JP6215896B2 - 車両構造 - Google Patents

Description

本発明は、車両構造に関する。

特許文献１には、チャンバが車幅方向内側へ所定量移動した際に、相互に係合するストッパ係合部を車両床下とチャンバとにそれぞれ設け、チャンバの過大な移動を抑制する車両構造が開示されている。

特開２００８−２７４８１２号公報

ところで、従来の車両構造として、バッテリや燃料タンク等のエネルギーストレージを車幅方向中央に配置し、かつ、エネルギーストレージに対して車幅方向外側にチャンバを配置する車両構造が知られている。

当該車両構造に特許文献１のストッパ係合部を適用した場合、側突時にチャンバが車幅方向内側へ所定量移動すると、車両床下とチャンバのストッパ係合部が相互に係合して、チャンバのそれ以上の移動が抑制されることになるが、係合するまではチャンバがエネルギーストレージに向かって変位してしまう。

本発明は、前記の点に鑑みてなされたものであり、側突時におけるチャンバとエネルギーストレージとの干渉を抑制することができる車両構造を提供することを課題とする。

前記課題を解決するために、本発明に係る車両構造は、エネルギーストレージと、前記エネルギーストレージに対して車幅方向外側に配置され、車両の機関からの排出ガスを車外へ排出する排気管の途中に設けられたチャンバと、車幅方向において前記エネルギーストレージと前記チャンバとの間に配置され、車両前後方向に延びるサイドフレームと、前記チャンバに対して車幅方向外側に配置されるサイドシルと、を備えている。前記チャンバと前記サイドフレームとの間には、下方へ向かうほど車幅方向内側に位置するように傾斜し、下端部が前記エネルギーストレージの下端部よりも下方に位置するスライダー部材が配置されている。

本発明によれば、チャンバとサイドフレームとの間にスライダー部材が配置されているため、側突時にチャンバが車幅方向内側へ移動すると、サイドフレーム及びエネルギーストレージよりも先にスライダー部材に当たる。このとき、スライダー部材が下方へ向かうほど車幅方向内側に位置するように傾斜し、スライダー部材の下端部がエネルギーストレージの下端部よりも下方に位置するため、チャンバがスライダー部材に沿って誘導されてエネルギーストレージよりも下方に落下する。そのため、側突時におけるチャンバとエネルギーストレージとの干渉を抑制することができる。

また、前記チャンバは、前記サイドフレームの下壁に連結する連結部を有しており、前記連結部には、前記チャンバと前記サイドフレームとを締結する締結部材が挿通される挿通部が上下方向に貫通していることが好ましい。この場合、前記挿通部は、車幅方向外側に開口するとよい。

このようにすると、通常時には締結部材によりチャンバとサイドフレームとを連結することができる。一方、側突時にはチャンバがサイドフレームに対して車幅方向内側へ相対移動すると、挿通部から車幅方向外側の開口を通って締結部材が抜けて、チャンバとサイドフレームとの締結が容易に外れる。そのため、チャンバの落下を適切に誘導することができる。

また、前記スライダー部材は、前記サイドフレームの車幅方向外側の側壁と下壁とに固定されていることが好ましい。

このようにすると、サイドフレームに固定されたスライダー部材の強度が向上するため、スライダー部材に沿ったチャンバの落下を適切に誘導することができる。

また、前記エネルギーストレージを下方から覆うカバー部材を備えることが好ましい。この場合、前記カバー部材は、前記スライダー部材の下側部位と車幅方向で対向する位置に配置するとよい。

このようにすると、チャンバがスライダー部材に沿って落下する際に、カバー部材によりスライダー部材の下側部位を車幅方向内側から好適に支えることができる。そのため、チャンバの落下を適切に誘導することができる。

本発明に係る車両構造によれば、側突時におけるチャンバとエネルギーストレージとの干渉を抑制することができる。

本実施形態に係る車両構造を具備する自動車の底面図である。 図１のＩＩ−ＩＩ断面図である。 図１のチャンバ付近を拡大して示した底面図である。 図１のスライダー部材付近を左斜め後方から見上げた斜視図である。 図４のＶ−Ｖ断面図である。 側突時の車両構造の状態を示す断面図であり、（ａ）は衝突前、（ｂ）は衝突後にチャンバとスライダー部材が当たった状態、（ｃ）は衝突後にチャンバが落下している状態を示す。

本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
なお、本実施形態では、本発明の車両構造を燃料電池自動車に適用する場合を例にして説明するが、本発明の車両構造の用途を限定する趣旨ではない。方向を説明する際は、運転者からみた前後左右上下に基づいて説明する。また、「車幅方向」は「左右方向」と同義である。

