以下に、本発明に係るドアロック装置についての実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、ドアロック装置が備えるラッチ機構におけるラッチの回転位置を検出する検出スイッチに好適なものである。そのため、以下の実施形態では、本発明を適用したドアロック装置のうちのラッチ機構および検出スイッチの構成例と、その作用効果のみを説明する。また、以下の実施形態では、主に車両のバックドア(リアハッチ)に取り付けられるドアロック装置におけるラッチ機構および検出スイッチの構成を例に挙げる。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1のドアロック装置におけるラッチ機構および検出スイッチの概略構成を示す正面図である。図2は、ラッチがフルラッチ位置のときのラッチ機構および検出スイッチの状態を示す図である。図3は、ラッチがハーフラッチ位置のときのラッチ機構および検出スイッチの状態を示す図である。図4は、ラッチが開放位置のときのラッチ機構および検出スイッチの状態を示す図である。図5は、図1のラッチ機構を右側から見たときの内部構造を示す側断面図である。
本実施形態のドアロック装置は、図1乃至図5に示すようなラッチ機構10と、検出スイッチ20とを備える。
ラッチ機構10は、車両本体に対してドアを閉ドア状態に保持するためのものであり、ラッチ11と、ラチェット12と、これらを収容するラッチケース13とを備える。
ラッチケース13は、収容部131と蓋部132とを有する。収容部131は、幅方向(図1および図2における横方向)の略中央となる位置に、車両の室内側から室外側に向けて延在する切欠溝14を形成してある。ラッチケース13の切欠溝14よりも右方となる位置には、ラッチ11を回転可能に支持するラッチ軸15が取り付けてある。一方、ラッチケース13の切欠溝14よりも左方となる位置には、ラチェット12を回転可能に支持するラチェット軸16が取り付けてある。図示を省略しているが、ラッチ軸15およびラチェット軸16は、収容部131と蓋部132とを一体にしてラッチケース13を構成するために端部をかしめてある。
また、同様に図示を省略しているが、ラッチ11とラッチケース13との間にはラッチ11を常に反時計回りに向けて付勢するラッチバネが設けてあり、ラチェット12とラッチケース13との間にはラチェット12を常に時計回りに向けて付勢するラチェットバネが設けてある。
また、収容部131および蓋部132の幅方向の端部には、ラッチケース13を車両のドアにボルトで固定するための固定部131a,132aが一体に設けてある。蓋部132には、たとえば、ラッチ11とラチェット12との係合を解除するための出力レバーを備える解除機構をラッチ機構10に取り付けるための取付片132cが一体に設けてある。さらに、収容部131および蓋部132は、これらを一体にしてラッチケース13を構成したときに、前記出力レバーや後述する検出スイッチ20(検出片22)に接続する配線などを挿通させるための開口133が設けられる。
なお、収容部131および蓋部132の材質は適宜選択可能であるが、本実施形態のドアロック装置では、それぞれ金属材料(導体)で形成したものを用いている。
ラッチ11は、噛合溝11a、フック部11b、フルラッチ係止部11c、およびハーフラッチ係止部11dを有する。一方、ラチェット12は、係合部12aおよび作用部12bを有する。ラッチ11およびラチェット12の具体的な構成および動作は周知であり、たとえば、特許文献2などに記載されている。そのため、本明細書では、ラッチ11およびラチェット12の具体的な構成および動作についての詳細な説明を省略する。
ラッチ11は、フルラッチ位置、ハーフラッチ位置、および開放位置の3つの回転位置で保持される。フルラッチ位置は、図2に示すように、車両本体のストライカSと噛み合ったラッチ11のフルラッチ係止部11cにラチェット12の係合部12aが当接係合している位置である。ハーフラッチ位置は、図3に示すように、ストライカSと噛み合ったラッチ11のハーフラッチ係止部11dにラチェット12の係合部12aが当接係合している位置である。開放位置は、図4に示すように、ラッチ11のフック部11bがラッチケース13の収容部131に当接している位置である。
