《1》実施の形態1
《1−1》画像形成装置の構成
図1は、本発明の実施の形態1に係る画像形成装置(画像記録装置)1の内部構造を概略的に示す縦断面図である。画像形成装置1は、例えば、電子写真方式を採用するカラープリンタである。図1に示されるように、画像形成装置1は、主要な構成として、筐体2と、電子写真方式により記録媒体としての用紙P上に現像剤としてのトナーを用いてトナー像を形成する複数の画像形成ユニット3と、画像形成装置1の内部に配置された用紙搬送路4と、用紙Pを収容する給紙カセット5と、露光装置としての光源(例えば、発光素子アレイ)414と、複数の画像形成ユニット3に対向するように配置された複数の転写ローラ6と、画像形成ユニット3から用紙P上に転写されたトナー像を用紙P上に定着させる定着部7とを有する。また、画像形成装置1は、定着部7を通過した用紙Pを画像形成装置1の外部に排出する搬送ローラ8と、画像形成装置1の外部に排出された用紙Pが積載されるスタッカ9と、画像形成ユニット3から排出された廃トナーを収容する廃トナー回収部10とを有する。なお、各図にはxyz直交座標系が示されており、x軸は用紙Pの幅方向(画像形成装置1の奥行き方向であり、現像装置の長手方向である。)を示し、y軸は複数の画像形成ユニット3の配列方向(現像装置の短手方向である。)を示し、z軸は画像形成装置1の高さ方向(重力方向の逆方向である。)を示す。
用紙搬送路4には、給紙カセット5から用紙Pを繰り出す用紙繰り出し部11と、用紙Pの紙厚を検知する用紙検知部12と、給紙カセット5から繰り出された用紙Pを静電効果により転写ベルト13に付着させて搬送するベルトユニット14と、用紙Pを搬送する搬送ローラ15及び16とが配置されている。
複数の画像形成ユニット3の各々は、トナーカートリッジ41から供給されたトナーによって像担持体としての感光体の表面に画像を形成する。複数の画像形成ユニット3は、ベルトユニット14に対向する位置にタンデム配列されている。実施の形態1に係る画像形成装置1においては、4台の画像形成ユニット3が、用紙搬送方向(y方向)に配列されており、複数の画像形成ユニット3の各々には、異なる色のトナーが充填されている。画像形成装置1は、カラー印刷を行うカラープリンタであり、トナーの色は、例えば、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンである。実施の形態1において、複数の画像形成ユニット3の各々は、トナーの色が異なる点以外は、構成及び動作が同じである。このため、画像形成ユニット3に含まれる構成についての説明は、4つの画像形成ユニット3のうちの1つの画像形成ユニット3に基づいて行う。また、実施の形態1に係る画像形成装置1は、4つの画像形成ユニット3を使用するが、画像形成ユニット3の数は4つに限定されず、2つ以上の画像形成ユニットが備えられたカラープリンタ、及び画像形成ユニットが1つであるモノクロプリンタであってもよい。さらに、図1には、画像形成装置1がプリンタである場合が示されているが、本発明は、電子写真方式によって用紙P上に画像を形成する装置であれば、複写機、ファクシミリ装置、又は多機能周辺装置(MFP)のような他の装置にも適用可能である。
《1−2》画像形成ユニットの構成
図2は、実施の形態1に係る画像形成ユニット3の構成を概略的に示す図である。図2に示されるように、画像形成ユニット3の各々は、画像形成ユニット3の筐体としてのフレーム410の内部に、像担持体としての感光体(感光体ドラム)411と、感光体411の表面を清掃するクリーニング部としてのクリーニングブレード412と、感光体411の表面を一様帯電させる帯電部としての帯電ローラ413と、光源414によって感光体411の表面に形成された静電潜像にトナー供給して感光体411の表面上にトナー像を形成する現像装置500とを有する。
感光体411は、回転軸411aを中心にして所定の回転速度で回転可能なようにフレーム410内に支持されている。感光体411の表面は、一様に電荷を貯える(一様帯電する)ことができ、感光体411の表面が露光されることによって、露光された領域の電荷は除去されて静電潜像が形成される。帯電ローラ413は、感光体411の表面に所定の圧力で接触しており、所定の電圧が印加されて感光体411の表面を一様帯電させる。光源414は、感光体411の表面に対向する位置に配置され、感光体411の表面に光を放射して外部から伝達された画像データに基づく静電潜像を形成する。現像装置500は、トナーカートリッジ41から供給されるトナー40を収容する現像剤収容部としてのトナー収容部(「トナー収容室」とも言う。)501と、トナー40を担持する現像剤担持体としての現像ローラ502とを有する。現像ローラ502は、感光体411の表面に形成された静電潜像にトナーを付与して、感光体411の表面にトナー像を形成する。用紙Pが転写ベルト13により転写位置まで搬送されて、電圧が印加された転写ローラ6により、感光体411の表面に形成されたトナー像が、用紙P上に転写される。クリーニングブレード412は、先端が弾性体で形成されたエッジ部を有し、このエッジ部が感光体411の表面に一定の圧力で接触していることにより、感光体411の表面に残った残トナーを掻き取って感光体411の表面を清掃する。
図2に示されるように、現像装置500において、トナーカートリッジ41から供給されたトナー40を現像ローラ502に供給するためのトナー供給ローラ503を配置してもよい。この場合、トナー供給ローラ503は、現像ローラ502に一定の圧力で接触するように配置されることが望ましい。また、現像装置500において、現像ローラ502上に担持されたトナー40の厚さを規制する現像ブレード504をさらに配置してもよい。この場合、現像ブレード504は、感光体411の表面に一定の圧力で接触するように配置されることが望ましい。
トナー40を収納したトナーカートリッジ41は、現像装置500の上部に配置され、トナーカートリッジ41と現像装置500とがトナー搬送路44を介して連結される。トナーカートリッジ41に充填されたトナー40は、トナー搬送路44を介して現像装置500のトナー収容部501内に供給される。
《1−3》現像装置の構成
図3(a)は、実施の形態1に係る画像形成ユニット3の長手方向における一端側から見た画像形成ユニット3の外観斜視図であり、図3(b)は、実施の形態1に係る画像形成ユニット3の長手方向における他端側から見た画像形成ユニット3の外観斜視図である。画像形成ユニット3は、筐体としてのフレーム410を有し、フレーム410の内部に感光体411、帯電ローラ413、現像装置500、及びクリーニングブレード412等の構成要素が配置されている。
図4は、実施の形態1に係る画像形成ユニット3の内部構造を概略的に示す断面図である。図4に示されるように、画像形成ユニット3は、用紙Pにトナー像を転写した後の感光体411の表面を除電する除電装置415と、クリーニングブレード412により掻き取った感光体411上の残トナーを回収して廃トナー回収部10に向けて送り出す廃トナー搬送部材としての廃トナー搬送スパイラル416とをさらに備えてもよい。廃トナー搬送スパイラル416としては、例えば、コイルスプリング状の部材を用いることができる。
