JP6212322B2 - 断熱パネル - Google Patents
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ここで、表面板と枠材とにより形成された中空部内に発泡性の断熱材を注入・充填する作業の際には、断熱材の発泡によるガスが発生し、そのガスによって枠材の角部にまで断熱材が充填されない場合がある。そこで、このような断熱材の未充填箇所の発生を防ぐために、ガス抜き用の孔を設ける構成が知られている(特許文献1参照)。特許文献1の断熱パネルにおいては、枠材のコーナに筒状をなす開口部を設け、この筒状部分を長くすることで、断熱材の漏れを防いでいる。一方、筒状部分を長くしたことで、空気溜まりができることから、この空気を抜くための小径の孔が筒状部分の周辺に形成されている。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、簡便な構成によりガス抜き孔からの断熱材漏れを防ぐことができる断熱パネルを提供することを目的とする。
(1)前記ガス抜き孔は、前記中空部に開口する内側開口が、外側に開口する外側開口よりもその開口面積が大きい構成。
このような構成では、内側開口が塞がりにくくなるため、ガス抜き効果を持続することができる。さらに、中空部側の開口面積より、外側開口の面積が小さいため、断熱材が入り込もうとしても、入り口(内側開口)に対して出口(外側開口)の開口面積が狭いため、流通抵抗が増加し、断熱材が外部まで到達する前に発泡が終了しやすくなっている。そのため、断熱材が外部に漏れ出すことをより確実に防ぐことができるようになる。
連通部を設けたことで、ガス抜き孔の内側開口に断熱材が浸入した場合であっても、外側開口まで断熱材が到達しにくくなる。そのため、断熱材が外部に漏れ出すことをさらに防ぐことができる。また、外側開口側の形状を直線状とする一方、内側開口側の形状を円弧状としたため、内側開口の開口面積が外側開口に比して大きくなり、上述の通り、流通抵抗が増加し、断熱材が外部に漏れ出すことをより確実に防ぐことができるようになる。
このように構成すると、突起とガス抜き孔との間において断熱材が入り込む隙間を減らすことができる。そのため、断熱材が外部に漏れ出すことをさらに防ぐことができる。
このように構成すると、断熱材が充填されにくいコーナ枠材の角部にガス抜き孔が設けられることにより、コーナ枠材の角部まで断熱材が充填されやすくなる。
本発明の一実施形態を図1ないし図17によって説明する。
本実施形態に係るプレハブ式冷蔵庫の冷蔵庫本体10は、図1に示すように、複数の断熱パネル20を組み付けることで矩形箱形に形成され、前面壁には出入口となる開口部が形成され、開口部を開閉するスライド扉12が設けられている。断熱パネル20としては例えば、二枚ずつのルーフパネル15とベースパネル(底面を形成)、側面と前後面に配されるサイドパネル17及び周壁の四つ角に配される4つのコーナパネル19が備えられている。
枠材30は、図5に示すように、直線状の外周枠材31と、外周枠材31の端部同士を連結するコーナ枠材40とからなっている。外周枠材31とコーナ枠材40には、表面板23と接する面に、差込溝33、41(図4参照)が枠材30の全周に亘って形成されている。そして、図6に示すように、表面板23の4辺には差込板23Aが直角曲げして形成されている。そして、図13に示すように、差込板23Aを対応する差込溝33、41に差し込むことで、表面板23と枠材30とが固定されて、外殻体21(図2参照)が形成される。なお、表面板23の角部には、図6に示すように、差込板23Aを直角曲げするためのCカット23Bが施されている。
そして、このように構成される断熱パネル20の外周枠材31には、断熱材25(図2参照)の注入孔(図示しない)が設けられている。
コーナ枠材40は、図7に示すように、平面視略L字形状に連結される横側面43と上側面45とを備えている。そして、コーナ枠材40の横側面43には、図13に示すように、外周枠材31に設けられた第1凹条部35又は第1凸条部に連なる第1凹条部又は第1凸条部(図面では第1凹条部51を示す)が設けられている。そして、上側面45には、外周枠材31に設けられた第2凸条部に連なる第2凸条部55が設けられている。なお、横側面43及び上側面45には、外周枠材31の内側に嵌り込む延出部43A、45Aが形成されている。延出部43A、45Aは、横側面43及び上側面45の厚みよりも外周枠材31の厚み分薄く形成されており、コーナ枠材40と外周枠材31と嵌め合わせたときに、外周面においてはコーナ枠材40と外周枠材31とが略面一になっている。延出部43A、45Aと外周枠材31が重なり合って接続されることで、嵌め込みによる接続であっても、コーナ枠材40と外周枠材31とが互いに外れにくくなり、また重なり合うために、断熱材25が継ぎ目から漏れ出ることを防ぐことができる。
