JP5644360B2 - 車両用走行制御装置及び車両用走行制御方法 - Google Patents
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Description
本発明は、上記のような点に着目したもので、ハイブリッド車両の定速走行制御時に、運転者に煩雑なエンジン始動停止という印象を与えないことを目的としている。
図1は実施形態に係るハイブリッド車両の概要構成図である。図1に示すハイブリッド車両は後輪駆動の例であるが、前輪駆動であっても本発明は適用可能である。
(駆動系の構成)
まず駆動系(パワートレーン)の構成について説明する。
本実施形態のパワートレーンは、図1に示すように、エンジン1と、モータジェネレータ2と、自動変速機(オートマチックトランスミッション(AT))3と、第1クラッチ4と、第2クラッチ5と、ディファレンシャルギア6と、左後輪(駆動輪)7Lと、右後輪(駆動輪)7Rと、を備える。
パワートレーンは、更に、エンジン回転センサ10と、MG回転センサ11と、AT入力回転センサ12と、AT出力回転センサ13と、電動サブオイルポンプ14と、機械式オイルポンプ15と、を備える。
エンジン1は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンである。エンジン1は、後述するエンジンコントローラ22からの制御指令に基づき、スロットルバルブのバルブ開度等が制御可能となっている。なお、エンジン1の出力軸に、フライホイールが設けられていても良い。
ここで、本実施形態では、第2クラッチ5を自動変速機3の一部として構成する場合を例示しているが、これに限定されない。第2クラッチ5は、モータジェネレータ2と自動変速機3との間、若しくは自動変速機3とディファレンシャルギア6との間に配置する構成であっても良い。
エンジン回転センサ10は、エンジン1の回転数を検出するセンサである。
MG回転センサ11は、レゾルバ等から構成されモータジェネレータ2のモータ回転数を検出するセンサである。
AT出力回転センサ13は、自動変速機3の出力軸の回転数を検出するセンサである。
電動サブオイルポンプ14は、第1クラッチ4のための油圧を発生するポンプである。
機械式オイルポンプ15は、第2クラッチ5のための油圧を発生するポンプである。
第1クラッチ油圧ユニットは、例えば、印加電流に応じてバルブ(プランジャ)のストローク位置を変化させ、バルブ部の開口面積等を変えてオイルの流量を制御する比例制御型のアクチュエータである。第1クラッチ油圧ユニットは、後述するATコントローラ24からの指令信号(制御電流)に応じてストローク制御され、第1クラッチ4に供給する油圧を制御する。
また、パワートレーンは、第1クラッチ4に供給される油圧を検出する第1クラッチ油圧センサを有する。第1クラッチ油圧センサは、検出した油圧情報を、ATコントローラ24に出力する。
また、パワートレーンは、第2クラッチ5に供給される油圧を検出する第2クラッチ油圧センサを有する。第2クラッチ油圧センサは、検出した油圧情報を、ATコントローラ24に出力する。
次に、ハイブリッド車両の制御系の構成について説明する。
図2は、ハイブリッド車両の制御系を説明する構成図である。
ハイブリッド車両の制御系は、図2に示すように、インバータ8と、バッテリ9と、電圧センサ18と、電流センサ19と、APOセンサ(アクセルセンサ)20と、車輪速センサ27L,27Rと、ブレーキスイッチ(SW)29と、アクセルペダル33と、ペダルアクチュエータ34と、メータ35と、を備える。
インバータ8は、高電圧インバータであって、バッテリ9からの直流電流を交流電流に変換し、モータジェネレータ2の駆動電流を生成する。更に、インバータ8は、モータジェネレータ2からの交流電流を直流電流に変換し、バッテリ9の充電電流を生成する。
バッテリ9は、モータジェネレータ2にインバータ8を介して電力を供給し、また、モータジェネレータ2からの回生エネルギーを、インバータ8を介して蓄積する高電圧バッテリである。
電流センサ19は、バッテリ9の電流を検出するセンサである。電流センサ19は、検出した電流情報をバッテリコントローラ26に出力する。
アクセルセンサ20は、アクセルペダル33のアクセル開度APOを検出するセンサである。アクセルセンサ20は、検出したアクセル開度APO情報を統合コントローラ21に出力する。
車輪速センサ27Rは、車輪の回転速度に応じた周波数あるいは回転周期を示すパルス信号を発生するセンサであって、右駆動輪7Rの回転速度を検出する。車輪速センサ27Rは、検出した右駆動輪7Rの車輪速情報をブレーキコントローラ25に出力する。
なお、車輪速センサ27L,27Rは、図1に示すように、左右駆動輪(後輪)7L,7Rの車輪速を検出するようにそれぞれ設けたが、不図示の左右従動輪(前輪)にも設けてもよい。
ブレーキスイッチ29は、ブレーキペダル(不図示)の操作を検出するスイッチである。
アクセルペダル33は、運転者によって踏み込み操作され、アクセル開度APOを、踏み込み量に応じて予め設定されている大きさに可変する。
ペダルアクチュエータ34は、車間制御コントローラ31からの指令に応じたペダル反力をアクセルペダル33に付与するアクチュエータである。
図2に示すように、ハイブリッド車両の制御系は、更に、統合コントローラ21と、エンジンコントローラ22と、モータコントローラ23と、ATコントローラ24と、ブレーキコントローラ25と、バッテリコントローラ26と、を備える。
統合コントローラ21と、エンジンコントローラ22と、モータコントローラ23と、ATコントローラ24と、ブレーキコントローラ25とは、互いに情報交換が可能なCAN通信線(不図示)を介して接続する。
統合コントローラ21は、車両全体の消費エネルギーを管理し、最高効率で車両を走らせるための機能を担うものである。
モータコントローラ23は、モータジェネレータ2のロータ回転位置を検出するMG回転センサ11からの情報を入力する。そして、モータコントローラ23は、統合コントローラ21からの目標モータトルクや回転数指令等に応じ、モータジェネレータ2のモータ動作点(Nm、Tm)を制御する指令をインバータ8へ出力する。
ハイブリッド車両の制御系は、更に、ステアリングスイッチ(SW)28と、クルーズキャンセルスイッチ(SW)30と、車間制御コントローラ31と、レーダユニット32と、を備える。
ステアリングスイッチ28は、自動走行制御であるオートクルーズ走行の起動や走行条件(目標車速)の変更指示を運転者が行う操作子である。ここで、本実施形態のオートクルーズ走行は、定速走行制御(定速クルーズ)及び車間制御(車間クルーズ)の両方を含む。
レーダユニット32は、車両前方の先行車両を検出し、検出した先行車両情報を車間制御コントローラ31に出力する。
次に、本実施形態のハイブリッド車両における基本動作モードについて説明する。
車両停止中において、バッテリSOCの低下時であれば、エンジン1を始動して発電を行い、バッテリ9を充電する。そして、バッテリSOCが通常範囲になれば、第1クラッチ4は締結で第2クラッチ5は開放のままでエンジン1を停止する。
