JP5742166B2 - 車両用走行制御装置 - Google Patents
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Description
本発明は、上記のような点に着目したもので、ハイブリッド車両において、エンジン始動に伴う加速度の急変を抑制することを目的としている。
図1は実施形態に係るハイブリッド車両の概要構成図である。図1に示すハイブリッド車両は後輪駆動の例であるが、前輪駆動であっても本発明は適用可能である。
(駆動系の構成)
まず駆動系(パワートレーン)の構成について説明する。
本実施形態のパワートレーンは、図1に示すように、エンジン1から左右後輪(駆動輪)までのトルク伝達経路の途中に、モータ2及び自動変速機AT(=トランスミッションT/M)を介装する。エンジン1とモータ2との間に、第1クラッチ4を介装する。また、モータ2と駆動輪(後輪)との間のトルク伝達経路に第2クラッチ5を介装する。この例では、第2クラッチ5は、自動変速機AT(=トランスミッションT/M)の一部を構成する。自動変速機ATは、プロペラシャフト、ディファレンシャルDF、及びドライブシャフトを介して駆動輪7(後輪)に接続する。
上記モータ2は、例えばロータに永久磁石を埋設しステータにステータコイルを巻き付けた同期型モータである。モータ2は、後述するモータコントローラ23からの制御指令に基づき、後述のインバータ8で作り出した三相交流を印加することで制御出来る。このモータ2は、後述のバッテリ9からの電力の供給を受けて回転駆動する電動機として動作することもできる(この状態を「力行」と呼ぶ)。また、モータ2は、ロータが外力により回転している場合には、ステータコイルの両端に起電力を生じさせる発電機として機能してバッテリ9を充電することもできる(この動作状態を「回生」と呼ぶ)。このモータ2のロータは、図外のダンパーを介して自動変速機ATの入力軸に連結する。
上記自動変速機ATは、例えば、前進7速後退1速や前進6速後退1速等の有段階の変速比を、車速や後述の統合コントローラ21から入力した変速用アクセル開度等に応じて自動的に切り換える変速機である。ここで、上記第2クラッチ5は、専用クラッチとして新たに追加したものではなく、自動変速機ATの各変速段にて締結される複数の摩擦締結要素のうち、いくつかの摩擦締結要素を流用して構成する。
また、各輪には、それぞれブレーキユニット(不図示)を備える。各ブレーキユニットは、例えばディスクブレーキやドラムブレーキからなる。各ブレーキユニットは、油圧ブレーキ装置であっても、電動ブレーキ装置であっても良い。各ブレーキユニットは、ブレーキコントローラ25からの指令に応じて、対応する車輪に制動力を付与する。なお、ブレーキユニットは、全ての車輪に設ける必要はない。
符号33は運転者によって操作されるアクセルペダル33である。このアクセルペダル33のアクセル開度APOは、アクセルセンサ20によって検出され、アクセルセンサ20は、検出したアクセル開度APO情報を統合コントローラ21に出力する。
また、符号34はペダルアクチュエータ34である。ペダルアクチュエータ34は、車間制御コントローラ31からの指令に応じたペダル反力をアクセルペダル33に付与するアクチュエータである。
また符号27は車輪速センサである。車輪速センサ27は、検出した車輪速情報をブレーキコントローラ25に出力する。また、車輪速情報から求まる車速情報は、ブレーキコントローラ25から統合コントローラ21及び車間制御コントローラ31に出力される。
また符号29はブレーキスイッチ29である。ブレーキスイッチ29は、ブレーキペダル(不図示)の操作を検出する。
符号28は、ステアリングスイッチである。ステアリングスイッチ28は、自動走行制御であるオートクルーズ走行の起動や走行条件(目標車速等)の変更指示を運転者が行うための操作子である。ここで、本実施形態のオートクルーズ走行には、定速走行制御(定速クルーズ)及び車車間走行制御(車間クルーズ)の両方を含む。
