JP6215325B2 - 断熱的ニトロ化によるニトロベンゼンの製造方法 - Google Patents

断熱的ニトロ化によるニトロベンゼンの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、化学量論的に過剰のベンゼンを使用し、硫酸と硝酸との混合物を用いてベンゼンをニトロ化することによる、ニトロベンゼンを製造するための連続的断熱方法であって、循環している硫酸中の有機化合物の含有量が常に、製造プラントの少なくとも始動期間の間に、循環している硫酸の総質量に対して1.0重量%未満に維持される、方法を提供する。これは、好ましくは、製造サイクルの終了後または開始前に、循環している硫酸が高温で循環されるので、硫酸中に含まれる、好ましくはニトロベンゼンおよび痕跡量のベンゼン、ジニトロベンゼンおよびニトロフェノールを含む有機化合物が蒸発装置中で分離され、硫酸を濃縮する手順により、達成される。
本発明は、硫酸と硝酸との混合物(いわゆる混酸)により、ベンゼンを断熱的にニトロ化することにより、ニトロベンゼンを連続的に製造する方法に関連する。この種の方法は、米国特許第2,256,999号に最初に特許権請求され、より近代的な実施態様では、米国特許第4,091,042号、第5,313,009号および第5,763,697号に記載されている。
上記文献に記載されている断熱的方法に共通しているのは、出発材料であるベンゼンおよび硝酸が大過剰の硫酸中で反応し、反応中に放出される反応熱および形成される水を吸収することである。
反応手順には、一般的に硝酸および硫酸を組み合わせ、いわゆる「硝化酸」(混酸とも呼ばれる)を形成することが含まれる。ベンゼンは、この硝化酸中に計量供給される。反応生成物は、実質的に水とニトロベンゼンである。ニトロ化反応では、ベンゼンは、硝酸のモル量に対して、少なくとも化学量論的量で使用されるが、好ましくは2%〜10%過剰で使用される。現状技術水準では、反応装置中で形成され、相分離装置中で酸相から分離される粗製ニトロベンゼンは、例えば欧州特許出願公開第1816117A1号(2頁、26〜42行目)、米国特許第4,091,042号(上記参照)または米国特許第5,763,697号(上記参照)に記載されているように、洗浄および蒸留による精製が実施される。この精製の特徴は、洗浄後、未反応の過剰ベンゼンが、最終蒸留でニトロベンゼンから分離され、低沸点の非芳香族有機化合物(いわゆる低沸点画分)も含む循環使用ベンゼンとしてニトロ化反応で再使用されることである(独国特許出願公開第102009005324A1号参照)。断熱的ニトロ化反応から出る排ガスの処理は、欧州特許第0976718B1号に記載されている。酸回路および最終粗製ニトロベンゼンの排ガスは、吸引され、組み合わされ、NOx吸収装置を通して送られ、希釈された硝酸を回収し、反応に戻される。循環酸と呼ばれる硫酸は、フラッシュ蒸発装置中で濃縮され、有機物質が可能な限り取り除かれる。ニトロベンゼン、ジニトロベンゼンおよびニトロフェノール等の高沸点有機物質およびベンゼンは、循環酸中に極微量が残存し、従って、やはり反応に戻される。
断熱的ニトロ化反応から出る排ガスは、欧州特許第0976718B1号に記載されているように精製される、即ち、酸回路および最終粗製ニトロベンゼンから出る排ガスは、吸引され、組み合わされ、NOx吸収装置を通して送られ、希釈された硝酸を回収し、その希釈された硝酸は反応に戻されるが、希釈された硝酸を混合することは、出発硝酸の全体的な濃度を下げ、反応速度を遅くするので、この希釈された硝酸は、始動プロセス(製造プラントがシャットダウンから目標負荷になるまでの期間を意味する。詳しくは下記参照。)が終了するまで、反応に戻さないことが推奨されている。
芳香族炭化水素をニトロ化するための断熱方法の品質は、一方で、生成物の、芳香族炭化水素またはニトロ芳香族化合物の複数のニトロ化または酸化により形成される反応の好ましくない副生物の含有量によって決定される。ニトロベンゼンの製造にいける目的は、ジニトロベンゼンおよびニトロフェノール、とりわけ爆薬に区分されるトリニトロフェノール(ピクリン酸)の含有量を最少に抑えることである。他方、断熱的方法の品質は、製造をシャットダウンすること無しに工程を操作できる能力により決定される。
特に高い選択性を有するニトロベンゼンを得るために、使用すべき混酸の性質が詳細に規定されており(欧州特許第0373966B1号、第0436443B1号および第0771783B1号)、最高温度がどの程度高いかによって副生物の含有量が決定されることが指摘されている(欧州特許第0436443B1号、段落15、22〜25行目)。また、高い初期転化率が高選択性にとって有利であり、これは、反応開始時に最適混合が行われることによって達成されることが分かっている(欧州特許第0771783B1号、段落[0014])。
