JP2015209788A - 内燃機関の流量制御弁 - Google Patents

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Abstract

【課題】下流側に配置された内燃機関の潤滑部位へと供給される潤滑油の量を制限しながらも、当該内燃機関が高回転数になった際の冷却性能の向上を図ることが可能な内燃機関の流量制御弁を提供する。
【解決手段】オイルポンプからの潤滑油が供給される第一ポート112、潤滑油を潤滑部位へと吐出する第二ポート113、及び第二ポート113と同じ油圧が付与される第二油室が形成される弁本体110と、摺動位置に応じて第一ポート112の開口面積を調節可能であり、第二油室の油圧によって前記開口面積が小さくなる左方に付勢されるスプール120と、スプール120を右方へと付勢するスプリング130と、スプール120と同一方向に摺動可能に配置され、スプール120が左方に所定の位置まで摺動した際に、当該スプール120と当接するストッパ部142と、ストッパ部142を右方へと付勢するスプリング144と、を具備した。
【選択図】図10

Description

本発明は、潤滑油の流量を制御する内燃機関の流量制御弁の技術に関する。
従来、内燃機関(エンジン)の潤滑部位へと潤滑油を供給するための技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
特許文献1には、ターボチャージャのコンプレッサホイールとタービンホイールとを連結したシャフトを回転可能に支持する軸受部へと潤滑油を供給するための技術が開示されている。具体的には、特許文献1には、オイルポンプにより圧送される潤滑油を軸受部へと供給するための供給油路(ターボチャージャ用給油通路)と、軸受部から潤滑油を排出するための戻り油路(戻り管路)と、軸受部を迂回するように供給油路と戻り油路とを連通するドレン油路(ドレーン通路)と、ドレン油路の中途部に設けられる圧力調整弁と、を具備する機構が記載されている。
このような構成において、オイルポンプの吐出圧力(ひいては供給油路内の圧力)が高くなった場合には、圧力調整弁が開いて供給油路内の潤滑油をドレン油路に逃がすことで、供給油路内の圧力を所定圧力以下になるように調整している。これによって、潤滑油が軸受部へ過剰に供給されるのを防止することができる。
しかしながら、このような構成においては、オイルポンプは軸受部に供給される潤滑油だけでなく、圧力調整弁を介して逃がされることになる潤滑油も含めた多量の潤滑油を圧送するため、当該オイルポンプの仕事に無駄がある点で不利であった。
そこで、特許文献2においては、供給油路の中途部に流量制御弁を設け、当該流量制御弁によって供給油路の流路を絞ることで、軸受部へと供給される潤滑油の流量を調整する技術が提案されている。当該技術によれば、流量制御弁は、オイルポンプの吐出圧力が高くなる(すなわち、エンジンの回転数が高くなる)のに応じて供給油路の流路を絞ることができる。従って、エンジンが高回転数で回転している状態であっても、供給油路を流通する潤滑油の量を略一定に制限することができる。これによって、過剰な潤滑油が軸受部へ供給されるのを防止しながら、オイルポンプの仕事の低減を図ることが可能となる。
しかしながら当該技術では、ターボチャージャのシャフトの回転数はエンジンの回転数に応じて増加するにもかかわらず、供給油路を流通する潤滑油(すなわち、軸受部に供給される潤滑油)の量は略一定に制限される。このため、エンジンが高回転数になった際に、軸受部へ供給される潤滑油の量が不足し、当該潤滑油による軸受部の冷却性能が不足するおそれがある点で不利であった。
特開平8−93490号公報 特願2013−49707号
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、下流側に配置された内燃機関の潤滑部位へと供給される潤滑油の量を制限しながらも、当該内燃機関が高回転数になった際の冷却性能の向上を図ることが可能な内燃機関の流量制御弁を提供することである。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1においては、内燃機関の回転に応じて駆動されるオイルポンプからの潤滑油が供給される供給口、潤滑油を前記内燃機関の潤滑部位へと吐出する吐出口、及び前記吐出口と同じ油圧が付与される油室が形成されるハウジングと、前記ハウジングに対して摺動可能に配置されると共に、摺動位置に応じて前記供給口の開口面積を調節可能であり、前記油室の油圧によって前記供給口の開口面積が小さくなる第一の方向に付勢されるスプールと、前記スプールを、前記供給口の開口面積が大きくなる第二の方向へと付勢する第一のスプリングと、前記スプールの摺動方向と同一方向に摺動可能に配置され、前記スプールが前記第一の方向に所定の位置まで摺動した際に、当該スプールと当接するストッパと、前記ストッパを、前記第二の方向へと付勢する第二のスプリングと、を具備したものである。
