JP6213340B2 - 固体電解質及び全固体電池 - Google Patents

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Description

本発明は、固体電解質及び全固体電池に関する。
従来、信頼性及び安全性に優れる二次電池として、全固体電池が知られている。例えば、特許文献1には、その一例が記載されている。特許文献1に記載の全固体電池では、固体電解質が、ヨウ化リチウムに、LiPO,LiAsO,LiCO,LiSiO,LiGeO,LiBO,LiAlO,LiVO,LiNbO及びLiTaOからなる群から選択された少なくとも一種の酸素金属塩を添加したものにより構成されている。
特開平4−60303号公報
全固体電池において優れた電池特性を実現するためには、固体電解質のイオン伝導性を高めることが重要である。
本発明の主な目的は、高いイオン伝導性を有する固体電解質を提供することにある。
本発明に係る固体電解質は、斜方晶系の結晶構造を主体とする。本発明に係る固体電解質は、一般式LiGe(但し、3.60≦a≦5.00、0.80≦b+c≦0.95、Ge及びPのうちの少なくとも一方の一部がAl,Si,V,Zn,As,Mo及びWの少なくとも一種により置換されていてもよい。)で表される。
本発明に係る固体電解質では、上記一般式において、3.75≦a≦4.60が満たされることが好ましい。
本発明に係る固体電解質では、上記一般式において、0.85≦b+c≦0.90が満たされることが好ましい。
本発明に係る固体電解質では、上記一般式において、0.62≦b≦0.70かつ0.20≦c≦0.25が満たされることが好ましい。
本発明に係る固体電解質では、上記一般式において、0.27≦b≦0.31かつ0.55≦c≦0.61が満たされることが好ましい。
本発明に係る全固体電池は、本発明に係る固体電解質を備える。
本発明に係る全固体電池は、固体電解質層と、第1の電極と、第2の電極とを備えていてもよい。第1の電極は、固体電解質の一方側に配されている。第2の電極は、固体電解質の他方側に配されている。固体電解質層、第1の電極及び第2の電極のうちの少なくとも一つが固体電解質を含むことが好ましい。第1及び第2の電極の少なくとも一方と、固体電解質層とが焼結接合されていることが好ましい。
本発明に係る全固体電池では、固体電解質層が固体電解質を含むことが好ましい。
本発明によれば、高いイオン伝導性を有する固体電解質を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る全固体電池の模式的断面図である。 固体電解質E1〜E4,C1,C2のX線回折チャートである。 実施例8において作製した全固体電池の2回目の充放電時の充放電カーブである。
以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について説明する。但し、下記の実施形態は、単なる例示である。本発明は、下記の実施形態に何ら限定されない。
図1は、本実施形態に係る全固体電池1の模式的断面図である。図1に示されるように、第1の電極11と、第2の電極12と、固体電解質層13とを備えている。第1及び第2の電極11,12のうちの一方が負極を構成しており、他方が正極を構成している。本実施形態では、第1の電極11が負極を構成しており、第2の電極12が正極を構成している例について説明する。
第1の電極11は、集電体11aと、負極活物質層11bとを有する。集電体11aは、例えば、金属、炭素、導電性酸化物等により構成することができる。
負極活物質層11bは、集電体11aの上に設けられている。負極活物質層11bは、活物質粒子と電解質粒子とを含む焼結体により構成されている。好ましく用いられる活物質粒子の具体例としては、例えば、MO(Mは、Ti,Si,Sn,Cr,Fe,Nb及びMoからなる群より選ばれた少なくとも一種である。0.9≦X≦2.0)で表される化合物粒子、黒鉛−リチウム化合物粒子、リチウム合金粒子、ナシコン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物粒子、オリビン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物粒子、スピネル型構造を有するリチウム含有酸化物粒子等が挙げられる。好ましく用いられるリチウム合金の具体例としては、Li−Al等が挙げられる。好ましく用いられるナシコン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物の具体例としては、Li(PO等が挙げられる。好ましく用いられるオリビン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物の具体例としては、LiFe(PO等が挙げられる。好ましく用いられるスピネル型構造を有するリチウム含有酸化物の具体例としては、LiTi12等が挙げられる。これらの活物質粒子のうちの1種のみを用いてもよいし、複数種類を混合して用いてもよい。