優れた選択性は、初期反応温度を非常に低い選択した場合に達成される(国際公開第2010/051616A1号パンフレット)が、これは反応時間を数倍に増加させることに等しい。高い空時収量が構築すべき反応装置を小型にすることができるので、プロセスの工業的応用にとって有利であるが、これは、容量に対する投資額が低いことからも明らかである。従って、この手法は、非生産的である。
引用した参考文献に共通しているのは、ニトロ化装置の始動方法およびその難点を記載していないことである。
ニトロベンゼンの断熱的製造において補助材料である硫酸の品質に関して、ニトロ化から得られる硫酸中にある金属イオンの含有量が低いと、硫酸の濃度に対して好ましい影響を与えることを、欧州特許出願公開第2070907A1号は記載している。例えば、ベンゼンのニトロ化から得られる反応混合物から水相を分離した後に得られる、硫酸を含む廃酸のフラッシュ蒸発(即ち、膨張に関連する蒸発)において、金属イオンの含有量が低い程、得られる濃縮された硫酸中で、より高い硫酸濃度が達成される。これは、恐らく、廃酸中にある金属イオンの含有量が低い場合、フラッシュ蒸発装置における水の蒸発量が改善されることに起因している。従って、他の点では同一の条件下(廃酸の同じ温度、廃酸の同じ硫酸含有量、フラッシュ蒸発装置における同じ圧力)にあるフラッシュ蒸発において、金属イオン含有量が低い900mg/l未満の廃酸を使用した場合、得られる濃硫酸中のHSOの濃度は0.25%まで高いことが判明している。
欧州特許出願公開第2070907A1号は、硫酸中の金属イオン濃度を低くすることにより、硫酸の沸点が低くなり、それがさらに硫酸を濃縮するのに必要なエネルギーの量を下げることをさらに記載している。
欧州特許出願公開第2070907A1号は、問題の多い金属硫酸塩の堆積物が、熱交換器だけではなくどの地点においても見られ、そこでは、溶解し難い金属硫酸塩を形成する金属イオンの濃度が十分に高く温度が十分に低いと、固体の形成を引き起こし、同時に、硫酸の流量または硫酸パイプラインの断面積が十分に小さいと、金属硫酸塩の蓄積によってプロセスの障害となることをさらに指摘している。従って、金属硫酸塩堆積物は、熱交換器に観察されるのみならず、金属硫酸塩は、タンクの底、水位測定のような測定点、および通常は流れの小さなオリフィスを備えた分散素子上の堆積物としても生じる。同様に、金属硫酸塩堆積は、フラッシュ蒸発装置の内側にも起こり、そこでは、水が蒸発する際に硫酸が通常冷却され、酸の濃度が増加する。その上、反応に続く精製工程、例えば溶出液精製でも、取り込まれた金属硫酸塩のために、金属塩の堆積物が形成される。上記した現状技術水準では、必要な準備がなされており、これらの堆積物により引き起こされる障害を少なくするために、プラントの影響を受ける部分を定期的に洗浄している。しかしながら、洗浄は、製造のシャットダウンおよびそれによって追加コストを伴う。硫酸および硝酸を含む混酸によるベンゼンのニトロ化において、水のフラッシュ蒸発により回収される硫酸を、循環使用される酸として完全に反応区域に循環させず、部分的に除去し、金属イオンの含有量が少ない新しい硫酸により置き換えることにより、析出した金属硫酸塩の固体を除去するための熱交換器および硫酸を運ぶパイプラインの洗浄を行わなくて済む。
欧州特許出願公開第2070907A1号は、とりわけ製造プラントが高負荷で運転される時に、循環する硫酸中に濃縮し得る有機化合物は記載していない。
記載されている先行技術の方法が、副生物の含有量が少ない、即ち約100ppm〜300ppmのジニトロベンゼンおよび1500ppm〜2500ppmのニトロフェノールしか含まず、ピクリン酸が恐らくニトロフェノールの10重量%〜50重量%の比率になる、ニトロベンゼンの製造に成功したのは事実である。この方法は、高い空時収量によっても際立っている。しかしながら、先行技術では、進行中の、即ち反応の開始から目標負荷の達成までの期間(いわゆる「始動期間」)がすでに過ぎている方法のみが記載されているに過ぎず、断熱的ニトロ化方法の始動の際の特別な難点は、全く記載されていない。
米国特許第2,256,999号明細書 米国特許第4,091,042号明細書 米国特許第5,313,009号明細書 米国特許第5,763,697号明細書 欧州特許出願公開第1816117A1号明細書 独国特許出願公開第102009005324A1号明細書 欧州特許第0976718B1号明細書 欧州特許第0373966B1号明細書 欧州特許第0436443B1号明細書 欧州特許第0771783B1号明細書 国際公開第2010/051616A1号パンフレット 欧州特許出願公開第2070907A1号明細書
