JP2013535478A - ニトロベンゼンの連続製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、硝酸、または硝酸と硫酸との混合物を用いてベンゼンをニトロ化して粗ニトロベンゼンを得、酸洗浄、アルカリ洗浄および中性洗浄のそれぞれを少なくとも1回行うことによって粗ニトロベンゼンを洗浄し、ニトロベンゼンに加えて少なくとも低沸点成分、場合により中沸点成分、高沸点成分および塩も含有する予備精製ニトロベンゼンを得、蒸留装置において低沸点成分を蒸発させて分離除去することによって予備精製ニトロベンゼンを更に精製し、蒸留装置においてニトロベンゼンを部分的に蒸発させることによって更に精製されたニトロベンゼンからニトロベンゼンを分離し、蒸留装置から気体状の純ニトロベンゼンを取り出し、次いで凝縮し、更に精製されたニトロベンゼンの未蒸発分を洗浄工程の所望の時点に戻すことによる、ニトロベンゼンの連続製造方法に関する。

Description

本発明は、硝酸、または硝酸と硫酸との混合物を用いてベンゼンをニトロ化して粗ニトロベンゼンを得、酸洗浄、アルカリ洗浄および中性洗浄のそれぞれを少なくとも1回行うことによって粗ニトロベンゼンを洗浄し、ニトロベンゼンに加えて少なくとも低沸点成分、場合により中沸点成分、高沸点成分および塩も含有する予備精製ニトロベンゼンを得、蒸留装置において低沸点成分を蒸発させて分離除去することによって予備精製ニトロベンゼンを更に精製し、蒸留装置においてニトロベンゼンを部分的に蒸発させることによって更に精製されたニトロベンゼンからニトロベンゼンを分離し、蒸留装置から気体状の純ニトロベンゼンを取り出し、次いで凝縮し、更に精製されたニトロベンゼンの未蒸発分を洗浄工程の所望の時点に戻すことによる、ニトロベンゼンの連続製造方法に関する。
ニトロベンゼンは、特にアニリンの製造のために、従ってメチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)およびそれに基づくポリウレタンの製造のために必要とされている、化学工業の重要な中間体である。
粗ニトロベンゼンを得るための、硝酸を用いたベンゼンのニトロ化は、既に多くの文献および特許出願の対象となってきた。今日一般的である方法は、実質的に、硫酸と硝酸との混合物(いわゆる混酸)を用いたベンゼンの断熱ニトロ化法に相当する。そのような方法は、US 2,256,999に初めて開示され、最近では、例えばEP 0 436 443 B1、EP 0 771 783 B1およびUS 6 562 247 B2に記載されている。断熱反応工程を有する方法は、具体的には、反応混合物に熱を供給したり反応混合物から熱を放散させたりする技術的方法がとられていないことを特徴とする。
例えばEP 0 156 199 B1に記載されているように、混酸を用いたベンゼンの等温ニトロ化法も知られている。
硫酸を用いずに実施するベンゼンのニトロ化法も知られている。そのような方法は、例えばUS 2 739 174またはUS 3 780 116に記載されている。
硝酸または窒素酸化物を用いたベンゼンの気相ニトロ化法も基本的には可能であるが、この方法によって達成される収率は未だ低い(EP 0 078 247 B1、EP 0 552 130 B1)。
上記した方法全ての一般的な特徴は、反応生成物としてまず、不純物としての硝酸および(混酸を用いてニトロ化を実施した場合は)硫酸、並びに有機不純物としてのジニトロベンゼン、およびベンゼンのニトロ化酸化生成物、特にニトロ化フェノール(ニトロフェノール)を含有する粗ニトロベンゼンを得ることである。粗ニトロベンゼンは、使用したベンゼン中に不純物として存在していた化合物から生じた有機化合物も含有する(WO 2008/148608 A1)。また、粗ニトロベンゼンは金属塩も含有するが、金属塩は、酸残渣または粗ニトロベンゼンの中に溶解して存在していることがある(DE 10 2007 059 513 A1)。
粗ニトロベンゼンの品質を改善する、従ってベンゼンおよび硝酸の収率を上げることを目指して、これまでに多数の研究が行われてきた。これらの研究の結果、最新の断熱液相法は著しく改良されて、いずれの方法でも、副生成物含量の少ない、即ち僅か100ppm〜300ppmのジニトロベンゼンおよび1500ppm〜2500ppmのニトロフェノールしか含有しない粗ニトロベンゼンを生成することができ、ピクリン酸がニトロフェノールの10%〜50%を構成することができる。
