JP2016074958A - スパッタリングターゲット材及び配線積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】スパッタ膜に対してウェットエッチングを行った後のエッチング残りを抑制する技術を提供する。【解決手段】Niと、Znと、を含み、残部がCu及び不可避不純物からなるスパッタリングターゲット材であって、スパッタリングターゲット材を用いて成膜したスパッタ膜に対してウェットエッチングを行った後のエッチング残りを抑制するように、標準電極電位がZnの標準電極電位よりも卑な金属をさらに含んでいる。【選択図】図1
Description
本発明は、スパッタリングターゲット材及び配線積層体に関する。
近年、有機ELやタッチパネル等の駆動回路として、例えば薄膜トランジスタ(TFT)が用いられている。TFTは、例えば、半導体層が設けられた基板と、基板(半導体層)上に設けられ、後述の主導電層を保護する保護層と、保護層上に設けられ、銅配線(配線パターン)が形成される主導電層と、を備える配線積層体により形成されている(例えば特許文献1,2参照)。保護層は、スパッタリングターゲット材を用いて成膜したスパッタ膜で形成されている。銅配線の形成は、例えばエッチング液を用いたウェットエッチングにより行われている。
しかしながら、同一のターゲット材を用いて成膜したスパッタ膜であっても、使用するエッチング液によってエッチングレートが異なることがある。このため、使用するエッチング液によって、ウェットエッチングを行った後に保護層のエッチング残りが生じてしまうことがある。
本発明は、上記課題を解決し、スパッタ膜に対してウェットエッチングを行った後のエッチング残りを抑制する技術を提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、ニッケルと、亜鉛と、を含み、残部が銅及び不可避不純物からなるスパッタリングターゲット材であって、前記スパッタリングターゲット材を用いて成膜したスパッタ膜に対してウェットエッチングを行った後のエッチング残りを抑制するように、標準電極電位が亜鉛の標準電極電位よりも卑な金属をさらに含んでいるスパッタリングターゲット材が提供される。
本発明の他の態様によれば、基板と、前記基板のいずれかの主面上に設けられ、銅で形成される主導電層と、前記主導電層のいずれかの主面上に設けられる保護層と、を備え、前記保護層は、ニッケルと、亜鉛と、標準電極電位が亜鉛の標準電極電位よりも卑な金属と、を含み、残部が銅及び不可避不純物からなるスパッタリングターゲット材を用いて形成されている配線積層体が提供される。
本発明によれば、スパッタ膜に対してウェットエッチングを行った後のエッチング残りを抑制できる。
(発明者等が得た知見)
本発明の実施形態の説明に先立ち、本発明者が得た知見について説明する。上述の配線積層体が備える保護層は、例えば所定量のNiと所定量のZnとを含み、残部がCu及び不可避不純物からなるターゲット材を用いて成膜されることがある。これにより、強磁性を有するNiの含有量を低減させてターゲット材のスパッタレートの低下を抑制しつつ、主導電層を保護する保護層の機能を向上させることができる。例えば、半導体層が酸化物半導体で形成されている場合、保護層により、半導体層中の酸素(O)元素が拡散して主導電層中に侵入し、主導電層が酸化してしまうことを抑制できる。しかしながら、Ni及びZnを含むターゲット材を用いて成膜された保護層は、ウェットエッチングにより主導電層及び保護層の所定箇所を除去して銅配線を形成する際、例えばパネルメーカーによって、ウェットエッチングの条件が異なることがある。具体的には、エッチング特性の異なるエッチング液が使用されることがある。このため、同一のターゲット材を用いて成膜した保護層であっても、使用するエッチング液によって、ウェットエッチングを行った後の保護層のエッチング残りが生じてしまうことがある。本発明は、本発明者等が見出した上記知見に基づくものである。
本発明の実施形態の説明に先立ち、本発明者が得た知見について説明する。上述の配線積層体が備える保護層は、例えば所定量のNiと所定量のZnとを含み、残部がCu及び不可避不純物からなるターゲット材を用いて成膜されることがある。これにより、強磁性を有するNiの含有量を低減させてターゲット材のスパッタレートの低下を抑制しつつ、主導電層を保護する保護層の機能を向上させることができる。例えば、半導体層が酸化物半導体で形成されている場合、保護層により、半導体層中の酸素(O)元素が拡散して主導電層中に侵入し、主導電層が酸化してしまうことを抑制できる。しかしながら、Ni及びZnを含むターゲット材を用いて成膜された保護層は、ウェットエッチングにより主導電層及び保護層の所定箇所を除去して銅配線を形成する際、例えばパネルメーカーによって、ウェットエッチングの条件が異なることがある。具体的には、エッチング特性の異なるエッチング液が使用されることがある。このため、同一のターゲット材を用いて成膜した保護層であっても、使用するエッチング液によって、ウェットエッチングを行った後の保護層のエッチング残りが生じてしまうことがある。本発明は、本発明者等が見出した上記知見に基づくものである。
<本発明の一実施形態>
(1)配線積層体の構成
まず、本発明の一実施形態にかかる配線積層体の構成について、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)等の半導体装置の配線材として用いられる配線積層体を例に、図1を参照しながら説明する。
(1)配線積層体の構成
まず、本発明の一実施形態にかかる配線積層体の構成について、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)等の半導体装置の配線材として用いられる配線積層体を例に、図1を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る配線積層体10は、半導体層を備える基板1と、基板1(半導体層)上に設けられる主導電層2と、を備えている。基板1として、例えばガラス基板や、シリコン(Si)基板等が用いられる。半導体層は、例えばインジウム(In)、ガリウム(Ga)及び亜鉛(Zn)の酸化物(IGZO)からなる酸化物半導体で形成されている。主導電層2は、例えば銅(Cu)(純Cu膜)で形成されている。主導電層2は、所定箇所が除去されることで銅配線(配線パターン)となる配線膜として機能する。
基板1(半導体層)と主導電層2との間には、第1の保護層(ベース層)4Aが設けられている。主導電層2の第1の保護層4Aと接する側の面と対向する側の面上には、第2の保護層(キャップ層)4Bが設けられている。第1及び第2の保護層4A,4Bはそれぞれ、主導電層2を保護する保護膜(電極保護膜)として機能する。例えば、第1及び第2の保護層4A,4Bはそれぞれ、主導電層2が酸化したり腐食したりすることを抑制できるように形成されている。つまり、第1及び第2の保護層4A,4Bはそれぞれ、主導電層2が酸素と接触することを抑制するバリア層(ブロック層)として機能するように形成されている。第1及び第2の保護層4A,4Bはそれぞれ、所定量のニッケル(Ni)と、所定量の亜鉛(Zn)と、を含み、残部がCu及び不可避不純物で形成されている。例えば、第1及び第2の保護層4A,4Bはそれぞれ、所定量のNi、所定量のZnが含まれる後述のスパッタリングターゲット材を用いたスパッタリング(例えばマグネトロンスパッタリング)により形成されている。
