JP4334939B2 - アルミニウム連続鋳造鋳型用潤滑油 - Google Patents

アルミニウム連続鋳造鋳型用潤滑油 Download PDF

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Description

本発明は,アルミニウムの連続鋳造の鋳型に用いる潤滑油に関し、特に水平連続鋳造に好適な潤滑油に関する。
アルミニウムの水平連続鋳造においては、図2に示すごとく、まず、アルミニウムの溶湯951を溜めるタンディッシュ91に溶湯951をいれ、この溶湯951がタンディッシュ91から鋳型92に送られる。このとき、鋳型92と溶湯951の外表面との焼き付きを防止するため、ヘッダーリング部97あるいは鋳型92の入口側の壁からは、鋳型92内に潤滑油93が供給される。
次いで、冷却水室96から鋳型92の外表面に冷却水965を供給して、鋳型92を外表面から冷却することにより、溶湯951を冷却及び凝固させてアルミニウムの鋳塊を得る。このとき、鋳型92内においては、アルミニウムの溶湯951と凝固したアルミニウムとの間に境界部分98が形成される。図2においては、境界部分98を境にして、アルミニウムが溶融状態にある領域を点線のハッチングで示し、アルミニウムが凝固した状態にある領域を実線のハッチングで示した。
続いて、さらに、鋳型92から取り出された鋳塊の表面に冷却水を供給し、内部まで凝固させ、鋳塊を連続的に引き出す。
なお、水平連続鋳造においては、鋳型の形状によって、円柱状、角柱状、あるいは中空状などの長尺鋳塊が連続的に製造される。
このような水平連続鋳造においては、次のような問題が指摘されている。
即ち、鋳型92内の溶湯951は、自重により鋳型下部921に押しつけられるため、鋳型上部922は鋳型下部921に比べて冷却され難くなる。その結果、鋳型92内におけるアルミニウム溶湯951の先端であるモルテンサンプ99が、図2における中心線(a)で示す鋳型92の中心よりも上側にずれ、均一な組織のアルミニウム鋳塊が得られなくなるおそれがあった。
また、上記のごとく、アルミニウムの溶湯951が鋳型下部921に押しつけられるため、潤滑油93が溶湯951と鋳型92との接触面に導入されにくくなる。その結果、アルミニウム溶湯951の表面が焼き付いて凝固殻が破断し、溶湯951が流出(湯漏れ)して鋳肌欠陥が発生し、鋳造が不可能となってしまうおそれがあった。
このような問題の対策としては、例えば鋳型92に注入する潤滑油93の量を、鋳型下部921と鋳型上部922とで変える方法が提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、このような方法においては、実用上限界がある。即ち、溶湯951と鋳型92との接触面への導入油量には、潤滑油93の粘度、油性あるいは熱分解性等の特性が複雑に関与している。さらに、鋳型92の温度や重力による摩擦面圧等の操業時における条件も変化する。そのため、潤滑油量を変えるだけでは、安定な潤滑を維持することは困難であった。
また、溶湯951の冷却における均一性を確保して、鋳塊組織の均一化や鋳肌欠陥及び湯漏れの防止を図るために、鋳型92の内部に気体を注入することが提案されている(特許文献2参照)。
しかしながら、このような方法においては、たとえ均一な冷却が確保できても潤滑油の種類によっては鋳肌欠陥や湯漏れを発生させてしまうおそれがあった。
従来、アルミニウムの水平連続鋳造においては、潤滑油として高粘度の鉱油にひまし油等を少量添加したものが用いられてきた。このように、ひまし油を少量添加させることにより、潤滑油は、アルミニウム溶湯の外表面と鋳型との接触面において優れた潤滑性を発揮できるものとなる。
しかしながら、このような潤滑油を用いて水平連続鋳造をおこなうと、ひまし油が熱分解して副生成物が生成するおそれがある。この副生成物は、溶湯内に入り込み、鋳肌表面にピットを発生させ、所謂ピット欠陥を発生させるおそれがある。また、副生成物の生成を回避するため、ひまし油の添加量を低減すると、今度は鋳型と溶湯表面で焼き付きが発生し、湯漏れが多発するようになるという問題がある。
