JP6209131B2 - リチウム空気二次電池及びリチウム空気二次電池用正極の製造方法 - Google Patents

リチウム空気二次電池及びリチウム空気二次電池用正極の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、リチウム空気二次電池及びリチウム空気二次電池用正極の製造方法に関する。
金属空気電池は、非水電解液を用いるリチウムイオン電池を遥かに凌駕する理論エネルギー密度を有している。そのため、現在、金属空気電池について世界規模で精力的に研究が進められている。現在研究が進められている金属空気電池として、例えば、リチウム空気一次電池、亜鉛空気一次電池、亜鉛塩素一次電池、亜鉛臭素一次電池などの一次電池、リチウム空気二次電池、亜鉛空気二次電池、亜鉛塩素二次電池、亜鉛臭素二次電池などの二次電池がある。
実用化されている金属空気電池として、例えば、亜鉛空気一次電池がある。亜鉛空気一次電池は、300mAh/g程度の大きな放電容量を有することから、主に補聴器などに用いられている。しかしながら、亜鉛空気一次電池の電圧は1V程度しかないため、リチウムイオン電池のように広範な利用は難しいという問題がある。
近年、亜鉛空気電池と同様に、正極反応系として酸素の電気化学的な還元(放電)・発生(充電)を用い、負極として亜鉛に替えて金属リチウムを用い、また電解液として非水電解質を用いることによって、2〜3Vの高電圧を示すリチウム空気二次電池を作製する試みが行われている。
当該試みによると、リチウム空気二次電池は、初回放電で1000mAh/g以上の大きな放電容量を得ることができている。しかし、充電時の電圧が高いため、非水電解液の分解が起こることや、放電生成物(酸化リチウム)の析出・分解の可逆性が不十分であることなどが原因で、サイクルを繰り返すと放電容量が著しく減少するという問題を抱えている。
リチウム空気二次電池における前記問題を解決するため、リチウム空気二次電池用正極に触媒を添加することによって、電極の高活性化を行うことが試みられている。例えば、非特許文献1には、リチウム空気二次電池の正極に、白金や種々の金属酸化物を触媒として添加し、充放電試験を行った結果が報告されている。
非特許文献1によれば、触媒としてMnO2を添加した場合、初回放電容量は1000mAh/gであり、50サイクル後の容量は600mAh/gであったと報告されている。また、非特許文献1によれば、触媒としてFe23を添加した場合、初回放電容量は2700mAh/gであり、10サイクル後の容量は75mAh/gであったと報告されている。また、非特許文献1によれば、触媒としてFe34を添加した場合、初回放電容量は約1200mAh/gであり、10サイクル後の容量は800mAh/gの容量であったと報告されている。
A.Debart,J.Bao,G.Armstrong,P.G.Bruce、「An O2 cathode for rechargeable lithium batteries:The effect of a catalyst」、Journal of Power Sources、Vol.174、P.1177−1182(2007)
しかしながら、非特許文献1に記載されているリチウム空気二次電池には、充放電サイクルによる容量減少が著しいため、二次電池としての実用化には更なるサイクル特性の改善が必要であるという問題があった。
本発明は前記問題に鑑みてなされたものであり、優れたサイクル特性を有するリチウム空気二次電池及びリチウム空気二次電池用正極の製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、カーボンを含有してなり、一方の面が空気と接触し、他方の面が非水電解液と接触する正極と、金属リチウム及びリチウムイオンのうちの少なくとも一方の吸蔵及び放出が可能な物質を含んでなる負極と、を具備し、前記正極と前記負極との間に非水電解液を配置して構成されるリチウム空気二次電池であって、前記正極は、硫化マンガンと酸化マンガンとの混合物を熱処理したものを触媒として含有していることを特徴とする。
このように、本発明は硫化マンガンと酸化マンガンとの混合物を熱処理したものを触媒として含有している。この混合物は正極中で当該混合物が高度に分散した状態及び結晶化させた状態のいずれかの態様であり、高活性であるため、放電時に生成した析出物、つまり、放電生成物(酸化リチウム)の分解を促進することができる。そのため、本発明によれば、充電電圧を低下させることができ、電解液の分解を抑制することが可能となるため、優れたサイクル特性を得ることができる。
また、本発明は、前記混合物中における金属イオンのモル比が、前記硫化マンガン:前記酸化マンガンで、3:1から1:3であることを特徴とする。
このように、本発明は、混合物中における硫化マンガンと酸化マンガンとの金属イオンのモル比を適切な範囲としているため、優れたサイクル特性を確実に得ることができる。
また、前記課題を解決するため、本発明は、カーボンを含有してなり、一方の面が空気と接触し、他方の面が非水電解液と接触する正極と、金属リチウム及びリチウムイオンのうちの少なくとも一方の吸蔵及び放出が可能な物質を含んでなる負極と、を具備し、前記正極と前記負極との間に非水電解液を配置して構成されるリチウム空気二次電池に用いられる正極を製造するリチウム空気二次電池用正極の製造方法であって、硫化マンガンと酸化マンガンとを混合して混合物を得る混合工程と、前記混合物を熱処理する熱処理工程と、前記熱処理した混合物を用いて前記正極を製造する正極製造工程と、を含むことを特徴とする。