配線積層体10には、主導電層2と、第1及び第2の保護層4A,4Bと、の所定箇所がそれぞれ例えばウェットエッチングにより除去されて、銅配線が形成されている。
配線積層体10には、主導電層2と、第1及び第2の保護層4A,4Bとの所定箇所を除去することで形成した銅配線を覆うように、絶縁膜3が設けられている。絶縁膜3は、酸化シリコン(SiO2)膜等の酸化膜で形成されている。
(2)スパッタリングターゲット材の構成
以下に、上述の第1及び第2の保護層4A,4B等の成膜に用いられるスパッタリングターゲット材(以下では、単に「ターゲット材」とも言う。)について説明する。
以下に、上述の第1及び第2の保護層4A,4B等の成膜に用いられるスパッタリングターゲット材(以下では、単に「ターゲット材」とも言う。)について説明する。
ターゲット材は、所定量のNiと、所定量のZnと、を含み、標準電極電位がZnの標準電極電位よりも卑な金属をさらに含み、残部がCu及び不可避不純物からなる銅合金で形成されている。
ターゲット材の母材としては、例えば純度が99.9%以上の無酸素銅(OFC:Oxygen Free Copper)等を用いるとよい。
ターゲット材は、標準電極電位がZnの標準電極電位よりも卑な金属(以下では単に「卑な金属」とも言う。)を含んでいる。本実施形態における標準電極電位とは、酸化等を受けず、理想的な金属状態にある金属の標準状態における還元電位である。
卑な金属の含有量(濃度)は、例えば0.05mass%以上5mass%以下であることが好ましい。卑な金属として複数種の金属が用いられる場合は、卑な金属の含有量とは、卑な金属の合計含有量である。
卑な金属の含有量が0.05mass%未満であると、ターゲット材を用いて成膜したスパッタ膜(例えば第1及び第2の保護層4A,4B、以下では単に「スパッタ膜」とも言う。)に対してウェットエッチングを行った後のエッチング残りを抑制できないことがある。例えば、ウェットエッチングを行う際に使用するエッチング液によっては、ウェットエッチング後のエッチング残りを抑制できないことがある。卑な金属の含有量を0.05mass%以上にすることで、スパッタ膜のエッチングレートを高くでき、エッチング残りを抑制できる。
卑な金属の含有量が5mass%を超えると、エッチングレートが高くなりすぎてしまうことがある。このため、使用するエッチング液によっては、スパッタ膜(例えば第1及び第2の保護層4A,4B)にオーバーエッチングが発生してしまうことがある。また、銅合金中で生成される金属間化合物の量が多くなってしまうことがある。例えば、銅合金中で、卑な金属と、Cu、Ni、Znとが反応して生成される金属間化合物の量が増えてしまうことがある。このような金属間化合物の量が増えてしまうと、銅合金の硬度が高くなってしまい、ターゲット材を形成する際の加工性(圧延加工性)が低下してしまうことがある。卑な金属の含有量を5mass%以下にすることで、スパッタ膜のオーバーエッチングの発生を抑制できるとともに、ターゲット材を形成する際の加工性の低下を抑制できる。
卑な金属として、常磁性を有する金属が用いられるとよい。例えば、卑な金属として、マンガン(Mn)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)のうちの少なくとも1つが用いられるとよい。これらの卑な金属の中でも、単独でエッチングされやすい金属が用いられるとよりよい。例えば、Mg、Al、Tiのうちの少なくとも1つが用いられるとより好ましい。各金属の標準電極電位は、下記の表1に示す通りである。
ターゲット材中にNiとZnとの両方を含有させることで、NiとZnとの相乗効果により、Ni、Znのそれぞれの含有量を増やすことなく、ターゲット材を用いて成膜したスパッタ膜の性能を向上させることができる。例えば、上述の第1及び第2の保護層4A,4Bの主導電層2を保護する性能を向上させることができる。つまり、ターゲット材中のNiとZnとの合計含有量を、Niのみ(又はZnのみ)を含有させたときのNi(又はZn)の含有量よりも少なくしても、ターゲット材中にNiのみ(又はZnのみ)を含有した場合よりも、第1及び第2の保護層4A,4Bの保護性能を向上させることができる。
ターゲット材中のNiの含有量(濃度)は、例えば30mass%以上45mass%以下、好ましくは35mass%以上40mass%以下であるとよい。
Niの含有量が30mass%未満であると、スパッタ膜の所望の性能が得られないことがある。例えば、第1及び第2の保護層4A,4Bの所望の保護性能が得られず、第1及び第2の保護層4A,4Bを設けても、主導電層2が酸化してしまうことがある。Niの含有量を30mass%以上にすることで、所望のスパッタ膜の性能を得ることができる。Niの含有量を35mass%以上にすることで、スパッタ膜の性能をより向上させることができる。
しかしながら、Niの含有量が45mass%を超えると、スパッタ膜のエッチングレートが著しく低下してしまうことがある。例えば、ウェットエッチングを行う際に使用するエッチング液によっては、ウェットエッチングを行った後のスパッタ膜のエッチング残りを抑制できないことがある。また、磁性を有するNiの含有量が多くなるため、ターゲット材の透磁率が著しく低下し、スパッタレートが著しく低下してしまうことがある。Niの含有量を45mass%以下にすることで、スパッタ膜の所望の性能を維持しつつ、エッチングレートの低下を抑制し、エッチング残りを抑制できる。また、ターゲット材の透磁率の低下を抑制できる。Niの含有量を40mass%以下にすることで、スパッタ膜の所望の性能を維持しつつ、エッチング残りをより抑制できる。また、ターゲット材の透磁率の低下をより抑制できる。
ターゲット材中のZnの含有量(濃度)は、例えば10mass%以上30mass%以下、好ましくは20mass%以上25mass%以下であるとよい。
Znの含有量が10mass%未満であると、Niの含有量を増やさなければ、スパッタ膜の所望の性能が得られないことがある。Znの含有量を10mass%以上にすることで、Niの含有量を増やすことなく、スパッタ膜の所望の性能を得ることができる。Znの含有量を20mass%以上にすることで、スパッタ膜の性能をより向上させることができる。
しかしながら、Znの含有量が30mass%を超えると、ターゲット材中に生成される金属間化合物(例えばCuZn(β’相)やCu5Zn8(γ相))の量が多くなってしまうことがある。このような金属間化合物は、例えば圧延時に加熱されると酸化して脆化してしまう。従って、ターゲット材の加工性が低下してしまうことがある。例えば、ターゲット材の延性が低下し、熱間圧延や冷間圧延等の圧延時に被圧延材に割れが発生してしまうことがある。Znの含有量を30mass%以下にすることで、スパッタ膜の所望の性能を維持しつつ、ターゲット材の加工性の低下を抑制できる。Znの含有量を25mass%以下にすることで、スパッタ膜の所望の性能を維持しつつ、ターゲット材の加工性の低下をより抑制できる。