上記のごとく、従来の潤滑油においては、ピット欠陥の発生と潤滑不良による湯漏れの発生とは、相反関係にあり、実用上そのバランス調整が非常に難しいという問題があった。このような問題は水平連続鋳造に限らず、縦型連続鋳造においても同様の問題が生じていたが、水平連続鋳造においては、縦型連続鋳造よりもさらに高度なバランス調整が必要であった。
実公昭46−28889号公報 特開昭61−71157号公報
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたものであって、アルミニウムの溶湯の表面と鋳型との間の潤滑性に優れ湯漏れの発生を防止できると共に、ピット欠陥の発生を防止できるアルミニウム連続鋳造鋳型用潤滑油を提供しようとするものである。
本発明は、アルミニウムの連続鋳造の鋳型に用いる潤滑油において、
該潤滑油は、合成エステルからなる油性剤5〜40重量部と、40℃における動粘度が5〜200mm2/sの鉱油95〜60重量部とからなり、かつ40℃における動粘度が30〜100mm2/sであり、
上記合成エステルにおけるエステル化された脂肪酸の炭素数は10〜20であることを特徴とするアルミニウム連続鋳造鋳型用潤滑油にある(請求項1)。
本発明のアルミニウム連続鋳造鋳型用潤滑油(以下適宜、潤滑油という)は、上記のごとく、特定の組成を有し、かつ動粘度が30〜100mm2/sである。
そのため、上記潤滑油は、優れた潤滑性を示すことができる。それ故、鋳型と溶湯表面で焼き付きが発生することはほとんどなく、湯漏れの発生を防止することができる。さらに、上記潤滑油は、熱分解等により副生成物を生成することもない。そのため、ピット欠陥の発生を防止することができる。
即ち、本発明のアルミニウム連続鋳造鋳型用潤滑油は、従来潤滑油においては実現が困難であったピット欠陥及び湯漏れの両方をバランスよく防止できるものである。
また、上記潤滑油は、上記油性剤として、合成エステルを含有する
ここで、上記潤滑油は、合成エステルとして、該合成エステルにおけるエステル化された脂肪酸の炭素数が10〜20のものを含有する。
上記のごとく、合成エステルにおける脂肪酸の炭素数を特定することにより、上記潤滑油は、潤滑性がより向上して湯漏れの発生を一層防止できると共に、冬季等の低温環境においても凝固し難いものとなる。
このように、本発明によれば、アルミニウム溶湯の表面と鋳型との間の潤滑性に優れ湯漏れの発生を防止できると共に、ピット欠陥の発生を防止できるアルミニウム連続鋳造鋳型用潤滑油を提供することができる。
本発明アルミニウム連続鋳造鋳型用において、アルミニウムは、いわゆる純アルミニウムだけでなく、アルミニウム合金をも含む概念である。
また、上記潤滑油は、合成エステルからなる油性剤5〜40重量部と、鉱油95〜60重量部とを含有する。
ここで、上記潤滑油は、上記油性剤と上記鉱油とを合計で100重量部となるように含有することができる。
また、上記油性剤としては、天然油脂又は合成エステルをそれぞれ単独で用いることもできるが、天然油脂及び合成エステルを混合して用いることもできる。
天然油脂と合成エステルとを混合して用いる場合には、これらの合計が5〜40重量部となるようにする。
上記油性剤の含有量が5重量部未満の場合、又は鉱油の含有量が95重量部を越える場合には、上記潤滑油の潤滑性が低下し、連続鋳造中に湯漏れが多発するおそれがある。一方、油性剤の含有量が40重量部を越える場合、又は鉱油の含有量が60重量部未満の場合には、ピット欠陥が多発するおそれがある。また、この場合には、融点が過剰に高くなり、取り扱いが困難になるおそれがある。
より好ましくは、上記潤滑油は、油性剤を10〜30重量部、及び鉱油を90〜70重量部含有することがよい。
また、上記アルミニウム連続鋳造鋳型用潤滑油は、上記油性剤及び鉱油の他に、その他の成分として、例えば酸化防止剤(芳香族アミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤)等を含有することができる。
この場合には、その他の成分の含有量を上記潤滑油100重量部に対して、1.0重量部以下にすることが好ましい。その他の成分が1.0重量部を越える場合には、上記潤滑油の潤滑性が低下するおそれがある。また、この場合には、鋳型表面に上記潤滑油が残留してしまうおそれがある。