ラッチ11が図4に示した開放位置で保持されているとき、車両本体に対してドアは開ドア状態である。開ドア状態のドアを閉操作すると、車両本体のストライカSが切欠溝14に進入し、ラッチ11の噛合溝11aに収容されラッチ11が時計回りの回転を始める。ラッチ11の時計回りの回転が進むと、ラッチ11は図3に示したハーフラッチ位置に至る。そして、ラッチ11の時計回りの回転がさらに進むと、ラッチ11は図2に示したフルラッチ位置に至る。フルラッチ位置に至ったラッチ11は、ラッチばねの付勢力により反時計回りに回転しようとするが、ラチェット12の係合部12aにより反時計回りの回転が阻止される。そのため、ラッチ11がフルラッチ位置で保持され、車両本体に対してドアが閉ドア状態に保持される。なお、ラッチ11がハーフラッチ位置で保持されている場合もドアは閉ドア状態であるが、ハーフラッチ位置で保持された状態は半閉状態(いわゆる半ドア状態)である。
車両本体に対して閉ドア状態に保持されているドアを開ドア状態にするときには、図示しない出力レバーでラチェット12を反時計回りに回転させてフルラッチ係止部11cまたはハーフラッチ係止部11dと係合部12aとの当接係合を解除する。そうすると、ラッチ11は、ラッチばねの付勢力により反時計回りに回転し、開放位置に至る。ラッチ11とラチェット12との当接係合を解除する出力レバーは、その一端部がラッチケース13の開口133からラチェット12の作用部12bと当接可能であり、かつラチェット12を半時計回りに回転させることが可能な位置に挿入される。
一方、検出スイッチ20は、ラッチ11の回転位置を検出するためのものであり、ラッチケース13に収容されている。検出スイッチ20は、検出片22と、検出端子23と、切替ピン24とを備える。
検出片22は導体でなる板ばねであり、一端部がラッチケース13(収容部131)に設けた検出片支持部材21で支持されている。検出片支持部材21は、検出片22の他端部が一端部を支点としてラッチ軸15と直交する方向に可動し、かつ検出片22がラッチケース13(収容部131および蓋部132)と電気的に接続(通電)しないように、収容部131に固定している。そのため、検出片支持部材21は、合成樹脂などの絶縁体で形成している。
検出端子23は導体でなり、ラッチケース13(蓋部132)により検出片22の他端部と当接可能な位置に支持されている。切替ピン24は、ラッチ11に固定されており、ラッチ11とともに回転することで検出片22の他端部が検出端子23に当接した当接状態と検出片22の他端部が検出端子23から離間した離間状態との切り替えを行う。
本実施形態の検出スイッチ20は、図2乃至図4に示したように、ラッチ11が開放位置およびハーフラッチ位置のときには検出片22を検出端子23に当接させ、フルラッチ位置のときには検出片22を検出端子23から離間させる。そのため、切替ピン24は、ラッチ11がハーフラッチ位置からフルラッチ位置に移行する過程で検出片22に当接し、検出片22の他端部を検出端子23から離間させる方向に動かすような位置に設ける。切替ピン24は、ラッチ11とともに回転するので、ラッチ11がフルラッチ位置からハーフラッチ位置に移行する過程では検出片22から離間する。そのため、ラッチ11がフルラッチ位置からハーフラッチ位置に移行すると、検出片22は自己の復元力により検出端子23に当接する方向に動く。したがって、検出端子23を、ラッチ11がハーフラッチ位置からフルラッチ位置に変わるタイミングで検出片22の他端部が離間する位置に配置すれば、ラッチ11がフルラッチ位置であるか否かを検出できる。
この検出スイッチ20でラッチ11の回転位置を検出するためには、まず検出片22の一端部を図示しない給電部材の正極端子と電気的に接続する。そして、その給電部材の負極端子は、検出端子23(ラッチケース13の蓋部132)と電気的に接続する。検出片22および検出端子23はいずれも、ラッチケース13(収容部131および蓋部132)ならびに検出片支持部材21でなる支持部材に支持されているが、検出片22はラッチケース13から電気的に分離(絶縁)した状態で支持されている。したがって、検出スイッチ20および給電部材を有する電気回路は、検出片22の他端部が検出端子23に当接しているときだけ通電する。なお、検出片22の一端部と給電部材の正極端子とは、開口133からラッチケース13内に挿入される配線により電気的に接続する。一方、検出端子23と給電部材の負極端子とは、たとえば、蓋部132の取付片132cを介して電気的に接続する。