符号30は、ブレーキペダルに設けられたクルーズキャンセルスイッチである。クルーズキャンセルスイッチ30は、自動走行制御であるオートクルーズ走行の終了を指示するための操作子である。なお、上記ステアリングスイッチ28にもオートクルーズの終了を指示するスイッチが存在する。以下、このスイッチも含めクルーズキャンセルスイッチ30と呼ぶ。
符号18はバッテリ9の電圧を検出する電圧センサである。符号19はバッテリ9の電流を検出する電流センサである。
上記ハイブリッド車両の制御系は、図2に示すように、エンジンコントローラ22と、モータコントローラ23と、インバータ8と、バッテリコントローラ26と、ATコントローラ24と、ブレーキコントローラ25と、統合コントローラ21と、を有する。また、本実施形態のハイブリッド車両の制御系は、車間制御コントローラ31を有する。
なお、エンジンコントローラ22と、モータコントローラ23と、ATコントローラ24と、ATコントローラ24と、ブレーキコントローラ25と、車間制御コントローラ31と、統合コントローラ21とは、互いに情報交換が可能なCAN通信線(不図示)を介して接続する。
バッテリコントローラ26は、バッテリ9の充電状態をあらわすバッテリSOCを監視している。バッテリコントローラ26は、バッテリSOC情報を、モータ2の制御情報等として、CAN通信線を介して統合コントローラ21へ供給する。
上記統合コントローラ21は、エンジン回転数Neを検出するエンジン回転数センサ10、モータ回転数Nmを検出するモータ回転センサ11、変速機入力回転数を検出するAT入力回転センサ12、変速機出力回転数を検出するAT出力回転センサ13からの情報を入力する。また、統合コントローラ21は、アクセルセンサ20からアクセル開度APO情報、バッテリコントローラ26からバッテリ9の蓄電状態SOCの情報を入力する。また、上記統合コントローラ21は、CAN通信線を介して取得した情報を出力する。
車両停止中において、バッテリSOCの低下時であれば、エンジン1を始動して発電を行い、バッテリ9を充電する。そして、バッテリSOCが通常範囲になれば、第1クラッチ4は締結で第2クラッチ5は開放のままでエンジン1を停止する。
エンジン1による発進時には、アクセル開度APOとバッテリSOC状態によって、モータ2を連れ回し、力行/発電に切り替える。
エンジン走行やモータ走行中における変速時には、加減速中の変速に伴う回転数合わせのために、モータ2を回生/力行させ、トルクコンバータ無しでのスムーズな変速を行う。
図3は、本実施形態の統合コントローラ21の制御における基本的な指令値の基本的な流れを示す概要構成図を例示するものである。また、図4は本実施形態の統合コントローラ21の制御を機能的に説明する機能ブロック図である。
統合コントローラ21は、図4に示すように、要求発電トルク演算部21A、要求エンジントルク演算部21B、モータ出力可能トルク演算部21C、目標駆動トルク演算部21D、車両状態モード決定部21E、エンジン始動制御部21F、エンジン停止制御部21G、目標エンジントルク算出部21H、目標モータトルク算出部21J、目標クラッチトルク算出部21Kを備える。
要求エンジントルク演算部21Bは、車速などの走行状態や要求発電トルク演算部21Aが演算した要求発電トルク等に基づき、エンジン1で発生すべき要求エンジントルクを演算する。
モータ出力可能トルク演算部21Cは、バッテリコントローラ26からのSOCなどのバッテリ情報や、車速などに基づき、モータ2が出力可能なモータ出力可能トルクを演算する。
ドライバ要求トルク演算部21Daは、少なくともアクセルペダル33のアクセル開度APO情報及び車速に基づき、ドライバ要求トルクを演算する。ドライバ要求トルク演算部21Daは、図3に示す例では、アクセル開度APO及び変速機入力回転数を入力し、ベーストルクマップを参照して基本ドライバ要求トルクを演算する。また、車速に基づき、クリープ・コースト駆動トルクテーブルを参照して第1の補正トルクを演算する。また、アクセル開度APO情報、変速機入力回転数、SOC等に基づく電力制限情報に基づき、MGアシストトルクMAPを参照して、第2の補正トルクを算出する。そして、ドライバ要求トルク演算部21Daは、演算した基本ドライバ要求トルク、第1の補正トルク、第2の補正トルクに基づき、最終的なドライバ要求トルクを求める。