また、上記潤滑油において、上記合成エステルにおけるエステル化された脂肪酸の炭素数は、10〜20である。
脂肪酸の炭素数が10未満の場合には、上記潤滑油の潤滑性が低下し、湯漏れが発生し易くなるおそれがある。一方、20を越える場合には、上記潤滑油が低温で凝固し易くなり、冬季や寒冷地等での操業が不可能となるおそれがある。
また、合成エステルを構成する脂肪酸は、飽和あるいは不飽和のもの、また直鎖あるい分枝を有するものであってもよいが、鉱油との相溶性及びハンドリングの面から炭素数が10〜18のものがより好ましい。
また、合成エステルとしては、フルエステルや部分エステルがあるが、好ましくはフルエステルがよい。この場合には、上記潤滑油の潤滑性をより向上させることができる。
また、上記鉱油としては、例えば精製鉱油を用いることができ、具体的には、パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油、及びノンアロマ系鉱油などを用いることができる。これらのうちでも、特に、副生成物を発生し難いとい特徴を有するため、ノンアロマ系鉱油が好ましい。
また、上記の鉱油は、40℃における動粘度が5〜200mm2/sであるものが好ましく、より好ましくは、20〜150mm2/sのものがよい。
40℃における粘度が上記の範囲から外れる場合には、上記潤滑油の動粘度を30〜100mm2/sの範囲にすることが困難になる。
上記潤滑油の動粘度が30mm2/s未満の場合には、潤滑性が低下し、湯漏れが発生しやすくなる。一方、100mm2/sを越える場合には、ピット欠陥が発生しやすくなる。
また、上記天然油脂としては、例えば大豆油、なたね油、パーム油、やし油、豚脂、及び牛脂等がある。
好ましくは、上記天然油脂は、パーム油、牛脂及び豚脂から選ばれる1種又は2種以上であることがよい
この場合には、これらの天然油脂が加熱酸化により劣化しにくいという特長を生かして、上記潤滑油を、熱や酸化に対して安定なものにすることができる。
また、上記合成エステルは、ネオペンチルグリコールエステル、トリメチロールプロパンエステル、及びペンタエリスリトールエステルから選ばれる1種又は2種以上であることが好ましい(請求項2)。
この場合には、上記潤滑油の熱や酸化に対する安定性や境界潤滑性を向上させることができる。
上記のネオペンチルグリコールエステルとしては、具体的には、例えばネオペンチルグリコールカプリン酸モノエステル、ネオペンチルグリコールカプリン酸ジエステル、ネオペンチルグリコールリノレン酸モノエステル、ネオペンチルグリコールリノレン酸ジエステル、ネオペンチルグリコールステアリン酸モノエステル、ネオペンチルグリコールステアリン酸ジエステル、ネオペンチルグリコールオレイン酸モノエステル、ネオペンチルグリコールオレイン酸ジエステル、ネオペンチルグリコールイソステアリン酸モノエステル、ネオペンチルグリコールイソステアリン酸ジエステル、ネオペンチルグリコール牛脂脂肪酸モノエステル、ネオペンチルグリコール牛脂脂肪酸ジエステル、ネオペンチルグリコールパーム油脂肪酸モノエステル、ネオペンチルグリコールパーム油脂肪酸ジエステル、ネオペンチルグリコール2モル・ダイマー酸1モル・オレイン酸2モルの複合エステル等がある。これらのうちで、特に好ましくは、オレイン酸、イソステアリン酸、及び牛脂脂肪酸のエステルがよい。
また、トリメチロールプロパンエステルとしては、例えばトリメチロールプロパンカプリン酸モノエステル、トリメチロールプロパンカプリン酸ジエステル、トリメチロールプロパンカプリン酸トリエステル、トリメチロールプロパンリノレン酸モノエステル、トリメチロールプロパンリノレン酸ジエステル、トリメチロールプロパンリノレン酸トリエステル、トリメチロールプロパンステアリン酸モノエステル、トリメチロールプロパンステアリン酸ジエステル、トリメチロールプロパンステアリン酸トリエステル、トリメチロールプロパンオレイン酸モノエステル、トリメチロールプロパンオレイン酸ジエステル、トリメチロールプロパンオレイン酸トリエステル、トリメチロールプロパンイソステアリン酸モノエステル、トリメチロールプロパンイソステアリン酸ジエステル、トリメチロールプロパンイソステアリン酸トリエステル、トリメチロールプロパン牛脂脂肪酸モノエステル、トリメチロールプロパン牛脂脂肪酸ジエステル、トリメチロールプロパン牛脂脂肪酸トリエステル、トリメチロールプロパンパーム油脂肪酸モノエステル、トリメチロールプロパンパーム油脂肪酸ジエステル、トリメチロールプロパンパーム油脂肪酸トリエステル、トリメチロールプロパン2モル・ダイマー酸1モル・オレイン酸4モルの複合エステル等がある。これらのうちで、特に好ましくは、オレイン酸、イソステアリン酸、及び牛脂脂肪酸のエステルがよい。
