JP2014043987A - 冷蔵庫 - Google Patents

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Yohei Kadoi
陽平 門傳
Toshihiro Komatsu
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Abstract

【課題】真空断熱材を設置した仕切り壁内でウレタン樹脂のような発泡断熱材を発泡させた時に、発泡断熱材の未充填による空洞部の発生を抑制して仕切り壁の断熱性能を向上した冷蔵庫を提供することにある。
【解決手段】仕切り壁の一面側に真空断熱材を配置し、少なくとも注入された発泡断熱材から発生するガス及び/または仕切壁内の空気を仕切り壁外に排出する排出孔を仕切り壁の一面側に形成した。真空断熱材を設置したことによる発泡断熱材が流動しづらい構成でも、仕切り壁の一面側に形成した排出孔によって仕切り壁の一面側と真空断熱材の間のガスや空気を排出することができるようになり、発泡断熱材の未充填による空洞部の発生を抑制することができる。
【選択図】図4

Description

本発明は食品や飲料水等を冷蔵或いは冷凍して貯留する冷蔵庫に係り、特に冷蔵庫の箱体に発泡断熱材を充填した冷蔵庫に関するものである。
地球温暖化を防止する社会の取り組みとして、二酸化炭素(CO)の排出抑制を図るため様々な分野で省エネルギー化が推進されている。近年の電気製品、特に冷熱関連の家電製品である冷蔵庫においても、消費電力量を低減する観点から断熱性能を向上したものが主流になってきている。
一般的な冷蔵庫では、薄板鉄板製の外箱と樹脂製の内箱との間や各室を区切る仕切り壁に、例えば硬質ウレタンフォームなどの発泡断熱材を充填して断熱箱体を形成していた。近年、冷蔵庫の省エネルギー化や庫内の有効容積の拡大を目的に、箱体の断熱部材として、高い断熱性能を有する真空断熱材を利用する例が増えてきている。
例えば、特開2005-127600号公報(特許文献1)に記載の冷蔵庫では、異なる温度帯設定である貯蔵室間の熱伝導を抑制して過冷却や凍結を防止するため、断熱箱体の各貯蔵室を区切る仕切り壁内部に真空断熱材を配置している。
特開2005-127600号公報
ところで、冷蔵庫の仕切り壁内に真空断熱材と共にウレタン樹脂を注入して充填する際、仕切り壁内部の真空断熱材が配置された空間以外の空間では元からある空気とこれから発泡させるウレタン樹脂とを置換する必要がある。しかもウレタン樹脂の発泡工程では多量のガスが発生するので、置換される空気とともにウレタン樹脂の発泡時のガスも同時に外部へ排出しなければならない。
特許文献1には、仕切り壁の内部に真空断熱材とウレタン樹脂を一緒に使用することが記載されているが、ウレタン樹脂の発泡時に発生するガスの流動およびウレタン樹脂が置換する空気の流動については言及されていない。すなわち、仕切り壁内に硬質ウレタンフォームと真空断熱材が配置された断熱箱体が記載されているに過ぎず、上述したガスや空気の排出方法については開示されていない。
例えば、冷蔵庫の扉取り付け側である開口部を下にして、ウレタン樹脂の原液を上側である背面側から開口部側に注入し、背面側に向かってウレタン樹脂の原液を発泡させた場合では、発泡と共に大半の空気及び発泡時に発生するガスは冷蔵庫背面側に向かって断熱箱体内の断熱空間を流動する。これは、仕切り壁内部に流入したウレタン樹脂も同様であり、冷蔵庫の背面側に向かって仕切り壁内部をウレタン樹脂が流動していく。このとき、特に仕切り壁内部のウレタン樹脂の流路中に真空断熱材があると、真空断熱材が障害となりウレタン樹脂の流動が円滑に進まず、真空断熱材と仕切り壁との間にガス溜りや空気溜りが発生しやすくなる。