なお、第1の電極において集電体を設ける必要は必ずしもない。例えば、負極活物質層により第1の電極を構成してもよい。例えば、金属リチウムにより第1の電極を構成してもよい。
第2の電極12は、第1の電極11と対向している。第2の電極12は、集電体12aと、正極活物質層12bとを有する。正極活物質層12bは、集電体12aの上に設けられている。第2の電極12は、正極活物質層12bが、負極活物質層11bと対向するように配されている。集電体12aは、例えば、金属、炭素、導電性酸化物等により構成することができる。
正極活物質層12bは、活物質粒子と、電解質粒子とを含む焼結体により構成されている。好ましく用いられる活物質粒子の具体例としては、例えば、ナシコン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物粒子、オリビン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物粒子、リチウム含有層状酸化物粒子、スピネル型構造を有するリチウム含有酸化物粒子等が挙げられる。好ましく用いられるナシコン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物の具体例としては、Li(PO等が挙げられる。好ましく用いられるオリビン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物の具体例としては、LiFe(PO、LiMnPO等が挙げられる。好ましく用いられるリチウム含有層状酸化物粒子の具体例としては、LiCoO,LiCo1/3Ni1/3Mn1/3等が挙げられる。好ましく用いられるスピネル型構造を有するリチウム含有酸化物の具体例としては、LiMn,LiNi0.5Mn1.5、LiTi12等が挙げられる。これらの活物質粒子のうちの1種のみを用いてもよいし、複数種類を混合して用いてもよい。
なお、第2の電極において集電体を設ける必要は必ずしもない。例えば、正極活物質層により第2の電極を構成してもよい。
第1の電極11と第2の電極12との間には、固体電解質層13が配されている。すなわち、固体電解質層13の一方側に第1の電極11が配されており、他方側に第2の電極12が配されている。本実施形態では、第1及び第2の電極11,12のそれぞれは、固体電解質層13と直接接合されている。詳細には、第1の電極11、固体電解質層13及び第2の電極12は、一体焼結されたものである。
全固体電池1では、固体電解質層13、第1の電極11及び第2の電極12のうちの少なくとも一つが、斜方晶系の結晶構造を主体とし、下記の一般式(1)で表される固体電解質を含んでいる。この固体電解質は、高いイオン導電性を有する。従って、全固体電池1は、優れた充放電特性等の電池特性を有する。この理由としては、定かではないが、以下の理由が考えられる。γ−LiPO型の斜方晶系の結晶格子内のPサイト及びGeサイトの少なくとも一方のサイトの一部がLiにより置換されていると共に、結晶格子内にも過剰にLiが存在しているものと考えられる。この過剰なLiの存在によりイオン伝導性が向上していると考えられる。このことからすれば、一般式(1)は、詳細には、下記の一般式(2)により表されるものと考えられる。
LiGe ……… (1)
一般式(1)において、3.60≦a≦5.00、0.80≦b+c≦0.95が満たされ、Ge及びPのうちの少なくとも一方の一部がAl,Si,V,Zn,As,Mo及びWの少なくとも一種により置換されていてもよい。
Lia1[Lia2Ge]O4 ……… (2)
一般式(2)におけるa1+a2は、一般式(1)のaと等しく、a2+b+c=1である。
Pサイト及びGeサイトの少なくとも一方のサイトにおけるLiに置換されたサイトの比率が低すぎると、すなわち、b+cが大きすぎ、a2が小さすぎると、結晶格子内に存在するサイト置換していないLiの量が少なくなり、固体電解質のイオン伝導性が低くなる場合があるものと考えられる。Pサイト及びGeサイトの少なくとも一方のサイトにおけるLiに置換されたサイトの比率が高すぎると、すなわち、b+cが小さすぎ、a2が大きすぎると、異相が生成しやすくなり、それにより固体電解質のイオン伝導性が低くなる場合があるものと考えられる。
より優れたイオン伝導性を実現する観点からは、一般式(1)におけるaが、3.70以上であることが好ましく、3.75以上であることがより好ましい。一般式(1)におけるaが、4.80以下であることが好ましく、4.60以下であることがより好ましい。
