JP6209291B2 - 油性鋳造用離型剤組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、油性鋳造用離型剤組成物に関する。更に詳しくは、本発明は、鋳造機の金型に塗布して利用される油性鋳造用離型剤組成物に関する。
鋳造では、金型と製品との溶着を抑制し、型離れを良くする目的で、金型表面に離型剤が塗布される。従来、この離型剤としては、水性希釈型離型剤が多く利用されてきた。この離型剤は、95%以上を水が占め、離型作用を発揮する有効成分の含有量が少ない構成となっている。そして、この水性希釈型離型剤は、金型に多量に吹き付けることで金型冷却を行うとともに、多量の塗布によって有効成分の必要量を確保し、金型表面に被膜を形成するという方法で利用されている。しかしながら、この利用方法によって水性希釈型離型剤は廃液量が非常に多くなるという問題を抱えている。
これに対して、近年、金型の内部冷却技術の向上とともに、油性離型剤が使用され始めている。油性離型剤は、水性希釈型離型剤に比べて遥かに少ない使用量で効果が得られるため、廃液処理の問題がないという大きなメリットがある。更に、水性希釈型離型剤のようにショット毎に金型を急冷しないため、油性離型剤の利用によって金型寿命を延ばすことができるというメリットも確認されている。こうした油性離型剤としては、下記特許文献1及び下記特許文献2が知られている。
国際公開第2006/025368号 特開2011−161464号公報
上述のように、油性離型剤は優れた効果を奏する反面、金型に対する冷却作用をほとんど有さないため、例えば、大型部品の鋳造等、金型の内部冷却を強化してもなお、使用に伴う金型の温度上昇を抑え切れない場合がある。このような場合に、油性離型剤を塗布すると、油性離型剤の固化や焼き付きを生じたり、ライデンフロスト現象を起こして離型被膜を形成できない等の問題を生じてしまう。そのため、焼き付きを生じない温度やライデンフロスト現象を起こさない温度にまで外冷水を利用して冷却せざるを得ないケースや、従来の水性希釈型離型剤を併用せざるを得ないケースを生じており、油性離型剤の適用範囲が限定されているのが現状である。
上記特許文献1は、油性離型剤としての基本的な形態を示した優れた技術であるものの、上述のような内部冷却が追い付かず、金型の温度が上昇してしまった場合にまで対応できるだけの十分な性能を示すには至っていない。即ち、特許文献1の油性離型剤では、高温においては、離型剤の固化や焼き付きを起こしたり、離型被膜の形成が困難な場合があるため、更に、幅広い温度域への対応が求められている。
また、上記特許文献2は、上記特許文献1の問題に対して、高粘度鉱油の利用によって、焼き付きやライデンフロスト現象への対応を試みている。しかしながら、高粘度鉱油の使用量が多いため、油性離型剤の粘度が大きくなり、外気温の影響を受け易くなるという問題がある。温度の影響が大きいと、塗布する際のインジェクションが不安定となることが危惧されている。また、金型表面の温度は均一ではないため、低温部での鉱油残存を生じることが危惧される。鉱油の残存は、製品への着色及び離型被膜性能の低下といった問題を生じるからである。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、従来に比べてより高い温度域まで対応できる新たな油性鋳造用離型剤組成物を提供することを目的とする。
本発明者等は、ジアルキルシロキサン単位が備えたアルキル基の炭素数が4以下であるシリコーン油の配合をシリコーン油全体の30質量%以上にし、ジアルキルシロキサン単位が備えたアルキル基の炭素数が6以上であるシリコーン油の配合をシリコーン油全体の70質量%以下にすることによって、高温金型においても固化や焼き付きを起こすことなく、高い離型作用が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
更に、この特定のジアルキルシロキサン単位を含むシリコーン油の使用によって、油性鋳造用離型剤組成物内のシリコーン油の配合比を高めることができることを見出した。そして、シリコーン油の配合比を高めても固化や焼き付きを起こさず、寧ろ、配合比の増大によってライデンフロスト温度が高くなるという現象を見出した。即ち、温度による粘度変動が大きい油成分の使用を抑えながらライデンフロスト温度を引き上げ得ることを見出した。そして、これによって温度の影響を抑制し、より幅広い温度域で均質な離型被膜の形成が可能となることを見出した。
即ち、本発明は以下のとおりである。
〈1〉請求項1の油性鋳造用離型剤組成物は、シリコーン油と、溶剤と、を含む油性鋳造用離型剤組成物であって、