エンジン1による発進時には、アクセル開度APOとバッテリSOC状態によって、モータジェネレータ2を連れ回し、力行/発電に切り替える。
ブレーキON減速時には、運転者のブレーキ操作に応じた減速力を回生協調ブレーキ制御にて得る。
エンジン走行やモータ走行中における変速時には、加減速中の変速に伴う回転数合わせのために、モータジェネレータ2を回生/力行させ、トルクコンバータ無しでのスムーズな変速を行う。
次に、統合コントローラ21にて実行する制駆動制御処理における、本発明に関わる部分について説明する。
統合コントローラ21は、図4に示すように、要求発電トルク演算部21Aと、要求エンジン発電トルク演算部21Bと、モータ出力可能トルク演算部21Cと、目標駆動トルク演算部21Dと、車両状態モード決定部21Eと、エンジン始動制御部21Fと、エンジン停止制御部21Gと、目標エンジントルク算出部21Hと、目標モータトルク算出部21Jと、目標クラッチトルク算出部21Kと、を備える。
要求エンジン発電トルク演算部21Bは、車速などの走行状態や要求発電トルク演算部21Aが演算した要求発電トルク等に基づき、エンジン1で発生すべき要求エンジン発電トルクを演算する。
モータ出力可能トルク演算部21Cは、バッテリコントローラ26からのSOCなどのバッテリ情報や、車速などに基づき、モータジェネレータ2が出力可能なモータ出力可能トルクを演算する。
本実施形態の目標駆動トルク演算部21Dは、図5に示すように、ドライバ要求トルク演算部21Daと、自動制御要求トルク演算部21Dbと、第1目標駆動トルク演算部21Dcと、車速リミッタトルク演算部21Ddと、最終目標駆動トルク演算部21Deと、を備える。
車速リミッタトルク演算部21Ddは、ステアリングスイッチ28によって設定される設定車速及び現在の車速に基づき、上限の車速以下とするための車速リミッタトルクを演算する。
最終目標駆動トルク演算部21Deは、第1目標駆動トルク演算部21Dcが出力する第1目標駆動トルクと、車速リミッタトルク演算部21Ddが演算した車速リミッタトルクとのセレクトローを実施する。すなわち、第1目標駆動トルクを車速リミッタトルクで制限して、目標駆動トルクを求める。
・アクセル開度APOが予め設定したエンジン停止開度以下
・自動制御要求トルク(目標駆動トルク)が予め設定したエンジン停止トルク以下
但し、システム要求による停止禁止要求がある場合には、エンジン始動要求フラグをONとする。システム要求による停止禁止要求とは、例えばSOCが予め設定した値(SOC始動判定値)以下に低下している場合、水温が予め設定した温度以下の場合、モータジェネレータ2の許容回転数以上の車速などの場合である。また、本実施形態では、上記(1)のSOC停止判定値によるエンジン停止禁止要求や、上記(2)のエンジン停止タイマ判定値によるエンジン停止禁止要求がある場合には、エンジン始動要求フラグをONとする。
エンジン始動制御部21Fは、エンジン始動要求フラグがONの場合に作動して、モータ走行中にエンジン1を始動する処理を実施してHEVモードへの移行処理を行う。
エンジン停止制御部21Gは、エンジン停止指令(エンジン始動要求フラグがOFF)を取得すると起動し、エンジン走行から、エンジンを停止してモータジェネレータ2を駆動するEVモードへの移行処理を行う。
次に、本実施形態のハイブリッド車両におけるオートクルーズ走行時(クルーズ制御時)の状態遷移モード制御について説明する。
本実施形態において、車両状態モード決定部21E、エンジン始動制御部21F及びエンジン停止制御部21Gは、クルーズ制御時において、以下の(1)〜(3)の状態遷移モード制御を実施する。
(1)エンジン1の始動後は、バッテリ9のSOCが、設定したクルーズ制御時のSOC停止判定値(通常制御時の停止判定値よりも大きい値に設定)以上となるまでエンジン1の停止(EVモードへの移行)を禁止する。
(3)エンジン1の始動後は、モータジェネレータ2のみで減速時の回生(コースト回生)が可能な状況において、エンジン1を停止する(EVモードへ移行する)。このエンジン1を停止するモード制御は、上記(1)のSOC停止判定値によるエンジンの停止禁止のモード制御や、上記(2)のエンジン停止タイマ判定値によるエンジンの停止禁止のモード制御よりも優先する。
本実施形態では、エンジン始動要求フラグのON・OFFの判定に、運転者のアクセルペダル33の踏み込み操作によるエンジン始動要求の有無、システム要求によるエンジン始動要求の有無、上記(1)〜(2)のクルーズ制御におけるエンジン始動要求の有無、上記(3)のエンジン停止要求の有無による判定を行う。
次に、図7に基づき、車両状態モード決定部21E、エンジン始動制御部21F及びエンジン停止制御部21Gにおいて行われる状態遷移モード制御処理の具体的な処理手順について説明する。
ここで、図7は、状態遷移モード制御処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
統合コントローラ21においてプログラムが起動し、状態遷移モード制御処理が開始されると、図7に示すように、まず、ステップS100に移行する。
ステップS100では、車両状態モード決定部21Eにおいて、トルク要求エンジン始動要求フラグ設定処理を実行して、トルク要求エンジン始動要求フラグを設定して、ステップS102に移行する。
ステップS102では、車両状態モード決定部21Eにおいて、SOCエンジン始動要求フラグ設定処理を実行して、SOCエンジン始動要求フラグを設定して、ステップS104に移行する。
ステップS104では、車両状態モード決定部21Eにおいて、エンジン運転タイマエンジン始動要求フラグ設定処理を実行して、エンジン運転タイマエンジン始動要求フラグを設定して、ステップS106に移行する。
ステップS106では、車両状態モード決定部21Eにおいて、エンジン即停止判定フラグ設定処理を実行して、エンジン即停止判定フラグを設定して、ステップS108に移行する。
クルーズエンジン始動要求フラグ設定処理は、上記トルク要求エンジン始動要求フラグ、SOCエンジン始動要求フラグ、EDTエンジン始動要求フラグ及びエンジン即停止判定フラグに基づき、クルーズ制御時において、エンジンを停止するか始動するかのいずれかを判定するフラグであるクルーズエンジン始動要求フラグを設定する処理である。
ステップS116では、エンジン始動要求フラグがONの場合に、エンジン始動制御部21Fにおいて、エンジン始動処理を実行してエンジンを運転状態とし、一連の処理を終了して、元の処理に復帰する。
一方、ステップS116では、エンジン始動要求フラグがOFFの場合に、エンジン停止制御部21Gにおいて、エンジンコントローラ22に対してエンジン停止指令を出力してエンジンを停止状態とし、一連の処理を終了して、元の処理に復帰する。
次に、図8及び図9に基づき、上記ステップS100のトルク要求エンジン始動要求フラグ設定処理の処理手順について説明する。