請求項2においては、前記第一のスプリングを、当該第一のスプリングを挟んで前記スプールと反対側から支持する支持部材をさらに具備し、前記ストッパは前記支持部材に対して摺動可能に配置されるものである。
請求項3においては、前記潤滑部位はターボチャージャであるものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
請求項1においては、下流側に配置された内燃機関の潤滑部位へと供給される潤滑油の量を制限しながらも、当該内燃機関が高回転数になった際の冷却性能の向上を図ることができる。
すなわち、内燃機関が低回転数であり、油室の油圧が低い場合には、当該油圧に応じてスプールを摺動させて供給口の開口面積を小さくすることで、吐出口から吐出される潤滑油の量を制限することができる。一方、内燃機関が高回転数になり、油室の油圧が高くなると、スプールの摺動をストッパによって規制することで、開口面積の減少を停止させる。これによって、オイルポンプからの潤滑油の供給量の増加に伴って吐出口から吐出される潤滑油の量も増加するようになるため、下流側に配置された内燃機関の潤滑部位の冷却性能の向上を図ることができる。

また、内燃機関がさらに高回転数になり、油室の油圧が高くなると、ストッパがスプールと共に摺動するため、再び油室の油圧に応じて供給口の開口面積を小さくすることができる。これによって、内燃機関がさらに高回転数になった場合に過剰な潤滑油が当該内燃機関の潤滑部位に供給されるのを防止することができる。
請求項2においては、流量制御弁の構造を簡素化することができる。
請求項3においては、ターボチャージャへと供給される潤滑油の量を制限しながらも、内燃機関が高回転数になった際の冷却性能の向上を図ることができる。
流量制御弁を具備する潤滑油供給機構の全体的な構成を示した模式図。 ターボチャージャの構成を示した側面断面図。 図2におけるA−A断面図。 図3における流量制御弁の拡大図。 図4におけるB−B断面図。 流量制御弁の左端部近傍の拡大図。 流量制御弁による潤滑油量の制限の様子を示した図。 スプールが左方へ摺動する様子を示した流量制御弁の拡大図。 スプールの摺動がストッパ部によって規制される様子を示した流量制御弁の拡大図。 スプールがストッパ部を押しながら左方へ摺動する様子を示した流量制御弁の拡大図。 流量制御弁の変形例を示した図。
以下では、図中に示した矢印に従って、上下方向、前後方向及び左右方向を定義する。
まず、図1を用いて、本発明の一実施形態に係る流量制御弁50を具備する潤滑油供給機構1全体の構成の概略を説明する。
潤滑油供給機構1は、図示せぬエンジンの潤滑部位であるターボチャージャ5(より詳細には、当該ターボチャージャ5の軸受部41)へと潤滑油を供給するためのものである。潤滑油供給機構1は、主としてオイルパン2、圧送油路3、オイルポンプ4、ターボチャージャ5(より詳細には、当該ターボチャージャ5のうち潤滑油が流通する経路を成す部分)及び戻り油路6により構成される。
オイルパン2は、エンジン(内燃機関)に設けられて潤滑油を貯溜するものである。オイルパン2には1本の圧送油路3の一端が接続される。圧送油路3の一端には、オイルストレーナ3aが設けられる。当該圧送油路3の他端は、ターボチャージャ5(より詳細には、後述するベアリングハウジング40の供給油路42)に接続される。圧送油路3の中途部には、前記エンジンの回転に応じて駆動される(前記エンジンの回転数の増減に応じて潤滑油の吐出量が増減する)オイルポンプ4が設けられる。また、圧送油路3の中途部(オイルポンプ4よりも下流側)にはオイルフィルタ7が設けられる。
ターボチャージャ5においては、コンプレッサホイール20とタービンホイール30とがシャフト10によって連結される。当該シャフト10はベアリングハウジング40の軸受部41において回転可能に支持される。
ベアリングハウジング40には供給油路42及び排出油路43が形成される。供給油路42の一端(外側の端部)は前述の通り圧送油路3の他端に接続され、供給油路42の他端(内側の端部)は軸受部41に接続される。供給油路42の中途部には流量制御弁50が設けられる。排出油路43の一端(内側の端部)は軸受部41に接続され、排出油路43の他端(外側の端部)は戻り油路6の一端に接続される。当該戻り油路6の他端はオイルパン2に接続される。
