以下に説明する実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の成立に必須であるとは限らない。以下、図面を用いて説明する。 図1は、本発明の第1実施形態の往復移動機構の構成を模式的に示す図である。図2は、本発明の第1実施形態の往復移動機構の主要部の構成を示す図であり、(A)は、U字状に湾曲した支持部材及びそれに沿って配置された長尺体を示す側面図、(B−1)はA-A線における断面図、(B−2)は、B-B線における断面図である。尚、本実施形態の往復移動機構は、例えば、チップマウンタのモータ等で駆動される可動ユニットとしてのX−Yの2軸で往復移動する機構の移動部と固定部との間に配置されて使用されるものであり、その長尺体は、電気ケーブルやエアの流路となるチューブ等を組み合わせた全体として弾性を有する帯状体として構成される。但し、以下の説明では、その往復移動機構の要部のみを示し、ステージ、フィーダ、モータ等、実際のチップマウンタが備える他の構成は省略している。また、往復移動機構のX軸方向の移動に関してのみ説明している。
本実施形態の往復移動機構100は、長手方向の一部分が湾曲された状態で全体としてU字状の形状を有し、その長手方向の一端側と他端側が、図1に示すように、それぞれ固定部102と第1往復移動部104間、或いは、図1に括弧書きで示すように、第1及び第2往復移動部104及び102´相互間に配置された長尺体10と支持部材20を有している。また、図2に示すように、往復移動機構100の長尺体10は、長手方向の一部分が湾曲された状態でその長手方向の一端側と他端側がそれぞれ上述した固定部102と第1往復移動部104間等間に配置される複数のケーブル・チューブ等の集合体(組合わせ体)として構成され、集合体(組合わせ体)に対し後述する自立性を有するように構成されている。また、支持部材20は、複数の駒部材22が湾曲可能に連続的に連結された多関節部材を有し、長尺体10に沿って長尺体10の外側に配置されて長尺体10をその外側から押圧・支持するように構成されている。更に、長尺体10が自立性を有することとの関係もあり、湾曲された長尺体10の内側には、何らの支持部材等は存在せず、開放空間30が形成されている。
ここで、長尺体10の「自立性」とは、長尺体10が湾曲した状態の内側には、何らの支持部材等を有していなくても、長尺体10の高さ方向における内周部又は内周面同士が互いに接触しない状態を維持できる特性を意味し、例えば、本実施形態においては、図2(A)のLまたはRで示す部分における長尺体10の内周部10C、10Dが、開放空間30を塞ぐようにして、互いに接触することのない状態を指す。
この「自立性」を長尺体10に付与する上では、例えば、上下の長尺体10が複数のケーブル・チューブ等を組み合わせた層構造を構成する場合には、より剛性の高いケーブル・チューブ等をより内側に配置することで長尺体全体の剛性を向上させることによっても実現可能であり、また、長尺体を構成する部材の径や厚みを大きくすることで、同様に剛性させる事によっても実現可能である。さらには、その長尺体(集合体)10自体の材質によっても実現可能である。
本実施形態では、長尺体10は、ポリウレタン製のチューブ12や電気ケーブル14a、14bを複数本、互いに近接させて融着等することにより組み合わされて構成されており、図2に示す例では、4本の比較的径の大きいケーブル及びチューブから成る略矩形状部10Aと、多数の比較的径の小さいケーブルから成る帯状部10Bとにより構成されている。ここで、長尺体10の厚みとは、略矩形状部10Aと帯状部10Bの整列方向、即ち、図2(B)における紙面の上下方向の寸法を意味し、長尺体10の幅とは、帯状部10Bの複数の電気ケーブル14の整列方向、即ち、図2(B)における紙面の左右方向の寸法を有するものとする。この幅方向は、後述する支持部材20を構成する一対の第2支持部(多関節部材)及びその間の空間により形成される支持部材20の幅方向に対応している。そして、図2から明らかなように、本実施形態においては、長尺体10の厚みと幅の比率は幅の方がより大きくなるように形成されている。また、長尺体10は、複数のチューブ12とケーブル14によって多層構造を有しているが、本実施形態ではより剛性が高く径の大きなケーブル14bを長尺体10の最も内側に配置し、長尺体10の自立性を担保している。