ここで、図8は、トルク要求エンジン始動要求フラグ設定処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。また、図9は、自動制御要求トルクとエンジン始動要求フラグとの対応関係の一例を示すタイムチャートである。
上記ステップS100において、トルク要求エンジン始動要求フラグの設定処理が実行されると、図8に示すように、まず、ステップS200に移行する。
ステップS202では、車両状態モード決定部21Eにおいて、ステップS200で取得した自動制御要求トルクが、予め設定されたトルク始動判定値以上か否かを判定する。そして、トルク始動判定値以上であると判定した場合(Yes)は、ステップS204に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS206に移行する。
一方、ステップS206に移行した場合は、車両状態モード決定部21Eにおいて、ステップS200で取得した自動制御要求トルクが、トルク停止判定値未満であるか否かを判定する。そして、トルク停止判定値未満であると判定した場合(Yes)は、ステップS208に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS210に移行する。
一方、ステップS210に移行した場合は、車両状態モード決定部21Eにおいて、トルク要求エンジン始動要求フラグを前回値に保持して、一連の処理を終了し、元の処理に復帰する。
ここで、トルク始動判定値は、自動制御要求トルクが、エンジン1を始動する必要のあるトルクか否かを判定するための値である。また、トルク停止判定値は、自動制御要求トルクが、エンジン1を停止することが可能なトルクか否かを判定するための値である。
なお、上記トルク要求エンジン始動要求フラグの設定情報は、統合コントローラ21の内部メモリなどに記憶保持される。
次に、図10〜図12に基づき、上記ステップS102のSOCエンジン始動要求フラグ設定処理の処理手順について説明する。
ここで、図10は、SOCエンジン始動要求フラグ設定処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。また、図11は、充電電力とEV走行可能距離と車速との対応関係の一例を示す図である。また、図12は、SOCとSOCエンジン始動要求フラグとの対応関係の一例を示すタイムチャートである。
上記ステップS102において、トルク要求エンジン始動要求フラグの設定処理が実行されると、図10に示すように、まず、ステップS300に移行する。
ステップS302では、車両状態モード決定部21Eにおいて、SOC始動判定値を設定して、ステップS304に移行する。
ここで、SOC始動判定値は、バッテリ9の充電に、エンジン1による発電が必要か否かを判定するための値である。
ステップS304では、車両状態モード決定部21Eにおいて、ステップS300で取得した車速情報に基づき、車速に応じたエンジン停止許可ΔSOCを設定して、ステップS306に移行する。
ここで、クルーズ時SOC停止判定値は、SOC始動判定値に、エンジン停止許可ΔSOCを加算することによって求める。つまり、クルーズ時SOC停止判定値は、クルーズ制御時において、バッテリ9の充電量が、EV走行によって、クルーズ時SOC停止判定値からSOC始動判定値へと消費(低減)されるまでに、上記予め設定した所定距離を走行することが可能な充電量である。本実施形態において、クルーズ時SOC停止判定値は、クルーズ制御を実施していない通常の走行制御時におけるSOC停止判定値よりも大きな値に設定する。
ステップS310に移行した場合は、車両状態モード決定部21Eにおいて、ステップS300で取得したSOCが、SOC始動判定値未満か否かを判定する。そして、取得したSOCが、SOC始動判定値未満であると判定した場合(Yes)は、ステップS312に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS314に移行する。
一方、ステップS314に移行した場合は、車両状態モード決定部21Eにおいて、ステップS300で取得したSOCがクルーズ時SOC停止判定値以上か否かを判定する。そして、取得したSOCが、クルーズ時SOC停止判定値以上であると判定した場合(Yes)は、ステップS316に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS318に移行する。
一方、ステップS318に移行した場合は、車両状態モード決定部21Eにおいて、SOCエンジン始動要求フラグを前回値のまま保持して、一連の処理を終了し、元の処理に復帰する。
また、ステップS308において、クルーズ制御中ではないと判定されステップS320に移行した場合は、車両状態モード決定部21Eにおいて、SOCエンジン始動要求フラグをOFFに設定して、一連の処理を終了し、元の処理に復帰する。
なお、上記SOCエンジン始動要求フラグの設定情報は、統合コントローラ21の内部メモリなどに記憶保持される。
次に、図13に基づき、上記ステップS104のエンジン運転タイマエンジン始動要求フラグ設定処理の処理手順について説明する。
ここで、図13は、エンジン運転タイマエンジン始動要求フラグ設定処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
上記ステップS104において、EDTエンジン始動要求フラグの設定処理が実行されると、図13に示すように、まず、ステップS400に移行する。
ステップS400では、車両状態モード決定部21Eにおいて、クルーズ制御中、かつエンジン1が運転状態か否かを判定し、クルーズ制御中、かつ運転状態であると判定した場合(Yes)は、ステップS402に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS420に移行する。
ここで、EDTエンジン始動要求フラグ設定処理が、例えば、t[ms]周期で繰り返し実行されるとする。これにより、EDCの値が例えばαのX倍の値になった場合に、X×t[ms]の時間を計測していることと等価となる。つまり、エンジン運転カウンタ変数EDCの値は、計測開始(カウント開始)時からのエンジン1の運転継続時間と等価となる。
ステップS406に移行した場合は、車両状態モード決定部21Eにおいて、エンジン運転カウンタ変数EDCの値をMAX値(例えば、変数に設定可能な最大値)に設定して、ステップS408に移行する。
ステップS408では、車両状態モード決定部21Eにおいて、ATコントローラ24からのギア段(変速比)の情報(例えば、1速〜7速)を取得し、取得したギア段の大きさに応じて異なる値のエンジン停止タイマ判定値を設定して、ステップS410に移行する。
具体的に、エンジン停止タイマ判定値は、所定量のSOCを充電できる時間を目安に設定する他、官能評価によって運転者がエンジン始動・停止のサイクルをビジーと感じない程度の時間に設定する。例えば、エンジン停止タイマ判定値は、先述したエンジン停止許可ΔSOCの充電量を充電するまでにかかる時間に設定することが可能である。