この空気溜まりやガス溜り等によりウレタン樹脂が充填されない空洞部分が発生すると、空洞部の断熱性能の局所的な悪化が発生して各貯蔵室の間での熱伝導が多くなり、結果的に消費電力の増大、或いは露付きの発生等が懸念される。また、副次的な影響として仕切り壁の表面に凹凸を形成して意匠面からも好ましくないという不具合もあった。
本発明の目的は、真空断熱材を設置した仕切り壁内でウレタン樹脂のような発泡断熱材を発泡させた時に、発泡断熱材の未充填による空洞部の発生を抑制して仕切り壁の断熱性能を向上した冷蔵庫を提供することにある。
本発明の特徴は、仕切り壁の一面側に真空断熱材を配置し、注入された発泡断熱材から発生するガス及び/または仕切壁内の空気を仕切り壁外に排出する排出孔を少なくとも真空断熱材が位置する仕切り壁の一面側に形成した、ところにある。
本発明によれば、真空断熱材を設置したことによる発泡断熱材が流動しづらい構成でも、仕切り壁の一面側に形成した排出孔によって仕切り壁の一面側と真空断熱材の間のガスや空気を排出することができるようになり、発泡断熱材の未充填による空洞部の発生を抑制することができる。これによって仕切り壁の断熱性能を向上させることができるようになる。
本発明が適用される冷蔵庫の断熱箱体の縦断面図である。 図1に示した断熱箱体に発泡ウレタン樹脂を充填する工程を説明する説明図である。 図1に示した真空断熱材を設けた仕切り壁に発泡ウレタン樹脂を充填した時の発泡状態を説明する説明図である。 図1に示した真空断熱材を設けた仕切り壁の内部を示し、発泡ウレタン樹脂を充填した時の発泡状態を説明する説明図である。 図3に示した発泡ウレタン樹脂の最終充填部付近を拡大し、発泡ウレタン樹脂の流動を説明する説明図である。
以下、本発明の実施形態について図を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例をもその範囲に含むものである。
図1は冷蔵庫1の断熱箱体8の断面を示しており、この断熱箱体8の内部には上側から順に冷蔵室2、冷凍室3、野菜室4等の貯蔵室が形成されている。これら各貯蔵室は断熱仕切り壁31及び真空断熱材12を備える断熱仕切り壁32で区切られている。冷蔵室2、冷凍室3、野菜室4の前面には、各貯蔵室の開口部を開閉する冷蔵室扉5、冷凍室扉6a、6b、野菜室扉7が設けられている。
断熱箱体8は冷蔵庫1の外郭を構成するものであり、この断熱箱体8は外箱9、内箱10、発泡断熱材11、真空断熱材12等で構成されている。外箱9は一般的に金属製の薄板鉄板、例えば、肉厚0.5mm〜0.4mmの鉄板で作られており、内箱10は合成樹脂、例えばABS樹脂を真空成形して作られている。
外箱9と内箱10の組み合わせによって作られる断熱箱体8内にはウレタン樹脂からなる発泡断熱材11が充填されている。発泡断熱材11はポリオールとイソシアネートとの2液を攪拌した原液に発泡剤を混合したもので、これを断熱箱体8内に注入し発泡させて作成したものである。尚、発泡断熱材11はウレタン樹脂に限らず適当な断熱性能を有する合成樹脂で形成しても良いが、以下では代表してウレタン樹脂を用いる。
また、外箱9と内箱10よりなる断熱箱体8の内部には適宜必要な部分に真空断熱材12が収容されている。真空断熱材12は積層したグラスウールなどを、外包材(薄肉のアルミフィルムや金属蒸着層を有する積層フィルム)で包み、その後で外包材内を真空引きして形成されている。当然のことながら真空断熱材12はウレタン樹脂よりも熱伝導率が低くなるように形成されている。
図2は外箱9と内箱10を組み合わせた断熱箱体8内にウレタン樹脂を充填する様子を示している。本実施例の場合では冷蔵庫1の開口部側を下面に置き、背面側を上面にしてウレタン樹脂の充填を行うものである。そして、断熱箱体8の背面側に設けられた注入口14より液状のウレタン樹脂が注入されると、ウレタン樹脂は断熱箱体8内に流入すると共に断熱仕切り壁31、断熱仕切り壁32の内部にも流入して発泡断熱材11を形成する。このような形成方法は良く知られた形成方法である。