本発明は、これらの工程を行って製造しているため、硫化マンガンと酸化マンガンとの混合物を触媒として含有しているリチウム空気二次電池用正極を製造することができる。また、本発明によれば、熱処理工程で混合物を熱処理するので、正極中で当該混合物が高度に分散した状態及び結晶化させた状態のいずれかの態様とすることができる。そのため、熱処理を行って製造されたリチウム空気二次電池用正極は、優れたサイクル特性をより確実に得ることが可能となる。
また、本発明は、前記混合工程において、前記混合物中における金属イオンのモル比を、前記硫化マンガン:前記酸化マンガンで、3:1から1:3としたことを特徴とする。
このようにすると、本発明は、混合物中における硫化マンガンと酸化マンガンとの金属イオンのモル比を適切な範囲としたリチウム空気二次電池用正極を製造することができる。
また、本発明は、前記正極製造工程が、前記熱処理した混合物と、前記カーボンと、バインダーと、を揮発性溶媒中に分散させてスラリーを調製するスラリー調製工程と、前記スラリー中の揮発性溶媒を揮発させて乾燥した後、所定の形状の正極を作製する第1の正極作製工程と、を含むことを特徴とする。
本発明は、これらの工程を行って正極を製造しているため、硫化マンガンと酸化マンガンとの混合物を触媒として含有しているリチウム空気二次電池用正極を確実に製造することができる。
また、本発明は、前記正極製造工程が、前記熱処理した混合物と、前記カーボンと、バインダーと、を揮発性溶媒中に分散させてスラリーを調製するスラリー調製工程と、前記スラリーを正極集電体に塗布し、前記スラリー中の揮発性溶媒を揮発させて乾燥し、正極を作製する第2の正極作製工程と、を含むことを特徴とする。
本発明は、これらの工程を行って正極を製造しているため、硫化マンガンと酸化マンガンとの混合物を触媒として含有しているリチウム空気二次電池用正極を確実に製造することができる。
また、本発明は、前記第2の正極作製工程において、前記正極集電体への前記スラリーの塗布と乾燥を3〜5回繰り返して行うことを特徴とする。
このようにすると、本発明は、製造された正極の層間中に非水電解液と空気と正極とが接する三相界面を適度に形成させることができる。従って、本発明は、より優れたサイクル特性を有するリチウム空気二次電池用正極を製造することが可能である。
本発明によれば、優れたサイクル特性を有するリチウム空気二次電池及びリチウム空気二次電池用正極の製造方法を提供することができる。
本実施形態に係るリチウム空気二次電池の一構成例を説明する概略断面図である。 本実施形態に係るリチウム空気二次電池用正極の製造方法の内容を説明するフローチャートである。 本実施形態に係るリチウム空気二次電池用正極の製造方法における正極製造工程の一態様を説明するフローチャートである。 本実施形態に係るリチウム空気二次電池用正極の製造方法における正極製造工程の他の態様を説明するフローチャートである。 実施例に関するリチウム空気二次電池の充放電曲線である。横軸は容量(Capacity;mAh/g)を示し、縦軸は電圧(Voltage;V)を示す。同図中の(a)は、No.14に係るリチウム空気二次電池に係る充放電曲線であり、(b)は、No.22に係るリチウム空気二次電池に係る充放電曲線であり、(c)は、No.21に係るリチウム空気二次電池に係る充放電曲線である。
以下、適宜図面を参照して、本発明に係るリチウム空気二次電池及びリチウム空気二次電池用正極の製造方法の一実施形態について詳細に説明する。
[リチウム空気二次電池]
(リチウム空気二次電池の基本構成)
はじめに、図1を参照して、本実施形態に係るリチウム空気二次電池10について説明する。
図1に示すリチウム空気二次電池10は、例えば、正極接合具1、電極ケース2、正極3、セパレータ4、負極5、負極接合具6、負極支持体7、Oリング8及び負極端子9を含んで構成されている。なお、図1に示す本実施形態に係るリチウム空気二次電池10は、円柱型のセルとして構成した例を示しているがこれに限定されず、角型、ボタン型、コイン型又は扁平型などの所望の形状とすることができる。
正極接合具1、負極接合具6、負極支持体7、負極端子9は、例えば、Fe、Ni、Ti、Au又はこれらの合金などの導電性を有する材料で作製するのが好ましい。製造コストを低くしたい場合、正極接合具1、負極接合具6、負極支持体7、負極端子9は、例えば、Fe又はFe合金を用いて作製するのが好ましく、SUS(Special Use Stainless steel:特殊用途用ステンレス鋼)を用いて作製するのがより好ましい。また、高い導電性を得たい場合、正極接合具1、負極接合具6、負極支持体7、負極端子9は、例えば、Au又はAu合金を用いて作製するのが好ましい。