粗ニトロベンゼンは、不純物として、ニトロフェノールおよびジニトロベンゼンに加えて水、ベンゼン、および(混酸を用いてニトロ化を実施した場合は)硫酸も含有し、これらは、適当な後処理工程、例えば洗浄工程および蒸留工程によって分離除去される。この後処理の可能な方法は、EP 1 816 117 B1に記載されており、同文献では、ニトロベンゼンを酸洗浄、アルカリ洗浄、中性洗浄、および最後に蒸留による精製に付している。EP 1 816 117 B1に記載されている蒸留の目的は、単にニトロベンゼンから水およびベンゼンを除去することであり、可能な限り完全にニトロベンゼンを蒸発させることではない。従って、そのような方法の「純」ニトロベンゼンは、蒸留の塔底生成物であり、EP 1 816 117 B1によれば、50μS/cm未満、好ましくは25μS/cm未満、特に好ましくは10μS/cm未満の導電率を有することを特徴とする(導電率の測定方法については同文献の段落[0025]を参照)。ニトロベンゼン純度の唯一の測定法として導電率の測定を選択することは、水溶性化合物および解離性化合物しか確認できないので不利である。EP 1 816 117 B1において「純」ニトロベンゼンは、蒸留の塔底生成物としか示されていないので、高分子量化合物、例えばニトロ化ビフェニル(実施例1)、非解離性金属化合物、例えば酸化鉄、水難溶性化合物、例えば、硫酸カルシウム、ケイ酸塩または金属錯体は検出されず、従って、ニトロベンゼン中に気付かれないまま存在している可能性がある。高沸点有機化合物および塩は、そのような蒸留によって分離除去できない。特に塩は、装置(例えば蒸発器)内に堆積物を生じたり、反応領域に流入すると触媒の尚早な失活をもたらしたりするので、精製ニトロベンゼンの更なる使用、例えばアニリンへの水素化(後の記載を参照)において重大な問題をもたらすことがある。
ニトロベンゼンの製造方法に関する文献においてニトロベンゼンの蒸留が記載されている場合は、ほとんど、水およびベンゼンの蒸留による分離除去に関係し、ニトロベンゼン自体は、先行技術において一般的な方法におけるそのような蒸留の塔底生成物である。一部の文献は、安全上の理由で、ニトロベンゼン自体を蒸発させないよう明確に忠告さえしている。例えば、US 4,021,498は、生成物中のジニトロ化化合物含量を最少化することを目的とした、ベンゼンを断熱ニトロ化するための特定の方法を記載している(第2欄第18〜29行参照)。US 4,021,498は、ニトロベンゼン自体の蒸発に付随する危険性を明確に記載しており(第2欄第7〜17行)、従って、その教示は、蒸発および再凝縮によるニトロベンゼンの精製から離れる方向を向いている。
実際、ニトロベンゼンの製造および精製に関する文献のほんの一部しか、ニトロベンゼン自体の蒸発を教示していない。例えばUS 1,793,304は、不純物含有ニトロベンゼンを、まず、いわゆるフラー土フィルターにより濾過し、次いで、酸化アルミニウムまたは他の塩基性酸化物を用いて80℃〜100℃で加熱処理することによって精製する、(とりわけ)ニトロベンゼンの精製方法を記載している(第1頁第63〜71行)。酸化アルミニウムを用いた処理に続いて、好ましくは、不完全真空下、塔底温度140℃〜160℃で蒸留する(第1頁第74〜79行)。蒸留の実施に関する更なる詳細は、同文献に記載されていない。しかしながら、常圧でのニトロベンゼンの沸点(211℃)に基づけば、実際のところ、「不完全真空」下、上記温度範囲でニトロベンゼンは蒸発すると考えられる。同文献は、蒸留に使用するエネルギーの回収に関する情報は与えていない。
US 2,431,585は、後に蒸留塔14の塔頂でニトロベンゼンを留出させる、ベンゼンの気相ニトロ化を記載している(図参照)。蒸留塔底物の一部を取り出すことは行われていない。
CH 186266は、市販ニトロベンゼンの精製方法であって、ニトロベンゼンを蒸留して取り出す前に、塩基性化合物および有機物質を用いた化学反応によってジニトロベンゼンのような不純物を、容易に分離除去できる別の化合物に転化する方法を開示している(請求項1および実施例2〜6を参照)。記載されている蒸留条件は、122℃、66mbarである(実施例1参照)。そのような蒸留温度レベルでは、例えば有用な水蒸気の形態で、凝縮熱を好ましく回収することはできない。
RU 2 167 145 C1は、ニトロベンゼンを精留塔塔頂部から取り出すニトロベンゼンの精留による、ニトロベンゼンからの、高沸点化合物、特にイオウ含有有機化合物の分離を記載している。しかしながら、同文献は、充填物および熱交換器を閉塞することがある、粗ニトロベンゼン中に存在する塩の特有の問題を論じていない。RU 2 167 145 C1において選択されている蒸留条件は不利である。なぜなら、当業者であれば(例えば、アントワン式を用いた飽和蒸気圧曲線の計算によって。これに関しては、I. Brown, Australian Journal of Scientific Research, Series B: Biological Sciences (1952), 5A, 530-540参照)容易に計算できるように、低い圧力(27mbar〜107mbarに相当する20mmHg〜80mmHg;請求項1参照)しか使用できず、これは、僅か99℃〜134℃の凝縮温度しかもたらさないからである。この凝縮温度レベルでは、例えば有用な水蒸気の形態で、凝縮熱を好ましく回収することはできない。
CN 100999472 Aは、m−ジニトロベンゼンを得るための、ニトロベンゼン蒸留の塔底残渣の後処理を記載しているが、ニトロベンゼンの蒸留条件に関する詳細は記載されていない。
