JP2010228937A - 単結晶炭化ケイ素製造原料 - Google Patents

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Abstract

【課題】径が数mm以上である面積が大きい単結晶炭化ケイ素の製造方法を提供する。
【解決手段】多結晶炭化ケイ素の表面の少なくとも一部に、3C型結晶構造のSiCから実質的になり、CとSiとのモル濃度比(C/Si)が1超である黒色層が形成された黒色多結晶炭化ケイ素を2以上用い、または、前記黒色多結晶炭化ケイ素と、表面に前記黒色層が形成されていない部分を有する多結晶炭化ケイ素である黄色多結晶炭化ケイ素とを用い、一方を下、他方を上として各々の板状の部分が密着するように重ね、1500〜2300℃に加熱することにより、液状シリコンを介して、前記2枚の前記黒色多結晶炭化ケイ素基板の隙間、または前記黄色多結晶炭化ケイ素基板と前記黒色多結晶炭化ケイ素基板との隙間に単結晶炭化ケイ素を成長させる。
【選択図】なし

Description

本発明は、単結晶炭化ケイ素製造原料およびそれを用いて製造した単結晶炭化ケイ素に関する。
炭化シリコン(SiC)は、耐熱性と安定性に優れ、かつワイドバンドギャップを有することから、高温・高耐圧の半導体材料として注目されている。
このような炭化シリコンであって、均一性が高く結晶欠陥が少ない単結晶炭化シリコンを得るための方法として、昇華再析出法(改良レーリー法)、CVD法(気相析出法)、RAF法などが開発された。
しかし、このような方法では、面積の大きい単結晶炭化ケイ素を得ることができなかった。
そこで、面積の大きい単結晶炭化ケイ素種結晶板を得ることを目的として、多結晶炭化ケイ素基板の表面を炭化処理した炭化処理面に対向して多結晶炭化ケイ素基板を近接設置して両者の基板の隙間に金属シリコン融液を介在させて液相エピタキシャル成長させることにより炭化処理した多結晶炭化ケイ素基板の表面に単結晶炭化ケイ素種結晶が自己成長して複数の単結晶炭化ケイ素種結晶小片を生成する、単結晶炭化ケイ素種結晶の液相生成方法が提案された(特許文献1参照)。
特開2008−37684号公報
本発明者は特許文献1に記載の方法とは異なる、径が数mm以上である面積が大きい単結晶炭化ケイ素が得られる方法を見出した。
すなわち、本発明は、径が数mm以上である面積が大きい単結晶炭化ケイ素を得る方法、およびその方法において用いる多結晶炭化ケイ素を提供することを目的とする。
本発明者は鋭意検討を重ね、特殊な3Cの結晶構造を持った多結晶炭化ケイ素から大きな単結晶炭化ケイ素を製造する方法を見出した。
本発明は、次の(1)〜(5)である。
(1)多結晶炭化ケイ素の表面の少なくとも一部に黒色層が形成された黒色多結晶炭化ケイ素であって、前記多結晶炭化ケイ素および前記黒色層が、3C型結晶構造のSiCから実質的になり、前記黒色層におけるCとSiとのモル濃度比(C/Si)が1超である、単結晶炭化ケイ素を単結晶炭化ケイ素液相再結晶法によって得るために用いる黒色多結晶炭化ケイ素。
(2)上記(1)に記載の黒色多結晶炭化ケイ素を2以上用い、または、上記(1)に記載の黒色多結晶炭化ケイ素と、表面に前記黒色層が形成されていない部分を有する多結晶炭化ケイ素である黄色多結晶炭化ケイ素とを用い、単結晶炭化ケイ素液相再結晶法によって単結晶炭化ケイ素を得る、単結晶炭化ケイ素の製造方法。