このように構成された潤滑油供給機構1において、前記エンジンの回転に応じてオイルポンプ4が駆動すると、当該オイルポンプ4によってオイルパン2内の潤滑油が圧送油路3を介してターボチャージャ5へと圧送される。当該潤滑油は、流量制御弁50によって適宜流量を調整されながら供給油路42を介してベアリングハウジング40の軸受部41へと案内される。当該軸受部41を潤滑した潤滑油は、排出油路43及び戻り油路6を介してオイルパン2へと戻される。
なお、本実施形態においては特に言及しないが、オイルポンプ4によって圧送された潤滑油は、図示せぬ他の油路を介して前記エンジンの各部(その他の潤滑部位)へも供給され、当該エンジンの各部を適宜潤滑する。
次に、図2及び図3を用いて、ターボチャージャ5の構成について説明する。
ターボチャージャ5は、前記エンジンのシリンダに圧縮空気を送り込むためのものである。ターボチャージャ5は、主としてシャフト10、コンプレッサホイール20、タービンホイール30、ベアリングハウジング40、流量制御弁50、すべり軸受60、スラストカラー70及びスラスト軸受90を具備する。
シャフト10は、後述するコンプレッサホイール20とタービンホイール30とを連結するものである。シャフト10は、その長手方向(軸線方向)を前後方向へ向けて配置される。
コンプレッサホイール20は、複数の羽根を有し、回転駆動されることによって空気を圧縮するものである。コンプレッサホイール20は、シャフト10の後端部に固定される。
タービンホイール30は、複数の羽根を有し、前記エンジンからの排気を受けて回転することで駆動力を発生させるものである。タービンホイール30は、シャフト10の前端部に一体的に形成される。
ベアリングハウジング40は、シャフト10を間接的に回転可能に支持する略箱状の部材である。ベアリングハウジング40の下部には、オイルパイプアッシ40aが設けられる。
ベアリングハウジング40は、略箱状の部材である。ベアリングハウジング40の底面は平ら(平面)に形成される。
オイルパイプアッシ40aは、略板状の部材とパイプからなる部材である。オイルパイプアッシ40aの上面(フランジ部)は平ら(平面)に形成される。オイルパイプアッシ40aは、その上面をガスケットを介してベアリングハウジング40の底面と当接させた状態で、ボルト等によってベアリングハウジング40に固定される。当該オイルパイプアッシ40aによって、圧送油路3及び戻り油路6の一部が形成される。
また、ベアリングハウジング40には、軸受部41、供給油路42及び排出油路43が形成される。
軸受部41は、シャフト10を間接的に回転可能に支持する部分である。軸受部41は円形断面を有し、ベアリングハウジング40を前後方向に貫通するように形成される。
供給油路42は、圧送油路3を介して供給される潤滑油を軸受部41へと案内するためのものである。すなわち、圧送油路3及び供給油路42によって、オイルポンプ4から圧送される潤滑油を軸受部41へと案内するための油路が形成される。供給油路42は、ベアリングハウジング40の下面から上方に向かって形成される。供給油路42の一端(下端)は圧送油路3の他端に接続される(図2及び図3参照)。供給油路42の他端(上端)は、前後に分岐されて軸受部41の前端部及び後端部にそれぞれ接続される。
なお、供給油路42の中途部には、後述する流量制御弁50が設けられる。よって、説明の便宜上、以下では供給油路42のうち一端(下端)から当該流量制御弁50までの部分を第一供給油路42aと、供給油路42のうち当該流量制御弁50から他端(上端)までの部分を第二供給油路42bと、それぞれ記す。
排出油路43は、潤滑油を軸受部41から排出するためのものである。排出油路43は、供給油路42の左方において、ベアリングハウジング40の下面から上方に向かって形成される。排出油路43の一端(上端)は適宜に分岐されて軸受部41の前端部、後端部及び前後中途部にそれぞれ接続される。排出油路43の他端(下端)は戻り油路6の一端に接続される(図2及び図3参照)。排出油路43内の圧力は大気圧となるように開放されている。
流量制御弁50は、供給油路42を流通する潤滑油の圧力に基づいて当該潤滑油の流路の開口面積を変更することによって当該潤滑油の流量を調整するものである。流量制御弁50は、供給油路42の中途部に設けられる。流量制御弁50は、その長手方向(軸線方向)を左右方向へ向けて配置される。