支持部材20は、長尺体10を外側から押圧・支持して長尺体10の曲げ方向の移動を規制する第1支持部201と、第1支持部201と略直交して伸びるように配置されることによって、前記長尺体の幅方向への移動を規制する第2支持部202とを有することにより、第1支持部201と第2支持部202とにより区画される面以外が開放した収容部205が形成されている。本実施形態では、この収容部205に、長尺体10が部分的に収容されている、即ち、長尺体10の略矩形状部10Aが収容されている。尚、後述するように、収容部205に、長尺体10が全体的に収容されているようにしても良い。
本実施形態では、支持部材20の第2支持部202は、相互に離間して配置される一対の多関節部材202A、202Bを有し、収容部205は、第1支持部201と第1支持部201により相互に架橋される一対の多関節部材202A、202Bから形成されている。多関節部材202A、202Bは、それぞれ複数の駒部材22が湾曲可能に連続的に連結された構成を有している。一方、支持部材20の第1支持部201は、複数の金属製の棒(ハ゛ー)201aから構成され、各金属製の棒(ハ゛ー)201aは、図2(B−1)等に示すように、一対の多関節部材202A、202Bの外側端部のそれぞれに形成された貫通穴202AH、202BHを、収容部205を区画するように挿通して固定されている。尚、金属製の棒(ハ゛ー)201aは、長手方向の所定の間隔を置いて、多関節部材202A、202Bの貫通穴202AH、202BHを挿通して固定されており、本実施形態では、その箇所を、Pで示している。その箇所Pは、湾曲の開始する箇所に設けることが望ましいが、長手方向においてPを設ける間隔は、例えば3〜4cm間隔で十分である。
これにより、一対の多関節部材202A、202Bが平行に保持されると共に、収容部205の容積を保持し、収容部205内に収容された長尺体10の一部(略矩形状部10A)が圧迫されて損傷するのを防止できる。また、支持部材20を含めた往復移動機構全体の幅方向の剛性を保持することもできる。尚、本実施形態では、支持部材20の第1支持部201を一対の多関節部材202A、202Bのそれぞれに形成された貫通穴202AH、202BHに挿通された複数の金属製の棒(ハ゛ー)201aから構成したが、多関節部材202A、202Bには貫通穴202AH、202BHを形成せず、単に一対の多関節部材202A、202Bの外側端部のそれぞれに係止される止め金等により構成しても良い。但し、一対の多関節部材202A、202Bのそれぞれに貫通穴202AH、202BHを形成し、任意の貫通穴202AH、202BHに金属製の棒(ハ゛ー)201aを挿通する構成であれば、長尺体を外側から押圧・支持する(抑え込む)箇所を、長手方向の任意の箇所に簡単に設けることができるので、往復移動機構が用いられる製造装置のレイアウト構成等に合わせたレイアウト・スペース設計が容易になる。
ここで、支持部材20の第2支持部202の詳細について説明する。上述したように、支持部材20の第2支持部202を構成する多関節部材202A、202Bは、それぞれ複数の駒部材22が湾曲可能に連続的に連結されて構成されている。多関節部材202A、202Bは、それぞれ長尺体10の長手方向に沿って並べられた断面が略レール形状の複数の駒部材22と、当該長手方向に並べられた複数の駒部材22の各内周部に貫通されるバネ性(弾性)を有するコイル状(コイルバネ)の弾性部材23とを備えている。尚、駒部材22は、断面略レール形状に限らず、円筒形等であってもよい。また、弾性部材23は、棒状に構成されていてもよい。
駒部材22の材料としては、例えば、液晶ポリマ(LCP)、ポリアセタール(POM)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等の樹脂材料やアルミ等の金属材料や木製材料等が挙げられる。そして、耐摩耗性を高めるため、樹脂材料にガラスフィラーを混合してもよく、また、低摩擦とするために、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を混合してもよい。弾性部材23の材料としては、ステンレス等の金属材料や硬質のゴム材料等が挙げられ、曲げ応力を高めるためにテンションアニールを施してもよい。