(3)板状もしくは一部が板状をなしている前記黒色多結晶炭化ケイ素である黒色多結晶炭化ケイ素基板と、板状もしくは一部が板状をなしている前記黄色多結晶炭化ケイ素である黄色多結晶炭化ケイ素基板とを、一方を下、他方を上として各々の板状の部分が密着するように重ね、または、2枚の前記黒色多結晶炭化ケイ素基板を各々の板状の部分が密着するように上下に重ね、さらにそれらの上に固体シリコンを重ねて、前記黄色多結晶炭化ケイ素基板、前記黒色多結晶炭化ケイ素基板および前記固体シリコンからなる積層体、または2枚の前記黒色多結晶炭化ケイ素基板および前記固体シリコンからなる積層体とし、
得られた積層体を1500〜2300℃に加熱して、前記黄色多結晶炭化ケイ素基板と前記黒色多結晶炭化ケイ素基板との隙間、または2枚の前記黒色多結晶炭化ケイ素基板の隙間に単結晶炭化ケイ素を成長させる、請求項2に記載の単結晶炭化ケイ素の製造方法。
(4)前記黄色多結晶炭化ケイ素基板および/または前記黒色多結晶炭化ケイ素基板がシャーレ状をなしており、前記積層体が、そのシャーレ状をなす前記黄色多結晶炭化ケイ素基板の内側底面に、前記黒色多結晶炭化ケイ素基板の板状の部分が密着するように重ねて、さらにそれらの上に前記固体シリコンを重ねてなるものか、そのシャーレ状をなす前記黒色多結晶炭化ケイ素基板の内側底面に、前記黄色多結晶炭化ケイ素基板の板状の部分が密着するように重ねて、さらにそれらの上に前記固体シリコンを重ねてなるものか、または、そのシャーレ状をなす前記黒色多結晶炭化ケイ素基板の内側底面に、前記黒色多結晶炭化ケイ素基板の板状の部分が密着するように重ねて、さらにそれらの上に前記固体シリコンを重ねてなるものであり、前記積層体を加熱することで前記固体シリコンが液状となって、前記積層体における最下部に位置するシャーレ状の前記黄色多結晶炭化ケイ素基板または前記黒色多結晶炭化ケイ素基板の内側に溜まった状態となる、上記(2)または(3)に記載の単結晶炭化ケイ素の製造方法。
(5)前記積層体がさらに上部に蓋を有し、当該蓋を有することで、最下部の前記シャーレ状の前記黄色多結晶炭化ケイ素基板または前記黒色多結晶炭化ケイ素基板の内側に存する、前記黄色多結晶炭化ケイ素基板または前記黒色多結晶炭化ケイ素基板ならびに前記固体シリコンが、前記積層体の外側の雰囲気と遮断される、上記(4)に記載の単結晶炭化ケイ素の製造方法。
本発明によれば、径が数mm以上である面積が大きい単結晶炭化ケイ素を得る方法、およびその方法において用いる多結晶炭化ケイ素を提供することができる。
本発明の製造方法における好適な積層体の概略断面図である。 本発明の製造方法における好適な積層体を所定温度で加熱した場合の概略断面図である。
本発明について説明する。
初めに本発明の黒色多結晶炭化ケイ素について説明する。
本発明の黒色多結晶炭化ケイ素は、多結晶炭化ケイ素の表面の少なくとも一部に黒色層が形成されたものであり、前記多結晶炭化ケイ素および前記黒色層が3C型結晶構造のSiCから実質的になり、前記黒色層におけるCとSiとのモル濃度比(C/Si)が1超である、単結晶炭化ケイ素を単結晶炭化ケイ素液相再結晶法によって得るために用いるものである。
本発明の黒色多結晶炭化ケイ素は、前記黒色層を有さない通常の多結晶炭化ケイ素(以下「黄色多結晶炭化ケイ素」ともいう。)の表面に、CとSiとのモル濃度比(C/Si)が1超である黒色層をデポジットして得られる。黒色層はCリッチであるので黒色に見える。CとSiとのモル濃度比(C/Si)は1超2以下であることが好ましく、1超1.2以下であることがより好ましい。
なお、黒色層におけるCおよびSiのモル濃度は、GD−MASで測定して得た値を意味するものとする。
