JP6207406B2 - スパッタリングターゲット材及び配線積層体 - Google Patents
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本発明の第1の態様によれば、ニッケルの含有量が30wt%以上45wt%以下であり、亜鉛の含有量が10wt%以上30wt%以下であり、前記ニッケル及び前記亜鉛の合計含有量が55wt%以上65wt%以下であり、残部が銅及び不可避不純物からなる銅合金で形成されるスパッタリングターゲット材が提供される。
まず、本発明の一実施形態にかかる配線積層体の構成について、図1を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る配線積層体10は、半導体層を備える基板1と、基板1上(基板1が備える半導体層上)に設けられる主導電層2と、主導電層2上に設けられる絶縁膜3と、を備えている。基板1として、例えばガラス基板や、シリコン(Si)基板等が用いられる。主導電層2は、銅(Cu)(例えば純銅)で形成され、配線が形成される配線膜(主配線膜)として機能する。また、主導電層2は電極としても機能する。絶縁膜3は、例えば酸化シリコン(SiO2)膜で形成されている。半導体層は、例えばインジウム(In)、ガリウム(Ga)及び亜鉛(Zn)の酸化物(IGZO)からなる酸化物半導体で形成されている。
以下では、第1の被覆層4A及び第2の被覆層4Bの形成に用いられるスパッタリングターゲット材について説明する。つまり、主導電層2の酸化を抑制する保護膜(電極保護膜)の形成に用いられるスパッタリングターゲット材について説明する。
次に、本実施形態にかかるスパッタリングターゲット材の製造方法について、例えば溶解鋳造法を例示して説明する。
まず、母材であるCuを例えば高周波溶解炉等を用いて溶解して銅の溶湯を形成する。続いて、銅の溶湯中に、所定量のNiと、所定量のZnとを添加して混合し、銅合金の溶湯を形成する。このとき、Niの含有量が30wt%以上45wt%以下となり、Znの含有量が10wt%以上30wt%以下となり、Ni及びZnの合計含有量が55wt%以上65wt%以下となり、残部がCu及び不可避不純物からなるように、各成分の添加量を調整する。そして、この銅合金の溶湯を鋳型に注いで(出湯して)冷却し、所定量のNi及びZnを含有する銅合金の鋳塊を鋳造する。
鋳造工程が終了した後、鋳塊を所定温度(例えば700℃以上)で所定時間(例えば2時間)加熱して、所定の加工度(例えば総加工度90%)で熱間圧延を行い、所定厚さ(例えば10mm)の熱間圧延材を形成する。その後、熱間圧延材に所定の加工度で1回又は複数回の冷間圧延と、必要に応じて1回又は複数回の焼鈍処理とを行い、所定厚さ(例えば8mm)の冷間圧延材(つまりターゲット素材)を形成する。
圧延工程が終了した後、例えばNCフライスを用い、冷間圧延材(ターゲット素材)が所定厚さとなるように切削加工を行う。これにより、本実施形態に係るスパッタリングターゲット材が製造される。
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
以上、本発明の一実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
(実施例1)
実施例1では、まず、純度が99.9%以上の無酸素銅を用い、高周波溶解炉で無酸素銅を1100℃以上1300℃以下に加熱して溶解して銅の溶湯を作製した。そして、高周波溶解炉による銅の溶湯の加熱を維持しつつ、純度が99.9%であるNiブロック(Niの塊)と純度が99.9%であるZnブロック(Znの塊)とをそれぞれ所定比率で銅の溶湯中に添加(投入)し、Niブロック及びZnブロックを溶解して混合して銅合金の溶湯を作製した。その後、銅合金の溶湯を鋳型に注いで冷却し、Niの含有量が30wt%、Znの含有量が25wt%、Ni及びZnの合計含有量が55wt%である銅合金(Cu−30Ni−25Zn)の鋳塊(インゴット)を鋳造した。得られたインゴットを800℃で2時間加熱した後、総加工度が90%の熱間圧延を行い、厚さが10mmである熱間圧延材を作製した。続いて、所定の加工度の冷間圧延を行い、厚さが8mmである冷間圧延材(ターゲット素材)を作製した。そして、NCフライスにより冷間圧延材に切削加工を行った。これにより、厚さが5mmであって直径が100mmである(5mm×φ100mm)ターゲット材を作製した。これを実施例1の試料とした。
実施例2〜9及び比較例1〜8では、銅の溶湯中に添加するNiブロック及びZnのブロックの比率を変更し、ターゲット材を形成する銅合金(インゴット)の組成を下記の表1に示す通りとした。その他は、実施例1と同様にして、ターゲット材を作製した。これらをそれぞれ、実施例2〜9及び比較例1〜8の試料とした。
