JP5691383B2 - 車両用走行制御装置 - Google Patents
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Description
このような車間制御クルーズ走行では、車間距離の減少度合いにより、アクセルペダルの開度特性を、自車両が減速傾向となる遅開き特性に切り替える制御を行う。そして、車間距離の減少度合いが増加すると、アクセルペダルに搭載したアクチュエータを駆動させて、運転者の操作に対し、アクセルペダルを押し戻す制御を行う。車間距離の減少度合いがさらに増加すると、運転者の操作に因らず、自動的にブレーキをかけて車間距離を維持し、最終的には、自車両を自動的に停止させる制御を行う。
本発明は、上記のような点に着目したもので、自車両と先行車両との車間距離を維持する車間制御クルーズ走行において、運転者に与える違和感を抑制することを目的としている。
図1は実施形態に係るハイブリッド車両の概要構成図である。図1中に示すハイブリッド車両は、後輪駆動の例であるが、前輪駆動であっても、本発明は適用可能である。なお、以下の説明では、ハイブリッド車両を、「車両」や「自車両」と記載する場合がある。
まず、駆動系(パワートレーン)の構成について説明する。
本実施形態のパワートレーンは、図1中に示すように、エンジン1から左右後輪(駆動輪)までのトルク伝達経路の途中に、モータ2及び自動変速機3、すなわち、AT(=トランスミッションT/M)を介装する。また、本実施形態のパワートレーンは、エンジン1とモータ2との間に、第1クラッチ4を介装し、モータ2と駆動輪(後輪)との間のトルク伝達経路に、第2クラッチ5を介装する。
上記エンジン1は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンである。エンジン1は、後述するエンジンコントローラ22からの制御指令に基づき、スロットルバルブのバルブ開度等が制御可能となっている。なお、エンジン1の出力軸に、フライホイールが設けられていても良い。
上記第1クラッチ4は、上記エンジン1とモータ2との間に介装された油圧式単板クラッチである。上記第1クラッチ4は、後述するATコントローラ24からの制御指令に基づいて、入力した目標クラッチ伝達トルクとなるように、第1クラッチ油圧ユニットが作り出した制御油圧により、締結状態、または、開放状態となる。なお、第1クラッチ4の締結・開放には、滑り締結と滑り開放を含む。
上記自動変速機3は、例えば、前進7速後退1速や前進6速後退1速等、有段階の変速比を、車速や後述の統合コントローラ21から入力した変速用アクセル開度等に応じて、自動的に切り換える変速機である。ここで、上記第2クラッチ5は、専用クラッチとして新たに追加したものではなく、自動変速機3の各変速段にて締結される複数の摩擦締結要素のうち、いくつかの摩擦締結要素を流用して構成する。
また、各輪には、それぞれブレーキユニット(不図示)を備える。各ブレーキユニットは、例えば、ディスクブレーキやドラムブレーキからなる。また、各ブレーキユニットは、油圧ブレーキ装置であっても、電動ブレーキ装置であっても良い。各ブレーキユニットは、ブレーキコントローラ25からの指令に応じて、対応する車輪に制動力を付与する。なお、ブレーキユニットは、全ての車輪に設ける必要はない。
また、図1中において、符号12は、変速機の入力軸の回転を検出するAT入力回転センサを示し、符号13は、変速機の出力軸の回転を検出するAT出力回転センサを示す。また、符号27は、車輪の回転を検出する車輪速センサを示す。なお、車輪速センサ27は、不図示の従動輪(前輪)にも設けてもよい。
符号33は、運転者によって操作されるアクセルペダルを示す。このアクセルペダル33のアクセル開度APOは、アクセルセンサ20によって検出される。そして、アクセルセンサ20は、検出したアクセル開度APO情報を、統合コントローラ21に出力する。
また、符号32は、先行車検出手段を構成するレーダーユニットを示す。レーダーユニット32は、自車両前方の先行車両を検出し、検出した先行車両情報を車間制御コントローラ31に出力する。