図4に示されるように、現像装置500は、現像剤供給口としてのトナー供給口505を有する現像剤収容部としてのトナー収容部501と、現像剤案内部材としてのトナー案内部材506と、第1の現像剤搬送部材である第1のトナー搬送部材(第1のトナー搬送スパイラル)507と、第2の現像剤搬送部材である第2のトナー搬送部材(第2のトナー搬送スパイラル)508と、現像剤担持体としての現像ローラ502とを有する。また、現像装置500は、トナー収容部501内に、現像剤量検知部としてのトナー量検知部材509、現像剤撹拌部材としてのトナー撹拌部材510、現像剤供給部材としての1又は複数のトナー供給ローラ503、及び現像ブレード504をさらに有してもよい。また、トナー案内部材506、第1のトナー搬送部材507、及び第2のトナー搬送部材508は、トナー収容部501内においてトナーを搬送するトナー搬送手段511を構成する。
現像ローラ502は、第2のトナー搬送部材508の下方に回転軸502aを中心にして回転可能にトナー収容部501に支持される。現像ローラ502は、その回転軸502aが、トナー案内部材506の長手方向、第1のトナー搬送部材507の回転軸、及び第2のトナー搬送部材508の回転軸と平行になるように、配置されている。また、図4に示されるように、現像装置500内に、トナー収容部501に収容されたトナー40の量を検知する現像剤量検知部としてのトナー量検知部材509をさらに配置してもよい。トナー量検知部材509を用いる場合、第2のトナー搬送部材508は、例えば、図4に示されるように、トナー量検知部材509の下側(トナー量検知部材509の検出可能範囲の最も低い位置よりも下側)に配置されることが望ましい。このような配置とすることで、少なくとも第2のトナー搬送部材508の周囲からトナー40がなくなる前に、撹拌部材(図2における41a)を動作させてトナーカートリッジ41からトナーを補給することができるので、第2のトナー搬送部材508は、トナー40の中で動作し続けて補給されてからの時間が短い新しいトナーとトナー収容部501内に滞留している時間が比較的長い古いトナーとを効率的に混ぜ続けることができる。
トナー案内部材506は、上部に開口部506aを有し、開口部506aの開口量はトナー供給口505に対向する現像剤供給位置としてのトナー供給位置から最も離れた位置(x軸に平行な方向に最も離れた位置)で最大である。第1のトナー搬送部材507は、トナー供給口505及び開口部506aを介して供給されトナー案内部材506上に堆積したトナーを、トナー案内部材506の長手方向(x軸に平行な方向)であってトナー供給位置から遠ざかる方向に搬送して、開口部506aから排出させる。第2のトナー搬送部材508は、開口部506aから排出されてトナー収容部501内に堆積するトナーを、第1のトナー搬送部材507によるトナーの搬送方向の反対方向に搬送する。現像ローラ502は、トナー収容部501内に堆積しているトナーをトナー収容部501の外部の感光体411の表面に供給する。
図5は、実施の形態1に係る現像装置500のトナー搬送手段511を概略的に示す斜視図であり、図6は、トナー搬送手段511を概略的に示す正面図である。図7は、現像装置500のトナー案内部材506と第1のトナー搬送部材507とを概略的に示す正面図であり、図8は、現像装置500のトナー案内部材506を概略的に示す斜視図である。図9(a)から(c)は、図8に示されるトナー案内部材506の断面を概略的に示す断面図である。図19(a)から(c)は、図7に示されるトナー案内部材506と第1のトナー搬送部材507を概略的に示す断面図である。
図5に示されるように、トナー供給口505は、トナー収容部501の外枠の頂部において、トナー案内部材506及び第1のトナー搬送部材507の長手方向の略中央位置に対向するように形成されている。すなわち、トナー案内部材506及び第1のトナー搬送部材507は、トナー供給口505の真下に配置されている。第2のトナー搬送部材508は、トナー案内部材506及び第1のトナー搬送部材507の下方において第1のトナー搬送部材507と並行になるように配置されている。このとき、第2のトナー搬送部材508の少なくとも一部がトナー案内部材506からトナー40が排出される位置の真下に位置するように、第2のトナー搬送部材508が配置されることが望ましい。トナー供給口505は、トナー供給口505の上部に配置されたトナーカートリッジ41と連係しており、現像装置500にトナー40が補充される際、トナーカートリッジ41から送り出されるトナー40がトナー供給口505を介してトナー案内部材506及び第1のトナー搬送部材507の上部に落下することによりトナー40が供給される。
図5に示されるように、第1のトナー搬送部材507は、回転軸507aと、この回転軸の周囲に形成された螺旋構造の羽根を持つスパイラル部507bとを有し、トナー案内部材506の上方で、一定の回転速度で回転する。第1のトナー搬送部材507は、図5に示される矢印D1方向に回転する。第1のトナー搬送部材507のスパイラル部507bは、螺旋構造の羽根が第1のトナー搬送部材507の中央位置を基準面にして長手方向に対称となるように形成されている。また、第1のトナー搬送部材507のスパイラル部507bは、第1のトナー搬送部材507が矢印D1方向に回転した場合に、第1のトナー搬送部材507の長手方向における略中央に集まったトナー40を長手方向における両端に向けて搬送させるように形成された螺旋構造の羽根を有する。したがって、第1のトナー搬送部材507は、矢印D1方向に回転することにより、第1のトナー搬送部材507の長手方向における略中央付近に供給されたトナー40を、現像装置500の長手方向の両端に向けて搬送することができる。
図5から図9に示されるように、トナー案内部材506は、長手方向の一端から他端にわたって開口部506aを有する。開口部506aは、長手方向における形状が長手方向の略中央位置を基準として対称になるように形成されている。開口部506aの開口量は、トナー案内部材506の長手方向(x方向)の位置に応じて異なる。開口量は、図9(a)から(c)に示される、角度θで表すことができる。図5から図9に示されるように、実施の形態1において、トナー供給位置は、トナー案内部材506の長手方向の略中央位置であり、トナー案内部材506の長手方向の中央位置で、開口部506aの開口量θは最小であり(図9(a))、トナー案内部材506の長手方向の両端位置付近で、開口部506aの開口量θは最大である(図9(c))。開口量θは、半円筒状のトナー案内部材506の軸線を中心点とした場合における開口部506aの広がり角で表すことができる。ただし、開口量の表し方は、角度θに限らず、以下に示すように、壁部532の高さで表してもよい。