本発明の出発点は、出発材料または補助材料における不純物、特に使用する循環している硫酸中の不純物が、始動期間の際のプロセスに特に悪影響を及ぼすことを見出したことである。
循環している硫酸中のニトロベンゼン、ジニトロベンゼンおよびニトロフェノール等の有機不純物は、硝酸の総有効濃度を下げる。これは、反応を遅らせることはないが、硝酸濃度の低下により、使用するベンゼンが多すぎる場合がある。これは、この過剰のベンゼンをニトロ化の後で冷却させ、蒸留によりニトロベンゼンから分離する必要があるので、粗製ニトロベンゼンの精製におけるエネルギー消費を増加させる。その上、ベンゼンの追加は、全ての装置における滞留時間を短くし、初期反応を遅くする。ニトロベンゼン等の有機不純物は、硝酸でさらにニトロ化するので、副生物の増加もある。
上記に鑑み、本発明は、反応の重要な始動期間に特に注意を払ったニトロベンゼンの製造方法を提供する。特に、少なくとも始動期間の間、循環している硫酸中の有機化合物の含有量を制限することにより、上記の難点が克服されるか、または少なくとも著しく低減することが判明した。この少なくとも始動期間の間、循環している硫酸中の有機化合物の含有量を制限することは、本発明により提供される種々の方法で達成することができる。
本発明は、特に、ベンゼンのニトロ化によりニトロベンゼンを連続的に製造する方法であって、
a)総質量に対して好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、特に好ましくは少なくとも99重量%のベンゼンを含むベンゼン含有流(a.1)を、反応器中で、硫酸(a.2)および硝酸(a.3)の混合物と断熱条件下で反応させ、この際、ベンゼンを硝酸(a.3)に対して、理論の2.0%〜20%、特に好ましくは5.0%〜10%の化学量論的過剰量で使用し、前記反応器に供給されるベンゼン含有流(a.1)の毎時量M’を、ニトロ化の開始から、M’の予め設定した目標値に達するまでの期間t以内で、増加させ、
b)工程a)で得られた生成物を、相分離装置中で、硫酸を含む水相(b.1)およびニトロベンゼンを含む有機相(b.2)に分離し、
c)工程b)で得られた水相(b.1)を、蒸発装置(いわゆる「フラッシュ蒸発装置」)中で、水の蒸発により濃縮し、(b.1)よりも高い硫酸濃度の硫酸を含む水相(c.1)を形成し、前記相(c.1)を、硫酸タンクを経由して工程a)に循環させて(a.2)の成分として使用し、
d)工程b)で得られた有機相(b.2)を、好ましくは水性媒体で洗浄し、続いて精留することにより、精製して純粋なニトロベンゼン(d.1)を形成すること、
を含んでなり、
少なくとも前記期間tの間、有機化合物の含有量が、前記(a.2)の総質量に対して1.0重量%未満、好ましくは0.50重量%未満、特に好ましくは0.20重量%未満である、硫酸流(a.2)のみが前記反応器に供給される、方法を提供する。
硝酸に対して理論値の2.0%〜20%、好ましくは5.0%〜10%過剰のベンゼンは、ベンゼンおよび硝酸のモル比に関する。理論的には、硝酸1モルは、ベンゼン1モルと反応して、ニトロベンゼン1モルを形成する。
実施例のニトロベンゼンの製造方法を示した工程図である。
この技術の当業者は、稼働していない製造プラント(例えば、保守のために停止した後)から出発して、連続的に稼働する工業プロセスは、製造停止前からのプロセスパラメーターに直ちに戻ることができないことが知られている。出発材料および装置を加熱しなければならず、装置は不活性にする必要がある場合があり、装置の出発材料装填量を望ましい目標値に徐々に増加させる。ニトロベンゼンの製造プラントがx[kg(ベンゼン)/h]の目標装填M’targetで稼働すべきである場合、この目標装填は、例えば、最初にニトロ化の開始時に装填M’を0.25xの値に調節し、次いで4時間かけて装填を、中間段階M’=0.50xおよびM’=0.75xを経由して、値M’=x=M’targetに増加することにより、達成することができる。あるいは、特定の出発値、例えばM’=0.50xから、M’=xに連続的に装填増加させることができる。無論、これらの例は、数多くの可能な始動手順の例を代表しているのであり、その正確な配置は製造プラントの実際条件によって異なり、従って、一般化することはできない。しかし、考えられる全ての始動手順に共通している特徴は、期間tが経過した後にのみ、必要な目標装填xに到達することである。この期間tは、本発明では始動期間と呼ぶことにする。始動期間の間、反応器に連続的に供給される硝酸(a.3)のマスフローは、無論、ベンゼン含有流(a.1)のそれぞれのマスフローに適合する、即ち、始動期間の開始時に、望ましい目標装填M’targetの画分のみが反応器に供給され、硝酸(a.3)も対応する画分のみが反応器に供給される。好ましくは、始動期間tの間、硝酸に対して百分率過剰のベンゼンが、目標装填M’targetに達した後、同様に維持される。硝酸(a.3)と硫酸(a.2)との質量比は、始動期間の間、ベンゼンの目標装填M’targetに達した後の質量比とは異なっていることがあり、特に、より低いことがある。特に、硫酸(a.2)のみを反応器に最初に供給し、硝酸(a.3)とベンゼン含有得流(a.1)とは、硫酸回路の安定した操作状態に達した後にのみ供給するのが好ましい。
