しかしながら、このような車両用油圧制御装置210においては、エンジン回転数Nが上記所定の回転数N2近辺において変化し、図9の矢印に示されるように変動するとき、第1吐出油路220の油圧を所定圧P1に調圧するためのスプール弁子の軸方向への変位のため、図9に示されるように、第2吐出圧は大きな振幅をもって変化される、すなわち第2吐出油路222の油圧の急変化が生じる。これにより、バルブ摩耗やオイルポンプノイズ、オイルポンプの衝撃荷重によるポンプ耐久性の低下といった問題が生じる可能性があった。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、エンジン回転数Nの変動により生じる第2吐出圧の急変化によるバルブ摩耗やオイルポンプノイズ、オイルポンプの衝撃荷重によるポンプ耐久性の低下を抑制する車両用油圧制御装置を提供することにある。
すなわち、本発明の要旨とするところは、第1吐出油路に接続された第1吐出ポートおよび第2吐出油路に接続された第2吐出ポートを有するオイルポンプと、該第1吐出油路に接続され、該第1吐出油路から作動油を流出させる第1ポートと、該第2吐出油路に接続され、該第2吐出油路から作動油を流出させる第2ポートを有し、該第1ポートと該第2ポートが同期して開かれ、前記第1吐出油路から流出させる作動油の流量を増減させて前記第1吐出油路の油圧を調圧する調圧弁と、前記第1吐出油路と前記第2吐出油路との間に設けられ、前記第2吐出油路から前記第1吐出油路へ向う作動油の流通を許容し、前記第1吐出油路から前記第2吐出油路へ向う作動油の流通を阻止する逆止弁と、を備える車両用油圧制御装置であって、前記第1吐出油路から前記第2吐出油路へ向う作動油の流通が前記逆止弁により阻止されるとき、前記第2吐出油路から前記第1吐出油路へ向う作動油の流通が前記逆止弁により許容されるときに前記第2吐出油路から前記第1吐出油路へ流通される作動油の流量よりも小流量の作動油を、前記第1吐出油路から前記第2吐出油路へ流通させる絞り油路を、含むことを特徴とする車両用油圧制御装置にある。
本発明の油圧制御装置によれば、前記第1吐出油路から前記第2吐出油路ヘ向う作動油の流通が前記逆止弁により阻止されるとき、前記第1吐出油路から流出される作動油の流量が増減された際、前記第2吐出油路から前記第1吐出油路へ向う作動油の流通が前記逆止弁により許容されるときに前記第2吐出油路から前記第1吐出油路へ流通される作動油の流量よりも小流量の作動油が、絞り油路を通して前記第1吐出油路から前記第2吐出油路へ流出させられるため、前記第2吐出油路内の作動油圧の増減幅が縮小されることから、第2吐出油路の油圧の急激な低下および上昇すなわち油圧の急変化が抑制される。これにより、バルブ摩耗やオイルポンプノイズ、オイルポンプの衝撃荷重によるポンプ耐久性の低下を低減することができる。
ここで、好適には、前記絞り油路は、前記第1吐出油路から前記第2吐出油路へ向う作動油の流通が前記逆止弁により阻止されるとき、前記調圧弁の、前記第1吐出油路が接続されるポートと前記第2吐出油路が接続されるポートとの間のバルブクリアランスにより構成されている。このため、前記第1吐出油路から前記第2吐出油路ヘ向う作動油の流通が前記逆止弁により阻止されて、前記第1吐出油路内の作動油圧が増減される際、前記第2吐出油路から前記第1吐出油路へ向う作動油の流通が前記逆止弁により許容されるときに前記第2吐出油路から前記第1吐出油路へ流通される作動油の流量よりも小流量の作動油が、前記第1吐出油路が接続されるポートと前記第2吐出油路が接続されるポートとの間のバルブクリアランスを通じて前記第1吐出油路から前記第2吐出油路へ流出させられることから、前記第2吐出油路内の作動油圧の増減幅が縮小され、前記第2吐出油路の油圧の急変化が抑制される。これにより、バルブ摩耗やオイルポンプノイズ、オイルポンプの衝撃荷重によるポンプ耐久性の低下を低減することができる。
また、好適には、前記絞り油路は、スプール弁子の外周面とそのスプール弁子が嵌め入れられたシリンダボアの内周面との間により前記第2吐出油路から前記第1吐出油路へ向う作動油の流通を許容し、前記第1吐出油路から前記第2吐出油路へ向う作動油の流通を阻止する逆止弁のバルブクリアランスにより構成されている。このため、前記第2吐出油路から前記第1吐出油路ヘ向う作動油の流通が前記逆止弁により阻止されて、前記第1吐出油路から流出される作動油の流量が増減される際、前記第2吐出油路から前記第1吐出油路へ向う作動油の流通が前記逆止弁により許容されるときに前記第2吐出油路から前記第1吐出油路へ流通される作動油の流量よりも小流量の作動油が、逆止弁のバルブクリアランスを通じて前記第1吐出油路から前記第2吐出油路へ流通されることから、前記第2吐出油路からの作動油の流出量の増減幅が縮小され、前記第2吐出油路の油圧の急変化が抑制される。これにより、バルブ摩耗やオイルポンプノイズ、オイルポンプの衝撃荷重によるポンプ耐久性の低下を低減することができる。