前記シリコーン油は、下記式(1)で表される第1のシリコーン油、及び、下記式(2)で表される第2のシリコーン油のうち、少なくとも前記第1のシリコーン油を含み、
前記シリコーン油全体に対して、前記第1のシリコーン油は30質量%以上であり、前記第2のシリコーン油は70質量%以下であることを要旨とする。
〔式(1)中、Rは炭素数1以上4以下のアルキル基であり、Rはアラルキル基であり、前記アラルキル基は、アリール基が置換基としてアルキル基を有した基であり、前記アリール基は炭素数6〜14であり、前記アルキル基は炭素数1〜12であり、n1は正の整数であり、m1は正の整数である。〕
〔式(2)中、Rは炭素数6以上のアルキル基であり、Rはアラルキル基であり、前記アラルキル基は、アリール基が置換基としてアルキル基を有した基であり、前記アリール基は炭素数6〜14であり、前記アルキル基は炭素数1〜12であり、n2は正の整数であり、m2は0又は正の整数である。〕
〈2〉請求項2の油性鋳造用離型剤組成物は、請求項1に記載の油性鋳造用離型剤組成物において、前記シリコーン油と前記溶剤との合計を100質量%とした場合に、前記シリコーン油が15質量%以上であることを要旨とする。
〈3〉請求項3の油性鋳造用離型剤組成物は、請求項1又は2に記載の油性鋳造用離型剤組成物において、本鋳造用離型剤組成物全体を100質量%とした場合に、前記溶剤が55質量%以上であることを要旨とする。
〈4〉請求項4の油性鋳造用離型剤組成物は、請求項1乃至3のうちのいずれかに記載の油性鋳造用離型剤組成物において、鉱物油及び/又は合成油を含むことを要旨とする。
〈5〉請求項5の油性鋳造用離型剤組成物は、請求項1乃至4のうちのいずれかに記載の油性鋳造用離型剤組成物において、ラジカル捕捉剤を含むことを要旨とする。
〈6〉請求項6の油性鋳造用離型剤組成物は、請求項5に記載の油性鋳造用離型剤組成物において、前記シリコーン油全体を100質量部とした場合に、前記ラジカル捕捉剤の配合量は1質量部以上であることを要旨とする。
〈7〉請求項7の油性鋳造用離型剤組成物は、請求項5又は6に記載の油性鋳造用離型剤組成物において、前記ラジカル捕捉剤に対する助剤として有機金属化合物を含むことを要旨とする。
〉請求項油性鋳造用離型剤組成物は、請求項に記載の油性鋳造用離型剤組成物において、前記アラルキル基が、α−メチルスチレン基であることを要旨とする。
〉請求項油性鋳造用離型剤組成物は、請求項1乃至のうちのいずれかに記載の油性鋳造用離型剤組成物において、前記n1は、1≦n1≦3000であり、
前記m1は、1≦m1≦3000であり、
更に、10≦(n1+m1)≦3000であることを要旨とする。
10〉請求項10油性鋳造用離型剤組成物は、請求項1乃至のうちのいずれかに記載の油性鋳造用離型剤組成物において、前記第1のシリコーン油、及び、前記第2のシリコーン油の両方を含むことを要旨とする。
請求項1に記載の鋳造用離型剤組成物は、ジアルキルシロキサン単位が備える2つのアルキル基の炭素数が各々1以上4以下である第1のシリコーン油の含有量がシリコーン油全体の30質量%以上であり、ジアルキルシロキサン単位が備える2つのアルキル基のうちの少なくとも一方の炭素数が6以上である第2のシリコーン油の含有量がシリコーン油全体の70質量%以下である。この構成によって、高温の金型表面でも鋳造用離型剤組成物の固化を防止して流動性を維持することができ、従来に比べてより高い温度域まで離型作用を発揮できる。
請求項2に記載の鋳造用離型剤組成物は、シリコーン油と溶剤との合計を100質量%とした場合に、シリコーン油が15質量%以上である。この構成によって、高いライデンフロスト温度を得ることができ、高温における金型表面でのライデンフロスト現象を防止できる。このため、従来に比べてより高い温度域まで離型作用を発揮できる。
請求項3に記載の鋳造用離型剤組成物は、組成物全体に対して溶剤が55質量%以上である。この構成によって、高粘度化を抑制し、外気温による塗布量への影響を抑えることができる。
請求項4に記載の鋳造用離型剤組成物は、鉱物油及び/又は合成油を含む。この構成によって、形成被膜の均一性を確保できる。
請求項5に記載の鋳造用離型剤組成物は、ラジカル捕捉剤を含む。この構成によって、第1のシリコーン油が有するジアルキルシロキサン単位が備えたアルキル基の炭素数が4以下の範囲で大きい場合に、第1のシリコーン油の固化を防止して、より確実に流動性を維持することができる。
請求項7に記載の鋳造用離型剤組成物は、ラジカル捕捉剤に対する助剤として有機金属化合物を含む。この構成によって、より長時間被膜の流動性が確保できる。