図8及び図9(a)から(c)に示されるように、トナー案内部材506は、長手方向(図8における矢印G1方向及び矢印G2方向)にトナーを案内する底部531と、底部531に立設する壁部532とを有する。壁部532は、トナー案内部材506の長手方向の中央位置を含む第1の領域に配置された、最も高い上辺を持つ第1の部分5061と、トナー案内部材506の長手方向の第1の領域の両側に配置された、2番目に高い上辺を持つ第2の部分5062とを有する。また、壁部532は、トナー案内部材506の長手方向の第2の領域の両側に配置された、3番目に高い上辺を持つ第3の部分5063をさらに有してもよい。第3の部分5063の上辺は、トナー案内部材506の長手方向の両端に近づくほど低くなるように傾斜していることが望ましい。実施の形態1においては、トナー案内部材506の長手方向における略中央位置に形成された第1の開口部506a1と、トナー案内部材506におけるトナー搬送方向の下流側において第1の開口部506a1と隣接するように形成される第2の開口部506a2と、トナー案内部材506におけるトナー搬送方向の下流側において第2の開口部506a2と隣接するように形成される第3の開口部506a3と、トナー案内部材506におけるトナー搬送方向の下流側において第3の開口部506a3と隣接するように形成される第4の開口部506a4とを有する。第2の開口部506a2は、トナー案内部材506の長手方向において第1の開口部506a1の両側に形成され、第1の開口部506a1と第2の開口部506a2との隣接部分において第2の開口部506a2の開口の方を第1の開口部506a1の開口よりも大きくする段差が形成されている。第3の開口部506a3は、トナー案内部材506の両端部近傍において、トナー供給口505から遠ざかるにつれて開口が大きくなるように形成されている。これを言い換えると、第3の開口部506a3は、トナー案内部材506におけるトナー搬送方向の上流側から下流側にかけて開口が広がるように形成されている。第4の開口部506a4は、第1のトナー搬送部材507の下面半分程度が開口するように形成されている。なお、本明細書において、第4の開口部506a4は、現像剤排出部ともいう。トナー案内部材506の第1の部分5061は、第1の開口部506a1の開口量θを規制し、トナー案内部材506の第2の部分5062は、第2の開口部506a2の開口量θを規制し、トナー案内部材506の第3の部分5063は、第3の開口部506a3の開口量θを規制し、トナー案内部材506の第4の部分5064は、第4の開口部506a4の開口量θを規制している。
図5から図7に示されるように、第1のトナー搬送部材507は、回転軸507aと、螺旋構造の羽根を持つスパイラル部507bとを有する。スパイラル部507bは、トナー供給位置にあるトナー供給口505から供給されたトナーをトナー案内部材506の長手方向の一方の端部に向けてトナー案内部材506上のトナーを搬送する第1の搬送部としての第1のスパイラル部507b1と、トナー供給位置にあるトナー供給口505から供給されたトナーをトナー案内部材506の長手方向の他方の端部に向けて搬送する第2の搬送部としての第2のスパイラル部507b2とを含む。図5の例では、第1のスパイラル部507b1は、長手方向に平行な回転軸507aを持ち、第1の巻き方向の螺旋構造を持ち、第2のスパイラル部507b2は、長手方向に平行な回転軸507aを持ち、第1の巻き方向と反対方向の第2の巻き方向の螺旋構造を持ち、第1のスパイラル部507b1と第2のスパイラル部507b2とは、トナー供給位置で同軸的に接続される。
図6に示されるように、トナー案内部材506の第3の開口部506a3と第4の開口部506a4との接続(境界)の位置s1は、第1のトナー搬送部材507の長手方向におけるスパイラル部507bの端部における羽根の位置s2よりもトナー案内部材506におけるトナー搬送方向の上流側(トナー案内部材506の長手方向における中央側)に配置されるように構成されている。これにより、トナー案内部材506の長手方向両端側に搬送されたトナー40をすべてトナー収容部501の内部へ送り込む(実施の形態1においては、落下させる)ことができる。同様に、トナー案内部材506の第3の開口部506a3と第4の開口部506a4との接続(境界)の位置s1は、第2のトナー搬送部材508の長手方向における端部に形成された羽根の位置よりも内側(第2のトナー搬送部材508の長手方向における中央側)となるように、トナー案内部材506の壁部532及び開口部506aが形成されている。
第1のトナー搬送部材507の回転軸507aが水平方向と平行となるように、第1のトナー搬送部材507及びトナー案内部材506が現像装置500内に配置された場合において、図9(a)に示されるように、第1の開口部506a1の開口の位置(壁部5061の上端)は、第1のトナー搬送部材507の回転中心(回転軸507a)の位置よりも高く、図9(b)に示されるように、第2の開口部506a2の開口の位置(壁部5062の上端)は、第1のトナー搬送部材507の回転中心(回転軸507a)の位置と同じであり、図9(c)に示されるように、第4の開口部506a4の端部は、第1のトナー搬送部材507の回転中心(回転軸507a)の鉛直下方の位置近傍であるように、それぞれ形成されている。
図10は、現像装置500の第2のトナー搬送部材508(トナー収容部内に取り付けられた状態)を概略的に示す正面図であり、図11は、現像装置500の第2のトナー搬送部材508を概略的に示す正面図である。図10及び図11に示されるように、第2のトナー搬送部材508は、回転軸508aと、螺旋構造に形成された羽根を持つスパイラル部508bとを有する。スパイラル部508bは、トナー収容部501内に堆積しているトナーを、トナー案内部材506の長手方向の一方の端部に対向する位置からトナー供給位置に対向する中央位置に向けて搬送する第3の搬送部としての第3のスパイラル部508b1と、トナー収容部内に堆積しているトナーを、トナー案内部材506の長手方向の他方の端部に対向する位置からトナー供給位置に対向する中央位置に向けて搬送する第4の搬送部としての第4のスパイラル部508b2とを含む。第3のスパイラル部508b1は、長手方向に平行な回転軸508aを持ち、第3の巻き方向の螺旋構造を持ち、第4のスパイラル部508b2は、長手方向に平行な回転軸508aを持ち、第3の巻き方向の反対の第4の巻き方向の螺旋構造を持つ。第3のスパイラル部508b1と第4のスパイラル部508b2とは、トナー供給位置に対向する位置で同軸的に接続されている。