黒色層は前記多結晶炭化ケイ素の表面の少なくとも一部に形成されているが、全面に形成されていることが好ましい。
黒色層の厚さは特に限定されないが、100〜2000μmであることが好ましく、200〜1000μmであることがより好ましい。この厚さは切断面を光学顕微鏡を用いて観察し測定して得た値を意味するものとする。
前記黄色多結晶炭化ケイ素および前記黒色層は、共に3C型結晶構造のSiCから実質的になるものである。この点について、本発明者はラマン分光法を用いてピーク位置を測定することで確認した。
なお、特許文献1には多結晶SiC基板の表面全体が加熱処理されることで、多結晶SiC基板の表面全体が炭化処理されて炭化処理面が形成される旨が記載されている(特許文献1の0057段落参照)。そして、この炭化処理面に関して、C軸配向の3C−SiC集合体である多結晶SiC基板の表面を加熱処理すると、表面の結晶構造がC軸配向の4H−SiC集合体を含む結晶粒に変化することが記載されている(特許文献1の0058段落参照)。
すなわち、特許文献1でいう炭化処理面は4H型結晶構造であり、これに対して本発明でいう黒色層は3C型結晶構造であり、両者は少なくとも結晶構造の点で異なるものである。
本発明の黒色多結晶炭化ケイ素の形状は特に限定されないが、板状であることが好ましい。また、後述するようなシャーレ状であってもよい。
また、厚さについても特に限定されないが、板状のものであれば0.5〜1.5mmのものが例示される。
また、大きさについても特に限定されないが、円板状のものであれば直径が50〜60mmのものが例示される。
このような本発明の黒色多結晶炭化ケイ素は、単結晶炭化ケイ素液相再結晶法によって単結晶炭化ケイ素を得るために用いることができる。すなわち、板状等の黄色多結晶炭化ケイ素と板状等の本発明の黒色多結晶炭化ケイ素とを対向して近接配置して、両多結晶炭化ケイ素の隙間に金属シリコン融液を介在させて、当該隙間において単結晶炭化ケイ素を再結晶させることができる。また、板状等の2枚の本発明の黒色多結晶炭化ケイ素を対向して近接配置して、両多結晶炭化ケイ素の隙間に金属シリコン融液を介在させて、当該隙間において単結晶炭化ケイ素を再結晶させることができる。
なお、単結晶炭化ケイ素液相再結晶法とは、立方晶系黒色多結晶炭化ケイ素層が付近にシリコン融液の存在する環境で高温条件下を経験することで、六方晶系単結晶炭化ケイ素に変化し再結晶させる方法である。
次に、本発明の製造方法について説明する。
本発明の製造方法は、本発明の黒色多結晶炭化ケイ素を2以上用い、または、本発明の黒色多結晶炭化ケイ素と、前記黄色多結晶炭化ケイ素とを用い、単結晶炭化ケイ素液相再結晶法によって単結晶炭化ケイ素を得る、単結晶炭化ケイ素の製造方法である。
本発明の製造方法は、板状等の黄色多結晶炭化ケイ素と板状等の本発明の黒色多結晶炭化ケイ素とを対向して近接配置して、両多結晶炭化ケイ素の隙間に金属シリコン融液を介在させて、再結晶によって当該隙間に単結晶炭化ケイ素を生成させる方法であるか、または板状等の2枚の本発明の黒色多結晶炭化ケイ素を対向して近接配置して、両多結晶炭化ケイ素の隙間に金属シリコン融液を介在させて、再結晶によって当該隙間に単結晶炭化ケイ素を生成させる方法であれば、その他については特に限定されない。
本発明の製造方法における好ましい態様(以下では第1態様ともいう。)について説明する。