精製ニトロベンゼン(純ニトロベンゼン)は主として、気相において水素を用いてニトロベンゼンを触媒水素化することによって現在主に実施されているアニリンの製造に使用する。気相へと転化するために、ニトロベンゼンを高温気体流(好ましくは水素流)へと蒸発させるか(EP 0 696 574 B1、段落[0024])または噴霧してよい(DE−OS−1 809 711、DE 10 2006 035 203 A1、段落[0053])。新しい水素流へ蒸発させると、反応器内および配管内で著しく少ない堆積物しか生じないので(EP 0 696 574 B1、段落[0024])有利であると考えられる。しかしながら、ニトロベンゼン中に存在する金属化合物、塩および高沸点成分が反応器内に次々と発現するので、新しい水素流への蒸発によって、反応器内での堆積物の生成を完全に回避することはできない。反応器内の固体(例えば、高沸点有機化合物および塩)の存在は、その結果として反応器の洗浄間隔が短くなり、触媒が尚早に失活することがあるので不利である。ニトロベンゼンを常套の蒸発器において蒸発させれば反応器内堆積物の問題を最小にすることはできるが、その問題は蒸発器にシフトする。蒸発器の必須の頻繁な洗浄により、アニリンプラントの連続運転は繰り返し中断される。また、使用するニトロベンゼンの品質に応じて、上記した安全性の問題が時には起こる。従って、アニリン製造の処理工程において更なる精製工程が必要とされず、最初から必要な純度を有するニトロベンゼンを提供する、ニトロベンゼンの製造方法に対する要求が存在する。
ニトロベンゼンのアニリンへの水素化は、管型反応器(DE−AS−2 201 528)または段反応器(EP 0 696 574 B1、段落[0021])または流動層反応器(DE−AS−1 114 820)において固定触媒床を用いて実施してよい。芳香族ニトロ化合物の気相水素化のための触媒は、多くの文献に記載されている。水素化活性元素は、Pd、Pt、Ru、Fe、Co、Ni、Cu、Mn、Re、Cr、Mo、V、Pb、Ti、Sn、Dy、Zn、Cd、Ba、Cu、Ag、Auを包含する。これらの元素を、化合物(例えば、酸化物、硫化物またはセレン化物)の形態およびラネー合金の形態で、並びに担体(例えば、Al、Fe/Al、SiO、ケイ酸塩、炭素、TiO、Cr)上で、水素化触媒として使用することも可能である。
反応器は、冷却器を用いて等温運転してもよいし(DE−AS−2 201 528)、断熱運転してもよい(EP 0 696 574 B1)。等温反応領域と断熱反応領域とを組み合わせることも可能である(GB 1 452 466)。
ニトロベンゼンの蒸発を開示している文献の全ては、その蒸発が蒸留装置におけるニトロベンゼンの合成におけるものなのか、または気相アニリン合成における出発物質であるニトロベンゼンの蒸発におけるものなのかにかかわらず、ニトロベンゼンを可能な限り完全に蒸発させることが望ましいという一般的な特徴を有する。その結果、一方では蒸発の際に安全性の問題が起こることがあり(先の記載を参照)、他方では、運転を妨げ、製造を停止することがある、高沸点有機二次成分および塩の堆積物が蒸発器および蒸留装置の中に生じる。
US 2,256,999 EP 0 436 443 B1 EP 0 771 783 B1 US 6 562 247 B2 EP 0 156 199 B1 US 2 739 174 US 3 780 116 EP 0 078 247 B1 EP 0 552 130 B1 WO 2008/148608 A1 DE 10 2007 059 513 A1 EP 1 816 117 B1 US 4,021,498 US 1,793,304 US 2,431,585 CH 186266 RU 2 167 145 C1 CN 100999472 A
従って、本発明の目的は、円滑に(例えば、蒸留塔内の塩堆積物を除去しなければならないことに起因するプラント停止を伴わず)、安全に(蒸留塔底部に潜在爆発性化合物が蓄積した結果として起こる問題を伴わず)、可能な限りエネルギー効率よく(工程で得られる熱を最適に利用して)実施できる、粗ニトロベンゼンの後処理を構築することである。
本発明の別の目的は、高沸点有機化合物および塩が完全に除去されたか、または純ニトロベンゼンを更なる使用において問題なく使用できる程度まで少なくとも除去された、純ニトロベンゼンを提供することである。
具体的には、本発明の目的は、長期の耐用期間にわたって(=長い洗浄間隔で)アニリン製造工程を運転できるようにするための、純ニトロベンゼンを提供することである。そのようなニトロベンゼンを提供するためには、ニトロベンゼンの品質は、先行技術に記載されているように導電率のみに基づいて評価することはできない。例えば、導電率が10μS/cm未満であり、従ってEP 1 816 117 B1の範囲では純粋であると記載されるであろうニトロベンゼンが、200ppb(0.2ppm)までのナトリウムをなお含有する場合があることが見いだされた。気相アニリン製造法においてそのようなニトロベンゼンを使用すると、ニトロベンゼンが加熱器および蒸発器を汚染したり、ニトロベンゼンを噴霧する場合は触媒表面を汚染したりすることがある(このことは、触媒の選択性低下および/または寿命短縮をもたらす場合がある)ので不利である(実施例4および5参照)。