実施例1〜9及び比較例1〜8の各試料の評価、つまり各試料を用いてスパッタリングにより形成した膜の評価を行うため、各試料を用いてスパッタリングを行い、50mm×50mmのガラス基板上に所定の膜を形成した。スパッタ装置として、アルバック株式会社製のSH−350を用いた。実施例1〜9及び比較例1〜8の各試料をターゲット材として用いる場合、各試料と純銅製のバッキングプレートとをそれぞれ、溶かしたインジウム(In)を介して接合してスパッタリング装置に取付けた。つまり、各試料はそれぞれ、バッキングプレートに接合された状態で、スパッタリング装置に取付けた。また、スパッタ条件は下記の通りとした。つまり、出力を1kW(DC)とし、スパッタガスとしてアルゴン(Ar)ガスを用い、ガス圧(スパッタリングを行うチャンバ内の圧力)を0.5Paとした。
50mm×50mmのガラス基板上に、ガラス基板の側から順に、厚さが1000nmである純銅膜と、厚さが50nmである合金膜と、を形成したサンプルを作製した。つまり、上述のスパッタリング方法により、実施例1〜9及び比較例1〜7の各試料をそれぞれターゲット材として用いて、厚さが50nmである合金膜を形成してそれぞれのサンプルを作製した。純銅膜は、純銅からなるターゲット材(例えば比較例8の試料であるターゲット材)を用いた他は、上述のスパッタリング方法と同一の方法により形成した。なお、比較例8の試料を用いて形成したサンプルは、50mm×50mmのガラス基板上に、厚さが1000nmである純銅膜のみを形成したサンプルである。
(式1)
電気抵抗率の上昇率(%)=((加熱前の電気抵抗―加熱後の電気抵抗)/加熱前の電気抵抗)×100
50mm×50mmのガラス基板上に、厚さが300nmである合金膜(厚さが300nmである純銅膜)を形成し、サンプルを作製した。つまり、上述のスパッタリング方法により、実施例1〜9及び比較例1〜7の各試料をそれぞれターゲット材として用いて、厚さが300nmである合金膜をガラス基板上に形成してそれぞれのサンプルを作製した。また、上述のスパッタリング方法により、比較例8の試料をターゲット材として用いて、厚さが300nmである純銅膜をガラス基板上に形成してサンプルを作製した。
(式2)
エッチングレート比=各サンプルのエッチングレート/純銅膜のエッチングレート
まず、50mm×50mmのガラス基板上に、3mm×3mmの開口(窓)を形成したステンレス製のマスクを載置した。その後、実施例1〜9及び比較例1〜8の各試料をターゲット材として用い、上述のスパッタリング方法により、1分間スパッタリングを行い、ガラス基板上に合金膜(純銅膜)を形成してそれぞれのサンプルを作製した。
(式3)
スパッタレート比=各サンプルのスパッタレート/純銅膜のスパッタレート
また、各試料であるターゲット材の加工性についての評価を行った。つまり、ターゲット材を作製する際に、割れが発生しないか否かを評価した。ターゲット材を作製する工程において、最終の冷間圧延時に、冷間圧延材のエッジ部分に割れが発生しなかったものを「無」とし、割れが発生したものを「有」とし、加工性の評価を行った。最終の冷間圧延時に、冷間圧延材のエッジ部分に割れが発生しなかったものを合格とした。各試料の加工性の評価結果を、下記の表1に示す。
耐酸化性、エッチングレート、スパッタレート、及び加工性のいずれの評価においても良好な結果が得られた試料を「○」とし、いずれか1つでも不合格の評価があった試料を「×」とした。
実施例1〜9及び比較例1〜8の各試料について、耐酸化性、エッチングレート、スパッタレート、及び加工性について評価した結果を表1に示す。
2 主導電層
4A 第1の被覆層
4B 第2の被覆層
5 透明導電層
10 配線積層体
Claims (3)
- 基板と、前記基板上に設けられ、銅で形成される主導電層と、前記主導電層上に設けられる被覆層とを備える配線積層体の前記被覆層の形成に用いられるスパッタリングターゲット材であって、
ニッケルの含有量が30wt%以上45wt%以下であり、亜鉛の含有量が10wt%以上30wt%以下であり、前記ニッケル及び前記亜鉛の合計含有量が55wt%以上65wt%以下であり、残部が銅及び不可避不純物からなる銅合金で形成される
スパッタリングターゲット材。 - 前記銅は無酸素銅である
請求項1に記載のスパッタリングターゲット材。 - 基板と、
前記基板上に設けられ、銅で形成される主導電層と、を備え、
前記主導電層上には、請求項1又は2に記載のスパッタリングターゲット材を用いて形成され、不可避不純物としての酸素以外の酸素を含まない被覆層が設けられている
配線積層体。
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