JP6207014B2 - 化合物半導体結晶の製造方法 - Google Patents

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Description

本明細書では、化合物半導体結晶の製造方法に関する技術を開示する。
化合物半導体の一つに、SiCがある。SiCの単結晶基板を生成するには、種結晶基板上にSiC結晶をエピタキシャル成長させる方法が知られている。また、種結晶基板には、SiC単結晶やサファイア単結晶を使用することが提案されている。
特開2013−124213号公報
種結晶基板に用いるSiC単結晶やサファイア単結晶は、高価であるため、SiCの単結晶基板の製造コストが増加する要因となっている。
本明細書では、第1元素と第2元素との2種類の元素を含む化合物半導体結晶の製造方法を開示する。この製造方法は、支持基板の主面に成膜されている第1元素を含む膜の表面に、第2元素の単結晶基板を接触させ、支持基板と第1元素を含む膜と第2元素の単結晶基板とが順に積層されている積層構造体を形成する第1工程を備える。また、積層構造体を第2元素の単結晶基板の融点以上に加熱した後に常温まで冷却する第2工程を備える。また、第2元素の単結晶基板の第1元素を含む膜との接触面の面方位が、第1元素を含む膜上または支持基板の主面上に成長させる化合物半導体結晶の面方位に応じた面方位に制御される。
上記方法では、第2工程によって加熱される際に、第2元素の単結晶基板の少なくとも一部が融解して融液が生成される。よって、支持基板、第1元素を含む膜、第2元素の融液、第2元素の単結晶基板の未融解部分、が順に積層した構造が形成される部分が存在する。また、第2元素の融液内に、第1元素を含む膜から第1元素が供給される。これにより、第2元素の単結晶基板の未融解部分と第2元素の融液が接触している部分を起点として、第2元素の単結晶基板の結晶面に揃うように、化合物半導体結晶を成長させることができる。また、第1元素を含む膜によって支持基板の主面を覆うことができるため、成長する化合物半導体結晶の結晶方位に対して支持基板の主面が及ぼす影響を遮断することができる。以上により、支持基板ではなく第2元素の単結晶基板によって結晶方位が制御された化合物半導体結晶を、成長させることが可能となる。従って、単結晶基板などの結晶方位が揃った高価な基板を支持基板に用いる必要がなくなるため、化合物半導体結晶の製造コストを低減することが可能となる。
本明細書に開示の技術によれば、結晶方位が制御された化合物半導体結晶を成長させる方法を提供することができる。
本実施例のSiC結晶製造装置の模式図である。 SiC結晶の製造方法のフロー図である。 積層構造体を示す図である。 坩堝の温度プロファイルのグラフである。 SiC結晶の成長過程の模式図である。 SiC結晶の成長過程の模式図である。 SiC結晶の成長過程の模式図である。 SiC結晶の成長過程の模式図である。 SiC結晶の成長過程の模式図である。
以下、本明細書で開示する実施例の技術的特徴の幾つかを記す。なお、以下に記す事項は、各々単独で技術的な有用性を有している。
(特徴1)上記の化合物半導体結晶の製造方法では、第1元素を含む膜は、物理気相成長法(PVD)によって成膜されていることが好ましい。これにより、第1元素を含む膜を効率よく形成することが可能となる。
(特徴2)上記の化合物半導体結晶の製造方法では、支持基板の融点は、第2元素の単結晶基板の融点よりも高いことが好ましい。これにより、第2工程において支持基板が融解してしまうことを防止することが可能となる。
(特徴3)上記の化合物半導体結晶の製造方法では、第1元素と第2元素を含む化合物半導体の多結晶体であることが好ましい。多結晶体は、単結晶体に比して安価であるため、化合物半導体結晶の製造コストを低減することが可能となる。また、支持基板上に成長させる化合物半導体結晶と支持基板とを同一組成にすることができるため、両者の熱膨張率を等しくすることができ、化合物半導体結晶の成長層に反りや割れなどが発生してしまう事態を防止できる。また、化合物半導体結晶の成長層に不純物が添加されてしまう事態を防止できる。
(特徴4)上記の化合物半導体結晶の製造方法では、第2工程の加熱工程では、支持基板および第1元素を含む膜を介して第2元素の単結晶基板に熱エネルギーが伝達されることが好ましい。これにより、第2工程での加熱時において、第1元素を含む膜との接触面側の温度が高くなるように、第2元素の単結晶基板に温度勾配を発生させることができる。これにより、支持基板、第1元素を含む膜、第2元素の融液、第2元素の単結晶基板の未融解部分、が順に積層した構造を形成することができる。