ターゲット材は、Ni及びZnの含有量がそれぞれ上述の所定範囲内であって、かつ、Niの含有量及びZnの含有量の合計(Ni及びZnの合計含有量)が例えば55mass%以上65mass%以下、好ましくは57mass%以上62mass%以下であるとよい。
Ni及びZnの合計含有量が55mass%未満であると、スパッタ膜の所望の性能が得られないことがある。Ni及びZnの合計含有量を55mass%以上にすることで、スパッタ膜の所望の性能を得ることができる。Ni及びZnの合計含有量を57mass%以上にすることで、スパッタ膜の性能をより向上させることができる。
しかしながら、Ni及びZnの合計含有量が65mass%を超えると、スパッタ膜のエッチングレートが著しく低下してしまうことがある。Ni及びZnの合計含有量を65mass%以下にすることで、スパッタ膜の所望の性能を維持しつつ、スパッタ膜のエッチングレートの低下を抑制できる。Ni及びZnの合計含有量を62mass%以上にすることで、スパッタ膜の所望の性能を維持しつつ、スパッタ膜のエッチングレートの低下をより抑制できる。
(3)スパッタリングターゲット材の製造方法
次に、本実施形態にかかるスパッタリングターゲット材の製造方法について、溶解鋳造法を例示して説明する。
次に、本実施形態にかかるスパッタリングターゲット材の製造方法について、溶解鋳造法を例示して説明する。
(鋳造工程)
まず、母材としての例えば純度が99.9%以上である無酸素銅を例えば高周波溶解炉等を用いて溶解して銅の溶湯を生成する。続いて、銅の溶湯中に、所定量のNiと、所定量のZnと、を添加し、標準電極電位がZnの標準電極電位よりも卑な金属をさらに添加して混合し、銅合金の溶湯を生成する。このとき、卑な金属の含有量が例えば0.05mass%以上5mass%以下になるように、添加量を調整するとよい。また、Niの含有量が例えば30mass%以上45mass%以下になり、Znの含有量が例えば10mass%以上30mass%以下になり、Ni及びZnの合計含有量が例えば55mass%以上65mass%以下になるように、Ni、Znの添加量をそれぞれ調整するとより好ましい。そして、生成した銅合金の溶湯を鋳型に注いで(出湯して)冷却し、卑な金属と、所定量のNiと、所定量のZnと、を含有する銅合金の鋳塊を鋳造する。
まず、母材としての例えば純度が99.9%以上である無酸素銅を例えば高周波溶解炉等を用いて溶解して銅の溶湯を生成する。続いて、銅の溶湯中に、所定量のNiと、所定量のZnと、を添加し、標準電極電位がZnの標準電極電位よりも卑な金属をさらに添加して混合し、銅合金の溶湯を生成する。このとき、卑な金属の含有量が例えば0.05mass%以上5mass%以下になるように、添加量を調整するとよい。また、Niの含有量が例えば30mass%以上45mass%以下になり、Znの含有量が例えば10mass%以上30mass%以下になり、Ni及びZnの合計含有量が例えば55mass%以上65mass%以下になるように、Ni、Znの添加量をそれぞれ調整するとより好ましい。そして、生成した銅合金の溶湯を鋳型に注いで(出湯して)冷却し、卑な金属と、所定量のNiと、所定量のZnと、を含有する銅合金の鋳塊を鋳造する。
(圧延工程)
鋳造工程が終了した後、鋳塊を所定温度(例えば700℃以上)で所定時間(例えば2時間)加熱して、所定の加工度(例えば総加工度90%)で熱間圧延を行い、所定厚さ(例えば10mm)の熱間圧延材を形成する。その後、熱間圧延材に所定の加工度で1回又は複数回の冷間圧延と、必要に応じて1回又は複数回の焼鈍処理とを行い、所定厚さ(例えば8mm)の冷間圧延材(つまりターゲット素材)を形成する。
鋳造工程が終了した後、鋳塊を所定温度(例えば700℃以上)で所定時間(例えば2時間)加熱して、所定の加工度(例えば総加工度90%)で熱間圧延を行い、所定厚さ(例えば10mm)の熱間圧延材を形成する。その後、熱間圧延材に所定の加工度で1回又は複数回の冷間圧延と、必要に応じて1回又は複数回の焼鈍処理とを行い、所定厚さ(例えば8mm)の冷間圧延材(つまりターゲット素材)を形成する。
(切削工程)
圧延工程が終了した後、例えばNCフライスを用い、冷間圧延材(ターゲット素材)が所定形状(例えば厚さが5mmであって、直径が100mmの円板形状)となるように切削加工を行う。これにより、本実施形態に係るスパッタリングターゲット材が製造される。
圧延工程が終了した後、例えばNCフライスを用い、冷間圧延材(ターゲット素材)が所定形状(例えば厚さが5mmであって、直径が100mmの円板形状)となるように切削加工を行う。これにより、本実施形態に係るスパッタリングターゲット材が製造される。
(4)本実施形態にかかる効果
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
(a)本実施形態によれば、ターゲット材は、所定量のNiと、所定量のZnと、を含み、標準電極電位がZnの標準電極電位よりも卑な金属をさらに含み、残部がCu及び不可避不純物で形成されている。これにより、本実施形態にかかるターゲット材を用いて成膜されるスパッタ膜の標準電極電位を、Ni及びZnのみを含むターゲット材を用いて成膜される膜の標準電極電位よりも低くできる。つまり、スパッタ膜のエッチングレートを向上させることができる。従って、本実施形態にかかるターゲット材を用いて成膜したスパッタ膜に対してウェットエッチングを行うと、ウェットエッチング後のエッチング残りを抑制できる。
例えば、スパッタ膜に対してウェットエッチングを行う際、エッチング液として、過硫酸アンモニウムを1mol/Lの割合で含む水溶液、硫酸を0.72mol/Lの割合で含み、過酸化水素を1mol/Lの割合で含む水溶液、塩化アンモニウムを4.9mol/Lの割合で含み、アンモニアを16.5mol/Lの割合で含む水溶液のうちのいずれを用いても、ウェットエッチングを行った後のエッチング残りを抑制できる。具体的には、エッチング特性がそれぞれ異なる上記のいずれのエッチング液を用いた場合であっても、純銅膜(純Cu膜)のエッチングレートに対するスパッタ膜のエッチングレートの比を0.5以上、好ましくは0.7以上にできる。
(b)本実施形態にかかるターゲット材を用いて例えば第1及び第2の保護層4A,4Bを成膜して配線積層体10が形成されると、主導電層2と、第1及び第2の保護層4A,4Bとの所定箇所を除去して銅配線(配線パターン)を形成するウェットエッチングを行った後、第1及び第2の保護層4A,4Bのエッチング残りを抑制できる。従って、高精細な銅配線を形成できる。また、銅配線の信頼性をより向上させることができる。また、第2の保護層4B上に形成される絶縁膜3のカバレッジ性を向上させることができる。このように、本実施形態は、ターゲット材が配線積層体10の保護層を成膜する際に用いられる場合に特に有効である。
(c)スパッタ膜のエッチングレートを高くすることで、配線積層体10が備える第1及び第2の保護層4A,4Bと、主導電層2である純Cu膜と、のエッチングレートの差を小さくできる。これにより、ウェットエッチングを行う際、主導電層2を形成するCuが、第1及び第2の保護層4A,4Bを形成する銅合金よりも先にエッチング液に溶出してしまうことを抑制できる。つまり、ウェットエッチングを行った後の第1及び第2の保護層4A,4Bのエッチング残りをより抑制できる。従って、上記(b)の効果をより得ることができる。