本発明の製造方法は、板状または一部が板状をなしている本発明の黒色多結晶炭化ケイ素である黒色多結晶炭化ケイ素基板と、板状または一部が板状をなしている前記黄色多結晶炭化ケイ素である黄色多結晶炭化ケイ素基板とを、一方を下、他方を上として各々の板状の部分が密着するように重ね、さらにそれらの上に固体シリコンを重ねて、前記黄色多結晶炭化ケイ素基板、前記黒色多結晶炭化ケイ素基板および前記固体シリコンからなる積層体とし、得られた積層体を1500〜2300℃に加熱して、前記黄色多結晶炭化ケイ素基板と前記黒色多結晶炭化ケイ素基板との隙間に単結晶炭化ケイ素を成長させる、単結晶炭化ケイ素の製造方法(第1態様)であることが好ましい。
このような第1態様の本発明の製造方法における積層体は、鉛直方向に、黒色多結晶炭化ケイ素基板と、黄色多結晶炭化ケイ素基板と、固体シリコンとをこの順で各々が密着するように重ねたものか、または黄色多結晶炭化ケイ素基板と、黒色多結晶炭化ケイ素基板と、固体シリコンとをこの順で同様に重ねたものである。つまり、黒色多結晶炭化ケイ素基板と黄色多結晶炭化ケイ素基板とは、一方が上で、他方が下であればよい。積層体における最上部は固体シリコンである。固体シリコンの形状は特に限定されないが、板状であることが好ましい。黒色多結晶炭化ケイ素基板または黄色多結晶炭化ケイ素基板の上面に重ねた場合に安定するからである。同様の理由から、一部に平面を有するものであれば塊状の固体シリコンを用いることもできる。黒色多結晶炭化ケイ素基板および黄色多結晶炭化ケイ素基板の上に、複数の固体シリコンを置くこともできる。例えば板状の固体シリコンを複数枚重ねることもできる。黒色多結晶炭化ケイ素基板または黄色多結晶炭化ケイ素基板の大きさ、厚さ等と関係で、固体シリコンの量を適宜調整することができる。
このような積層体を1500〜2300℃に加熱すると、最上部の固体シリコンが溶融して液状となる。そして、重力および表面張力の影響で、黄色多結晶炭化ケイ素基板と黒色多結晶炭化ケイ素基板との隙間に侵入する。
このようにすると、両基板の隙間において、径が数mm以上である面積が大きい単結晶炭化ケイ素を成長させることができる。例えば2枚の黄色多結晶炭化ケイ素基板の間に固体シリコンを挟み、この状態で例えば1500〜2300℃に加熱して、本発明の製造方法で得られるもののような面積の大きい単結晶炭化ケイ素を得ることは困難である。
なお、本発明の製造方法で得られる単結晶炭化ケイ素は、概ね4H型または6H型結晶構造(六方晶系)である。
また、前記黒色多結晶炭化ケイ素基板および前記黄色多結晶炭化ケイ素基板は、板状または一部が板状であるが、板状の部分は必ずしも水平面でなくてよく、例えば湾曲面であってもよい。両基板間において単結晶炭化ケイ素が液相再結晶する程度に、両基板を近接することができればよい。例えば両基板が同程度に湾曲しているものであれば、両基板間の距離を充分に小さくすることができる。両基板間の距離は、概ね数百μm以下であることが必要であるが、10〜200μm程度であることが好ましい。
本発明の製造方法において黒色多結晶炭化ケイ素および黄色多結晶炭化ケイ素の形状は板状であることが好ましいが、シャーレ状であることがより好ましい。
そして、前記積層体が、そのシャーレ状をなす前記黄色多結晶炭化ケイ素基板の内側底面に、前記黒色多結晶炭化ケイ素基板の板状の部分が密着するように、前記黄色多結晶炭化ケイ素基板と前記黒色多結晶炭化ケイ素基板とを重ねて、さらにそれらの上に前記固体シリコンを重ねてなるものであることが好ましい。また、前記積層体が、そのシャーレ状をなす前記黒色多結晶炭化ケイ素基板の内側底面に、前記黄色多結晶炭化ケイ素基板の板状の部分が密着するように、前記黒色多結晶炭化ケイ素基板と前記黄色多結晶炭化ケイ素基板とを重ねて、さらにそれらの上に前記固体シリコンを置いてなるものであることが好ましい。