図2(B)に示すように、駒部材22には、弾性部材23が貫装される長尺体10長手方向に貫通する貫通孔22aが形成されている。貫通孔22aは中空の円筒形状に限らず、弾性部材23を挿通して保持できる形状であればC型の筒形状であってもよいし、角形の穴等であってもよく、また、例えば、1つの駒部材22の中で、円筒形状、C型の筒形状、円筒形状の順で組み合わされた穴であってもよい。また、図2(B)に示すように、駒部材22の内側端部には、それぞれ長尺体10の長手方向の一方の側に半円状の凸部22bと、他方の側に(隣の駒部材22の)凸部22bと嵌合する半円状の凹部22cが形成されている。凸部22bと凹部22cは、それぞれ同一径で形成されている。そして、凸部22bおよび凹部22cは、それらの円弧中心が、穴22aに貫装される弾性部材23の中心軸線上に位置するように形成されている。また、図2(A)に示すように、各駒部材22の主要部(内側端部以外の部分)は、前側が凹んだ円弧状部22jに形成され、後側が凸の円弧状部22kに形成されている。
また、図2(A)では、相互に嵌りこんでいるため見えないが、図2(B−1)等に示すように、長尺体10の長手方向にリブ状に突起した突起部22dと、他方の側に(隣の駒部材22の)突起部22dと嵌合する対応した形状と大きさの縦溝22eが形成されている。図2(A)のLで示す部分やRで示す部分のように、複数の駒部材22が長尺体10の長手方向に直線状に並んでいる状態では、凸部22bは前隣の駒部材22の凹部22cに略完全に嵌まり込むようになっている。また、同様に、図2(A)のLで示す部分やRで示す部分のように、複数の駒部材22が長尺体10の長手方向に直線状に並んでいる状態では、各駒部材22の前側の凹んだ円弧状部22jは、前隣の駒部材22の後ろ側の凸の円弧状部22kと隙間なく接合している。更に、図2(A)のLで示す部分やRで示す部分のように、複数の駒部材22が長尺体10の長手方向に直線状に並んでいる状態では、突起部22dは前隣の駒部材22の縦溝22eに略完全に嵌まり込むようになっている。
また、図2(A)のLで示す部分やRで示す部分のように、複数の駒部材22が長尺体10の長手方向に直線状に並んでいる状態では、複数の駒部材22それぞれの厚さ方向内側端の前側は、前隣の駒部材22の後ろ側との間に逆V型の隙間22fが形成されるような形状に形成されている。以上の構成において、図2(A)のCで示す部分のように、長尺体10の長手方向で湾曲した部分では、各駒部材22の凸部22bが前隣の駒部材22の凹部22cに略完全に嵌まった状態で、これらを回動軸を中心として回動するように位置ずれし、各駒部材22の前側と前隣の駒部材22の後ろ側との間が接触して逆V型の隙間22fが消失し、反対に、各駒部材22の前側の凹んだ円弧状部22jと前隣の駒部材22の後ろ側の凸の円弧状部22kとの間に外側ほど大きな隙間が形成されることで、複数の駒部材22それぞれの厚さ方向外側端から内側に向って大きなV型の隙間22gが形成されるようになる。但し、駒部材22の突起部22dと前隣の駒部材22の縦溝22eの嵌合状態は減少するが完全には外れないので、駒部材22同士の幅方向の位置ずれは防止される。また、駒部材22の各内周部に貫通されるバネ性(弾性)を有するコイル状(コイルバネ)の弾性部材23によっても、駒部材22同士の幅方向の位置ずれは防止されるのは勿論である。
以上の構成により、本実施形態の例においては、長尺体10があえてコシの強い剛性を有するようにし、長尺体10自身に自立性を持たせているので、内側への長尺体10の撓みやダレを防止することができるとともに、長尺体10に対し、支持部材20が外側から押圧・支持しているため、湾曲させた際の長尺体10自体の膨らみを押さえ込み、長尺体10ひいては往復移動機構100全体の高さを低減することができるだけでなく、支持部材20は長尺体10の外側にのみ配置されており、長尺体の内側には開放空間30が形成されていることから、支持部材20の曲げ半径を最小曲げ半径にまでより近づけることができ、往復移動機構100全体としての低背化をさらに図ることができる。
また、長尺体10の厚みと幅の比率において、幅の方をより大きく形成されていることで、長尺体10の柔軟性が向上し、ひいては外側の支持部材20がより長尺体10を押圧・支持しやすくなり、支持部材をより最小曲げ半径に近い形で湾曲させることができ、往復移動機構全体としての低背化をより促進することができる。
