JP6209188B2 - 電動車両 - Google Patents
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Description
図1は、本実施形態にかかる車両の要部系統図である。
この車両100は、例えば、電気自動車であり、車両100の前側に設けられた左右一対の前輪2aR,2aLと、車両100の後側に設けられた左右一対の後輪2bR,2bLと、を有する。左右の前輪2aR,2aLに連結された前輪車軸4には、モータ・ジェネレータ(MG:Motor Generator)3がトルク伝達機構で連結されている。また、車両100は、4輪駆動、後輪駆動でもよく、モータ・ジェネレータ3を備えたハイブリッド車等として構成してもよい。なお、前輪車軸4に設けられる差動機構は図示を省略する。
制御装置(ECU:Electronic Control Unit)7は、マイクロコンピュータを備え、各部を集中的に制御する装置である(詳細は後述)。
摩擦制動装置10は、摩擦制動力発生部となるものである。すなわち、各車輪2aR,2aL,2aR,2aLのディスクブレーキ機構30a〜30dの各ホイールシリンダに接続され、液圧(液圧)により当該ホイールシリンダを駆動して、ブレーキロータにブレーキパッドを押し当てて摩擦制動力を発生するための装置である。
図2は、車両の制御系のシステム構成を示すブロック図である。
制御装置7には、所定のインターフェイスを介して、ブレーキペダルの操作量を検出するブレーキペダルストロークセンサ21と、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ22と、前記の充電量検出センサ8とが信号線により接続されている。また、制御装置7には、所定のインターフェイスを介して信号線により、前記のモータ・ジェネレータ3と、前記のインバータ6と、前記のバッテリ5と、前記の摩擦制動装置10とが接続されている。さらに、制御装置7では、車輪速センサ11の検出信号(車輪速信号)が入力される。車輪速センサ11は、車輪の回転速度を検出するセンサである。車輪速信号は、車輪が1回転するごとに所定数のパルスを発生するパルス波である。制御装置7は、車輪速センサ11から入力される車輪速信号に基づいて車両100の車速を算出する。したがって、車輪速センサ11は車速を検出する車速センサになる。
また、制御装置7には、切替係数マップ140が記憶されている。切替係数マップ140の詳細については後述する。
図3は、車両のストール状態を説明するための図である。
図3に示すように、登坂路で上向きに車両100が停車しており、運転者がアクセルペダルを踏むことで登坂路に沿った上向きの駆動力Faと、車両100の重さの登坂路に沿った成分Fbとが釣り合うことで、ブレーキ(摩擦制動力)を使用せずに停止している状態が、ストール状態での停止である。
前記したように、モータ・ジェネレータ3におけるモータの発熱を防止するために、制御装置7がモータの回転位置をずらして、モータトルクを下げることにより、上向きの駆動力Faが小さくなり、Fa<Fbとなるため、下方へのずり下がりが生じる。
(比較例)
図4は、比較例に係る車速、駆動力、摩擦制動力の関係を示す図である。図4(a)は、車速の時間変化を示すグラフであり、図4(b)は、要求駆動力、駆動力制限値及びモータ指令駆動力の時間変化を示す図であり、図4(c)は、摩擦制動力の時間変化を示す図である。適宜、図1及び図2を参照する。
なお、以降の説明において、充電量検出センサ8(図1参照)に基づいて検出されたSOCにより、バッテリ8が回生制限状態であると判定されているものとする。
図4(a)〜(c)において、横軸は時間を示しており、各グラフにおいて時間は対応している。ちなみに、図4(b)、図4(c)では、車両100の前方に向かって働く力を+としている(以下、同じ)。
なお、本実施形態において、駆動力は制動力を含むものとする。すなわち、車両100の進行方向を正とすると、正の駆動力は「駆動力」であり、負の駆動力は「制動力」となる。
しかし、車両100のずり下がりが始まる時刻t1から、車両100の後退速度が所定の速度−v1となるまでは制御部110は停車状態と判定している。
これは、速度0〜−v1までは低速であるため、モータ・ジェネレータ3が回生することによって生じる電力は補機等で消費され、バッテリ5に蓄電されないためである。つまり、バッテリ5が満充電状態となっていても、速度0〜−v1(時刻t1〜t3)の間は回生制動力を発生させることが可能であり、摩擦制動力を発生させる必要がないため、制御部110は停車状態と判定する。なお、時刻t1〜t3では、制御部110が停車状態と判定しているため、図4(b)におけるモータ指令駆動力212は要求駆動力211に追従し、駆動力制限値213は時刻t0〜t1と同様F2となっている。
図5は、本実施形態に係る車速、駆動力、摩擦制動力の関係を示す図である。図5(a)は、車速の時間変化を示すグラフであり、図5(b)は、要求駆動力、駆動力制限値及びモータ指令駆動力の時間変化を示す図であり、図5(c)は、摩擦制動力の時間変化を示す図である。適宜、図1及び図2を参照する。
図5(a)〜(c)においても、図4(a)〜(c)と同様、横軸は時間を示しており、各グラフにおいて時間は対応している。また、図5において、図4と同様のものについては、同一の符号を付す。