ステップS410では、車両状態モード決定部21Eにおいて、下記条件(a)〜(c)が全て成立したか否かを判定し、成立したと判定した場合(Yes)は、ステップS412に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS414に移行する。
(a)クルーズ制御中
(b)車両状態モード=エンジン運転中
(c)EDC<エンジン停止タイマ判定値
ここで、クルーズ制御中とは、自動走行制御が起動している状態のことを指す。また、「車両状態モード=エンジン運転中」とは、エンジン1のみが運転中の状態、エンジン1とモータジェネレータ2の双方が運転中の状態のいずれの状態も指す。
つまり、クルーズ制御中であり、エンジンが運転中であり、更に、エンジン運転カウンタ変数EDCの値がエンジン停止タイマ判定値よりも小さい場合に、EDTエンジン始動要求フラグをONに設定する。
ここで、EDTエンジン始動要求フラグは、ONに設定した場合に、エンジン1の始動を要求する状態を示し、OFFに設定した場合に、エンジン1の停止を要求する状態を示すフラグである。
なお、上記EDTエンジン始動要求フラグの設定情報は、統合コントローラ21の内部メモリなどに記憶保持される。
(d)クルーズ解除
(e)車両状態モード=EVモード
(f)EDC≧エンジン停止タイマ判定値
ここで、クルーズ解除とは、自動走行制御が解除されている状態のことを指す。
つまり、クルーズ制御が解除されている状態か、EVモードで走行中の状態か、エンジン運転カウンタ変数EDCの値がエンジン停止タイマ判定値以上の状態のいずれか1が成立している場合は、EDTエンジン始動要求フラグをOFFに設定する。
一方、ステップS418に移行した場合は、車両状態モード決定部21Eにおいて、EDTエンジン始動要求フラグを前回値に設定して、一連の処理を終了し、元の処理に復帰する。
一方、ステップS400において、クルーズ制御中、かつエンジン運転状態ではなくてステップS420に移行した場合は、車両状態モード決定部21Eにおいて、エンジン運転カウンタ変数EDCの値を「0」に設定して、ステップS404に移行する。
この場合は、必ずEDCの値がエンジン停止タイマ判定値よりも小さくなり、以降のステップS410からステップS414へと移行する。
次に、図14に基づき、上記ステップS106のエンジン即停止判定フラグ設定処理の処理手順について説明する。
ここで、図14は、エンジン即停止判定フラグ設定処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
上記ステップS106において、エンジン即停止判定フラグ設定処理が実行されると、図14に示すように、まず、ステップS500に移行する。
ステップS500では、車両状態モード決定部21Eにおいて、目標駆動トルク演算部21Dからの自動制御要求トルク(ACC要求トルク又はクルーズ要求トルク)を取得して、ステップS502に移行する。
ステップS504に移行した場合は、車両状態モード決定部21Eにおいて、ブレーキコントローラ25からの車速情報に基づき、ACC用の回生継続タイマ判定値を設定して、ステップS506に移行する。
ステップS506では、車両状態モード決定部21Eにおいて、ACC制御用の回生判定トルク判定値と、MG回生継続解除判定値とを設定して、ステップS512に移行する。
また、MG回生継続解除判定値は、MGCCの値が回生継続が不可能な値となっているか否かを判定する値であり、例えば、回生継続タイマ判定値が「5」である場合に、この値よりも小さい「0〜1」などの値が設定される。
また、ステップS502において、ACC制御中ではないと判定されステップS508に移行した場合は、車両状態モード決定部21Eにおいて、ブレーキコントローラ25からの車速情報に基づき、ASCD制御用の回生継続タイマ判定値を設定して、ステップS510に移行する。
ステップS510では、車両状態モード決定部21Eにおいて、ASCD制御用の回生判定トルク判定値と、MG回生継続解除判定値とを設定して、ステップS512に移行する。
ASCD制御用の回生判定トルク判定値は、バッテリ9の充電(回生)に、エンジン1の運転が必要か否かを判定するための値である。
MG回生継続カウンタ変数MGCCは、エンジン1を停止後もモータジェネレータ2だけでコースト回生が可能か(バッテリ9を充電することが可能か)否かを判定するための値である。
つまり、「自動制御要求トルク≦回生判定トルク判定値」の場合に上記ステップS516でMGCCの値を増加させ、「自動制御要求トルク>回生判定トルク判定値」の場合に上記ステップS518でMGCCの値を減少させる。これにより、例えば、走行路の勾配が細かく変化する場合などの自動制御要求トルクの細かい変化を吸収する。
(g)MGCC>回生継続タイマ判定値
(h)SOC>クルーズ時SOC停止判定値
具体的に、車両状態モード決定部21Eは、MGCCと回生継続タイマ判定値とを比較し、バッテリコントローラ26からのSOCと、クルーズ時SOC停止判定値とを比較する。そして、MGCCが回生継続タイマ判定値より大きく、かつSOCがクルーズ時SOC停止判定値よりも大きいと判定した場合(Yes)は、ステップS522に移行する。一方、MGCCが回生継続タイマ判定値以下か、又はSOCがクルーズ時SOC停止判定値以下の少なくとも一方が成立した場合(No)は、ステップS524に移行する。
ここで、エンジン即停止判定フラグは、ONに設定した場合に、エンジン1の停止を要求する状態を示し、OFFに設定した場合に、エンジン1の停止を要求しない状態を示すフラグである。
なお、上記エンジン即停止判定フラグの設定情報は、統合コントローラ21の内部メモリなどに記憶保持される。
(i)MGCC≦MG回生継続解除判定値
(j)SOC≦SOC始動判定値
MG回生継続解除判定値は、MGCCの値が回生継続不可能な値となっているか否かを判定する値であり、例えば、回生継続タイマ判定値が「5」である場合に、この値よりもずっと小さい「0〜1」などの値が設定される。
一方、ステップS528に移行した場合は、車両状態モード決定部21Eにおいて、エンジン即停止判定フラグを前回値のまま保持して、一連の処理を終了し、元の処理に復帰する。
ステップS532では、車両状態モード決定部21Eにおいて、エンジン即停止判定フラグをOFFに設定して、一連の処理を終了し、元の処理に復帰する。
つまり、クルーズ制御が行われていない場合に、エンジン即停止判定フラグをOFFに設定する。
例えば、上記ステップS524における条件(j)のSOC始動判定値が40%で、上記条件(g)が成立時のSOCを41%とする。この場合に、上記条件(g)の成立のみでエンジン即停止判定フラグをONに設定すると、上記条件(g)の成立でエンジン1を停止後に、わずかΔ1%のSOC低下によって、上記条件(j)が成立して、エンジン1が始動してしまう。従って、一度エンジン1を停止した後も所定時間のEV走行が継続できるように、SOCにヒステリシスを設ける為に、上記条件(h)の成立を判定している。
例えば、下り勾配が継続するならば、エンジン1を停止後もコースト回生によりSOCは増加を続けるが、路面勾配によっては必ずしもSOCが増加するとは限らず、放電してSOCが低下する可能性もある。そのため、上記条件(h)の成立判定を追加している。