また、好適には、前記絞り油路は、前記第1吐出油路と前記第2吐出油路との間に設けられ、作動油を流通するオリフィスから構成されている。このため、前記第1吐出油路から前記第2吐出油路ヘ向う作動油の流通が前記逆止弁により阻止されるとき、前記第1吐出油路から流出される作動油の流量が増減された際、前記第2吐出油路から前記第1吐出油路へ向う作動油の流通が前記逆止弁により許容されるときに前記第2吐出油路から前記第1吐出油路へ流通される作動油の流量よりも小流量の作動油が、オリフィスを通じて高圧側の第1吐出油路から低圧側の第2吐出油路へ流通されることから、第2吐出油路からの作動油の流出量の増減幅が縮小され、第2吐出油路の油圧の急変化が抑制される。これにより、バルブ摩耗やオイルポンプノイズ、オイルポンプの衝撃荷重によるポンプ耐久性の低下を低減することができる。
以下、本発明の油圧制御装置の一実施例について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の油圧制御装置の構成を説明する概略図である。油圧制御装置10は、A/TやCVTの油圧シリンダなど作動油を消費する制御対象12に作動油を供給するオイルポンプ14およびオイルポンプ15と、オイルポンプ14、オイルポンプ15から制御対象12へ吐出された作動油の油圧、すなわちライン圧を制御する調圧弁16とを備えている。
オイルポンプ14およびオイルポンプ15は、エンジンによって共通の駆動軸により駆動され、オイルパン18に貯留された作動油をオイルストレーナ20を経由して吸入する第1吸入ポート22および第2吸入ポート24と、吸入された作動油を吐出するための第1吐出ポート26および第2吐出ポート28とをそれぞれ有している。
調圧弁16は、バルブボデー30と、バルブボデー30内部に形成されたボア内に摺動可能に嵌め入れられたスプール弁子32と、スプール弁子32を閉弁方向すなわち図1の上方向へ付勢するスプリング34から構成される。バルブボデー30は、その外周面に第1入力ポート36、第2入力ポート38、第3入力ポート40およびフィードバックポート42を有し、同様に、第1出力ポート44および第2出力ポート46を有している。スプール弁子32は、バルブボデー30の内周面にその外周面で軸方向に摺動可能な円柱状のランド部、すなわち図1のスプール弁子32の軸方向の上側から順に、第1ランド部48、第2ランド部50、第3ランド部52および第4ランド部54を有している。また、スプール弁子32は、フィードバックポート42に入力された作動油の油圧により、閉弁方向すなわち図1の下方向へ付勢されるように、スプール弁子32の軸方向と直交する平面上の断面積が第1ランド部48および第2ランド部50の方が第3ランド部52および第4ランド部54よりも小さく構成されている。このように構成された調圧弁16は、さらに、スプリング34の閉弁方向の付勢力よりもフィードバックポート42に入力された作動油の油圧に対応する閉弁方向の付勢力が大きくなって、スプール弁子32がバルブボデー30に対して図1の下方向へ摺動させられたとき、第1入力ポート36と第1出力ポート44との間および第2入力ポート38と第2出力ポート46との間が同期して開かれる。第2入力ポート38と第2出力ポート46との間の開口断面積が、第1入力ポート36と第1出力ポート44との間の開口断面積よりも大きくなるように、各ランド部の形状、たとえば、第4ランド部54の軸線方向の上端部に形成された図示しない面取りおよびバルブボデー30の各ポートとスプール弁子32の各ランド部の相体的な位置関係などが設定されている。フィードバックポート42と第3入力ポート40との間には、絞り油路として機能するバルブクリアランス55が設けられている。高圧側から低圧側へ作動油が流通され、且つフィードバックポート42に入力される油圧に応じて、スプール弁子32の図1の下方向への変位が大きくされるに従い、バルブボデー30のフィードバックポート42と第3入力ポート40との間の内周面に対向する第3ランド部52の外周面の面積が小さくなる、すなわちバルブクリアランス55の軸方向の長さが小さくなるように、その相体的な位置関係などが調整されている。なお、連通された第1入力ポート36と第1出力ポート44との間は本発明の第1ポートに、連通された第2入力ポート38と第2出力ポート46との間は本発明の第2ポートに相当し、また、フィードバックポート42は本発明の第1吐出油路が接続されるポートに、第3入力ポート40は本発明の第2吐出油路が接続されるポートにそれぞれ相当する。