すると、制御部110は、図4(b)に示すように駆動力制限値213を下降させ始める。ただし、この時点ではモータ指令駆動力212より駆動力制限値213の方が上回っているので、モータ指令駆動力212は時刻t1での値のままとしている。この間に発生した回生電力は補機等で消費される。
モータ指令駆動力212の下降に伴い、制動力の不足分を補うように摩擦制動力を徐々に上昇させていく。
なお、摩擦制動力の上昇は、モータ指令駆動力212の減少による制動力不足分を補うように行われる。
図5に示されるように、本実施形態では、車両100のずり下がりが始まってから、制御部110がずり下がり状態と判定するまでの間(すなわち、バッテリ5に蓄電されない間)に、モータ指令駆動力212を徐々に減少させ、摩擦制動力を徐々に上昇させる。
ちなみに、時刻t2〜t3において微小な回生電力が生じるが、生じた回生電力は補機等で消費され、バッテリ5には蓄電されない。
さらに、駆動力制限値213を、回生が制限されているときにおける駆動力制限値F10へむけて、徐々に減少させることにより、モータ指令駆動力212の上限値を徐々に抑えることができるため、モータ指令駆動力212の減少を滑らかにすることができる。
そして、モータ指令駆動力212の減少と、摩擦制動力の増加を連動させることで、回生制動力と、摩擦制動力との交代を滑らかに行うことができ、運転者への違和感を減少させることができる。
また、制御部110は、モータ指令駆動力212の減少による制動力不足分を補うよう、摩擦制動力を上昇させることで、制動力の過不足が発生することを防ぐことができる。
図6は、本実施形態に係る制動システムの動作手順を示すフローチャートである。適宜図1、図2、図5を参照する。
まず、制御部110は、ギアによる進行方向と反対方向への車両100の移動を検知したか否かを判定する(S101)。制御部110は、例えば、車輪速センサ11から後方への車輪2aR,2aL,2bR,2bLの回転を1パルスでも検出したら移動を検知したと判定する。また、車輪速センサ11に限らず、制御部110は、モータ・ジェネレータ3におけるモータ回転数を基に移動を検知してもよい。
ちなみに、「ギアによる進行方向と反対方向への車両100の移動」とは、ギアがドライブ側に入っていれば後方への移動であり、ギアがリア側に入っていれば前方への移動である。つまり、坂において、下向きに停車し、ギアがリア側に入っている車両100が、前方にずり下がっていることである。
ステップS101の結果、ギアによる進行方向と反対方向への車両100の移動を検知した場合(S101→Yes)、駆動力制限値算出部111は駆動力制限値を算出する(S102)。駆動力制限値の算出方法については後述する。ステップS101で「Yes」が選択されるのは、図5の時刻t1に相当する。
ステップS103の結果、要求駆動力211より大きい場合(S103→No)、制御部110は、ステップS102へ処理を戻す。
ステップS103の結果、要求駆動力211以下である場合(S103→Yes)、モータ指令駆動力管理部112は、モータ指令駆動力212を駆動力制限値213に一致させるよう更新する(S104)。ステップS103で「Yes」が選択されるのは図5の時刻t2である。
また、摩擦制動力管理部113は、摩擦制動力をモータ指令駆動力212の低下に伴う制動力の不足分上昇させる(S105)。具体的には、摩擦駆動力管理部は、モータ指令駆動力212の低下に伴う制動力の不足分の摩擦制動力を生じさせるよう摩擦制動装置10に指示し、摩擦制動装置10は、指示された摩擦制動力を発生する。このとき、発生する摩擦制動力は微小であるので、液圧のタイムラグは無視できる。
ステップS106の結果、車速が−v1より大きい場合(S106→No)、制御部110は、ステップS102へ処理を戻す。
ステップS106の結果、車速が−v1以下である場合(S106→Yes)、制御部110は、モータ指令駆動力212、駆動力制限値213、摩擦制動力を現在の値で維持する(S107)。
図7〜図10を参照して、図6のステップS102における駆動力制限値の算出方法の具体的な例を説明する。
図7は、本実施形態に係るモータ・ジェネレータ3におけるモータの回転方向と、駆動力制限値の関係を示す図であり、図8は切替係数マップ140を示す図であり、図9は、駆動力算出部の機能ブロック図を示す。
図7において、横軸がモータ・ジェネレータ3の回転方向(モータの回転方向)を示し、縦軸は駆動力制限値を示している。
回転方向について、+方向が車両100(図1参照)の前方への移動を示し、−方向が車両200の後方への移動(すなわちバックしている)を示している。
同様に、領域C1は、ギアが後方への走行に入っており(シフトレバーが「R」)、登坂路において車両100が下向きにストール状態で停車している状態から、モータ・ジェネレータ3におけるモータの回転位置がずれることでモータトルクが下がることで、前方へのずり下がりが生じているときの回生電力による駆動力制限値でもある。
なお、駆動力制限値F10,F2等は予め制御装置において記憶されている。
図8に示されるように、切替係数マップ140では、モータ回転数と、切替係数とが対応付けられている。切替係数は0〜1の値を有し、モータ回転数0に切替係数0が対応付けられ、モータ回転数N1に切替係数1が対応付けられている。ここで、モータ回転数N1とは、図4における車速−v1に相当するモータ回転数である。