本発明によれば、硝酸は、化学量論的量未満で使用されるので、工程a)で得られる粗製反応生成物の水性部分(b.1)は、実質的に希釈された硫酸からなり、これは工程c)で濃縮され、硫酸を循環使用することができる。一般的に、全ての硫酸を循環使用することができるので、工程a)における新しい硫酸の添加は、大きくまたは完全に控えることができ、硫酸流(a.2)は、好ましくは循環使用される硫酸流(c.1)、いわゆる「循環する硫酸流」に対応するが、これは、この流れが繰り返し使用され、そのため反応中に循環されるためである。必要な場合、硫酸の損失分は、工程a)で新しい硫酸を適時に加えることにより補給される。従って、硫酸流(a.2)は、循環する硫酸(c.1)と、使用する場合は加えられた新しい硫酸とから構成される。好ましくは、硫酸(a.2)は、(a.2)の総質量に対して、95重量%〜100重量%の濃硫酸(c.1)を含む。新しい硫酸は、通常、有機化合物を含まないので、本発明の状況では、注意の焦点を循環する硫酸(c.1)に合わせるべきである。この循環している硫酸は、運転中に有機化合物を蓄積させる。現状技術水準から得られる現在の知識によれば、硫酸がいずれかの方法で有機化合物、つまり出発材料のベンゼン、および転化が開始された後、生成物のニトロベンゼンと接触するので、これは問題にはならない筈である。しかし、以下により詳細に説明するように、驚くべきことに、本発明の枠内で、循環している硫酸中にある有機物質の含有量を制限することにより、好ましい影響が得られることが分かった。
本発明の意味における有機化合物は、好ましくはベンゼン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼンの異性体およびニトロフェノールの異性体からなる群から選択され、ニトロベンゼンが特に好ましい。本発明により、循環している硫酸中の有機化合物の含有量を監視しなければならない。この目的には、分析測定が必要である。循環している硫酸を反応への緩衝タンク中で測定し、好ましくは試料を適切な場所で採取し、試料をガスクロマトグラフィーにより分析する。他の分析方法(例えば分光法)、適切であればオンラインまたはインラインも原則的に使用できるが、これらは好ましくない。しかしながら、本発明により有機化合物の含有量の上限値は、一般的にはガスクロマトグラフィーにより測定される。
本発明の枠内における、数えられるパラメーターに関する用語「一つの」は、これが明確に述べられている場合にのみ、数を表すものとする。例えば、「一つの反応器」は、複数の反応器(直列または並列に接続された)の存在を排除するものではない。
本発明にとって、硫酸含有流(a.2)中に含まれる有機化合物(特にニトロベンゼン)の含有量は、少なくとも始動期間tの間における上記の濃度に対応することが不可欠である。この目標は、様々な方法により達成できる。
第一変形においては、製造サイクルの後、即ち、ベンゼン(a.1)および硝酸(a.3)の添加、および製造プラント中にまだ存在する残留物のニトロベンゼンへの完全な転化の後、相分離が相分離装置中で行われ、ベンゼン、ニトロベンゼンおよび有機副生物を含む有機相をそこから除去する。これは、蒸発装置中で除去される有機化合物の絶対量を最少に抑え、循環している酸中に溶解している有機化合物以外の何れの有機化合物も、蒸発装置を通って硫酸タンク中に通過しない。次いで、残りの濃縮された硫酸(c.1)を、反応器、相分離装置、蒸発装置および硫酸タンクを高温で、好ましくは60℃〜140℃、特に好ましくは100℃〜140℃で、反応を停止した後、蒸発装置中の絶対圧力、好ましくは50mbar〜300mbar、より好ましくは70mbar〜100mbar、特に好ましくは80mbar〜90mbarで、循環している硫酸流(c.1)中の有機化合物の必要な最大含有量が、それぞれの場合、循環している硫酸(c.1)の総質量に対して1.0重量%未満、好ましくは0.50重量%未満、特に好ましくは0.20重量%未満に達するまで、循環させる。有機化合物は気相中に入り、蒸発装置から吸引される。循環している硫酸(c.1)から、有機化合物、特にニトロベンゼンの除去を促進するために、少量の水(好ましくは、循環している硫酸(c.1)の総質量に対して0.1重量%〜2重量%)を硫酸に加えることができる。