より優れたイオン伝導性を実現する観点からは、一般式(1)におけるb+cが、0.85以上であることがより好ましい。一般式(1)におけるb+cが、0.90以下であることがより好ましい。
より優れたイオン伝導性を実現する観点からは、一般式(1)において、bが、0.15〜0.85であることが好ましく、0.25〜0.75であることがより好ましい。一般式(1)において、cが、0.05〜0.75であることが好ましく、0.15〜0.65であることがより好ましい。なかでも、一般式(1)において、0.62≦b≦0.70かつ0.20≦c≦0.25が満たされるか、又は、一般式(1)において、0.27≦b≦0.31かつ0.55≦c≦0.61が満たされることがより好ましい。
一般式(1)において、b/cは、0.2〜17.0であることが好ましく、0.4〜5.0であることがより好ましい。
一般式(1)及び一般式(2)において、Ge及びPのうち、Al,Si,V,Zn,As,Mo及びWの少なくとも一種により置換されているものの割合は、GeとPの合わせたモル数の30%以下であることが好ましく、GeとPの合わせたモル数の10%以下であることがより好ましい。Ge及びPのうち、Al,Si,V,Zn,As,Mo及びWの少なくとも一種により置換されているものの割合が高すぎると、より低い伝導度の異相が生成する(異相が生成してイオン伝導度を引下げる)場合がある。
なお、固体電解質層13、第1の電極11及び第2の電極12の全てが斜方晶系の結晶構造を主体とし、下記の一般式(1)で表される固体電解質を含んでいてもよいし、それらの1つのみ又は2つが斜方晶系の結晶構造を主体とし、下記の一般式(1)で表される固体電解質を含んでいてもよい。もっとも、固体電解質層13、第1の電極11及び第2の電極12のうち、少なくとも固体電解質層13が斜方晶系の結晶構造を主体とし、下記の一般式(1)で表される固体電解質を含んでいることが好ましい。その場合、固体電解質層13のイオン伝導性が向上するためである。
固体電解質層13、第1の電極11及び第2の電極12は、それぞれ、斜方晶系の結晶構造を主体とし、下記の一般式(1)で表される固体電解質に加えて又は単独に、ナシコン構造を有するリチウム含有リン酸化合物、ペロブスカイト構造を有する酸化物電解質、ガーネット型若しくはガーネット型類似構造を有する酸化物電解質等を含んでいてもよい。ナシコン構造を有するリチウム含有リン酸化合物の具体例としては、Li(PO(1≦x≦2、1≦y≦2、Mは、Ti,Ge,Al,Ga及びZrからなる群より選ばれた少なくとも一種)が挙げられる。ペロブスカイト構造を有する酸化物固体電解質の具体例としては、La0.55Li0.35TiO等が挙げられる。ガーネット型若しくはガーネット型類似構造を有する酸化物固体電解質の具体例としては、LiLaZr12等が挙げられる。これらの電解質のうちの1種のみを用いてもよいし、複数種類を混合して用いてもよい。
以下、全固体電池1の具体的な製造方法の一例について説明する。
まず、活物質粒子と電解質粒子とに対して、溶剤、樹脂等を適宜混合することにより、ペーストを調製する。そのペーストをシートの上に塗布し、乾燥させることにより活物質層11bを構成するための第1のグリーンシートを形成する。同様に、活物質層12bを構成するための第2のグリーンシートを形成する。
電解質粒子に対して、溶剤、樹脂等を適宜混合することにより、ペーストを調製する。そのペーストを塗布し、乾燥させることにより、固体電解質層13を構成するための第3のグリーンシートを作製する。
次に、第1〜第3のグリーンシートを適宜積層することにより積層体を作製する。作製した積層体をプレスしてもよい。好ましいプレス方法としては、静水圧プレス等が挙げられる。
その後、積層体を焼結する。すなわち、ここでは、一体焼結により、互いに接合された活物質層11b、12b及び固体電解質層13を作製する。
次に、活物質層11bの上に集電体11aを形成すると共に、活物質層12bの上に集電体12aを形成する。集電体11a、12aの形成は、例えば、スパッタリング法、化学気相蒸着(Chemical Vapor Deposition:CVD)法、めっき法等により行うことができる。
最後に、図示しない封止材を用いて、焼結した積層体を封止することにより全固体電池1を完成させることができる。
以下、本発明について、具体的な実施例等に基づいて、さらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例等に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
[一般式(1)におけるb:cが約3:1であるときの実施例及び比較例]
(比較例1)
