JP6208996B2 - レール転倒防止機能付きレール締結装置 - Google Patents
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Description
レール締結装置は、軌道スラブやPC枕木上に固定したタイプレートに対し、レールの下部フランジをばね部材などによって押さえるようにして、レールを軌道に締結するようになっている。
レール転倒防止装置は、巨大地震などによって列車が脱線し、列車の車輪がレールから脱落した場合に、脱輪後の列車走行によって車輪がレール締結装置上を通過し、レール締結装置を破壊することがあっても、レールが転倒することを防止する機能を有しており、例えばレール締結装置の近傍に設置されている。
軌道上のレールが転倒しなければ、直立状態で保持されたレールがガイドとなり、脱線した列車が停止するまで車輪がレールに沿って案内されるので、列車が軌道を大きく逸脱することを防止でき、脱線後の被害の拡大を防ぐことができる。
そして、スラブ軌道においてはレール締結装置間のコンクリート面の任意の位置にレール転倒防止装置を設置することができるので、レール転倒防止装置の導入が進んでいる。
また、PC枕木上のスペースは限られているので、PC枕木上にレール締結装置とレール転倒防止装置を共存させて設置することはできなかった。
そのため、弾性枕木直結軌道においてはレール転倒防止装置の導入が進んでいない。
レールが敷設される枕木上に設置されるタイプレートと、
前記タイプレート上に設けられ、前記レールを前記タイプレートに押さえ付けて締結するばね部材と、
前記タイプレート上に互いに一部が重なる状態で設けられた第1押さえ板と第2押さえ板と、
前記第1押さえ板及び前記第2押さえ板を前記タイプレートとともに前記枕木に固定するボルトと、
を備え、
前記第1押さえ板は、前記ボルトによる固定部から前記レールに向けて延在し、前記レールの直立姿勢を維持するレール支持部を有し、
前記第2押さえ板は、前記ボルトによる固定部から車両進行方向上流側に延在し、前記ボルトに向けて上昇する傾斜板部を有し、
前記タイプレートには、前記第2押さえ板よりも車両進行方向上流側において、前記第2押さえ板へ向けて前記傾斜板部と略同じ角度で上昇する傾斜面と、前記傾斜面よりも前記レール側の一部に、前記ばね部材が設置される平坦面とが設けられており、
前記タイプレートの前記平坦面から車両進行方向下流側へ上昇し、前記第2押さえ板の先端側で前記傾斜面と同じ高さになる勾配面が形成されているようにした。
また、このようなレール転倒防止機能付きレール締結装置は、レールをタイプレートに締結する機能を有するばね部材と、タイプレート上でのレールの姿勢を維持する機能を有する第1押さえ板および第2押さえ板を備えているので、タイプレート上でのレールの直立状態をより確実に保つことができる。つまり、仮に列車が脱線し、レールから脱落した車輪によってばね部材が破壊された場合でも、第1押さえ板がレールの直立姿勢を維持することができるので、レールが転倒することを防ぐことができる。
特に、タイプレートの平坦面と傾斜面の間が垂直面で繋がれているのでなく、平坦面と傾斜面の間の段差に勾配を付けてなだらかに繋がる斜面を形成するようにした。
従って、仮にレールから脱落した車輪が、タイプレート上の平坦面を通過するような場合でも、平坦面と傾斜面の間には勾配面が設けられているので、その車輪はタイプレートに衝突することなく勾配面に案内されて第2押さえ板に向かうので、タイプレートが破壊されることを回避できる。
レールが敷設される枕木上に設置されるタイプレートと、
前記タイプレート上に設けられ、前記レールを前記タイプレートに押さえ付けて締結するばね部材と、
前記タイプレート上に互いに一部が重なる状態で設けられた第1押さえ板と第2押さえ板と、
前記第1押さえ板及び前記第2押さえ板を前記タイプレートとともに前記枕木に固定するボルトと、
を備え、
前記第1押さえ板は、前記ボルトによる固定部から前記レールに向けて延在し、前記レールの直立姿勢を維持するレール支持部を有し、
前記第2押さえ板は、前記ボルトによる固定部から車両進行方向上流側に延在し、前記ボルトに向けて上昇する傾斜板部を有し、
前記タイプレートには、前記第2押さえ板よりも車両進行方向上流側において、前記第2押さえ板へ向けて前記傾斜板部と略同じ角度で上昇する傾斜面と、前記傾斜面よりも前記レール側の一部に、前記ばね部材が設置される平坦面とが設けられており、
前記タイプレートを前記枕木に固定する補強ボルトが、前記傾斜板部の下に設けられているようにした。