図1に示すように、正極接合具1、電極ケース2、負極接合具6は、円筒体又は円環体とするのが好ましい。円筒体又は円環体をなす正極接合具1及び負極接合具6の内径は、適宜設定することができるが、例えば、16mmなどとすることができる。なお、電極ケース2の内側には、正極3及びセパレータ4を固定するために、内径が小さくなる方向に延設されてなるストッパ2aを有している。具体的には、正極接合具1とストッパ2aとで正極3を固定し、負極支持体7とストッパ2aとでセパレータ4を固定している。
正極接合具1は、内側の孔部1aによって正極3と空気との接触を可能としている。
また、負極支持体7の内側には、セパレータ4と接するように負極5が配置され、さらに、この負極5に負極接合具6の一端面が接触するように配置されている。当該負極接合具6の他端面は、負極支持体7とともに負極端子9と接触している。
また、電極ケース2は、SUSなどの金属か、又はフッ素樹脂などで形成することができる。金属で電極ケース2を形成した場合は、ストッパ2aなどの正極3と接触する部分を除いて、表面全体をフッ素樹脂等でコーティングされているのが好ましい。電極ケース2の表面をフッ素樹脂等でコーティングし、絶縁処理をすることにより電池作製時における短絡を防止することができる。
セパレータ4は、正極3と負極5とが当接しないように設けられ、且つ非水電解液NEを含浸させることのできるものであるのが好ましい。具体的には、セパレータ4は、微細孔構造を有する多孔質フィルムであるのが好ましい。セパレータ4は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトンなどから選択される単一の樹脂又は2種以上の混合物を用いた多孔質フィルムとするのがより好ましい。
非水電解液NEは、リチウムイオンの移動が可能な非水電解液であればよく、有機電解液やイオン液体などを使用することができる。
有機電解液としては、例えば、LiClO4、LiPF6、LiBF4、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(LiN(CF3SO22)、LiCF3SO3、LiC49SO3、LiC(CF3SO23などの金属塩をプロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、アセトニトリル、プロピオニトリル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ニトロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトンなどの有機溶媒、又は、その混合溶媒に溶解したものを使用することができる。また、有機電解液には、ビニレンカーボネート(VC)を添加することもできる。
イオン液体としては、例えば、イミダゾリウム系の陽イオン、ピリジニウム系の陽イオン、脂肪族系の陽イオン、ホスホネート系の陽イオン、及びヨウ素系の陽イオンのうちの少なくとも1つと、ハロゲン系の陰イオン、ホウ素系の陰イオン、及びリン系の陰イオンのうちの少なくとも1つと、が組み合わされているものを用いることができる。
非水電解液NEとして、具体的には、プロピレンカーボネート(PC)にLiPF6を1mol/Lの濃度で溶解したものを好適に使用することができる。
また、非水電解液NEは、ポリマー電解質又はゲル電解質の形態で存在させてもよい。
ポリマー電解質とするには、例えば、ポリエチレンオキシドなどを用いればよい。
ゲル電解質とするには、例えば、ポリプロプレンオキシド、ポリアクリルニトリル、ポリビニリデンフロライド、ポリウレタン、ポリアクリレート、セルロースなどを用いればよい。
電極ケース2は、金属缶、樹脂、ラミネートパックなどの金属空気電池の外装材として通常用いられる材料を使用することができる。
電極ケース2及び負極端子9においてそれぞれ対応する位置に、断面が円弧状であり、正面視で円形状をなす溝部2b、9aが形成されている。電極ケース2と負極端子9とは、溝部2b、9aにてOリング8を挟み込んで形成されている。なお、Oリング8は、例えば、ニトリルゴム、フッ素ゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム、水素化ニトリルゴムなどで形成されたものであるのが好ましい。Oリング8をこれらの材料で形成すると、非水電解液NEによって変質や腐食等され難く、非水電解液NEの漏出を防いだり、長期間に渡ってリチウム空気二次電池としての機能を保ったりすることができる。
また、リチウム空気二次電池10においては、少なくとも、正極3と負極5との間に非水電解液NEを配置して構成される。より具体的及び好適には、非水電解液NEは、正極3とセパレータ4とストッパ2aとで形成される区間、ストッパ2aと電極ケース2とセパレータ4と負極支持体7とで形成される区間、負極接合具6と負極支持体7と負極端子9とで形成される区間、電極ケース2と負極端子9と負極支持体7とOリング8とで形成される区間にも充填されている。これらの区間は、図1において図示しない貫通孔を通じて相互に繋がっている。従って、非水電解液NEは、当該貫通孔を通じてこれらの区間を自在に通流することができる。
(正極及び負極)