この目的は、
a)硝酸、または硝酸と硫酸との混合物を用いてベンゼンをニトロ化し、次いで、ニトロ化に使用した過剰の酸を分離して粗ニトロベンゼンを得、
b)酸洗浄、アルカリ洗浄および中性洗浄(好ましくはこの順序)のそれぞれを少なくとも1回行うことによって、工程a)の粗ニトロベンゼンを洗浄し、最後の洗浄工程で使用した洗浄液の分離後、ニトロベンゼンに加えて少なくとも低沸点成分、場合により中沸点成分および高沸点成分および塩も含有する予備精製ニトロベンゼンを得、
c)蒸留装置において低沸点成分を蒸発させることによって、工程b)の予備精製ニトロベンゼンから低沸点成分を分離し、塔底生成物であるニトロベンゼンは、低沸点成分が除去され、従って更に精製され、
d)蒸留装置においてニトロベンゼンを部分的に蒸発させることによって、好ましくは更に精製されたニトロベンゼンの総重量に基づいて80重量%超〜99.9重量%以下、より好ましくは90重量%超〜95重量%以下の更に精製されたニトロベンゼンを蒸発させることによって、工程c)の更に精製されたニトロベンゼンからニトロベンゼンを部分的に分離し、蒸留装置から気体状の純ニトロベンゼンを取り出し、次いで凝縮し、未蒸発ニトロベンゼン、場合により中沸点成分および高沸点成分および塩を、蒸留装置の塔底部から部分的にまたは完全に、好ましくは完全に取り出し、
e)工程d)の更に精製されたニトロベンゼンの未蒸発分を、工程b)の所望の時点に、好ましくは酸洗浄工程に戻す
ことによる、ニトロベンゼンの製造方法によって達成できることが見いだされた。
ニトロ化で使用した過剰の酸とは、あらゆる未反応酸、即ち、
硝酸のみを用いてニトロ化を実施した場合は、場合により硝酸、或いは
硝酸と硫酸との混合物を用いてニトロ化を実施した場合は、硫酸、または場合により硝酸と硫酸
を意味する。
本発明において、「低沸点成分」とは、選択した蒸留条件下でニトロベンゼンの沸点より低い沸点を有する化合物、およびそのような化合物の共沸混合物を意味する。低沸点成分の主成分は、不完全反応ベンゼンである。別の典型的な低沸点成分は、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、メチルシクロヘキサン、ビシクロヘプタンおよび異性体ジメチルペンタンである。
本発明において、「中沸点成分」とは、選択した反応条件下でニトロベンゼンの沸点より高いが、常圧下で350℃以下の沸点を有する化合物、およびそのような化合物の共沸混合物を意味する。典型的な中沸点成分は、異性体ジニトロベンゼンである。
本発明において、「高沸点成分」とは、常圧下で350℃より高い沸点を有する化合物、およびそのような化合物の共沸混合物を意味する。そのような化合物の沸点は非常に高いので、本発明に従って製造されるニトロベンゼンの好ましい使用であるアニリンへの触媒気相水素化において、触媒の汚染および失活を防止できない。典型的な高沸点成分は、2つ以上の芳香族環を有しており、例えば、ニトロ化ビフェニルおよびニトロ化ヒドロキシビフェニルを包含する。
本発明の方法によってニトロベンゼンから分離される典型的な塩は、亜硝酸、硝酸、硫酸およびシュウ酸のナトリウム塩およびカルシウム塩、並びに酸化ケイ素および酸化鉄である。
本発明の方法を用いると、著しく高純度のニトロベンゼンが得られる。本発明の方法によって製造したニトロベンゼンは、有機不純物に関して99.9500%超(500ppm未満の不純物に相当)、好ましくは99.9900%超(100ppm未満の不純物に相当)、特に好ましくは99.9990%超(10ppm未満の不純物に相当)の純度(好ましくはガスクロマトグラフィーによって測定)を有し、0.1ppm以下、好ましくは0.05ppm以下、特に好ましくは0.01ppm以下の無機不純物(原子吸光分析法(誘導結合プラズマ、IPC)によってカチオンとして測定した塩)を含有する(特に記載がない限り、%単位およびppm単位で示した含量の全ては常に重量に基づく)。
本発明の方法によって製造した高純度ニトロベンゼンは特に、アニリンへの水素化における使用に適している。
本発明の方法の工程a)は、基本的に、先行技術で知られている方法によって実施できる。DE 10 2008 048713 A1の段落[0024]に記載されているように(従って、この段落は本発明の開示の一部であると見なされる)、断熱工程でベンゼンを硝酸と硫酸との混合物と反応させることが好ましい。