図１に示すように、実施形態に係る車両構造１を具備する自動車Ｖは、フロアパネル２の下方に、バッテリ１０と、前後二つの水素タンク２０，２０と、カバー部材３０と、左右一対のサイドフレーム４０，４０と、左右一対のサイドシル５０，５０と、排気管６０と、チャンバ７０と、スライダー部材８０と、を備えている。なお、図１では、スライダー部材８０をドットハッチングで表している。

バッテリ１０及び水素タンク２０，２０は、いずれも車幅方向中央に配置されていて、車両前方からこの順序で設けられている。バッテリ１０及び車両前方の水素タンク２０は、フロントタイヤ３とリヤタイヤ４との間に位置している。車両後方の水素タンク２０は、リヤタイヤ４と車幅方向で対応する位置に設けられている。

バッテリ１０は、自動車Ｖの前部に設けられた動力源装置室５に搭載される図示せぬ駆動モータに電力を供給する機器である。バッテリ１０は、特許請求の範囲における「エネルギーストレージ」に相当する。

水素タンク２０，２０は、水素ガス（燃料ガス）を貯留する中空容器である。水素タンク２０，２０は、長さ方向を車幅方向に指向させた状態で設置されている。

図２に示すように、カバー部材３０は、バッテリ１０を下方から覆う金属製部材である。カバー部材３０は、所定形状に折り曲げて形成した複数枚の金属板を組み合わせて形成されている。カバー部材３０は、前後方向及び車幅方向に延在している。カバー部材３０の車幅方向外側の端部３１は、バッテリ１０よりも車幅方向外側に延びていて、サイドフレーム４０の下方まで達している。カバー部材３０の車幅方向外側の端部３１は、上下方向に延在する固定具３２を介してサイドフレーム４０の下壁４１に固定されている。カバー部材３０の車幅方向外側の端部３１は、スライダー部材８０の下側部位８０Ｂと車幅方向で対向する位置に設けられている。下側部位８０Ｂとは、下端部８０Ａを含むスライダー部材８０の所定範囲の領域を意味する。カバー部材３０の車幅方向外側の端部３１は、バッテリ１０の下端部１０Ａよりも下方であって、かつ、スライダー部材８０の下端部８０Ａよりも上方又は下端部８０Ａと同一高さ位置に設けられていればよい。

サイドフレーム４０は、前後方向に沿って延在する金属製部材である。サイドフレーム４０は、バッテリ１０に対して車幅方向外側に配置されている。サイドフレーム４０は、鉛直断面視で上方に開口して下方に凸となる溝形状（ハット形状）に形成されている。サイドフレーム４０は、車幅方向及び前後方向に延在する下壁４１と、下壁４１の左右端部から上方かつ外向きにそれぞれ延出する左側壁４２及び右側壁４３と、左側壁４２及び右側壁４３の上端部から外向きかつ略水平にそれぞれ延出するフランジ４４，４４と、を有している。フランジ４４，４４は、フロアパネル２の下面に溶接で固定されている。

なお、フロアパネル２は、左右のサイドシル５０，５０同士の間に架設されている。図２に示すフロアパネル２は、フロアパネルロア２ａと、フロアパネルロア２ａに対して上方に離間して配置されたフロアパネルアッパ２ｂとで構成されている。

サイドシル５０は、前後方向に沿って延在する金属製部材である。サイドシル５０は、サイドフレーム４０に対して車幅方向外側に配置されている。サイドシル５０は、中空形状（実施形態では略四角筒状）を呈する。サイドシル５０は、車内側のサイドシルインナパネル５１と、車外側のサイドシルアウタパネル５２とで構成されている。サイドシルインナパネル５１は、鉛直断面視で車外側に開口して車内側に凸となる溝形状（ハット形状）に形成されている。サイドシルアウタパネル５２は、鉛直断面視で車内側に開口して車外側に凸となる溝形状（ハット形状）に形成されている。

排気管６０は、図示せぬ燃料電池システムから排出されたオフガス（アノードオフガス及びカソードオフガス）を車外へ排出する金属製部材である。燃料電池システムは、特許請求の範囲における「車両の機関」に相当する。排気管６０は、円筒状のパイプ材から成る。図１に示す排気管６０は、前後方向に延在していて、動力源装置室５内から自動車Ｖの後端まで延びている。排気管６０の前端部から中間部に至る部位は、バッテリ１０の前方を横切った後、バッテリ１０の左側方を通って車両後方へと延びている。排気管６０は、バッテリ１０の左側方において、サイドフレーム４０とサイドシル５０との間に配置されている。なお、排気管６０は、バッテリ１０の右側方に配置されてもよい。この場合には、チャンバ７０とスライダー部材８０もバッテリ１０の右側方に配置される。