正極3は、図1に示すように、正極接合具1で固定されている一方の面で空気と接触し、他方の面で非水電解液NEと接触している。正極3には、カーボンを用いることによって形成された、非水電解液NEが漏出しない程度の大きさの孔(ナノスケールの孔)が複数存在している。正極3は、当該孔によって空気中の酸素を正極活物質として用いることができるようになっている。従って、正極3では、正極活物質である酸素の電気化学的酸化還元反応が進行する。なお、正極3上での放電反応は次の式(1)、(2)のように表すことができる。正極3の製造方法については後述する。
2Li++O2+2e- → Li22 ・・・(1)
又は
2Li++1/2(O2)+2e- → Li2O ・・・(2)
上記式(1)、(2)中のリチウムイオン(Li+)は、負極5から非水電解液NEを介して正極3表面まで移動してきたものである。また、酸素(O2)は、大気中から正極3内部に取り込まれたものである。この放電反応により生成したLi22又はLi2Oが正極3上に析出し、正極3上の反応サイトを全て被覆した時点で放電反応は終了する。充電時においては、放電反応とは逆の反応が起こり、放電時に生成された放電生成物がすべて分解されると充電が終了する。
正極3は、導電材として機能するカーボンを含有して形成されており、硫化マンガン(MnS)と酸化マンガン(Mnxy)との混合物を触媒として含有している。なお、酸化マンガンにおいて、xは、例えば、1〜3の任意の数を示し、yは、例えば、1〜4の任意の数を示す。酸化マンガンとして、具体的には、例えば、MnO、MnO2、Mn23、Mn34などが挙げられる。
正極3に含有されるカーボンとしては、例えば、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、活性炭、カーボンファイバー、チャンネルブラック、ファーネスブラック、メソポーラスカーボンなどを用いることができるが、結晶が成長しておらず、粒径が小さく、反応サイトが多く存在する高表面積カーボンを用いることが望ましい。なお、正極3に含有されるカーボンは、例えば、X線回折測定においてシェラー(Sherrer)の式より算出される結晶子径が15Å以下、N2吸着によるBET法により求めた比表面積が750m2/g以上であり、水銀圧入法により求めた総細孔容積が4.0ml/g以上5.5ml/g以下、総細孔容積に占める一次孔容積の割合が30%以上45%以下、水に対する接触角が95°以上115°以下のうちの少なくとも1つの特徴を備えたものであるのが好ましい。このようなカーボンを用いると、サイクル特性に優れたリチウム空気二次電池をより確実に提供することができる。
また、前記した混合物中における金属イオンのモル比(Mn化合物中のMn原子のモル比)は、硫化マンガン(MnS):酸化マンガン(Mnxy)で、3:1から1:3とするのが好ましい。このようにすると、混合物中における硫化マンガンと酸化マンガンとの金属イオンのモル比を適切な範囲としているため、充電電圧を低下させることが可能となり、優れたサイクル特性を確実に得ることができる。なお、混合物中における金属イオンのモル比は、硫化マンガン(MnS):酸化マンガン(Mnxy)で、2:1とするのがより好ましい。このようにすると、より優れたサイクル特性を確実に得ることができる。
正極3に含有される触媒は、硫化マンガンと酸化マンガンとの混合物を熱処理したものであるのが好ましい。熱処理の条件としては、例えば、大気雰囲気下、常圧で600〜700℃で5〜12時間加熱、より好ましくは、600℃で5時間加熱することを挙げることができる。熱処理を行うことによって、混合物の結晶化を促進し、本発明の効果を向上させることができる。そのため、硫化マンガンと酸化マンガンとの混合物を加熱せずにそのまま触媒として用いる場合よりもサイクル特性に優れたリチウム空気二次電池を提供することが可能となる。なお、正極3に含有される触媒は、例えば、結晶子径が400〜500Å、N2吸着によるBET法により求めた比表面積が40〜50m2/g以上のうちの少なくとも1つの特徴を備えたものであるのが好ましい。このような触媒を用いると、サイクル特性に優れたリチウム空気二次電池をより確実に提供することができる。
正極3は、前記したカーボンや触媒のほか、その製造過程において用いたバインダーや揮発性溶媒を含み得る。
バインダーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素ゴム等のフッ素系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアクリロニトリル、スチレンブタジエンゴム(SBR)などを用いることができる。
揮発性溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)やアセトンなどの有機溶媒を挙げることができるが、空気金属電池の正極の製造に用いられているものであればこれらに限定されることなく用いることができる。
製造過程においてバインダーを含む場合、前記した混合物(触媒)とカーボンとバインダーとの混合比は、混合物(触媒):カーボン:バインダーで、例えば、質量比で5:3:2などとすることができるが、これに限定されるものではなく、本発明の所望の効果を奏する限り、任意の比とすることができる。