(d)ターゲット材中の卑な金属の含有量を0.05mass%以上5mass%以下にすることで、スパッタ膜に対してウェットエッチングを行った後のエッチング残りをより抑制できるとともに、エッチングレートが高くなりすぎることを抑制できる。従って、配線積層体10を形成して銅配線を形成した際、第1及び第2の保護層4A,4Bにオーバーエッチングが発生することを抑制できる。これにより、より高精細な銅配線を形成できる。つまり、上記(b)の効果をより得ることができる。また、卑な金属を含有させることによる銅合金の硬化を抑制できる。従って、ターゲット材の加工性(圧延加工性)が低下することを抑制できる。例えば、ターゲット材を製造する工程において、冷間圧延処理等の圧延処理を行った際に、被圧延材に割れ等が発生してしまうことを抑制できる。
(e)卑な金属として、常磁性を有する金属が用いられることで、ターゲット材の透磁率が低下することを抑制できる。つまり、スパッタレートが低下してしまうことを抑制できる。これにより、例えば配線積層体10の生産性を向上させることができる。
(f)卑な金属として、Mn、Zr、Ti、Al、Mg、Caのうちの少なくとも1つが用いられることで、スパッタ膜に対してウェットエッチングを行った後のエッチング残りをより抑制できる。卑な金属は、ターゲット材を形成する銅合金中でCu、Ni、Znの金属原子と結合する。従って、ターゲット材中には、酸化物が殆ど生成されず、ターゲット材中の酸化物の量を低減できる。これにより、スパッタ膜中に混入する酸化物の量を低減できる。つまり、スパッタ膜中の酸素濃度を低減できる。従って、スパッタ膜のエッチングレートの低下をより抑制できる。その結果、上記(a)〜(c)の効果をより得ることができる。また、ターゲット材中にNiとZnとを含有させることによるスパッタ膜の性能の向上効果が阻害されてしまうことを抑制できる。
(g)また、スパッタ膜中の酸素濃度が低減されることで、スパッタ膜の性能を向上させることができる。例えば、ターゲット材を用いて、上述の第1及び第2の保護層4A,4Bが成膜されて配線積層体10が形成された場合、第1及び第2の保護層4A,4Bの主導電層2を保護する性能を向上させることができる。具体的には、第1及び第2の保護層4A,4B中のO元素が主導電層2内に侵入し、主導電層2が酸化されてしまうことを抑制できる。その結果、銅配線の抵抗値の上昇を抑制できる。
(h)ターゲット材中にMn等の卑な金属を含有させることで、スパッタ膜の性能をより向上させることができる。スパッタ膜中では、Mn等の卑な金属はいずれも、O元素と結合しやすい。従って、スパッタ膜中にO元素が混入してしまった場合、スパッタ膜中では、Mn等の卑な金属がO元素を捕え(トラップし)、卑な金属とO元素とがスパッタ膜内で結合する。従って、ターゲット材を用いて、例えば上述の第1及び第2の保護層4A,4Bを成膜すると、第1及び第2の保護層4A,4Bの主導電層2を保護する性能をより向上させることができる。具体的には、第1及び第2の保護層4A,4B中のO元素が主導電層2内に侵入することをより抑制できる。従って、上記(g)の効果をより得ることができる。
(i)卑な金属として、Mg、Al、Tiのうちの少なくとも1つが用いられることで、スパッタ膜のエッチングレートをより向上させることができる。従って、上記(a)〜(c)の効果をより得ることができる。また、スパッタ膜の表面に緻密な酸化膜が形成されやすくなる。この酸化膜が腐食防止膜として機能するため、スパッタ膜の耐食性を向上させることができる。
(j)ターゲット材中のNiの含有量を例えば30mass%以上45mass%以下にし、Znの含有量を例えば10mass%以上30mass%以下にし、Ni及びZnの合計含有量を55mass%以上65mass%以下にすることで、スパッタ膜のエッチングレートの低下をより抑制できる。従って、上記(a)〜(c)の効果をより得ることができる。また、ターゲット材のスパッタレートの低下をより抑制できる。従って、上記(e)の効果をより得ることができる。
(k)ターゲット材中に所定量のNiと所定量のZnとを含有させることで、NiとZnとの相乗効果により、Ni、Znのそれぞれの含有量を増やすことなく(つまりNiとZnとの合計含有量を低減しても)、スパッタ膜の性能をより向上させることができる。例えば、ターゲット材を用いて、上述の第1及び第2の保護層4A,4Bを成膜すると、第1及び第2の保護層4A,4Bの主導電層2を保護する性能をより向上させることができる。具体的には、第1及び第2の保護層4A,4Bによって、主導電層2が酸化することをより抑制できるとともに、主導電層2が腐食してしまうことを抑制できる。例えば、温度が85℃であり、湿度が85%である環境下で500時間程度の暴露試験を行った後であっても、主導電層が変色したり、主導電層の抵抗が上昇してしまうことを抑制できる。
(l)ターゲット材を形成する銅合金の母材として、無酸素銅(例えば純度が99.9%以上の無酸素銅)を用いることで、スパッタ膜中の酸素濃度をより低減できる。従って、上記(f)(g)の効果をより得ることができる。
(m)本実施形態にかかるターゲット材を用いて第1の保護層4Aを形成することで、基板1が備え、IGZO等の酸化物半導体で形成される半導体層が有するO元素が主導電層2の方へ拡散した場合であっても、第1の保護層4AでO元素が捉えられる。これにより、主導電層2内へO元素が侵入してしまうことをより抑制できる。このように、本実施形態は、半導体層が酸化物半導体で形成されている場合に、特に有効である。
(n)本実施形態にかかるターゲット材を用いて第2の保護層4Bを形成することで、SiO2膜等の酸化膜で形成される絶縁膜3の成膜の際に用いられる酸素含有ガスが第2の保護層4Bに接触して第2の保護層4B中にO元素が侵入した場合であっても、第2の保護層4B中のO元素が主導電層2へ拡散することを抑制できる。従って、主導電層2が酸化することをより抑制できる。また、絶縁膜3が有するO元素が主導電層2の方へ拡散した場合であっても、第2の保護層4BでO元素が捉えられる。従って、主導電層2中にO元素が侵入することをより抑制できる。このように、本実施形態は、絶縁膜3が酸化膜で形成される場合に特に有効である。具体的には、絶縁膜3の成膜の際、酸素含有ガスを用いる場合に有効である。つまり、本実施形態は、絶縁膜3として例えばSiN膜等の非酸素含有膜を用いることができない高性能FPD用の配線積層体10に用いられる場合に特に有効である。
(本発明の他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
以上、本発明の一実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
上述の実施形態では、TFTの配線材に用いられる配線積層体10について説明したが、これに限定されない。例えば、タッチパネルセンサの配線材に用いられる配線積層体10であっても、上述の効果が得られる。具体的には、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム基板からなる基板1と、基板1上に設けられる第1の保護層4Aと、第1の保護層4A上に設けられる主導電層2と、主導電層2上に設けられる第2の保護層4Bと、第2の保護層4B上に設けられ、例えばITO層からなる透明導電層と、を備える配線積層体であってもよい。