すなわち、ラッチ11が開放位置またはハーフラッチ位置のとき、検出スイッチ20はオンになり、検出信号を出力している状態になる。一方、ラッチ11がフルラッチ位置のとき、検出スイッチ20はオフになり、検出信号の出力を止めている状態になる。そのため、検出スイッチ20がオンであること(通電していること)は、ドアが閉ドア状態(全閉状態)ではないことを示す。したがって、検出スイッチ20を室内灯の点灯/消灯の切替を行う切替スイッチとして用いると、ラッチ11が開放位置またはハーフラッチ位置のときには室内灯を点灯させ、ラッチ11がフルラッチ位置のときには室内灯を消灯させることができる。また、このような構成の検出スイッチ20を、たとえば、車両本体に取り付けられた制御ユニットに接続すれば、室内灯の点灯/消灯だけでなく、運転席のコンビネーションメータに開ドア表示をすることやアラームを鳴らすことなどもできる。
さて、上記の構成の検出スイッチ20でラッチ11の回転位置を検出する場合、たとえば、検出片22の形状や切替ピン24の形状のばらつきなどが原因で、ラッチ11自身がハーフラッチ位置からフルラッチ位置に変わるタイミングにおける検出片22の他端部の位置にばらつきが生じる。そのため、従来の検出スイッチのように検出端子23の位置が固定されていると、ラッチ11自身の回転位置が変わるタイミングと、検出スイッチ20によるラッチ11の回転位置の検出タイミング(すなわち検出片22が検出端子23から離れるタイミング)とにずれが生じる。
本実施形態の検出スイッチ20では、ラッチ11の回転位置の検出タイミングのずれを容易に小さくするために、検出端子23を蓋部132で支持する際に、ラッチ軸15に対する検出端子23と検出片22との接点の位置を調整可能に支持する。以下、そのような支持を可能にする検出端子23の構成および支持方法を説明する。
図6は、実施形態1の検出スイッチにおける検出端子の形状および支持方法を示す平面図である。図7は、図6におけるA−A線断面図である。なお、図6は、ラッチ11から蓋部132を見たときの図であり、検出片22と検出端子23との位置関係が図2乃至図4とは左右反転している。また、図7は、検出片22と蓋部132との位置関係が図1および図5とは上下反転している。
本実施形態の検出スイッチ20に用いる検出端子23は、たとえば、図6および図7に示すように、直円柱の当接部23aと、当接部23aの底面から延出した直円柱の支持軸部23bとを有する形状にする。なお、図7に示した支持軸部23bの先端部23b’は、検出端子23が蓋部132から抜け落ちないようにする抜止部である。図示を省略するが、先端部23b’は、検出端子23を蓋部132に取り付ける前は、支持軸部23bを延長した直円柱になっている。
支持軸部23bの中心軸Xは、当接部23aの中心軸に対して偏心させる。一方、蓋部132には、支持軸部23bと略嵌合する支持孔(図示しない)を設ける。検出端子23を蓋部132に取り付けるときには、まず、検出端子23の支持軸部23bを蓋部132の支持孔に通す。そして、検出端子23が支持軸部23b回りに回転可能な状態で蓋部132に支持されるよう支持軸部23bの先端部23b’を変形させて(つぶして)抜止部とする。この状態で検出端子23を回転させると、当接部23aは支持軸部23bの中心軸Xを回転軸として回転する。検出端子23を回転させたときの当接部23aの動きは、偏心カムを回転させたときの動きになる。当接部23aを偏心カムとした場合、検出片22は当接部23aのカム面(側面)と当接する。
ラッチ11がハーフラッチ位置からフルラッチ位置に変わる直前における検出片22の他端部の位置が図6に実線で示した位置である場合、たとえば、検出端子23(当接部23a)が図6に二点鎖線で示した位置にあると、検出片22と検出端子23とはすでに離間している。そのため、検出スイッチ20によるラッチ11の回転位置の検出タイミングと、ラッチ11自身がハーフラッチ位置からフルラッチ位置に変わるタイミングにはずれがあることになる。本実施形態の検出スイッチ20では、検出端子23(当接部23a)が偏心カム状に動くので、検出端子23を回転させることで、図6の二点鎖線で示した位置にある検出端子23を実線の位置に移動させることができる。そのため、ラッチ11がハーフラッチ位置からフルラッチ位置に変わる直前まで、検出片22と検出端子23との当接状態を維持できるようになる。したがって、ラッチ11自身がハーフラッチ位置からフルラッチ位置に変わるタイミングと、検出スイッチ20によるラッチ11の回転位置の検出タイミングとのずれを小さくできる。