正極3は、当該正極3と隣接して正極集電体(図1において図示せず)が配置されているのが好ましい。正極集電体は、空気と接触する面に配置するのが好ましいが、正極3と非水電解液NEとの間にも配置することもできる。また、正極集電体の表面を覆うように正極3を形成することもできる。正極集電体としては、カーボンペーパー、金属メッシュなどの多孔質構造体や網目状構造体、繊維や不織布などであれば特に限定されず用いることができる。正極集電体としては、これらの中でも、例えば、SUS、ニッケル、アルミニウム、鉄、チタンなどから形成した金属メッシュを用いるのが好ましい。また、正極集電体として、酸素供給孔を有する金属箔を用いることもできる。
負極5は、金属リチウム及びリチウムイオンのうちの少なくとも一方の吸蔵及び放出が可能な物質を含んでなる。このような物質としては、例えば、カーボン、Si、Sn、Li2.6Co0.4Nなどを挙げることができる。なお、これらのうち、負極材料として最初にリチウムイオンを含まないカーボンなどは、電池の製造にあたり、予め化学的又は電気化学的にリチウムを含む化合物(例えば、C6Liなど)に化学変化させておくのが好ましい。
正極3及び負極5には、必要に応じて任意の添加剤等を添加することができる。
正極3には、例えば、前記した触媒以外の触媒や貴金属、有機材料などを添加することができる。前記した触媒以外の触媒としては、例えば、酸化コバルト、酸化セリウムなどを挙げることができる。貴金属としては、例えば、Pt、Pd、Au、Agなどを挙げることができる。有機材料としては、例えば、コバルトフタロシアニンなどの金属フタロシアニン、Feポルフィリンなどを挙げることができる。
また、負極5には、例えば、リチウム原子を含む合金、酸化物、窒化物または硫化物などの負極活物質を添加することができる。リチウム原子を有する合金としては、例えば、リチウムアルミニウム合金、リチウムスズ合金、リチウム鉛合金、リチウムケイ素合金などを挙げることができる。リチウム原子を有する金属酸化物としては、例えば、リチウムチタン酸化物などを挙げることができる。また、リチウム原子を含有する金属窒化物としては、例えば、リチウムコバルト窒化物、リチウム鉄窒化物、リチウムマンガン窒化物などを挙げることができる。
以上に説明した本実施形態に係るリチウム空気二次電池10は、正極3が硫化マンガンと酸化マンガンとの混合物を触媒として含有しているので、放電時に生成した析出物の分解を促進することができる。そのため、リチウム空気二次電池10は、充電電圧を低下させることができ、非水電解液NEの分解を抑制することが可能となる。その結果、リチウム空気二次電池10は、非常に優れたサイクル特性を得ることができる。
(リチウム空気二次電池の作製方法)
図1を参照して、本実施形態に係るリチウム空気二次電池10の作製方法について説明する。
本実施形態に係るリチウム空気二次電池10は、例えば、次のようにして作製することができる。
はじめに、電極ケース2の一方の開口部に正極3を入れ、ストッパ2aまで押し込んで配置する。そして、正極接合具1を一方の開口部に嵌め込むことにより正極3を固定する。
次に、電極ケース2の他方の開口部に非水電解液NEを注入し、セパレータ4を挿入する。また、円形に切り抜いた負極5を負極接合具6に圧着させる。
そして、圧着させた負極5及び負極接合具6を負極支持体7とともに電極ケース2の他方の開口部に挿入し、ストッパ2aでセパレータ4を挟み込んで固定する。
次いで、Oリング8を電極ケース2に取り付け、負極端子9を嵌め込み、固定する。
このようにすることにより、リチウム空気二次電池10を作製することができる。
[リチウム空気二次電池用正極の製造方法]
次に、図2〜4を参照して、本実施形態に係るリチウム空気二次電池10用正極3の製造方法について説明する。なお、図1を参照して説明したリチウム空気二次電池10と同一の要素については同一の符号を付し、当該要素についての詳細な説明は省略する。
図2に示すように、本実施形態に係るリチウム空気二次電池10用正極3の製造方法は、混合工程S1と、正極製造工程S3と、を含んでおり、これらの工程をこの順序で行う。なお、本発明においては、混合工程S1と正極製造工程S3との間に、熱処理工程S2を含んでいるのが好ましい。
また、本発明においては、混合工程S1の前、混合工程S1と熱処理工程S2との間、熱処理工程S2と正極製造工程S3の間、正極製造工程S3の後に、他の任意の工程を行うこともできる。
(混合工程)
混合工程S1は、硫化マンガンと酸化マンガンとを混合して混合物を得る工程である。硫化マンガンと酸化マンガンとの混合は、一般的な混合機を用いることにより行うことができる。混合物中(触媒中)における金属イオンのモル比を硫化マンガン:酸化マンガンで、3:1から1:3とする場合は、硫化マンガンと酸化マンガンとの添加量を調節して混合工程S1で行っておくのが好ましい。
(熱処理工程)
熱処理工程S2は、混合工程S1で得た混合物を熱処理する工程である。熱処理工程S2の条件としては前記したように、例えば、大気雰囲気下、常圧で600〜700℃で5〜12時間、より好ましくは600℃で5時間とすることができる。熱処理工程S2は、例えば、従来公知の電気炉を用いることにより行うことができる。
(正極製造工程)
正極製造工程S3は、混合工程S1で混合した混合物又は熱処理工程S2で熱処理を行った混合物を用いて正極3を製造する工程である。正極製造工程S3では、混合工程S1で混合した混合物又は熱処理工程S2で熱処理を行った混合物を用いて正極3を製造できればよく、特定の手法に限定されるものではないが、以下に説明する態様にて正極3を製造するのが好ましい。