(特徴5)上記の化合物半導体結晶の製造方法では、第1元素はカーボンであり、第2元素はシリコンであり、化合物半導体結晶はSiCであってもよい。
(特徴6)上記の化合物半導体結晶の製造方法では、シリコンの単結晶基板のカーボンを含む膜との接触面の面方位を、第1元素を含む膜上または支持基板の主面上に成長させる3C−SiC結晶の面方位と同一になるように制御することが好ましい。これにより、シリコンの単結晶基板の面方位を制御することによって、成長させる3C−SiC結晶の面方位を制御することが可能となる。
(特徴7)上記の化合物半導体結晶の製造方法では、第2工程を実施後の第1元素を含む膜上または支持基板の主面上に形成されている、第1元素と第2元素を含む化合物半導体の第1の結晶成長層の表面に、第1元素と第2元素を含む化合物半導体の第2の結晶成長層を、第1の結晶成長層の結晶面に揃えて成長させる第3工程をさらに備えることが好ましい。これにより、第1および第2工程を実施することによって得られた化合物半導体結晶を種結晶基板として、さらに化合物半導体結晶を成長させることができる。よって、化合物半導体結晶層の厚さを所望の値に制御することが可能となる。
本願の実施例について図面を参照しながら説明する。図1に、本実施例に係るSiC結晶製造装置(以下では結晶製造装置と略称する)1を示す。結晶製造装置1は、坩堝10を備える。坩堝10は、炭素を含有する材質によって形成されている。坩堝10の材質としては、黒鉛やSiCが挙げられる。坩堝10は坩堝台11の上に配置されている。坩堝台11は回転させることが可能である。坩堝10は、坩堝蓋14により密閉することができる。坩堝10の外周は、保温のために断熱材12で覆われている。断熱材12の外周には、常伝導コイル13が配置されている。常伝導コイル13は、坩堝10を誘導加熱するための装置である。常伝導コイル13には、不図示の高周波電源が接続されている。坩堝10、断熱材12、常伝導コイル13は、チャンバ15の内部に配置される。チャンバ15は、吸気口16と排気口17とを備える。坩堝10の底部には、積層構造体25が載置されている。積層構造体25の構造については後述する。
本実施例に係るSiC結晶の製造方法を、図2のフローと、図5〜図9の模式図を用いて説明する。ステップS1において、支持基板20の主面に、カーボンを含むカーボン膜21を成膜する工程が行われる。支持基板20は、SiCの多結晶体である。従って、支持基板20の主面には、様々な結晶方位が表出している。また支持基板20の融点は、シリコン単結晶基板23の融点よりも高い。従って、後述する加熱処理において、支持基板20が融解してしまうことがない。
カーボン膜21は、PVD(物理気相成長)法によって成膜される。PVD法の具体例としては、スパッタリング法やイオンプレーティング法などが挙げられる。これらの方法では、ターゲットとなる黒鉛を真空中でイオンビーム、アーク放電及びグロー放電等に晒し、飛び散った炭素原子を支持基板の表面に付着させることが行われる。なお、PVD法によるさらなる具体的な成膜方法については、周知の技術であるため、ここでは詳細な説明を省略する。PVD法によって成膜されるカーボン膜21は、CVD(化学気相成長)法によって成膜されるカーボン膜に比して膜強度が高い。よって、後述する工程において、より効果的に支持基板20を保護することができる。
次に、ステップS2において、図3に示すように、坩堝10の底部に支持基板20が載置される。また、支持基板20上に、シリコン単結晶基板23が載置される。これにより、支持基板20とカーボン膜21とシリコン単結晶基板23が、下方から順に積層されている積層構造体25を形成することができる。また、カーボン膜21の表面21aと、シリコン単結晶基板23の接触面23aとが、接触している状態が実現される。
シリコン単結晶基板23の接触面23aの面方位は、後ほど成長させる3C−SiC結晶の面方位に応じて決定される。具体的には、接触面23aの面方位は、後ほど成長させる3C−SiC結晶の面方位と同一となるように決定される。本実施例では、接触面23aの面方位が(100)である場合を説明する。