また、ペンタエリスリトールとしては、例えばペンタエリスリトールカプリン酸モノエステル、ペンタエリスリトールカプリン酸ジエステル、ペンタエリスリトールカプリン酸トリエステル、ペンタエリスリトールカプリン酸テトラエステル、ペンタエリスリトールリノレン酸モノエステル、ペンタエリスリトールリノレン酸ジエステル、ペンタエリスリトールリノレン酸トリエステル、ペンタエリスリトールリノレン酸テトラエステル、ペンタエリスリトールステアリン酸モノエステル、ペンタエリスリトールステアリン酸ジエステル、ペンタエリスリトールステアリン酸トリエステル、ペンタエリスリトールステアリン酸テトラエステル、ペンタエリスリトールオレイン酸モノエステル、ペンタエリスリトールオレイン酸ジエステル、ペンタエリスリトールオレイン酸トリエステル、ペンタエリスリトールオレイン酸テトラエステル、ペンタエリスリトールイソステアリン酸モノエステル、ペンタエリスリトールイソステアリン酸ジエステル、ペンタエリスリトールイソステアリン酸トリエステル、ペンタエリスリトールイソステアリン酸テトラエステル、ペンタエリスリトール牛脂脂肪酸モノエステル、ペンタエリスリトール牛脂脂肪酸ジエステル、ペンタエリスリトール牛脂脂肪酸トリエステル、ペンタエリスリトール牛脂脂肪酸テトラエステル、ペンタエリスリトールパーム油脂肪酸モノエステル、ペンタエリスリトールパーム油脂肪酸ジエステル、ペンタエリスリトールパーム油脂肪酸トリエステル、ペンタエリスリトールパーム油脂肪酸テトラエステル、ペンタエリスリトール2モル・ダイマー酸1モル・オレイン酸6モルの複合エステル等がある。これらのうちで、特に好ましくは、オレイン酸、イソステアリン酸、及び牛脂脂肪酸のエステルがよい。
また、上記合成エステルは、モノエステル、ジエステル、トリエステル、及びテトラエ
ステルから選ばれる1種又は2種以上からなることが好ましい(請求項3)。
この場合には、熱による酸化に対する安定性や、境界潤滑性を向上させることができる
次に、本発明のアルミニウム連続鋳造鋳型用潤滑油の実施例について説明する。
本例の潤滑油は、アルミニウムの連続鋳造を行うときに鋳型に用いるものである。該潤滑油は、天然油脂又は/及び合成エステルからなる油性剤5〜40重量部と、鉱油95〜60重量部とからなり、かつ40℃における動粘度が30〜100mm2/sである。また、上記合成エステルにおけるエステル化された脂肪酸の炭素数は10〜20である。
本例のアルミニウム連続鋳造鋳型用潤滑油の作製に当たっては、まず、油性剤としての天然油脂及び合成エステル、鉱油としてのノンアロマ系鉱油を準備した。天然油脂としては、パーム油又は牛脂を用いた。
また、合成エステルとしては、ネオペンチルグリコール(NPG)、トリメチロールプロパン(TMP)、又はペンタエリスリトール(PET)と、炭素数が10,12、又は20の脂肪酸とのエステルを合成により作製した。また、これらの合成エステルとしては、エステル数が1〜4のモノエステル、ジエステル、トリエステル、又はテトラエステルを用いた。
なお、ネオペンチルグリコール(NPG)、トリメチロールプロパン(TMP)、又はペンタエリスリトール(PET)の構造式を下記の化1〜化3にそれぞれ示す。
Figure 0004334939
Figure 0004334939
Figure 0004334939
次いで、上記の天然油脂、合成エステル、及び鉱油をそれぞれ混合して、組成の異なる31種類の潤滑油(試料E1〜試料E31)を作製した。これらの組成を表1及び表2に示す。
また、本例においては、上記試料E1〜試料E31の潤滑油の優れた特性を明らかにするために、上記試料E1〜試料E31と同様にして、23種類の比較用の潤滑油(試料C1〜試料C23)を準備した。これらの組成を表3及び表4に示す。