次に、図15に基づき、上記ステップS108のクルーズエンジン始動要求フラグ設定処理の処理手順について説明する。
ここで、図15は、クルーズエンジン始動要求フラグ設定処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
上記ステップS108において、クルーズエンジン始動要求フラグ設定処理が実行されると、図15に示すように、まず、ステップS600に移行する。
ステップS600では、車両状態モード決定部21Eにおいて、クルーズ制御中であるか否かを判定し、クルーズ制御中であると判定した場合(Yes)は、ステップS602に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS620に移行する。
ステップS604に移行した場合は、車両状態モード決定部21Eにおいて、クルーズエンジン始動要求フラグをONに設定して、一連の処理を終了し、元の処理に復帰する。
一方、ステップS606に移行した場合は、車両状態モード決定部21Eにおいて、エンジン即停止判定フラグがONに設定されているか否かを判定する。そして、エンジン即停止判定フラグがONに設定されていると判定した場合(Yes)は、ステップS608に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS610に移行する。
また、ステップS610に移行した場合は、車両状態モード決定部21Eにおいて、SOCエンジン始動要求フラグがONに設定されているか否か、又はEDTエンジン始動要求フラグがONに設定されているか否かを判定する。そして、SOCエンジン始動要求フラグがONに設定されている、又はEDTエンジン始動要求フラグがONに設定されていると判定した場合(Yes)は、ステップS612に移行する。一方、SOCエンジン始動要求フラグ及びEDTエンジン始動要求フラグが共にOFFに設定されていると判定した場合(No)は、ステップS614に移行する。
一方、ステップS614に移行した場合は、車両状態モード決定部21Eにおいて、他の要件によるエンジン始動要求があるか否かを判定し、エンジン始動要求があると判定した場合(Yes)は、ステップS616に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS618に移行する。
また、ステップS618に移行した場合は、車両状態モード決定部21Eにおいて、クルーズエンジン始動要求フラグをOFFに設定して、一連の処理を終了し、元の処理に復帰する。
また、ステップS600において、クルーズ制御中では無いと判定されステップS620に移行した場合は、車両状態モード決定部21Eにおいて、クルーズエンジン始動要求フラグをOFFに設定して、一連の処理を終了し、元の処理に復帰する。
このようにして設定されたクルーズエンジン始動要求フラグは、上記ステップS110の判定処理において、クルーズ制御によるエンジン始動要求として用いられる。
次に、図16〜図18に基づき、本実施形態の動作を説明する。
ここで、図16は、定速走行制御中における、SOC、エンジン停止タイマ判定値、エンジン運転カウンタ、EDTエンジン始動要求フラグ、SOCエンジン始動要求フラグ及びエンジン始動要求フラグの各対応関係の第1の例を示すタイムチャートである。また、図17は、定速走行制御中における、SOC、エンジン停止タイマ判定値、エンジン運転カウンタ、EDTエンジン始動要求フラグ、SOCエンジン始動要求フラグ及びエンジン始動要求フラグの各対応関係の第2の例を示すタイムチャートである。また、図18は、車速、勾配、自動制御要求トルク、コーストトルク,MG回生トルク、SOC及びエンジン即停止判定フラグの各対応関係の一例を示すタイムチャートである。
トルク要求エンジン始動要求フラグ設定処理が実行されると、車両状態モード決定部21Eは、自動制御要求トルク演算部21Dbからの自動制御要求トルクを取得し、取得した自動制御要求トルクとトルク始動判定値とを比較する(ステップS200〜S202)。
次に、SOCエンジン始動要求フラグ設定処理が実行され(ステップS102)、車両状態モード決定部21Eは、まず、バッテリコントローラ26からのSOCと、ブレーキコントローラ25からの車速情報を取得する(ステップS300)。
次に、車両状態モード決定部21Eは、現在クルーズ制御中であると判定すると(ステップS308の「Yes」)、バッテリコントローラ26から取得したSOCと、設定したSOC始動判定値とを比較する。
次に、EDTエンジン始動要求フラグ設定処理が実行され(ステップS104)、車両状態モード決定部21Eは、まず、クルーズ制御中で、かつエンジン1が運転中か否かを判定する(ステップS400)。ここでは、エンジン1が停止中であるので(ステップS400の「No」)、車両状態モード決定部21Eは、エンジン運転カウンタ変数EDCを「0」に設定する(ステップS420)。
ここで、エンジン運転カウンタ変数EDCは「0」となっているので、以降の判定処理において「EDC≧エンジン停止タイマ判定値」の条件が成立する(ステップS410の「No」及びステップS414の「Yes」)。従って、車両状態モード決定部21Eは、EDCエンジン始動要求フラグをOFFに設定し、元の処理に復帰する(ステップS416)。
従って、車両状態モード決定部21Eは、エンジン即停止判定フラグをOFFに設定して、元の処理に復帰する(ステップS526)。
現在、トルク要求エンジン始動要求フラグはOFFに設定されているので(ステップS600の「No」)、車両状態モード決定部21Eは、次に、エンジン即停止判定フラグがONであるか否かを判定する(ステップS606)。
現在、SOCエンジン始動要求フラグがON、EDTエンジン始動要求フラグがOFFであるので(ステップS610の「Yes」)、車両状態モード決定部21Eは、クルーズエンジン始動要求フラグをONに設定して、元の処理に復帰する(ステップS612)。
次に、エンジン始動要求フラグがONであることから、エンジン始動制御部21Fにおいて、エンジン1を始動させる状態遷移モード制御が実行される(ステップS116)。
このように、かかるハイブリッド車両が、勾配0の平坦路を定速走行制御により速度一定で走行しているときに、エンジン1が始動すると、図16中(1)に示すように、エンジン1の運転による発電によってバッテリ9のSOCが上昇する。また、定速走行制御中において、自動制御要求トルクは、図16に示すように、トルク停止判定値より小さい値で一定となっている。つまり、トルク要求エンジン始動要求フラグが常にOFFの状態となっている。
これにより、図16中(2)に示すように、EDTエンジン始動要求フラグがONに設定される(ステップS412の「Yes」)。
引き続きエンジン運転カウンタが上昇して、エンジン停止タイマ判定値以上になると(ステップS414「Yes」)、図16中(4)に示すように、EDTエンジン始動要求フラグがOFFに設定される(ステップS416)。