逆に、ラッチ11がフルラッチ位置であるときに検出片22の他端部の位置が図6に実線で示した位置である場合、たとえば、検出端子23(当接部23a)が図6に実線で示した位置にあると、検出片22は検出端子23に当接している。そのため、検出スイッチ20は、ラッチ11がフルラッチ位置であるにもかかわらず検出信号を出力している状態になり、検出スイッチとして機能しない。そのような場合、本実施形態の検出スイッチ20では、検出端子23を回転させ、図6の実線の位置にあった検出端子23を二点鎖線の位置に移動させればよい。こうすることで、ラッチ11がフルラッチ位置になったときに検出片22の他端部を検出端子23から離間させることができる。また、ラッチ11がフルラッチ位置であるときの検出端子23と検出片22の他端部との間隙は狭いので、ラッチ11自身がフルラッチ位置からハーフラッチ位置に変わるタイミングと、検出スイッチ20によるラッチ11の回転位置の検出タイミングとのずれは小さい。またさらに、検出端子23を回転させることで当接部23aのカム面(側面)と検出片22との距離を調整することができるので、たとえば、振動などによる検出片22の他端部と検出端子23との一時的(断続的)な接触を回避することもできる。
図6に示した検出端子23は、回転させることで、当接状態における支持軸部23bの中心軸Xから検出片22の他端部までの距離、言い換えると検出端子23と検出片22との接点のラッチ軸15に対する位置を変えることができる。このとき、検出端子23と検出片22との接点の位置は、検出片22の他端部の可動方向、言い換えると当接状態で検出片22が検出端子23から受ける押圧荷重がかかる方向と略一致する方向に変えることができる。また、図6に示した検出端子23は、たとえば、中心軸Xの位置(偏心の度合い)や当接部23aの半径を適宜変更することで、検出端子23と検出片22との接点の位置の調整可能な範囲を検出片22の他端部の位置のばらつき量と同等にすることができる。そのため、本実施形態の検出スイッチ20は、検出片22の他端部の位置のばらつきに対する検出端子23と検出片22との接点の位置の微調整が可能である。
図8は、検出端子の形状および支持方法の変形例を示す平面図である。図9は、図8におけるB−B線断面図である。なお、図8は、ラッチ11から蓋部132を見たときの図であり、検出端子23と検出片22との位置関係が図2乃至図4とは左右反転している。また、図9は、検出片22と蓋部132との位置関係が図1および図5とは上下反転している。
検出端子23を回転させることで検出端子23と検出片22との接点の位置を変える場合、検出端子23の当接部23aは、たとえば、図8および図9に示すように、楕円柱でもよい。当接部23aを楕円柱にした場合、支持軸部23bの中心軸Xは当接部23aの中心軸と一致させても構わない。この検出端子23をラッチケース13の蓋部132で回転可能に支持すると、当接部23aは楕円柱の中心軸を回転軸として回転する。楕円柱の中心軸から側面までの距離は、長径方向を最大値とし短径方向を最小値とする範囲で変動する。そのため、楕円柱の検出端子23を回転させた場合も、検出端子23と検出片22との接点の位置を容易に変えることができる。また、図8に示した検出端子23は、たとえば、当接部23aの長径と短径の組み合わせを適宜変更することで、検出端子23と検出片22との接点の位置の調整可能な範囲を検出片22の他端部の位置のばらつき量と同等にすることができる。そのため、図8および図9に示した検出スイッチ20でも、検出片22の他端部の位置のばらつきに対する検出端子23と検出片22との接点の位置の微調整が可能である。したがって、検出端子23が楕円柱の場合も、ラッチ11自身がハーフラッチ位置からフルラッチ位置に変わるタイミングと、検出スイッチ20によるラッチ11の回転位置の検出タイミングとのずれを小さくできる。
以上説明したように、本実施形態のドアロック装置における検出スイッチ20は、検出片22や切替ピン24の形状などにばらつきがある場合でも、ラッチ11自身がハーフラッチ位置からフルラッチ位置に変わるタイミングと、検出スイッチ20によるラッチ11の回転位置の検出タイミングとのずれを小さくできる。また、検出端子23の回転位置の調整による接点の位置調整は、検出片22に触れることなく行うことができ、また実際に検出片の他端部に生じる位置のばらつき量に基づいて行うことができるので、検出片22の根元部分である一端部で調整する場合に比べて微調整が容易である。またさらに、検出端子23と検出片22との接点の位置を他端部の位置のばらつき方向と略一致する押圧荷重の方向に調整可能にしたことで、検出片22が検出端子23から離れるタイミングの微調整を可能にしている。したがって、本実施形態の検出スイッチ20を備えるドアロック装置は、ラッチ11の回転位置を検出するタイミングの精度を容易に向上させることができる。また、板ばねでなる検出片22を備える検出スイッチ20を用いたことで、ラッチケース13内の狭いスペースへの配置が可能になる。