また、符号35は、運転者に走行状態を提示するためのメータを示す。このメータ35は、オートクルーズの情報等を表示する。
また、符号28は、ステアリングスイッチを示す。このステアリングスイッチ28は、自動定速走行であるクルーズ走行の起動や走行条件(目標車速)の変更指示を運転者が行うための操作子である。ここで、クルーズ走行には、自動定速走行に加え、車間制御クルーズ走行も含む。
また、符号18は、バッテリ9の電圧を検出する電圧センサを示し、符号19は、バッテリ9の電流を検出する電流センサを示す。
次に、ハイブリッド車両の制御系の構成について説明する。
上記ハイブリッド車両の制御系は、図2に示すように、エンジンコントローラ22と、モータコントローラ23と、インバータ8を有する。また、ハイブリッド車両の制御系は、バッテリコントローラ26と、ATコントローラ24と、ブレーキコントローラ25と、統合コントローラ21と、車間制御コントローラ31を有する。
上記エンジンコントローラ22は、エンジン回転数センサ10からのエンジン回転数情報を入力する。そして、上記エンジンコントローラ22は、統合コントローラ21からの目標エンジントルク等に応じ、エンジン動作点(Ne、Te)を制御する指令を、例えば、図外のスロットルバルブアクチュエータへ出力する。なお、エンジン回転数Neの情報は、CAN通信線を介して、統合コントローラ21から取得する。
バッテリコントローラ26は、バッテリ9の電圧を検出する電圧センサ18からの情報と、バッテリ9の電流を検出する電流センサ19からの情報に基づいて、バッテリ9の充電状態を表すバッテリSOCを監視する。そして、バッテリコントローラ26は、監視しているバッテリSOCの情報を、モータ2の制御情報等として、CAN通信線を介して統合コントローラ21へ供給する。
また、上記ブレーキコントローラ25は、目標油圧制動力を、油圧制動力装置に出力する。例えば、上記ブレーキコントローラ25は、ブレーキペダル踏み込み制動時のブレーキストロークBS等から求められる要求制動力に対し、回生制動力だけでは不足する場合に、回生協調ブレーキ制御を行う。
また、車間制御コントローラ31は、運転者が設定したステアリングスイッチ28の情報や、クルーズ制御作動許可状態や、その他の必要な情報を、統合コントローラ21から入力する。そして、車間制御コントローラ31は、統合コントローラ21からの情報に基づき、先行車に対する車間制御を実施すると判定すると、先行車に対する目標車間距離や目標車間時間を実現するための目標加速度及び目標減速度を演算する。この演算は、自車速や、レーダーユニット32の検出に基づく先行車両の情報(車間距離や相対速度等)等に基づいて行う。
また、車間制御コントローラ31は、DCA制御(Distance Control Assist)部31Aを有する。DCA制御部31Aは、統合コントローラ21から受信するアクセル開度APO情報と、車輪速センサ27の検出に基づく車速情報、レーダーユニット32からの情報に基づいて、ペダル反力指令を演算する。そして、DCA制御部31Aは、先行車との車間を保つ為の運転者への支援情報として、演算した反力指令をペダルアクチュエータ34に出力する。ペダルアクチュエータ34は、入力したアクセルペダル33に反力を付与する。このとき、統合コントローラ21側では、目標駆動トルクが低減される。
また、上記統合コントローラ21は、エンジン回転数Neを検出するエンジン回転数センサ10からの情報を入力し、モータ回転数Nmを検出するモータ回転センサ11からの情報を入力する。さらに、統合コントローラ21は、変速機入力回転数を検出するAT入力回転センサ12からの情報を入力し、変速機出力回転数を検出するAT出力回転センサ13からの情報を入力する。
また、上記統合コントローラ21は、CAN通信線を介して取得した情報を出力する。
また、上記統合コントローラ21は、上記エンジンコントローラ22への制御指令により、エンジン1の動作制御を実行する。上記統合コントローラ21は、上記モータコントローラ23への制御指令により、モータ2の動作制御を実行する。