さらに、支持部材20を構成する第1支持部と第2支持部によって収容部205が形成されることによって、開放した収容部205において、長尺体10を収容可能なスペースが形成される。したがって、この収容部205に長尺体10を部分的に収容することで、長尺体10を湾曲させた際の曲げ半径を、収容部205の高さ分、支持部材20の最小曲げ半径に近づけることができる。これにより、曲げ半径の大きくなった長尺体10は曲げに対する復元力が低減され、外側の支持部材20に対する復元力が低減することによって、支持部材20がさらに最小曲げ半径により近い状態で長尺体10を押圧・支持することができる。
または、収容部205に収容された長尺体10は、往復移動の際、曲げ方向に対する復元力方向および幅方向への移動が、第1および第2支持部によってそれぞれ規制されており、往復移動に伴う振動やがたつきによっても支持部材20による支持が維持され、安定性が向上する。これにより、製品安定性も向上することができる。
尚、弾性部材23は、引張力が作用された状態で駒部材22に挿通されているので、複数の駒部材22間には圧縮力が作用した状態となり、長尺体10の抑え込み力を高めて長尺体10の膨らみを有効に防止することができる。尚、「最小曲げ半径」は、ケーブル・チューブ等の種類等により相違するのは勿論であるが、チューブでは、キンク(座屈)しない閾値を意味し、ケーブルでは、例えば、ケーブル断面の直径の10倍程である。また、光ファイバでは、曲率半径の変化により透過光量が減少して光伝送の機能を損なわないような閾値を意味する。また、支持部材についての「最小曲げ半径」は、複数の部材を組み合わせている場合は、各部材を接続した際の各部材の回転角度の最大値が考えられる。これに対し、1つの部材に切れ目を入れて湾曲可能な支持部材を構成している場合は、湾曲した状態における内側の切れ込みが閉じた状態の値が考えられる。
また、両端の弾性部材23に固定される駒部材22以外は弾性部材23に駒部材22は固定されずに挿通され、圧縮力により駒部材22間の接合を維持している構成であるので、反対方向の荷重が加わった際にも駒部材22や弾性部材23が破損することを防止している。なお、本実施形態は上記したように弾性部材23に引張力が作用された状態で駒部材22を固定することが望ましいが、特に引張力がかかっていない状態で駒部材22が接合するように固定してもよい。
また、本実施形態では、支持部材20の第2支持部202を構成する一対の多関節部材202A、202Bは、一方向(内側方向)へは曲がるが、該一方向とは反対方向(外側方向)へは曲がらない支持部材として構成されている。即ち、図示しない弾性部材23は、図2(B)に示すように、駒部材22の長軸方向の中心より内側に挿通されている。また、図2(A)のCで示す部分のように、長尺体10の長手方向で湾曲した部分では、各駒部材22の凸部22bが前隣の駒部材22の凹部22cに略完全に嵌まった状態で、これらの回動軸を中心として回動するように位置ずれし、各駒部材22の前側と前隣の駒部材22の後ろ側との間が接触して逆V型の隙間22fが消失し、反対に、複数の駒部材22それぞれの厚さ方向外側端から内側に向って大きなV型の隙間22gが形成されるようになって湾曲するが、回動中心となる各駒部材22の凸部22bと前隣の駒部材22の凹部22cは、図2(A)に示すように、駒部材22の長軸方向の中心より内側に挿通されている。従って、逆方向に湾曲させようとしても、各駒部材22の前側の凹んだ円弧状部22jと前隣の駒部材22の後ろ側の凸の円弧状部22kが衝突してつかえてしまうので、それ以上湾曲できなくなる。このような構成をとることにより、反対方向へは曲がらない支持部材20を達成できる。また、支持部材20に反対方向の過度の荷重が掛かった場合でも、複数の駒部材22を連ねる弾性部材23が伸縮性を有している為、駒部材22を破壊することはない。以上の構成により、支持部材20が長尺体を押圧・支持することで、長尺体10の膨らみが押さえ込まれ、長尺体10ひいては往復移動機構100全体の高さを低減することができることは、前述した第1実施形態と同様である。
