JP2010149712A - ハイブリッド車両の駆動制御装置および駆動制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】モータ走行中にエンジン始動要求があったときは、第2クラッチCL2を制御する前に、第1クラッチCL1のクラッチ板が、開放状態である第1のスタンバイ位置Aから滑り締結状態である第2のスタンバイ位置Bまで移行するように第1クラッチCL1を制御する。
【選択図】 図3
Description
このようにモータ走行からエンジン走行に切り替えるに際しては、エンジン再始動のためにクランキング負荷による駆動力の低下によって大きな減速感(減速ショック)が生じる。
本発明は、このような課題に解決するために案出されたものであり、その目的はエンジンを締結するクラッチを意図したスタンバイ位置にできる新規なハイブリッド車両の駆動制御装置および駆動制御方法を提供するものである。
この駆動制御装置は、モータ駆動によるモータ走行中にアクセル操作を検出してエンジン始動を判定するエンジン始動要求判定手段と、この始動要求判定手段による判定に基づいてクラッチを制御するクラッチ制御手段とを備える。
クラッチ制御手段は、モータ走行中に前記エンジン始動要求判定手段がエンジンの始動要求があるか否かを判定する。
そして、エンジンの始動要求があったと判定したときは、第1クラッチのクラッチ板が、開放状態である第1のスタンバイ位置から滑り締結状態である第2のスタンバイ位置まで移行するように第1クラッチを制御する。
この制御は、第2クラッチを制御する前に完了する。
このため、第1クラッチを締結する際のクラッチ板のストローク距離が短くなって第1クラッチの応答時間を短縮することができる。
これによって、エンジンの始動時間が短縮して応答性が向上するため、モータ走行からエンジン走行へスムーズに移行できる。
以下、本発明のハイブリッド車両の駆動制御装置の第1の実施形態を添付図面を参照しながら説明する。
(構成)
先ず、本発明の駆動制御装置を適用する一般的なハイブリッド車両の駆動系構成を説明する。
図1は、本発明の駆動制御装置200を適用した後輪駆動によるハイブリッド車両100を示す全体システム図である。
図1に示すように、このハイブリッド車両100は、エンジンEと、フライホイールFWと、モータジェネレータMGと、第1クラッチCL1と、第2クラッチCL2と、自動変速機AT(=トランスミッションT/M)とを有する。さらに、このハイブリッド車両100は、プロペラシャフトPSと、ディファレンシャルDFと、左ドライブシャフトDSLと、右ドライブシャフトDSRと、左後輪RL(駆動輪)と、右後輪RR(駆動輪)と、左前輪FLと、右前輪FRとを有する。
モータジェネレータMGは、ロータに永久磁石を埋設しステータにステータコイルが巻き付けられた同期型モータジェネレータなどからなる。そして、このモータジェネレータMGは、後述するモータコントローラ2からの制御指令に基づいてインバータ3により作り出された三相交流を印加することにより制御する。このモータジェネレータMGは、バッテリ4からの電力の供給を受けて回転駆動する電動機として動作することもできる。また、ロータが外力により回転している場合には、ステータコイルの両端に起電力を生じさせる発電機として機能してバッテリ4を充電することもできる(回生)。なお、このモータジェネレータMGのロータは、図外のダンパーを介して自動変速機ATの入力軸に連結する。
自動変速機ATは、例えば前進5速後退1速や前進6速後退1速等の有段階の変速比を車速やアクセル開度などに応じて自動的に切り換える変速機である。そして、前記第2クラッチCL2は、専用クラッチとして新たに追加したものではなく、自動変速機ATの各変速段にて締結される複数の摩擦締結要素のうちいくつかの摩擦締結要素を流用している。この自動変速機ATの出力軸は、プロペラシャフトPS、ディファレンシャルDF、左ドライブシャフトDSL、右ドライブシャフトDSRを介して左右後輪RL,RRに連結している。
この駆動制御装置200は、図1に示すようにエンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、インバータ3と、バッテリ4と、第1クラッチコントローラ5と、第1クラッチ油圧ユニット6と、ATコントローラ7とを備える。さらに、この駆動制御装置200は、第2クラッチ油圧ユニット8と、ブレーキコントローラ9と、統合コントローラ10とを有する。なお、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、第1クラッチコントローラ5と、ATコントローラ7と、ブレーキコントローラ9と、統合コントローラ10とは、互いに情報交換が可能なCAN通信線11を介して接続する。
次に、このような駆動制御装置200を備えたハイブリッド車両100の基本動作について主に図2を参照しながら説明する。
先ず、図2(a)に示すように車両停止中において、バッテリSOC(State Of Charge)が低い状態であれば、図2(f)に示すようにエンジンEを始動して発電を行い、バッテリ4を充電する。そして、バッテリSOCが通常範囲になれば、第1クラッチCL1は開放で第2クラッチCL2を締結してエンジンEを停止する。