次に、上記試料E1〜試料E31及び試料C1〜試料C23の潤滑油が低温においても凝固せず、冬季や寒冷地などにおいても使用できるかを調べるために、各試料を−3℃まで冷却したときにおける凝固の発生の有無を調べた(冷却試験)。
具体的には、まず、各試料をそれぞれビーカーに入れ、該ビーカーの温度を−3℃まで冷却した。このときに凝固した場合を「×」として評価し、凝固しなかった場合を「○」として評価した。その結果を表1〜表4に示す。
次いで、各試料についてその動粘度を測定した。動粘度の測定は、キャノンフェンスケ粘度計により行った。
具体的には、キャノンフェンスケに各試料をそれぞれ注入し、該キャノンフェンスケを予め40℃に保温されたエチレングリコール中に浸し、次いで、キャノンフェンスケ内の各試料(潤滑油)の落下速度を測定し、これを粘度に換算することにより測定した。
なお、上記の動粘度、並びに下記の湯漏れ率及びピット発生率の測定は、上記の冷却試験において、その評価が「○」となった試料について行った。
次に、上記の各試料を用いて、アルミニウムの水平連続鋳造を行い、このときの湯漏れ率、及びピット発生率を調べた。
具体的には、まず、図2に示すごとく、鋳型2及びタンディッシュ3を備えた水平鋳造システム1を準備した。
この水平鋳造システム1には、冷却水45を貯蔵する冷却水室4、及び潤滑油55(試料E1〜試料E31及び試料C1〜試料C23)を溜めておくための潤滑油室5が、それぞれ鋳型2の上下に設けられている。鋳型2は、直径が35mmのものを用いた。
次いで、この水平連続鋳造システム1を用いてアルミニウム合金(2011合金)の溶湯を水平連続鋳造して、4mの鋳造棒を200本製造した。
具体的には、まずアルミニウム合金の溶湯をタンディッシュ3に入れ、溶湯をタンディッシュ3から鋳型2に供給する。このとき、ヘッダーリング部6あるいは鋳型2の入口側の壁から鋳型2内に潤滑油55として、上記の各試料を供給する。
次いで、冷却水室4から鋳型2の外表面に冷却水45を供給して、鋳型2を外表面から冷却することにより、溶湯を冷却及び凝固させてアルミニウムの鋳造棒を得る。さらに、鋳型2から取り出された鋳造棒の表面に冷却水を供給し、内部まで凝固させ、鋳造棒を連続的に引き出した。なお、鋳造条件としては、鋳造速度を400mm/minとし、その他の条件については、工業的に使用される条件を適用した。
このようにして、上記の各試料を用いて水平連続鋳造を行い、このときの湯漏れ率及びピット発生率を調べた。
湯漏れ率及びピット発生率は、各試料をそれぞれ用いて鋳造棒を200本製造するにあたって、湯漏れ又はピットが発生した本数を百分率に換算して算出した。また、ピット発生については、各鋳造棒の表面を該表面から1.5mm面削りし、このときピットが1カ所以上有ればピットが発生したものとした。その結果を表1〜表4に示す。
Figure 0004334939
Figure 0004334939
Figure 0004334939
Figure 0004334939
表1〜表4より知られるごとく、試料E1〜試料E31の潤滑油は、天然油脂又は/及び合成エステルからなる油性剤5〜40重量部と、鉱油95〜60重量部とからなり、かつ40℃における動粘度が30〜100mm2/sであり、また、合成エステルにおけるエステル化された脂肪酸の炭素数は10〜20である。これらの試料を用いた時には、いずれの場合においても湯漏れ率が5%以下、ピット発生率が2%以下であり、湯漏れ率及びピット発生率は、いずれも工業生産上支障のないレベルであった。
一方、試料C1〜試料C23においては、天然油脂や合成エステルや鉱油の含有量、40℃における動粘度、又は合成エステルにおけるエステル化された脂肪酸の炭素数がそれぞれ上記の範囲から外れている。これらの試料を用いた場合には、湯漏れ率やピット発生率が上記試料E1〜試料E31よりも高くなり、工業生産上の限界レベルを越えていた。また、試料C3、試料C9及び試料C15は、−3℃にて凝固するため、冬季や寒冷地等の低温環境下で工場生産を円滑に行うことができないという問題を有していた。