図10及び図11に示されるように、第2のトナー搬送部材508は、回転軸508aと、回転軸508aの周囲に形成された螺旋構造の羽根を持つスパイラル部508bとを有し、現像装置500内において一定の速度で回転される。第2のトナー搬送部材508は、図5に示される矢印D2方向に回転する。第2のトナー搬送部材508のスパイラル部508bは、螺旋構造の羽根が第2のトナー搬送部材508の中央位置を基準面にして長手方向に対称となるように形成されている。また、第2のトナー搬送部材508のスパイラル部508bは、第2のトナー搬送部材508が矢印D2方向に回転した場合に、第2のトナー搬送部材508の長手方向における両端側に集まったトナー40を長手方向における略中央へ向けて搬送させるように形成された螺旋構造の羽根を有する。したがって、第2のトナー搬送部材508が矢印D2方向に回転することにより、第2のトナー搬送部材508の長手方向における両端側に搬送されたトナー40を、第1のトナー搬送部材507によるトナー40の搬送方向とは逆の方向(第2のトナー搬送部材508の長手方向における中央)に向けて搬送することができる。現像ローラ502の長手方向における中央部を、第2のトナー搬送部材508の長手方向における中央部と概ね一致するようにし、互いを平行に配置させることで、現像ローラ502の端部側付近に収容されているトナー40を中央側に搬送させて現像ローラ502の長手方向において新しいトナーと古いトナーを効率的に混ぜることができる。なお、第2のトナー搬送部材508の回転方向は、矢印D2方向に限られず、第1のトナー搬送部材507による長手方向におけるトナー40の搬送方向とは反対の方向にトナー40を搬送できるように、スパイラル部508bの螺旋構造に応じて設定すればよい。
図12は、実施の形態1に係る現像装置500のトナー搬送手段511による主要なトナー搬送方向を示す図である。図12に矢印G1及び矢印G2で示されるように、トナー供給口505及び開口部506aを通してトナーカートリッジ41から供給されたトナーは、トナー案内部材506に案内されながら、回転する第1のトナー搬送部材507によって、トナー供給位置である長手方向の中央位置から長手方向の両端位置に向けて搬送され、長手方向の両端位置に近い位置で排出されてトナー収容部501内に堆積する。図12に矢印G3及び矢印G4で示されるように、トナー収容部501内に堆積したトナーは、回転する第2のトナー搬送部材508によって、長手方向の両端位置から中央位置に向けて搬送される。
図13は、実施の形態1に係る現像装置500内における第1のトナー搬送部材507に備えられたトナー撹拌部材601を概略的に示す斜視図である。図14(a)は、実施の形態1に係る第1のトナー搬送部材507にトナー撹拌部材601を取り付けた状態を示す図であり、図14(b)は、第1のトナー搬送部材507にトナー撹拌部材601が取り付けられた領域C1を示す拡大図である。また、図15(a)及び(b)は、実施の形態1に係る現像装置500内の第1のトナー搬送部材507に備えられたトナー撹拌部材601の回転動作を示す図である。図13、図14(a)及び(b)、図15に示されるように、第1のトナー搬送部材507には、トナー供給口505と対向する位置にトナー撹拌部材601が取り付けられており、第1のトナー搬送部材507と一体となって第1のトナー搬送部材507の回転に伴ってトナー撹拌部材601も回転する。トナー撹拌部材601は可撓性を持っており、例えば、厚さ0.1mmのポリエステルフィルムにより構成される。第1のトナー搬送部材507が回転すると、トナー撹拌部材601の先端付近が画像形成ユニット3の内壁及びトナー案内部材506の内壁と当接し、トナー撹拌部材601全体が撓みながら回転する。
図14(b)に示されるように、第1のトナー搬送部材507には、後述する取付部507eが形成されており、この取付部507eには、第1のトナー搬送部材507の長手方向において交互に第1の固定部507c及び第2の固定部507dが形成されている。第1の固定部507c及び第2の固定部507dは、例えば、取付部507eの表面から突出したフック形状を持つように形成される。また、トナー撹拌部材601には、第1の固定部507cに係合させるための開口穴601aが形成されている。トナー撹拌部材601は、開口穴601aと第1の固定部507cとが係合し、トナー撹拌部材601の端部と第2の固定部507dとが係合することにより、取付部507eに固定される。
図14(b)に示されるように、トナー撹拌部材601の開口穴601aからトナー撹拌部材601の先端部に向けて切り込み601bを形成してもよい。トナー撹拌部材601が切り込み601bを有することで、トナー撹拌部材601の周囲にトナー40が比較的多く堆積した場合であっても、第1のトナー搬送部材507の回転負荷を軽減することができる。
図16(a)は、図14(a)に示される第1のトナー搬送部材507からトナー撹拌部材601を取り外した状態において図14(a)に示される矢印E1方向に見た第1のトナー搬送部材507の外観を示す図である。図16(b)は、(a)に示される領域C2を拡大して示す図である。図16(a)に示されるように、第1のトナー搬送部材507には、取付部507eが形成されている。取付部507eは、第1のトナー搬送部材507の回転軸507aに沿って板状に形成されている。取付部507eの中央部に形成されている平行面507fは、第1のトナー搬送部材507の回転軸507aに平行な面である。平行面507fの長手方向における両側には、第1のトナー搬送部材507の回転軸507aに対して傾斜している傾斜面507gが形成されている。傾斜面507gは、平行面507fから所定の角度傾いた角度R1〔度〕を有するように、平行面507fの両側において平行面507fを基準として長手方向において対称となるように傾いている。例えば、実施の形態1では、傾斜面507gの傾斜角R1〔度〕の角度は5度である。
図16(b)に示されるように、第1の固定部507c及び第2の固定部507dは、取付部507eの平行面507f及び傾斜面507gに形成されている。平行面507f及び傾斜面507gに形成されている第1の固定部507c及び第2の固定部507dの内、傾斜面507gに形成されている第1の固定部507c及び第2の固定部507dは、平行面507fの両側の傾斜に沿って形成されている。したがって、取付部507eに取り付けられたトナー撹拌部材601は、平行面507f両側の傾斜に沿った形状を有する。図16(b)に示されるように、傾斜面507gは、平行面507fから5度傾斜しているので、取付部507eに取り付けられたトナー撹拌部材601は、長手方向における両側の部分が5度傾斜した形状を有する。
図17は、トナー量検知部材509を示す斜視図である。トナー量検知部材509は、回転軸509aと、回転軸509aの周囲に板状に形成された回転体(撹拌部)509bが取付けられた回転体であり、回転体509bが最下点から最上点(回転頂点)までは駆動部から駆動力を得て回転させられ、最上点から最下点までは自重で落下する。トナー量検知部材509は、回転体509bが回転頂点から自重落下する際、第2のトナー搬送部材508から遠ざかる方向に回転する。現像装置500のトナー収容部501内のトナー40が少なくなると、トナー量検知部材509は自重落下をし始め、その落下位置をセンサによって検知することで、トナー40の量を検知し、トナー収容部501内のトナー40の量が少なくなったことを判断する。トナー量検知部材509が、トナー収容部501内のトナー40の量が所定の量以下になったことを検知した場合、トナーカートリッジ41が作動し、現像装置500にトナー40が供給される。トナー40が所定の量まで補充されたことをトナー量検知部材509が検知すると、トナーカートリッジ41の動作が停止する。