次に、図2(b)に示すように車両発進から加速時には、第1クラッチCL1は開放で第2クラッチCL2は締結のままモータジェネレータMGを駆動して駆動輪RR、RLを駆動する(モータ走行)。
このモータ走行からエンジン走行への切り替えは、図2(c)に示すように第2クラッチCL2を締結状態から滑り締結状態(半クラッチ)に制御してから第1クラッチCL1を締結することによって行う。これによって、モータジェネレータMGの駆動力がエンジンEに伝わると共に、エンジン始動で消費されたモータトルク減少による減速ショックを緩和することができる。
そして、図2(e)に示すように車両減速時には、第1クラッチCL1のみを開放状態にしてその減速エネルギーでモータジェネレータMGを駆動して発生した電力をバッテリ4に回収する(回生)。
そして、本発明の駆動制御装置200による特徴的な駆動制御は、これら一連の駆動制御のうち、主に図2(c)で示すモータ走行中におけるエンジン再始動時のクラッチ制御に関するものである。
そして、統合コントローラ10は、前述したようにアクセル開度や車両速度などに関する入力情報に基づいてエンジン始動要求があったか否かを判定する(ステップS2)。具体的には、アクセル開度センサ16によるアクセル開度情報に基づいてアクセル踏込量を監視し、その量が所定値を超えたときにエンジン始動要求があったと判定する。
第1クラッチコントローラ5は、この第1クラッチ制御指令を受信したならば、第1クラッチ油圧ユニット6を制御する。
このクラッチ制御は、図3に示すように、第1のスタンバイ位置Aから第1クラッチCL1の図示しないクラッチ板が滑り締結状態である第2のスタンバイ位置Bまで移行するようにストローク制御する(ステップS3)。これによって、いわゆる第1クラッチCL1のガタ締めが終了する。
また、この第2のスタンバイ位置Bは、エンジンEのフリクションばらつきや滑り締結状態によるクラッチ発熱量などに基づいて設定する。
具体的には、滑りトルクがエンジンEのフリクションばらつき下限以下で、かつ滑り締結状態によるクラッチ発熱量が耐久性上許容範囲以下になるような位置を第2のスタンバイ位置Bとして設定する。
そして、第2クラッチCL2のスリップIN判定があったと判断したならば(Yes)、第1クラッチCL1を容量制御して締結してモータジェネレータMGの駆動力をエンジンEに伝達しクランキングして始動する。
なお、前記課題を解決するための手段に開示した本願発明のうち、「エンジン始動要求判定手段」は、例えば図1に示すアクセル開度センサ16と、ATコントローラ7と、統合コントローラ10などからなる構成に対応する。また、「クラッチ制御手段」は、例えば図1に示す統合コントローラ10と、第1クラッチコントローラ5と、第1クラッチ油圧ユニット6等からなる構成に対応する。また、「モータ」はモータジェネレータMGに対応する。
次に、本発明の効果を説明する。
本発明のハイブリッド車両100の駆動制御装置200にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1)本発明の駆動制御装置200は、モータ走行中にエンジンEを再始動すべく第2クラッチCL2を制御する前に、第1クラッチCL1を第1のスタンバイ位置Aから第2のスタンバイ位置Bまで移行するように第1クラッチCL1を制御する。
これによって、第1クラッチCL1を締結する際のクラッチ板のストローク距離が短くなって第1クラッチCL1の応答時間を短縮することができる。
この結果、エンジンEの始動時間が短縮(例えば40msecの短縮)してエンジン始動の応答性(レスポンス)が向上するため、モータ走行からエンジン走行へスムーズに移行することができる。
なお、この第2のスタンバイ位置Bでは、ばらつきによってはクラッチを引きずる可能性があるが極めて短時間であるため、これによる問題が生ずることはない。
これによって、クラッチ個体のばらつきおよびストローク制御ばらつきに対する寛容性を持たせることが可能となり、制御ロジックが簡単になる。
(3)本発明の駆動制御装置200は、第1のスタンバイ位置Aから第2のスタンバイ位置Bへの移行を速度リミッターを設定したスイープ状態になるように第1クラッチCL1を制御する。
これによって、第2のスタンバイ位置Bでのオーバーシュート(overshoot)を抑制してショックの発生を防止できる。
これによって、引きずりトルク過多によるクラッチ発熱摩耗、ショック発生を防止できる。
次に、図5および図6は、本発明のハイブリッド車両100の駆動制御装置200の第2の実施形態を示したものである。
(構成および作用)
本実施の形態では、図5に示すようにハイブリッド車両100にナビゲーションシステム300を備え、このナビゲーションシステム300から送られる走行経路案内情報に基づいて前述したクラッチ制御を行うものである。
すなわち、この駆動制御装置200は、このナビゲーションシステム300から送られる走行経路案内情報(NAVI情報)を解析し、その走行経路案内情報に基づいてエンジン始動要求の有無を予測する。
そのため、このようにしてエンジン始動要求の予測があったならば、その上り坂よりも所定距離手前の時点で第1クラッチCL1のクラッチ板を、第1のスタンバイ位置Aから第2のスタンバイ位置Bまで移行するように制御する。