また、このようなレール転倒防止機能付きレール締結装置は、レールをタイプレートに締結する機能を有するばね部材と、タイプレート上でのレールの姿勢を維持する機能を有する第1押さえ板および第2押さえ板を備えているので、タイプレート上でのレールの直立状態をより確実に保つことができる。つまり、仮に列車が脱線し、レールから脱落した車輪によってばね部材が破壊された場合でも、第1押さえ板がレールの直立姿勢を維持することができるので、レールが転倒することを防ぐことができる。
特に、レール転倒防止機能付きレール締結装置を小型化するためにタイプレートのサイズも小さくなるので、ボルトによるタイプレートの固定を補強するための補強ボルトの配設箇所も限られる。
従って、タイプレートに配設される各部材の妨げにならないように、補強ボルトを第2押さえ板の傾斜板部の下に設けるとともに、その補強ボルトの損傷を防ぐように傾斜板部で保護するようにした。
前記補強ボルトは、前記タイプレートとともに前記第1押さえ板を前記枕木に固定しているようにした。
従って、第1押さえ板を枕木により強固に固定することができるので、仮に列車が脱線し、レールから脱落した車輪によってばね部材が破壊された場合でも、第1押さえ板がレールの直立姿勢をより確実に維持して、レールの転倒を防ぐことができる。
前記傾斜板部における前記ボルト側の傾斜上端は、前記ボルトの上端と略同じ高さとなるように形成されているようにした。
従って、仮に列車が脱線したとしても、レールから脱落した車輪は、タイプレートの傾斜面と第2押さえ板の傾斜板部案内により、ボルトを乗り越えることができるので、車輪がボルトを直撃し破壊することを防ぐことができる。
本実施形態のレール転倒防止機能付きレール締結装置は、弾性枕木直結軌道にレールを締結する機能と、脱落した車輪によりレールが転倒するのを防止する機能とを備える。
なお、図1、図3においては矢印Tの向きを、車両(列車)の進行方向とする。
このばね部材3は、レール20をタイプレート10に締結する機能を主に担う部材であり、第1押さえ板1及び第2押さえ板2は、タイプレート10上でレール20の直立姿勢を維持し、転倒を防止する機能を主に担う部材である。
タイプレート10には、図1、図4(a)に示すように、レール20がその幅方向へ移動することを規制するための突壁である一対のガイド部10b,10bが設けられている。この一対のガイド部10b,10b間に載置されたパッキン40と軌道パッド30を介して、タイプレート10上にレール20が配置されている。軌道パッド30は、例えばパッキン40側に配される弾性層32と、レール20側に配される滑性層31とが固着されてなる2層構造を有している。
そして、インサートアンカー51とボルト孔(10a)を位置合わせして、枕木50上に絶縁板11とタイプレート10を載置するとともに、タイプレート10のボルト孔10aに、第1押さえ板1及び第2押さえ板2に形成されているボルト孔(図示省略)を位置合わせするように第1押さえ板1と第2押さえ板2を順に重ね、さらに平座金6、ばね座金5を順に重ねた後、ボルト4をインサートアンカー51に螺合している。このボルト4をインサートアンカー51に締め付けることで、第1押さえ板1及び第2押さえ板2とともにタイプレート10が枕木50に固定され、レール締結装置100が枕木50に固定されるようになっている。このボルト4及びインサートアンカー51は、レール20の両側方に設けられている。
なお、図5に示すように、絶縁リング16がタイプレート10とボルト4の間に設けられており、タイプレート10とボルト4とは絶縁リング16によって電気的に絶縁されている。
第1押さえ板1は、ボルト4の固定部からレール20に向けて延在し、レール20の直立姿勢を維持するレール支持部1aを備えている。
この第1押さえ板1は、レール20が傾倒するなど姿勢を崩さないように、レール20の下部フランジ20aをレール支持部1aによって支える機能を有している。
第2押さえ板2は、ボルト4の固定部から車両進行方向上流側に延在する傾斜板部2aを備えている。この傾斜板部2aは、車両進行方向下流側ほど高く、ボルト4に向けて上昇する傾斜を有し、傾斜板部2aにおけるボルト4側の傾斜上端2bは、図3に示すように、ボルト4の上端と略同じ高さとなるように形成されている。
そして、図3、図4(a)(b)に示すように、第2押さえ板2よりも車両進行方向上流側のタイプレート10には、第2押さえ板2の傾斜板部2aの傾斜に沿う形状に形成され、第2押さえ板2へ向けて傾斜板部2aと略同じ角度で上昇する傾斜面10eが設けられている。