そして、このような発泡断熱材11を形成する方法において、特に断熱仕切り壁32にあるように内部のウレタン樹脂の流路中に真空断熱材12があると、この真空断熱材12が発泡によるウレタン樹脂の流動の障害となってウレタン樹脂の流動が円滑に進まず、真空断熱材と仕切り壁32の間にウレタン樹脂の発泡に伴うガス溜りや空気溜りが発生しやすくなる。
例えば、断熱仕切り壁32を構成する断熱空間の隙間寸法は庫内容量を広くしつつ、十分な断熱性能を得るために、20〜35mm前後に設定されている。そして、真空断熱材12の厚さが10〜15mm程度あると、ウレタン樹脂は残りの隙間である幅5〜25mmの空間を流れなければならず、真空断熱材12はウレタン樹脂の流れを阻害する要因となる。そして、真空断熱材12の存在によって生じる空気溜まりやガス溜り等によりウレタン樹脂が充填されない空洞部分が発生すると、空洞部による断熱性能の局所的な悪化が発生して各貯蔵室の間での熱伝導が多くなり、結果的に消費電力の増大や露付きの発生が懸念される。
このような問題を解決するため本実施例では以下に説明する構成を提案するものであるが、この実施例は一例であって種々の変形、応用を妨げるものではない。
図3は真空断熱材12を備えた断熱仕切り壁32の構成を示しており、この断熱仕切り壁32は冷凍室3と野菜室4を区切る断熱仕切り壁である。断熱仕切り壁32はポリプロピレンよりなる合成樹脂製の上側仕切り壁形成体33と、これもポリプロピレンよりなる下側仕切り壁形成体34と、これらの仕切り壁形成体33、34及びこれに一体形成された堰き止め部33A、34Aによって形成される断熱空間13と、断熱空間13に充填された発泡断熱材11及び下側仕切り壁形成体34に固定された真空断熱材12等で構成されている。
そして、その製作にあたっては下側仕切り壁形成体34の内側に真空断熱材12をテープ等によって貼着し、上側仕切り壁形成体33と下側仕切り壁形成体34を組み合わせて一体化して断熱箱体8に組み付けた後にウレタン樹脂を注入して発泡断熱材11を形成するものである。ここで、冷蔵庫1を立てた状態において上側仕切り壁形成体33が食料品等を収納する冷凍室3の下面となる。一方、下側仕切り壁形成体34は食品等を収納する野菜室4の上面となるものであり、このため冷蔵庫1の使用者からは見えづらいようになっている。
図3に基づき断熱仕切り壁32の構成を更に詳細に説明すると、上側仕切り壁形成体33と下側仕切り壁形成体34は断熱箱体8を横断する形状に形成されており、両者を組み合わせて断熱仕切り壁32の外郭を形成する。図面上で断熱仕切り壁32の上側には図示しないエバポレータの一端を収容するエバポレータ収容部19が形成され、内部にポリスチレン(スチロフォーム)からなる断熱体18が収容されている。また、エバポレータ収容部19には結露水を排出する排水孔35が形成されている。このエバポレータ収容部19は図面上では上側に配置されているが、実際には冷蔵庫1を立てて使用するのでエバポレータ収容部19は冷蔵庫の奥側に配置される形となる。
上側仕切り壁形成体33と下側仕切り壁形成体34よりなる断熱仕切り壁32の断熱空間13の下側には断熱仕切り壁32内にウレタン樹脂を注入する注入口15が形成されており、断熱箱体8の側面を流れるウレタン樹脂が分岐して流入するようになっている。