実施例における被膜状態の評価方法を説明する説明図である。 流動痕跡が認められるチャートである。 流動痕跡が認められないチャートである。 実施例における離型抵抗の評価方法を説明する説明図である。 実施例における潤滑性の評価方法を説明する説明図である。 実施例におけるライデンフロスト温度の評価方法を説明する説明図である。 実施例における潤滑性の評価結果を示すグラフである。
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の油性鋳造用離型剤組成物(以下、単に「鋳造用離型剤組成物」ともいう)は、シリコーン油を含む。シリコーン油は、シロキサン結合(−Si−O−Si−)を主鎖とする重合体であり、通常、常温(25℃)において液状である。また、本発明の鋳造用離型剤組成物は、シリコーン油として、式(1)で表される第1のシリコーン油(以下、単に「第1シリコーン油」ともいう)及び式(2)で表される第2のシリコーン油(以下、単に「第2シリコーン油」ともいう)のうちの少なくとも第1シリコーン油を含む。即ち、本発明の鋳造用離型剤組成物に含まれるシリコーン油は、第1シリコーン油のみであってもよく、第1シリコーン油及び第2シリコーン油の両方であってもよい。
また、シリコーン油全体に対して、第1シリコーン油は30質量%以上であり、第2シリコーン油は70質量%以下である。
第1のシリコーン油(以下、単に「第1シリコーン油」ともいう)は、下記式(1)で表される。
そして、式(1)中、Rは炭素数1以上4以下のアルキル基であり、Rはアラルキル基、フェニル基及びメルカプトアルキル基の群から選択され得るが、本発明では、アラルキル基である。更に、アラルキル基は、アリール基が置換基としてアルキル基を有した基であり、アリール基は炭素数6〜14であり、アルキル基は炭素数1〜12であり、n1は正の整数であり、m1は正の整数である。
式(1)中のRの炭素数1以上4以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基(n−プロピル基、イソプロピル基)、ブチル基(n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基)などが挙げられる。
また、式(1)中のRにおけるアラルキル基は、アリール基が置換基としてアルキル基を有した基を表わす。アラルキル基を構成するアリール基の炭素数は、通常6〜14であり、アラルキル基を構成するアルキル基の炭素数は、通常1〜12であり、アラルキル基全体の炭素数は、通常7〜26である。
具体的には、アラルキル基を構成するアリール基としては、フェニル基及びナフチル基が挙げられる。また、アラルキル基を構成するアルキル基としては、Rとして上述した各種アルキル基に加えて、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等が挙げられる。即ち、アラルキル基としては、ベンジル基、メチルベンジル基、トリル基、キシリル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、ドデシルフェニル基等が挙げられる。
更に、Rにおけるメルカプトアルキル基は、アルキル基が置換基としてメルカプト基(−SH)を有した基を表わす。メルカプトアルキル基を構成するアルキル基の炭素数は、通常1〜12である。即ち、メルカプトアルキル基としては、メルカプトメチル基、メルカプトプロピル基、メルカプトヘキシル基、メルカプトデシル基等が挙げられる。
また、Rとしてのアルキル基、並びに、Rとしてのアラルキル基、フェニル基及びメルカプトアルキル基は、これらの基を構成する水素原子の少なくとも1つがハロゲン原子によって置換されていてもよい。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子等が挙げられる。
第1シリコーン油は、シリコーン油全体に対して30質量%以上(100質量%であってもよい)含まれる。シリコーン油全体に占める第1シリコーン油の割合が30質量%未満となると、耐熱性が乏しくなり、焼き付く傾向となるため好ましくない。シリコーン油全体に対する第1シリコーン油の割合は、40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上が更に好ましい。
特に、金型温度が高いほど、式(1)中のRは、炭素数が小さいアルキル基を選択することが好ましく、更には、シリコーン油に対する第1シリコーンオイルの割合を高くすることが好ましい。これにより、高温の金型においても固化や焼き付きを防止しながら流動性を維持できる。