このような本発明の製造方法における第1態様について、図1、図2を用いて具体的に例示して説明する。
図1に示す積層体10は、シャーレ状の黄色多結晶炭化ケイ素基板12の内側底面12αに、円板状である黒色多結晶炭化ケイ素基板14の下面14βが密着するように重ねられている。そして、さらに黒色多結晶炭化ケイ素基板14の上面14αに、固体シリコン16aが置かれている。
このような積層体10を1500〜2300℃に加熱した後の状態を示すものが図2である。図1に示す固体シリコン16aは溶解し、図2に示す液状シリコン16bとなって、シャーレ状の黄色多結晶炭化ケイ素基板12の内側に溜まる。そして、黄色多結晶炭化ケイ素基板12の上面12αと黒色多結晶炭化ケイ素基板14の下面14βとが、液状シリコン16bに満たされた状態となる。このような状態とすると、より面積が大きい単結晶炭化ケイ素を得ることができるので好ましい。
図1においては黄色多結晶炭化ケイ素基板がシャーレ状であり、黒色多結晶炭化ケイ素基板が円板状であるが、本発明の製造方法では、逆に、黒色多結晶炭化ケイ素基板がシャーレ状であり、黄色多結晶炭化ケイ素基板が円板状であってもよい。
また、図1、図2において、シャーレ状の黄色多結晶炭化ケイ素基板12の上部は解放されており、その内部の黒色多結晶炭化ケイ素基板14および固体シリコン16aは、積層体10が存する雰囲気に曝されているが、シャーレ状の黄色多結晶炭化ケイ素基板12の上部を塞ぐ蓋を有することが好ましい。本発明の製造方法において積層体を1500〜2300℃に加熱すると、少なくとも一部の固体シリコンが溶融して液状シリコンとなり蒸発するからである。蓋を備えていれば、液状シリコンの蒸発を抑制することができるので好ましい。
本発明の製造方法における別の好ましい態様(以下では第2態様ともいう。)について説明する。
本発明の製造方法は、板状または一部が板状をなしている本発明の黒色多結晶炭化ケイ素である黒色多結晶炭化ケイ素基板の2枚を、各々の板状の部分が密着するように上下に重ね、さらにそれらの上に固体シリコンを重ねて、2枚の前記黒色多結晶炭化ケイ素基板および前記固体シリコンからなる積層体とし、得られた積層体を1500〜2300℃に加熱して、2枚の前記黒色多結晶炭化ケイ素基板の隙間に単結晶炭化ケイ素を成長させる、単結晶炭化ケイ素の製造方法であることが好ましい。
すなわち、本発明の製造方法の第2態様は、前述の第1態様における黄色多結晶炭化ケイ素基板の代わりに、黒色多結晶炭化ケイ素基板を用いたものである。
本発明の製造方法の第2態様における積層体は、鉛直方向に、2枚の黒色多結晶炭化ケイ素基板と、固体シリコンとをこの順で各々が密着するように重ねたものであり、積層体における最上部は固体シリコンである。固体シリコンの形状、用いることができる数、量などは、上記の第1態様の場合と同様であってよい。
また、このような第2態様における積層体を1500〜2300℃に加熱すると、上記の第1態様と同様に、2つの基板の隙間において、径が数mm以上である面積が大きい単結晶炭化ケイ素を成長させることができる。
また、第1態様と同様に、黒色多結晶炭化ケイ素基板の板状の部分は必ずしも水平面でなくてよく、両基板間の距離も第1態様の場合と同様であってよい。また、黒色多結晶炭化ケイ素の形状も第1態様と同様に板状であることが好ましいが、シャーレ状であることがより好ましい。また、積層体の態様も第1態様と同様である。