また、上記統合コントローラ21は、上記ATコントローラ24への制御指令により、第1クラッチ4の締結・開放制御と、第2クラッチ5の締結・開放制御を実行する。
ここで、本実施形態のハイブリッド車両における基本動作モードについて説明する。
車両の停止中において、バッテリSOCの低下時であれば、エンジン1を始動して発電を行い、バッテリ9を充電する。そして、バッテリSOCが通常範囲になれば、第1クラッチ4は締結の状態で、また、第2クラッチ5は開放の状態で、エンジン1を停止する。
エンジン1による発進時には、アクセル開度APOとバッテリSOC状態によって、モータ2を連れ回し、力行/発電に切り替える。
モータ走行(EVモード)では、エンジン1の始動に必要なモータトルクとバッテリ出力を確保し、不足する場合はエンジン走行に移行する。また、自車両の車速が、予め設定したマップ等に基づいて予め設定した所定車速(EV禁止車速)以上となると、モータ走行(EVモード)からエンジン走行(HEVモード)に移行する。また、エンジン走行時において、アクセルペダル踏み込み時のレスポンス向上のために、エンジントルクの遅れ分を、モータ2によりアシストする。すなわち、エンジン走行中は、エンジン1の動力だけ、または、エンジン1及びモータ2の動力の両方で走行するモードが存在する。
エンジン走行やモータ走行中における変速時には、加減速中の変速に伴う回転数合わせのために、モータ2を回生/力行させて、トルクコンバータ無しでのスムーズな変速を行う。
図3は、本実施形態の統合コントローラ21の制御における基本的な指令値の、基本的な流れを示す概要構成図を例示するものである。また、図4は、本実施形態の統合コントローラ21の制御を機能的に説明する機能ブロック図である。
要求エンジントルク演算部21Bは、車速等の走行状態や要求発電トルク演算部21Aが演算した要求発電トルク等に基づき、エンジン1で発生すべき要求エンジントルクを演算する。
モータ出力可能トルク演算部21Cは、バッテリコントローラ26からのSOC等のバッテリ情報や、車速等に基づき、モータ2が出力可能なモータ出力可能トルクを演算する。
ドライバ要求トルク演算部は、運転者の操作するアクセルペダル33の操作量(アクセル開度APO)に基づき、運転者が要求していると推定するドライバ要求トルクを演算する。
そして、目標駆動トルク演算部21Dは、ドライバ要求トルク演算部が演算したドライバ要求トルクと、自動制御要求トルク演算部が演算した自動制御要求トルクに基づき、目標駆動トルクを演算する。
ドライバ要求トルク演算部21Daは、少なくともアクセルペダル33のアクセル開度APO情報及び車速に基づき、ドライバ要求トルクを演算する。また、ドライバ要求トルク演算部21Daは、図3中に示す例では、アクセル開度APO及び変速機入力回転数を入力し、ベーストルクマップを参照して、基本ドライバ要求トルクを演算する。
そして、ドライバ要求トルク演算部21Daは、演算した基本ドライバ要求トルク、第1の補正トルク、第2の補正トルクに基づき、最終的等なドライバ要求トルクを求める。
車速リミッタトルク演算部21Ddは、ステアリングスイッチ28によって設定される設定車速及び現在の車速に基づき、上限の車速以下とするための車速リミッタトルクを演算する。
車両状態モード決定部21Eは、目標とする目標車両状態モード(EVモード、HEVモード)を決定する。この決定は、アクセル開度APO、車速情報(または、変速機出力回転数)、モータ出力可能トルク、要求エンジントルク、及び目標駆動トルクに基づき、車両状態モード領域マップ(EV−HEV遷移マップ)等を参照して行う。これは、例えば、車両制駆動制御のための目標駆動トルクに、エンジン1の始動に必要なクランキングトルクを加えたトルクが、モータ2が出力可能なトルクを下回ると、HEVモードからEVモードに運転モードが遷移する。
ここで、車両状態モードとしては、図6に示すように、HEVモードと、EVモードと、遷移時のモードである、エンジン停止シーケンス及びエンジン始動シーケンスのモードを備える。