ステップS3において、加熱処理が行われる。具体的には、ステップS2において内部に支持基板20とシリコン単結晶基板23がセットされた坩堝10を、結晶製造装置1の坩堝台11に載置する。そして常伝導コイル13へ所定周波数の交流電流を流すことにより、坩堝10を誘導加熱する。またチャンバ15内に吸気口16から不活性ガスを供給するとともに、坩堝台11を所定回転数で回転させる。坩堝10の加熱温度は、シリコン単結晶基板23が、シリコンの融点(約1410℃)以上で支持基板の融点(約2730℃)以下の温度に加熱されるような温度に設定すればよい。本実施例では、チャンバ15内にアルゴンガスを供給し、チャンバ15内の圧力を大気圧、坩堝10の加熱温度を1500℃に調整した。なお、本実施例で用いたこれらの条件は一例であり、他の条件を用いることも可能である。
坩堝10が加熱されると、熱エネルギーは、支持基板20およびカーボン膜21を介してシリコン単結晶基板23の接触面23aへ伝達されるとともに、坩堝10内のアルゴンガスを介してシリコン単結晶基板23の側面および上面23bに伝達される。このとき、接触面23aへ与えられる熱エネルギーの方が、側面および上面23bに与えられる熱エネルギーよりも大きくなる。これは、熱伝導率が、気体よりも固体の方が非常に大きいためである。熱伝導率は、熱伝導において、媒質中に温度勾配がある場合に、温度勾配に沿って運ばれる熱流束の大きさを規定する物理量である。すなわち、支持基板20およびカーボン膜21の方が、アルゴンガスよりも、熱を伝えやすいためである。これにより、上面23b側(図3上側)よりも接触面23a側(図3下側)の温度が高くなるように、シリコン単結晶基板23に温度勾配を発生させることができる。
図4に、坩堝10の温度プロファイルのグラフを示す。図4のグラフに示すように、ステップS3の実行期間中には、坩堝10の温度が上昇していく。そして領域R1に示すように、坩堝10の温度がシリコンの融点(約1410℃)を越える温度まで上昇すると、シリコン単結晶基板23の接触面23aの温度がシリコンの融点を超えるタイミングが到来する。前述した温度勾配が存在するため、シリコン単結晶基板23の接触面23aの温度がシリコンの融点を超えた時点においては、シリコン単結晶基板23の上面23b側の温度は、シリコンの融点を超えていない。従って、シリコン単結晶基板23の融解の初期段階では、接触面23aのごく近傍のシリコン単結晶基板23のみが融解する。そして図5に示すように、接触面23a近傍に極薄いシリコン融液層23cが形成される。これにより、支持基板20、カーボン膜21、シリコン融液層23c、シリコン単結晶基板23の未融解層23d、が順に積層した構造を形成することができる。そして、シリコン融液層23c内に、カーボン膜21からカーボンが溶解する。
温度勾配が存在するために、シリコン融液層23cは、カーボン膜21側(図5下側)よりも未融解層23d側(図5上側)の方が温度が低い。そのため、未融解層23dの表面に接触する部分のシリコン融液層23cが、他の部分のシリコン融液層23cよりも低温化される。よって、未融解層23dの表面近傍のシリコン融液層23cが過飽和状態となるため、未融解層23dの表面上に、3C−SiC結晶のエピタキシャル成長が行われる。これにより、図6に示すように、3C−SiC結晶26の単結晶薄膜が形成される。また、未融解層23dの表面が、3C−SiC結晶26の成長の起点となるため、未融解層23dの結晶面の(100)面に揃うように、3C−SiC結晶26のヘテロエピタキシャル成長が行われる。従って、3C−SiC結晶26の表面の面方位も(100)になる。
また3C−SiC結晶26は、未融解層23dの表面の所々で形成される。従って、図6に示すように、3C−SiC結晶26が未融解層23dの表面の所々で形成されておらず、その未形成部で未融解層23dの表面が露出している形状を作成することができる。これにより、3C−SiC結晶26の未形成部では、シリコン融液層23cが未融解層23dに直接接触することになる。
ステップS4において、図4に示すように、坩堝10の温度が1500℃に維持される。これにより、シリコン単結晶基板23の未融解層23dが全て融解し、シリコン融液が生成される。一方、3C−SiC結晶26は融点が約2730℃であるため、融解しない。生成されたシリコン融液の一部は、支持基板20の側壁を伝って坩堝10内に流出する。支持基板20上に残存したシリコン融液は、シリコン融液層23cと混合し、シリコン融液23eとなる。これにより、図7に示す状態となる。図7に示すように、3C−SiC結晶26の未形成部では、カーボン膜21がシリコン融液23eに溶解することで、カーボン膜21が消失している。