ここで使用する水は、好ましくは脱塩水、より好ましくは脱塩水と蒸気凝縮液(即ち、水といずれかの発熱プロセス工程との間の熱交換により得た水蒸気の凝縮液)、特に好ましくは蒸気凝縮液である。反応を再び出発させる場合、硫酸タンクから出る硫酸(c.1)を、所望により新しい硫酸を加えた後、反応器に流れ(a.2)として供給する。新しい硫酸には有機化合物が全く含まないか、影響のない程度の極微量しか含まないので、これは、流れ(a.2)中の有機化合物の最大含有量に関する本発明の必要条件を十分に長い時間、即ち、少なくとも始動期間の間は、確実に満たす。従って、本発明は、特にベンゼン含有流(a.1)および硝酸(a.3)の添加を停止することにより連続反応を中断し、反応器中に存在する残留硝酸をニトロベンゼンに完全に転化した後、有機相(b.2)を相分離装置から除去した後、および(b.1)を(c.1)に濃縮した後、残留する硫酸含有相(c.1)を反応器、相分離装置、蒸発装置および硫酸タンクを通して、60℃〜140℃、好ましくは100℃〜140℃の温度で、蒸発装置中の絶対圧力を好ましくは50mbar〜300mbar、より好ましくは70mbar〜100mbar、特に好ましくは80mbar〜90mbarで、(c.1)中の有機化合物の含有量が、それぞれの場合、硫酸含有相(c.1)の総質量に対して、1.0重量%未満、好ましくは0.50重量%未満、特に好ましくは0.20重量%未満に達するまで、循環させ、そのように精製した硫酸含有相(c.1)を、次の製造サイクルにおける(a.2)の成分として使用する、方法を提供する。
第二変形では、新しい製造サイクル開始の前、即ち、ベンゼン(a.1)および硝酸(a.3)の添加前に、最後の製造サイクルからまだ残っている濃縮された硫酸(c.1)を、反応器、相分離装置、蒸発装置および硫酸タンクを通して、高温で、好ましくは60℃〜140℃、より好ましくは80℃〜120℃で、特に好ましくは90℃〜110℃で、蒸発装置中の絶対圧力を好ましくは50mbar〜300mbar、より好ましくは70mbar〜100mbar、特に好ましくは80mbar〜90mbarに調節して、循環している硫酸流(c.1)中の有機化合物の必要な最大含有量が、それぞれの場合、循環している硫酸(c.1)の総質量に対して、1.0重量%未満、好ましくは0.50重量%未満、特に好ましくは0.20重量%未満に達するまで、循環させる。有機化合物は気相中に入り、蒸発装置から吸引される。反応を再び開始する時、硫酸タンクの硫酸(c.1)を、所望により新しい硫酸を加えた後、反応器中に流れ(a.2)として供給する。新しい硫酸は有機化合物を全く含まないか、影響を与えない程度の極微量しか含まないため、これは、流れ(a.2)中の有機化合物の最大含有量に関する本発明の必要条件を十分に長い時間、即ち、少なくとも始動期間の間は、確実に満たす。従って、本発明は、特に、新しい製造サイクルの開始前に運転していない製造プラントから開始し、即ち、ベンゼン含有流(a.1)および硝酸(a.3)の添加を開始する前に、前の製造サイクルから未だ残存している硫酸含有相(c.1)を、反応器、相分離装置、蒸発装置および硫酸タンクを通して、温度60℃〜140℃、好ましくは80℃〜120℃、特に好ましくは90℃〜110℃で、(c.1)中の有機化合物の含有量が、それぞれの場合、硫酸含有相(c.1)の総質量に対して、1.0重量%未満、好ましくは0.50重量%未満、特に好ましくは0.20重量%未満になるまで、循環させ、そのように精製した硫酸含有相(c.1)を、新しい製造サイクルにおける(a.2)の成分として使用する、方法も提供する。
従って、二つの変形は、循環している硫酸が、回路を通してポンプ輸送され、高温で(「煎じられる」)時点が異なっている。第二変形は、好ましくは、ニトロ化装置の計画していないシャットダウンが起きた時に使用する。
本発明の工程a)〜d)を、以下に詳細に説明する。異なった実施態様は、当業者が文脈に明白な矛盾を認識しない限り、互いに自由に組み合わせることができる。
工程a)は、ベンゼン過剰および出発材料および補助材料の純度に関する特定の境界条件が維持される限り、原則的に、先行技術から公知のどのような断熱的ニトロ化方法によっても行うことができる。本発明による方法におけるこの工程を実施するには、好ましくは環状反応器を使用し、その中に幾つかの分散素子を、反応器の長さに沿って配置し、確実にベンゼン、硝酸および硫酸を十分に分散および混合する。そのような反応器、および使用できる分散素子の形状は、例えば欧州特許第0708076B1号(図2)および欧州特許出願公開第1291078A2号(図1)に記載されている。工程a)は、好ましくは独国特許出願公開第102008048713A1号、特に段落[0024]に記載されている。
