JP6216308B2 - 鞍乗型車両のリザーブタンク構造 - Google Patents
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Description
下記特許文献1に示されるものにおいては、リザーブタンクはユニットスイング部(リヤフェンダ部)に取付けられるので、収納ボックスやステップフロアに取付ける場合の干渉やスペースを気にせずに、リザーブタンクを設置することができるが、リザーブタンクがユニットスイング部(リヤフェンダ部)に取付けられると、リザーブタンクが受ける振動が大きくなってしまい、リザーブタンク内の冷却水がリザーブタンクの大気開放部へ流れ込んで流出する恐れがある。
また、リザーブタンクは後部になるほど揺れが大きくなるが、連通部をリザーブタンクの前部に設けたことで連通部の揺れが抑えられ、揺れによって連通部を流れる冷却水を抑制することができる。
また、連通部より後方側の下方膨出部に冷却水が集まることで、上方長方部における冷却水は必然的に少なくなり、上方長方部の前部に設けられた連通部への、走行中の振動などによる冷却水の浸入を抑えることができる。
特許請求の範囲および本明細書の説明における前後左右上下等の向きは、本実施形態のリザーブタンク構造を備えた鞍乗型車両の向きに従うものとする。本実施形態において鞍乗型車両はスクータ型自動二輪車である。
図中矢印FRは車両前方を、LHは車両左方を、RHは車両右方を、UPは車両上方を、それぞれ示す。
すなわち車体前部1Aのヘッドパイプ20からダウンチューブ21が下方へ延出し、ダウンチューブ21は下端で水平に屈曲してフロア部1Cの下方を後方へ延び、その後端において左右一対のメインパイプ22が連結され、連結部からメインパイプ22は斜め後方に立ち上がって所定高さで略水平に屈曲して後方に延びている。
一方、車体前部1Aにおいては、ヘッドパイプ20に軸支されて上方にハンドル13が設けられ、下方にフロントフォーク14が延びてその下端に前輪15が軸支されている。
車体フレーム2および固定された機器は車体カバー19に概ね覆われている。
パワーユニット3は、その前部がクランクケース30に図示しないクランク軸を車幅方向に配向し回転自在に支持した単気筒4ストロークの水冷式内燃機関(以下、単に「内燃機関」という)4であり、図2に示すように、クランクケース30からから前方にシリンダブロック41、シリンダヘッド42、シリンダヘッドカバー43が順次重ねられて結合され、シリンダ軸線が水平近くまで大きく前傾した姿勢をしている。
なお、クランクケース30の下端後部にメインスタンド16が揺動して起伏自在に軸支されており、倒伏したときは後輪17を前方から跨ぐようにして略水平に収納される。
ベルト式無段変速機51と減速機構52が、内燃機関4より後方に延設される動力伝達機構である。
減速機ケース33とメインパイプ22の後部間にリヤクッション18が介装されている(図1参照)。
内燃機関4の右クランクケース30Rの右側には内燃機関4の冷却水を空冷するためのラジエータ45が配設され、その外側をラジエータカバー46が覆っており(図3参照)、排気管65は、ラジエータ45の下方をラジエータカバー46の下端縁に沿って後方に延びている。
排気マフラー66の外面には、プロテクタ67が排気マフラー66を側方から覆うように取り付けられる(図1、図3参照)。
プロテクタ67は、排気マフラー66の側面の略全体を覆うとともに、前後面および上面の外側半分程を覆っており、乗員や荷台への排気マフラー66の熱の影響を低減している。
排気マフラー66の前部に溶接されて一体に取り付けられたマフラー支持ステー7は、図2に示されるように、前方に延出した上側取付腕部7aと下側取付腕部7bがステー取付ボルト71、72によって内燃機関4の右クランクケース30Rに固着されて、排気マフラー66がマフラー支持ステー7を介して右クランクケース30Rに取り付けられ、後輪17の右側に配設される。
なお、排気マフラー66の後部下端に連結ブラケット68が溶接されている。
図3に示されるように、断面U字状をしたリヤフェンダ8における円弧状周壁の左側前部から左方に取付ブラケット8aが延出している。
また、断面U字状をしたリヤフェンダ8における円弧状周壁の左側後下端部から前方に取付ブラケット8bが突出し、右側後下端部には取付ブラケット8cが形成されている。