ステップS5において、第1冷却処理が実行される。第1冷却処理では、図7に示す状態を維持しながら坩堝10の全体が除々に冷却される。これにより、3C−SiCの単結晶が、3C−SiC結晶26の表面や支持基板20の主面20aに成長する。ステップS5における、3C−SiC結晶の成長メカニズムを説明する。ステップS5の第1冷却処理では、坩堝10の表面から熱が放出される。また、支持基板20は坩堝10に接触している。すると、3C−SiC結晶26の表面近傍や支持基板20の主面20a近傍に存在するシリコン融液22eは、他の場所に存在するシリコン融液22eに比して低温化され過飽和状態となる。よって、3C−SiC結晶26の表面や支持基板20の主面20a上に、3C−SiC単結晶がエピタキシャル成長する。また、3C−SiC結晶26の表面が、主として、3C−SiC結晶の成長の起点となる。よって、下地の3C−SiC結晶26の結晶面の(100)面に揃うように、3C−SiC単結晶のヘテロエピタキシャル成長が行われる。成長した3C−SiC単結晶は、3C−SiC結晶26と一体化し、3C−SiC結晶27となる。これにより、図8の模式図に示すように、3C−SiC結晶26よりも厚膜化された3C−SiC結晶27が形成される。3C−SiC結晶27の表面の面方位は、(100)である。なお、カーボン膜21が3C−SiC結晶で覆われた後においても、坩堝10の溶解によってシリコン融液22e中にカーボンを供給することができるため、3C−SiC結晶27を成長させることが可能である。
図4に示すように、ステップS5での坩堝10の温度低下傾きは、ステップS3での温度上昇傾きよりも小さくされている。温度低下傾きを小さくすることにより、SiC結晶を成長しやすくすることができるため、3C−SiC結晶27の厚さを厚くすることができる。ステップS5での温度低下傾きの調整は、例えば、常伝導コイル13に流す交流電流の電流量を除々に小さくすることによって行われても良い。
ステップS6において、第2冷却処理が実行される。図4に示すように、ステップS6の第2冷却処理の温度低下傾きは、ステップS5の第1冷却処理の温度低下傾きよりも大きくされている。これにより、第1冷却処理のみを用いて坩堝10を常温まで冷却する場合に比して、冷却時間を短縮化することができる。ステップS5からS6への切り替えは、3C−SiC結晶27の成長が行われなくなる所定温度まで坩堝10の温度が低下することに応じて、行われても良い。本実施例では、所定温度として700℃を使用している。ステップS6での温度低下傾きの調整は、例えば、常伝導コイル13への電流供給を停止し、自然冷却することによって行われても良い。ステップS7において、SiC結晶成長工程が行われる。SiC結晶成長工程は、図8に示す3C−SiC結晶27の表面27aに、SiC結晶の成長層をホモエピタキシャル成長させる工程である。例として、熱CVD法を用いる場合を説明する。3C−SiC結晶27が成膜された支持基板20を、不図示のCVD装置のチャンバ内にセットする。支持基板20を加熱し、原料ガスであるSiを含む原料ガス及びCを含む原料ガスを、チャンバ内に供給する。Siを含む原料ガスの一例としては、シラン(SiH)、ジボラン(B)などが挙げられる。Cを含む原料ガスの一例としては、プロパン(C)、アセチレン(C)などが挙げられる。エピタキシャル成長では、3C−SiC結晶27の結晶面の(100)面に結晶方位が揃った、3C−SiC単結晶の成長層28を成長させることができる。従って、成長層28の表面の面方位も(100)となる。これにより、図9の模式図に示す半導体ウェハ30が完成する。
<比較例1>
比較例1では、ステップS3の加熱処理において、坩堝10の加熱温度を、シリコンの融点以下であってシリコンの融点近傍の温度である、1350℃に設定した。使用した装置や、その他の条件は、実施例と同一である。この場合、シリコン単結晶基板23とカーボン膜21は反応しなかった。また、実験後のシリコン単結晶基板23の接触面23aをXRD(X-ray Diffraction)測定したが、接触面23aにSiCを確認することができなかった。
<効果>