(正極製造工程の一態様)
図3に示すように、正極製造工程S3の一態様は、スラリー調製工程S31と、第1の正極作製工程S32と、を含む。
(スラリー調製工程)
スラリー調製工程S31は、熱処理工程S2で熱処理を行った混合物と、カーボンと、バインダーと、を揮発性溶媒中に分散させてスラリーを調製する工程である。混合物とカーボンとバインダーとの混合比は、前記したように、例えば、質量比で5:3:2とするのが好ましい。
(第1の正極作製工程)
第1の正極作製工程S32は、スラリー調製工程S31で調製したスラリー中の揮発性溶媒を揮発させて乾燥した後、所定の形状の正極3を作製する工程である。
スラリー中の揮発性溶媒を揮発させて乾燥する手段としては、例えば、自然乾燥、温風乾燥、凍結乾燥、真空乾燥などが挙げられる。
正極3は、例えば、スラリーを用いて厚さ約0.05〜0.5mm程度のシート状に成形し、当該シートを例えば打ち抜き機で打ち抜いたり、切り抜き機で切り抜いたりすることにより、所定の形状のものを容易に得ることができる。
(正極製造工程の他の態様)
また、図4に示すように、正極製造工程S3の他の態様は、スラリー調製工程S33と、第2の正極作製工程S34と、を含む。
なお、正極製造工程S3の他の態様におけるスラリー調製工程S33の内容は、図3を参照して説明した正極製造工程S3の一態様におけるスラリー調製工程S31の内容とまったく同様であるので、その説明を省略する。
(第2の正極作製工程)
第2の正極作製工程S34は、スラリー調製工程S33で調製したスラリーを正極集電体に塗布し、スラリー中の揮発性溶媒を揮発させて乾燥し、正極3を作製する工程である。つまり、この第2の正極作製工程S34は、スラリーを正極集電体に塗布する点が、第1の正極作製工程S32と異なっている。従って、第2の正極作製工程S34によって作製された正極3は、図1には図示しない正極3内に、又は正極3の少なくとも一方の面に、正極集電体を有している。このように、正極集電体を有していると、電流を正極活物質である酸素へ効果的に供給することができるようになり、電池の出力等を高性能化することができる。
正極集電体は、正極接合具1などと同様、例えば、Fe、Ni、Ti、Au又はこれらの合金などの導電性を有する材料、例えば、SUSで作製することができる。
正極集電体へのスラリーの塗布は、例えば、グラビアコーター、ロールコーター、コンマコーター、ナイフコーター、エアナイフコーター、カーテンコーター、フローコーター、キスコーター、シャワーコーター、ホイーラーコーター、スピンコーター、スクリーン印刷、アプリケーター、バーコーターなどの塗布(印刷)機などで行うことができる。また、正極集電体へのスラリーの塗布は、浸漬(ディッピング)、スプレー、刷毛塗りなどで行うこともできる。
正極集電体へのスラリーの塗布と乾燥は、塗布して乾燥することを3〜5回繰り返して行うのが好ましい。このようにすると、製造された正極3の層間中に非水電解液NEと空気と正極3とが接する三相界面を適度に形成させることができる。従って、このようにして製造された正極3は、より優れたサイクル特性を得ることが可能となる。
なお、正極集電体へのスラリーの塗布と乾燥を所定の回数終えて正極3とする場合は、最終的に冷間プレス及び熱間プレスのうちの少なくとも一方を行うのが好ましい。このようにすると、正極3の強度を高め、非水電解液NEの漏洩を防止することができる。当該効果は、熱間プレスを行うことによってより確実に得られるため、熱間プレスを必ず行うようにするのが好ましい。
以上に説明したリチウム空気二次電池用正極の製造方法は、前記した工程を行うため、硫化マンガンと酸化マンガンとの混合物を触媒として含有しているリチウム空気二次電池10用正極3を製造することができる。
次に、本発明のリチウム空気二次電池及びリチウム空気二次電池用正極の製造方法について、実施例により具体的に説明する。
[実施例1]
表1のNo.1〜20に示すように、硫化マンガン(表1において「MnS」と表記する。)と、MnO、MnO2、Mn23、Mn34の中から選択される1種類の酸化マンガン(表1において「Mnxy」と表記する。)とを、金属イオンのモル比がMnS:Mnxyで、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3となるようにそれぞれ混合し、600℃以上で5時間熱処理を行い、混合物の触媒を得た。
正極は、前記で得られた触媒、カーボン、バインダーをそれぞれ、5:3:2の質量比で混合してロール成形し、厚さ0.5mmのシート状の電極を作製した。そして、作製したシート状の電極を直径23mmの円形に切り抜くことにより正極を製造した。
また、比較のため、触媒を添加せずにカーボンとバインダーのみからなる正極(質量比6:4)を前記と同様にして作製した(表1のNo.21の「カーボンのみ」)。
なお、カーボンは、ケッチェンブラックEC600JD(ライオン(株)製)を用い、バインダーは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粉末(ダイキン社製ポリフロン PTFE Mシリーズ M−112)を用いた。