工程b)における相分離は、この分野における当業者には公知の、先行技術からそれ自体公知の分離タンクでも行われる。水相(b.1)は、(反応の水形成の結果、および使用する硝酸から反応中に水を取り入れることにより)希釈された硫酸を無機不純物と共に実質的に含み、有機相(b.2)は、ニトロベンゼンを過剰のベンゼンおよび有機不純物と共に実質的に含む。
工程c)における水相(b.1)の濃縮は、原則的に、先行技術から公知である。水相中の硫酸は、フラッシュ蒸発装置中で、減圧領域中で水を蒸発させることにより、濃縮される。混酸によるベンゼンの断熱的ニトロ化における反応条件を正しく選択することにより、発熱反応の熱が、硫酸を含む水相(b.1)を十分な程度に加熱するので、フラッシュ蒸発装置中で、硫酸を含む水相の濃度および温度が同時に、硫酸を含む水相の濃度および温度を再確立することができ、これは、ベンゼンおよび硝酸との反応前に反応空間に入った時、即ち(c.1)は、温度および濃度に関して(a.2)に対応する。これは、欧州特許出願公開第2354117A1号の、特に段落[0045]に記載されている。
工程d)における有機相(b.2)の精製は、原則的に、先行技術から公知の方法により行う。好ましい方法を以下に記載する。
一般的に極微量の酸を含む有機相(b.2)を水性洗浄液で1回または2回、好ましくは1回洗浄し、次いで相分離により酸性水相から分離する(数回洗浄の場合、個々の洗浄毎の後)。この方法で、粗製ニトロベンゼン(b.2)に含まれる酸残留物は完全に洗浄され、従って、この洗浄工程は酸洗浄とも呼ばれる。この工程は、現状技術水準から十分に良く知られており、従って、ここでは手短に概要のみ述べる。好ましくは、操作の際に得られる水性流を、この酸洗浄を行う目的で循環使用する(工程d(i))。
得られた有機相を、好ましくは水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸水素ナトリウムからなる群から選択された塩基の水溶液で、1〜2回、好ましくは1回、アルカリ洗浄し、次いで、相分離によりアルカリ洗浄水から分離する(数回洗浄の場合、個々の洗浄毎の後)。特に好ましくは、水酸化ナトリウム溶液を水性塩基溶液として使用する。この工程は、現状技術水準から良く知られており、従って、ここでは手短に概要のみ述べる。使用する水酸化ナトリウム溶液のpH値およびその有機相に対する質量比は、酸性不純物(例えば、副生物として形成されるニトロフェノールおよび工程b)で完全には除去されなかった酸残留物)が、ほとんどないし完全に中和される、好ましくは完全に、工程c)で中和されるように調節する。アルカリ性廃水のその後の精製は、先行技術の工程、例えば欧州特許出願公開第1593654A1号および欧州特許出願公開第1132347A2号により、行うことができる(工程d(ii))。
最後に、得られた有機相は、水で少なくとも1回、好ましくは2〜4回、特に好ましくは2〜3回、最も好ましくは2回中性に洗浄し、次いで相分離により水相から分離する(数回洗浄の場合、個々の洗浄毎の後)。これは、原則的に、現状技術水準で従来から行われている方法により行うことができる。洗浄水としては、好ましくは脱イオン水(DI水)、特に好ましくはDI水と蒸気凝縮液(即ち、水と、全ての発熱プロセス工程の間の熱交換により得た水蒸気との凝縮液)の混合物、最も好ましくは蒸気凝縮液を使用する。最後の中性洗浄で、電気泳動法を使用する方法が好ましい(国際公開第2012/013678A2号パンフレット)(工程d(iii))。
洗浄したニトロベンゼンは、最後に、溶解した水、未反応ベンゼン、および含まれるのであればさらなる精製により有機不純物が除去される。この精製は、好ましくは蒸留により行い、水蒸気およびベンゼンおよび含まれるのであれば有機不純物を、オーバーヘッドから排除する。この蒸気は、冷却され、分離タンクに送られる。水は下相に沈み、分離される。上相はベンゼンおよび低沸点画分を含み、循環使用されるベンゼン(d.2)として反応に戻される。好ましくは、蒸留装置として精留塔を使用する。所望により、ニトロベンゼンが留出物(即ち、トップまたは側流生成物として)として得られるさらなる蒸留の後、蒸留の底部生成物は、純粋なニトロベンゼン(d.1)として他の目的(例えばアニリンを形成するための水素化)に供される(工程d(iv))。
本発明の方法により、下記の利点が、断熱的ニトロ化の始動手順に関して得られる。
i)反応混合物がより急速に加熱されるが、これは、循環使用される硫酸中の有機不純物も加熱される必要が無いためである。従って、反応を支援するための蒸気をより早期に省くことができる。
ii)ベンゼン転化が最適であり、不完全反応の結果として存在する追加ベンゼンではなく、ベンゼンの理論的量を超える過剰量のみが、工程d)の精製における負荷を形成する。
