったり、ガスの濃度が急激に変化してしまったりすることを防止することができる。ちなみに、上述した効果は、分散部材160が各加熱部140に向かって気体を吹き付ける態様を採用した場合にも得ることができる。
本実施の形態では、図8に示すように、載置部120と加熱部140との間に、載置部120の周縁を取り囲むようにして遮熱部材170が設けられている。このため、加熱部140によって第二密閉容器75、ひいては第二密閉容器75内の細胞が直接加熱されることを防止することができる。このため、本実施の形態では、細胞をより確実に均一な温度で培養することができる。
この遮熱部材170としては少なくとも内面が例えばステンレス製の鏡面となっているものを採用することができる。このような態様を採用する場合には、遮熱部材170の内周側からの熱を内周側に反射することができ、第二密閉容器75、ひいては第二密閉容器75内の細胞を効率よく加熱することができる。ちなみに、加熱部140が赤外線を発する赤外線ヒーター等からなる場合には、遮熱部材170はその全体が赤外線で加熱されることとなり、遮熱部材170の内周側の赤外線を遮熱部材170の鏡面で反射し、第二密閉容器75内の細胞を効率よく加熱することができる。
インキュベータ部100のメンテナンスのことを考慮すると、この遮熱部材170は内部筐体101から取り外し自在となっていることが好ましい(図9参照)。なお、図9では、加湿水トレー180も取り除かれた態様となっている。
また、本実施の形態では、駆動部130で載置部120上の第二密閉容器75を回転させつつ細胞を培養することができる。このため、何らしかの理由で仮に内部筐体101内で温度、気体の分布、湿度等に偏りがあった場合でも、より均一な条件で細胞を培養することができる。
本実施の形態のインキュベータ部100は、図10に示すように、窒素及び/又は二酸化炭素である調整気体を供給するための調整気体供給部190を有している。このため、本実施の形態では、内部筐体101内の気体内の調整気体の濃度を適宜調整できる。
また、本実施の形態では、調整気体供給部190から供給された調整気体は気体循環部150の下方に到達し、この気体循環部150の下方から吸い込まれて気体循環部150の周縁外方に排出される。そして、このように気体循環部150から排出された気体は分散部材160で案内されて、各加熱部140の上方に向かって吹き付けられることとなる。このため、本実施の形態では、調整気体が新たに供給されたときであっても気体循環部150で即座に吸い込んで内部筐体101内に分散することができ、非常に短時間で内部筐体101内の気体の濃度を均一なものとすることができる。
図7に示す開閉扉105は各載置部120に対応して設置されており、各開閉扉105を介して各載置部120上に第二密閉容器75を載置したり各載置部120上から第二密閉容器75を取り出したりすることができるようになっている。このため、装置内搬送部13,23,33がインキュベータ部100内にアクセスする際に必要な開閉扉105のみを開けることができ、装置内搬送部13,23,33がインキュベータ部100内にアクセスすることで内部筐体101内の温度、気体の成分、湿度等が変わってしまうことを極力抑制することができる。また、このような態様を採用することで、載置部120を上下させる必要がなく、各載置部120上に第二密閉容器75を載置したり各載置部120上から第二密閉容器75を取り出したりすることができる。このため、載置部120が上下する態様と比較して、培養している細胞にかかるストレスを低減することができ、また、内部筐体101内の雰囲気が乱れることを防止することもできる。
一般には、定期的にインキュベータ部100を高温殺菌する必要があるが、このようにインキュベータ部100を高温殺菌する際には内部の温度が例えば180℃近くになる。高温殺菌する際に仮に第二密閉容器75が載置部120上に載置していると、第二密閉容器75内で培養している細胞が死滅したり悪影響を受けたりすることとなる。この点、本実施の形態のインキュベータ部100は、第二密閉容器75が載置部120上に載置されているかを検知するための検知部185を有している(図13参照)。このため、載置部120上に第二密閉容器75を載置したままの状態でインキュベータ部100を高温殺菌してしまうことを未然に防止することができる。なお、このような高温殺菌する際には、自動で検知部185が載置部120上に第二密閉容器75が載置されているかを検知するようにしてもよい。より具体的には、高温殺菌する前には、必ず、発光部185aから光が発光されつつ駆動部130によって載置部120が回転され、載置部120上に第二密閉容器75が載置されているかを検知するようにしてもよい。そして、仮に検知部185が載置部120上に第二密閉容器75が載置されていると判断した場合には、その旨を報知部195(図14参照)、外部装置90(図2参照)等で報知したり、高温殺菌することができない旨を報知部195、外部装置90等で報知したりするようにしてもよい。