製造した正極を用い、以下に説明するようにして図1に示す円柱型のリチウム空気二次電池を製造した。
表面をテフロン(登録商標)でコーティングした電極ケース2(正極3と接触する部分はコーティングしない)の片側に、製造したNo.1〜21に係る正極3を配置し、表面をテフロンでコーティングした正極接合具1を嵌め込むことにより正極3を固定した。
次に、前記電極ケース2の正極3の反対側に非水電解液NEを注入した後にセパレータ4を挿入し、円形に切り抜いた金属リチウム製の負極5を負極接合具6に圧着させた状態で負極支持体7とともに、セパレータ4を電極ケース2で挟み込むようにして嵌め込んだ。
さらに、Oリング8を電極ケース2に取り付け、負極端子9を嵌め込んだ。
なお、非水電解液は、プロピレンカーボネート(PC)溶媒に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1mol/Lの濃度で溶解したものを使用した。
No.1〜21に係る正極3を用いて製造したNo.1〜21に係るリチウム空気二次電池について、電流密度0.1mA/cm2(大気に曝される正極3の面積で規格化)で、放電終止電圧2.0V、充電終止電圧4.5Vという条件で充放電試験を行った。
No.1〜21に係るリチウム空気二次電池の各サイクル(初回、20回目、50回目)における放電容量を、混合物(触媒)中の金属イオンのモル比(MnS:Mnxy)とともに表1に示す。なお、表1に示す容量は、以後の比較のために正極に含まれるカーボンの質量当たりの容量(mAh/g)で記した。
Figure 0006209131
表1に示すように、製造したNo.1〜20に係るリチウム空気二次電池は全て、リチウム空気二次電池としての作動を確認することができた。また、No.1〜20に示す結果から、MnSとMnxyの混合比によって、リチウム空気二次電池の放電特性に若干の差異があることも確認できた。
これに対し、No.21に係るリチウム空気二次電池は、正極をカーボンのみとしていたので、リチウム空気二次電池としての作動を確認することができなかった。
表1において良好な特性を示したNo.14に係るリチウム空気二次電池の初回充放電曲線を図5中の(a)として示した。
また、比較のため、No.21に係るリチウム空気二次電池の初回充放電曲線を図5中の(c)として示した。
図5の(a)に示すように、No.14に係るリチウム空気二次電池は、放電において平均電圧が約2.75Vであり、放電容量は2021mAh/gを示した。また、充電においては平均電圧が4.05Vであり、充電容量は2014mAh/gを示した。
一方、図5の(c)に示すように、No.21に係るリチウム空気二次電池は、放電において平均電圧が約2.70Vであり、放電容量は2031mAh/gを示した。また、充電においては平均電圧が4.30Vであり、充電容量は350mAh/gを示した。
以上のことから、図5及び表1に示すように、正極に添加する触媒は、硫化マンガンと各酸化マンガンの組み合わせにおいては、MnSとMnO2が良好な特性を示すことが確認できた。また、触媒は、MnSとMnO2中の金属イオンのモル比が1:2であると、さらに充電電圧が低く、良好なサイクル特性を示すことが確認できた。さらに、カーボンのみの正極と比較して、初回放電においては若干容量が減少したが、触媒を添加することにより充電電圧が低下し、サイクル特性も向上した。これは、触媒の添加により、正極のガス拡散性、導電性、濡れ性などが変化したため容量が減少するものの、硫化マンガンと酸化マンガンの混合物である触媒が酸素発生に高い活性を有しており、充電時における放電生成物の分解が促進されたため、充電電圧が低下し、サイクル特性が向上したと考えられた。
[実施例2]
MnSとMnO2を金属イオンのモル比が1:2となるように混合し、600℃で5時間熱処理した混合物と、カーボン粉末(ケッチェンブラックEC600JD(ライオン(株)製))とを、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)中に分散させ撹拌した後、70℃で乾燥したものと、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粉末と、を用意した。そして、混合物、カーボン粉末、PTFE粉末をそれぞれ5:3:2の質量比で混合してロール成形し、厚さ0.5mmのシート状の電極を作製した。そして、作製したシート状の電極を直径23mmの円形に切り抜くことにより、No.22に係る正極を製造した。
製造したNo.22に係る正極を用い、実施例1と同様にして、No.22に係るリチウム空気二次電池を製造した。
製造したNo.22に係るリチウム空気二次電池の各サイクルにおける放電容量を実施例1と同様にして測定した。表2にその測定結果を示す。なお、表2には、実施例1で良好な結果が得られたNo.14に係るリチウム空気二次電池の各サイクルにおける放電容量を併せて示した。
Figure 0006209131
また、No.22に係るリチウム空気二次電池の初回充放電曲線を図5中の(b)として示した。
図5の(b)に示すように、No.22に係るリチウム空気二次電池は、放電において平均電圧が約2.80Vであり、放電容量は2028mAh/gを示した。また、充電においては平均電圧が3.95Vであり、充電容量は2027mAh/gを示した。