下側仕切り壁形成体34には真空断熱材12が粘着テープ等を用いて固定されており、この真空断熱材12の両側面をウレタン樹脂が発泡しながら図面上では上側に流動していくものである。そして、真空断熱材12の最上部付近、つまりウレタン樹脂の最終充填部付近の下側仕切り壁形成体34の壁面にはウレタン樹脂の発泡に伴うガスや空気の排出を行なう排出孔16が開口されている。本実施例においては図4、図5にあるように上下に排出孔16A、16Bが設けられており、この排出孔16A、16Bは上側仕切り壁形成体33と下側仕切り壁形成体34とにより形成された断熱空間13と外部とを連通するものである。
図5は断熱仕切り壁32のウレタン樹脂の最終充填部付近の拡大図を示している。図において、上側仕切り壁形成体33と下側仕切り壁形成体34は断熱空間13とエバポレータ収納部19を一体に形成するように夫々同時形成されている。そして、エバポレータ収納部19に設けられた断熱体18とウレタン樹脂が充填される断熱空間13の間には、上側仕切り壁形成体33に形成され断熱空間13側に延びる堰き止め部33Aと、下側仕切り壁形成体34に形成され断熱空間13側に延びる堰き止め部34Aとが植立されている。これらの堰き止め部33Aと堰き止め部34Aは互いに向き合い、その間に断熱体18に形成した断熱突起18Aが挟みこむようにして介装されている。よって、堰き止め部33Aと堰き止め部34Aは断熱空間13を形成するためにも利用されている。
したがって、堰き止め部33A、堰き止め部34A、断熱突起18Aによって充填されたウレタン樹脂の流動は堰き止められ、エバポレータ収納部19の内部に進入するのを防止している。また、断熱突起18Aは上側仕切り壁形成体33と下側仕切り壁形成体34との間での熱の移動を抑制するために設けられている。したがって、上側仕切り壁形成体33と下側仕切り壁形成体34に対して断熱体18の方が断熱性能は高いようになっている。尚、場合によってはこの断熱突起18Aは省略することができる。そのような場合とは、断熱突起18Aを省略しても製品仕様上で問題ない場合や、上側仕切り壁形成体33と下側仕切り壁形成体34が断熱性能の良い材料で作られている場合や、仕切り壁32の両側の貯蔵室の温度差が左程ない場合等である。いずれにしても、断熱突起18Aは必要に応じて設ければ良いものであるが、設けた方が断熱性能を向上することができる。
破線枠で示すように排出孔16は排出孔16A、16Bよりなり、これらの排出孔16A、16Bは本実施例では図面中において上下2列に設けられている。この上下とはウレタン樹脂を充填する場合においての意味であって、実際の冷蔵庫では立てて使用するので、上下は奥側と手前側となる。そして、上側の排出孔16Aは真空断熱材12の上端部と下側仕切り壁形成体34の堰き止め部34Aとの間に形成され、下側の排出孔16Bは真空断熱材12と下側仕切り壁形成体34の間に形成されている。つまり、上側の排出孔16Aは断熱空間13のガスや空気を排出する機能(場合によっては真空断熱材12と下側仕切り壁形成体34の間のガスや空気も含む)を備えており、また下側の排出孔16Bは真空断熱材12と下側仕切り壁形成体34の間のガスや空気を排出する機能を備えている。
したがって、断熱空間13や真空断熱材12と下側仕切り壁形成体34の間を流動してきたウレタン樹脂の発泡に伴うガスや断熱空間13に残存していた空気は排出孔16A、16Bから排出されることになる。
更に、図4を用いて詳細に説明する。図4は断熱仕切り壁32を分解し、下側仕切り壁形成体34側に向かって見た時の内部の構成を示し、これに発泡ウレタン樹脂の流動状態を矢印で表示している。
図4において、断熱仕切り壁32内の真空断熱材12は下側仕切り壁形成体34に粘着テープなどを用いて貼着されている。発泡に伴うガスや残存している空気を排出する排出孔16A、16Bは、下側仕切り壁形成体34の注入口15の上側であって冷蔵庫の背面側にある堰き止め部34Aの近傍に複数設けられている。この堰き止め部34Aは発泡断熱材11が充填される断熱空間13と断熱体18の境界にあり、ウレタン樹脂が断熱体18を収納している領域まで流入しないよう堰き止めるために設けられている。そして、この堰き止め部34Aに至る断熱空間13に真空断熱材12が配置されるようになっている。