エンジン停止シーケンスのモードは、HEVモードからEVモードに移行する際の遷移時の車両状態モードである。エンジン始動シーケンスのモードは、EVモードからHEVモードに移行する際の遷移時の車両状態モードである。そして、現在の車両状態モードと目標車両状態モードとが同じ場合には、前回の状態モードを保持する。
例えば、現在の車両状態モードがEVモードであり、目標車両状態モードもEVモードの場合には、車両状態モードをEVモードとする。また、現在の車両状態モードがHEVモードであり、目標車両状態モードもHEVモードの場合には、車両状態モードをHEVモードとする。
本実施形態における車両状態モード決定部21Eは、図7に示すように、エンジン始動判定処理部21Ea及びエンジン停止判定処理部21Ebを備える。
まず、ステップS10では、上記のDCA制御が作動している条件、すなわち、アクセルペダル33に反力を付与する制御が作動している条件が成立しているとともに、エンジン1が作動している条件が成立しているか否かを判定する。そして、DCA制御が作動している条件が成立しているとともに、エンジン1が作動している条件が成立している場合には、ステップS30に移行する。一方、DCA制御が作動している条件、及びエンジン1が作動している条件のうち、少なくとも一方の条件が成立していない場合には、ステップS20に移行する。
ステップS40では、DCA操作時エンジン始動要求を「OFF」に設定して、ステップS60に移行する。
ステップS50では、DCA操作時エンジン始動要求を前回値に保持、すなわち、前回の処理で「ON」に設定されていれば「ON」、前回の処理で「OFF」に設定されていれば「OFF」に設定して、ステップS60に移行する。
ステップS60では、車間制御コントローラ31(ADASコントローラ)からの、アクセルペダル33の開度特性変換要求があるか否かを判定する。そして、アクセルペダル33の開度特性変換要求がある場合は、ステップS70に移行する。一方、アクセルペダル33の開度特性変換要求が無い場合には、ステップS80に移行する。
ここで、アクセルペダル33の開度特性を、自車両が減速傾向となる遅開き特性に変換すると、運転者によるアクセルペダル33の操作開度が一定である場合、自動クルーズ要求トルクが減少するため、自車両が減速傾向となる。
ここで、上記の「始動判定値」とは、エンジン1を停止するためにエンジン1への燃料供給を停止するF/Cの状態から、再びエンジン1へ燃料を供給するF/Cリカバーの判定に用いる閾値である。
また、始動判定値を設定する際には、自動定速走行における設定速度等に応じて、その大きさを変えて設定してもよい。
ここで、上記の「停止判定値」とは、エンジン1を停止するためにエンジン1への燃料供給を停止するF/Cの判定に用いる閾値である。
また、停止判定値を設定する際には、自動定速走行における設定速度や、自車両の車重等に応じて、その大きさを変えて設定してもよい。
ステップS110では、アクセルエンジン始動要求を「OFF」に設定して、ステップS130に移行する。
ステップS120では、アクセルエンジン始動要求を前回値に保持、すなわち、前回の処理で「ON」に設定されていれば「ON」、前回の処理で「OFF」に設定されていれば「OFF」に設定して、ステップS130に移行する。
すなわち、ステップS80からステップS120の処理では、DCA制御の作動時に、ペダルアクチュエータ34によって押し戻されたアクセルペダル33の開度が、始動判定値及び停止判定値未満となった場合に、エンジン1に対するF/Cを許可する。
(1)アクセルペダルによるエンジン始動要求が「ON」
(2)システム要求によるエンジン始動要求が「ON」
(3)クルーズ要求トルクによるエンジン始動要求が「ON」
(4)DCA制御の作動時であるとともに、エンジン始動要求が「ON」
また、条件(4)は、ステップS10からステップS50の処理において設定した、DCA作動時エンジン始動要求をOR条件で参照することにより、F/Cを禁止して、エンジン1の作動を継続させる条件である。これは、DCA制御が作動している状態では、条件(1)のアクセルペダルによるエンジン始動要求が「OFF」となり、F/C許可判定が成立してしまうためである。