なお、前記課題を解決するための手段に開示した本願発明のうち、「エンジン始動要求予測手段」は、例えば図1に示すATコントローラ7と、統合コントローラ10などからなる構成に対応する。
本実施の形態は、走行経路案内情報から得られる先の上り坂での要求駆動トルクが上昇し、エンジン始動が必要と判断した場合には、エンジン始動要求がある前に予め第1クラッチCL1を第1のスタンバイ位置Aから第2のスタンバイ位置Bまで移行する。
これによって、車両100が実際に上り坂に差し掛かり、ドライバーがアクセルを踏み込んだ時点で既に第1クラッチCL1のガタ締めを終了することができる。この結果、第1クラッチCL1のさらなる締結応答時間の短縮(例えば40msecの短縮)が可能となり、エンジン始動応答性を向上することができる
そして、このナビ協調制御を用いることで前方のカーブの大きさに応じて緩やかに減速し、カーブ路を出て直線路になると、再びドライバーが設定していた車速まで滑らかに加速することができる。また、前方に上り坂や下り坂の勾配がある場合は、その大きさに応じて緩やかに加減速することで、スムーズな走行を行うことができる。
MG…モータジェネレータ
CL1…第1クラッチ
CL2…第2クラッチ
AT…自動変速機
PS…プロペラシャフト
DF…ディファレンシャル
DSL…左ドライブシャフト
DSR…右ドライブシャフト
RL…左後輪(駆動輪)
RR…右後輪(駆動輪)
FL…左前輪
FR…右前輪
1…エンジンコントローラ
2…モータコントローラ
3…インバータ
4…バッテリ
5…第1クラッチコントローラ
6…第1クラッチ油圧ユニット
7…ATコントローラ
8…第2クラッチ油圧ユニット
9…ブレーキコントローラ
10…統合コントローラ
100…ハイブリッド車両
200…駆動制御装置
300…ナビゲーションシステム
Claims (6)
- エンジンとモータとの間に第1クラッチを介装すると共に、前記モータと駆動輪との間に第2クラッチを介装してハイブリッド駆動系を構成し、前記モータ駆動によるモータ走行中にアクセル操作を検出してエンジン始動を判定するエンジン始動要求判定手段と、当該エンジン始動要求判定手段による判定に基づいて前記クラッチを制御するクラッチ制御手段とを備えたハイブリッド車両の駆動制御装置であって、
前記クラッチ制御手段は、前記モータ走行中に前記エンジン始動要求判定手段が前記エンジンの始動要求があったと判定したときは、前記第2クラッチを制御する前に、前記第1クラッチのクラッチ板が、開放状態である第1のスタンバイ位置から滑り締結状態である第2のスタンバイ位置まで移行するように前記第1クラッチを制御することを特徴とするハイブリッド車両の駆動制御装置。 - 請求項1に記載のハイブリッド車両の駆動制御装置において、
前記クラッチ制御手段は、前記第2のスタンバイ位置での滑りトルクが、前記エンジンのフリクションばらつき下限以下で、かつ当該滑り締結状態によるクラッチ発熱量が耐久性上許容範囲以下になるように前記第1クラッチを制御することを特徴とするハイブリッド車両の駆動制御装置。 - 請求項1または2に記載のハイブリッド車両の駆動制御装置において、
前記クラッチ制御手段は、前記第1のスタンバイ位置から第2のスタンバイ位置への移行を速度リミッターを設定したスイープ状態になるように前記第1クラッチを制御することを特徴とするハイブリッド車両の駆動制御装置。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の駆動制御装置において、
前記クラッチ制御手段は、前記第1のスタンバイ位置から第2のスタンバイ位置への移行時の前記モータの回転の落ち込みまたはクランク角変化に基づいて前記第2のスタンバイ位置での過大クラッチ引きずりトルクを検知して前記第2のスタンバイ位置を修正することを特徴とするハイブリッド車両の駆動制御装置。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の駆動制御装置において、
車両の走行経路案内情報に基づいて前記エンジン始動要求判定手段からのエンジンの始動要求を予測するエンジン始動要求予測手段を備え、
前記クラッチ制御手段は、当該エンジン始動要求予測手段によるエンジン始動要求の予測がされたときは、前記前記エンジン始動要求判定手段による前記エンジンの始動要求の判定がされる前に、前記第1クラッチのクラッチ板が、前記第1のスタンバイ位置から前記第2のスタンバイ位置まで移行するように前記第1クラッチを制御することを特徴とするハイブリッド車両の駆動制御装置。 - エンジンとモータとの間に第1クラッチを介装すると共に、前記モータと駆動輪との間に第2クラッチを介装してハイブリッド駆動系を構成し、前記モータ駆動によるモータ走行中にアクセル操作を検出してエンジン始動を判定し、当該判定に基づいて前記クラッチを制御するハイブリッド車両の駆動制御方法であって、
前記モータ走行中に前記エンジンの始動要求があったと判定したときは、前記第2クラッチを制御する前に、前記第1クラッチのクラッチ板が、開放状態である第1のスタンバイ位置から滑り締結状態である第2のスタンバイ位置まで移行するように前記第1クラッチを制御することを特徴とするハイブリッド車両の駆動制御方法。
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