従来、表面板23の角部に施されたCカット23B(図6参照)によって、断熱材25が漏れやすいという問題があった。しかし、本実施形態においては、コーナ枠材40に接触面47を形成することで、表面板23とコーナ枠材40との接触距離を接触面47を形成しない場合の約2倍とすることができ、断熱パネル20の角部からの発泡漏れを抑制することができる。
一方、コーナ枠材40の第1凹条部51は、外周枠材31の第1凹条部35の形状に連なるように、2つの凹条部から形成されており、2つの第1凹条部51の間に、凸条部39に連なるように、凸条部53が形成されている。この凸条部53にも、突起39Aに連なる形状で、突起53Aが形成されており、この突起53Aは、徐々にその高さが低くなるように形成されており、その終端が凸条部53の長さの約半分程度の位置になっている。この突起53Aも、コーナ枠材40の膨らみを防止し、かつ突起39Aに連なるように形成されることで、突起39Aの角が他の断熱パネルに当接して傷を形成したり、運搬時に手に突起39Aの角が当たって怪我したりすることを防いでいる。
コーナ枠材40の第2凸条部55は、図13に示すように、外周枠材31の第2凸条部37の形状に連なるように2つの凸条部から形成されており、2つの第2凸条部55の間に、外周枠材31の凹条部38に連なるように、凹条部57が形成されている。ただ、この凹条部57には、溝部は形成されていないが、外周枠材31の溝部38Aと同じ深さになっている。なお、延出部43Aは、外周枠材31の形状に沿うように、凹条部が浅めに形成され、その中央部に溝部も形成されている。
そして、図11に示すように、外側開口61から連なるように、中空部27側に向かってガス抜き孔60が延出しており、中空部27側には、内側開口63が開口している。外側開口61と内側開口63との間に連通板65が形成されている。連通板65は、コーナ枠材40の内面57Aと平行になる天板部分65Aとコーナ枠材40の凹条部57の内面との間に形成された両側面部分65Bとを有しており、チャンネル形状をなしている。連通板65とコーナ枠材40の凹条部57の内面57Aとの間の空間が、外側開口61と内側開口63を連通する連通孔67とされている。つまり、ガス抜き孔60は、外側開口61と、内側開口63と、連通板65により形成される連通孔67とにより形成されている。
図9に示すように、連通板65の天板部分65Aにおいて、外側開口61側の形状は、直線状となっている一方、内側開口63側の端面65Cは、円弧状とされており、円弧形状の終端部から側面部分65Bが形成されている。そのため、内側開口63は外側開口61に比べると、その開口面積が約15%大きくなっている。
なお、ガス抜き孔60は断熱材25の発泡充填時に、断熱材25が下方から発泡してくるためにできるだけ上部にある方が塞がれにくく好ましい。作業効率からも組み付けの方向性が無いように、コーナ枠材40の幅方向の中央部にガス抜き孔60を配置している。
そして、突起部69は、連通板65の配されている高さと同程度の高さに形成されている。断熱材25が充填される際には、突起部69側から断熱材25が充填されてくるようにされているため、断熱材25がガス抜き孔60から漏れ出しにくくなっている。
外周枠材31に設けられた第1凹条部35又は第1凸条部とコーナ枠材40に設けられた第1凹条部51又は第1凸条部が嵌め合うように接続する。そして、外周枠材31に設けられた第2凸条部37とコーナ枠材40とに設けられた第2凸条部55とが嵌め合うように接続する。この際に、嵌合突起59が外周枠材31の凹条部38の溝部38Aに入り込み、外周枠材31は、延出部45Aと嵌合突起59により上下方向から挟み込まれて固定される。このようにして、コーナ枠材40と外周枠材31とが嵌め合わされて、枠材30が形成される。そして、枠材30の差込溝33、41に表面板23の差込板23Aが表側と裏側の両側に差し込まれて、外殻体21が形成される。