そして、エンジン始動要求フラグがOFFであることから、エンジン停止制御部21Gにおいて、エンジン1を停止させる状態遷移モード制御が実行される(ステップS116)。
ここで、エンジン停止タイマ判定値を、例えば、現在の車速における通常の発電量においてエンジン停止許可ΔSOCの充電量が充電されるまでにかかる時間に設定したとする。この場合に、上記図16に示す第1の例のような状況は、発電量が制限されるなどして、バッテリ9の充電速度が通常時より遅い場合などに発生する。
従って、上記のようにEDTエンジン始動要求フラグが先にOFFとなる状況が発生しても、エンジン1の始動後は、SOCが、クルーズ時SOC停止判定値以上に充電されるまでは、SOCエンジン始動要求フラグをONに保持して、エンジン1の運転を継続することができる。
また、定速走行制御中において、エンジン1が始動することによって(ステップS400の「Yes」)、エンジン運転カウンタ変数EDCの値を増加する(カウントアップする)処理が実行される(ステップS402)。更に、「クルーズ制御中」、「エンジン運転中」、及び「エンジン運転カウンタ変数EDC<エンジン停止タイマ判定値」という条件が全て成立する(ステップS410の「Yes」)。これにより、図17中(1)に示すように、EDTエンジン始動要求フラグがONに設定される(ステップS412の「Yes」)。
従って、トルク要求エンジン始動要求フラグがOFF、SOCエンジン始動要求フラグがOFF、エンジン即停止判定フラグがOFFの状態となる。
そして、EDTエンジン始動要求フラグがONに設定されることによって、図17中の(2)に示すように、エンジン始動要求フラグがONとなる。
その後、EDTエンジン始動要求フラグ設定処理が実行される毎に、エンジン運転カウンタ変数EDCの値が定数αずつ加算されて(ステップS402)、図17中(3)に示すように、エンジン運転カウンタ(EDCの値)が上昇する。
これにより、クルーズエンジン始動要求フラグがOFFに設定され(ステップS618)、次いで、アクセル操作や、システム要求等が無い場合(ステップS110の「No」)に、エンジン始動要求フラグがOFFに設定される(ステップS114)。
一方、かかるハイブリッド車両が、クルーズ制御によって、ステアリングスイッチ28の操作によって設定された目標速度で、平坦路を速度一定で走行しているとする。
このとき、エンジン即停止判定フラグ設定処理においては、自動制御要求トルクと、回生判定トルク判定値とを比較する処理が実行される。ここで、ACC制御中であれば、自動制御要求トルクは、ACC要求トルクとなるので、ACC制御用の回生判定トルク判定値と比較を行う(ステップS514)。一方、ACC制御中でなく、ASCD制御中であれば、自動制御要求トルクは、クルーズ要求トルクとなるので、ASCD制御用の回生判定トルク判定値と比較を行う(ステップS514)。
引き続き、自動制御要求トルクが回生判定トルク判定値よりも小さい状態が続き、MG回生継続カウンタMGCCの値が増加していくと、「MG回生継続カウンタMGCC>回生継続タイマ判定値」が成立する。
そして、MG回生継続カウンタ変数MGCCの値が増加して、「MG回生継続カウンタ変数MGCC>回生継続タイマ判定値」の条件が成立する。更に、エンジンフリクションを受けた状態でSOCが増加し、現在のSOCが、クルーズ時SOC停止判定値より大きくなると、「SOC>クルーズ時SOC停止判定値」の条件も成立する(ステップS520の「Yes」)。
例えば、路面勾配の状況などによっては、エンジン1を停止した場合に、トータルすると充電よりも放電の方が大きくなり、モータジェネレータ2による回生だけではSOCの充電量がかえって減少してしまうような状況が発生する。
これにより、エンジン停止制御部21Gによって、エンジン1が停止され、MG回生トルクは、図18中(6)に示すように、エンジンフリクションで損失していた分が増加する。これにより、図18中(7)に示すように、対策前のSOC上昇線(点線部)と比較して、対策後のSOC上昇線(実線部)はSOCの上昇率が向上している。
例えば、自動制御要求トルクのばらつきが激しいような路面状況の場合は、自動制御要求トルクが回生判定トルク判定値より大きくなったり小さくなったりするサイクルが繰り返されることになる。本実施形態では、このような状況において、自動制御要求トルクが回生判定トルク判定値よりも大きくなったからといって、すぐにMG回生継続カウンタMGCCの値を0にクリアすることをせずに、一定値γだけ減少させることで、エンジン1を停止後に、すぐにエンジン1を始動しないようにしている。
ここで、モータジェネレータ2は、「モータ」及び「発電手段」に対応し、インバータ8は、「充電手段」に対応する。
また、ステアリングスイッチ28は、「目標速度設定手段」に対応し、自動制御要求トルク演算部21Dbは、「定速走行制御用トルク演算手段」に対応し、車間制御コントローラ31は、「車間制御用トルク演算手段」に対応する。
また、ACC要求トルクを目標駆動トルクとした場合の、目標エンジントルク算出部21H、目標モータトルク算出部21J、目標クラッチトルク算出部21K、推定アクセル開度演算部21Lは、「車間制御手段」に対応する。
また、上記ステップS400〜S402は、「運転時間計測手段」に対応し、上記ステップS508〜S512は、「回生継続時間計測手段」に対応する。
また、クルーズ時SOC停止判定値は、「定速走行制御用の停止許可充電量」に対応し、エンジン運転カウンタ変数EDCの設定値は、「運転時間」に対応し、SOC始動判定値は、「エンジンの始動の基準となる下限の充電量」に対応する。
また、MG回生継続カウンタ変数MGCCの設定値は、「回生継続時間」に対応し、回生継続タイマ判定値は、「回生継続判定時間」に対応する。
(1)目標速度設定手段は、クルーズ制御時の目標速度を設定する。定速走行制御用トルク算出手段は、ハイブリッド車両の走行速度を、設定した目標速度で維持するために、駆動源(エンジン及びモータ)に要求する駆動トルクである定速走行制御用の要求駆動トルクを算出する。判定手段は、定速走行制御用の要求駆動トルクに基づき、エンジンを始動するか又は停止するかのいずれかを判定する。定速走行制御手段は、判定手段の判定結果と定速走行制御用の要求駆動トルクとに基づき、駆動源の駆動を制御して、ハイブリッド車両の走行速度を目標速度で維持するように自動調整する制御である定速走行制御を行う。充電量算出手段は、バッテリの充電量を算出する。制御手段は、定速走行制御を実施しているときに、エンジンの始動後において、バッテリが、設定した定速走行制御用の停止許可充電量に充電されるまでの間は、エンジンの停止を禁止する制御を行う。
これによって、定速走行制御中において、エンジン始動停止の回数を減らすことができ、頻繁なエンジンの始動・停止が行われるのを防ぐことができるので、運転者に煩雑なエンジン始動停止という印象を与えないという効果が得られる。
これによって、定常走行(定速走行)条件下において、エンジンを停止した状態のモータ走行によって、定速走行制御用の停止許可充電量で規定される距離を走りきることができ、EV領域の広さを印象づけることができるという効果が得られる。