図3(C)は、本発明の第2実施形態に係る往復移動機構の支持部材及びそれに沿って配置された長尺体を、図2(B−1)に対応する部分のみを抽出して示す断面図であり、(D)〜(I)は、その各変形例1〜6を示す。尚、図3(C)及び(D)〜(I)では、支持部材及び長尺体を、図2(B)に対応する左側半分のみを抽出して示し、往復移動機構の他の構成は省略している。但し、本実施形態においても、往復移動機構の固定部や移動部、及び支持部材が複数の駒部材から成る多関節構造を有する点等は、図1及び図2(A)に示した基本構成と略同様であるので、その説明は省略し、本実施形態の特徴である支持部材と長尺体との位置関係や支持部材の第1支持部の構成等について説明する。
本発明の第2実施形態(に係る往復移動機構)では、支持部材20及び長尺体10を備え、支持部材20が長尺体10を外側から押さえつけた構造を有しており、長尺体10の内側には、何らの支持部材も存在せず、開放空間30が形成されている。しかしながら、長尺体10は、自立性を有しているので、長尺体10の内側に支持部材が存在せず、空間が形成されていても、内側に長尺体の撓みやダレを生じることが無い。即ち、 図3(C)に示す支持部材20は、外側の第1支持部201A及び内側の第1支持部201Bから成る2種類の第1支持部を有し、それぞれ一対の第2支持部202A、202B間に架橋された止め金により形成されている。一対の第2支持部202A、202B間には、長尺体10の収容部は形成されておらず、長尺体10は、内側の第1支持部201Bにより更にその内側に押さえつけられている。このような構成により、支持部材20が最小曲げ半径を維持した状態で湾曲することが可能であるため、支持部材20の第1支持部201Bにより、湾曲部分において長尺体10が膨らんでしまうのを抑え込むことができる。これにより、長尺体10の膨らみ分のスペースを不要として往復移動機構全体としての低背化が可能になる。尚、図3(C)に示す長尺体10は、チューブ10aと5本のケーブル10bを含み、これら合計6本の線状体が2本ずつ3層の層構造を有することで、自立性が付与されている。即ち、図3(C)に示す長尺体10は、全体として十分な厚みを有することで、自立性を有しており、内側に長尺体10の撓みやダレを生じることが無い。
図3(D)〜(I)に示す変形例について簡単に説明する。図3(D)及び(G)に示す変形例では、長尺体10は、図3(C)に示した長尺体10と同様の構成を有しており、3層の層構造を有することで、自立性を付与されている。しかしながら、図3(D)に示す変形例では、図3(C)に示した例とは異なり、内側の第1支持部201Bは有しておらず、複数の駒部材22が3列に形成されており、その真ん中の駒部材22により長尺体10が内側に押さえつけられている。また、図3(G)に示す変形例では、複数の駒部材22が1列だけ形成されており、その駒部材22により長尺体10が内側に押さえつけられている。図3(D)及び(G)に示す変形例においても、長尺体10は、支持部材20によりその内側に押さえつけられる構成により、上述した往復移動機構全体としての低背化が可能になるのは勿論である。
図3(E)、(F)、(H)及び(I)に示す変形例では、長尺体10は、図3(C)に示した長尺体10とは異なり、単層構造を有する。即ち、チューブ10aと5本のケーブル10bを含むのは同じであるが、これら合計6本の線状体が幅方向に6本並んだ単層構造を有する。従って、図3(E)、(F)、(H)及び(I)に示す変形例では、チューブ10aやケーブル10bの内部導体等や外被の厚さや材質等により自立性を付与されている。また、図3(E)に示す変形例では、複数の駒部材22が3列に形成されており、その3列の駒部材22により長尺体10が内側に押さえつけられている。図3(F)に示す変形例では、複数の駒部材22が1列のみ形成されており、その1列の駒部材22により長尺体10が内側に押さえつけられている。図3(H)に示す変形例では、複数の駒部材22が1列のみ形成されているが、その幅方向の両側に、断面略正方形の抑え部材(例えば、ローラー)22Gを有しており、その1列の駒部材22及び両側の抑え部材22Gにより長尺体10が内側に押さえつけられている。図3(I)に示す変形例では、複数の駒部材22が間隔をおいて2列(一対)形成され、その間隔に断面略正方形の抑え部材(スペーサ部材)22sを有しており、2列の駒部材22及び中心の抑え部材22sにより長尺体10が内側に押さえつけられている。図3(E)、(F)、(H)及び(I)に示す変形例でも、長尺体10は、支持部材20によりその内側に押さえつけられる構成により、上述した往復移動機構全体としての低背化が可能になるのは勿論である。