第1油路56は、オイルポンプ14の第1吸入ポート22およびオイルポンプ15の第2吸入ポート24とオイルパン18とを接続する。第1吐出油路58は、オイルポンプ14の第1吐出ポート26と調圧弁16の第1入力ポート36およびフィードバックポート42とを接続するとともに、制御対象12への作動油供給路となっている。第2吐出油路60は、第2吐出ポート28から吐出された作動油が調圧弁16から排出されるように、オイルポンプ15の第2吐出ポート28と調圧弁16の第2入力ポート38および第3入力ポート40とを接続する。第2油路62は、第2吐出油路60側から第1吐出油路58側への作動油の流通を許容し、第1吐出油路58から第2吐出油路60への作動油の流通を阻止する逆止弁64を介して、第1吐出油路58と第2吐出油路60とを接続している。なお、逆止弁64は、第2吐出油路60から第1吐出油路58へ向う作動油の流通を許容するときに第2吐出油路60から第1吐出油路58へ流通される作動油の流量が、第1吐出油路58の油圧と第2吐出油路60の油圧とに差があるときにフィードバックポート42と第3入力ポート40との間の前記バルブクリアランス55を通じて高圧側から低圧側へ流通される作動油量よりも充分に多くなるように構成されている。第3油路66は、調圧弁16の第1入力ポート36と第1出力ポート44が連通されているとき、第1吐出油路58の作動油をたとえば図示しない第2の調圧弁へ供給する。第4油路68は、調圧弁16の第2入力ポート38と第2出力ポート46が連通されているとき、第2吐出油路60の作動油をオイルパン18へ還流させる。
次に、油圧制御装置10における第1吐出油路58の油圧の制御について説明する。エンジンなどの駆動源の駆動に応じたオイルポンプ14およびオイルポンプ15の回転軸の回転により、オイルパン18に貯留された作動油が第1油路56を通じて第1吸入ポート22および第2吸入ポート24からオイルポンプ14およびオイルポンプ15内部へ吸入され、第1吐出ポート26から第1吐出油路58へ、また第2吐出ポート28から第2吐出油路60へそれぞれ吐出される。オイルポンプ14およびオイルポンプ15の回転軸の回転に同期されるエンジン回転数Nが低いとき、第1吐出圧が制御対象12に要求される所定圧P1に満たないので、調圧弁16のスプリング34の閉弁方向の付勢力がフィードバックポート42へ入力される油圧に対応する開弁方向の付勢力よりも大きく、第1入力ポート36と第1出力ポート44との間および第2入力ポート38と第2出力ポート46との間が閉じられる。このとき、第2吐出油路60から第1吐出油路58への第2油路を通じた作動油の流通が逆止弁64により許容され、第1吐出油路58の調圧弁16による調圧の立上がりが促進される。エンジン回転数Nが所定の回転数N1になり、第1吐出圧が制御対象12への供給圧に充分な圧となると、フィードバックポート42に入力される油圧に対応する開弁方向の付勢力とスプリング34の閉弁方向の付勢力とがバランスし、第1吐出圧が一定の圧P1となるように、第1入力ポート36と第1出力ポート44との間が開閉されると同時に、第2入力ポート38と第2出力ポート46との間が同期して開閉される。このとき、連通された第1入力ポート36と第1出力ポート44との間の開口断面積は、連通された第2入力ポート38と第2出力ポート46との間の開口断面積よりも大きく、第1吐出圧と第2吐出圧は同圧であるため、エンジン回転数が大きくされるに伴い、連通された第1入力ポート36と第1出力ポート44を通じて第1吐出油路58から第3油路66へ流出される作動油量よりも、連通された第2入力ポート38と第2出力ポート46を通じて第2吐出油路60から第4油路68へ流出される作動油量の方が多くなることから、第1吐出油路58から第2吐出油路60への作動油の流通は逆止弁64により阻止され、第2吐出ポート28から第2吐出油路60へ吐出された作動油は、連通された第2入力ポート38と第2出力ポート46および第4油路68を通じてオイルパン18へ還流される。