なお、流量制御弁50の詳細な構成については後述する。
すべり軸受60は、シャフト10を回転可能に支持する略円筒状の軸受である。すべり軸受60は、ベアリングハウジング40の軸受部41の前端部及び後端部(第二供給油路42bと対向する部分)にそれぞれ配置される。当該すべり軸受60にはシャフト10が挿通される。
スラストカラー70は略円筒状に形成され、前後方向に向けて配置される。スラストカラー70にはシャフト10が挿通される。スラストカラー70は、シャフト10に対して相対回転不能となるように固定される。スラストカラー70の前後中途部にはスラスト軸受90が外嵌される。スラスト軸受90は、軸受部41の後方においてベアリングハウジング40と接するように配置される。このようにして、スラスト軸受90はシャフト10に加わる軸線方向の荷重を受けることになる。
次に、図4から図6までを用いて、流量制御弁50の構成について説明する。
流量制御弁50は、主として弁本体110、スプール120、スプリング130及び調圧部材140を具備する。
図4及び図5に示す弁本体110は、本発明に係るハウジングの実施の一形態であり、略円筒状の部材である。弁本体110は、その長手方向を左右方向に向けて、ベアリングハウジング40の内部に配置される。この際、弁本体110は、供給油路42及び排出油路43に亘るように配置される。弁本体110には、摺動部111、第一ポート112、第二ポート113、連通油路114、貫通孔115及びめねじ部116が形成される。
摺動部111は、弁本体110の内部を左右方向に貫通するように形成される孔である。摺動部111は円形断面を有するように形成される。摺動部111の右端部は、適宜閉塞部材によって閉塞される。
第一ポート112は、本発明に係る供給口の実施の一形態であり、摺動部111と弁本体110の外部とを連通するように形成される孔である。第一ポート112は、ベアリングハウジング40の第一供給油路42aと対向する位置に形成される。
第二ポート113は、本発明に係る吐出口の実施の一形態であり、摺動部111と弁本体110の外部とを連通するように形成される孔である。第二ポート113は、ベアリングハウジング40の第二供給油路42bと対向する位置に形成される。
連通油路114は、摺動部111の左右中途部と右端部近傍とを、弁本体110の外部を介して連通するものである。連通油路114は、第一連通油路114a、第二連通油路114b及び第三連通油路114cにより構成される。
第一連通油路114aは、弁本体110の左右中途部において摺動部111と弁本体110の外部とを連通するように形成されるものである。第一連通油路114aは、第一ポート112よりも左方に位置するように形成される。
第二連通油路114bは、弁本体110の外周面に形成される溝である。第二連通油路114bは、第一連通油路114aの外側端部から、弁本体110の右端部近傍まで延設される。
第三連通油路114cは、弁本体110の右端部近傍において摺動部111と弁本体110の外部(第二連通油路114bの右端部近傍)とを連通するように形成されるものである。第三連通油路114cは、第一ポート112よりも右方に位置するように形成される。
貫通孔115は、弁本体110を上下方向に貫通する孔である。貫通孔115は、円形断面を有するように形成される。貫通孔115は、ベアリングハウジング40の排出油路43上に位置するように形成される。
めねじ部116は、弁本体110の左端部近傍に形成される。めねじ部116は、摺動部111と同一軸線上の孔の内側にねじを切ることで形成される。
スプール120は、流量制御弁50を流通する潤滑油の流路を適宜に絞るためのものである。スプール120は略円柱状の部材である。スプール120は、その長手方向を左右方向に向けて、弁本体110の摺動部111の内部に配置される。より詳細には、スプール120は、弁本体110の摺動部111の右端部近傍から左右中途部(貫通孔115)に亘って配置される。スプール120には、第一拡径部121及び第二拡径部122が形成される。
第一拡径部121は、その径が他の部分よりも大きくなるように形成される部分である。第一拡径部121は、スプール120の左端部近傍に形成される。第一拡径部121の径(外径)は、弁本体110の摺動部111の径(内径)と略同一となるように形成される。
第二拡径部122は、その径が他の部分よりも大きくなるように形成される部分である。第二拡径部122は、スプール120の右端部近傍に、第一拡径部121と所定距離だけ離間して形成される。第二拡径部122は、弁本体110の第一連通油路114aよりも右方かつ第三連通油路114cよりも左方に位置するように形成される。第二拡径部122の径(外径)は、弁本体110の摺動部111の径(内径)と略同一となるように形成される。