式(1)中のn1は限定されないが、例えば、1≦n1≦3000とすることができる。また、式(1)中のm1は限定されないが、例えば、0≦m1≦3000とすることができ、本発明では1≦m1≦3000である。n1及びm1の相関は特に限定されないが、例えば、10≦(n1+m1)≦3000とすることができる。
第2のシリコーン油(以下、単に「第2シリコーン油」ともいう)は、下記式(2)で表される。
そして、式(2)中、Rは炭素数6以上のアルキル基であり、Rはアラルキル基、フェニル基及びメルカプトアルキル基の群から選択され得るが、本発明では、アラルキル基である。更に、アラルキル基は、アリール基が置換基としてアルキル基を有した基であり、アリール基は炭素数6〜14であり、アルキル基は炭素数1〜12であり、n2は正の整数であり、m2は0又は正の整数である。
式(2)中のRは、炭素数6以上のアルキル基である。この炭素数の上限は限定されないが、通常、炭素数14である。即ち、Rの炭素数は6〜14が好ましい。Rの炭素数6以上のアルキル基としては、ヘキシル基(n−ヘキシル基等の各種ヘキシル基を含む)、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等が挙げられる。
また、Rにおけるアラルキル基及びメルカプトアルキル基については、前述したRにおける各々の基と同様である。また、第1シリコーン油と第2シリコーン油とが併用される場合、RとRとは同じ基であってもよく、異なる基であってもよい。
更に、Rとしてのアルキル基、並びに、Rとしてのアラルキル基、フェニル基及びメルカプトアルキル基は、これらの基を構成する水素原子の少なくとも1つがハロゲン原子によって置換されていてもよい。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子等が挙げられる。
第2シリコーン油を含む場合は、シリコーン油に粘りを与えて、塗布された金型表面からより流され難い被膜を形成できる。そのため、第2シリコーン油を含んだシリコーン油は、溶湯の供給流速が速い鋳造に好適である。
第2シリコーン油を含む場合、シリコーン油全体に占める第2シリコーン油の割合は70質量%以下(0質量%であってもよい)であることが好ましい。それにより、離型剤組成物の固化を防止して、焼き付きを抑制することができる。シリコーン油全体に対する第2シリコーン油の割合は、55質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、25質量%以下が更に好ましい。
式(2)中のn2は限定されないが、例えば、1≦n2≦3000とすることができ、更には、1≦n2≦500とすることができる。また、式(2)中のm2は限定されないが、例えば、0≦m2≦3000とすることができ、更には、1≦m2≦500とすることができる。n2及びm2の相関は特に限定されないが、例えば、10≦(n2+m2)≦3000とすることができ、更には、10≦(n2+m2)≦500とすることができ、る。
シリコーン油は、第1シリコーン油及び第2シリコーン油以外に、第3シリコーン油を含むことができる。
第3シリコーン油としては、非変性ストレートオイルと称されるシリコーン油が挙げられる。具体的には、ジメチルシリコーン油(側鎖がメチル基からなるポリシロキサン)、メチルフェニルシリコーン油(側鎖がメチル基及びフェニル基からなるポリシロキサン)、メチルハイドロジェンシリコーン油(側鎖がメチル基及び水素原子からなるポリシロキサン)等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
第3シリコーン油を含む場合、シリコーン油全体に占める第3シリコーン油の割合は
10質量%以下が好ましく、7質量%以下がより好ましく、5質量%以下が特に好ましい。
また、シリコーン油は、本鋳造用離型剤組成物全体を100質量%とした場合に、通常、10質量%以上含有され、50質量%以下であることが好ましい。この範囲では特に効果的に、本鋳造用離型剤組成物のライデンフロスト温度を高くできる。即ち、具体的には、ライデンフロスト温度を350度以上できる。更にこの割合は、15〜50質量%がより好ましく、20〜40質量%が特に好ましい。
本鋳造用離型剤組成物は、上記シリコーン油以外に溶剤を含む。
上記溶剤は、本鋳造用離型剤組成物内において、シリコーン油等の成分を希釈し、塗布量が安定しうる粘度を維持するための機能を発揮する成分である。
この溶剤としては、パラフィン、オレフィン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