そして、図3(E)、(F)、(H)及び(I)に示す変形例では、長尺体10の厚みと幅の比率は幅の方がより大きくなるように形成されている。これにより、長尺体10の厚み方向のみならず、幅方向の剛性も維持されるので、幅方向の撓みやダレ等を有効に防止可能である。また、このように長尺体10の厚みと幅の比率は幅の方がより大きくなるように形成し、帯状の構成とする事で、長尺体10を湾曲させた際の曲げに対する復元力が低減する。このため、長尺体の柔軟性が向上し、ひいては外側の支持部材がより長尺体を押圧・支持しやすくなり、支持部材をより最小曲げ半径に近い形で湾曲させることができ、往復移動機構全体としての低背化をより促進することができる。
図4(J)は、本発明の第3実施形態に係る支持部材及びそれに沿って配置された長尺体を、図2(B−1)に対応する部分のみを抽出して示す断面図であり、(K)及び(L)は、その各変形例1及び2を示す。尚、 図4(J)〜(L)では、支持部材及び長尺体を、図2(B−1)に対応する部分のみを抽出して示し、往復移動機構の他の構成は省略している。但し、本実施形態においても、往復移動機構の固定部や移動部、及び支持部材が複数の駒部材から成る多関節構造を有する点等は、図1及び図2(A)に示した基本構成と略同様であるので、その説明は省略し、本実施形態の特徴である支持部材に形成される収容部と、その収容部に長尺体が収容されることによる作用効果等について説明する。
本発明の第3実施形態(に係る往復移動機構)においても、支持部材20及び長尺体10を備え、支持部材20が長尺体10を外側から押さえつけた構造を有し、長尺体10の内側には、何らの支持部材も存在せず、開放空間30が形成されているのは、上述した第1及び第2の実施形態等と同様である。しかしながら、長尺体10は、自立性を有しているので、長尺体10の内側に支持部材が存在せず、空間が形成されていても、内側に長尺体の撓みやダレを生じることが無いのも同様である。
即ち、 図4(J)に示す例では、支持部材20の第2支持部202は、相互に離間して配置される一対の多関節部材202A、202Bを有し、収容部205は、第1支持部201と第1支持部201により相互に架橋される一対の多関節部材202A、202Bから形成されている。この収容部205に長尺体10が収容されると、長尺体10は支持部材20の内周面に沿って収容されているので、長尺体10の曲げ半径が大きくなり、長尺体10の曲げに対する復元力が低減されることで、支持部材20がより最小曲げ半径に近い状態で、長尺体10を押圧・支持することが可能となり、更なる低背化を図ることも可能である。尚、図4(J)に示す長尺体10も、チューブ10aと5本のケーブル10bを含み、これら合計6本の線状体が2本ずつ3層の層構造を有することで、自立性を付与されているのは、上述した第2の実施形態と同様である。
図4(K)に示す変形例では、図4(J)に示した構成に加え、一対の多関節部材202A、202B及び収容部205に収容された3層の長尺体の内側に、更に、6本の線状体が幅方向に6本並んだ単層構造を組み合わせて融着等により固定した構成を有している。即ち、合計12本のチューブ・ケーブルから成る集合体としての長尺体10の一部が収容部205に収容されている。このように、支持部材20が収容部205を有することで、図4(J)に示す第2実施形態からさらにケーブル等の本数が増えた場合であっても、開放空間30に配置することができるとともに、長尺体10の厚みと幅の比率は幅の方がより大きくなるように形成することで、往復移動機構全体としての低背化をより促進することができることは、前述した図3(E)、(F)、(H)及び(I)の変形例と同様である。
図4(L)に示す変形例では、図4(J)に示した例における一対の多関節部材202A、202B及び第1支持部201が一体形成されている。そして、この一体形成された支持部材20の収容部205に、図4(J)に示したのと同様に、6本の線状体が2本ずつ3層の層構造を有する長尺体10が収容されているので、上述したのと同様の効果が有られる。即ち、長尺体10の全部が収容部205に収容されているので、最小曲げ半径に近い状態で、長尺体10を押圧・支持することが可能となり、更なる低背化を図れる。尚、図4(L)に示す変形例でも、一対の多関節部材202A、202B及び第1支持部201が一体形成されているが、長手方向には複数の駒部材として連結された多関節部材として構成されている。