ステップS150では、エンジン始動要求を「OFF」に設定して、ステップS160に移行する。
ステップS160では、エンジン始動要求がONの場合には、現在の車両状態モードがHEVモードでなければ、エンジン始動フラグをONにして、エンジン始動制御部21Fを作動する処理を実行する。その後、復帰する。
目標エンジントルク算出部21Hは、車両状態モード決定部21Eが決定した目標車両状態モード、車速等の走行状態情報、目標駆動トルク、発電のために要求される要求エンジントルクに基づき、目標エンジントルクを算出する。なお、目標車両状態モードがEVモードである場合には、エンジントルクは不要であるため、目標エンジントルクは、ゼロ、または、負値となっている。また、予め設定したF/C条件を満足している場合、エンジン1は、燃料の供給が停止されて、空回りしている状態となっている。
エンジン始動制御部21Fは、エンジン始動フラグがONの場合に作動して、モータ走行中にエンジン1を始動する処理を実施し、HEVモードへの移行処理を行う。
エンジン始動制御部21Fは、モータ走行中にエンジン始動指令(エンジン始動フラグがON)を取得すると起動する。
まず、第2クラッチ5を目標クラッチ伝達トルクにするための目標第2クラッチトルク指令を、ATコントローラ24に出力する。上記目標第2クラッチ伝達トルク指令TCL2は、エンジン始動処理前の出力トルク相当のトルクを伝達可能な伝達トルク指令であって、モータ2が出力する駆動力を増大したとしても、出力軸トルクに影響を与えない範囲とする。ここで、ATコントローラ24は、指令に応じたクラッチ油圧が発生するように第2クラッチ油圧ユニットを制御する。
エンジン停止制御部21Gは、エンジン停止指令(エンジン停止フラグがON)を取得すると起動し、エンジン走行から、エンジン1を停止させるとともに、モータ2を駆動して、モータ走行への移行処理を行う。
なお、図3におけるVAPO演算部21Lは、上述した各種のクルーズ要求トルクから逆算して、対応する推定アクセル開度を演算し、この演算した推定アクセル開度を、変速用アクセル開度としてATコントローラ24に出力する。
自動走行である定速走行(クルーズ走行)の制御中ではない場合には、アクセル開度APOに基づくドライバ要求トルクを目標駆動力として、駆動源であるエンジン1及びモータ2の少なくとも一方の出力が制御される。
そして、ステアリングスイッチ28が操作されて、クルーズ走行が起動されると、運転者によって設定された車速とするためのクルーズ目標トルクが、目標駆動力として算出される。さらに、算出された目標駆動トルクとなるように、駆動源であるエンジン1及びモータ2の少なくとも一方の出力が制御される。この場合、運転者が一時的な加速要求を実施しない場合には、アクセルペダル33はOFFの状態となっており、一時的に加速したい場合にのみ、運転者がアクセルペダル33を踏み込むことによって、車両は一時的に加速される。
ここで、クルーズ走行として、上記の車間制御クルーズ走行を実施している場合、一時的な加速により、車間距離の減少度合いが増加すると、ペダルアクチュエータ34を駆動させて、運転者の操作に対し、アクセルペダル33を押し戻す。すなわち、運転者の駆動力増加要求に対する反力を、車間距離に応じて発生させる。
このときのタイムチャート例を、図9に示す。ここで、図9に示されるタイムチャートには、車間制御クルーズ走行中において、アクセルペダル33の開度(アクセル開度)が変化している状態を示している。
このとき、アクセル開度は、始動判定値以上であるため、アクセルエンジン始動要求は、「ON」となっている(ステップS80、S100参照)。すなわち、上記のF/Cは禁止となっている。
ここで、t2の時点において、アクセルエンジン始動要求が「ON」から「OFF」へと変化しても、DCA作動時エンジン始動要求は「ON」の設定に保持されているため、エンジン1に対するF/Cは行われず、エンジン1の回転数は維持されることとなる。