第1吐出油路58から第2吐出油路60への作動油の流通が逆止弁により阻止され、エンジン回転数Nが大きくされると、第1吐出油路58の調圧のために、スプール弁子32の図1の下方向への変位が大きくされ、第1入力ポート36と第1出力ポート44との間を通じた第1吐出油路58から第3油路66への作動油の流出量が増加されるに伴い、連通された第2入力ポート38と第2出力ポート46との間を通じた第2吐出油路60から第4油路68への作動油の流出量も増加されるため、第2吐出圧は低下される。また、第2吐出圧が低下されているとき、エンジン回転数Nが小さくされると、第1吐出油路58の調圧のために、スプール弁子32の図1の下方向への変位が小さくされ、第1入力ポート36と第1出力ポート44との間を通じた第1吐出油路58から第3油路66への作動油の流出量が減少されると、第2入力ポート38と第2出力ポート46との間を通じた第2吐出油路60から第4油路68への作動油の流出量も減少されるため、第2吐出圧は上昇され、第2吐出油路60から第1吐出油路58への作動油の流通が逆止弁64により許容される。
上記の逆止弁64の開閉に際し、調圧弁16の第1吐出油路58が接続されたフィードバックポート42と第2吐出油路60が接続された第3入力ポート40との間に設けられた絞り油路として機能するバルブクリアランス55を通じて、第2吐出油路60から第1吐出油路58へ向う作動油の流通が逆止弁64により許容されるときに逆止弁64を通じて許容される作動油の流量よりも小流量の作動油が、第2吐出圧よりも高圧な第1吐出油路58から第2吐出油路60へその差圧に応じて流通される。このため、連通された第2入力ポート38から第2出力ポート46を通じて、第2吐出油路60から第4油路68へ流出される作動油圧の増減幅が縮小される。また、エンジン回転数Nが大きくなるほど、第2吐出圧と第1吐出圧の差圧が大きくなるとともに、バルブクリアランス55の軸方向の長さが小さくされるので、バルブクリアランス55を通じた第1吐出油路58から第2吐出油路60への作動油の流通が増加されることから、第2吐出油路60の作動油圧の増減幅がさらに縮小される。
上述のように、本実施例の油圧制御装置10によれば、第1吐出油路58から第2吐出油路60ヘ向う作動油の流通が逆止弁64により阻止されるとき、第2吐出油路60から第1吐出油路58へ向う作動油の流通が逆止弁64により許容されるときに第2吐出油路60から第1吐出油路58へ流通される作動油の流量よりも小流量の作動油が、絞り油路として機能するバルブクリアランス55を通して第1吐出油路58から第2吐出油路60へ流通されるため、第2吐出油路60からの作動油圧の増減幅が縮小されることから、第2吐出圧の急激な低下および上昇すなわち油圧の急変化が抑制される。これにより、バルブ摩耗やオイルポンプノイズ、オイルポンプの衝撃荷重によるポンプ耐久性の低下を低減することができる。
また、本実施例の油圧制御装置10によれば、絞り油路は、第1吐出油路58から第2吐出油路60へ向う作動油の流通が逆止弁64により阻止されるとき、調圧弁16の、第1吐出油路58が接続されるフィードバックポート42と第2吐出油路60が接続される第3入力ポート40との間のバルブクリアランス55により構成されている。このため、第1吐出油路58から第2吐出油路60ヘ向う作動油の流通が逆止弁64により阻止されるとき、第1吐出油路58から流出される作動油の流出量が増減された際、第2吐出油路60から第1吐出油路58へ向う作動油の流通が逆止弁64により許容されるときに第2吐出油路60から第1吐出油路58へ流通される作動油の流量よりも小流量の作動油が、第1吐出油路58が接続されるフィードバックポート42と第2吐出油路60が接続される第3入力ポート40との間のバルブクリアランス55を通じて第1吐出油路58から第2吐出油路60へ流通されることから、第2吐出油路60の作動油圧の増減幅が縮小され、第2吐出圧の急変化が抑制される。これにより、バルブ摩耗やオイルポンプノイズ、オイルポンプの衝撃荷重によるポンプ耐久性の低下を低減することができる。
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の実施例において前記実施例と機能において実質的に共通する部分には同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
図2は、本発明の他の実施例における油圧制御装置70の構成を説明する概略図である。油圧制御装置70は、調圧弁72の構成において異なる以外は、前述の油圧制御装置10と機能において実質的に共通する。したがって、上記の異なる構成について図2を参照して詳細に説明する。