上述したようにインキュベータ部100を高温殺菌する際には内部の温度が180℃近くになる。この点、本実施の形態では、図12に示すように、第一載置部121と第二載置部122との間に弾性部材123が載置されている。また、各載置部120は、下方で隣接する載置部120上に載置されているだけであり、下方で隣接する載置部120に対して上下方向で移動可能となっている。このため、高温殺菌時の熱の影響で載置部120や中心シャフト110が大きく膨張した場合であっても、その膨張を、上下方向及び水平方向の両方向で逃がすことができる。この結果、載置部120や中心シャフト110が熱膨張によって歪んでしまうことを未然に防止することができる。
なお、インキュベータ部100を高温殺菌することに代えて、定期的にHガスを用いてインキュベータ部100を殺菌することも可能である。Hガスを用いたインキュベータ部100の殺菌は、高温殺菌と同様に、第二密閉容器75が載置部120上に載置されていない状態で行われる。
本実施の形態では、図8に示すように、載置部120の下方には加湿用の水を収容した加湿水トレー180が載置されている。このため内部筐体101内を高湿度に保つことができる。なお、今まで主に説明してきたように第二密閉容器75を用いた場合には、このように内部筐体101内を高湿度に保つ必要性はないが、「容器」として、第二密閉容器75ではなく培養用ディッシュや培養用シャーレを用いた場合には、このように内部筐体101内を高湿度に保つことは非常に重要な意義を有する。
図4乃至図6に示す例では、内部筐体101を取り囲むようにして外部筐体201が配置されている。そして、外部筐体201内の上方に外部筐体201内に気体を供給する外部気体供給部210が設けられ、かつ、外部筐体201内の下方に外部気体供給部210から供給された気体を排出する外部気体排出部220が設けられている。このため、インキュベータ部100をクリーンな環境に配置することができ、コンタミリスクを抑制することができる。なお、外部気体供給部210としてファンフィルターユニットを採用した場合には、よりクリーンな環境にインキュベータ部100を配置することができ、コンタミリスクをより抑制することができる点で好ましい。
また、図4乃至図6に示す例では、外部気体供給部210から供給される気体を殺菌する殺菌灯230からなる殺菌部が設けられている(図6参照)。このため、殺菌灯230で殺菌した気体をインキュベータ部100の上方から供給することができる。したがって、インキュベータ部100をさらにクリーンな環境に配置することができ、コンタミリスクをさらに抑制することができる。
また、図4乃至図6に示す例では、殺菌灯230の下方に、殺菌灯230から照射される殺菌光が外部筐体201外に漏れ出すことを防止するための遮光板240が設置されている。このため、殺菌灯230から照射される殺菌光が外部に漏れ出して第二密閉容器75等に影響を与えることを、未然に防止することができる。
さらに、図4乃至図6に示す例では、メンテナンス扉201aがポリカーボネート等からなり、殺菌灯230から照射される殺菌光が外部筐体201外に漏れ出すことを防止する材質となっている。このため、殺菌灯230から照射されるUV等の殺菌光が外部に漏れ出して人体等に影響を与えることを、より確実に未然に防止することができる。
図15に示す例では、内部筐体101に隣接して配置されたデリバリーチャンバ201と、デリバリーチャンバ201内に設置され、デリバリーチャンバ201との間で第二密閉容器75を出し入れするための搬送機構203と、搬送機構203を上下方向に移動させる上下駆動機構202と、が設けられている。装置内搬送部303を有するトランスファーチャンバ301がインキュベータ部100の内部筐体101に直接連結される代わりにデリバリーチャンバ201を介して連結されることで、内部筐体101内の環境変化をさらに減らすことができるとともに、外部からの菌の持込み(汚染)を防ぐことができる。また、デリバリーチャンバ201に上下駆動機構202が設けられていることで、装置内搬送部303に上下駆動機構を設けることが不要となり、装置内搬送部303側の機構(構成)を簡略化できる。
《実施例》
本実施の形態による培養装置のインキュベータ部100の実施例について説明する。
本実施の形態による培養装置のインキュベータ部100を用いて、温度性能を測定した。内部筐体101内の温度が安定した後の30分間に関して、1分間隔で温度のぶれを測定した。内部筐体101内の温度を37.0℃と設定したところ、本実施の形態によるインキュベータ部100では、温度変動幅が37.0±0.02℃となり、温度分布が37.0±0.2℃となり、空間温度偏差が0.20℃となった。本実施の形態のような構成を取らない市販のインキュベータに関して同様の実験を行ったところ、温度変動幅が37.45±0.05℃となり、温度分布が37.45±0.32℃となり、空間温度偏差が0.54℃となった。このように本実施の形態のインキュベータ部100によれば、非常に高い温度性能を実現することができた。ちなみに、上述した実験において、温度変動幅の試験規格はJTM K01/03/05を参考にし、温度分布の試験規格はJTM K01/03/05を参考にし、空間温度偏差の試験規格はJTM K07/09を参考にした。