図5は、本発明の第4実施形態に係る支持部材及びそれに沿って配置された長尺体を、図2(B−1)に対応する部分のみを抽出して示す断面図であり、(M)及び(N)は、その実施例1及び2を示す。本実施形態においても、往復移動機構の固定部や移動部、及び支持部材が複数の駒部材から成る多関節構造を有する点等は、図1及び図2(A)に示した基本構成と略同様であるので、その説明は省略し、本実施形態の特徴である支持部材の第1支持部と第2支持部との2面により区画されて形成される収容部とその作用効果について説明する。
本実施形態では、支持部材20は、長尺体10を外側から押圧・支持して長尺体10の曲げ方向の移動を規制する第1支持部21と、第1支持部21と略直交するように配置される第2支持部(駒部材)22とを有することにより、第1支持部21と第2支持部22とにより区画される2面(断面で言う2面)以外が開放した収容部205が形成され、この収容部205に長尺体10が収容されている。本実施形態でも、長尺体10が支持部材20の区画される2面に沿って収容されることで、長尺体10の曲げ半径が大きくなり、長尺体10の曲げに対する復元力が低減され、支持部材20がより最小曲げ半径に近い状態で、長尺体10を押圧・支持することが可能となり、更なる低背化を図れるのは同様である。また、1つの第1支持部21と1つの第2支持部22とにより区画して収容部205を形成できるので、部品点数が減少することでコスト低減が可能になる。尚、図5(M)に示す例では、比較的短い第1支持部21を有し、幅方向には2本のケーブル等が収容され、この2本が厚さ方向3層に構成された集合体を収容している。また、図5(N)に示す例では、比較的長い第1支持部21を有し、幅方向には6本のケーブル等が収容され、この6本が厚さ方向単層に構成された集合体を収容している。
このように、図5(N)に示す例において、図5(M)に示す例と比較して長尺体10の厚みと幅の比率は幅の方がより大きくなるように形成する事で、長尺体10の柔軟性を向上させ、ひいては往復移動機構全体としての低背化をより促進する事ができることは、前述した他の実施形態と同様である。さらには、本実施形態においては、第2支持部22による長尺体10の幅方向への移動を一方向のみから規制するものであるため、前述した第3実施形態のように幅方向への移動を両方から規制するものと比較しても、幅方向における長尺体の配列の自由度が向上する。すなわち、図示しないものの、本実施形態の変形例の1つとしては、長尺体10を支持部材20の収容部205に収容した状態であっても、その収容部205の幅方向の長さを超えた幅を有する長尺体を配置することも可能であり、より多くのケーブル等による集合体によって長尺体10を構成したとしても、前述同様、低背化が図られる。
以上の実施形態等では、ケーブル・チューブ等を融着等により固定した集合体により長尺体10を構成したが、長尺体を構成するケーブル・チューブ等は相互に固定されていなくても良い。また、長尺体10は、1本のケーブル又はチューブ等により形成される単線状のものでも良い。また、以上の実施形態においては、支持部材を複数の駒部材によって構成しているが、ここで、「多関節部材」とは、別個の複数の駒部材だけを指すものではなく、湾曲時において、長尺体を押圧・支持可能な構成であればよく、例えば、一体成形された長手方向に伸びる断面が下向きに凹状のものを、外側から切れ目を長手方向に所定の間隔において形成したものでもよい。更に、以上の実施形態等では、支持部材の第2支持部を複数の駒部材から成る多関節部材により形成し、第1支持部は金属製の棒(ピン)或いは止め金等により長手方向に間隔をおいて離散的に設けたが、支持部材の第1支持部と第2支持部を一体成型し、しかも長手方向にも多関節部材としてではなく、一体成型された1つの樋状部材として構成することも可能である。この場合、勿論、樋の第1支持部に相当する面は、湾曲した状態の長尺体を外側から押圧・指示するものであることが必要であるのは言うまでもない。また、長尺体を収容した樋の開放面側は、何も支持部材等は存在しない開放空間30になる。