本実施例に係るSiC結晶の製造方法では、カーボン膜21によって支持基板20の主面20aを覆っている。これにより、ステップS3および図5で説明したように、カーボン膜21からシリコン融液層23c内にカーボンを供給することができる。従って、SiC結晶を成長させることが可能となる。また、カーボン膜21によって、シリコン融液層23cが支持基板20の主面20aに接触することを防止できる。従って、3C−SiC結晶26の成長が行われる際に(図6参照)、3C−SiC結晶26の結晶方位に対して主面20aが及ぼす影響を、カーボン膜21によって遮断することができる。これにより、シリコン単結晶基板23の結晶面の(100)面に揃うように、3C−SiC結晶26を成長させることができる。以上により、支持基板20ではなくシリコン単結晶基板23によって結晶方位が制御された3C−SiC結晶を、成長させることが可能となる。従って、SiC単結晶基板やサファイア単結晶基板などの、結晶方位が揃った高価な基板を支持基板に用いる必要がなくなるため、SiC結晶基板の製造コストを低減することが可能となる。
本実施例に係るSiC結晶の製造方法では、シリコン単結晶基板23の接触面23aの面方位と同一の面方位を有するように、支持基板20の主面20a上やカーボン膜21上に、3C−SiC結晶27(図8参照)を成長させることができる。従って、シリコン単結晶基板23の接触面23aの面方位を(100)、(110)、(111)などの各種の方位に設定することに応じて、3C−SiC結晶27の面方位を(100)、(110)、(111)などの各種の方位に制御することが可能となる。
本実施例に係るSiC結晶の製造方法では、支持基板20に、SiCの多結晶体を使用することができる。多結晶体は、単結晶体に比して安価であるため、支持基板20にSiC単結晶基板を用いる場合に比して、SiC結晶基板の製造コストを低減することが可能となる。また、支持基板20上に成長させるSiC結晶と支持基板20とを同一組成にすることができるため、両者の熱膨張率を等しくすることができる。よって、完成した半導体ウェハ30(図9参照)に反りや割れなどが発生してしまう事態を防止できる。また、両者が同一組成であるため、成長させた3C−SiC結晶27内に不純物が添加されてしまう事態を防止できる。
本実施例に係るSiC結晶の製造方法では、ステップS1〜S6を実施することによって得られた3C−SiC結晶27を、種結晶として使用することができる。そして、ステップS7において、3C−SiC結晶27の結晶面の(100)面に結晶方位が揃った、3C−SiC結晶の成長層28を成長させることができる(図9参照)。これにより、支持基板20上の3C−SiC結晶の厚さを、所望の値に制御することが可能となる。
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
<変形例>
支持基板20の材料は、ステップS3の加熱処理で融解しない材料であれば、何れの材料を用いても良い。サファイア単結晶や、6H−SiC単結晶を用いても良い。また支持基板20の材料は半導体に限られず、例えばタングステンなどの金属であってもよいし、SiOなどの絶縁体であってもよい。
本実施例に記載の製造方法では、第1元素と第2元素との2種類の元素を含む化合物半導体結晶を製造することが可能である。この場合、ステップS1において、支持基板20の主面に、第1元素を含む膜を成膜すればよい。ステップS2において、支持基板20上に、第2元素の単結晶基板を載置すればよい。第2元素の単結晶基板の、第1元素を含む膜との接触面の面方位は、成長させる化合物半導体結晶の面方位に応じて決定すればよい。例えば、炭化アルミニウム(AlC)の結晶を製造する場合には、支持基板20の主面にカーボン膜を成膜し、支持基板20上に単結晶アルミニウムを載置すればよい。同様にして、例えば、ガリウム砒素(GaAs)、リン化インジウム(InP)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、硫化カドミウム(CdS)、ZnSe(セレン化亜鉛)、などの化合物半導体結晶を製造することが可能である。
積層構造体25を加熱する方法は、常伝導コイル13を用いる方法に限られない。例えば、積層構造体25をホットプレート上に載置し、支持基板20の底面を加熱する方法を用いてもよい。この方法によっても、シリコン単結晶基板23に温度勾配を発生させることができる。