このように、試料E1〜試料E31のアルミニウム連続鋳造鋳型用潤滑油は、アルミニウム溶湯の表面と鋳型との間の潤滑性に優れ湯漏れの発生を防止できると共に、ピット欠陥の発生を防止できるものであった。
次に、表1及び表2における試料E1〜試料E31の結果について、それぞれ説明する。
表1より知られるごとく、試料E1と試料E2、及び試料E3と試料E4の結果をそれぞれ比較すると、ネオペンチルグリコールエステルにおいてエステル数が変化しても湯漏れ率及びピット発生率はほとんど変化しないことがわかる。また、脂肪酸の炭素数が多くなると、潤滑性は向上し、湯漏れ率が若干低減する傾向にある。一方、ピット発生率は、加熱による残存量が増加する傾向となり、やや増加する傾向にある。ただし、このピット発生率の増加も工業生産上においては問題のないレベルであった。
また、試料5と試料E6の結果から知られるごとく、ネオペンチルグリコールエステルの含有量が多いほど潤滑性は向上し、湯漏れ率は低下する傾向にある。一方、ピット発生率は若干増加する傾向にある。但し、このピット発生率の増加は、工業生産上においては問題のないレベルであった。
また、試料E7は、試料E1〜試料E31の中で最も潤滑性に乏しいと考えられるものである。すなわち、試料E7は、合成エステルとしてネオペンチルグリコールエステルを含有し、その脂肪酸炭素数が最も少なく、合成エステルの添加量が最も少なく、さらに動粘度も最も小さいものである。この場合においても、湯漏れ率は、工業生産上の限界レベルと目される5%以下を維持した。なお、この条件では、加熱による残存量も最も少なくなっていると推測され、実際にピット発生率は0%という最も良い値を示した。
また、試料E8は、ネオペンチルグリコールエステルを使用した中では最も潤滑性がよいとされる条件のものである。この場合には、湯漏れ率は0%という最良の結果を得ることができるが、ピット発生率は2%となり、工業生産上の限界レベルに達する。ただし、工業生産上においては問題のないレベルである。
また、試料E9〜試料E14の結果より知られるごとく、ネオペンチルグリコールエステルを用いた場合と同様に、トリメチロールプロパンエステルのエステル数が多いほど、また脂肪酸の炭素数が多いほど湯漏れ率は低下し、逆にピット発生率は増加する傾向がある。これは、エステル数が多いほど、また脂肪酸の炭素数が多いほど潤滑性は向上するが高温での残存率が増加するためである。ただし、工業生産上においては問題のないレベルであった。
また、試料E15は、合成エステルとしてトリメチロールプロパンエステルを用いた場合において、最も潤滑性が劣ると考えられるものである。この場合には、確かに湯漏れ率は5%で工業生産上の限界レベルではあるが、ピット発生率については0%という最も良好な結果が得られた。また、湯漏れ率についても、工業生産上においては問題のないレベルである。
試料E16は、合成エステルとしてトリメチロールプロパンを使用した中では、最も潤滑性がよいとされる条件のものである。この場合には、湯漏れ率については0%という最も良好な結果が得られたが、ピット発生率は2%となり、工業生産上の限界レベルに達した。ただし、工業生産上においては問題のないレベルである。
また、表2における試料E17〜試料E24の結果から知られるごとく、ペンタエリスリトールエステルのエステル数が多いほど、また脂肪酸の炭素数が多いほど、湯漏れ率が低下し、逆に、ピット発生率は増加する傾向にある。これはエステル数が多いほど、また脂肪酸の炭素数が多いほど潤滑性は向上するが、高温での残存率が増加するためである。ただし、工業生産上においては、いずれも問題のないレベルである。
試料E25は、ペンタエリスリトールエステルを使用した場合において、最も潤滑性が劣ると考えられるものである。この場合には、湯漏れ率は4%であり、工業生産上の限界レベルに近くなっているが、ピット発生率については0%という最も良好な結果が得られた。また、湯漏れ率についても、工業生産上においては問題のないレベルである。
試料E26は、ペンタエリスリトールエステルを使用した場合において、最も潤滑性がよいとされる条件のものである。この場合には、湯漏れ率については0%という最も良好な結果が得られたが、ピット発生率は2%となり、工業生産上の限界レベルに達した。ただし、工業生産上においては問題のないレベルである。