30Lの上に配設されるエアクリーナ63のフェンダ取付ボス部63aにフェンダ取付ボルト81により取り付けられ、リヤフェンダ8の左側壁の後下端から前方に突出した取付ブラケット8bは、左クランクケース(伝動ケース)30Lの後部からさらに後方に突出した支持ブラケット30Lbにフェンダ取付ボルト82により取り付けられる。
リヤフェンダ8の右側壁の後下端の取付ブラケット8cは、排気マフラー66の後部下端の連結ブラケット68から突設された連結ステー68aの後端部にフェンダ取付ボルト83により取り付けられる。
また、排気マフラー66を支持するマフラー支持ステー7のステー中央部7cに、リザーブタンク9を支持するリザーブタンク支持ステー90が溶接されて立設されている(図2参照)。
そして、ラジエータ45内の冷却水が高温となって膨張したときは余分な冷却水がリザーブタンク9に溢流し、ラジエータ45内の冷却水が低温となったときにはリザーブタンク9からラジエータ45に冷却水が戻される。
そのようなラジエータ45とリザーブタンク9の間の冷却水の流通により、ラジエータ45側に溜まっていたエアーがリザーブタンク9に排出され、リザーブタンク9は大気に開放される構造となっているため、水冷系からのエアー抜きが良好に行われる。
リザーブタンク支持ステー90の取付ブラケット部90cは、リヤフェンダ8の円弧状周壁の右側前上部の支持ブラケット8dに左側から当接してステー取付ボルト84により固着される。
このようにしてマフラー支持ステー7に溶接され、リヤフェンダ8に取り付けられて支持されたリザーブタンク支持ステー90に、リザーブタンク9が支持される。
また、下側タンク9Bは、透視可能な壁部に水量確認用目盛94を有するとともに、下部においてラジエータ45へ接続されるラジエータ接続部95が設けられている。
したがって、本実施形態では、リザーブタンク9は、冷却水の液位を目視可能な程度に透明な樹脂の成型品となっている。
リザーブタンク9の後壁から後部取付ブラケット97が後方に突出しており、後部取付ブラケット97の後端部がリヤフェンダ8の右側中央上部の支持ブラケット8eにタンク・カバー取付ボルト85により取付けられることで、リザーブタンク9は固定される。
上側タンク9Aの給水口91からは、予備冷却水として冷却水の補給を行うことができる。また、リザーブタンク9の給水口91から前方に突出した大気開放部92には、大気開放チューブ92aの一端が接続され、大気開放チューブ92aの他端は車体カバー19の内側で大気側に開口しているので、ラジエータ45からリザーブタンク9に送り込まれたエアーが大気に排出され、水冷系からのエアー抜きが行われる。
リザーブタンクカバー100は、リヤフェンダ8の支持ブラケット8eに、リザーブタンク9とともにタンク・カバー取付ボルト85により共締めされて取り付けられる。
また、図3を参照して、排気マフラー66を支持するマフラー支持ステー7の上方に配置されるリザーブタンク9は、タンク・カバー取付ボルト85の取り外しでリザーブタンクカバー100を取り除いて、外部に露出することができる。
この露出状態にあってリザーブタンク支持ステー90に前部を支持されたリザーブタンク9を、略鉛直方向に指向した回動支軸96を中心に右方に回動することで、車両前後方向に対して垂直右方に位置させることができ(図3に2点鎖線で示す)、リザーブタンク9の回動移動によってリザーブタンク9への給水作業を容易に行える。
図4において、リザーブタンク9は、その外側(右側)にリザーブタンクカバー100を装着して示される。
リザーブタンクカバー100には、リザーブタンク9の水量確認用目盛94に対応する部分に縦長の開口部101が形成されていて、内部の水量確認目盛94が目視でき外部からリザーブタンク9内の予備冷却水の量(水位)の目視点検、確認を容易に行うことができる。
図6は、図5中VI−VI矢視による、リザーブタンクカバー100を外したリザーブタンク9の上面図である。
なお、図8〜図10は、それぞれ(a)部にリザーブタンク9の単体図を、(b)部にリザーブタンクカバー100の単体図を、斜視図として示すものであり、図8は右斜め後方から見た外側部斜視図、図9は前方から見た前側斜視図、図10は左斜め前方から見た内側部斜視図であり、以下、リザーブタンク9とリザーブタンクカバー100の立体形状の説明図として、図8〜図10も参照するものとする。