なお、本実施形態では、検出端子23が支持軸部23b回りに回転可能な状態で蓋部132に支持されるよう、支持軸部23bの先端部23b’を変形させて(つぶして)抜止部としている。しかしながら、検出端子23の支持方法はこれに限らず、たとえば、当接部23aのみでなる検出端子23をボルトなどの締結部材で締結して支持してもよい。
また、本実施形態の検出スイッチ20は、検出片22および検出端子23を、ラッチケース13(収容部131および蓋部132)ならびに検出片支持部材21でなる支持部材で支持している。しかしながら、検出片22および検出端子23を支持する支持部材の構成はこれに限らず、離間状態のときの検出片22と検出端子23とが電気的に分離(絶縁)する構成になっていればよい。したがって、検出片22および検出端子23は、たとえば、ラッチケース13とは異なる別の部材で支持してもよい。その場合、検出片22および検出端子23を支持する支持部材は、本実施形態と同様の導体および絶縁体を組み合わせてなる構成に限らず、たとえば、絶縁体のみで構成されていてもよい。検出片22および検出端子23を支持する支持部材を絶縁体のみで構成する場合、その支持部材は検出片22を支持する支持部および検出端子23を支持する支持部を有する一体物であってもよいし、複数の絶縁体部材を組み合わせたものであってもよい。
(実施形態2)
図10は、本発明の実施形態2の検出スイッチにおける検出端子の形状および支持方法を示す平面図である。図11は、図10におけるC−C線断面図である。なお、図10は、ラッチ11から蓋部132を見たときの図であり、検出端子23と検出片22との位置関係が図2乃至図4とは左右反転している。また、図11は、検出片22と蓋部132との位置関係が図1および図5とは上下反転している。
本実施形態の検出スイッチ20は、実施形態1の検出スイッチ20と同様にドアロック装置におけるラッチ11の回転位置の検出に用いられるスイッチであり、図1乃至図5に示したような構成になっている。本実施形態の検出スイッチ20において、実施形態1のものと異なるのは、検出スイッチ20における検出端子23の形状および支持方法である。
本実施形態の検出スイッチ20における検出端子23は、図10および図11に示すように、中央部分が開口した回転支点部23c、回転支点部23cから互いに反対の方向に突出する当接部23aおよび位置保持部23d、回転支点部23cから当接部23aおよび位置保持部23dとは異なる方向に突出した導通確保部23e、ならびに検出端子23を蓋部132に固定するためのボルト23fを有する。一方、検出端子23を支持するラッチケース13の蓋部132は、検出端子23のボルト23fと嵌合するねじ孔を有する端子支持部132e、および位置保持部23dと係合可能な溝を複数有する位置選択部132fを有する。
この検出端子23は、図10に実線と二点鎖線とで示したように、位置保持部23dを係合させる位置選択部132fの溝を変えることで、当接部23aの回転支点部23cからの突出方向が変わる。そのため、本実施形態の検出スイッチ20では、位置保持部23dを係合させる位置選択部132fの溝を変えることで、検出端子23と検出片22との接点の位置を段階的に変えることができる。
検出片22の他端部に生じる位置のばらつきの程度や傾向が予測可能である場合や、検出端子23と検出片22との接点の位置に若干のばらつきがあっても構わない場合は、図10に示したように数種類の回転位置のいずれかを選択する態様で検出端子23を支持してもよい。検出端子23を端子支持部132eに取り付けるときは、決定した位置選択部132fの溝に位置保持部23dを係合させ、ボルト23fで締結するだけでよい。そのため、実施形態1のような無段階で回転する検出端子23で接点の位置を調整する場合に比べて作業効率がよい。
また、検出端子23の位置保持部23dを位置選択部132fの溝に係合させてボルト23fで締結すると、締結時に加わる外力で当接部23aの突出方向が変わる(ずれる)ことを防げる。また、導通確保部23eを蓋部132に接触させているので、たとえば、端子支持部132eを介した検出端子23と給電部材の負極端子との電気的な接続を確保できない場合であっても、導通確保部23eおよび蓋部132を介して電気的な接続を確保できる。