すなわち、本実施形態の自動制御要求トルク演算部21Dbは、入力処理許可判定部50、目標車速設定部51、加速度算出部52、車速サーボ部53、選択部54を備える。
入力処理許可判定部50は、運転者が操作したステアリングスイッチ情報と、車速情報とを入力して、自動制御の許可判定を実施すると共に、車速及びステアリングスイッチ情報中の設定車速情報などの情報を目標車速設定部51に出力する。また、車間設定情報などを車間制御コントローラ31に出力する。
目標車速設定部51は、運転者が設定した設定車速及び現在の車速から目標車速を算出し、算出した目標車速を車速サーボ部53に出力する。
上記目標車速設定部51は、始動時CL2スリップ判定部51A、増加側目標車速変化率算出部51B、目標車速設定本体部51Cを備える。
始動時CL2スリップ判定部51Aは、第2クラッチのエンジン始動時におけるスリップ締結状態を判定する処理部である。
始動時CL2スリップ判定部51Aは、所定サンプリング周期で起動し、先ず、ステップS300で、エンジン始動要求が有るか否かを判定する。エンジン始動要求が有るか否かは、エンジン始動フラグがONか否かで判定する。始動要求が有る場合にはステップS310に移行する。エンジン始動要求が無い場合にはステップS320に移行する。
ステップS310では、始動フェーズに1を設定する。また、始動時CL2スリップ判定をONに設定してステップS330に移行する。
ステップS320では、始動フェーズとして前回値を保持して、ステップS330に移行する。
ステップS340では、始動フェーズとして2を設定してステップS360に移行する。
ステップS350では、始動フェーズとして前回値を保持して、ステップS360に移行する。
ステップS360では、第2クラッチ5の収束判定を行う。第2クラッチ5を滑り締結状態から完全締結のためのロックアップ状態に移行した場合には、第2クラッチが収束したと判定する。収束したと判定した場合にはステップS370に移行する。一方、収束したと判定しない場合には、ステップS380に移行する。
ステップS380では、始動フェーズとして前回値を保持して、ステップS390に移行する。
ステップS390では、エンジン始動シーケンスが終了したか判定する。すなわち、第2クラッチ5の滑り締結状態が終了してHEVモードに移行したか判定する。条件を満足する場合にはステップS400に移行する。条件を満足しない場合にはステップS410に移行する。
ステップS400では、始動フェーズとして4を設定して、復帰する。
ステップS410では、始動フェーズとして前回値を保持して、復帰する。
また、増加側目標車速変化率算出部51Bは、目標車速を増加する際における目標車速の増加率を、車速偏差に基づき算出する。なお、本実施形態では、目標車速の減少率は一定の場合とする。エンジン停止シーケンス時に目標車速の減少率を変更するなどしても良い。
増加側目標車速変化率算出部51Bでは、まずステップS500で、目標車速偏差を、下記式に基づき算出する。
目標車速偏差 = 目標車速 −実車速
次に、ステップS510にて、始動時CL2スリップ判定部51Aで設定した、始動時CL2スリップ判定がONか否かを判定する。始動時CL2スリップ判定がONの場合にはステップS520に移行する。一方、始動時CL2スリップ判定がOFFの場合にはステップS550に移行する。始動時CL2スリップ判定がONの場合の場合には、エンジン始動シーケンス中である。エンジン始動フラグによって判定しても良い。
ステップS530では、増加側目標車速変化率に予め決定されている設定値3を設定する。その後、復帰する。
ステップS540では、増加側目標車速変化率に予め決定されている設定値2を設定する。その後、復帰する。
ステップS550では、増加側目標車速変化率に予め決定されている設定値1を設定する。その後、復帰する。
ここで、設定値1,設定値2,設定値3は、次の大小関係に設定されている。
設定値1 > 設定値2 > 設定値3
また、目標車速設定本体部51Cは、現在の車両状態に基づき目標車速を求める。