そして、断熱材25の発泡充填が進むと、コーナ枠材40の近傍でも断熱材25の発泡が行われる。この際、図12における下部前方(断熱パネル20の中央より)から発泡が進行する。そして、ガス抜き孔60の近傍で発泡が行われるようになると、ガス抜き孔60の内側開口63の方向に発泡しようとする断熱材25は、突起部69に当接することで、その発泡速度が遅くなる。その一方、ガス抜き孔60以外の場所では、断熱材25の発泡が進行して、中空部27は断熱材25によって充填される。この際に、ガス抜き孔60の内側開口63は、上下に縦長の円弧形状に開口し、開口面積が広くなっていることから、断熱材25によってガス抜き孔60が塞がれるのが遅くなるため、ガス抜き効果を長く持続させることができる。つまり、断熱材25の発泡途中でガス抜き孔60が完全に塞がれ難くなっているため、空気溜まりが形成されにくくなり、断熱材25が隅々まで充填されやすくなる。また、内側開口63の開口面積に対して、連通孔67の断面積及び外側開口61の開口面積が狭いため、内側開口63から入り込んだ断熱材25は流通抵抗が増加するため、外側開口61まで到達できず、外側開口61からの断熱材の漏れを抑制することができる。
このようにして、断熱材25がガス抜き孔60の外側開口61から漏れ出ることなく、隅々まで発泡充填される。
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)本発明は、上記実施形態に例示したプレハブ式冷蔵庫に限らず、冷凍庫、恒温高湿庫等、要は複数の断熱パネルを組み付けて貯蔵庫本体を構築したプレハブ式貯蔵庫全般及び断熱パネルを用いて構築されるクリーンルーム等に広く適用することができる。
(2)上記実施形態で例示した寸法はあくまでの一例であって、任意に選定し得るものである。
(4)上記実施形態では、内側開口63側の連通板65の形状を円弧形状としたが、円弧形状に限らず、意匠面ではないので、内側開口63の方が外側開口61の開口面積よりも広くなれば、他の形状としても良い。また、成形を容易にするために、内側開口63と外側開口61の開口面積が等しくなるようにしても良い。
(6)上記実施形態では、連通板65に両側面部分65Bを設けていたが、側面部分に関しては、枠材の凹凸を利用しても良い。
(8)上記実施形態では、突起部69はガス抜き孔60から所定距離離れた位置に設けられていたが、突起部の端部と連通板の両側面部分(もしくは片方の側面部分)がつながっていても良い。このようにすると断熱材が間にさらに入り込みにくくなる。
(9)上記実施形態では、ガス抜き孔60はコーナ枠材40の断熱材25の充填時の上下方向の略中央付近に設けられていたが、上側に寄せてガス抜き孔を形成するようにしても良い。その場合には、治具に固定した際の上下方向に縦長形状ではなく左右方向に横長形状としても良い。
Claims (4)
- 相互に所定の間隔を隔てて配置された一対の表面板と、
前記表面板の周縁部に配され前記表面板の間に設けられた枠材と、
前記表面板および前記枠材によって形成された中空部内に発泡充填された断熱材とを備える断熱パネルにおいて、
前記枠材には、前記断熱材の発泡充填に伴い発生したガスを外部に排出するガス抜き孔が形成されており、前記ガス抜き孔の周囲には、前記断熱材の当該ガス抜き孔への浸入を抑止する突起が設けられ、
前記ガス抜き孔は、前記中空部に開口する内側開口と外側に開口する外側開口とを連通するための連通部を有し、
前記連通部は、前記枠材との間に空間を隔てて形成された天板を備え、その空間を前記ガスが流通するものとされており、
前記突起が、前記天板のうち板面を視た場合の前記内側開口側の形状に沿った形状とされていることを特徴とする断熱パネル。 - 前記突起が、前記内側開口の正面の離れた位置に形成され、前記天板の配されている高さと同程度の高さとされていることを特徴とする請求項1に記載の断熱パネル。
- 前記天板は、板面を視た場合に、前記外側開口側の形状が直線状である一方、前記内側開口側の形状が円弧状とされていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の断熱パネル。
- 前記表面板は、矩形状に形成されており、
前記枠材は、前記表面板の各辺の長さと略同一で直線状の外周枠材と、該外周枠材の端部同士を連結する平面視略L字型のコーナ枠材とからなり、
前記ガス抜き孔は、前記コーナ枠材の角部に設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の断熱パネル。
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