LiCO、LiPO、GeOを表1の組成となるように秤量し、ポリエチレン製ポリポットに封入してポット架上で回転させることにより混合した。次に、得られた混合粉体を、空気雰囲気下、700℃で5時間焼成し、揮発成分を除去させた。次に、得られた焼成物を、水、φ5mmの玉石とともにポリエチレン製ポリポットに封入してポット架上で回転することにより粉砕した。その後、120℃のホットプレート上に粉砕物を配置し、粉砕物から水分を除去した。
次に、粉砕物を、50kN/cmの圧力でφ10mm×厚み500〜1000μmのタブレットに成形した。そのタブレットを、空気雰囲気下、800〜900℃で20時間焼成し、固体電解質タブレットC1を作製した。タブレットを焼成して固体電解質タブレットC1としたときに、体積比率で35%前後の収縮が確認された。
次に、固体電解質タブレットC1の両面のそれぞれにPt膜からなる電極をスパッタリング法により形成し、比較例1に係るサンプルC1を作製した。
サンプルC1のインピーダンスを、周波数0.1MHz〜1MHz、振幅100mVで測定した。その結果から、固体電解質タブレットC1のイオン伝導度を算出した。結果を表1に示す。
また、固体電解質タブレットC1のX線回折を行った。結果を図1に示す。図1に示されるように、固体電解質タブレットC1のX線回折チャートは、斜方晶系のLi3.05Ge0.310.69のXRDチャートとほぼ一致した。このことから、固体電解質タブレットC1は、斜方晶系の結晶構造を主体としていることが理解される。
(実施例1)
表1に示す実施例1の組成としたこと以外は、比較例1と同様にしてサンプルE1を作製し、固体電解質タブレットE1のイオン伝導度を求めた。結果を表1に示す。
また、固体電解質タブレットE1のX線回折を行った。結果を図1に示す。図1に示されるように、固体電解質タブレットE1のX線回折チャートは、斜方晶系のLi3.05Ge0.310.69のXRDチャートとほぼ一致した。このことから、固体電解質タブレットE1は、斜方晶系の結晶構造を主体としていることが理解される。
(実施例2)
表1に示す実施例2の組成としたこと以外は、比較例1と同様にしてサンプルE2を作製し、固体電解質タブレットE2のイオン伝導度を求めた。結果を表1に示す。
また、固体電解質タブレットE2のX線回折を行った。結果を図1に示す。図1に示されるように、固体電解質タブレットE2のX線回折チャートは、斜方晶系のLi3.05Ge0.310.69のXRDチャートとほぼ一致した。このことから、固体電解質タブレットE2は、斜方晶系の結晶構造を主体としていることが理解される。
(実施例3)
表1に示す実施例3の組成としたこと以外は、比較例1と同様にしてサンプルE3を作製し、固体電解質タブレットE3のイオン伝導度を求めた。結果を表1に示す。
また、固体電解質タブレットE3のX線回折を行った。結果を図1に示す。図1に示されるように、固体電解質タブレットE3のX線回折チャートは、斜方晶系のLi3.05Ge0.310.69のXRDチャートとほぼ一致した。このことから、固体電解質タブレットE3は、斜方晶系の結晶構造を主体としていることが理解される。
(実施例4)
表1に示す実施例4の組成としたこと以外は、比較例1と同様にしてサンプルE4を作製し、固体電解質タブレットE4のイオン伝導度を求めた。結果を表1に示す。
また、固体電解質タブレットE4のX線回折を行った。結果を図1に示す。図1に示されるように、固体電解質タブレットE4のX線回折チャートは、斜方晶系のLi3.05Ge0.310.69のXRDチャートとほぼ一致した。このことから、固体電解質タブレットE4は、斜方晶系の結晶構造を主体としていることが理解される。
(比較例2)
表1に示す比較例2の組成としたこと以外は、比較例1と同様にしてサンプルC2を作製し、固体電解質タブレットC2のイオン伝導度を求めた。結果を表1に示す。
また、固体電解質タブレットE2のX線回折を行った。結果を図1に示す。図1に示されるように、固体電解質タブレットE2のX線回折チャートは、斜方晶系のLi3.05Ge0.310.69のXRDチャートとほぼ一致しているが、LiPOのXRDパターンを僅かに含んでいることが確認された。
[一般式(1)におけるb:cが約1:2であるときの実施例及び比較例]
(比較例3)
表2に示す比較例3の組成としたこと以外は、比較例1と同様にしてサンプルC3を作製し、固体電解質タブレットC3のイオン伝導度を求めた。結果を表2に示す。
(比較例4)
表2に示す比較例4の組成としたこと以外は、比較例1と同様にしてサンプルC4を作製し、固体電解質タブレットC4のイオン伝導度を求めた。結果を表2に示す。
(実施例5)
表2に示す実施例5の組成としたこと以外は、比較例1と同様にしてサンプルE5を作製し、固体電解質タブレットE5のイオン伝導度を求めた。結果を表2に示す。
(実施例6)