このように、アクセルエンジン始動要求が「OFF」であればF/Cを行う制御を行うと、車間距離や先行車両の挙動によっては、短い間隔で、アクセル開度が停止判定値以上や未満となる状態が繰り返される場合がある。このため、F/CやF/Cリカバーが、頻繁に発生して、短時間の間にエンジン1の始動と停止が行われるため、運転者に対し、エンジン停止・始動による違和感を与えるおそれがある。
t2の時点において停止判定値未満となったアクセル開度がさらに減少して、アクセル開度が0[%]となった後、減少傾向に変化していた車間距離が増加傾向に変化すると、車速を設定速度へ復帰させるために、減少させていたアクセル開度を増加させる。また、アクセル開度の増加に伴い、車速を設定速度へ復帰させるために、ブレーキ制動液圧を減少させ、最終的には0[kPa]とする。
そして、t3の時点から、アクセル開度がさらに増加し、また、車速が設定車速に復帰するとともに、車間距離がDCA制御を作動させる前の距離に復帰すると、DCA制御の作動を停止させる。
ここで、目標駆動トルク演算部21Dと、車間制御コントローラ31と、レーダーユニット32が、自動車間距離制御走行手段を構成する。また、ステアリングスイッチ28が、運転者によって起動操作を行う操作子を構成する。
さらに、車間制御コントローラ31と、レーダーユニット32と、ペダルアクチュエータ34が、反力発生手段を構成する。
(1)自動車間距離制御走行手段が、運転者による起動操作により作動して、先行車両との車間距離を目標車間距離に自動調整する。これに加え、反力発生手段が、自動車間距離制御走行手段の作動中に、運転者の駆動力増加要求に対する反力を、車間距離に応じて発生させる。そして、反力発生手段が反力を発生させていると判定すると、エンジンの停止を禁止する処理を行う。
その結果、F/CやF/Cリカバーの頻繁な発生を抑制して、短時間の間にエンジンの始動と停止が行われることを抑制することが可能となり、クルーズ走行等の自動走行において、運転者に与える違和感を抑制することが可能となる。
2 モータ
3 自動変速機
4 第1クラッチ
5 第2クラッチ
7 駆動輪
20 アクセルセンサ
21 統合コントローラ
21A 要求発電トルク演算部
21B 要求エンジントルク演算部
21C モータ出力可能トルク演算部
21D 目標駆動トルク演算部
21Da ドライバ要求トルク演算部
21Db 自動制御要求トルク演算部(自動走行手段)
21Dc 第1目標駆動トルク演算部
21Dd 車速リミッタトルク演算部
21De 最終目標駆動トルク演算部
21E 車両状態モード決定部
21Ea エンジン始動判定処理部
21Eb エンジン停止判定処理部
21F エンジン始動制御部
21G エンジン停止制御部
21H 目標エンジントルク算出部
21J 目標モータトルク算出部
21K 目標クラッチトルク算出部
21L VAPO演算部
22 エンジンコントローラ
23 モータコントローラ
24 ATコントローラ
25 ブレーキコントローラ
26 バッテリコントローラ
28 ステアリングスイッチ
30 クルーズキャンセルスイッチ
31 車間制御コントローラ
Claims (1)
- 駆動輪に駆動力を伝達する駆動源としてエンジン及びモータを備えるハイブリッド車両の走行を制御する車両用走行制御装置であって、
運転者による起動操作により作動して、先行車両との車間距離を目標車間距離に自動調整する自動車間距離制御走行手段と、当該自動車間距離制御走行手段の作動中に前記運転者の駆動力増加要求に対する反力を前記車間距離に応じて発生させる反力発生手段と、を備え、
前記反力発生手段が前記反力を発生させていないと判定し、且つ前記反力発生手段が前記反力を付与するアクセルペダルの開度が予め設定した停止判定値未満となると、前記エンジンの停止を許可し、
前記反力発生手段が前記反力を発生させていると判定すると、前記エンジンの停止を禁止することを特徴とする車両用走行制御装置。
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