上述の実施形態では、保護層として、第1の保護層4A及び第2の保護層4Bを設けたが、これに限定されない。例えば、第1の保護層4A又は第2の保護層4Bのいずれかが設けられていればよい。
上述の実施形態は、基板1が備える半導体層が、酸化物半導体で形成される場合に特に有効である。しかしながら、半導体層がアモルファスシリコン等で形成されていてもよい。
上述の実施形態では、溶解鋳造法によりスパッタリングターゲット材を製造する方法について説明したが、これに限定されない。例えば、Cu、Ni、Znの粉末を使用する粉末焼結法や、Cu、Ni、Znの粉末を不活性ガスで高速で吹き付けて堆積させるコールドスプレー法を用いても良い。
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<試料の作製>
まず、試料1〜46の各試料であるスパッタリングターゲット材を作製した。
まず、試料1〜46の各試料であるスパッタリングターゲット材を作製した。
(試料1)
試料1では、まず、純度が99.9%以上の無酸素銅と、純度が99.9%であるZnブロック(Znの塊)と、を用意し、高周波溶解炉で無酸素銅と所定量のZnブロックとを1050℃以上1100℃以下に加熱して溶解してCuZn溶湯を生成した。そして、高周波溶解炉によるCuZn溶湯の加熱を維持しつつ、純度が99.9%であるNiブロック(Niの塊)と、卑な金属としての純度が99.9%であるMnフレークと、をそれぞれ所定量ずつCuZn溶湯中に添加(投入)し、Niブロック及びMnフレークを溶解して混合し、銅合金の溶湯を生成した。その後、銅合金の溶湯を鋳型に注いで冷却し、Niの含有量が40mass%、Znの含有量が20mass%、Ni及びZnの合計含有量が60mass%であり、Mnの含有量が2mass%であり、残部がCu及び不可避不純物からなる銅合金(Cu−40Ni−20Zn−2Mn)の鋳塊(インゴット)を鋳造した。得られたインゴットを800℃で2時間加熱した後、総加工度が90%の熱間圧延を行い、厚さが10mmである熱間圧延材を作製した。続いて、所定の加工度の冷間圧延を所定回数行い、厚さが8mmである冷間圧延材(ターゲット素材)を作製した。そして、NCフライスにより冷間圧延材に切削加工を行い、厚さが5mmであって直径が100mmである円形状のターゲット材を作製した。これを試料1とした。
試料1では、まず、純度が99.9%以上の無酸素銅と、純度が99.9%であるZnブロック(Znの塊)と、を用意し、高周波溶解炉で無酸素銅と所定量のZnブロックとを1050℃以上1100℃以下に加熱して溶解してCuZn溶湯を生成した。そして、高周波溶解炉によるCuZn溶湯の加熱を維持しつつ、純度が99.9%であるNiブロック(Niの塊)と、卑な金属としての純度が99.9%であるMnフレークと、をそれぞれ所定量ずつCuZn溶湯中に添加(投入)し、Niブロック及びMnフレークを溶解して混合し、銅合金の溶湯を生成した。その後、銅合金の溶湯を鋳型に注いで冷却し、Niの含有量が40mass%、Znの含有量が20mass%、Ni及びZnの合計含有量が60mass%であり、Mnの含有量が2mass%であり、残部がCu及び不可避不純物からなる銅合金(Cu−40Ni−20Zn−2Mn)の鋳塊(インゴット)を鋳造した。得られたインゴットを800℃で2時間加熱した後、総加工度が90%の熱間圧延を行い、厚さが10mmである熱間圧延材を作製した。続いて、所定の加工度の冷間圧延を所定回数行い、厚さが8mmである冷間圧延材(ターゲット素材)を作製した。そして、NCフライスにより冷間圧延材に切削加工を行い、厚さが5mmであって直径が100mmである円形状のターゲット材を作製した。これを試料1とした。
(試料2〜46)
試料2〜45では、ターゲット材を形成する銅合金(インゴット)の組成が下記の表2に示す通りとなるように、Niブロックの添加量と、Znブロックの添加量と、卑な金属としてのMnフレーク、Zrブロック、Tiブロック、Alブロック、Mgブロック、Caブロックの添加量と、をそれぞれ調整した。Mnフレーク、Zrブロック、Tiブロック、Alブロック、Mgブロック、Caブロックの純度はそれぞれ、99.9%である。その他は、実施例1と同様にして、ターゲット材を作製した。これらをそれぞれ、試料2〜45とした。試料46では、Niブロック、Znブロック、卑な金属のいずれも添加せず、無酸素銅のみを用いた。その他は、実施例1と同様にして、Cu及び不可避不純物からなる銅からなるターゲット材(純Cuターゲット材)を作製した。これを試料46とした。
試料2〜45では、ターゲット材を形成する銅合金(インゴット)の組成が下記の表2に示す通りとなるように、Niブロックの添加量と、Znブロックの添加量と、卑な金属としてのMnフレーク、Zrブロック、Tiブロック、Alブロック、Mgブロック、Caブロックの添加量と、をそれぞれ調整した。Mnフレーク、Zrブロック、Tiブロック、Alブロック、Mgブロック、Caブロックの純度はそれぞれ、99.9%である。その他は、実施例1と同様にして、ターゲット材を作製した。これらをそれぞれ、試料2〜45とした。試料46では、Niブロック、Znブロック、卑な金属のいずれも添加せず、無酸素銅のみを用いた。その他は、実施例1と同様にして、Cu及び不可避不純物からなる銅からなるターゲット材(純Cuターゲット材)を作製した。これを試料46とした。
<評価>
試料1〜46の各試料をターゲット材として用い、スパッタリングにより成膜したそれぞれのスパッタ膜(合金膜、純Cu膜)について、エッチング特性、スパッタ膜の性能の評価を行った。また、試料1〜46の各試料のスパッタレート、及び加工性の評価を行った。
試料1〜46の各試料をターゲット材として用い、スパッタリングにより成膜したそれぞれのスパッタ膜(合金膜、純Cu膜)について、エッチング特性、スパッタ膜の性能の評価を行った。また、試料1〜46の各試料のスパッタレート、及び加工性の評価を行った。
(スパッタリング方法)
試料1〜46の各試料を用いてスパッタリングにより、スパッタ膜(合金膜、純Cu膜)を成膜する方法を説明する。スパッタリングを行うスパッタ装置として、アルバック株式会社製のSH−350を用いた。各試料をそれぞれ、バッキングプレートに接合した状態で、スパッタリング装置に取付けた。具体的には、各試料と純銅製のバッキングプレートとをそれぞれ、溶かしたインジウム(In)を介して接合してスパッタリング装置に取付けた。そして、各試料をターゲット材として用いてスパッタリングを行い、50mm×50mmのガラス基板上に所定厚さのスパッタ膜を成膜した。なお、スパッタ条件は、出力を1kW(DC)とし、スパッタガスとしてアルゴン(Ar)ガスを用い、ガス圧(スパッタリングを行うチャンバ内の圧力)を0.5Paとした。