また、本実施の形態による培養装置のインキュベータ部100を用いて、温度プルアップ特性も測定した。図16がその結果である。実線で示したものが本実施の形態のインキュベータ部100による測定結果であり、点線で示したものが市販のウォータージャケットインキュベータによる測定結果であり、一点鎖線で示したものが市販のエアージャケットインキュベータによる測定結果である。このように、本実施の形態のインキュベータ部100によれば、温度の立ち上がりが早く、温度安定までの時間が短いことが理解できる。なお、このように温度安定までの時間が短いことから、外乱に対して温度追随性が高いことも理解できる。
また、本実施の形態による培養装置のインキュベータ部100を用いて、停電時における温度降下特性も測定した。図17がその結果であり、実線で示したものが本実施の形態のインキュベータ部100による測定結果であり、点線で示したものが市販のウォータージャケットインキュベータによる測定結果であり、一点鎖線で示したものが市販のエアージャケットインキュベータによる測定結果である。このように、本実施の形態のインキュベータ部100によれば、エアージャケットインキュベータと比較すると格段に高い断熱性能を有し、ウォータージャケットインキュベータと比較してもほぼ変わらない保温性能を有することが理解できる。
また、本実施の形態による培養装置のインキュベータ部100を用いて、扉を開いた時の温度の復帰特性も測定した。なお、開放時間は60秒である。図18がその結果であり、実線で示したものが本実施の形態のインキュベータ部100による測定結果であり、点線で示したものが市販のウォータージャケットインキュベータによる測定結果であり、一点鎖線で示したものが市販のエアージャケットインキュベータによる測定結果である。図18で示すように、ウォータージャケットインキュベータ及びエアージャケットインキュベータの両方で扉を開けると温度が急降下したにもかかわらず、本実施の形態のインキュベータ部100によれば、60秒間という長時間の間、開閉扉105を開けても温度に影響がなかったことが理解できる。このように本実施の形態によれば密閉容器の搬出入においても必要最小限の開口しか外部に通じることがなく温度の急激な変化をなくすことができるので、培養している細胞にかかる熱的なストレスを極力少なくすることができる。また、本実施の形態によれば60秒間という長時間の間、開閉扉105を開けても温度が下がらないことから、省エネを達成することができ、また、外乱に対して強いことも理解できる。なお、上述した60秒という時間は、例えば次工程へ進む第二密閉容器75の搬出入時といったときに要する時間に対応している。
また、本実施の形態による培養装置のインキュベータ部100を用いて、扉を開いた時の二酸化炭素濃度の復帰特性も測定した。なお、開放時間は60秒である。図19がその結果であり、実線で示したものが本実施の形態のインキュベータ部100による測定結果であり、点線で示したものが市販のウォータージャケットインキュベータによる測定結果であり、一点鎖線で示したものが市販のエアージャケットインキュベータによる測定結果である。図19で示すように、ウォータージャケットインキュベータ及びエアージャケットインキュベータの両方で扉を開けると二酸化炭素濃度が急降下したにもかかわらず、本実施の形態のインキュベータ部100によれば、60秒間という長時間の間、開閉扉105を開けても二酸化炭素濃度に影響がなかったことが理解できる。このように開閉扉105を長時間開けても二酸化炭素濃度が減少しないことから、本実施の形態のインキュベータ部100によれば、省エネを達成することができ、また、外乱に対して強いことも理解できる。
最後になったが、上述した実施の形態の記載及び図面の開示は、特許請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎず、上述した実施の形態の記載又は図面の開示によって特許請求の範囲に記載された発明が限定されることはない。

Claims (18)

  1. インキュベータ部を備えた培養装置であって、
    前記インキュベータ部は、
    内部筐体と、
    前記内部筐体内に設置され円筒体を構成するとともに、細胞を収容した容器を載置する回転自在に配置された載置部と、
    前記載置部を回転駆動させる駆動部と、
    前記内部筐体内に設置された複数の加熱部であって、円筒体を構成する載置台の中央部に上下方向に延びた対称軸に対して対称となるように設置された複数の加熱部と、
    前記載置台と前記複数の加熱部との間に配置された遮熱部材と、
    前記内部筐体内の上方位置の中央部に設置され、前記内部筐体内の気体を吸い込み、吸い込んだ前記気体を排出する気体循環部と、
    前記対称軸から半径方向へ外方へ延びる案内路を形成する複数の部材を含み、前記気体循環部から排出された気体を、前記対称軸に対して対称となるように、前記内部筐体内で分散させる分散部材と、
    前記対称軸に沿って上下方向に延在し、前記載置部を水平方向に保持する保持部と、
    を有し、前記気体循環部は前記保持部上方に配置され、かつ前記内部筐体内の気体を下方から吸い込み円周方向に排出し、各加熱部は内部筐体周囲に設けられる、ことを特徴とする培養装置。