断熱体18が収納されたエバポレータ収納部19には、エバポレータの一端を収納する他に冷気の戻り口等が形成されている。このためエバポレータ収納部19は複雑な形状を有しているのでウレタン樹脂を充填することが難しい。したがって、断熱体18のようなスチロフォームを使用した別部品からなる断熱材を使用している。また、断熱箱体8の開口部から見て、エバポレータ収納部19付近はアンダーカットとなる部分であり、ウレタン樹脂を充填する際に使用する発泡装置で十分に押さえる事が難しい。この領域部分にウレタン樹脂が流れ込んで発泡すると発泡変形を起してしまう。このため、堰き止め部34Aを設けてウレタン樹脂の流入を防ぐようにしている。
上述したように、上側の排出孔16Aは真空断熱材12の上端部と下側仕切り壁形成体34の堰き止め部34Aとの間に形成され、下側の排出孔16Bは真空断熱材12が位置する下側仕切り壁形成体34に形成されている。本実施例では破線で囲ったような範囲に排出孔16A、16Bを形成している。上側の排出孔16Aは堰き止め部34Aに沿って6個だけ設けられ、下側の排出孔16Bも6個だけ設けられている。排出孔16Aの間隔、及び排出孔16Bの間隔は50〜60mm程度とされている。
上側の排出孔16Aと下側排出孔16Bとは相対する位置に設けられているが、この他にこれらを千鳥状に交互に配置しても良い。このようにするとガスや空気がより抜けやすくなる効果が期待できる。また、上側の排出孔16Aと下側排出孔16Bは破線で示したように真空断熱材12の横幅方向範囲だけ設けられているが、これを延長して形成しても良く、更には上側の排出孔16Aだけを延長しても良いものである。このようにした方がよりガスや空気がより抜けやすくなる効果が期待できる。更に、下側の排出孔16Bは一列だけでなく上下に2列以上の複数列となるようにしても良い。
そして、排出孔16A、16Bの直径dは、d=0.5〜2.0mm程度と小さくし、発泡時に発生するガスや空気は排出できるが、発泡したウレタン樹脂を排出できない大きさとしている。更に、これに加えて排出孔16A、16Bには、例えばポリエステル系の不織布等からなる気体透過性濾材を下側仕切り壁形成体34の内側の壁面に覆いかぶせるようにして設けるようにしている。これにより、排出孔16A、16Bから発泡したウレタン樹脂が排出されるのを防止できると共に、排出孔16A、16Bの周囲に存在するガスや空気を排出孔16A、16Bに導くことができる。気体透過性濾材を設けたので、排出孔16A、16Bから発泡したウレタン樹脂が流れ出して断熱仕切り壁32の意匠を損ねる、という不具合を少なくすることができる。
尚、本実施例では上側の排出孔16Aと下側の排出孔16Bの2列を設けた構成を示しているが、本質的には真空断熱材12と下側仕切り壁形成体34の間にガスや空気が溜まり空洞部を形成し易い。したがって、少なくともこの部分のガスや空気を排出すれば良いので、真空断熱材12と下側仕切り壁形成体34が重なり合う部分に排出孔16Bを設ければ良いものである。
更には、真空断熱材12との下側仕切り壁形成体34が重なり合う部分で、ウレタン樹脂の発泡の流動方向(進行方向)から見てその先端付近(図において、真空断熱材12の上方の上方端部部分)に設ければ良いものである。これによって、真空断熱材12と下側仕切り壁形成体34の間にガスや空気が溜まるのを抑制できるようになる。つまり、図4において、真空断熱材12の上側端部付近の下側仕切り壁形成体34の壁面に排出孔16Bを設ければよいものである。