目標車速設定本体部51Cは、先ずステップS600では、加速要求があるか否かを判定する。加速要求がある場合にはステップS610に移行する。加速要求がない場合にはステップS620に移行する。
ここで、ステアリングスイッチには、上述のように加速要求指示子である加速SWが存在し、加速した場合には運転者が上記加速SWを操作することで設定車速が大きくなる。この加速SWが操作されることで増大した設定車速と、目標車速とが比較されて、設定車速が目標車速よりも大きい場合には加速要求があると判定する。
目標車速ベース値 =目標車速ベース値(前回値) + 目標車速変化率
ステップS620では、今回の目標車速ベース値として前回値を設定し、ステップS630に移行する。
ステップS630では、目標車速の増加側のレートリミット処理を行う。ステップS630では、まず、下記式によって、今回の目標車速を算出する。
目標車速 =目標車速(前回値) +増加側目標車速変化率
また、ステップS640では、目標車速の減少側のレートリミット処理を行う。ステップS640では、まず、下記式によって、今回の目標車速を算出する。
目標車速 =目標車速(前回値) − 減少側目標車速変化率
減少側目標車速変化率は予め設定した正の値である。
次に、算出した目標車速と、上記目標車速ベース値との高い方を目標車速とする。その後、復帰する。
また、車速サーボ部53は、車速サーボ処理(車速フィードバック制御処理)を実施して、車速サーボ要求トルクを求める。
車速サーボ部53は、まずステップS700では、下記式のように、目標車速設定本体部51Cで算出した目標車速から実車速を減算することで、車速サーボ用の目標車速偏差を求める。
目標車速偏差 =目標車速 −実車速
次に、ステップS710では、車速変化量から実加速度算出する。この情報は加速算出部52から入力する。
次に、ステップS730では、加速度指令値からその加速度指令値を実現するための要求駆動力を算出する。
次に、ステップS740では、求めた要求駆動力に基づく要求トルクを算出する。この要求トルクをクルーズ要求トルクとする。
第1目標駆動トルク演算部21Dcは、ドライバ要求トルク演算部21Daが演算したドライバ要求トルクと、自動制御要求トルク演算部21Dbが演算した自動制御要求トルクのセレクトハイを実施して、大きい方を第1目標駆動トルクとして選択して出力する。
最終目標駆動トルク演算部21Deは、第1目標駆動トルク演算部21Dcが出力する第1目標駆動トルクと、車速リミッタトルク演算部21Ddが演算した車速リミッタトルクとのセレクトローを実施する。すなわち、第1目標駆動トルクを車速リミッタトルクで制限して、目標駆動トルクを求める。
本実施形態における車両状態モード決定部21Eは、図13に示すように、エンジン始動停止判定処理部21Ea及びモード遷移処理部21Ebを備える。
まずステップS10では、目標駆動トルク(クルーズ要求トルク)が、予め設定したエンジン始動判定値以上か否かを判定する。エンジン始動判定値以上の場合にはステップS30に移行する。エンジン始動判定値未満の場合にはステップS20に移行する。
ステップS20では、目標駆動トルク(クルーズ要求トルク)が、予め設定したエンジン停止判定値未満か否かを判定する。エンジン停止判定値未満の場合にはステップS40に移行する。エンジン停止判定値以上の場合にはステップS50に移行する。
ここで、エンジン停止判定値は、図14に示すように、エンジン始動判定値よりも小さい値とする。
ステップS40では、トルク要求エンジン始動要求を「OFF」に設定してステップS100に移行する。
ステップS50では、トルク要求エンジン始動要求として前回値を保持して、ステップS100に移行する。
ステップS100では、オートクルーズの制御中か否かを判定する。クルーズ制御中の場合にはステップS110に移行する。クルーズ制御中でない場合にはステップS140に移行する。
ステップS120では、クルーズエンジン始動要求をONにしてステップS200に移行する。
ステップS130では、クルーズエンジン始動要求をOFFにしてステップS200に移行する。
ステップS140では、クルーズエンジン始動要求をOFFにしてステップS200に移行する。