本発明の方法の工程b)は、先行技術から基本的に知られている。この三段階洗浄では、工程a)で得た粗ニトロベンゼンを、3つの洗浄工程において適当な洗浄液(即ち、対象の工程に対応するpHを有する洗浄液)を用いて洗浄し、基本的に、個々の洗浄工程を所望の順で実施することができる。しかしながら、(1)酸洗浄、(2)アルカリ洗浄、(3)中性洗浄の順が好ましい。特に好ましくは、工程b)は、EP 1 816 117 B1の段落[0008]〜[0012]に記載されている手順に従って実施する。従って、これらの段落は、本発明の開示の一部であると見なされる。とりわけ好ましくは、工程b)における中性洗浄には、EP 1 816 117 B1の段落[0013]に記載されているような(従って、この段落は本発明の開示の一部であると見なされる)電気泳動法を使用する。
本発明の方法の工程c)では、蒸留装置として好ましくは精留塔、即ち、内部に少なくとも1つの理論段が作成されており、液体還流が塔頂に供給される装置を使用する。還流比、即ち還流の流出凝縮物に対する割合は、好ましくは0.01〜0.5であり、還流として、好ましくは、1種(または2種以上)の低沸点成分、特に好ましくはベンゼンを使用する。還流として好ましく使用するベンゼンは、新しいベンゼン、または特に好ましくは水の(例えば静的相分離による)分離後に精留塔の塔頂生成物から得られたベンゼンであってよい。また、還流として好ましく使用するベンゼンは、必ずしも純ベンゼンでなくてもよい。実際、ベンゼンに加えて、各々の場合に還流の総重量に基づいて0.1重量%〜10重量%のニトロベンゼンおよび/または0.1重量%〜50重量%の脂肪族炭化水素を含有する混合物であってもよい。本発明の方法の工程c)では、ニトロベンゼンは塔底生成物である。即ち、工程d)では、工程c)の塔底部からニトロベンゼンのみを取り出す。(ごく少量のニトロベンゼンは、工程c)で低沸点成分と一緒に移動することがあり、還流と一緒に再び塔底部に移動しなければ、系から排出される。)本発明の工程d)では、工程c)で得た更に精製されたニトロベンゼンを蒸留工程に付すことによって、高沸点成分および塩を分離する。蒸留工程では、純ニトロベンゼンを蒸留装置から気体状で取り出し、次いで凝縮する。即ち、ニトロベンゼン自体をこの工程で蒸留により取り出す。好ましくは純ニトロベンゼンは蒸留塔塔頂部から取り出す。しかしながら、側留分として取り出すことも考えられる。蒸留装置で生じた塔底生成物は、工程d)において蒸留装置に導入した、更に精製されたニトロベンゼンの0.1重量%超〜20重量%以下、好ましくは5重量%超〜10重量%以下である。従って、「蒸留装置において、本発明のニトロベンゼンを部分的に蒸発させることによって、更に精製されたニトロベンゼンからニトロベンゼンを部分的に分離する」とは、工程d)において、更に精製されたニトロベンゼンの総重量に基づいて80重量%超〜99.9重量%以下、好ましくは90重量%超〜95重量%以下の更に精製されたニトロベンゼンを蒸発させることを意味する。
工程e)では、工程d)で生じた蒸留塔底物(即ち、更に精製されたニトロベンゼンの未蒸発分)を、洗浄工程(工程b))の所望の時点に戻す。工程d)の蒸留塔底物を完全には蒸発させない、本発明のこの手順によって、一方では、方法の安全性が高まり、他方では、なお液体である塔底生成物を取り出して洗浄工程(工程b))に戻すので装置内の固体堆積物の問題を回避できる。洗浄工程で塩は洗い流され、塔底物と一緒に取り出したニトロベンゼンは、ごく少量の残留物は別として、対象の洗浄段階の有機相に移動する。即ち、予備精製ニトロベンゼンに戻される。それによって、収率損失は最小化される。
蒸留工程d)における圧力は好ましくは、凝縮熱を水蒸気生成に経済的に利用できる、純ニトロベンゼンの凝縮温度が得られるように選択する。従って、本発明は特に、150mbar〜1000mbar、好ましくは200mbar〜600mbar、特に好ましくは400mbar〜500mbarの範囲の絶対圧力が工程d)において維持されており、工程d)における純ニトロベンゼンの凝縮において放散された熱を利用して水蒸気を生成する方法に関する。工程d)において有効な圧力は、好ましくは、気体状で蒸留装置から出てきた純ニトロベンゼンを凝縮する凝縮器で測定する。このために、先行技術で一般的な凝縮器の全てを使用することができるが、管型熱交換器またはプレート型熱交換器が好ましい。
工程d)においてそのような圧力を用いると、140℃〜210℃、好ましくは150℃〜190℃、特に好ましくは175℃〜185℃の純ニトロベンゼンの凝縮温度が確立される。本発明の方法では、工程d)の純ニトロベンゼンの凝縮におけるいずれの時点においても、特に好ましくは工程d)全体にわたって、最も好ましくは工程a)〜d)全体にわたって、210℃の温度を超えないことが好ましい。210℃を超えない温度で純ニトロベンゼンを凝縮する場合に限り、高沸点化合物、特に高沸点有機化合物を含有しない、または少なくとも非常に少ない量でしか含有しないニトロベンゼンが得られる。実際、210℃を超える温度で、ニトロベンゼンから高沸点成分が生じることが見いだされた(実施例2参照)。従って、意外なことに、ニトロベンゼンを凝縮する(一般に凝縮器の液相温度である)最高温度が210℃を超えない場合に限り、高沸点成分を含有しない、または少なくとも非常に少ない量でしか含有しないと同時に(ベンゼンに基づく)収率が最大化された塩不含有ニトロベンゼンがもたらされる。しかしながら、凝縮温度が十分高い場合に限り、凝縮熱を蒸気生成のために経済的に利用することができるので、基本的には高い凝縮温度が望ましい。従って、実際に確立する凝縮温度は一般に中間の温度であり、好ましくは得られる水蒸気絶対圧力が少なくとも4barとなる温度であり、これは150℃の凝縮温度に相当する。