ステップS4において、坩堝10の温度を維持する際の温度プロファイルは、一定温度に限られず、様々なプロファイルであってもよい。例えば、坩堝10の温度が1500℃に到達した場合には、すぐに冷却を開始し、坩堝10の温度をシリコンの融点(約1410℃)以下に低下させてもよい。その後、坩堝10の温度を再び1500℃まで上昇させ、以後は1500℃を維持するとしてもよい。これにより、シリコン単結晶基板23の温度がシリコン融点を超えてからシリコン融点以下に低下するポイントを、ステップS3の直後に発生させることができる。よって、3C−SiC結晶26(図6参照)を形成しやすくすることができる。
ステップS4において、生成されたシリコン融液が支持基板20上から流出しないように、支持基板20の側面の全周を覆うとともに、主面20aの垂直上方へ伸延しているカバーを利用するとしてもよい。
ステップS1において、カーボン膜21を成膜する工程はPVD法に限られず、例えばCVD法を用いて成膜してもよい。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
1:結晶製造装置、10:坩堝、13:常伝導コイル、20:支持基板、20a:主面、
21:カーボン膜、23:シリコン単結晶基板、23c:シリコン融液層、23d:未融解層、23e:シリコン融液、26および27:3C−SiC結晶、28:成長層

Claims (8)

  1. 第1元素と第2元素との2種類の元素を含む化合物半導体結晶の製造方法であって、
    支持基板の主面に成膜されている第1元素を含む膜の表面に、第2元素の単結晶基板を接触させ、前記支持基板と前記第1元素を含む膜と前記第2元素の単結晶基板とが順に積層されている積層構造体を形成する第1工程と、
    前記積層構造体を前記第2元素の単結晶基板の融点以上に加熱することで、前記支持基板、前記第1元素を含む膜、前記第2元素の単結晶基板の融液層、前記第2元素の単結晶基板の未融解層、が順に積層した構造を形成し、その後に常温まで冷却することで前記未融解層の特定の結晶面に揃うように化合物半導体結晶をヘテロエピタキシャル成長させる第2工程と、
    を備え、
    前記第2元素の単結晶基板の前記第1元素を含む膜との接触面の面方位を、前記第1元素を含む膜上または前記支持基板の前記主面上に成長させる前記化合物半導体結晶の面方位に応じた面方位に制御することを特徴とする化合物半導体結晶の製造方法。
  2. 前記第1元素を含む膜は、物理気相成長法(PVD)によって成膜されていることを特徴とする請求項1に記載の化合物半導体結晶の製造方法。
  3. 前記支持基板の融点は、前記第2元素の単結晶基板の融点よりも高いことを特徴とする請求項1または2に記載の化合物半導体結晶の製造方法。
  4. 前記支持基板は、前記第1元素と前記第2元素を含む化合物半導体の多結晶体であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の化合物半導体結晶の製造方法。
  5. 前記第2工程の加熱工程では、
    前記支持基板および前記第1元素を含む膜を介して前記第2元素の単結晶基板に熱エネルギーが伝達されることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の化合物半導体結晶の製造方法。
  6. 前記第1元素はカーボンであり、
    前記第2元素はシリコンであり、
    前記化合物半導体結晶はSiCであることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の化合物半導体結晶の製造方法。
  7. シリコンの単結晶基板のカーボンを含む膜との接触面の面方位を、前記第1元素を含む膜上または前記支持基板の前記主面上に成長させる3C−SiC結晶の面方位と同一になるように制御することを特徴とする請求項6に記載の化合物半導体結晶の製造方法。
  8. 前記第2工程を実施後の第1元素を含む膜上または支持基板の主面上に形成されている、前記第1元素と前記第2元素を含む化合物半導体の第1の結晶成長層の表面に、前記第1元素と前記第2元素を含む化合物半導体の第2の結晶成長層を、前記第1の結晶成長層の結晶面に揃えて成長させる第3工程をさらに備えることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の化合物半導体結晶の製造方法。
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