(1)アクセル開度APOによる始動要求を満足する
(2)システムによる始動要求を満足するか否かを判定する。
(3)クルーズエンジン始動要求がON
アクセル開度APOによる始動要求は、現在のアクセル開度APOが予め設定した始動アクセル開度以上の場合に満足する。始動アクセル開度APOは、車速に応じて変更されても良い。
クルーズエンジン始動要求がONとは、クルーズエンジン始動要求がONの場合である。
ステップS210では、エンジン始動要求をONにしてステップS250に移行する。その後、復帰する。
ステップS220では、エンジン始動要求をOFFにしてステップS250に移行する。その後、復帰する。
エンジン始動制御部21Fは、エンジン始動フラグがONの場合に作動して、モータ走行中にエンジン1を始動する処理を実施してHEVモードへの移行処理を行う。
エンジン始動制御部21Fは、モータ走行中にエンジン始動指令(エンジン始動フラグがON)を取得すると起動する。
まず第2クラッチ5を目標クラッチ伝達トルクで滑り締結するための目標第2クラッチトルク指令を、ATコントローラ24に出力する。上記目標第2クラッチ伝達トルク指令TCL2は、エンジン始動処理前の出力トルク相当のトルクを伝達可能な伝達トルク指令であって、モータ2が出力する駆動トルクを増大したとしても出力軸トルクに影響を与えない範囲とする。ここで、ATコントローラ24は、指令に応じたクラッチ油圧が発生するように第2クラッチ油圧ユニットを制御する。このとき、第2クラッチ5は滑り締結状態となる。
エンジン停止制御部21Gは、エンジン停止指令(エンジン停止フラグがON)を取得すると起動し、HEVモードからEVモードへの移行処理を行う。
なお、図3におけるVAPO演算21Lは、クルーズ要求トルクから逆算して対応する推定アクセル開度を演算して、演算した推定アクセル開度を変速用アクセル開度としてATコントローラ24に出力する。
自動走行であるオートクルーズ走行の制御中でない場合には、アクセル開度APOに基づくドライバ要求トルクを目標駆動トルクとして、駆動源であるエンジン1及びモータ2の少なくとも一方の出力が制御される。そして、例えば、アクセルが踏み込まれて車両が所定車速以上となるなど、エンジン始動条件を満足すると、エンジン1が始動されて、HEVモードでの走行状態となり、また、例えばアクセルが踏み戻されて、エンジン停止条件を満足すると、エンジン1が停止されてEVモードに移行する。
この場合には、目標駆動トルク(自動制御要求トルク)がエンジン始動判定値以上となるとHEVモードに移行し、逆に目標駆動トルク(自動制御要求トルク)がエンジン停止判定値未満となるとEVモードに移行する。このとき、図15に示すように、エンジン停止判定値よりもエンジン始動判定値を大きくすることで、不感帯を設けてハンチングし難くする。
ここで、EVモード状態で且つ設定車速となるように定速クルーズ走行となっている場合に、図17に示すように、運転者のステアリングスイッチの操作によって加速指示がなされたとする。この加速指示によって設定車速が上昇し、上昇した設定車速に向けて所定の車速変化率で目標車速が上昇する。目標車速の上昇によってクルーズ要求トルク(目標駆動トルク)が上昇することでエンジン始動要求がONとなると、HEVモードに移行するためのエンジン始動シーケンスが実施される。
この際、第2クラッチ5の滑り締結中に車速のサーボ制御により加速度指令値は必要以上に増加してしまっている為、実駆動トルクが出始めた段階で目標車速を超過してしまう程の加速をしてしまう。
そして、目標車速に対する実車速超過分を車速サーボでフィードバックされることで、 目標車速と実車速が安定するまで加速度指令値、クルーズ要求トルクがふらつき、それに伴い実加速度もふらついてしまう、という現象が発生する。
エンジン始動のために第2クラッチ5が滑り締結中に、目標車速と実車速の偏差が予め設定した閾値以上となった場合には、目標車速の増加率を抑える。つまり目標加速度を切り替えて、実車速が追従できるまで待つ。