本発明の純ニトロベンゼンの好ましい用途は、アニリンへの水素化における使用なので、工程d)において高沸点成分を分離除去する場合は特に、気相アニリン法の条件下で気体ではない化合物に注意を払わなければならない。アニリンの製造方法は好ましくは、DE 10 2006 035 203 A1の方法に従って実施する。同文献の段落[0018]に記載されている温度、圧力、出発気体流含水量および水素過剰量の範囲を、そのまま適用することが特に好ましい。段落[0053]に記載されている噴霧によって、ニトロベンゼンを気相に転化することが好ましい。従って、上記段落は、本発明の開示の一部であると見なされる。そのような気相アニリン法の条件下で気体ではない高沸点有機化合物、および予備生成ニトロベンゼン中に存在する塩は、アニリン製造の上流にあるニトロベンゼン後処理の工程d)において、好ましくは分離活性内部構造物を有さない蒸留装置において分離除去することができる。分離活性内部構造物を有さない蒸留装置の場合、用語「蒸発」を使用することもできる。しかしながら、蒸留装置は好ましくはデミスターまたは液滴分離器を有する。
従って、工程c)の蒸留装置が低沸点成分、好ましくはベンゼン、特に好ましくはニトロベンゼンおよび/または脂肪族炭化水素を含有するベンゼンを部分的に還流しながら運転する精留塔であり、工程d)の蒸留装置が分離活性内部構造物を有さない装置である方法が特に好ましい。工程d)において、還流を伴わないことも可能である(この場合、還流は凝縮した純ニトロベンゼンの一部となる)。従って、この態様では、本発明は、工程c)の蒸留塔が低沸点成分、好ましくはベンゼン、特に好ましくはニトロベンゼンおよび/または脂肪族炭化水素を含有するベンゼンを部分的に還流しながら運転する精留塔であり、工程d)の蒸留装置が、凝縮した純ニトロベンゼンの還流を伴わずに運転し、分離活性内部構造物を有さない装置である方法に関する。本発明の二段階蒸留(工程c)およびd))のこの特に好ましい態様によって、一方では、低沸点成分をニトロベンゼンから効果的に分離し(工程c)における精留)、他方では蒸留塔内の充填物が閉塞される危険性を伴わずに工程d)において高沸点成分、特に塩を分離することが確実となる。工程d)において完全には分離除去されなかった中沸点成分は、純ニトロベンゼン中に、純ニトロベンゼンの重量に基づいて500ppm未満、好ましくは100ppm未満、特に好ましくは10ppm未満のごく僅かな量でしか存在しない。
210℃より低い温度でさえ、ニトロベンゼンを非常に長期間暴露すると、高沸点有機化合物(例えば先に記載したニトロ化ビフェニル)が生成することがあるので、使用する装置が短い滞留時間を有することは有利である。例えば、自己循環式蒸発器、例えばいわゆるロバート蒸発器を、工程c)およびd)における蒸留塔のための蒸発器として使用してよい(Reinhard Billet: Verdampfung und ihre technischen Anwendungen, Weinheim, 1981, 第119頁以下参照)。そのような蒸発器におけるニトロベンゼンの滞留時間は、好ましくは0.1分〜120分、特に好ましくは0.1分〜20分である。
ニトロベンゼンからの低沸点化合物、高沸点化合物および塩の分離は、分離壁型蒸留塔において組み合わせてよい。(分離壁型蒸留塔の運転の一般原理は、例えば、G. Kaibel, "Distillation Columns with Vertical Partitions", Chem. Eng. Technol. 1987, 10, 92-98およびG. Kaibel, "Industrieller Einsatz von Trennwandkolonnen und thermisch gekoppelten Destillationskolonnen", Chemie Ingenieur Technik 2003, 75, 1165-1166に記載されている。)従って、この態様では、本発明は特に、工程c)およびd)において同じ蒸留装置を使用し、その蒸留装置が分離壁型蒸留塔である方法に関する。
実施例1(本発明):工程d)においてニトロベンゼンを蒸留することによって高沸点成分を分離