ハイブリッド車両の走行速度によって、所望の距離を走行するのに必要な充電量は変わってくる。従って、走行速度が大きければ大きいほど、停止許可充電量を大きくするようにしたので、モータ走行によって、所望の距離を走りきることができる充電量をより確実に確保することができるという効果が得られる。
つまり、定速走行制御中において、要求駆動トルクの増加等によって、エンジンが始動すると、設定した停止許可時間となるまでの間は、エンジンを停止させないようにすることができる。
これによって、定速走行制御中において、例えば微小な勾配変化があっても、頻繁なエンジンの始動・停止が行われるのを防ぐことができるので、運転者に煩雑なエンジン始動停止という印象を与えないという効果が得られる。
これにより、定速走行制御中において、より確実に、エンジン始動停止の回数を減らすことができ、エンジンの頻繁な始動・停止が行われるのを防ぐことができるので、運転者に煩雑なエンジン始動停止という印象を与えないという効果が得られる。
これによって、定常走行(定速走行)条件下において、エンジンを停止した状態のモータ走行によって、停止許可時間による充電量で規定される距離を走りきることができ、EV領域の広さを印象づけることができるという効果が得られる。
これにより、走行速度が速くなるほど停止許可時間を短くすることができる。
例えば、停止許可時間を、バッテリがエンジンの始動の基準となる下限の充電量から定速走行制御用の停止許可充電量まで充電するのに要する時間に設定した場合に、車速に応じて変化する発電量に応じて最適な値を設定することができるという効果が得られる。
これにより、モータ回転トルクによるコースト回生が可能な領域において、エンジンを停止することができるので、エンジンフリクションによって減少するモータ回転トルクの割合を増加することができ、バッテリの充電効率を向上することができるという効果が得られる。
これによって、回生が継続的に実行できる状態であると判定してから、エンジンを停止する制御を実行することができるので、バッテリの充電効率を向上することができる。
これにより、モータによるコースト回生が可能な領域において、エンジンを停止することができるので、エンジンフリクションによって減少するモータ回生トルクの割合を増加することができ、バッテリの充電効率を向上することができるという効果が得られる。
これによって、コースト回生が継続的に実行できる状態であることを判定してから、エンジンを停止する制御を実行することができるので、バッテリの充電効率をより向上することができる。
定速走行制御用の要求駆動トルクと、車間制御用の要求駆動トルクとは、コースト回生が見込まれる減速時などにおいて使い方が異なる。従って、定速走行制御時と、車間制御時とにおいて、減速時の回生継続時間が異なってくる。そのため、回生継続判定時間を、定速走行制御時と車間制御時とにおいてそれぞれ異なる時間に設定する。
これにより、定速走行制御時と、車間制御時とにおいて、コースト回生が継続的に実行できる状態を精度良く判定することができるので、バッテリの充電効率をより向上することができる。
これにより、モータと発電手段の一体化による部品の共通化、省スペース化などが実現できるので、モータと発電手段とを別々に備える構成と比較して、コストを低減することができるという効果が得られる。
(13)ハイブリッド車両の走行速度を、設定した目標速度で維持するように自動調整する制御である定速走行制御を行っているときに、エンジンの始動後において、モータの駆動源であるバッテリが、設定した定速走行制御用の停止許可充電量に充電されるまでの間は、エンジンの停止を禁止する制御を行う。
これにより、定速走行制御中において、エンジン始動停止の回数を減らすことができ、頻繁なエンジンの始動・停止が行われるのを防ぐことができるので、運転者に煩雑なエンジン始動停止という印象を与えないという効果が得られる。
上記実施形態において、定速走行制御用の停止許可充電量(クルーズ時SOC停止判定値)を用いたエンジン停止の禁止制御と、停止許可時間(エンジン停止タイマ判定値)を用いたエンジン停止の禁止制御を組み合わせて実施する構成を説明したが、この構成に限らない。いずれか一方を実施する構成としてもよい。
例えば、クルーズ時SOC停止判定値を用いた禁止制御のみを実施した場合に、エンジンが始動後は、バッテリ9が、設定したクルーズ時SOC停止判定値に充電されるまでの間は、エンジン1を停止させないようにすることができる。
これによって、定速走行制御中において、エンジン始動停止の回数を減らすことができ、頻繁なエンジンの始動・停止が行われるのを防ぐことができるので、運転者に煩雑なエンジン始動停止という印象を与えないという効果が得られる。
これによって、定速走行制御中において、エンジン始動停止の回数を減らすことができ、頻繁なエンジンの始動・停止が行われるのを防ぐことができるので、運転者に煩雑なエンジン始動停止という印象を与えない。
例えば、第1の発電機能を備える発電機を別途備える構成や、モータと発電機の機能とを完全に分けて、例えば、第1の発電機能を備える第1の発電機及び第2の発電機能を備える第2の発電機をそれぞれ別々に備える構成や、第1及び第2の発電機能を備える発電機を別途備える構成などとしてもよい。
また、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
2 モータジェネレータ
4 第1クラッチ
5 第2クラッチ
7 駆動輪
20 アクセルセンサ
21 統合コントローラ
21A 要求発電トルク演算部
21B 要求エンジントルク演算部
21C モータ出力可能トルク演算部
21D 目標駆動トルク演算部
21Da ドライバ要求トルク演算部
21Db 自動制御要求トルク演算部
21Dc 第1目標駆動トルク演算部
21Dd 車速リミッタトルク演算部
21De 最終目標駆動トルク演算部
21E 車両状態モード決定部
21Ea エンジン始動判定処理部
21Eb エンジン停止判定処理部
21F エンジン始動制御部
21G エンジン停止制御部
21H 目標エンジントルク算出部
21J 目標モータトルク算出部
21K 目標クラッチトルク算出部
21L VAPO演算
22 エンジンコントローラ
23 モータコントローラ
24 ATコントローラ
25 ブレーキコントローラ
26 バッテリコントローラ
28 ステアリングスイッチ
30 クルーズキャンセルスイッチ
31 車間制御コントローラ
Claims (13)
- 駆動輪に駆動力を伝達する駆動源としてエンジン及びモータと、前記エンジンの駆動によって発生するエンジン回転トルクを電気エネルギーに変換して発電する発電手段と、前記モータに電力を供給するバッテリと、前記発電手段で発電した電力によって前記バッテリを充電する充電手段とを備えるハイブリッド車両の走行を制御する車両用走行制御装置であって、
目標速度を設定する目標速度設定手段と、
前記ハイブリッド車両の走行速度を前記目標速度で維持するために、前記駆動源に要求する駆動トルクである定速走行制御用の要求駆動トルクを算出する定速走行制御用トルク算出手段と、