図18は、実施の形態1に係る画像形成装置1の制御系の構成を概略的に示すブロック図である。図18に示されるように、画像形成装置1は、制御系の構成として、トナー量検知部材509の位置を検出することによってトナー収容部501内に堆積するトナーの量を検出するトナー量検出部701と、用紙検知部12と、画像形成ユニット3、搬送ローラ、及びトナーカートリッジ41内の撹拌部材などを駆動させる駆動機構に駆動力を与えるモータなどの駆動部702と、外部装置から受信する信号及びトナー量検出部701の検出結果などに基づいて駆動部702の動作を制御する制御部703とを有している。
《1−4》画像形成装置の動作
次に、画像形成装置1の動作を図1に基づいて説明する。コンピュータ等の外部装置から画像形成装置1に印刷開始の命令が送られると、画像形成装置1による画像形成動作が実行される。まず、用紙Pは、給紙カセット5から繰り出され、搬送ローラ15及び16により搬送され、転写ベルト13によって用紙搬送路4において搬送される。また、用紙搬送路4の搬送経路の途中に配置された用紙検知部12により、用紙Pの厚さが検知される。また、外部装置から入力された画像データに基づく露光によって、画像形成ユニット3の感光体411の表面に静電潜像が形成され、現像装置500による現像によって静電潜像に基づくトナー像が形成される。用紙Pが画像形成ユニット3に対向する位置まで搬送されると、転写ローラ6によりトナー像が用紙P上に転写される。実施の形態1に係る画像形成装置1のように、複数の画像形成ユニット3が用いられている場合、用紙Pは、ベルトユニット14により搬送されて、順次各色のトナー像が各画像形成ユニット3の位置において転写ローラ6により用紙Pに転写される。各画像形成ユニット3の位置においてトナー像が転写された用紙Pは、定着部7へ搬送されて、定着部7により用紙P上にトナー像が加熱及び加圧されて定着される。トナー像が定着された用紙Pは、搬送ローラ8により画像形成装置1の外部へ排出されてスタッカ9上に載置される。
《1−5》画像形成ユニットの動作
次に、画像形成ユニット3の動作を図2及び図4に基づいて説明する。コンピュータ等の外部装置から印刷命令が画像形成装置1の制御部703(図18)に入力されると、画像形成装置1の駆動部702(図18)に連結された感光体411、現像ローラ502、トナー供給ローラ503が回転駆動をする。帯電ローラ413には所定の電圧が印加されて、感光体411の表面を一様に帯電させる。光源414は、印刷命令とともに入力された画像データに基づいて、一様に帯電された感光体411の表面上に静電潜像を形成する。トナー供給ローラ503は、現像ローラ502にトナー40を供給し、トナー40は現像ローラ502の表面で担持される。現像ローラ502に担持されたトナー40は、現像ブレード504により一定の層厚に規制される。現像ローラ502には所定の電圧が印加されており、現像ローラ502は、静電潜像が形成された感光体411の表面にトナー40を付着させて、感光体411上にトナー像を形成させる。感光体411上に現像されたトナー像は、所定の電圧が印加された転写ローラ6によって用紙Pに転写される。用紙Pに転写されずに感光体411の表面に残った残留トナー40は、クリーニングブレード412により掻き取られて、感光体411の表面から除去される。掻き取られたトナー40は、廃トナー搬送スパイラル416などによって廃トナー回収部10へ搬送される。クリーニングブレード412による感光体411の表面のクリーニング後、感光体411の表面に静電潜像が形成された箇所とその他の箇所との電気的な差(電位差)を均一にするために、除電装置415(図4)は、感光体411上に光を出射して感光体411の表面を全て除電する。その後、再び、帯電ローラ413は、感光体411の表面を一様に帯電させる。各画像形成ユニット3においてこのプロセスを繰り返して用紙Pにトナー像を形成する。
《1−6》現像装置の動作
次に、現像装置500のトナー搬送手段511の動作について説明する。現像装置500にトナー40が補給される場合、トナーカートリッジ41からトナー搬送路44、トナー供給口505及び開口部506aを介して、トナー案内部材506上にトナー40が送り込まれる。図5に示されるように、トナー案内部材506及び第1のトナー搬送部材507の上方にトナー供給口505が配置されているので、トナー供給口505を通過したトナー40は、そのままトナー案内部材506及び第1のトナー搬送部材507上に落下する。このとき、トナー供給口505がトナー案内部材506及び第1のトナー搬送部材507の長手方向における略中央部に対向する位置に配置されているので、供給されるトナー40は、トナー案内部材506及び第1のトナー搬送部材507の長手方向における略中央付近に堆積する。
第1のトナー搬送部材507及び第2のトナー搬送部材508は、駆動機構にそれぞれ連結されており、モータなどの駆動部(図18の702)から受け取った駆動力によって、画像形成動作中はそれぞれ矢印D1方向及び矢印D2方向(図5)に回転する。したがって、図12に矢印G1、G2で示されるように、第1のトナー搬送部材507上に堆積したトナー40は、第1のトナー搬送部材507の回転動作によって、トナー案内部材506の内壁に沿ってトナー案内部材506の長手方向の両端に向かって搬送される。トナー案内部材506及び第1のトナー搬送部材507は、トナー供給口505の長手方向における中央に対応する位置を基準面としてトナー案内部材506の長手方向に対称であるので、トナー供給口505から落下したトナー40をトナー案内部材506の両端へ向けてバランスよく搬送させることができる。
仮に、トナー案内部材506のトナー供給口505周辺付近が密閉されている場合、トナー案内部材506及び第1のトナー搬送部材507上に極端に多くのトナー40が堆積すると、第1のトナー搬送部材507の回転が妨げられる場合がある。一方、実施の形態1におけるトナー案内部材506は、トナー案内部材506の長手方向の一端側から他端側にわたって開口部506aを有しているため、トナー供給口505から送り込まれたトナー40がトナー案内部材506の内部において凝集することなく、開口部506aから適度にトナー案内部材506の外部へ排出される。すなわち、トナー供給口505から供給されたトナー40の量が極端に多くなった場合に、トナー案内部材506の開口部506aからトナー40が溢れて、現像装置500のトナー収容部501内にトナー40が排出されることで、トナー案内部材506の内部の圧力を逃がし、トナー40が凝集することを防止することができる。したがって、実施の形態1におけるトナー案内部材506により、第1のトナー搬送部材507の回転動作をスムーズに行わせることができるので、トナー案内部材506及び第1のトナー搬送部材507上に堆積したトナー40を、トナー案内部材506の両端へ良好に搬送させることができる。