また、第二拡径部122は、弁本体110の第一ポート112の一部と対向する位置に形成される。すなわち、第一ポート112は、第二拡径部122によってその一部が閉塞された(絞られた)状態になる。
このように構成されたスプール120の第一拡径部121及び第二拡径部122が弁本体110の摺動部111に対して左右方向に摺動可能に接することにより、当該スプール120が弁本体110の摺動部111の内部において左右方向に摺動可能となるように配置される。また、スプール120が左右方向に摺動することによって、弁本体110の第一ポート112の第二拡径部122による閉塞具合(絞り具合)が変化する。すなわち、当該第一ポート112の開口面積が変更される。
また、スプール120の第一拡径部121、第二拡径部122及び弁本体110の摺動部111によって囲まれた部分に、潤滑油が満たされる第一油室R1が形成される。また、スプール120の第二拡径部122及び弁本体110の摺動部111によって囲まれた部分に、潤滑油が満たされる第二油室R2が形成される。第二油室R2は、本発明に係る油室の実施の一形態である。
第一油室R1と第二油室R2とは、スプール120の第二拡径部122によって区画されると共に、連通油路114によって接続されることになる。
スプリング130は、本発明に係る第一のスプリングの実施の一形態であり、スプール120の左方(スプール120と後述する調圧部材140との間)に配置され、当該スプール120を所定の力で右方に向かって付勢するものである。
図6に示す調圧部材140は、スプリング130を左方から支持すると共に、流量制御弁50を流通する潤滑油の流量を調整するためのものである。調圧部材140は、スプリング130の左方(スプリング130を挟んでスプール120と反対側)に配置される。調圧部材140は、主として本体部141、ストッパ部142、閉塞部143及びスプリング144を具備する。
本体部141は、本発明に係る支持部材の実施の一形態であり、略円筒状に形成される部材である。本体部141は、その長手方向を左右方向に向けて配置される。本体部141には、主として貫通孔141a、縮径部141b及びおねじ部141cが形成される。
貫通孔141aは、本体部141の内部を左右方向に貫通するように形成される孔である。貫通孔141aは円形断面を有するように形成される。
縮径部141bは、他の部分よりも貫通孔141aの径が小さくなるように形成された部分である。縮径部141bは、本体部141の内周面(貫通孔141a)の右端部に形成される。
おねじ部141cは、本体部141の外周面の左端部から右端部近傍に亘って形成される。おねじ部141cを弁本体110のめねじ部116にねじ込むことで、本体部141が弁本体110に固定される。また、おねじ部141cをめねじ部116の任意の位置までねじ込むことで、調圧部材140の左右方向の位置を任意に調節することができる。
ストッパ部142は、本発明に係るストッパの実施の一形態であり、スプール120と当接することで、当該スプール120の左方向への摺動を規制するためのものである。ストッパ部142は略円柱状に形成される。ストッパ部142は、その長手方向を左右方向に向けて配置される。ストッパ部142の外径は、本体部141の縮径部141bの内径及びスプール120の左端部の外径と略同一となるように形成される。ストッパ部142は本体部141の貫通孔141aに挿入され、当該本体部141の縮径部141bによって摺動可能に支持される。ストッパ部142には、主として拡径部142a及び受け部142bが形成される。
拡径部142aは、他の部分よりもストッパ部142の外径が大きくなるように形成された部分である。拡径部142aは、ストッパ部142の外周面の左端部に形成される。拡径部142aは、本体部141の縮径部141bの左方に位置するように配置される。拡径部142aが縮径部141bと当接することによって、ストッパ部142の右方への摺動が所定の位置で規制される。
受け部142bは、ストッパ部142の左端部から右方へ向かって形成される凹部である。受け部142bは円形断面を有するように形成される。
閉塞部143は、本体部141の貫通孔141aの右端部を閉塞するためのものである。閉塞部143は略円柱状に形成される。閉塞部143は、本体部141の貫通孔141aの右端部に嵌め込まれることにより、当該貫通孔141aの右端部を閉塞する。閉塞部143には、主として受け部143aが形成される。