前記定速走行制御用の要求駆動トルクに基づき、前記エンジンを始動するか又は停止するかのいずれかを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果と前記定速走行制御用の要求駆動トルクとに基づき、前記エンジン及びモータの駆動を制御して、前記ハイブリッド車両の走行速度を前記目標速度で維持するように自動調整する制御である定速走行制御を行う定速走行制御手段と、
前記バッテリの充電量を算出する充電量算出手段と、
前記定速走行制御を実施しているときに、前記エンジンの始動後において、前記バッテリが、通常走行時の停止許可充電量よりも大きい定速走行制御用の停止許可充電量に充電されるまでの間は、前記エンジンの停止を禁止する制御を行う制御手段と、を備えることを特徴とする車両用走行制御装置。 - 前記定速走行制御用の停止許可充電量は、前記エンジンを停止後の前記モータを駆動源とした走行において、設定した距離を前記ハイブリッド車両が走行するのに必要な充電量以上の値に設定することを特徴とする請求項1に記載の車両用走行制御装置。
- 前記定速走行制御用の停止許可充電量は、前記ハイブリッド車両の走行速度の大きさに応じてそれぞれ異なる充電量であって、前記走行速度が大きいほど大きくなる充電量を設定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用走行制御装置。
- 前記エンジンの運転時間を計測する運転時間計測手段を備え、
前記制御手段は、前記エンジンの始動後において、前記バッテリが、前記定速走行制御用の停止許可充電量以上に充電され、且つ前記運転時間が、設定した停止許可時間以上となるまでの間は、前記エンジンの停止を禁止する制御を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の車両用走行制御装置。 - 前記停止許可時間は、前記バッテリが前記エンジンの始動の基準となる下限の充電量から前記定速走行制御用の停止許可充電量まで充電するのに要する時間を設定することを特徴とする請求項4に記載の車両用走行制御装置。
- 前記停止許可時間は、前記ハイブリッド車両の備える変速機の変速比の大きさに応じてそれぞれ異なる時間であって、変速比が小さいほど短くなる時間を設定することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の車両用走行制御装置。
- 前記モータが、前記発電手段を構成することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の車両用走行制御装置。
- 前記発電手段は、前記モータの回生ブレーキによって発生するモータ回転トルクを電気エネルギーに変換して発電する機能を有し、
前記制御手段は、前記定速走行制御を実施しているときに、前記エンジンの始動後において、前記回生ブレーキによる発電によって前記バッテリを充電することが可能な減速走行状態にあるときは、前記エンジンの停止を禁止する制御に優先して、前記エンジンを停止する制御を行うことを特徴とする請求項7に記載の車両用走行制御装置。 - 前記モータ回転トルクによる発電によって前記バッテリの充電を継続可能な時間である回生継続時間を計測する回生継続時間計測手段を備え、
前記制御手段は、前記定速走行制御を実施しているときに、前記定速走行制御用の要求駆動トルクが、設定した、前記回生ブレーキによる発電によって前記バッテリの充電が可能なトルクか否かを判定するための回生判定トルク判定値以下であると判定し、かつ前記回生継続時間が、設定した、前記回生ブレーキの発電による充電状態が継続しているか否かを判定するための回生継続判定時間よりも長いと判定したときに、前記エンジンの停止を禁止する制御に優先して、前記エンジンを停止する制御を行うことを特徴とする請求項8に記載の車両用走行制御装置。 - 先行車両との車間距離を、設定した目標車間距離で維持するように自動調整するために前記駆動源に要求するトルクである車間制御用の要求駆動トルクを算出する車間制御用トルク算出手段と、
前記車間制御用の要求駆動トルクに基づき、前記エンジンを始動するか又は停止するかのいずれかを判定する第2判定手段と、
前記第2判定手段の判定結果と前記車間制御用の要求駆動トルクとに基づき、前記エンジン及びモータの駆動を制御して、先行車両との車間距離を、設定した目標車間距離で維持するように自動調整する制御である車間制御を行う車間制御手段と、を備え、
前記定速走行制御と前記車間制御とが同時に作動した場合に、前記車間制御を、前記定速走行制御よりも優先して実施するようになっており、
前記制御手段は、前記車間制御を実施しているときに、前記エンジンの始動後において、前記エンジンを停止しても前記回生ブレーキによる発電によって前記バッテリを充電することが可能な減速走行状態にあるときは、前記エンジンの停止を禁止する制御に優先して、前記エンジンを停止する制御を行うことを特徴とする請求項8に記載の車両用走行制御装置。 - 前記モータ回転トルクによる発電によって前記バッテリの充電を継続可能な時間である回生継続時間を計測する回生継続時間計測手段を備え、
前記制御手段は、前記定速走行制御を実施しているときに、前記定速走行制御用の要求駆動トルクが、設定した、前記回生ブレーキによる発電によって前記バッテリの充電が可能なトルクか否かを判定するための回生判定トルク判定値以下であると判定し、かつ前記回生継続時間が、設定した、前記回生ブレーキの発電による充電状態が継続しているか否かを判定するための回生継続判定時間よりも長いと判定したときに、前記エンジンの停止を禁止する制御に優先して、前記エンジンを停止する制御を行い、
前記制御手段は、前記車間制御を実施しているときに、前記車間制御用の要求駆動トルクが、設定した前記回生判定トルク判定値以下であると判定し、かつ前記回生継続時間が、設定した前記回生継続判定時間よりも長いと判定したときに、前記エンジンの停止を禁止する制御に優先して、前記エンジンを停止する制御を行うことを特徴とする請求項10に記載の車両用走行制御装置。 - 前記回生継続判定時間は、前記定速走行制御時と前記車間制御時とにおいてそれぞれ異なる時間を設定することを特徴とする請求項11に記載の車両用走行制御装置。
- 駆動輪に駆動力を伝達する駆動源としてエンジン及びモータと、前記エンジンの駆動によって発生するエンジン回転トルクを電気エネルギーに変換して発電する発電手段とを備えるハイブリッド車両の走行を制御する車両用走行制御方法であって、
前記ハイブリッド車両の走行速度を、設定した目標速度で維持するように自動調整する制御である定速走行制御を行っているときに、前記エンジンの始動後において、前記モータの駆動源であるバッテリが、通常時の走行制御時の停止許可充電量よりも大きい定速走行制御用の停止許可充電量に充電されるまでの間は、前記エンジンの停止を禁止する制御を行うことを特徴とする車両用走行制御方法。
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