試料1〜46の各試料を用いてスパッタリングにより、スパッタ膜(合金膜、純Cu膜)を成膜する方法を説明する。スパッタリングを行うスパッタ装置として、アルバック株式会社製のSH−350を用いた。各試料をそれぞれ、バッキングプレートに接合した状態で、スパッタリング装置に取付けた。具体的には、各試料と純銅製のバッキングプレートとをそれぞれ、溶かしたインジウム(In)を介して接合してスパッタリング装置に取付けた。そして、各試料をターゲット材として用いてスパッタリングを行い、50mm×50mmのガラス基板上に所定厚さのスパッタ膜を成膜した。なお、スパッタ条件は、出力を1kW(DC)とし、スパッタガスとしてアルゴン(Ar)ガスを用い、ガス圧(スパッタリングを行うチャンバ内の圧力)を0.5Paとした。
(エッチング特性の評価方法)
ターゲット材として試料1〜46の各試料を用い、上述のスパッタリング方法により、50mm×50mmのガラス基板上に、厚さが300nmのスパッタ膜(合金膜、純Cu膜)をそれぞれ成膜した。続いて、試料1〜46の各試料を用いて成膜したそれぞれのスパッタ膜(各スパッタ膜)について、エッチングレートを測定した。まず、過硫酸アンモニウム(APS)を1mol/Lの割合で含む水溶液(APS水溶液)であるエッチング液に、各スパッタ膜がそれぞれ成膜された各ガラス基板を浸漬し、各スパッタ膜がガラス基板上から完全になくなるまでに要した時間(エッチング時間)を測定した。その後、スパッタ膜の厚さ(300nm)を測定したエッチング時間で除して、各スパッタ膜のエッチングレート(nm/s)を算出した。続いて、下記(式1)により、純Cu膜のエッチングレートに対する各合金膜等のエッチングレートの比(エッチングレート比)を算出した。なお、純Cu膜のエッチングレートとして、試料46を用いて成膜した純Cu膜のエッチングレートを用いた。
(式1)
エッチングレート比=スパッタ膜のエッチングレート/純Cu膜のエッチングレート
ターゲット材として試料1〜46の各試料を用い、上述のスパッタリング方法により、50mm×50mmのガラス基板上に、厚さが300nmのスパッタ膜(合金膜、純Cu膜)をそれぞれ成膜した。続いて、試料1〜46の各試料を用いて成膜したそれぞれのスパッタ膜(各スパッタ膜)について、エッチングレートを測定した。まず、過硫酸アンモニウム(APS)を1mol/Lの割合で含む水溶液(APS水溶液)であるエッチング液に、各スパッタ膜がそれぞれ成膜された各ガラス基板を浸漬し、各スパッタ膜がガラス基板上から完全になくなるまでに要した時間(エッチング時間)を測定した。その後、スパッタ膜の厚さ(300nm)を測定したエッチング時間で除して、各スパッタ膜のエッチングレート(nm/s)を算出した。続いて、下記(式1)により、純Cu膜のエッチングレートに対する各合金膜等のエッチングレートの比(エッチングレート比)を算出した。なお、純Cu膜のエッチングレートとして、試料46を用いて成膜した純Cu膜のエッチングレートを用いた。
(式1)
エッチングレート比=スパッタ膜のエッチングレート/純Cu膜のエッチングレート
また、エッチング液として、硫酸を0.72mol/Lの割合で含み、過酸化水素を1mol/Lの割合で含む水溶液(硫酸―過酸化水素水溶液)、塩化アンモニウム(NH4Cl)を4.9mol/Lの割合で含み、アンモニア(NH3)を16.5mol/Lの割合で含む水溶液(NH4Cl―NH3水溶液)をそれぞれ用い、上述と同様の方法で、各スパッタ膜についてそれぞれ、エッチングレート及びエッチングレート比を算出した。
各エッチング液における各スパッタ膜のエッチングレート及びエッチングレート比の算出結果をそれぞれ、下記の表2に示す。エッチングレート(エッチングレート比)の値が高くなるほど、スパッタ膜が良好なエッチング特性を有することを示している。本実施例では、各エッチング液での、エッチングレート比の値が0.5以上のスパッタ膜の成膜に用いた試料を合格(○)とした。また、APS水溶液、硫酸―過酸化水素水溶液、NH4Cl―NH3水溶液のいずれのエッチング液を用いた場合であっても、エッチングレート比の値が0.5以上であるスパッタ膜の成膜に用いた試料のエッチング特性の総合評価を合格(○)とした。
(スパッタ膜の性能の評価方法)
ターゲット材として試料46の試料を用い、上述のスパッタリング方法により、50mm×50mmのガラス基板上に、厚さが1000nmの純Cu膜を成膜した。次に、ターゲット材として試料1〜45の各試料をそれぞれ用いて、上述のスパッタリング方法により、純Cu膜上に厚さが50nmであるスパッタ膜(合金膜)をそれぞれ成膜して、純Cu膜と合金膜との積層膜を成膜した。なお、ターゲット材として試料46のみを用いる場合、50mm×50mmのガラス基板上に、厚さが1000nmの純Cu膜のみを成膜した。
ターゲット材として試料46の試料を用い、上述のスパッタリング方法により、50mm×50mmのガラス基板上に、厚さが1000nmの純Cu膜を成膜した。次に、ターゲット材として試料1〜45の各試料をそれぞれ用いて、上述のスパッタリング方法により、純Cu膜上に厚さが50nmであるスパッタ膜(合金膜)をそれぞれ成膜して、純Cu膜と合金膜との積層膜を成膜した。なお、ターゲット材として試料46のみを用いる場合、50mm×50mmのガラス基板上に、厚さが1000nmの純Cu膜のみを成膜した。
続いて、試料1〜46の各試料を用いて成膜した積層膜、純Cu膜(以下では「各積層膜等」とも言う。)のそれぞれについて、ファン・デル・パウ(van der Pauw)法により電気抵抗(μΩcm)を測定した。具体的には、各積層膜等の四隅をそれぞれ含む3mm角のエリア内にそれぞれ電極としての針を立てて、電気抵抗を測定した。このときの電気抵抗の測定値をそれぞれ、加熱前の電気抵抗とした。また、大気中にて、ホットプレートで400℃で所定時間(例えば30分)、各積層膜等を加熱した後、ファン・デル・パウ法により各積層膜等の電気抵抗を測定した。このときの電気抵抗の測定値をそれぞれ、加熱後の電気抵抗とした。そして、下記(式2)により各積層膜等の電気抵抗の上昇率(%)をそれぞれ算出した。
(式2)
電気抵抗の上昇率(%)=((加熱後の電気抵抗―加熱前の電気抵抗)/加熱前の電気抵抗)×100
(式2)
電気抵抗の上昇率(%)=((加熱後の電気抵抗―加熱前の電気抵抗)/加熱前の電気抵抗)×100
各積層膜等の加熱前の電気抵抗、加熱後の電気抵抗、及び電気抵抗の上昇率(%)をそれぞれ、下記の表3に示す。電気抵抗の上昇率の値が小さいほど、合金膜の性能が良いことを示している。つまり、電気抵抗の上昇率の値が小さいほど、合金膜によって純Cu膜が保護されていることを示している。例えば、合金膜によって純Cu膜内へのO元素の侵入が抑制され、純Cu膜の酸化が抑制されていることを示している。本実施例では、電気抵抗の上昇率が7%未満である積層膜の成膜に用いた試料を合格(○)とした。
(スパッタレートの評価方法)
50mm×50mmのガラス基板上に、3mm×3mmの開口(窓)を形成したステンレス製のマスクを載置した。そして、ターゲット材として試料1〜46の各試料を用い、上述のスパッタリング方法により、1分間スパッタリングを行い、ガラス基板上にスパッタ膜(合金膜、純Cu膜)をそれぞれ成膜した。その後、ガラス基板上からマスクを取り除いた。そして、株式会社キーエンス製のレーザ顕微鏡VK−8700を用い、試料1〜46の各試料を用いて成膜したそれぞれのスパッタ膜(各スパッタ膜)の膜厚を測定した。その後、各スパッタ膜の膜厚をスパッタ時間(1分)で除して、各試料であるターゲット材のスパッタレート(nm/min)を算出した。続いて、下記(式3)により、純Cuターゲット材のスパッタレートに対する各試料のスパッタレートの比(スパッタレート比)を算出した。なお、純Cuターゲット材のスパッタレートとして、試料46のスパッタレートを用いた。