検出可能な量の低沸点成分を含有せず、単位面積あたり55ppmの高沸点成分を含有する(ガスクロマトグラフィー(GC)によって測定)ニトロベンゼン277.6gを、ガラス製フラスコおよび蒸留橋からなる蒸留装置において、180℃および400mbar(絶対)で蒸留し(本発明の方法の工程d))、271.4gの留出物および6.2gの塔底生成物を得た。蒸留塔底物において、単位面積あたり約3700ppmの高沸点成分がGCによって検出された。高沸点成分の群のうち、GC−MS(質量分析法)によって2−ニトロビフェニルおよび2,2−ジニトロビフェニルを同定することができた。留出物(=純ニトロベンゼン)中に高沸点成分は見られず、これは、本発明の方法に従って、高沸点成分を含有しないニトロベンゼンが、低い蒸留温度(210℃未満)で得られたことを示している。
実施例2(比較例):高温暴露による高沸点成分の生成
ステンレス鋼製オートクレーブ内で、0.1ppm未満の塩含量を有する純度(GC)99.9900%超のニトロベンゼン(本発明において低沸点成分、高沸点成分および塩を含有しないものとして扱われる)を、高温に2時間暴露した。冷却後、ニトロベンゼンをガスクロマトグラフィーによって高沸点不純物含量について分析した。結果を表1に示す。この結果から、高沸点化合物がもっぱら熱負荷の故に生成し、高沸点成分を含有しない状態で得る場合はニトロベンゼンを任意の高温に暴露してはならないことが分かる。
Figure 2013535478
実施例3〜5:アニリンへの水素化における、異なった塩含量を有するニトロベンゼンの使用に関する実施例
例示的な反応に使用した試験装置は、長さ500mmのステンレス鋼製反応管であった。熱交換器によって250℃に加熱した循環気体流を反応器に流通させた。ニトロベンゼンを計量供給ポンプによってノズルに供給し、循環気体流中に微細に噴霧し、蒸発させた。水素を熱交換器で予備加熱し、ノズルの上流で循環ガスに計量添加した。水素供給量は、流量調節器によって調節した。反応管内の触媒充填量は、例示的な試験の全てにおいて1.0g芳香族ニトロ化合物/(mL触媒・h)の値に調節し、反応器における水素対ニトロベンゼン比は約80:1に設定した。
高さ400mmの触媒充填層を、反応管内部のスクリーン上に設置した。反応器を出た後の反応生成物を、水で冷却した。このようにして不揮発性成分を凝縮し、下流の分離器において気体成分から分離した。液体成分を分離器から生成物収集容器(ガラス製容器)にガイドし、そのなかに収集した。収集容器の上流に、生成物の試料を一定の間隔で採取できる試料採取点を設けた。試料はガスクロマトグラフィーによって分析した。触媒の耐用期間は、反応開始から、ニトロベンゼンの完全な転化がもはや達成されなくなって試料採取点の生成物において0.1%超のニトロベンゼンがガスクロマトグラフィーによって検出されるまでの時間に相当する。
実施例3〜5のそれぞれにおいて、約250ppmの有機不純物を含有し、従って、有機不純物含量に関する本発明の要求(<500ppm)を満たすニトロベンゼンを使用した。しかしながら、実施例3〜5におけるニトロベンゼンの品質は、その塩含量(例えばナトリウムイオン含量など)に関しては異なっていた。
実施例は、触媒系として、1Lの担体(α−酸化アルミニウム)あたり9gのPd、9gのV、3gのPbを用いて実施した(EP 0 011 090 A1参照)。この触媒系を様々に老化させ、前処理した触媒を使用した。反応試験は、触媒の耐用期間に達した時点でそれぞれ終了した。
実施例3(本発明):0.1ppm未満のナトリウムイオン含量を有するニトロベンゼンの使用
新しい触媒を反応管に設置し、まず窒素で、次いで水素でフラッシングした。続いて、触媒を、1000L/hの水素に240℃で48時間暴露した。その後、蒸発させたニトロベンゼンを触媒にガイドした。ニトロベンゼン量は、1g芳香族ニトロ化合物/(mL触媒・h)の所望の値までゆっくりと増やしたので、反応器内の温度は450℃を超えて上昇しなかった。水素付加量は、水素対ニトロベンゼンのモル比が80:1となるように調節した。ニトロベンゼンがもはや転化しなくなる(反応生成物中0.1%超のニトロベンゼン)とすぐ、出発物質の供給を停止し、反応器内を窒素で不活性化した。次いで、排出ガス中0.2体積%未満の二酸化炭素が検出されるようになるまで、炭素堆積物を空気流中、270℃で燃焼除去した。この反応および触媒再生のサイクルを、合計3回実施した(実施例3a〜3c)。耐用期間はそれぞれ983時間、964時間および968時間であった。
実施例4(比較例):0.2ppmのナトリウムイオン含量を有するニトロベンゼンの使用
新しい触媒を反応管に設置し、まず窒素で、次いで水素でフラッシングした。続いて、触媒を、1000L/hの水素に240℃で48時間暴露した。その後、蒸発させたニトロベンゼンを触媒にガイドした。ニトロベンゼン量は、1.0g芳香族ニトロ化合物/(mL触媒・h)の所望の値までゆっくりと増やしたので、反応器内の温度は450℃を超えて上昇しなかった。水素付加量は、水素対ニトロベンゼンのモル比が80:1となるように調節した。ニトロベンゼンがもはや転化しなくなる(反応生成物中0.1%超のニトロベンゼン)とすぐ、出発物質の供給を停止し、反応器内を窒素で不活性化した。次いで、排出ガス中0.2体積%未満の二酸化炭素が検出されるようになるまで、炭素堆積物を空気流中、270℃で燃焼除去した。この反応および触媒再生のサイクルを、合計3回実施した(実施例4a〜4c)。耐用期間はそれぞれ953時間、848時間および736時間であり、従って、本発明に従って製造したニトロベンゼンを使用した場合より、特に第二サイクルおよび第三サイクルにおいて、著しく短かった。