また、実施の形態1におけるトナー案内部材506は、第1のトナー搬送部材507の周辺部におけるトナー40の空洞化を防止している。具体的には、図6に示されるように、トナー案内部材506においてトナー供給口505付近と対向する領域は、トナー40の堆積量が多くなるため、開口部506aの内、第1の開口部506a1の開口量は、最も小さくなるように壁部532が第1の部分5061のように高く形成されている。これにより、第1の開口部506a1から溢れ出るトナー40の量が多くならないようにしている。また、図6に示されるように、第2の開口部506a2は、トナー供給口505が配置されている側から第1のトナー搬送部材507の回転中心(回転軸507a)と同じ高さの位置にかけて開口するように(壁部532の第2の部分5062の上辺が回転軸507aと同じ高さになるように)形成されている。これにより、第1のトナー搬送部材507の回転中心の高さよりも高い位置に堆積されたトナー40は、第2の開口部506a2から溢れ出る。
図19(a)から(c)は、図7に示されるトナー案内部材と第1のトナー搬送部材の断面を概略的に示す断面図である。図19(a)は、図7に示されるトナー供給口505、トナー案内部材506、及び第1のトナー搬送部材507を線分F1−F1で切る断面を示す断面図である。図19(b)及び(c)は、図7に示されるトナー案内部材506及び第1のトナー搬送部材507を線分F2−F2、F3−F3で切る断面をそれぞれ示す断面図である。なお、図19(a)から(c)において、第1のトナー搬送部材507の斜線で示される部分は、回転軸507a及びスパイラル部507bの断面を示す。図20は、第1のトナー搬送部材が回転してトナーがスパイラル部の羽根に接触した際にトナーが羽根から受ける力の方向を示す図である。
図19(a)に示されるように、第1のトナー搬送部材507は、回転軸507aを中心として矢印D1方向に回転する。第1のトナー搬送部材507が回転してトナー40がスパイラル部507bの羽根に接触した際にトナー40が羽根から受ける第1のトナー搬送部材507の半径方向の力は、図20に示されるように、第1のトナー搬送部材507の回転とともにスパイラル部507bの接線方向を向く力Fとして働くようにスパイラル部507bの形状が設定されている。このような第1のトナー搬送部材507を用いた場合、図19(a)から(c)に示される領域R1の範囲でトナー40がスパイラル部507bから受ける力は、他の領域においてトナー40がスパイラル部507bから受ける力よりも大きい。したがって、この領域R1の範囲に対応する第1のトナー搬送部材507に対向する部分にトナー案内部材506があれば、トナー40は、第1のトナー搬送部材507から力Fを受けるとともに、トナー案内部材506に案内されて、トナー案内部材506の長手方向における両端に向かって安定的に搬送される。なお、図19(a)から(c)において領域R1は、第1のトナー搬送部材507の回転軸507aの中心を通る、鉛直方向の直線t1及び水平方向の直線t2で区分けされて示される領域である。
図19(b)に示されるように、トナー案内部材506の底部から上方に向けて形成される第2の部分5062の高さは、第1のトナー搬送部材507の回転中心(回転軸507a)を通る水平方向の直線t2と同じ高さになるように形成されている。したがって、第2の部分5062が形成されている領域に対応する第2の開口部506a2は、第1のトナー搬送部材507の上方から第1のトナー搬送部材507の回転中心を通る水平方向の直線t2と同じ高さの位置まで開口するように形成されている。第2の部分5062以上の高さまでトナー40が増えた場合は、トナー40が第2の開口部506a2から溢れ出ることで、トナー案内部材506の内部の圧力を逃がしてトナー40が凝集することを防止することができる。
図6に示されるように、第3の壁部5063は、画像形成ユニット3の長手方向における両端部近傍に、トナー供給口505から遠ざかるにつれてトナー案内部材506の壁部532の高さが低くなる傾斜を有するように形成されている。すなわち、第3の壁部5063は、トナー案内部材506におけるトナー搬送方向の上流側から下流側にかけて壁部532の高さが低くなる傾斜を有するように形成されている。したがって、第3の壁部5063が形成されている領域に対応する第3の開口部506a3は、トナー案内部材506におけるトナー搬送方向の上流側から下流側にかけて開口が広がるように形成されている。このように形成することにより、傾斜している部分の範囲で、トナー40の量が多い上流側から下流側にかけて第3の壁部5063の上方から溢れ出るトナー40を傾斜に合わせて徐々に現像装置500の内部へ送り込むことができる。これにより、第1のトナー搬送部材507によって積極的に両端に搬送されたトナー40の量がトナー案内部材506の長手方向における両端付近で極端に増えることによりトナー40が凝集することを防止することができる。
図19(c)に示されるように、トナー案内部材506は、第3の開口部506a3の長手方向における下流側に現像剤排出部としての第4の開口部506a4を有する。第4の開口部506a4は、第1のトナー搬送部材507の下面半分程度が開口するように形成されている。言い換えると、第4の開口部506a4は、第1のトナー搬送部材507の下半分における回転方向の下流側に対応する部分が開口するように形成されている。これにより、第1のトナー搬送部材507によって積極的に両端に搬送されたトナー40が、トナー案内部材506から排出されやすくなるので、第1のトナー搬送部材507の長手方向両端付近において回転軸507a周辺にトナー40が詰まることを防止できる。
図21(a)及び(b)は、現像装置500の内部を長手方向の一端側から他端側の方向に見た場合のトナー40の量の変化及び堆積状態を示す図である。図22(a)から(c)は、現像装置500にトナー量検知部材509を配置した場合における現像装置500の内部を長手方向の一端側から他端側の方向に見たときのトナー40の量の変化及び堆積状態を示す図である。
図12に示されるように、トナー案内部材506の開口部506aを介して現像装置500の内部に送り込まれたトナー40は、第2のトナー搬送部材508により現像装置500の長手方向における中央に向かって搬送される。このとき、図10に示されるように、第2のトナー搬送部材508のスパイラル部508bの端部における羽根の位置k1が、トナー案内部材506の第3の開口部506a3と第4の開口部506a4の接続(境界)の位置s1よりも、トナー案内部材506におけるトナー搬送方向の下流側に配置されるようにしているため、トナー案内部材506から送り込まれたトナー40を確実に受け取り、搬送することができる。第2のトナー搬送部材508により搬送されたトナー40は、現像装置500の長手方向における中央で山状に堆積する。このとき、図21(a)及び(b)に示されるように、トナー量検知部材509のような回転部材がない場合、トナー40の量が多い状態(図21(a))からトナー40の量が少なくなるにつれて、第2のトナー搬送部材508により搬送されたトナー40は、図12及び図21(b)のような山状に堆積したままとなり、中央部近傍でトナー40が凝集し、現像装置500内でトナー40の堆積が不均一になる場合がある。一方、図22(a)から(c)に示されるように、現像装置500にトナー量検知部材509を配置した場合、第2のトナー搬送部材508は、トナー量検知部材509の下側にあるため、常にトナー40の中でトナー40を搬送し続ける(図22(a))。そのため、第2のトナー搬送部材508により搬送されたトナー40は、現像装置500の長手方向における中央で山状に堆積するが(図22(b))、トナー量検知部材509が第2のトナー搬送部材508の上側にあり、その回転動作により、山状に堆積したトナー40を崩し続けることで、現像装置500内で搬送されるトナー40を均一に均すことができる(図22(c))。