おいて下方に膨出する下方膨出部9Bbから構成され、下方膨出部9Bbには連通部93より後方側、且つ下方において、ラジエータ45のラジエータキャップ45a内へ(図2参照)接続されるノズル状のラジエータ接続部95が前方へ向けて突設されている(図10参照)。
また、下側タンク9Bには、上下高さのある下方膨出部9Bbにかけて、透視可能な壁部に水量確認用目盛94が設けられている(図8参照)。
大気開放部92には、大気開放チューブ92aの一端が接続され、大気開放チューブ92aの他端は車体カバー19の内側で大気側に開口しており、ラジエータ4からリザーブタンク9に送り込まれたエアーが大気に排出され、水冷系からのエアー抜きが行われる。
また、連通部53より後方側の下方膨出部9Bbに冷却水が集まることで、上方長方部9Baにおける冷却水は必然的に少なくなり、上方長方部9Baの前部と上側タンク9Aとの間に設けられた連通部93への、走行中の振動などによる冷却水の浸入を抑えることができる。
したがって、下側タンク9Bから上側タンク9Aへ冷却水が移動しても、さらに大気開放部92へ移動するための距離があるため、冷却水の動きが抑制され、大気開放部92からの冷却水の流出を抑えることができる。
つまり、上、下側タンク9A、9Bの連通部93がリザーブタンク9の前部に設けられているので、上下揺動による連通部93付近における冷却水の揺れが小さくなり、揺れによる連通部93の冷却水の流れを抑制することができるものとなっている。
また、下側タンク9Bの先端には上下方向板状の前部係合突起98が一体に形成されている(図9、10参照)。
そして、下側タンク9Bの上方長方部9Baの前部底壁には下方向に延びる回動支軸96が一体に形成されて備えられている(図8〜10参照)。
下側タンク9Bの上方長方部9Baの前部は、リザーブタンク支持ステー90の水平基盤90bの上に載り、下側タンク9Bの前部底壁から下方に突設された回動支軸96が水平基盤90bのグロメット軸受部90d(図7参照)に挿入され、略鉛直方向に指向した回動支軸96を中心に回動し、左右に揺動自在にリザーブタンク9は支持される。
また、後部膨出部102には、リザーブタンク9上に取付けられたときに、リザーブタンク9のタンク取付け孔97aと位置が一致するように、タンク・カバー取付ボルト85を挿通させるためのカバー取付け孔105が設けられている(図8参照)。
また、タンク・カバー取付ボルト85を抜き、リザーブタンクカバー100を外しても、リザーブタンク9は回動支軸96によって水平基盤90b上に支持されているから、露出したリザーブタンク9が、前部にある回動支軸96を中心として回動することで、リザーブタンク9の後方上面に備えられた給水口91を、車両幅方向外側に動かして車両前後方向に対し垂直右方に位置させることができ、給水などのメンテナンスが容易である。
下側タンク9Bの上方長方部9Baの前部は、リザーブタンク支持ステー90の水平基盤90bの上に載り、下側タンク9Bの上方長方部9Baの前部底壁に一体に形成され下方向に延びる回動支軸96は、水平基盤90bのグロメット軸受部90dに挿入されている。
リザーブタンク9は、略鉛直方向に指向した回動支軸96を中心に回動し、左右に揺動自在に支持される。
図7にはまた、リザーブタンク9の大気開放部92が大気開放チューブ92aに接続され、ラジエータ接続部95が補給チューブ95aに接続された状態が示される。
すなわち、車体フレーム2に上下揺動自在に支承されたパワーユニット3を備えた自動二輪車1のリザーブタンク構造において、パワーユニット3は、車幅方向左方側に配置されたベルト式無段変速機1と減速機構52を備える動力伝達機構を有するとともに、車両幅方向右方側に冷却水用のリザーブタンク9を備え、リザーブタンク9は、上側タンク9Aと下側タンク9Bの2つから構成され、その前後方向後方側において、上側タンク9Aは給水口91および大気開放部92を有し、前後方向前方側において、上側タンク9Aと下側タンク9Bとを連通する連通部93が備えられている。
リザーブタンク9の揺動軸は、パワーユニット3の揺動軸であり車両前後方向でリザーブタンク9の前方にあり、リザーブタンク9は後部になるほど揺れが大きくなるが、連通部93をリザーブタンク9の前部に設けたことで、連通部93の揺れが抑えられ、揺れによって連通部93を流れる冷却水を抑制することができる。