調圧弁72は、フィードバックポート82と第2入力ポート80との間のバルブクリアランス96および第1入力ポート78と第3入力ポート81との間のバルブクリアランス97(絞り油路)を通じて、高圧側の第1吐出油路58から低圧側の第2吐出油路60へ作動油が僅かに流通可能であり、且つスプール弁子76の摺動可能範囲において、第1入力ポート78と第3入力ポート81との間のバルブクリアランス97の軸方向の長さが変わらないように、フィードバックポート82と第2入力ポート80および第1入力ポート78と第3入力ポート81の相体的な位置関係などが設定されている。なお、図2の調圧弁72の右半分は、スプール弁子76が下方向へ変位しておらず、左半分は、フィードバックポート82へ入力された作動油圧に対応する開弁方向の付勢力とスプリング34の閉弁方向の付勢力とがバランスし、第1入力ポート78と第1出力ポート84との間および第2入力ポート80と第2出力ポート86との間が開閉される調圧状態を示している。
油圧制御装置70の第1吐出油路58と第2吐出油路60とを接続する第2油路62には、逆止弁64が設けられている。逆止弁64は、第2吐出油路60から第1吐出油路58へ向う作動油の流通を許容するとき、第2吐出油路60から第1吐出油路58へ流通される作動油の流量が、フィードバックポート82と第2入力ポート80との間の絞り油路として機能するバルブクリアランス96、および第1入力ポート78と第3入力ポート81との間の絞り油路として機能するバルブクリアランス97を通じて、第1吐出油路58の油圧と第2吐出油路60の油圧との差圧に応じて、高圧側から低圧側へ流通される作動油の流量よりも多くなるように構成されている。
上記逆止弁64の開閉に際し、調圧弁72の第1吐出油路58が接続されたフィードバックポート82と第2吐出油路60が接続された第2入力ポート80との間に設けられた絞り油路として機能するバルブクリアランス96、および第1吐出油路58が接続された第1入力ポート78と第2吐出油路60が接続された第3入力ポート81との間に設けられた絞り油路として機能するバルブクリアランス97を通じて、第2吐出油路60から第1吐出油路58へ向う作動油の流通が逆止弁64により許容されるときに、第2吐出油路60から第1吐出油路58へ流通される作動油の流量よりも小流量の作動油が、第2吐出圧よりも高圧な第1吐出油路58から第2吐出油路60へその差圧に応じて流通される。このため、第2吐出油路60の作動油圧の増減幅が縮小される。また、エンジン回転数Nが前記所定の回転数より大きくされても、第1入力ポート78と第3入力ポート81との間のバルブクリアランス97の軸方向の長さは不変であるので、バルブクリアランス97を通じた第1吐出油路58から第2吐出油路60への作動油の流通量の増加は、第1吐出圧と第2吐出圧の差圧に応じた増加のみであることから、調圧弁72の第1吐出圧の制御性が良い。
上述のように、本実施例の油圧制御装置70によれば、第1吐出油路58から第2吐出油路60ヘ向う作動油の流通が逆止弁64により阻止されるとき、第1吐出油路58から流出される作動油の流出量が増減された際、第2吐出油路60から第1吐出油路58へ向う作動油の流通が逆止弁64により許容されるときに第2吐出油路60から第1吐出油路58へ流通される作動油の流量よりも小流量の作動油が、絞り油路として機能するバルブクリアランス96、97を通して第1吐出油路58から第2吐出油路60へ流通されるため、第2吐出油路60の作動油圧の増減幅が縮小されることから、第2吐出圧の急激な低下および上昇すなわち油圧の急変化が抑制される。これにより、バルブ摩耗やオイルポンプノイズ、オイルポンプの衝撃荷重によるポンプ耐久性の低下を低減することができる。
また、本実施例の油圧制御装置70によれば、絞り油路は、調圧弁72の第1吐出油路58が接続されたフィードバックポート82と第2吐出油路60が接続された第2入力ポート80との間に設けられたバルブクリアランス96、および第1吐出油路58が接続された第1入力ポート78と第2吐出油路60が接続された第3入力ポート81との間に設けられたバルブクリアランス97により構成されている。このため、第1吐出油路58から第2吐出油路60ヘ向う作動油の流通が逆止弁64により阻止されるとき、第1吐出油路58から流出される作動油の流出量が増減された際、第2吐出油路60から第1吐出油路58へ向う作動油の流通が逆止弁64により許容されるときに第2吐出油路60から第1吐出油路58へ流通される作動油の流量よりも小流量の作動油が、第1吐出油路58が接続されるフィードバックポート82と第2吐出油路60が接続される第2入力ポート80との間のバルブクリアランス96、および第1吐出油路58が接続される第1入力ポート78と第2吐出油路60が接続される第3入力ポート81との間のバルブクリアランス97を通じて第1吐出油路58から第2吐出油路60へ流通されることから、第2吐出油路60の作動油圧の増減幅が縮小され、第2吐出圧の急変化が抑制される。これにより、バルブ摩耗やオイルポンプノイズ、オイルポンプの衝撃荷重によるポンプ耐久性の低下を低減することができる。