表2に示すように、No.22に係るリチウム空気二次電池は、実施例1で得られた最大の性能より、さらに優れたサイクル特性を有することが確認できた。これは、正極中の触媒やカーボンの分散性が向上し、触媒の効果が広範囲にわたったためと考えられた。
[実施例3]
MnSとMnO2を金属イオンのモル比が1:2となるように混合し、600℃で5時間熱処理した混合物と、カーボン粉末(ケッチェンブラックEC600JD(ライオン(株)製))と、PVdF(ポリフッ化ビニリデン)分散液とを、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)中に分散させ撹拌した後、Tiメッシュ上に塗布し、70℃で乾燥させた。塗布と乾燥を2〜5回繰り返して行い、プレスを行った後、直径23mmの円形に切り抜くことにより、No.23〜26に係る正極を製造した。
製造したNo.23〜26に係る正極を用い、実施例1と同様にして、No.23〜26に係るリチウム空気二次電池を製造した。
製造したNo.23〜26に係るリチウム空気二次電池の各サイクルにおける放電容量を実施例1と同様にして測定した。表3にその測定結果を示す。なお、表3には、実施例2で良好な結果が得られたNo.22に係るリチウム空気二次電池の各サイクルにおける放電容量を併せて示した。
Figure 0006209131
表3に示すように、No.23〜26に係るリチウム空気二次電池は、実施例2で得られた最大の性能より、さらにより優れたサイクル特性を有することが確認できた。塗布と乾燥を3回行ったNo.24に係るリチウム空気二次電池は、極めて良好な性能が得られることが確認できた。これは、積層化することにより、層間中に新たな三相界面が形成され、性能が向上したためと考えられた。
以上に説明した実施例1〜3から、酸素発生に対して高活性な硫化マンガンや酸化マンガンを混合することによりサイクル特性が向上し、特に混合物(触媒)における金属イオンのモル比が硫化マンガン:酸化マンガンで1:2のとき、且つ、塗布と乾燥を3回繰り返して製造された正極を用いることにより、従来電池よりも優れたサイクル特性を有するリチウム空気二次電池を製造できることが確認できた。
10 リチウム空気二次電池
1 正極接合具
2 電極ケース
3 正極
4 セパレータ
5 負極
6 負極接合具
7 負極支持体
8 Oリング
9 負極端子
NE 非水電解液

Claims (7)

  1. カーボンを含有してなり、一方の面が空気と接触し、他方の面が非水電解液と接触する正極と、
    金属リチウム及びリチウムイオンのうちの少なくとも一方の吸蔵及び放出が可能な物質を含んでなる負極と、を具備し、
    前記正極と前記負極との間に非水電解液を配置して構成されるリチウム空気二次電池であって、
    前記正極は、硫化マンガンと酸化マンガンとの混合物を熱処理したものを触媒として含有している
    ことを特徴とするリチウム空気二次電池。
  2. 前記混合物中における金属イオンのモル比が、前記硫化マンガン:前記酸化マンガンで、3:1から1:3であることを特徴とする請求項1に記載のリチウム空気二次電池。
  3. カーボンを含有してなり、一方の面が空気と接触し、他方の面が非水電解液と接触する正極と、
    金属リチウム及びリチウムイオンのうちの少なくとも一方の吸蔵及び放出が可能な物質を含んでなる負極と、を具備し、
    前記正極と前記負極との間に非水電解液を配置して構成されるリチウム空気二次電池に用いられる正極を製造するリチウム空気二次電池用正極の製造方法であって、
    硫化マンガンと酸化マンガンとを混合して混合物を得る混合工程と、
    前記混合物を熱処理する熱処理工程と、
    前記熱処理した混合物を用いて前記正極を製造する正極製造工程と、
    を含むことを特徴とするリチウム空気二次電池用正極の製造方法。
  4. 前記混合工程において、
    前記混合物中における金属イオンのモル比を、前記硫化マンガン:前記酸化マンガンで、3:1から1:3としたことを特徴とする請求項3に記載のリチウム空気二次電池用正極の製造方法。
  5. 前記正極製造工程が、前記熱処理した混合物と、前記カーボンと、バインダーと、を揮発性溶媒中に分散させてスラリーを調製するスラリー調製工程と、
    前記スラリー中の揮発性溶媒を揮発させて乾燥した後、所定の形状の正極を作製する第1の正極作製工程と、
    を含むことを特徴とする請求項3又は請求項に記載のリチウム空気二次電池用正極の製造方法。
  6. 前記正極製造工程が、前記熱処理した混合物と、前記カーボンと、バインダーと、を揮発性溶媒中に分散させてスラリーを調製するスラリー調製工程と、
    前記スラリーを正極集電体に塗布し、前記スラリー中の揮発性溶媒を揮発させて乾燥し、正極を作製する第2の正極作製工程と、
    を含むことを特徴とする請求項3又は請求項に記載のリチウム空気二次電池用正極の製造方法。
  7. 前記第2の正極作製工程において、前記正極集電体への前記スラリーの塗布と乾燥を3〜5回繰り返して行うことを特徴とする請求項に記載のリチウム空気二次電池用正極の製造方法。
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