受け部143aは、閉塞部143の右端部から左方へ向かって形成される凹部である。受け部143aは円形断面を有するように形成される。
スプリング144は、本発明に係る第二のスプリングの実施の一形態であり、ストッパ部142を所定の力で右方に向かって付勢するものである。スプリング144は、ストッパ部142と閉塞部143との間に配置される。スプリング144の右端はストッパ部142の受け部142bに収容されると共に、スプリング144の左端は閉塞部143の受け部143aに収容される。これによって、スプリング144が位置決めされる。ストッパ部142に外部から力が加えられていない場合、スプリング144の付勢力によって当該ストッパ部142は最も右方(拡径部142aが縮径部141bに当接する位置)まで摺動した状態に保持される。
このように構成された調圧部材140において、スプリング130の左端が本体部141の右端面によって受けられる。当該スプリング130の右端はスプール120の第一拡径部121の左端面によって受けられる。このようにして、スプリング130はスプール120を右方に向かって付勢する。この際、スプリング130の右端部にはスプール120の左端部が挿通されると共に、スプリング130の左端部にはストッパ部142の右端部が挿通される。これによって、スプリング130の姿勢が崩れないように保持されている。
次に、図1から図4までを用いて、潤滑油の供給態様(潤滑油が軸受部41に供給された後、排出される様子)について具体的に説明する。
前述の如く、オイルポンプ4(図1参照)によって圧送された潤滑油は、ベアリングハウジング40の第一供給油路42a及び弁本体110の第一ポート112を介して第一油室R1内へと供給される(図4参照)。当該第一油室R1内の潤滑油は、第二ポート113から吐出されてベアリングハウジング40の第二供給油路42bへと供給される。この際、第二ポート113を流通する潤滑油の流量は、第一油室R1内の圧力と排出油路43内の圧力(大気圧)との差(差圧)に応じて変化する。
第二供給油路42bへと供給された潤滑油は、当該第二供給油路42bに案内されてベアリングハウジング40の軸受部41へと供給される(図2及び図3参照)。軸受部41へと供給された潤滑油は、当該軸受部41(特に、すべり軸受60)を潤滑した後、当該軸受部41の前端部、後端部及び前後中途部から排出油路43へと流出する。当該潤滑油は、排出油路43及び戻り油路6を介してオイルパン2へと戻される(図1参照)。
次に、図4から図10までを用いて、流量制御弁50によって軸受部41へと供給される潤滑油の流量が調整される様子について説明する。
前記エンジンが始動し、その回転数(エンジン回転数)が上昇すると、オイルポンプ4の回転数が上昇し、流量制御弁50の第一ポート112へと供給される潤滑油の量(すなわち、流量制御弁50へと供給される潤滑油の圧力)も増加する。流量制御弁50へと供給される潤滑油の圧力を、以下では供給油圧Pと記す。供給油圧P(すなわち、エンジン回転数)が低い場合(図7における供給油圧Pが0からP1まで)には、スプリング130によってスプール120が右方へと押され、第一ポート112の開口面積は広く確保されている(図6参照)。このため、エンジン回転数の増加に伴って流量制御弁50の下流側へと供給される潤滑油の量が上昇し、当該流量制御弁50の下流側の油圧も上昇する。流量制御弁50の下流側(すなわち、ベアリングハウジング40の軸受部41)へと供給される潤滑油の量を、以下では潤滑油量Vと記す。
ここで、流量制御弁50の下流側の油圧は、第二ポート113、第一油室R1及び連通油路114を介して第二油室R2にも付与されている(図4及び図5参照)。さらに供給油圧Pが増加し(図7における供給油圧PがP1からP2まで)、流量制御弁50の下流側の油圧(すなわち、第二油室R2内の油圧)が高くなると、第二油室R2内の油圧によってスプール120が左方へと付勢される力が、スプリング130によってスプール120が右方へと付勢される力よりも大きくなる。これによって、スプール120が左方へと摺動されることになり(図8参照)、第一ポート112の開口面積が小さく絞られる。
このように、供給油圧Pが所定の値(P1)以上に増加すると、当該供給油圧Pの増加に伴って第一ポート112の開口面積が小さくなる。このため、供給油圧Pが所定の値(P1)以上に増加しても、潤滑油量Vはほとんど増加しなくなる。このようにして、流量制御弁50の下流側(軸受部41)へと供給される潤滑油量Vを調整(制限)することができる。これによって、当該軸受部41への過剰な潤滑油の供給を防止することができる。軸受部41への潤滑油の供給量を削減することで、当該軸受部41における摩擦損失の低減を図ることができる。