以上説明したように、本実施形態の検出スイッチ20は、検出片22や切替ピン24の形状などにばらつきがある場合でも、ラッチ11自身がハーフラッチ位置からフルラッチ位置に変わるタイミングと、検出スイッチ20によるラッチ11の回転位置の検出タイミングとのずれを小さくできる。また、検出端子23の回転位置を数種類の回転位置のいずれかから選択するように構成したことで、接点の位置を調整する作業を容易にしている。したがって、本実施形態の検出スイッチ20を備えるドアロック装置は、ラッチ11の回転位置を検出するタイミングの精度を容易に向上させることができる。また、板ばねでなる検出片22を備える検出スイッチ20を用いたことで、ラッチケース13内の狭いスペースへの配置が可能になる。
また、本実施形態の検出スイッチ20も実施形態1と同様に、検出片22および検出端子23が、ラッチケース13とは異なる別の部材で支持されていてもよい。その場合、検出片22および検出端子23を支持する支持部材は、本実施形態と同様の導体および絶縁体を組み合わせてなる構成に限らず、たとえば、絶縁体のみで構成されていてもよい。検出片22および検出端子23を支持する支持部材を絶縁体のみで構成する場合、その支持部材は検出片22を支持する支持部および検出端子23を支持する支持部を有する一体物であってもよいし、複数の絶縁体部材を組み合わせたものであってもよい。
(実施形態3)
図12は、本発明の実施形態3の検出スイッチにおける検出端子の支持方法を示す平面図である。図13は、図12におけるD−D線断面図である。なお、図12は、ラッチ11から蓋部132を見たときの図であり、検出端子23と検出片22との位置関係が図2乃至図4とは左右反転している。また、図13は、検出片22と蓋部132との位置関係が図1および図5とは上下反転している。
本実施形態の検出スイッチ20は、実施形態1の検出スイッチ20と同様にドアロック装置におけるラッチ11の回転位置の検出に用いられるスイッチであり、図1乃至図5に示したような構成になっている。本実施形態の検出スイッチ20において、実施形態1および実施形態2のものと異なるのは、検出スイッチ20における検出端子23の支持方法である。
実施形態1および実施形態2では、検出端子23を回転させることで検出端子23と検出片22との接点の位置を調整し、ラッチ11の回転位置の検出タイミングのばらつきを小さくしている。しかしながら、検出端子23と検出片22との接点の位置を調整する方法は、これに限らず、たとえば、検出端子23を支持する位置を変える方法であってもよい。
本実施形態の検出スイッチ20では、図12および図13に示すように、蓋部132に検出端子23を支持可能な支持孔132gを複数設け、当該複数の支持孔132gの1つで検出端子23を支持する。蓋部132に設ける複数の支持孔132gは、検出片22が検出端子23に当接したときの押圧荷重の方向と略一致する方向に配置する。一方、検出端子23は、たとえば、図13に示したように、底面に締結用の開口を有する略円筒形状の当接部23aと、ボルト23gまたはかしめピンなどの締結部材とで構成する。
前述のように、検出片22の他端部における位置のばらつきは、他端部の可動方向、すなわち当接状態で検出片22が検出端子23から受ける押圧荷重の方向と略一致している。そのため、複数の支持孔132gの配置方向をその押圧荷重の方向と略一致させることで、検出端子23の移動量を、検出片22の他端部の位置のばらつき量と同等にすることができる。すなわち、複数の支持孔132gを押圧荷重の方向と略一致する方向に配置し、いずれかの支持孔132gで検出端子23を支持すると、他端部の位置のばらつき量に基づいて接点の位置を容易に調整することができる。
なお、検出端子23は、たとえば、図6および図7に示したような偏心カム状であってもよい。複数の支持孔132gのいずれかで検出端子23を支持する場合、検出端子23が直円柱などの等方的な外形であると、検出片22と検出端子23との接点の位置は、支持孔132gの配置間隔単位での調整になる。これに対し、検出端子23を偏心カム状にすれば、選択した1つの支持孔132gで検出端子23を支持した状態で、さらに検出片22と検出端子23との接点の位置を調整できる。そのため、より微妙な位置調整が可能になる。