次に本発明の他の実施例を説明する。図3は、本発明の他の実施例における油圧制御装置98の構成を説明する概略図である。調圧弁100は前述の油圧制御装置10の調圧弁16と比較したとき、第3入力ポート40に相当するポートが形成されていないことを除いて、その他の構成は調圧弁16に共通する。そのため、油圧制御装置98の第2吐出油路60は、第2吐出ポート28から第3入力ポート40へ接続される油路の有無以外の構成を除き、油圧制御装置10の第2吐出油路60の構成と実質的に違いはない。
図4は、油圧制御装置98の逆止弁102の構成を説明する正面図であり、図5は、逆止弁102のスプール弁子104をその軸方向の上側から見た平面図である。逆止弁102は、一端面において有底の円筒状のバルブボデー106と、バルブボデー106に摺動可能に嵌め入れられる長手状のスプール弁子104と、バルブボデー106の上記一端面側の内底とスプール弁子104との間に介在させられ、スプール弁子104を軸方向の一方すなわち図4における上方向へ付勢するスプリング108と、スプリング108により付勢されたスプール弁子104の軸方向の一端面に当接されつつ、バルブボデー106の開口を封ずるようにバルブボデー106に締結されたプレート110とから構成され、第2油路62に設けられている。バルブボデー106には、第2油路62を介して第1吐出油路58に接続される第1入力ポート112と出力ポート114が形成されている。プレート110には、スプール弁子104の上記一端面に対向する開口であり、第2油路62を介して第2吐出油路60と接続される第2入力ポート115が形成されている。図5に示されるように、スプール弁子104のランド部116の前記一端面には、軸方向に陥設された窪み118が設けられている。また、逆止弁102は、第1吐出油路58から第2吐出油路60へ向う作動油の流通を阻止するとき、たとえば図4の右側のスプール弁子104に示されるようにランド部116の一端面がプレート110に当接されているときにおいても、逆止弁102の出力ポート114とプレート110との間のシリンダボア内周面とランド部116の外周面との間の絞り油路として機能するバルブクリアランス119およびスプール弁子104の窪み118を通じて、第2吐出油路60から第1吐出油路58へ向う作動油の流通を許容するときに、第2吐出油路60から第1吐出油路58へ流通させる作動油の量よりも小流量の作動油を、第1吐出圧と第2吐出圧との差圧に応じて、第1吐出油路58から第2吐出油路60へ流通させるように構成されている。
上記の逆止弁102の開閉に際し、逆止弁102の第1吐出油路58が接続された出力ポート114とプレート110との間に設けられたバルブクリアランス119および第2入力ポート115に対向するスプール弁子104の窪み118を通じて、第2吐出油路60から第1吐出油路58へ向う作動油の流通が逆止弁102により許容されるときに第2吐出油路60から第1吐出油路58へ流通される作動油の流量よりも小流量の作動油が、第2吐出圧よりも高圧な第1吐出油路58から第2吐出油路60へその差圧に応じて流通される。このため、第2吐出油路60の作動油圧の増減幅が縮小される。
上述のように、本実施例の油圧制御装置98によれば、第1吐出油路58から第2吐出油路60ヘ向う作動油の流通が逆止弁102により阻止されるとき、第1吐出油路58から流出される作動油の流出量が増減された際、第2吐出油路60から第1吐出油路58へ向う作動油の流通が逆止弁102により許容されるときに第2吐出油路60から第1吐出油路58へ流通される作動油の流量よりも小流量の作動油が、絞り油路として機能するバルブクリアランス119を通じて第1吐出油路58から第2吐出油路60へ流通されるため、第2吐出油路60の作動油圧の増減幅が縮小されることから、第2吐出圧の急激な低下および上昇すなわち油圧の急変化が抑制される。これにより、バルブ摩耗やオイルポンプノイズ、オイルポンプの衝撃荷重によるポンプ耐久性の低下を低減することができる。
また、本実施例の油圧制御装置98によれば、絞り油路は、スプール弁子104の外周面とスプール弁子104が嵌め入れられたシリンダボアの内周面との間により第2吐出油路60から第1吐出油路58へ向う作動油の流通を許容し、第1吐出油路58から第2吐出油路60へ向う作動油の流通を阻止する逆止弁102のバルブクリアランス119により構成されている。このため、第1吐出油路58から第2吐出油路60ヘ向う作動油の流通が逆止弁102により阻止されるとき、第1吐出油路58から流出される作動油の流出量が増減された際、第2吐出油路60から第1吐出油路58へ向う作動油の流通が逆止弁102により許容されるときに第2吐出油路60から第1吐出油路58へ流通される作動油の流量よりも小流量の作動油が、逆止弁102のバルブクリアランス119および窪み118を通じて第1吐出油路58から第2吐出油路60へ流通されることから、第2吐出油路60の作動油圧の増減幅が縮小され、第2吐出圧の急変化が抑制される。これにより、バルブ摩耗やオイルポンプノイズ、オイルポンプの衝撃荷重によるポンプ耐久性の低下を低減することができる。