(式3)
スパッタレート比=各試料のスパッタレート/純Cuターゲット材のスパッタレート
50mm×50mmのガラス基板上に、3mm×3mmの開口(窓)を形成したステンレス製のマスクを載置した。そして、ターゲット材として試料1〜46の各試料を用い、上述のスパッタリング方法により、1分間スパッタリングを行い、ガラス基板上にスパッタ膜(合金膜、純Cu膜)をそれぞれ成膜した。その後、ガラス基板上からマスクを取り除いた。そして、株式会社キーエンス製のレーザ顕微鏡VK−8700を用い、試料1〜46の各試料を用いて成膜したそれぞれのスパッタ膜(各スパッタ膜)の膜厚を測定した。その後、各スパッタ膜の膜厚をスパッタ時間(1分)で除して、各試料であるターゲット材のスパッタレート(nm/min)を算出した。続いて、下記(式3)により、純Cuターゲット材のスパッタレートに対する各試料のスパッタレートの比(スパッタレート比)を算出した。なお、純Cuターゲット材のスパッタレートとして、試料46のスパッタレートを用いた。
(式3)
スパッタレート比=各試料のスパッタレート/純Cuターゲット材のスパッタレート
各試料のスパッタレート及びスパッタレート比をそれぞれ、下記の表3に示す。本実施例では、スパッタレート比の値が0.7以上であった試料を合格(○)とした。
(加工性の評価方法)
また、各試料であるターゲット材の加工性についての評価を行った。具体的には、各試料であるターゲット材を作製する際に、各試料(各試料のエッジ部分)に割れが発生しないか否かを評価した。割れが発生しなかった試料を「無」とし、割れが発生した試料を「有」とし、その評価結果を下記の表3に示す。割れが発生しなかった試料を合格とした。
また、各試料であるターゲット材の加工性についての評価を行った。具体的には、各試料であるターゲット材を作製する際に、各試料(各試料のエッジ部分)に割れが発生しないか否かを評価した。割れが発生しなかった試料を「無」とし、割れが発生した試料を「有」とし、その評価結果を下記の表3に示す。割れが発生しなかった試料を合格とした。
(総合評価)
スパッタ膜のエッチング特性の評価(総合評価)、スパッタ膜の性能の評価、スパッタレートの評価、及び加工性の評価のいずれの評価においても合格と判断された試料を「○」とし、いずれか1つでも不合格の評価がある試料を「×」とした。
スパッタ膜のエッチング特性の評価(総合評価)、スパッタ膜の性能の評価、スパッタレートの評価、及び加工性の評価のいずれの評価においても合格と判断された試料を「○」とし、いずれか1つでも不合格の評価がある試料を「×」とした。
<評価結果>
試料1〜39から、所定量のNiと、所定量のZnと、を含み、標準電極電位がZnの標準電極電位よりも卑な金属をさらに含み、残部がCu及び不可避不純物からなるターゲット材であると、このターゲット材を用いて成膜したスパッタ膜のエッチングレートを向上させることができることを確認した。つまり、スパッタ膜に対してウェットエッチングを行った後のエッチング残りを抑制できることを確認した。従って、このターゲット材を用いて例えば図1に示す第1及び第2の保護層4A,4Bを成膜した配線積層体では、ウェットエッチングにより銅配線を形成する際に、エッチング特性の異なる種々のエッチング液が用いられた場合であっても、エッチング残りを抑制できることを確認した。
試料1〜39から、所定量のNiと、所定量のZnと、を含み、標準電極電位がZnの標準電極電位よりも卑な金属をさらに含み、残部がCu及び不可避不純物からなるターゲット材であると、このターゲット材を用いて成膜したスパッタ膜のエッチングレートを向上させることができることを確認した。つまり、スパッタ膜に対してウェットエッチングを行った後のエッチング残りを抑制できることを確認した。従って、このターゲット材を用いて例えば図1に示す第1及び第2の保護層4A,4Bを成膜した配線積層体では、ウェットエッチングにより銅配線を形成する際に、エッチング特性の異なる種々のエッチング液が用いられた場合であっても、エッチング残りを抑制できることを確認した。
試料1〜39と試料40〜45との比較から、卑な金属が含まれているターゲット材を用いて成膜したスパッタ膜は、卑な金属が含まれていないターゲット材を用いて成膜したスパッタ膜の性能を同等以上の性能を有することを確認した。つまり、ターゲット材に卑な金属を含有させても、ターゲット材中にNi及びZnを含有させることによる効果が阻害されることがなく、スパッタ膜の性能が低下することがないことを確認した。また、卑な金属がスパッタ膜中でO元素をトラップして、卑な金属とO元素とがスパッタ膜内で結合するため、スパッタ膜の性能が向上することを確認した。従って、合金膜と純Cu膜との積層膜において、合金膜中のO元素が純Cu膜中に侵入してしまうことを抑制できることを確認した。
試料1〜39と試料40〜45との比較から、ターゲット材中に卑な金属が含まれていても、卑な金属を含有しないターゲット材と比べて、ターゲット材のスパッタレートが低下していないことを確認した。つまり、卑な金属として、常磁性を有するMn、Zr、Ti、Al、Mg、Caが用いられると、ターゲット材のスパッタレートの低下を抑制できることを確認した。
試料1〜33と試料34〜39との比較から、ターゲット材中の卑な金属の含有量が5mass%を超えると、エッチングレートが高くなりすぎてしまうことがあることを確認した。このため、このようなターゲット材を用いて例えば図1に示す第1及び第2の保護層4A,4Bが成膜された配線積層体では、ウェットエッチングにより銅配線を形成した際に、使用するエッチング液によっては、第1及び第2の保護層4A,4Bにオーバーエッチングが発生してしまうことがあることを確認した。また、ターゲット材の加工性が低下し、ターゲット材を形成する際にターゲット材に割れ等が発生することがあることを確認した。
試料40〜45から、ターゲット材中に卑な金属が含有されていないと、エッチング液によって、エッチングレートが低くなることがあることを確認した。つまり、試料40〜42では、エッチング液としてNH4Cl―NH3水溶液が用いられた場合、エッチングレートが低下し、ウェットエッチングを行った後のエッチング残りを抑制できないことがあることを確認した。また、試料43〜45では、エッチング液として、硫酸―過酸化水素水溶液、NH4Cl―NH3水溶液が用いられた場合、エッチングレートが低下し、ウェットエッチングを行った後のエッチング残りを抑制できないことがあることを確認した。
<好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
[付記1]
本発明の一態様によれば、
ニッケルと、亜鉛と、を含み、残部が銅及び不可避不純物からなるスパッタリングターゲット材であって、