iii)反応器入口における硝酸の計量およびベンゼンの計量の間で、該入口に存在する大過剰の硝酸との二次的反応を受ける恐れのある大量のニトロベンゼンが無いために、反応における副生物、例えばジニトロベンゼンおよびピクリン酸の形成が最少に抑えられる。
iv)ベンゼンのニトロ化の始動時に、循環する硫酸中に有機不純物が存在しないことは、反応における水の負荷がより低く、従って、反応が目標負荷により急速に増加することができるという利点がある。
従って、本発明の方法は、有機化合物の含有量が、硫酸(a.2)の総質量に対して、1.0重量%未満、好ましくは0.50重量%未満、特に好ましくは0.20重量%である硫酸(a.2)を使用することにより、ベンゼンの断熱的ニトロ化における、技術的に問題の無い始動およびその後に続く粗製ニトロベンゼンの精製が可能であり、シャットダウン期間が無く、最終生成物の品質が直ちに高くなる。始動期間の後、有機化合物の含有量に関するこれら上限を維持することは、最早不可欠ではないが、それにも関わらず、有利である。
ppmまたは%における含有量は、それぞれの物質(流)の総質量に対する質量比率である。分析値は、他に指示が無い限り、ガスクロマトグラフィーにより決定した。
慣らし運転している(即ち、始動期間tが経過した後)製造プラントにおけるニトロベンゼンの製造に関する一般的な条件
(図1参照)
反応器(1)に、硫酸流(11)、硝酸流(12)、新しいベンゼン流(13)および循環使用されるベンゼン流(21)を供給する。硝酸に対して5〜10%過剰のベンゼンを使用する。循環使用するベンゼンの量は、この過剰分および出発ベンゼンの品質によって異なる。全ての硝酸をベンゼンで完全に転化し、ニトロベンゼンを断熱反応下で形成した後、高温、約130℃にある反応生成物(14)を相分離装置(2)に供給し、そこで反応生成物(14)は、有機相((15)=ベンゼンおよび低沸点画分をニトロベンゼンと共に含む粗製ニトロベンゼン)および水相((16)=少量のニトロベンゼンおよびベンゼンを硫酸と共に含む廃酸)に分離される。主として硫酸を含む水相(16)は、蒸発装置(3)中で急激な圧力低下により、水のフラッシュ蒸発が実施されて濃縮される。濃縮された硫酸(17)は、再び使用されるまで、硫酸タンク(4)に保存される。相分離装置で分離された後、粗製ニトロベンゼン(15)は、粗製ニトロベンゼン冷却器(5)中で約50℃に冷却され、洗浄器(6)中に供給される。こうして得られた、ニトロフェノールおよび塩が実質的に除去された、精製された粗製ニトロベンゼン(18)流は、再加熱され、蒸留カラム(7)中で、水、ベンゼンおよび他の低沸点画分が除去され、これらを等頂(19)から分離され、その結果、乾燥した純粋なニトロベンゼン(20)が得られ、タンク(8)に貯蔵される。蒸留カラム(7)の濃縮されたヘッド生成物(19)は、相分離装置(9)に供給され、そこでヘッド生成物は、有機相(ベンゼンおよび低沸点画分を含む(21))と水相(22)とに分離される。有機相(21)は、緩衝タンク(10)に一時貯蔵され、そこから、すでに上に記載したように、反応用に、反応器(1)の入口に戻される。
このようにして製造されるニトロベンゼンは、典型的には、純度約99.96%(GC)、残留ベンゼン含有量0.0028%(GC)、1,3−ジニトロベンゼン含有量0.0273%(GC)およびニトロフェノール含有量<5ppm(HPLC)を有する。さらに、ニトロベンゼンは、水含有量が0.0079%(Karl−Fischer)である。
断熱ニトロベンゼンプロセスの始動に関する一般的な条件
(図1参照)
硫酸循環ポンプを始動し、硫酸タンク(4)から硫酸を反応器(1)中に供給し、次いで相分離装置(2)を経由して、そこから蒸発装置(3)に送り、最後に硫酸タンク(4)に戻す。蒸発装置中の圧力を下げる。プラントを硫酸で高温で運転している時、ニトロ化反応で使用する金属製の硫酸循環ポンプを確実に注意深く処理するために、極微量の硝酸を硫酸に常に加え、硫酸循環ポンプを不動態化して、腐食による損傷からポンプを守る。プラスチックポンプを使用する場合は必要ない。連続操作モードで、間接的に蒸気で、硫酸を温度101℃に加熱する。加熱の際、硫酸タンク、反応器、相分離装置および蒸発装置を通して硫酸を循環させ、蒸発装置中の絶対圧力は85mbarである。循環している硫酸が目標温度に到達し、(例2〜4で)循環している硫酸中の有機化合物の含有量が本発明に従うようになったら、直ちにニトロ化を開始する。比較例1では、循環している硫酸中の有機化合物の含有量に関する必要条件が満たされなかった(有機化合物の含有量が1.0重量%より高い)。ニトロ化を始動するため、ベンゼン流(13(新しいベンゼン)および所望により21(循環使用されるベンゼン))並びに硝酸流(12)を同時に反応器入口に供給し、そこでニトロ化が開始され、出発材料の分散が起こる。プラントの目標容量(M’target)に到達するために、工程は、最初は、ベンゼンおよび硝酸の小さなマスフローで開始する(例1〜4では、プラントは、製造吐出量30t/h(ニトロベンゼン)に相当する、目標容量の50%で始動する)。次いで、これらのマスフローを、始動期間tの間に、目標負荷に増加させる。プラントは手動で、または自動始動プログラムを使用して目標負荷にする。プラントは、常に可能な限り早く目標負荷に到達し、硝酸の完全転化が確実に達成される。