チャンバ７０は、排気管６０の前後方向の途中において、排気管６０の外周を取り囲んで設けられている。チャンバ７０は、排気音を低減する機能を有している。図２に示すように、チャンバ７０は、バッテリ１０及びサイドフレーム４０に対して車幅方向外側に配置されている。チャンバ７０は、サイドシル５０に対して車幅方向内側に配置されている。つまり、チャンバ７０は、サイドフレーム４０とサイドシル５０との間に配置されている。図２に示すチャンバ７０の外形形状は、鉛直断面視で角部が丸みを帯びた三角形状を呈する。

図３に示すように、チャンバ７０は、サイドフレーム４０に連結するための連結部７１を有している。連結部７１は、チャンバ７０の後端部から車内側へ向けて突出した後、車両前方へと突出している。すなわち、連結部７１は、底面視Ｌ字状の突出片から成る。連結部７１は、スライダー部材８０の下端部８０Ａの下方を通ってサイドフレーム４０の下壁４１に達している。連結部７１は、サイドフレーム４０の下壁４１に下方から当接してボルトＢで固定されている。挿通部７２は、スライダー部材８０の取付部８３に対して車両後方に離間して配置されている。

連結部７１には、ボルトＢが挿通される挿通部７２が形成されている。挿通部７２は、上下両側及び車幅方向外側に開口する貫通孔である。換言すると、挿通部７２は、底面視円形状の貫通孔の車幅方向外側を開口して形成されている。このため、側突時にサイドフレーム４０に対してチャンバ７０が車幅方向内側へ相対移動すると、連結部７１も車幅方向内側へ相対移動する（図３の二点鎖線参照）。これにより、挿通部７２から車幅方向外側の開口を通ってボルトＢが抜けて、チャンバ７０とサイドフレーム４０との締結が外れた状態となる。

図２に示すように、スライダー部材８０は、前後方向及び上下方向に延在する金属製部材である。スライダー部材８０は、一枚の金属板を所定形状に折り曲げて形成されている。スライダー部材８０は、チャンバ７０と、サイドフレーム４０及びカバー部材３０との間に配置されている。スライダー部材８０は、下方へ向かうほど車幅方向内側に位置するように傾斜している。スライダー部材８０の下端部８０Ａは、バッテリ１０の下端部１０Ａよりも下方に位置している。

ここで、図４及び図５を参照して、スライダー部材８０とサイドフレーム４０との固定構造について説明する。図４では、説明の便宜上、排気管６０及びチャンバ７０を省略して描いている。図４に示すように、スライダー部材８０には、凸部８１と凹部８２とが前後方向に交互に複数形成されている。凸部８１と凹部８２は、上下方向及び前後方向に延在している。スライダー部材８０の前端部及び中間部付近にある２つの凸部８１，８１は、サイドフレーム４０の左側壁４２にブラケットＢＫ，ＢＫ（図５参照）を介してボルトＢ，Ｂでそれぞれ固定されている。なお、スライダー部材８０におけるボルトＢの締結位置は適宜変更してもよく、スライダー部材８０をサイドフレーム４０に直接ボルトＢで締結してもよい。

図５に示すように、凸部８１は、車内側の面が凸状となり車外側の面が凹状となっている。凹部８２は、車内側の面が凹状となり車外側の面が凸状となっている。凸部８１は、サイドフレーム４０の左側壁４２に車外側から当接している。凹部８２は、サイドフレーム４０の左側壁４２に対して車外側に離間している。なお、凸部８１がサイドフレーム４０の左側壁４２に対して近接する（車外側に若干離間する）態様でもよい。

図４及び図５に示すように、スライダー部材８０の下端部８０Ａの中間部付近には、取付部８３がサイドフレーム４０へ向けて車幅方向内側に延出している。取付部８３は、外形形状がＵ字状に形成された舌状の突出片から成る。取付部８３は、サイドフレーム４０の下壁４１に下方から当接してボルトＢで固定されている。

次に、図６を参照して、本実施形態に係る車両構造１の側突時の動作について説明する。図６では、説明の便宜上、ブラケットＢＫ及びボルトＢを省略して描いている。

図６（ａ）に示すように、側突前の状態では、チャンバ７０は、スライダー部材８０に対して車幅方向外側に離間して配置されている。

図６（ｂ）に示すように、自動車Ｖが側突すると、チャンバ７０は、サイドシル５０の変形に伴って車幅方向内側へ移動する。このとき、チャンバ７０とサイドフレーム４０との間には、スライダー部材８０が配置されているため、チャンバ７０は、サイドフレーム４０及びバッテリ１０よりも先にスライダー部材８０に当たる。