本発明の実施例について説明する。
本発明は以下に説明する実施例に限定されるものではない。
<黒色多結晶炭化ケイ素の製造>
厚さ約600μm、直径200mmの円板状の黄色多結晶炭化ケイ素基板(以下、「黄色SiC基板」ともいう。)を用意した。そしてこれを高温に加熱できる炉に入れ、1000℃超1400℃未満の温度に加熱し、当該温度に保持しながら、黄色SiC基板を作る場合よりも炭素が多く多結晶炭化ケイ素中に含まれるような温度および配合の炭素やケイ素などを含むガスを調整し約2時間流すことで、黄色SiC基板上に黒色多結晶炭化ケイ素を堆積させた。
このような処理を行い、全表面に黒色層が形成された黒色多結晶炭化ケイ素(以下「黒色SiC基板」ともいう。)を得た。
得られた黒色SiC基板を主面に垂直方向で切断し、断面を顕微鏡観察した。その結果、表面に約250μmの黒色層が形成されていることを確認できた。
また、黒色SiC基板の表面についてラマン分光測定を行ったところ、3Cの多形を示すピークが認められ、黒色層の結晶構造が3Cの炭化ケイ素であることを確認できた。
また、GD−MASという方法で黒色層におけるCとSiとのモル濃度を測定した。その結果、モル濃度比(C/Si)は1.02であった。
<単結晶炭化ケイ素の製造>
シャーレ状の黄色多結晶炭化ケイ素基板(以下「シャーレ型黄色SiC」ともいう。)を用意した。これは、図1および図2に示したシャーレ状の黄色多結晶炭化ケイ素基板12と同様の形状であり、外径が54mm、内径が52mm、板厚が1mm、高さが約5mmのものである。
また、シャーレ型黄色SiCの蓋として、同様にシャーレ状である黄色多結晶炭化ケイ素基板(以下、「シャーレ型蓋」ともいう。)を用意した。これは、外径が58mm、内径が56mm、板厚が1mm、高さが約3mmのものである。
また、前述の黒色SiC基板を円板状(直径50.8mm)に打ち抜き、円板状の黒色SiCを得た(以下「円板状黒色SiC」ともいう。)。
さらに、n型のシリコンウエハ(厚さ625μm)を円状(直径50.8mm)に打ち抜き、円板状の固体シリコン(以下「円板状シリコン」ともいう。)を2枚得た。
次に、シャーレ型黄色SiCの内部の底に、円板状黒色SiCを置いた。ここでシャーレ型黄色SiCの底と円板状黒色SiCの主面とが密着するようにした。そして、さらにその円板状黒色SiCの上面に円板状シリコンを2枚積み重ねた。このようなシャーレ型黄色SiC、円板状黒色SiCおよび2枚の円板状シリコンをこの順に重ねたものを積層体1とする。
次に積層体1にシャーレ型蓋を被せ、これを高温熱処理炉の炉内へ載置し、1800℃で加熱した。ここで加熱は、常温から800℃までは8.4℃毎分で昇温し、800℃から1100℃までは7.5℃毎分で昇温し、1100℃から1800℃までは0.233℃毎分で昇温した。そして、1800℃で200時間加熱保持した。その後、1800〜1400℃までは0.222℃毎分で降温し、1400℃から常温までは自然冷却した。
なお、加熱時において、高温熱処理炉の内部へは常時アルゴンを10L/minで吹き込んだ。また、高温熱処理炉の内部圧力は大気圧であった。
このような加熱処理の結果、シャーレ型黄色SiCに面する円板状黒色SiCの上に、直径約10mm、厚さ20μmの単結晶炭化ケイ素が得られた。
10 積層体
12 黄色多結晶炭化ケイ素基板
12α 黄色多結晶炭化ケイ素基板の上面
14 黒色多結晶炭化ケイ素基板