また、タイプレート10における傾斜面10eよりもレール20側には、後述するばね部材3が設置される平坦面10fが設けられている。この平坦面10fは、傾斜面10eより低い位置に設けられており、傾斜面10eの傾斜下端が平坦面10fと略同じ高さに位置するようになっている。
このTボルト7にばね部材3と平座金9が取り付けられた後、ロックナット8をTボルト7に螺着することで、ばね部材3をタイプレート10に締め付けている。このばね部材3には、Tボルト7が挿通されるボルト孔(図示省略)及び切欠部3aが形成されている。
そして、タイプレート10の平坦面10fに取り付けられたばね部材3の一端がレール20の下部フランジ20aをタイプレート10に向けて付勢することによって、レール20がタイプレート10に支持されている。
また、図4(a)(b)に示すように、一対のガイド部10b,10bの外側であって切欠溝10cの近傍のタイプレート10上の平坦面10fには、ばね部材3が当接するばね位置決め部10dが設けられている。また、平坦面10fから車両進行方向下流側へ上昇し、第2押さえ板2の先端側で傾斜面10eと同じ高さになる傾斜の勾配面10gが形成されている。
このボルト孔10hに位置合わせするようにカバープレート12、ばね座金13を順に重ねた後、補強ボルト14をインサートアンカー52に螺合している。補強ボルト14をインサートアンカー52に締め付けることで、タイプレート10が枕木50に固定され、枕木50へのレール締結装置100の固定を補強するようになっている。
つまり、補強ボルト14は、前述したボルト4によるタイプレート10の固定を補強する機能を有している。この補強ボルト14は、第2押さえ板2の下に設けられており、傾斜板部2aに覆われて保護された状態で、タイプレート10を枕木50に固定している。特に、タイプレート10に配設される各部材の妨げにならないように、補強ボルト14を第2押さえ板2の傾斜板部2aの下に設けることとした。
この補強ボルト14は、主にレール締結装置100を急曲線区間に設置する際に用いる部材であり、レール締結装置100を直線区間に設置する場合には使用しなくてもよい。
なお、補強ボルト14を使用する場合、補強ボルト14でタイプレート10を枕木50に固定した後、第2押さえ板2などをボルト4によってタイプレート10に取り付ける手順になる。
レール締結装置100は、タイプレート10上にレール20を直立状態で保持するための部材として、レール20をタイプレート10に押さえ込む機能を有するばね部材3と、タイプレート10上でのレール20の姿勢を維持する機能を有する第1押さえ板1を備えている。
そのばね部材3がレール20の下部フランジ20aをタイプレート10に向けて押圧するとともに、第1押さえ板1のレール支持部1aがレール20の下部フランジ20aを支えることができるので、レール20がタイプレート10上に直立した状態をより確実に保つことができる。
そのため、仮に列車が脱線してレール20の上端に横方向の力が加わったとしても、レール20が倒れないように保持することができ、レール20から脱落した車輪によってレール20が転倒されるのを防ぐことができる。
これにより、仮に列車が脱線したとしても、レール20から脱落した車輪は、タイプレート10の傾斜面10eと、第2押さえ板2の傾斜板部2aの案内により、レール締結装置100に乗り上がって、ボルト4を乗り越えることができるので、車輪がボルト4を直撃し破壊することを回避でき、ボルト4が破損することで第1押さえ板1が外れてレール20が転倒したり、タイプレート10が枕木50から外れたりすることを防ぐことができる。
また、仮にレール20から脱落した車輪が、ばね部材3を破壊して、タイプレート10上の平坦面10fを通過するような場合でも、平坦面10fと傾斜面10eの間には勾配面10gが設けられているため、その車輪はタイプレート10に衝突することなく勾配面10gに案内されてタイプレート10を乗り越え、第2押さえ板2(傾斜板部2a)に向かうので、タイプレート10が破壊されることはない。なお、ばね部材3が破壊されてもボルト4やタイプレート10が破壊されなければ、第1押さえ板1によってレール20の直立状態を保つことができ、レール20の転倒を防ぐことができる。
なお、補強ボルト14は、レール締結装置100を直線区間に設置する場合には使用しなくてもよいと述べたが、仮に列車が脱線した場合にタイプレート10が枕木50から外れるのを防ぐという作用効果を重視するならば、レール締結装置100を直線区間に設置する場合にも補強ボルト14を用いるようにしてもよい。