前記エンジン回転数がさらに増加し、供給油圧Pがさらに(P2以上に)増加した時点で(図7参照)、スプール120の左端が調圧部材140のストッパ部142の右端と当接する(図9参照)。当該ストッパ部142はスプリング144によって右方に向かって付勢されているため、スプール120はそれ以上左方に摺動することができない。この状態では、供給油圧Pが増加しても、第一ポート112の開口面積がそれ以上絞られることはない。従って、供給油圧Pが所定の値(P2)以上に増加すると、当該供給油圧Pの増加に伴って潤滑油量Vも増加する。
ここで、前記エンジン回転数が増加するとターボチャージャ5のシャフト10も高速で回転するため、当該シャフト10が支持される軸受部41における発熱量が増加する。そこで、上述の如く供給油圧Pが所定の値(P2)以上に増加した際に、潤滑油量Vを増加させることで、潤滑油による軸受部41の冷却性能を向上させることができ、ひいては当該軸受部41における焼き付きの発生を防止することができる。
前記エンジン回転数がさらに増加し、供給油圧Pがさらに(P3以上に)増加すると(図7参照)、第二油室R2内の油圧によってスプール120が左方へと付勢される力が、スプリング130及びスプリング144によってスプール120が右方へと付勢される力よりも大きくなる。これによって、スプール120が左方へと摺動されることになる(図10参照)。この際、ストッパ部142は、スプール120によって左方(本体部141内)へと押し込まれる。これによって、第一ポート112の開口面積がさらに小さく絞られる。
このように、供給油圧Pが所定の値(P3)以上に増加すると、潤滑油量Vの増加に伴って第一ポート112の開口面積が小さくなる。このため、供給油圧Pが所定の値(P3)以上に増加しても、潤滑油量Vはほとんど増加しなくなる。このようにして、流量制御弁50の下流側(軸受部41)へと供給される潤滑油量Vを調整(制限)することができる。これによって、前記エンジン回転数が高い場合(供給油圧PがP3以上)において、軸受部41を冷却するために必要な潤滑油量V(V1)を確保しながらも、当該軸受部41への過剰な潤滑油の供給を防止することができる。
なお、上記供給油圧Pの所定の値(P1、P2及びP3)は、調圧部材140(本体部141)の左右方向の位置を変更したり、スプリング130又はスプリング144を特性の異なるものに変更したりすることで任意に設定することができる。
また図7には、上述のような流量制御弁50による潤滑油量Vの制限(第一ポート112の開口面積の調整)が行われなかったと想定した場合の潤滑油量Vを、破線で示している。
以上の如く、本実施形態に係るエンジン(内燃機関)の流量制御弁50は、前記エンジンの回転に応じて駆動されるオイルポンプ4からの潤滑油が供給される第一ポート112(供給口)、潤滑油を前記エンジンの潤滑部位(ターボチャージャ5)へと吐出する第二ポート113(吐出口)、及び第二ポート113と同じ油圧が付与される第二油室R2(油室)が形成される弁本体110(ハウジング)と、弁本体110に対して摺動可能に配置されると共に、摺動位置に応じて第一ポート112の開口面積を調節可能であり、第二油室R2の油圧によって第一ポート112の開口面積が小さくなる左方(第一の方向)に付勢されるスプール120と、スプール120を、第一ポート112の開口面積が大きくなる右方(第二の方向)へと付勢するスプリング130(第一のスプリング)と、スプール120の摺動方向と同一方向に摺動可能に配置され、スプール120が左方に所定の位置まで摺動した際に、当該スプール120と当接するストッパ部142(ストッパ)と、ストッパ部142を、右方へと付勢するスプリング144(第二のスプリング)と、を具備するものである。
このように構成することにより、下流側に配置されたターボチャージャ5の軸受部41へと供給される潤滑油の量を制限しながらも、前記エンジンが高回転数になった際の冷却性能の向上を図ることができる。
すなわち、エンジンが低回転数であり、第二油室R2の油圧が低い場合には、当該油圧に応じてスプール120を摺動させて第一ポート112の開口面積を小さくすることで、第二ポート113から吐出される潤滑油の量を制限することができる。一方、前記エンジンが高回転数になり、第二油室R2の油圧が高くなると、スプール120の摺動をストッパ部142によって規制することで、開口面積の減少を停止させる。これによって、オイルポンプ4からの潤滑油の供給量の増加に伴って第二ポート113から吐出される潤滑油の量も増加するようになるため、下流側に配置されたターボチャージャ5の軸受部41の冷却性能の向上を図ることができる。