ただ、本実施例では下側の排出孔16Bだけでなく上側の排出孔16Aを設けることによって、ガスや空気の排出効率を更に向上するようにしている。
以上において、図2で示すように冷蔵庫1の開口部を下面にし、背面側を上面にしてウレタン樹脂の充填を行う時、断熱仕切り壁32の内部には断熱仕切り壁32の下側両側面に設けられた注入口15よりウレタン樹脂が流入し、発泡断熱材11を形成するようになる。
そして、図3乃至図5に示すように、両側面の注入口15から注入されたウレタン樹脂は真空断熱材12と上側仕切り壁形成体33の間を通り、上側に向かって背面側に流動していき最終的に堰き止め部33A、34Aに達することになる。このため、ウレタン樹脂に押し出された空気やガスは堰き止め部33A、34Aに衝突して流れが変わり上側の排出孔16Aより排出されることとなる。
このように、堰き止め部33A、34A付近が断熱仕切り壁32内のウレタン樹脂の最終充填部となることから、この近傍に排出孔16Aを設けておくことにより真空断熱材12のようなウレタン樹脂の流動を阻害する部品があっても、仕切り断熱壁32内のガスや空気を円滑に仕切り外へと排出することができる。
また、両側面の注入口15から注入されたウレタン樹脂は真空断熱材12と下側仕切り壁形成体34の間も通るが、下側の排出孔16Bを真空断熱材12が重なる下側仕切り壁形成体34に設置することによって、ウレタン樹脂に押し出された空気やガスは上側に押し出されて下側の排出孔16Aより排出されることとなる。これによって真空断熱材12と下側仕切り壁形成体34の間の隙間にガスや空気が溜まることなくウレタン樹脂を充填することができる。
尚、本実施例においては断熱仕切り壁32を構成する下側仕切り壁形成体34に排出孔16A、16Bが形成されている構成としている。これによって水の侵入防止やや外観意匠をきれいにする効果が期待できる。すなわち、仮に排出孔16A、16Bを上側仕切り壁形成体33に設けた場合、排出孔16A、16Bは仕切り壁32の上面に開口することになり、排出孔16A、16Bから発泡断熱材11への水の浸入等が懸念される。また、断熱仕切り壁32上面は食品等が載置されるので使用者の目に付きやすい箇所のため、外観意匠上好ましくないものである。
以上説明したように、本実施例によれば断熱仕切り壁32内部でガス溜まりや空気溜まりによるウレタン樹脂の未充填空間の発生を抑制し、断熱性能の向上を実現して、消費電力の低減を図ることができる。
特に、真空断熱材12と下側仕切り壁形成体34とが重なる部分の下側仕切り壁形成体34に排出孔16を形成することにより、真空断熱材12と下側仕切り壁形成体34の間にガス溜まりや空気溜まりによるウレタン樹脂の未充填空間の発生を抑制し、断熱性能の向上を実現して、消費電力の低減を図ることができる。更にこの間にガス溜りや空気溜まりによる膨らみの無い外観形状を実現することができる。
また、本実施例によれば、断熱仕切り壁32の排出孔16A、16Bは野菜室4の天井奥側を構成している断熱仕切り壁32の下側に設けられているため、人の目に付きづらい場所に排出孔16A、16Bを設置することができ、外観意匠を損ねることがない効果がある。
更に、断熱仕切り壁32の下側に排出孔16A、16Bが設けられるため、排出孔16A、16Bは冷蔵庫1の底面側を向いて開いていることになる。このため、庫内に発生した結露水などが排出孔16A、16Bからウレタン内に侵入するのを防ぐことができ、カビの発生等を抑制できる効果がある。
以上述べたように、本発明によれば、真空断熱材を設置したことによる発泡断熱材が流動しづらい構成でも、仕切り壁の一面側に形成した排出孔によって仕切り壁の一面側と真空断熱材の間のガスや空気を排出することができるようになり、発泡断熱材の未充填による空洞部の発生を抑制することができる。これによって仕切り壁の断熱性能を向上させることができるようになるおのである。