実施例5(比較例):0.4ppmのナトリウムイオン含量を有するニトロベンゼンの使用
新しい触媒を反応管に設置し、まず窒素で、次いで水素でフラッシングした。続いて、触媒を、1000L/hの水素に240℃で48時間暴露した。その後、蒸発させたニトロベンゼンを触媒にガイドした。ニトロベンゼン量は、1.0g芳香族ニトロ化合物/(mL触媒・h)の所望の値までゆっくりと増やしたので、反応器内の温度は450℃を超えて上昇しなかった。水素付加量は、水素対ニトロベンゼンのモル比が80:1となるように調節した。ニトロベンゼンがもはや転化しなくなる(反応生成物中0.1%超のニトロベンゼン)とすぐ、出発物質の供給を停止し、反応器内を窒素で不活性化した。次いで、排出ガス中0.2体積%未満の二酸化炭素が検出されるようになるまで、炭素堆積物を空気流中、270℃で燃焼除去した。この反応および触媒再生のサイクルを、合計3回実施した(実施例5a〜5c)。耐用期間はそれぞれ946時間、768時間および605時間であり、従って、実施例4より更に短かった。
下記表において、実施例2〜4の結果を改めて比較する。
Figure 2013535478
実施例6(本発明):凝縮におけるエネルギー回収
Aspenシミュレーションを用いて、蒸発および凝縮による付加的なニトロベンゼン精製工程d)についての質量エネルギーバランスを計算した。183℃の温度を有するニトロベンゼン50t/hを、連続運転蒸発器に供給した。500mbarの絶対系圧力で、20barの水蒸気を用いて、供給量の90%(即ち、更に精製されたニトロベンゼンの90重量%)を蒸発させた。残りの10%を蒸発器から取り出し、酸洗浄工程に戻した。蒸発に要したエネルギーは、4.7MW、即ち8.6t/hの20bar水蒸気であった。
プロセス側絶対圧力490mbarで運転する下流の熱交換器で、蒸気を凝縮した。冷却のために供給温度100℃を有する凝縮物を採用し、これを用いて6barの水蒸気を生成した。凝縮工程では、4.7MWのエネルギーが放出された。凝縮物を100℃から蒸発温度159℃まで予備加熱しなければならないので、この装置では、7.2t/hの6bar水蒸気が生成した。
凝縮器において得られた熱エネルギーを用いることによって、ニトロベンゼンの蒸発に必要なエネルギーを完全に回収することができた。プロセス側圧力は、水蒸気のより高い利用可能な圧力段階でMNBが蒸発でき、より低い利用可能な圧力段階の水蒸気が凝縮器内で生成できるように選択した。

Claims (7)

  1. a)硝酸、または硝酸と硫酸との混合物を用いてベンゼンをニトロ化し、次いで、ニトロ化に使用した過剰の酸を分離して粗ニトロベンゼンを得、
    b)酸洗浄、アルカリ洗浄および中性洗浄のそれぞれを少なくとも1回行うことによって、工程a)の粗ニトロベンゼンを洗浄し、最後の洗浄工程で使用した洗浄液の分離後、ニトロベンゼンに加えて少なくとも低沸点成分も含有する予備精製ニトロベンゼンを得、
    c)蒸留装置において低沸点成分を蒸発させることによって、工程b)の予備精製ニトロベンゼンから低沸点成分を分離し、塔底生成物であるニトロベンゼンは、低沸点成分が除去され、従って更に精製され、
    d)蒸留装置においてニトロベンゼンを部分的に蒸発させることによって、工程c)の更に精製されたニトロベンゼンからニトロベンゼンを部分的に分離し、蒸留装置から気体状の純ニトロベンゼンを取り出し、次いで凝縮し、
    e)工程d)の更に精製されたニトロベンゼンの未蒸発分を、工程b)の所望の時点に戻す
    ことによる、ニトロベンゼンの製造方法。
  2. 工程d)において絶対圧力を150mbar〜1000mbarの範囲に維持し、工程d)における純ニトロベンゼンの凝縮において放散された熱を用いて水蒸気を生成する、請求項1に記載の方法。
  3. 工程c)における蒸留装置が、低沸点成分の部分的還流を伴って運転する精留塔であり、工程d)における蒸留装置が、分離活性内部構造物を有さない装置である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 凝縮した純ニトロベンゼンの還流を伴わずに、工程d)における蒸留装置を運転する、請求項3に記載の方法。
  5. 工程c)およびd)において同じ蒸留装置を使用し、その蒸留装置が分離壁型蒸留塔である、請求項1に記載の方法。
  6. 工程b)における中性洗浄において電気泳動法を用いる、請求項1に記載の方法。
  7. 請求項1に従って製造したニトロベンゼンの、アニリンへの水素化における使用。
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