Figure 0006215325
上記例により示されるように、循環している硫酸のニトロベンゼン含有量が高い場合、大量の副生物が形成される(例1)。他方、本発明による戦略では、副生物の形成が大きく低下し、それに続く、出発材料とニトロベンゼンのより純粋なバッチの混合を控えることができる。

Claims (7)

  1. ベンゼンのニトロ化によりニトロベンゼンを連続的に製造する方法であって、
    a)ベンゼン含有流(a.1)を、反応器中で、硫酸(a.2)および硝酸(a.3)の混合物と断熱条件下で反応させ、この際、前記ベンゼンを硝酸(a.3)に対して、化学量論的過剰量で使用し、前記反応器に供給されるベンゼン含有流(a.1)の毎時量M’を、前記ニトロ化の開始から、M’の予め設定した目標値に達するまでの期間t以内で、増加させ、
    b)工程a)で得られた生成物を、相分離装置中で、硫酸を含む水相(b.1)とニトロベンゼンを含む有機相(b.2)とに分離し、
    c)工程b)で得られた水相(b.1)を、蒸発装置中で、水の蒸発により濃縮し、(b.1)よりも高い硫酸濃度の水相(c.1)を形成し、前記相(c.1)を、硫酸タンクを経由して工程a)に循環させて、(a.2)の成分として使用し、
    d)工程b)で得られた有機相(b.2)を精製して純粋なニトロベンゼン(d.1)を形成すること、
    を含んでなり、
    少なくとも前記期間tの間、有機化合物の含有量が、前記(a.2)の総質量に対して1.0重量%未満である、硫酸流(a.2)のみが前記反応器に供給される、方法。
  2. 前記有機化合物が、ベンゼン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼンの異性体およびニトロフェノールの異性体からなる群から選択される化合物を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記有機化合物がニトロベンゼンを含む、請求項2に記載の方法。
  4. 前記ベンゼン含有流(a.1)および硝酸(a.3)の添加を停止することにより連続反応を中断し、
    前記反応器中に存在する残留硝酸をニトロベンゼンに完全に転化した後、
    前記有機相(b.2)を前記相分離装置から除去した後、および、
    (b.1)を(c.1)に濃縮した後、
    残留する硫酸含有相(c.1)を、前記反応器、前記相分離装置、前記蒸発装置および前記硫酸タンクを通して、60℃〜140℃の温度で(c.1)中の有機化合物の含有量が、前記硫酸含有相(c.1)の総質量に対して1.0重量%未満に達するまで、循環させ、
    そのようにして精製した硫酸含有相(c.1)を、次の製造サイクルにおける(a.2)の成分として使用する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 稼働していない製造プラントから出発して、ベンゼン含有流(a.1)および硝酸(a.3)を導入する前に、前の製造サイクルから未だ残存している硫酸含有相(c.1)を、前記反応器、前記相分離装置、前記蒸発装置および前記硫酸タンクを通して、60℃〜140℃の温度で(c.1)中の前記有機化合物の含有量が、硫酸含有相(c.1)の総質量に対して1.0重量%未満になるまで循環させ、そのように精製した硫酸含有相(c.1)を、次の製造サイクルにおける(a.2)の成分として使用する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記蒸発装置中の絶対圧力を50mbar〜300mbarに調節し、硫酸含有相(c.1)が循環している間、(c.1)中の有機化合物の含有量を、硫酸含有相(c.1)の総質量に対して、1.0重量%未満の値にする、請求項4または5に記載の方法。
  7. ベンゼンが工程a)で理論の2.0%〜20%過剰量で使用される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
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