チャンバ７０の移動により衝突荷重がスライダー部材８０に作用すると、スライダー部材８０が変形して、下側部位８０Ｂがカバー部材３０の車幅方向外側の端部３１に当たる。

また、図６（ｃ）に示すように、スライダー部材８０は、下方へ向かうほど車幅方向内側に位置するように傾斜しているため、チャンバ７０がスライダー部材８０に沿って斜め下方に誘導される。

そして、スライダー部材８０の下端部８０Ａは、バッテリ１０の下端部１０Ａよりも下方に位置するため、最終的にはチャンバ７０がバッテリ１０よりも下方に落下する。

次に、本実施形態に係る車両構造１の作用効果について説明する。

本実施形態に係る車両構造１によれば、チャンバ７０は、スライダー部材８０に沿って誘導されてバッテリ１０よりも下方に落下するため、側突時におけるチャンバ７０とバッテリ１０との干渉を抑制することができる。

また、本実施形態によれば、通常時にはボルトＢによりチャンバ７０とサイドフレーム４０とを連結することができる。
一方、側突時には、チャンバ７０の挿通部７２は車幅方向外側に開口しているため、チャンバ７０がサイドフレーム４０に対して車幅方向内側へ相対移動すると、挿通部７２から車幅方向外側の開口を通ってボルトＢが抜けて、チャンバ７０とサイドフレーム４０との締結が容易に外れる。そのため、チャンバ７０の落下を適切に誘導することができる。

また、本実施形態によれば、スライダー部材８０は、サイドフレーム４０の左側壁４２と下壁４１とに固定されているため、サイドフレーム４０に固定されたスライダー部材８０の強度が向上する。そのため、スライダー部材８０に沿ったチャンバ７０の落下を適切に誘導することができる。

また、本実施形態によれば、カバー部材３０は、スライダー部材８０の下側部位８０Ｂと車幅方向で対向する位置に配置されているため、チャンバ７０がスライダー部材８０に沿って落下する際に、カバー部材３０によりスライダー部材８０の下側部位８０Ｂを車幅方向内側から好適に支えることができる。そのため、チャンバ７０の落下を適切に誘導することができる。

以上、本実施形態に係る車両構造１について、図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。

本実施形態では、燃料電池自動車に適用する場合を例示したが、例えばガソリンエンジン車等の場合にも本発明を適用することができる。ガソリンエンジン車に適用する場合には、内燃機関（エンジン）が特許請求の範囲における「車両の機関」に相当し、排気管６０は、内燃機関からの排気ガスを車外へ排出することになる。また、燃料タンクが特許請求の範囲における「エネルギーストレージ」に相当し、チャンバ７０と燃料タンクとの間にスライダー部材８０が配置されることになる。

Ｖ 自動車（車両）
１ 車両構造
１０ バッテリ（エネルギーストレージ）
１０Ａ 下端部
３０ カバー部材
４０ サイドフレーム
４１ 下壁
４２ 左側壁
４３ 右側壁
４５ 連結部
４６ 挿通部
６０ 排気管
７０ チャンバ
８０ スライダー部材
８０Ａ 下端部
８０Ｂ 下側部位
８１ 凸部
８３ 取付部
Ｂ ボルト（締結部材）

Claims (4)

1. エネルギーストレージと、
   前記エネルギーストレージに対して車幅方向外側に配置され、車両の機関からの排出ガスを車外へ排出する排気管の途中に設けられたチャンバと、
   車幅方向において前記エネルギーストレージと前記チャンバとの間に配置され、車両前後方向に延びるサイドフレームと、
   前記チャンバに対して車幅方向外側に配置されるサイドシルと、
   を備えた車両構造であって、
   前記チャンバと前記サイドフレームとの間には、下方へ向かうほど車幅方向内側に位置するように傾斜し、下端部が前記エネルギーストレージの下端部よりも下方に位置するスライダー部材が配置されていることを特徴とする車両構造。
2. 前記チャンバは、前記サイドフレームの下壁に連結する連結部を有しており、
   前記連結部には、前記チャンバと前記サイドフレームとを締結する締結部材が挿通される挿通部が上下方向に貫通しており、
   前記挿通部は、車幅方向外側に開口していることを特徴とする請求項１に記載の車両構造。
3. 前記スライダー部材は、前記サイドフレームの車幅方向外側の側壁と下壁とに固定されていることを特徴とする請求項１又は請求項２に記載の車両構造。
4. 前記エネルギーストレージを下方から覆うカバー部材を備えており、
   前記カバー部材は、前記スライダー部材の下側部位と車幅方向で対向する位置に配置されていることを特徴とする請求項１乃至請求項３のいずれか一項に記載の車両構造。

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