溶剤の配合割合は、特に限定されないが、本鋳造用離型剤組成物全体を100質量%とした場合に、通常、少なくとも30質量%以上含有され、50質量%以上であることが好ましい。更にこの割合は、50〜90質量%がより好ましく、55〜80質量%が特に好ましい。
更に、本鋳造用離型剤組成物は、上記シリコーン油及び上記溶剤以外に、鉱油及び合成油のうちの少なくとも一方を含むことができる。
これらの鉱油及び合成油(以下、これらをまとめて「非シリコーン油」ともいう)は、金型表面に形成される被膜の均一化を促進する成分として機能される。
このうち、鉱物油は、石油を蒸留・精製して得られた油であり、その種類は特に限定されない。鉱物油としては、パラフィン系鉱物油、ナフテン系鉱物油及び芳香族系鉱物油が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、合成油としては、ポリオレフィン油、アルキル芳香族油、シクロアルカン油等の合成炭化水素油、モノエステル油、ジエステル油、ポリオールエステル油及びリン酸エステル等のエステル系合成油、ポリグリコール油、フェニルエーテル油等のポリエーテル系合成油等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
非シリコーン油の動粘度は特に限定されないが、例えば、40℃における動粘度(JIS K2283に準拠してキャノン・フェンスケ粘度計によって測定される動粘度)が20mm/s以上である非シリコーン油を用いることができる。なかでも、40〜500mm/sである非シリコーン油が好ましく、100〜400mm/sである非シリコーン油がより好ましく、150〜350mm/sである非シリコーン油が特に好ましい。
非シリコーン油の配合割合は、特に限定されないが、本鋳造用離型剤組成物全体を100質量%とした場合に、通常、1質量%以上含有され、10質量%以下であることが好ましい。更にこの割合は、1〜7質量%がより好ましく、1〜5質量%が特に好ましい。
本発明の鋳造用離型剤組成物は、上記シリコーン油、上記溶剤、及び上記非シリコーン油以外に他の成分を含むことができる。他の成分としては、ラジカル捕捉剤、ラジカル捕捉助剤、極圧添加剤、界面活性剤、消泡剤、難燃剤、防食剤、等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
ラジカル捕捉剤は、シリコーン油や非シリコーン油を構成する成分及びその分解物がラジカル重合することを抑制することができる成分である。即ち、ラジカル捕捉剤を含むことで、本鋳造用離型剤組成物に効果的に油状性状を維持させることができる。
ラジカル捕捉剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、ヒドラジン系酸化防止剤、アミド系酸化防止剤等が挙げられる。これらのなかでは、フェノール系酸化防止剤等が好ましい。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
ラジカル捕捉剤の配合割合は、特に限定されないが、被膜の油状性状を確保する観点及び低温時の析出防止の観点から、本鋳造用離型剤組成物全体を100質量%とした場合に、通常、少なくとも0.01質量%以上含有され、0.1質量%以上であることが好ましい。更にこの割合は、0.2〜8質量%がより好ましく、0.3〜5質量%が特に好ましい。
また、シリコーン油全体を100質量部とした場合に、ラジカル捕捉剤は0.5〜10質量部であることが好ましく、1〜5質量部がより好ましく、1〜3質量部が特に好ましい。
ラジカル捕捉助剤は、ラジカル捕捉剤の機能を補助できる有機金属化合物である。具体的には、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、ジアルキルジチオリン酸モリブデン、ジアルキルジカルバミン酸モリブデン、モリブデン酸ジアルキルアミン塩等が挙げられる。これらのなかでは、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、ジアルキルジチオリン酸モリブデン、ジアルキルジカルバミン酸モリブデン等が好ましい。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
ラジカル捕捉助剤の配合割合は、特に限定されないが、本鋳造用離型剤組成物全体を100質量%とした場合に、通常、少なくとも0.01質量%以上含有され、0.1質量%以上であることが好ましい。更にこの割合は、0.2〜8質量%がより好ましく、0.3〜5質量%が特に好ましい。
また、シリコーン油全体を100質量部とした場合に、ラジカル捕捉助剤は0.5〜10質量部であることが好ましく、1〜5質量部がより好ましく、1〜3質量部が特に好ましい。