  2. 前記分散部材は、前記加熱部又は前記加熱部の上方に向かって各加熱部毎に気体を吹き付けるように、前記気体循環部から排出された気体を前記内部筐体内で分散させることを特徴とする請求項1に記載の培養装置。
  3. 前記遮熱部材の下方には、隣接する部材との間に間隙が形成されていることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の培養装置。
  4. 前記インキュベータ部は、調整気体を供給するための調整気体供給部と、前記保持部内に配置され、前記調整気体供給部からの調整気体を前記気体循環部へ案内する案内管とをさらに有し、
    前記調整気体供給部から前記調整気体を前記内部筐体内の下方から前記案内管を介して前記気体循環部へ導くことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の培養装置。
  5. 前記調整気体供給部から供給される調整気体を殺菌するための調整気体殺菌部をさらに備えたことを特徴とする請求項に記載の培養装置。
  6. 前記調整気体は酸素を含み、
    前記調整気体殺菌部は前記調整気体に対して紫外線を照射することを特徴とする請求項に記載の培養装置。
  7. 前記インキュベータ部は、前記容器が前記載置部上に載置されているかを検知するための検知部をさらに有することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の培養装置。
  8. 前記載置部は複数設けられており、
    前記内部筐体は、各載置部に対応して設置された開閉扉を有し、
    前記載置部の数と前記開閉扉の数とは同数になっていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の培養装置。
  9. 前記載置部は、前記保持部で保持された第一載置部と、前記第一載置部の周縁外方側に位置し、前記第一載置部で保持された第二載置部と、前記第一載置部と前記第二載置部との間に載置された弾性部材と、を有することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の培養装置。
  10. 前記載置部は複数設けられ、
    前記載置部は、下方で隣接する載置部に対して上下方向で移動可能となるようにして、下方で隣接する載置部上に載置されることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の培養装置。
  11. 前記内部筐体を取り囲むようにして配置された外部筐体と、
    前記外部筐体内の上方に設置され、前記外部筐体内に気体を供給する外部気体供給部と、
    前記外部筐体内の下方に設置され、前記外部気体供給部から供給された気体を排出する外部気体排出部と、をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の培養装置。
  12. 前記内部筐体を取り囲むようにして配置された外部筐体と、
    前記外部筐体内に設置され、前記供給部から供給される気体を殺菌するための殺菌部と、をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の培養装置。
  13. 前記殺菌部は殺菌灯であり、
    前記殺菌灯の下方には、前記殺菌灯から照射される殺菌光が前記外部筐体外に漏れ出すことを防止するための遮光板が設置されていることを特徴とする請求項12に記載の培養装置。
  14. 前記殺菌部は殺菌灯であり、
    前記外部筐体の少なくとも一部は透明又は半透明となっており、
    前記外部筐体のうち透明又は半透明となっている箇所は前記殺菌灯から照射される殺菌光が前記外部筐体外に漏れ出すことを防止する材質から形成されていることを特徴とする請求項12又は13のいずれかに記載の培養装置。
  15. 前記内部筐体に隣接して配置された搬送用筐体と、
    前記搬送用筐体内に設置され、前記内部筐体との間で前記容器を出し入れするための搬送機構と、
    前記搬送機構を上下方向に移動させる上下駆動機構と、をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の培養装置。
  16. 前記載置部は、同心円で複数の円弧状の隙間が形成された円盤状の板を有し、
    円周方向において隣接する円弧状の隙間は、前記容器が載置される予定の位置で閉じて閉鎖部を形成することを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の培養装置。
  17. 前記閉鎖部の前記円周方向における距離は前記容器の前記円周方向における距離と略同一となっていることを特徴とする請求項16に記載の培養装置。
  18. 前記加熱部は前記内部筐体の内壁と前記載置部との間であって、前記内部筐体の四隅に設けられていることを特徴とする請求項1乃至17のいずれか1項に記載の培養装置。
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