上側タンク9Aが斜め後ろ上がりに配置されていることで、上側タンク9Aに流れてきた冷却水を積極的に前方の連通部93に移動させ、下側タンク9Bへ流すことを可能としている。
リザーブタンクが、前部にある回動支軸96を中心として回動することで、リザーブタンク9後方上面に備えられた給水口91を、車両幅方向外側に動かすことが可能となり、給水などのメンテナンスを容易にすることができる。
下側タンク9Bにおいて、下方に膨出する下方膨出部9Bbを備えることで、冷却水を積極的にラジエータ接続部93がある下方膨出部9Bbに集めることができ、ラジエータ45との冷却水の受給が容易となるほか、水量確認用目盛94で冷却水の水位を確認することが容易となる。
また、連通部93より後方側の下方膨出部9Bbに冷却水が集まることで、上方長方部9Baにおける冷却水は必然的に少なくなり、上方長方部9Baの前部に設けられた連通部93への、走行中の振動などによる冷却水の浸入を抑えることができる。
リザーブタンク9とリザーブタンクカバー100が共締めされることで、部品点数が削減され、リザーブタンク9の冷却水の水量確認目盛94に対応する個所に開口部101が設けられることで、水量の確認を容易にすることが可能となっている。
例えば、本発明の鞍乗型車両は、車体フレームに上下揺動自在に支承されたパワーユニットを備えた鞍乗型車両ならば実施形態のスクータ型自動二輪車に限らない。
鞍乗型車両の内燃機関は、実施形態の単気筒4ストロークサイクル内燃機関に限定されず、水冷内燃機関であって冷却水用のリザーブタンクを備えることが必要な内燃機関であればよい。
なお、各機器の左右の配置は、説明の便宜上、図示のものに特定して記載したが、上記実施形態に示すものと左右逆となる配置のものであってもよく、本発明に含まれる。
Claims (5)
- 車体フレーム(2)に上下揺動自在に支承されたパワーユニット(3)を備えた鞍乗型車両(1)のリザーブタンク構造において、
前記パワーユニット(3)は、車幅方向一方側に配置される動力伝達機構(51, 52)を有するとともに、車幅方向他方側に冷却水用のリザーブタンク(9)を備え、かつ前記パワーユニット(3)は、その揺動位置が前記リザーブタンク(9)より車両前後方向の前方側に位置し、
前記リザーブタンク(9)は、上側タンク(9A)と下側タンク(9B)の2つから構成され、
車両前後方向の後側において、前記上側タンク(9A)は給水口(91)および大気開放部(92)を有し、
車両前後方向の前側において、前記上側タンク(9A)と前記下側タンク(9B)とを連通する連通部(93)が備えられたことを特徴とする鞍乗型車両のリザーブタンク構造。 - 前記上側タンク(9A)は、斜め後ろ上がりになるように配置されたことを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型車両のリザーブタンク構造。
- 前記リザーブタンク(9)は、後方の上面に前記給水口(91)を備えるとともに、前部底壁において下方向に延びる回動支軸(96)を備え、同回動支軸(96)を中心に回動可能とされることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の鞍乗型車両のリザーブタンク構造。
- 前記下側タンク(9B)は、水量確認用目盛(94)を有するとともに、前後方向に長尺の上方長方部(9Ba)と、同上方長方部(9Ba)の後部において下方に膨出する下方膨出部(9Bb)から構成され、
前記上方長方部(9Ba)の前部に前記連通部(93)が設けられるとともに、前記下方膨出部(9Bb)には前記連通部(93)より後方側、且つ下方においてラジエータ(45)へ接続されるラジエータ接続部(95)が設けられたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の鞍乗型車両のリザーブタンク構造。 - 前記リザーブタンク(9)を覆うリザーブタンクカバー(100)が備えられ、同リザーブタンクカバー(100)は、前記パワーユニット(3)に取付けられたリヤフェンダ(8)に前記リザーブタンク(9)と共締めされるとともに、
前記リザーブタンクカバー(100)には、前記水量確認用目盛(94)に対応する個所に開口部(101)が設けられたことを特徴とする請求項4に記載の鞍乗型車両のリザーブタンク構造。
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