更に、ラジカル捕捉助剤全体を100質量部とした場合に、ラジカル捕捉助剤は30〜200質量部であることが好ましく、50〜150質量部がより好ましく、70〜130質量部が特に好ましい。
本鋳造用離型剤組成物の諸性能は特に限定されないが、40℃における動粘度は1〜30mm/s(JIS K2283に準拠してキャノン・フェンスケ粘度計によって測定される動粘度)であることが好ましい。この動粘度は、更に、1〜20mm/sがより好ましく、1〜10mm/sが更に好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
[1]鋳造用離型剤組成物の調製
表1に示す割合で各種成分を混合して、実施例1〜9の鋳造用離型剤組成物及び比較例1〜3の鋳造用離型剤組成物を各々得た。これらの鋳造用離型剤組成物の調製で使用した各種成分は、以下の通りである。
「シリコーン油S1−C1」:式(1)で表される第1シリコーン油であり、Rは炭素数1のアルキル基であり、Rはアラルキル基(α-メチルスチレン基)であり、m1は正の整数である。
「シリコーン油S1−C3」:式(1)で表される第1シリコーン油であり、Rは炭素数3のアルキル基であり、Rはアラルキル基(α-メチルスチレン基)であり、m1は正の整数である。
「シリコーン油S1−C4」:式(1)で表される第1シリコーン油であり、Rは炭素数4のアルキル基であり、Rはアラルキル基(α-メチルスチレン基)であり、m1は正の整数である。
「シリコーン油S2−C6」:式(2)で表される第2シリコーン油であり、Rは炭素数6のアルキル基であり、Rはアラルキル基(α-メチルスチレン基)であり、m2は正の整数である。
「シリコーン油S2−C10」:式(2)で表される第2シリコーン油であり、Rは炭素数10のアルキル基であり、Rはアラルキル基(α-メチルスチレン基)であり、m2は正の整数である。
「シリコーン油S2−C12」:式(2)で表される第2シリコーン油であり、Rは炭素数12のアルキル基であり、Rはアラルキル基(α-メチルスチレン基)であり、m2は正の整数である。
「鉱油」:JIS K2283に準拠した40℃の動粘度が100〜300mm/sのものである。
「ラジカル捕捉剤」:フェノール系酸化防止剤
「ラジカル捕捉助剤」:ジアルキルジチオリン酸モリブデン
「溶剤」:パラフィンである。また、パラフィン単独のライデンフロスト温度は240℃である。
[2]被膜状態の評価
上記[1]で調製した実施例1〜9及び比較例1〜3の鋳造用離型剤組成物を用いて、以下の方法(図1参照)により金型材の表面に塗布した鋳造用離型剤組成物による被膜状態の評価を行った。
(1)金属材1(JIS G3141に規定されたSPCC−SB鋼板、冷間圧延鋼板の表面鏡面仕上げ材、100mm×100mm×2mm)を400℃に加熱保持した。
(2)金属材1上に、実施例1〜9及び比較例1〜3の各鋳造用離型剤組成物3を各々約0.4ccづつスプレー塗布(塗布時間0.5秒、金属材1とスプレー間の距離150mm)して、20秒間保持して、溶湯接触前の塗布面2を形成した{図1(a)参照}。
(3)金属材1上に、塗布面2を覆うように円筒治具4(内径75mm)を設置した。
(4)円筒治具4内に680℃のアルミ溶湯(100cc)を投入した{図1(b)参照}。
(5)溶湯投入から40秒後に、円筒治具4及びアルミニウム固化物5を取り除き、溶湯接触後の塗布面2’を露出させた{図1(c)参照}。
(6)塗布面2及び塗布面2’の元素分析を、X線分析顕微鏡(株式会社堀場製作所製、型式「XGT−5000」)を用いてSiについて行った。
その結果、実施例1及び実験例2に対して得られたチャートでは、流動痕跡が認められた(図2参照、左が溶湯接触前のチャート、右が溶湯接触後のチャート)。即ち、実施例1及び実験例2の溶湯接触前のチャートには、塗布面に均一な円形状のSi分布が認められたが、溶湯接触後のチャートには、塗布面2’にリング状のSi分布が認められた。この変化は、アルミニウム溶湯の投入によって被膜が中心から外周へと移動された痕跡と考えられる(即ち、流動痕跡)。このことから、実施例1及び実施例2の鋳造用離型剤組成物は、油状であるといえ、高温(400〜680℃)においても高い流動性が維持されていることが確認された。