すなわち、エンジン始動のために第2クラッチ5が滑り締結中は、実車速に対する目標車速の偏差が予め設定した閾値以内に抑えることで、車速サーボでも必要以上の過大な加速度指令を行わずに抑えられる。そして、始動フェーズが進み、第2クラッチ5のロックアップにより伝達トルクが増加したとき、実車速が上昇し始めても、適切な加速度指令値によって、実加速度の変動が小さく抑えられ、目標車速に対する実車速のオーバーシュートを小さく抑える事が出来る。
図19のように、第2クラッチ5の完全締結指令時点では、目標車速と実車速に偏差が生じている。このため、車速サーボゲイン切替時、加速度指令値が急変し、 実加速度が過大となり、目標車速を実車速がオーバーシュートしてしまう。
また図20に、本実施形態を適用した場合であって、エンジン始動シーケンスの処理の途中で、第2クラッチ5を滑り締結状態から完全締結状態に移行した場合のタイムチャート例を示す。
ここで、車両状態モード決定部21E、目標エンジントルク算出部21H、目標モータトルク算出部21J、目標クラッチトルク算出部21K、エンジン始動制御部21F、エンジン停止制御部21Gは、駆動制御部を構成する。
(1)自動制御要求トルク演算部は、実車速を目標車速に調整するための自動制御要求トルクを算出する。駆動制御部は、上記自動制御要求トルクに基づき上記駆動源の出力を制御する。エンジン始動制御部は、エンジン始動条件を満足したと判定すると、第2クラッチを滑り締結状態にして、エンジン始動のための駆動力をモータからエンジンに出力する。
そして、第2クラッチが上記滑り締結状態と判定すると、目標車速が実車速よりも大きい場合、当該目標車速と実車速と偏差速度に応じて目標車速の増加率を変更し、上記偏差速度が大きい場合、当該偏差速度が小さい場合に比べて、上記増加率を小さく抑える。
これによって、上記クラッチの滑り締結中における目標車速と実車速の車速偏差の蓄積を低減することで、上記クラッチの滑り締結終了後における加速度急変を抑制する。この結果、運転者に与える違和感を抑えることが可能となる。
2 モータ
4 第1クラッチ
5 第2クラッチ
7 駆動輪
9 バッテリ
21 統合コントローラ
21A 要求発電トルク演算部
21B 要求エンジントルク演算部
21C モータ出力可能トルク演算部
21D 目標駆動トルク演算部
21Da ドライバ要求トルク演算部
21Db 自動制御要求トルク演算部
21Dc 第1目標駆動トルク演算部
21Dd 車速リミッタトルク演算部
21De 最終目標駆動トルク演算部
21E 車両状態モード決定部
21Ea エンジン始動停止判定処理部
21Eb モード遷移処理部
21F エンジン始動制御部
21G エンジン停止制御部
21H 目標エンジントルク算出部
21J 目標モータトルク算出部
21K 目標クラッチトルク算出部
50 入力処理許可判定部
51 目標車速設定部
51A スリップ判定部
51B 増加側目標車速変化率算出部
51C 目標車速設定本体部
52 加速算出部
53 車速サーボ部
54 選択部
Claims (1)
- 駆動源としてエンジン及びモータを備え、エンジンから駆動輪へのトルク伝達経路の途中にモータが介装すると共に、上記トルク伝達経路における、モータと駆動輪との間にクラッチを介装するハイブリッド車両の走行を制御する車両用走行制御装置であって、
実車速を目標車速に調整するための自動制御要求トルクを算出する自動制御要求トルク演算部と、
上記自動制御要求トルクに基づき上記駆動源の出力を制御する駆動制御部と、
エンジン始動条件を満足したと判定すると、上記クラッチを滑り締結状態にして、エンジン始動のための駆動力をモータからエンジンに出力するエンジン始動制御部と、を備え、
上記自動制御要求トルク演算部は、上記クラッチが上記滑り締結状態と判定すると、上記目標車速が実車速よりも大きい場合、上記目標車速の増加率を、上記目標車速と実車速との偏差速度が予め設定した偏差判定値以下の場合には上記クラッチが締結状態のときの増加率よりも小さい第1の増加率とし、上記偏差速度が上記偏差判定値よりも大きい場合には上記第1の増加率よりも小さい第2の増加率とする目標車速設定部を備えることを特徴とする車両用走行制御装置。
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