前記スパッタリングターゲット材を用いて成膜したスパッタ膜に対してウェットエッチングを行った後のエッチング残りを抑制するように、標準電極電位が亜鉛の標準電極電位よりも卑な金属をさらに含んでいるスパッタリングターゲット材が提供される。
本発明の一態様によれば、
ニッケルと、亜鉛と、を含み、残部が銅及び不可避不純物からなるスパッタリングターゲット材であって、
前記スパッタリングターゲット材を用いて成膜したスパッタ膜に対してウェットエッチングを行った後のエッチング残りを抑制するように、標準電極電位が亜鉛の標準電極電位よりも卑な金属をさらに含んでいるスパッタリングターゲット材が提供される。
[付記2]
付記1のスパッタリングターゲット材であって、好ましくは、
前記卑な金属の含有量が0.05mass%以上5mass%以下である。
付記1のスパッタリングターゲット材であって、好ましくは、
前記卑な金属の含有量が0.05mass%以上5mass%以下である。
[付記3]
付記1又は2のスパッタリングターゲット材であって、好ましくは、
前記スパッタ膜は、ウェットエッチングを行う際のエッチング液として、過硫酸アンモニウムを1mol/Lの割合で含む水溶液、硫酸を0.72mol/Lの割合で含み、過酸化水素を1mol/Lの割合で含む水溶液、塩化アンモニウムを4.9mol/Lの割合で含み、アンモニアを16.5mol/Lの割合で含む水溶液のうちのいずれを用いた場合であっても、純銅膜のエッチングレートに対する前記スパッタ膜のエッチングレートの比が0.5以上になるように形成されている。
付記1又は2のスパッタリングターゲット材であって、好ましくは、
前記スパッタ膜は、ウェットエッチングを行う際のエッチング液として、過硫酸アンモニウムを1mol/Lの割合で含む水溶液、硫酸を0.72mol/Lの割合で含み、過酸化水素を1mol/Lの割合で含む水溶液、塩化アンモニウムを4.9mol/Lの割合で含み、アンモニアを16.5mol/Lの割合で含む水溶液のうちのいずれを用いた場合であっても、純銅膜のエッチングレートに対する前記スパッタ膜のエッチングレートの比が0.5以上になるように形成されている。
[付記4]
付記1ないし3のいずれかのスパッタリングターゲット材であって、好ましくは、
前記卑な金属として、常磁性を有する金属が用いられている。
付記1ないし3のいずれかのスパッタリングターゲット材であって、好ましくは、
前記卑な金属として、常磁性を有する金属が用いられている。
[付記5]
付記1ないし4のいずれかのスパッタリングターゲット材であって、好ましくは、
前記卑な金属として、マンガン、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、マグネシウム、カルシウムのうちの少なくとも1つが用いられている。
付記1ないし4のいずれかのスパッタリングターゲット材であって、好ましくは、
前記卑な金属として、マンガン、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、マグネシウム、カルシウムのうちの少なくとも1つが用いられている。
[付記6]
付記1ないし5のいずれかのスパッタリングターゲット材であって、好ましくは、
前記ニッケルの含有量が30mass%以上45mass%以下であり、前記亜鉛の含有量が10mass%以上30mass%以下であり、前記ニッケル及び前記亜鉛の合計含有量が55mass%以上65mass%以下である。
付記1ないし5のいずれかのスパッタリングターゲット材であって、好ましくは、
前記ニッケルの含有量が30mass%以上45mass%以下であり、前記亜鉛の含有量が10mass%以上30mass%以下であり、前記ニッケル及び前記亜鉛の合計含有量が55mass%以上65mass%以下である。
[付記7]
付記1ないし6のいずれかのスパッタリングターゲット材であって、好ましくは、
前記銅として、無酸素銅が用いられている。
付記1ないし6のいずれかのスパッタリングターゲット材であって、好ましくは、
前記銅として、無酸素銅が用いられている。
[付記8]
本発明の他の態様によれば、
基板と、
前記基板のいずれかの主面上に設けられ、銅で形成される主導電層と、
前記主導電層のいずれかの主面上に設けられる保護層と、を備え、
前記保護層は、ニッケルと、亜鉛と、標準電極電位が亜鉛の標準電極電位よりも卑な金属と、を含み、残部が銅及び不可避不純物からなるスパッタリングターゲット材を用いて形成されている配線積層体が提供される。
本発明の他の態様によれば、
基板と、
前記基板のいずれかの主面上に設けられ、銅で形成される主導電層と、
前記主導電層のいずれかの主面上に設けられる保護層と、を備え、
前記保護層は、ニッケルと、亜鉛と、標準電極電位が亜鉛の標準電極電位よりも卑な金属と、を含み、残部が銅及び不可避不純物からなるスパッタリングターゲット材を用いて形成されている配線積層体が提供される。
1 基板
2 主導電層
4A 第1の保護層
4B 第2の保護層
10 配線積層体
2 主導電層
4A 第1の保護層
4B 第2の保護層
10 配線積層体
Claims (6)
- ニッケルと、亜鉛と、を含み、残部が銅及び不可避不純物からなるスパッタリングターゲット材であって、
前記スパッタリングターゲット材を用いて成膜したスパッタ膜に対してウェットエッチングを行った後のエッチング残りを抑制するように、標準電極電位が亜鉛の標準電極電位よりも卑な金属をさらに含んでいる
スパッタリングターゲット材。 - 前記卑な金属の含有量が0.05mass%以上5mass%以下である
請求項1に記載のスパッタリングターゲット材。 - 前記スパッタ膜は、ウェットエッチングを行う際のエッチング液として、過硫酸アンモニウムを1mol/Lの割合で含む水溶液、硫酸を0.72mol/Lの割合で含み、過酸化水素を1mol/Lの割合で含む水溶液、塩化アンモニウムを4.9mol/Lの割合で含み、アンモニアを16.5mol/Lの割合で含む水溶液のうちのいずれを用いた場合であっても、純銅膜のエッチングレートに対する前記スパッタ膜のエッチングレートの比が0.5以上になるように形成されている
請求項1又は2に記載のスパッタリングターゲット材。 - 前記卑な金属として、マンガン、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、マグネシウム、カルシウムのうちの少なくとも1つが用いられている
請求項1ないし3のいずれかに記載のスパッタリングターゲット材。 - 前記ニッケルの含有量が30mass%以上45mass%以下であり、前記亜鉛の含有量が10mass%以上30mass%以下であり、前記ニッケル及び前記亜鉛の合計含有量が55mass%以上65mass%以下である
請求項1ないし4のいずれかに記載のスパッタリングターゲット材。 - 基板と、
前記基板のいずれかの主面上に設けられ、銅で形成される主導電層と、
前記主導電層のいずれかの主面上に設けられる保護層と、を備え、
前記保護層は、ニッケルと、亜鉛と、標準電極電位が亜鉛の標準電極電位よりも卑な金属と、を含み、残部が銅及び不可避不純物からなるスパッタリングターゲット材を用いて形成されている
配線積層体。
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