まず、モータ・ジェネレータ3からモータ回転数が切替係数演算部301に入力され、切替係数演算部301は、切替係数マップ140を参照して、モータ回転数に対応した切替係数を算出する。ここで、算出された切替係数をE1とする(0≦E1≦1)。
そして、乗算部302が、算出された切替係数E1と、入力された図7の領域C2における蓄電側駆動力制限値(図7のF10)を乗算する。ここで、算出された値はE1×F10である。
そして、乗算部312は、算出部311から出力された値(1−E1)と、入力された現在の放電側駆動力制限値(図7のF2)とを乗算する。ここで、算出された値は(1−E1)×F2である。
最後に、加算部321が、乗算部302の出力値と、乗算部312の出力値とを加算した結果を駆動力制限値213(図4)として出力する。加算部321によって出力される駆動力制限値213は、(E1×F10)+(1−E1)×F2である。駆動力制限値算出部111は、車両100の車速が−v1以下となるまで繰り返す。
ここで図10(a)は、車速の時間変化を示すグラフであり、図10(b)は、要求駆動力、駆モータ指令駆動力、放電側駆動力制限値及び蓄電側駆動力制限値の時間変化を示す図であり、図10(c)は、切替係数の時間変化を示す図である。
図10(a)は、図4(a)及び図5(a)と同様であるので、ここでの説明を省略する。
図10(b)において、線401はモータの回転方向が+方向であるときの放電側駆動力制限値である。すなわち、線401は図7の領域D1における駆動力制限値(F2)を示している。また、線402はモータの回転方向が+方向であるときの蓄電側駆動力制限値である。すなわち、線402は図7の領域C1における駆動力制限値(−F10)を示している。
なお、本実施形態は、図5で示した制御以外にも、例えば、図11、図12及び図13に示すような制御が行われてもよい。
図11、図12及び図13は、本実施形態に係る別の例を示す図である。図11(a)〜(c)における各グラフ、図12(a)〜(c)における各グラフ及び図13(a)〜(c)における各グラフについて、図5(a)〜(c)と同様の要素については説明を省略する。また、図11〜図13において、図5と同様のものについては、同一の符号を付して説明を省略する。
この場合、図5において、駆動力制限値213、モータ指令駆動力212、摩擦制動力の符号が反転したグラフとして処理が行われる。なお、図5の符号を反転させると、摩擦制動力が負の値となるが、これは、前記したように、車両100の前方に向かってかかる力を正としているためである。摩擦制動力が負の方向に増加しても、摩擦制動力の絶対値は増加することに変わりはない。駆動力制限値213、モータ指令駆動力212についても同様である。
2bR,2bL 後輪(車輪)
3 モータ・ジェネレータ(回生制動力発生部)
5 バッテリ
6 インバータ
7 制御装置
10 摩擦制動装置(摩擦制動発生部)
11 車輪速センサ
100 車両(電動車両)
110 制御部
111 駆動力制限値算出部
112 モータ指令駆動力管理部
113 摩擦制動力管理部
120 切替係数マップ
211 要求駆動力
212 モータ指令駆動力(回生制動力)
213 駆動力制限値(回生制動力の制限値)
Claims (4)
- モータを有し、車両に回生制動力を発生させる回生制動力発生部と、
前記車両に摩擦制動力を発生させる摩擦制動力発生部と、
回生制限時において、摩擦制動力発生部に摩擦制動力を発生させる制御部と、
前記回生制動力で回生した電力を蓄電するバッテリと、を有し、
前記バッテリには、前記モータのモータ回転数が所定の値になるまで、前記モータによって発生する回生電力は、前記バッテリに蓄電されず、
前記制御部は、
回生が制限されている状態で、車両が停車してから、運転者が車両進行方向への操作をしているにも関わらず、進行方向とは逆方向への車両の移動が検出された場合に、当該車両の移動が検出されてから前記バッテリへの蓄電が開始される前記モータ回転数となるまでの間に、前記摩擦制動力が目標摩擦制動力となるように前記摩擦制動力を徐々に増加させる制御を行う
ことを特徴とする電動車両。 - 前記回生制動力で回生した電力を蓄電するバッテリ
を有し、
前記回生制動力発生部において、前記バッテリの状態に応じた回生制動力の制限値である回生制動力制限値が存在し、
前記制御部は、
前記回生が制限されているときにおける前記回生制動力の制限値へむけて、現在の前記回生制動力の制限値を徐々に減少させる
ことを特徴とする請求項1に記載の電動車両。 - 前記制御部は、
前記回生制動力の変化に連動するよう、前記摩擦制動力を徐々に増加させる
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動車両。 - 前記制御部は、
前記回生制動力を徐々に減少させ、前記回生制動力の減少に伴う制動力の不足分を補うよう、前記摩擦制動力を増加させる
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電動車両。
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