実施の形態1に係る画像形成ユニット3は、長手方向の略中央を印刷領域の中央とするため、現像ローラ502の長手方向における略中央に存在するトナー40の使用量が多くなり、現像ローラ502の長手方向における両端部付近に存在するトナー40の使用量が少ない傾向にある。そのため、現像装置500の長手方向における両端部付近に存在するトナー40は、使用されずに現像装置500内に停滞し続け、劣化する場合がある。そこで、実施の形態1に係る画像形成ユニット3に備えられた現像装置500では、トナー案内部材506から画像形成ユニット3両端部へトナー40を供給することで、現像装置500の長手方向における両端部付近に停滞したトナー40とトナーカートリッジ41から新しく送り込まれたトナー40とを混ぜることができる。さらに、第2のトナー搬送部材508は、現像装置500の長手方向における両端部付近に停滞したトナー40を現像装置500の長手方向における中央に向けて搬送することで、トナー40が現像装置500の長手方向における両端に停滞することを回避し、現像装置500内のトナー40の状態を均一化させている。これにより、用紙Pへの画像形成時において、画像形成ユニット3の長手方向における画像濃度変動の発生を抑え、安定した印刷を可能とする。
次に、トナー量検知部材509の動作について説明する。図23(a)及び(b)は、現像装置500内のトナー40が少ない場合におけるトナー量検知部材509の動作を示す断面図である。図24(a)及び(b)は、現像装置500内にトナー40が十分に多い場合におけるトナー量検知部材509の動作を示す断面図である。
図23(a)及び(b)に示されるように、現像装置500内にトナー40が少ない場合、トナー量検知部材509は、回転軸509aを回転中心として、回転体509bが回転頂点(図23(a))から自重落下する(図23(b))。一方、トナー40が現像装置500内に十分に満たされている場合、図24(a)に示されるように、回転体509bが回転頂点まで回転してもトナー40が周囲に存在することにより回転体509bの自重落下動作が妨げられ、図24(b)に示されるように、トナー40の量の変化とともに回転体509bが緩やかに回転する。このようなトナー量検知部材509の回転動作の変化をセンサにより検知し、トナー量を検出している。
図4、図23(a)及び(b)、並びに図24(a)及び(b)に示されるように、トナー量検知部材509の回転体509bは、回転頂点からの回転方向(自重落下方向)が、第2のトナー搬送部材508から遠ざかる方向に設定されている。すなわち、回転体509bを最下点から最上点(回転頂点)までの間は駆動力を与えて回転させることにより、第2のトナー搬送部材508により搬送されて現像装置500の長手方向の中央部に山状に堆積したトナー40を、回転体509bが自重落下する前に崩し、かつ、次々に中央部に搬送されて山状に堆積するトナー40の影響を回避することで、安定的なトナー量検知が可能となる。
トナーカートリッジ41からトナー供給口505にトナー40が送り込まれ続けると、第1のトナー搬送部材507による搬送が間に合わず、トナー案内部材506上のトナー供給口505付近にトナー40が凝集する場合がある。一方、図15(a)及び(b)に示されるように、第1のトナー搬送部材507にトナー撹拌部材601が取付けられている場合、トナー撹拌部材601は、第1のトナー搬送部材507と一体に回転する。トナー撹拌部材601は、可撓性を有しているので、図15(b)に示されるように、トナー撹拌部材601が回転する際、トナー撹拌部材601の先端付近が現像装置500の内壁及びトナー案内部材506の内壁と当接してトナー撹拌部材601全体が撓みながら回転する。トナー撹拌部材601が撓みながら回転することで、トナー供給口505から送り込まれたトナー40をトナー撹拌部材601によりほぐし続けることができるので、トナー40の凝集を回避でき、第1のトナー搬送部材507によりトナー40を安定して搬送し、現像装置500の内部まで送り込むことができる。さらに、実施の形態1に係るトナー撹拌部材601は、トナー供給口505の近傍に配置されているので、トナー40が多く堆積して凝集しやすい位置において効率よく撹拌することができる。
トナー撹拌部材601を取り付ける取付部507eは、第1のトナー搬送部材507の回転軸507aに対して傾斜し、平行面507fから軸方向に向かって角度を有した傾斜面507gを有する。トナー撹拌部材601は、取付部507eに形成された第1の固定部507c及び第2の固定部507dと係合することで保持されている。そのため、トナー撹拌部材601が第1のトナー搬送部材507とともに回転する際、トナー撹拌部材601は、傾斜面507gの傾斜に沿った形状を維持しながら回転する。トナー撹拌部材601の長手方向における両側が傾斜して回転することで、トナー40を傾斜面507gによりトナー案内部材506の長手方向両端側へ送り出すことを容易にする。よって、トナー撹拌部材601を取り付けた第1のトナー搬送部材507を用いた場合、トナー撹拌部材601がトナー供給口505周辺に凝集したトナー40をほぐし、トナー撹拌部材601でほぐされたトナー40を第1のトナー搬送部材507のスパイラル部507bによりトナー案内部材506の長手方向両端の方向へ容易に搬送することができる。
《1−7》実施の形態1の効果
以上に説明したように、実施の形態1に係る現像装置500においては、トナー案内部材506及び第1のトナー搬送部材507により現像剤供給位置(例えば、中央位置)から現像ローラ502の長手方向の両端側にトナーを搬送して、トナー収容部内に排出させる。このため、新たに供給されたトナーは、トナー収容部内の長手方向の両端部付近に堆積する。第2のトナー搬送部材508は、現像ローラ502の長手方向の両端付近に堆積したトナーを中央に送ることで、現像装置500内の古いトナーと新しいトナーとを長手方向において混合することができ、現像ローラ502により現像される感光体411の長手方向での画像濃度を均一化することができる。
また、実施の形態1に係る現像装置500においては、トナー撹拌部材601が取り付けられた第1のトナー搬送部材507を用いた場合、トナー供給口505周辺のトナー40をほぐしながら、トナー案内部材506の長手方向両端に向けてトナー40を搬送できるので、トナー40の供給不足によるカスレの発生を防ぐことができる。