また、エンジンがさらに高回転数になり、第二油室R2の油圧が高くなると、ストッパ部142がスプール120と共に摺動するため、再び第二油室R2の油圧に応じて第一ポート112の開口面積を小さくすることができる。これによって、エンジンがさらに高回転数になった場合に過剰な潤滑油がターボチャージャ5の軸受部41に供給されるのを防止することができる。
また、本実施形態に係る流量制御弁50は、スプリング130を、当該スプリング130を挟んでスプール120と反対側から支持する本体部141(支持部材)をさらに具備し、ストッパ部142は本体部141に対して摺動可能に配置されるものである。
このように構成することにより、流量制御弁50の構造を簡素化することができる。
すなわち、本体部141とストッパ部142を一体的に構成することができ、部品管理や組み付け作業を容易に行うことができる。
また、本実施形態に係る潤滑部位はターボチャージャ5である。
このように構成することにより、ターボチャージャ5へと供給される潤滑油の量を制限しながらも、エンジンが高回転数になった際の冷却性能の向上を図ることができる。
なお、本実施形態においては、流量制御弁50は、エンジンの潤滑部位であるターボチャージャ5の上流側に配置され、流量制御弁50の第二ポート113から吐出された潤滑油が当該ターボチャージャ5の軸受部41へと供給されるものとしたが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、流量制御弁50は、ターボチャージャ5に限らず、その他のエンジンの潤滑部位(潤滑油を必要とする各部)の上流側に配置することが可能である。
また、本発明に係る流量制御弁は、本実施形態に係る流量制御弁50の構成に限るものではなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲でその構成(形状等)を任意に変更することが可能である。
例えば図11に示すように、ストッパ部142の右端部に、当該ストッパ部142の左右中途部142cよりも外径の小さい縮径部142dを形成し、左右中途部142cの右端面によってスプリング130の左端を受ける構成とすることも可能である。このように、本体部141ではなくストッパ部142によってスプリング130を左方から受ける(支持する)ことも可能である。
1 潤滑油供給機構
4 オイルポンプ
5 ターボチャージャ(潤滑部位)
10 シャフト
20 コンプレッサホイール
30 タービンホイール
40 ベアリングハウジング
41 軸受部
42 供給油路
43 排出油路
50 流量制御弁
110 弁本体(ハウジング)
112 第一ポート(供給口)
113 第二ポート(吐出口)
120 スプール
130 スプリング(第一のスプリング)
140 調圧部材
141 本体部
142 ストッパ部(ストッパ)
144 スプリング(第二のスプリング)

Claims (3)

  1. 内燃機関の回転に応じて駆動されるオイルポンプからの潤滑油が供給される供給口、潤滑油を前記内燃機関の潤滑部位へと吐出する吐出口、及び前記吐出口と同じ油圧が付与される油室が形成されるハウジングと、
    前記ハウジングに対して摺動可能に配置されると共に、摺動位置に応じて前記供給口の開口面積を調節可能であり、前記油室の油圧によって前記供給口の開口面積が小さくなる第一の方向に付勢されるスプールと、
    前記スプールを、前記供給口の開口面積が大きくなる第二の方向へと付勢する第一のスプリングと、
    前記スプールの摺動方向と同一方向に摺動可能に配置され、前記スプールが前記第一の方向に所定の位置まで摺動した際に、当該スプールと当接するストッパと、
    前記ストッパを、前記第二の方向へと付勢する第二のスプリングと、
    を具備する内燃機関の流量制御弁。
  2. 前記第一のスプリングを、当該第一のスプリングを挟んで前記スプールと反対側から支持する支持部材をさらに具備し、
    前記ストッパは前記支持部材に対して摺動可能に配置される、
    請求項1に記載の内燃機関の流量制御弁。
  3. 前記潤滑部位はターボチャージャである、
    請求項1又は請求項2に記載の内燃機関の流量制御弁。
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