14α 黒色多結晶炭化ケイ素基板の上面
14β 黒色多結晶炭化ケイ素基板の下面
16a 固体シリコン
16b 液状シリコン

Claims (5)

  1. 多結晶炭化ケイ素の表面の少なくとも一部に黒色層が形成された黒色多結晶炭化ケイ素であって、
    前記多結晶炭化ケイ素および前記黒色層が、3C型結晶構造のSiCから実質的になり、
    前記黒色層におけるCとSiとのモル濃度比(C/Si)が1超である単結晶炭化ケイ素を、単結晶炭化ケイ素液相再結晶法によって得るために用いる黒色多結晶炭化ケイ素。
  2. 請求項1に記載の黒色多結晶炭化ケイ素を2以上用い、または、
    請求項1に記載の黒色多結晶炭化ケイ素と、表面に前記黒色層が形成されていない部分を有する多結晶炭化ケイ素である黄色多結晶炭化ケイ素とを用い、
    単結晶炭化ケイ素液相再結晶法によって単結晶炭化ケイ素を得る、単結晶炭化ケイ素の製造方法。
  3. 板状もしくは一部が板状をなしている前記黒色多結晶炭化ケイ素である黒色多結晶炭化ケイ素基板と、板状もしくは一部が板状をなしている前記黄色多結晶炭化ケイ素である黄色多結晶炭化ケイ素基板とを、一方を下、他方を上として各々の板状の部分が密着するように重ね、または、2枚の前記黒色多結晶炭化ケイ素基板を各々の板状の部分が密着するように上下に重ね、
    さらにそれらの上に固体シリコンを重ねて、
    前記黄色多結晶炭化ケイ素基板、前記黒色多結晶炭化ケイ素基板および前記固体シリコンからなる積層体、または2枚の前記黒色多結晶炭化ケイ素基板および前記固体シリコンからなる積層体とし、
    得られた積層体を1500〜2300℃に加熱して、前記黄色多結晶炭化ケイ素基板と前記黒色多結晶炭化ケイ素基板との隙間、または2枚の前記黒色多結晶炭化ケイ素基板の隙間に単結晶炭化ケイ素を成長させる、請求項2に記載の単結晶炭化ケイ素の製造方法。
  4. 前記黄色多結晶炭化ケイ素基板および/または前記黒色多結晶炭化ケイ素基板がシャーレ状をなしており、
    前記積層体が、
    そのシャーレ状をなす前記黄色多結晶炭化ケイ素基板の内側底面に、前記黒色多結晶炭化ケイ素基板の板状の部分が密着するように重ねて、さらにそれらの上に前記固体シリコンを重ねてなるものか、
    そのシャーレ状をなす前記黒色多結晶炭化ケイ素基板の内側底面に、前記黄色多結晶炭化ケイ素基板の板状の部分が密着するように重ねて、さらにそれらの上に前記固体シリコンを重ねてなるものか、または、
    そのシャーレ状をなす前記黒色多結晶炭化ケイ素基板の内側底面に、前記黒色多結晶炭化ケイ素基板の板状の部分が密着するように重ねて、さらにそれらの上に前記固体シリコンを重ねてなるものであり、
    前記積層体を加熱することで前記固体シリコンが液状となって、前記積層体における最下部に位置するシャーレ状の前記黄色多結晶炭化ケイ素基板または前記黒色多結晶炭化ケイ素基板の内側に溜まった状態となる、請求項2または3に記載の単結晶炭化ケイ素の製造方法。
  5. 前記積層体がさらに上部に蓋を有し、当該蓋を有することで、最下部の前記シャーレ状の前記黄色多結晶炭化ケイ素基板または前記黒色多結晶炭化ケイ素基板の内側に存する、前記黄色多結晶炭化ケイ素基板または前記黒色多結晶炭化ケイ素基板ならびに前記固体シリコンが、前記積層体の外側の雰囲気と遮断される、請求項4に記載の単結晶炭化ケイ素の製造方法。
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