図14は、検出端子を支持する支持孔の変形例を示す平面図である。図15は、図14におけるE−E線断面図である。なお、図14は、ラッチ11から蓋部132を見たときの図であり、検出端子23と検出片22との位置関係が図2乃至図4とは左右反転している。また、図15は、検出片22と蓋部132との位置関係が図1および図5とは上下反転している。
本実施形態のように検出端子23を支持する位置を変えることで検出端子23と検出片22との接点の位置を調整する場合、たとえば、図14および図15に示すように、蓋部132に長孔132hを設け、当該長孔132hのいずれかの位置で検出端子23を支持してもよい。蓋部132に設ける長孔132hは、その長手方向を、当接状態で検出片22が検出端子23から受ける押圧荷重の方向と略一致させる。一方、検出端子23は、たとえば、図15に示したように、底面に締結用の開口を有する略円筒形状の当接部23aと、ボルト23gまたはかしめピンなどの締結部材とで構成する。蓋部132に長孔132hを設けることで、検出端子23の支持位置を連続的に変えることができるようになり、複数の孔132gを設ける場合よりも微妙な位置調整が可能になる。
以上説明したように、本実施形態の検出スイッチ20は、検出片22や切替ピン24の形状などにばらつきがある場合でも、ラッチ11自身がハーフラッチ位置からフルラッチ位置に変わるタイミングと、検出スイッチ20によるラッチ11の回転位置の検出タイミングとのずれを小さくできる。また、検出端子23の支持位置の調整による接点の位置調整は、検出片22に触れることなく行うことが可能であり、また実際に検出片の他端部に生じる位置のばらつき量に基づいて行うことができるので、検出片22の根元部分である一端部で調整する場合に比べて微調整が容易である。またさらに、検出端子23と検出片22との接点の位置を、他端部の位置のばらつき方向と略一致する押圧荷重の方向に調整可能にしたことで、検出片22が検出端子23から離れるタイミングの微調整を可能にしている。したがって、本実施形態の検出スイッチ20を備えるドアロック装置は、ラッチ11の回転位置を検出するタイミングの精度を容易に向上させることができる。また、板ばねでなる検出片22を備える検出スイッチ20を用いたことで、ラッチケース13内の狭いスペースへの配置が可能になる。
なお、本実施形態の検出端子23は、当接部23aとボルト23gとで構成している。しかしながら、検出端子23の構成はこれに限らず、たとえば、実施形態1で挙げたような支持軸部23bを有する構成とし、支持軸部23bの先端部23b’を変形させて(つぶして)抜止部としてもよい。
また、本実施形態の検出スイッチ20も実施形態1と同様に、検出片22および検出端子23が、たとえば、ラッチケース13とは異なる別の部材で支持されていてもよい。その場合、検出片22および検出端子23を支持する支持部材は、本実施形態と同様の導体および絶縁体を組み合わせてなる構成に限らず、たとえば、絶縁体のみで構成されていてもよい。検出片22および検出端子23を支持する支持部材を絶縁体のみで構成する場合、その支持部材は検出片22を支持する支持部および検出端子23を支持する支持部を有する一体物であってもよいし、複数の絶縁体部材を組み合わせたものであってもよい。
(実施形態4)
図16は、本発明の実施形態4のドアロック装置におけるラッチ機構および検出スイッチの概略構成を示す側断面図である。図17は、ラッチがフルラッチ位置のときのラッチ機構および検出スイッチの状態を示す図である。図18は、ラッチがハーフラッチ位置のときのラッチ機構および検出スイッチの状態を示す図である。図19は、ラッチが開放位置のときのラッチ機構および検出スイッチの状態を示す図である。なお、図16の概略構成は、図1のラッチ機構10を右側から見たときの内部構造に相当する。
本実施形態のドアロック装置は、基本的な構成が実施形態1のドアロック装置と同じであり、図1乃至図5に示したラッチ機構10および検出スイッチ20を備える。本実施形態のドアロック装置において、実施形態1乃至実施形態3のものと異なるのは、検出スイッチ20における検出端子23をラッチ11に設けた点である。
本実施形態の検出スイッチ20では、図16乃至図19に示すように、ラッチ11の回転位置の検出に用いる検出端子23をラッチ11で支持する。検出端子23をラッチ11で支持する場合、検出端子23はラッチ11とともに回転する。そのため、検出端子23は、ラッチ11が図17に示すフルラッチ位置のときには検出片22が離間し、図18に示すフルラッチ位置および図19に示す開放位置のときには検出片22と当接するような位置で支持する。