1…冷蔵庫、2…冷蔵室、3…冷凍室、4…野菜室、5…冷蔵室扉、6a、6b…冷凍室扉、7…野菜室扉、8…断熱箱体、9…外箱、10…内箱、11…発泡断熱材(ウレタン樹脂)、12…真空断熱材、13…断熱空間、14…注入口、15…注入口、16A…上側の排出孔、16B…下側の排出孔、18…断熱体(スチロフォーム)、19…エバポレータ収容部、31…断熱仕切り壁(冷蔵室-冷凍室間)、32…断熱仕切り壁(冷凍室-野菜室間)、33…上側仕切り壁形成体、34…下側仕切り壁形成体、33A、34A…堰き止め部

Claims (5)

  1. 外箱と内箱との間に発泡断熱材が充填された断熱箱体と、
    前記断熱箱体の内部を上下に区画し、内部に断熱空間を形成した断熱仕切り壁と、
    前記断熱仕切り壁内部の断熱空間の底面側に配置された真空断熱材と、
    前記断熱仕切り壁と前記真空断熱材が重なる部分の前記仕切り壁の壁面に形成され、前記断熱空間に注入された発泡断熱材から発生するガス、或いは残存する空気を前記仕切り壁の外部に排出する排出孔と
    を備えたことを特徴とする冷蔵庫。
  2. 外箱と内箱との間に発泡断熱材が充填された断熱箱体と、
    前記断熱箱体の内部を上下に区画し、内部に断熱空間を形成する上側仕切り壁形成体と下側仕切り壁形成体からなる断熱仕切り壁と、
    前記下側仕切り壁形成体の内側壁面に配置された真空断熱材と、
    前記発泡断熱材の流動方向から見て前記下側仕切り壁形成体と前記真空断熱材が重なる部分の先端付近の前記下側仕切り壁形成体に設けられ、前記断熱空間に注入された発泡断熱材から発生するガス、或いは残存する空気を前記仕切り壁の外部に排出する排出孔と
    を備えたことを特徴とする冷蔵庫。
  3. 請求項1或いは請求項2に記載の冷蔵庫において、
    前記断熱空間の前記発泡断熱材の進行方向側には発泡断熱材の進行を堰き止める堰き止め部が形成され、この堰き止め部に至る間に前記真空断熱材が配置されていることを特徴とする冷蔵庫。
  4. 請求項2に記載の冷蔵庫において、
    前記上側仕切り壁形成体と下側仕切り壁形成体には前記断熱空間を形成し、かつ前記発泡断熱材の進行を堰き止める堰き止め部が形成され、この堰き止め部に至る間に前記真空断熱材が配置されていると共に、前記真空断熱材と前記堰き止め部の間の前記下側仕切り壁形成体の壁面に発泡断熱材から発生するガス、或いは残存する空気を前記仕切り壁の外部に排出する第2の排出孔が形成されていることを特徴とする冷蔵庫。
  5. 請求項4に記載の冷蔵庫において、
    前記上側仕切り壁形成体と下側仕切り壁形成体に形成された堰き止め部の間には断熱材が介装されていることを特徴とする冷蔵庫。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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DE102015101122A1 (de) 2014-03-06 2015-09-10 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Sekundärbatterie mit nichtwässrigem Elektrolyt
CN106052248A (zh) * 2015-04-07 2016-10-26 日立空调·家用电器株式会社 冰箱
WO2017002345A1 (ja) * 2015-06-29 2017-01-05 パナソニックIpマネジメント株式会社 冷蔵庫

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