次に本発明の他の実施例を説明する。本発明の他の実施例における油圧制御装置120は、前述の油圧制御装置98に対して逆止弁の構成のみが異なり、オイルポンプ、調圧弁および各油路の構成などについては、油圧制御装置98と実質的に共通する。したがって、油圧制御装置120の逆止弁122の構成について、図6を参照して詳細に説明する。
図6は、油圧制御装置120の逆止弁122を詳しく説明する図である。逆止弁122は、有底円筒状のバルブボデー124と、バルブボデー124にその長手方向に摺動可能に嵌め入れられる長手状のスプール弁子126と、バルブボデー124の一内底とスプール弁子126との間に介在させられ、軸方向の一方向すなわち図6における上方向へスプール弁子126を付勢するスプリング128とから構成され、第2油路62に設けられている。バルブボデー124には、第1入力ポート130、第2入力ポート132および第3入力ポート134と出力ポート136が形成されており、第1入力ポート130および第2入力ポート132は第2油路62を介して第2吐出油路60に接続されており、第3入力ポート134および出力ポート136は第2油路62を介して第1吐出油路58に接続されている。スプール弁子126は、第1ランド部138および第2ランド部140を有しており、第2入力ポート132に入力された油圧はスプール弁子126を図6における上方向へ付勢し、第3入力ポート134に入力された油圧はスプール弁子126を図6における下方向へ付勢する。逆止弁122は、第2入力ポート132に入力される油圧と第3入力ポート134に入力される油圧に応じて、スプール弁子126が軸方向に摺動させられることにより、第1入力ポート130と出力ポート136とが連通され、第2吐出油路60から第1吐出油路58へ向う作動油の流通を許容し、第1入力ポート130と出力ポート136とが遮断され、第1吐出油路58から第2吐出油路60へ向う作動油の流通を阻止するように構成されている。また、逆止弁122は、第1吐出油路58から第2吐出油路60へ向う作動油の流通を阻止するとき、バルブボデー124の出力ポート136と第1入力ポート130との間のシリンダボア内周面と第1ランド部138の外周面との間の絞り油路として機能するバルブクリアランス141を通じて、第2吐出油路60から第1吐出油路58へ向う作動油の流通を許容するときに、第2吐出油路60から第1吐出油路58へ流通させる作動油の量よりも小流量の作動油を、第1吐出圧と第2吐出圧との差圧に応じて、第1吐出油路58から第2吐出油路60へ流通させるように構成されている。
上記の逆止弁122の開閉に際し、逆止弁122の第1吐出油路58が接続された出力ポート136と第2吐出油路60が接続された第1入力ポート130との間に設けられた絞り油路であるバルブクリアランス141を通じて、第2吐出油路60から第1吐出油路58へ向う作動油の流通が逆止弁122により許容されるときに、第2吐出油路60から第1吐出油路58へ流通される作動油の流量よりも小流量の作動油が、第2吐出圧よりも高圧な第1吐出油路58から第2吐出油路60へその差圧に応じて流通される。このため、第2吐出油路60の作動油圧の増減幅が縮小される。
上述のように、本実施例の油圧制御装置120によれば、第1吐出油路58から第2吐出油路60ヘ向う作動油の流通が逆止弁122により阻止されるとき、第1吐出油路58から流出される作動油の流出量が増減された際、第2吐出油路60から第1吐出油路58へ向う作動油の流通が逆止弁122により許容されるときに、第2吐出油路60から第1吐出油路58へ流通される作動油の流量よりも小流量の作動油が、絞り油路として機能するバルブクリアランス141を通じて第1吐出油路58から第2吐出油路60へ流通されるため、第2吐出油路60の作動油圧の増減幅が縮小されることから、第2吐出圧の急激な低下および上昇すなわち油圧の急変化が抑制される。これにより、バルブ摩耗やオイルポンプノイズ、オイルポンプの衝撃荷重によるポンプ耐久性の低下を低減することができる。