ラッチ11が図17に示すフルラッチ位置のときにフルラッチ係止部11cとラチェット12の係合部12aとの当接係合状態を解除すると、ラッチ11がラッチバネの付勢力により反時計回りに回転し、図18に示すハーフラッチ位置を経由して図19に示す開放位置に至る。このとき、検出端子23は、まず、ラッチ11がハーフラッチ位置に至るタイミングで検出片22の他端部と当接する。その後、検出端子23は、ラッチ11が開放位置で保持されるまで、検出片22との接点の位置を一端部側に変えながらラッチ軸15回りの回転を続ける。
本実施形態の場合、検出端子23がラッチ11とともに回転することで検出片22と検出端子23との当接状態と離間状態とが切り替わる。そのため、本実施形態の検出スイッチ20では、実施形態1乃至実施形態3のような切替ピン24が無くてもよい。
なお、本実施形態の検出スイッチ20において、検出端子23を検出片22に当接させることで通電させる場合、検出端子23は、たとえば、ラッチ11およびラッチ軸15を介して給電部材の負極端子と電気的に接続する。
本実施形態の検出スイッチ20でも、検出片22は板ばねであるため、図17に示す自由状態のときの他端部の位置にばらつきがある。そのため、本実施形態の検出スイッチ20では、実施形態1乃至実施形態3で挙げたような方法で検出端子23をラッチ11に支持し、離間状態から当接状態に変わるときの検出端子23と検出片22との接点の位置を調整する。これにより、本実施形態の検出スイッチ20でも、ラッチ11がハーフラッチ位置からフルラッチ位置に変わる直前まで検出片22と検出端子23との当接状態を維持でき、かつラッチ11がフルラッチ位置のときには検出片22と検出端子23とを確実に離間状態にできる。
また、本実施形態の検出スイッチ20においても、検出端子23と検出片22との接点の位置は、検出片22の他端部の可動方向、言い換えると当接状態で検出片22が検出端子23から受ける押圧荷重がかかる方向と略一致する方向に変えることができる。そのため、本実施形態の検出スイッチ20は、実施形態1乃至実施形態3の検出スイッチ20と同様に、検出片22の他端部の位置のばらつきに対する検出端子23と検出片22との接点の位置の微調整が可能である。
以上説明したように、本実施形態のドアロック装置における検出スイッチ20は、自由状態における検出片22の他端部の位置にばらつきがある場合でも、ラッチ11自身がハーフラッチ位置からフルラッチ位置に変わるタイミングと、検出スイッチ20によるラッチ11の回転位置の検出タイミングとのずれを小さくできる。また、検出端子23の回転位置または支持位置の調整による接点の位置調整は、検出片22に触れることなく行うことが可能であり、また実際に検出片22の他端部に生じる位置のばらつき量に基づいて行うことができるので、検出片22の根元部分である一端部で調整する場合に比べて微調整も容易である。またさらに、検出端子23と検出片22との接点の位置を、他端部の位置のばらつき方向と略一致する方向に調整可能にしたことで、検出端子23が検出片22に当接するタイミングの微調整を可能にしている。したがって、本実施形態の検出スイッチ20を備えるドアロック装置は、ラッチ11の回転位置を検出するタイミングの精度を容易に向上させることができる。また、板ばねでなる検出片22を備える検出スイッチ20を用いたことで、ラッチケース13内の狭いスペースへの配置が可能になる。
なお、本発明は、上記実施形態1乃至実施形態4で挙げた構成に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能であることはもちろんである。
たとえば、実施形態1乃至実施形態4の検出スイッチ20は、検出片22が検出端子23に当接した当接状態と検出片22が検出端子23から離間した離間状態とが、電気回路のオンとオフとに対応する構成になっている。しかしながら、本発明に係る検出スイッチ20はこれに限らず、たとえば、検出片22が検出端子23に当接した当接状態(オン状態)のときに所定の検出信号を出力する構成であってもよい。すなわち、本発明に係る検出スイッチ20は、たとえば、検出片支持部材21の代わりに、通電することにより所定の検出信号を出力する信号出力素子を用い、検出片22が検出端子23に当接することでその信号出力素子を通電させ、車両本体に取り付けられた制御ユニットに検出信号を出力するような構成であってもよい。