さらに、実施の形態1に係る現像装置500においては、自重落下を利用したトナー量検知部材509の回転頂上からの落下方向を第2のトナー搬送部材508から遠ざかる方向に落下させるように設定することで、第2のトナー搬送部材508の長手方向中央で山状に堆積するトナー40を崩し、かつ、安定的なトナー量検知を可能とする。
《1−8》変形例
図25は、本発明の実施の形態1の変形例に係る画像形成ユニット52の内部構成を示す断面図である。図25において図4に示される画像形成ユニット3における構成要素と同一又は対応する構成要素には、図4に示される構成要素と同一の符号を付している。図25に示される画像形成ユニット52は、トナーカートリッジ41とトナー供給口505との間にトナー搬送路44を備えていない点で、図4に示される画像形成ユニット3と異なるが、その他の構成は、画像形成ユニット3と同様に構成することができる。すなわち、トナーカートリッジ41とトナー供給口505との間にトナー搬送路44が無い画像形成ユニット52においても、上記で説明した画像形成ユニット3の動作と同様の動作を実現することができる。
《2》実施の形態2
上記実施の形態1においては、トナー収容部501のトナー供給口505が現像装置500の長手方向の略中央位置に備えられ、且つ、トナー案内部材506の開口部506aの開口量が現像装置500の長手方向の略中央位置で最小になり、両端位置で最大になる場合を説明した。実施の形態2においては、トナー収容部801のトナー供給口805が現像装置の長手方向の中央位置よりも一方の端部に近い基準位置に備えられ、且つ、トナー案内部材806の開口部806aの開口量が現像装置の長手方向のトナー供給口805に向かい合う位置で最小になり、他方の端部位置で最大になる場合を説明する。
図26は、本発明の実施の形態2に係る現像装置内のトナー搬送手段811を概略的に示す正面図である。図26に示されるように、実施の形態2に係る現像装置は、現像剤供給口としてのトナー供給口805を有する現像剤収容部としてのトナー収容部801と、現像剤案内部材としてのトナー案内部材806と、第1の現像剤搬送部材である第1のトナー搬送部材(第1のトナー搬送スパイラル)807と、第2の現像剤搬送部材である第2のトナー搬送部材(第2のトナー搬送スパイラル)808とを有する。図26に示されるように、実施の形態2において、トナー供給位置は、トナー案内部材806の長手方向の中央位置よりも一方の端部に近い基準位置であり、トナー案内部材806の長手方向の基準位置で、開口部806aの開口量は最小であり、トナー案内部材806の長手方向の他方の端部位置で、開口部の開口量は最大である。
図27は、実施の形態2に係る現像装置内におけるトナー搬送手段によるトナー搬送方向を示す図である。図27に示されるように、トナー案内部材806は、長手方向(図26における矢印G21方向)にトナーを案内する底部831と、底部831に立設する壁部832とを有する。壁部832は、トナー案内部材806の長手方向のトナー供給位置を含む第1の領域に配置された、最も高い上辺を持つ第1の部分8061と、トナー案内部材806の長手方向の第1の領域の隣に配置された、2番目に高い上辺を持つ第2の部分8062とを有する。また、壁部832は、トナー案内部材806の長手方向の第2の領域の他方の端部側に配置された、3番目に高い上辺を持つ第3の部分8063をさらに有してもよい。第3の部分8063の上辺は、トナー案内部材806の長手方向の他方の端部に近づくほど低くなるように傾斜していることが望ましい。なお、第3の部分8063に隣接する第4の部分8064は、現像剤排出部ともいう。トナー案内部材806の第1の部分8061は、第1の開口部の開口量θを規制し、トナー案内部材806の第2の部分8062は、第2の開口部の開口量θを規制し、トナー案内部材806の第3の部分8063は、第3の開口部の開口量θを規制し、トナー案内部材806の第4の部分8064は、第4の開口部の開口量θを規制している。
図26及び図27に示されるように、第1のトナー搬送部材807は、トナー供給位置にあるトナー供給口805から供給されたトナーをトナー案内部材806の長手方向の一方の端部から他方の端部に向けて(矢印G21方向に)トナー案内部材806上のトナーを搬送する第1の搬送部としての第1のスパイラル部807bを含む。この例では、第1のスパイラル部807bは、長手方向に平行な回転軸807aと、この回転軸807aの周囲に形成された螺旋構造の羽根を持つ。第2のトナー搬送部材808は、トナー案内部材806から供給されたトナーを長手方向の他方の端部から一方の端部であるトナー供給位置に対向する位置に向けて(矢印G22方向に)搬送する第2の搬送部としての第2のスパイラル部808bを含む。第2のスパイラル部808bは、長手方向に平行な回転軸808aと、この回転軸808aの周囲に形成された螺旋構造の羽根を持つ。
実施の形態2に係る現像装置においては、トナー案内部材806及び第1のトナー搬送部材807により現像剤供給位置から現像装置の長手方向の一方の端部から他方の端部に向けてトナーを搬送して、トナー収容部801内に排出させる。このため、新たに供給されたトナーは、トナー収容部内の長手方向の他方の端部付近に堆積する。第2のトナー搬送部材808は、現像装置の長手方向の一方の端部付近に堆積したトナーを他方の端部に向けて搬送することで、現像装置内の古いトナーと新しいトナーとを長手方向において混合することができ、現像ローラにより現像される感光体の長手方向での画像濃度を均一化することができる。なお、実施の形態2において、上記以外の点は、実施の形態1の場合と同じである。
《3》実施の形態3
上記実施の形態1及び2においては、トナー収容部501,801のトナー供給口505,805の位置に応じて、第2のトナー搬送部材508,808によるトナーの搬送方向が決められていたが、実施の形態3に係る現像装置においては、感光体の長手方向(軸方向)、すなわち、現像装置の長手方向における印刷領域の基準位置(印刷基準位置)に応じて、第2のトナー搬送部材508又は808のいずれかを採用する。一般に、感光体の長手方向の中心位置を印刷基準位置としている画像形成装置(実施の形態1と同様の装置)においては、現像装置の長手方向の両端付近におけるトナーの使用量が少なくなり、感光体の長手方向の一方の端部位置を印刷基準位置としている画像形成装置(実施の形態2と同様の装置)においては、現像装置の長手方向の他方の端部付近におけるトナーの使用量が少なくなる。したがって、第2のトナー搬送部材によるトナーの搬送方向を、印刷基準位置から最も遠い位置から印刷基準位置に向かう方向とすることによって、トナー収容部内に堆積しているトナーの撹拌を効率的に行うことが可能である。なお、実施の形態3においては、トナー収容部内のトナーの撹拌性能は、実施の形態1及び2の場合よりも低下するが、第1のトナー搬送部材によるトナー搬送方向と、第2のトナー搬送部材によるトナー搬送方向とを関連付ける必要がない。