また、実施例3に対して得られたチャートでは、流動痕跡が認められたが、実施例1及び実施例2よりは少ないものであった。更に、比較例1〜3には流動痕跡が認められなかった。即ち、実施例3の溶湯接触前のチャートには、塗布面に均一な円形状のSi分布が認められ、溶湯接触後のチャートには、塗布面2’にリング状のSi分布が認められるが、実施例1及び実験例2の溶湯接触後のチャートに認められたリング形状よりも濃度が薄いものであった。即ち、流動痕跡は認められるものの、塗布面2に形成された被膜が半油状となり、金属材1に対する被膜の密着性が、実施例1及び実施例2に比べて向上されたためと考えられる。被膜の移動は実施例1及び実施例2に比べると顕著ではない。このことから、実施例3の鋳造用離型剤組成物は、半油状であるといえる。
一方、比較例1〜3に対して得られたチャートでは、塗布面に均一な円形状のSi分布が認められたが、溶湯接触後のチャートには、塗布面2’にリング状のSi分布が認められなかった(図3参照、左が溶湯接触前のチャート、右が溶湯接触後のチャート)。即ち、被膜の流動痕跡が認められなかった。これは比較例1〜3の鋳造用離型剤組成物が固化したためであると考えられる。このことから、比較例1〜3の鋳造用離型剤組成物は、固形であるといえる。
尚、図2及び図3において、塗布面2に比べて塗布面2’の検出強度が低下しているのは、被膜の一部がアルミニウム固化物に付着して、塗膜面2’から除かされたためである。
[3]離型抵抗の評価
上記[1]で調製した実施例1〜9及び比較例1〜3の鋳造用離型剤組成物を用いて、以下の方法(図4参照)により金型材の表面に塗布した鋳造用離型剤組成物による離型抵抗の評価を行った。
(1)金属材6(JIS G4404に規定されたSKD61鋼板、合金工具鋼鋼材、200mm×200mm×30mm)を400℃に加熱保持した。
(2)金属材6上に、実施例1〜9及び比較例1〜3の各鋳造用離型剤組成物3を各々約0.4ccづつスプレー塗布(塗布時間0.5秒、金属材1とスプレー間の距離150mm)して、20秒間保持して、溶湯接触前の塗布面2を形成した{図4(a)参照}。
(3)金属材6上に、塗布面2を覆うように引き剥がすためのチェーン71が付属された円筒治具7(内径75mm)を設置した。
(4)円筒治具7内に680℃のアルミ溶湯(100cc)を投入した{図4(b)参照}。
(5)溶湯投入から40秒後に、アルミニウム固化物上に重石8(9kg)を載せ、その後、20秒経過時に、チェーン71を牽引し、その際の離型抵抗を測定した{図4(c)参照}。
その結果、実施例1〜9では張り付きを発生せず、7〜13kgの牽引荷重で問題無く離型することができた。これに対して、比較例1〜3では焼き付きを発生し、金属材6とアルミニウム固化物とが溶着したため20kgの牽引荷重によっても離型することができなかった。
[4]潤滑性(摺動回数)の評価
上記[1]で調製した実施例1〜9及び比較例1〜3の鋳造用離型剤組成物を用いて、以下の方法(図5参照)により鋳造用離型剤組成物による潤滑性の評価を行った。
(1)金属材10(JIS G4404に規定されたSKD61鋼板、合金工具鋼鋼材、30mm×100mm×2mm)を、ヒータ11上で400℃に加熱保持した。
(2)金属材10上に、実施例1〜9及び比較例1〜3の各鋳造用離型剤組成物3を各々約0.2ccづつ滴下した。
(3)金属材10に各鋳造用離型剤組成物3を介して、鋼球9(SUJ−2製、φ3/16インチ)を置き、その鋼球9に対して鋼球固定柱12を介して、荷重4kgを付加した。
(4)金属材10の温度200℃の状態で、金属材10表面で各鋳造用離型剤組成物3を介して鋼球固定柱12と共に鋼球9を摺動させ、その際の摩擦係数(μ)を、表面性測定機(新東科学株式会社製、型式「HEIDON TRIBOGEAR TYPE:38」)を利用し測定した。その際の摺動速度は4mm/秒、摺動距離は25mmとした。
この結果を図7に示した。
その結果、比較例1〜3では、1回目の摺動から摩擦係数(μ)は0.2程度であったものの、2回目の摺動から摩擦係数が急激に上昇した。一方、実施例1〜9では、1〜15回目の摺動まで摩擦係数(μ)は0.4以下で安定して摺動させることができた。特に実施例3以外の鋳造用離型剤組成物では、20回以上の摺動においてなお0.3以下の摩擦係数(μ)を維持することができた。実施例3の鋳造用離型剤組成物は1−15回の間に緩やかに摩擦係数が上昇し、16回以降目以降の摺動において摩擦係数が上昇を開始し、最終的に0.4を超えるに至った。
この結果は、一般的にアルキル鎖が長いシリコーン油ほど潤滑性が良好であるという結果に反する意外なものである。即ち、アルキル鎖が短いシリコーン油を用いた組成物のほうが良好な摺動性を示した。この結果は、高温下で油状を維持することができない比較例1−3では離型剤成分が熱劣化によって十分な潤滑性を得ることができないからであると推測される。
[5]ライデンフロスト温度の評価
下記表2に示す配合の参考例1〜6の組成物を調製し、以下の方法(図6参照)によりライデンフロスト温度の評価を行った。