表2に示す実施例6の組成としたこと以外は、比較例1と同様にしてサンプルE6を作製し、固体電解質タブレットE6のイオン伝導度を求めた。結果を表2に示す。
(実施例7)
表2に示す実施例7の組成としたこと以外は、比較例1と同様にしてサンプルE7を作製し、固体電解質タブレットE7のイオン伝導度を求めた。結果を表2に示す。
(比較例5)
表2に示す比較例5の組成としたこと以外は、比較例1と同様にしてサンプルC5を作製し、固体電解質タブレットC5のイオン伝導度を求めた。結果を表2に示す。
なお、固体電解質タブレットC3〜C5,E5〜E7も、X線回折により、斜方晶系の結晶構造を主体としていることを確認した。また、固体電解質タブレットE7のX線回折チャートには、LiPOのXRDパターンがわずかに含まれていることを確認した。
(実施例8)
Li(POで表される活物質粉末と、導電剤としての炭素粉末とを95:5の重量比率に秤量し、ポリエチレン製ポリポットに封入してポット架上で回転させることにより混合した。混合した粉末、ポリビニルアセタール樹脂、アルコールを、100:15:140の重量比率に秤量した。ブチラール樹脂をアルコールに溶解させ、混合した粉末とφ5mmの玉石とともにポリエチレン製ポットに封入してポット架上で回転させた後、玉石を取り出し、電極層スラリーを作製した。ドクターブレード法を用いてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にスラリーを塗工し、40℃の温度に加熱したホットプレート上で乾燥し、φ9mmに打ち抜いて、電極層グリーンシートを作製した。電極層グリーンシートの厚みは5μmになるように調整した。焼成前の固体電解質タブレットE2の片面に電極層グリーンシートを積層し、60℃に加熱した2枚のSUS板で熱圧着した。次いでポリエチレン製のフィルム容器に封入し、180MPaの水圧で等方圧プレスして積層体を作製した。積層体を2枚の多孔性セラミックス板で挟み込み、1%酸素ガスを含む窒素雰囲気下で、500℃の温度で焼成してポリビニルアセタール樹脂を除去した後、窒素ガス雰囲気下、850℃の温度で焼成して固体電解質タブレットと電極層を接合し、焼結体を作製した。焼結体の電極層側にスパッタリングによって、集電層となる白金(Pt)層を形成した後、対極となる金属リチウム上にLiイオンを含むPMMAゲル電解質を塗布し、塗布面に固体電解質層が接触するように焼結体と金属リチウムを積層し、これを2032型コインセルに封止して固体電池を作製した。
固体電池を3μAの電流で4.5Vまで充電した後、4.5Vで5時間保持し、電圧が落ち着くまで数時間放置した。その後、3μA電流で3.0Vまで放電した後、電圧が落ち着くまで数時間放置する充放電サイクルを2回実施した。図3に、2回目の充放電カーブを示す。
1 全固体電池
11 第1の電極
12 第2の電極
11a,12a 集電体
11b 負極活物質層
12b 正極活物質層
13 固体電解質層

Claims (8)

  1. 斜方晶系の結晶構造を主体とし、一般式LiGe(但し、3.60≦a≦5.00、0.80≦b+c≦0.95、Ge及びPのうちの少なくとも一方の一部がAl,Si,V,Zn,As,Mo及びWの少なくとも一種により置換されていてもよい。)で表される、固体電解質。
  2. 上記一般式において、3.75≦a≦4.60が満たされる、請求項1に記載の固体電解質。
  3. 上記一般式において、0.85≦b+c≦0.90が満たされる、請求項2に記載の固体電解質。
  4. 上記一般式において、0.62≦b≦0.70かつ0.20≦c≦0.25が満たされる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の固体電解質。
  5. 上記一般式において、0.27≦b≦0.31かつ0.55≦c≦0.61が満たされる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の固体電解質。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の固体電解質を備える、全固体電池。
  7. 固体電解質層と、
    前記固体電解質の一方側に配された第1の電極と、
    前記固体電解質の他方側に配された第2の電極と、
    を備え、
    前記固体電解質層、前記第1の電極及び前記第2の電極のうちの少なくとも一つが前記固体電解質を含み、
    前記第1及び第2の電極の少なくとも一方と、前記固体電解質層とが焼結接合されている、請求項6に記載の全固体電池。
  8. 前記固体電解質層が前記固体電解質を含む、請求項7に記載の全固体電池。
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