つまり、ボルト4と補強ボルト14によって第1押さえ板1をタイプレート10に固定することで、第1押さえ板1をタイプレート10により強固に固定することができる。そして、仮に列車が脱線し、レール20から脱落した車輪によってばね部材3が破壊された場合でも、第1押さえ板1がレール20の直立姿勢をより確実に維持して、レール20の転倒を防ぐことができる。
具体的には、レール20から脱落してしまった車輪を傾斜板部2aまで案内する傾斜面10eと、ばね部材3を設置する平坦面10fを、車両進行方向と直交する方向に並べてタイプレート10に設けたことで、ばね部材3をタイプレート10の限られたスペースに収めることが可能になり、レール締結装置100の小型化を図ることができる。
特に、本実施形態のレール締結装置100は、レール転倒防止機能を有する比較的コンパクトなサイズのレール締結装置であるので、このレール締結装置100を狭隘な枕木50上に設置することが可能であり、弾性枕木直結軌道の枕木50にも設置することができる。その結果、弾性枕木直結軌道におけるレール転倒防止装置の導入に繋がり、列車運行の安全向上を図ることができる。
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
1a レール支持部
2 第2押さえ板
2a 傾斜板部
2b 傾斜上端
3 ばね部材
4 ボルト
14 補強ボルト
10 タイプレート
10a ボルト孔
10b ガイド部
10c 切欠溝
10d ばね位置決め部
10e 傾斜面
10f 平坦面
10g 勾配面
10h ボルト孔
20 レール
50 枕木
100 レール締結装置(レール転倒防止機能付きレール締結装置)
Claims (4)
- レールが敷設される枕木上に設置されるタイプレートと、
前記タイプレート上に設けられ、前記レールを前記タイプレートに押さえ付けて締結するばね部材と、
前記タイプレート上に互いに一部が重なる状態で設けられた第1押さえ板と第2押さえ板と、
前記第1押さえ板及び前記第2押さえ板を前記タイプレートとともに前記枕木に固定するボルトと、
を備え、
前記第1押さえ板は、前記ボルトによる固定部から前記レールに向けて延在し、前記レールの直立姿勢を維持するレール支持部を有し、
前記第2押さえ板は、前記ボルトによる固定部から車両進行方向上流側に延在し、前記ボルトに向けて上昇する傾斜板部を有し、
前記タイプレートには、前記第2押さえ板よりも車両進行方向上流側において、前記第2押さえ板へ向けて前記傾斜板部と略同じ角度で上昇する傾斜面と、前記傾斜面よりも前記レール側の一部に、前記ばね部材が設置される平坦面とが設けられており、
前記タイプレートの前記平坦面から車両進行方向下流側へ上昇し、前記第2押さえ板の先端側で前記傾斜面と同じ高さになる勾配面が形成されていることを特徴とするレール転倒防止機能付きレール締結装置。 - レールが敷設される枕木上に設置されるタイプレートと、
前記タイプレート上に設けられ、前記レールを前記タイプレートに押さえ付けて締結するばね部材と、
前記タイプレート上に互いに一部が重なる状態で設けられた第1押さえ板と第2押さえ板と、
前記第1押さえ板及び前記第2押さえ板を前記タイプレートとともに前記枕木に固定するボルトと、
を備え、
前記第1押さえ板は、前記ボルトによる固定部から前記レールに向けて延在し、前記レールの直立姿勢を維持するレール支持部を有し、
前記第2押さえ板は、前記ボルトによる固定部から車両進行方向上流側に延在し、前記ボルトに向けて上昇する傾斜板部を有し、
前記タイプレートには、前記第2押さえ板よりも車両進行方向上流側において、前記第2押さえ板へ向けて前記傾斜板部と略同じ角度で上昇する傾斜面と、前記傾斜面よりも前記レール側の一部に、前記ばね部材が設置される平坦面とが設けられており、
前記タイプレートを前記枕木に固定する補強ボルトが、前記傾斜板部の下に設けられていることを特徴とするレール転倒防止機能付きレール締結装置。 - 前記補強ボルトは、前記タイプレートとともに前記第1押さえ板を前記枕木に固定していることを特徴とする請求項2に記載のレール転倒防止機能付きレール締結装置。
- 前記傾斜板部における前記ボルト側の傾斜上端は、前記ボルトの上端と略同じ高さとなるように形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のレール転倒防止機能付きレール締結装置。
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