即ち、図6に示す凹型の金属材12を用意し、金属材12の温度を変化させたうえで、表2に示す参考例1〜6の各組成物3’をシリンジ13から滴下して、ライデンフロスト現象が発生する温度を測定した。その結果を表2に示した。これらのライデンフロスト温度の評価に使用した各種成分は、以下の通りである。
「シリコーン油S1−C1a」:式(1)で表される第1シリコーン油であり、Rは炭素数1のアルキル基であり、Rはアラルキル基(α-メチルスチレン基)であり、m1は正の整数であり、粘度は100cSt/25℃である。
「シリコーン油S1−C1b」:式(1)で表される第1シリコーン油であり、Rは炭素数1のアルキル基であり、Rはアラルキル基(α-メチルスチレン基)であり、m1は正の整数であり、粘度は1000cSt/25℃である。
表2の結果から、第1シリコーン油の配合量を増加させることで、次第にライデンフロスト現象が発生する温度(ライデンフロスト温度)が上昇することが確認された。
尚、本発明では、上述した実施例に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。
本発明の鋳造用離型剤組成物は、各種の鋳造を行う際の離型剤として広く利用される。鋳造方法としては、金型鋳造法、低圧鋳造法、スクイズキャスティング法、無孔性ダイカスト法、真空ダイカスト法、チクソモールディング法及びこれらの組合せの鋳造法が挙げられる。また、各種の金属の鋳造に際して利用できるが、なかでも、軽金属及び軽金属合金に適する。具体的には、アルミニウム、マグネシウム及び亜鉛、並びに、これらの金属の合金が挙げられる。
1;金属材、
2;鋳造用離型剤組成物の塗布面(溶湯接触前)、2’;鋳造用離型剤組成物の塗布面(溶湯接触後)、
3;鋳造用離型剤組成物、3’;参考例の組成物、
4;円筒治具、
5;アルミニウム固化物、
6;金属材、
7;円筒治具、71;チェーン、
8;重石、
9;鋼球、
10;金属材、
11;ヒータ、
12;鋼球固定柱、
13;金属材、
14;シリンジ。

Claims (10)

  1. シリコーン油と、溶剤と、を含む油性鋳造用離型剤組成物であって、
    前記シリコーン油は、下記式(1)で表される第1のシリコーン油、及び、下記式(2)で表される第2のシリコーン油のうち、少なくとも前記第1のシリコーン油を含み、
    前記シリコーン油全体に対して、前記第1のシリコーン油は30質量%以上であり、前記第2のシリコーン油は70質量%以下であることを特徴とする油性鋳造用離型剤組成物。
    〔式(1)中、Rは炭素数1以上4以下のアルキル基であり、Rはアラルキル基であり、前記アラルキル基は、アリール基が置換基としてアルキル基を有した基であり、前記アリール基は炭素数6〜14であり、前記アルキル基は炭素数1〜12であり、n1は正の整数であり、m1は正の整数である。〕
    〔式(2)中、Rは炭素数6以上のアルキル基であり、Rはアラルキル基であり、前記アラルキル基は、アリール基が置換基としてアルキル基を有した基であり、前記アリール基は炭素数6〜14であり、前記アルキル基は炭素数1〜12であり、n2は正の整数であり、m2は0又は正の整数である。〕
  2. 前記シリコーン油と前記溶剤との合計を100質量%とした場合に、前記シリコーン油が15質量%以上である請求項1に記載の油性鋳造用離型剤組成物。
  3. 本鋳造用離型剤組成物全体を100質量%とした場合に、前記溶剤が55質量%以上である請求項1又は2に記載の油性鋳造用離型剤組成物。
  4. 鉱物油及び/又は合成油を含む請求項1乃至3のうちのいずれかに記載の油性鋳造用離型剤組成物。
  5. ラジカル捕捉剤を含む請求項1乃至4のうちのいずれかに記載の油性鋳造用離型剤組成物。
  6. 前記シリコーン油全体を100質量部とした場合に、前記ラジカル捕捉剤の配合量は1質量部以上である請求項5に記載の油性鋳造用離型剤組成物。
  7. 前記ラジカル捕捉剤に対する助剤として有機金属化合物を含む請求項5又は6に記載の油性鋳造用離型剤組成物。
  8. 前記アラルキル基が、α−メチルスチレン基である請求項に記載の油性鋳造用離型剤組成物。
  9. 前記n1は、1≦n1≦3000であり、
    前記m1は、1≦m1≦3000であり、
    更に、10≦(n1+m1)≦3000である請求項1乃至のうちのいずれかに記載の油性鋳造用離型剤組成物。
  10. 前記第1のシリコーン油、及び、前記第2のシリコーン油の両方を含む請求項1乃至のうちのいずれかに記載の油性鋳造用離型剤組成物。
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