また、試料E27及び試料E28においては、油性剤として合成エステルの代わりにパーム油脂や牛脂などの天然油脂を用いた。この場合においても、湯漏れ率は5%以下で、かつピット発生率は2%以下であり、工業生産上支障はないことがわかる。
また、試料E29〜試料E31の結果より知られるごとく、油性剤として、合成エステルと天然油脂とを組み合わせて用いても、また2種類以上の合成エステルを組み合わせて用いても、また2種類以上の天然油脂を組み合わせて用いても、湯漏れ率やピット発生率は、工業生産上支障のないレベルを保つことができることがわかる。
また、表1及び表2より知られるごとく、試料E1〜試料E31においては、油性剤の含有量、及び合成エステルにおけるエステル数や脂肪酸の炭素数が増加するほど、潤滑性が向上して湯漏れ率は低下するが、その一方で、ピット発生率は増加する傾向にあることがわかる。
次に、表3及び表4における試料C1〜試料C23の結果について、それぞれ説明する。
試料C1は、合成エステルや天然油脂などの油性剤を含有しておらず、鉱油のみからなるものである。この場合には、潤滑性が非常に乏しく湯漏れが100%発生し、操業不可能であった。
また、試料C2、C3、C8、C9、C14及びC15の結果より知られるごとく、合成エステルの種類によらず、該合成エステルの脂肪酸の炭素数が8になると潤滑性に乏しくなり、湯漏れ率が5%以上に上昇するという不具合が発生した。また、脂肪酸の炭素数が22になると、低温にて凝固し易くなり、冬季や寒冷地などにおける低温環境下で半固体状となるため給油が困難になり、操業が不可能となることがわかる。
また、試料C4、C10,C16,及びC20の結果より知られるごとく、合成エステルや天然エステルなどの油性剤の種類によらず、添加量が4重量部以下になると潤滑性が低下し、湯漏れ率が上昇して工業生産上の限界レベルである5%を越えてしまうことがわかる。
一方、試料C5,C11,C17,及びC21の結果より知られるごとく、合成エステルや天然油脂などの油性剤の含有量が45重量部となると、高温での残油量が増えるため、ピット発生率が工業生産上の限界レベルである2%を越えて高くなることがわかる。
試料C6、C7、C12、C13、C18、C19、C22、及びC23においては、動粘度が30mm2/s未満であるか、又は100mm2/sを越えている。動粘度が30mm2/s未満の場合には、合成エステルや天然油脂の種類や添加量によらず、潤滑性が乏しくなり、湯漏れ率が工業生産上の限界レベルである5%を越えてしまうことがわかる。また、動粘度が100mm2/sを越える場合には、ピット発生率が工業生産上の限界レベルである2%を越えてしまうことがわかる。
実施例にかかる、アルミニウムの水平連続鋳造システムを示す概略図。 背景技術にかかる、アルミニウムの水平連続鋳造における問題点を示す概略図。
符号の説明
1 水平鋳造システム
2 鋳型
3 タンディッシュ
4 冷却水
45 冷却水室
5 潤滑油室
55 潤滑油

Claims (3)

  1. アルミニウムの連続鋳造の鋳型に用いる潤滑油において、
    該潤滑油は、合成エステルからなる油性剤5〜40重量部と、40℃における動粘度が5〜200mm2/sの鉱油95〜60重量部とからなり、かつ40℃における動粘度が30〜100mm2/sであり、
    上記合成エステルにおけるエステル化された脂肪酸の炭素数は10〜20であることを特徴とするアルミニウム連続鋳造鋳型用潤滑油。
  2. 請求項1において、上記合成エステルは、ネオペンチルグリコールエステル、トリメチロールプロパンエステル、及びペンタエリスリトールエステルから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とするアルミニウム連続鋳造鋳型用潤滑油。
  3. 請求項1又は2において、上記合成エステルは、モノエステル、ジエステル、トリエステル、及びテトラエステルから選ばれる1種又は2種以上からなることを特徴とするアルミニウム連続鋳造鋳型用潤滑油。
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