また、本実施例の油圧制御装置120によれば、絞り油路は、スプール弁子126の外周面とそのスプール弁子126が嵌め入れられたシリンダボアの内周面との間により第2吐出油路60から第1吐出油路58へ向う作動油の流通を許容し、第1吐出油路58から第2吐出油路60へ向う作動油の流通を阻止する逆止弁122のバルブクリアランス141により構成されている。このため、第1吐出油路58から第2吐出油路60ヘ向う作動油の流通が逆止弁122により阻止されるとき、第1吐出油路58から流出される作動油の流出量が増減された際、第2吐出油路60から第1吐出油路58へ向う作動油の流通が逆止弁122により許容されるときに第2吐出油路60から第1吐出油路58へ流通される作動油の流量よりも小流量の作動油が、逆止弁122のバルブクリアランス141を通じて第1吐出油路58から第2吐出油路60へ流通されることから、第2吐出油路60の作動油圧の増減幅が縮小され、第2吐出圧の急変化が抑制される。これにより、バルブ摩耗やオイルポンプノイズ、オイルポンプの衝撃荷重によるポンプ耐久性の低下を低減することができる。
次に本発明の他の実施例を説明する。図7は、本発明の他の実施例における油圧制御装置142の構成を説明する概略図である。油圧制御装置142は、第1吐出油路58と第2吐出油路60とを接続し、その途中にオリフィス144が形成された第5油路146を備えており、その他の各油路については、油圧制御装置98および油圧制御装置120の各油路と構成および機能において共通する。油圧制御装置142は、油圧制御装置98の逆止弁102および油圧制御装置120の逆止弁122に代えて、前述の油圧制御装置10および油圧制御装置70に備えられた逆止弁64を第2油路62に備えている。絞り油路として機能するオリフィス144は第2吐出油路60から第1吐出油路58へ向う作動油の流通が逆止弁64により許容されるときに、第2吐出油路60から第1吐出油路58へ流通される作動油の量よりも小流量の作動油が、高圧側から低圧側へ流通されるように構成されている。
上記逆止弁64の開閉に際し、第2吐出油路60から第1吐出油路58へ向う作動油の流通が逆止弁64により許容されるときに、第2吐出油路60から第1吐出油路58へ流通される作動油の流量よりも小流量の作動油が、第5油路146に設けられたオリフィス144を通じて、第2吐出圧よりも高圧な第1吐出油路58から第2吐出油路60へその差圧に応じて流通される。このため、第2吐出油路60の作動油圧の増減幅が縮小される。
上述のように、本実施例の油圧制御装置142によれば、第1吐出油路58から第2吐出油路60ヘ向う作動油の流通が逆止弁64により阻止されるとき、第1吐出油路58から流出される作動油の流出量が増減された際、第2吐出油路60から第1吐出油路58へ向う作動油の流通が逆止弁64により許容されるときに、第2吐出油路60から第1吐出油路58へ流通される作動油の流量よりも小流量の作動油が、絞り油路として機能するオリフィス144を通じて第1吐出油路58から第2吐出油路60へ流通されるため、第2吐出油路60の作動油圧の増減幅が縮小されることから、第2吐出圧の急激な低下および上昇すなわち油圧の急変化が抑制される。これにより、バルブ摩耗やオイルポンプノイズ、オイルポンプの衝撃荷重によるポンプ耐久性の低下を低減することができる。
また、本実施例の油圧制御装置142によれば、第1吐出油路58と第2吐出油路60との間には、作動油を流通するオリフィス144が設けられている。このため、第1吐出油路58から第2吐出油路60ヘ向う作動油の流通が逆止弁64により阻止されるとき、第1吐出油路58から流出される作動油の流出量が増減された際、第2吐出油路60から第1吐出油路58へ向う作動油の流通が逆止弁64により許容されるときに、第2吐出油路60から第1吐出油路58へ流通される作動油の流量よりも小流量の作動油が、オリフィス144を通じて高圧側の第1吐出油路58から低圧側の第2吐出油路60へ流通されることから、第2吐出油路60の作動油圧の増減幅が縮小され、第2吐出圧の急変化が抑制される。これにより、バルブ摩耗やオイルポンプノイズ、オイルポンプの衝撃荷重によるポンプ耐久性の低下を低減することができる。
以上、本発明を表及び図面を参照して詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施でき、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
たとえば、前述の実施例1ないし実施例5の各油圧制御装置においては、1つの吐出ポートと1つの吸入ポートを備えるオイルポンプ14およびオイルポンプ15が、エンジンの同一の駆動軸により駆動されるように構成されていたが、これに限定されるものではなく、たとえば、2つの吐出ポートを有する一のオイルポンプがエンジンにより、他のオイルポンプがモーターによりそれぞれ別に駆動される構成であってもよい。