JP6203366B2 - 農作物の鮮度保持方法 - Google Patents
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Description
(1)近赤外光照射によるミドリハコベの蒸散量の抑制
暗所(0Lx)・低温(10℃)条件において、照射光強度を100μmol/m2/sとして、中心波長850nm、940nmおよび1015nmを持つLEDから発せられる近赤外光を、ミドリハコベにそれぞれ10分間照射し、蒸散量を求めた。蒸散量は、初期のミドリハコベの重量を計測し、前記の光照射の後、暗所・低温条件において貯蔵し、1日貯蔵後の重量変化により算出した。蒸散量は、無照射を1.00とした場合の相対値で表示した。また、比較例として、近赤外光に代えて、LEDから発せられる赤色光、緑色光、青色光を照射した以外は同様にして、蒸散量を求めた。本実施例では、前記波長850nmおよび1015nmではn=4の平均値、前記波長940nmではn=5の平均値としての蒸散量を求めた。また、無照射および全比較例では、n=5の平均値としての蒸散量を求めた。
レタスを用い、試料数(n)を表2のように変更したこと以外は、ミドリハコベと同様にして、蒸散量を求めた。前記レタスとしては、以下の手順で自家栽培した幼苗を用いた。まず、育苗用ウレタンマットにレタス(品種:シスコ)の種子を播種した。そして、恒温条件(22℃〜23℃)・16時間日長(明期:1万Lx(植物育成用ランプ))に設定したグロースチャンバーにて、大塚水耕栽培溶液(EC:1.2)を用いた水耕栽培にて10日間の栽培を行った。そして、本葉2枚がでた時点で地上部を切断し、試験用レタスとした。
暗所(0Lx)・低温(10℃)条件において、照射光強度を1μmol/m2/s、2μmol/m2/s、3μmol/m2/s、4μmol/m2/s、5μmol/m2/s、8μmol/m2/s、10μmol/m2/s、100μmol/m2/s、200μmol/m2/sおよび300μmol/m2/sとして、LEDから発せられる中心波長850nmおよび940nmの近赤外光を、前述のレタスにそれぞれ10分間照射し、蒸散量を求めた。蒸散量の算出方法および表示方法は、前述のとおりであり、試料数(n)は、表5に示すとおりとした。その結果を表5に示す。表5に示すように、850nmでは、4μmol/m2/s、940nmでは、2μmol/m2/sの照射光強度において、最も高い蒸散量抑制効果が得られた。
前述した照射光強度と蒸散量との関係をもとに、前述のレタスに、暗所(0Lx)・低温(10℃)条件において、LEDから発せられる中心波長および照射光強度を、(i)850nm(100μmol/m2/s)、(ii)940nm(300μmol/m2/s)、(iii)940nm(100μmol/m2/s)とし、1秒間、5秒間、10秒間、30秒間、1分間、5分間、10分間および60分間照射して、それぞれ蒸散量を求めた。蒸散量の算出方法および表示方法は、前述のとおりであり、試料数(n)は、表6〜8に示すとおりとした。その結果を、表6〜8に示す。表6は前記条件(i)での結果を示し、表7は前記条件(ii)での結果を示し、表8は前記条件(iii)での結果を示す。表6〜8に示すように、(i)の条件では5分間、(ii)の条件では1分間、(iii)の条件では30秒間の照射において、最も高い蒸散量抑制効果が得られた。
(5−1)近赤外光の照射光強度と蒸散量との関係
白色蛍光灯下での明所(1000Lx)・低温(10℃)条件において、照射光強度を10μmol/m2/s、100μmol/m2/s、200μmol/m2/sおよび300μmol/m2/sとして、LEDから発せられる中心波長850nmおよび940nmの近赤外光を前述のレタスにそれぞれ10分間照射し、蒸散量を求めた。蒸散量の算出方法および表示方法は、前述のとおりである。本実施例では、n=24の平均値としての蒸散量を求めた。その結果を図3に示す。図3に示すように、850nm、940nmともに10μmol/m2/s以上の照射光強度で顕著な蒸散量の減少が認められた。このことから明所条件においても、近赤外光の照射により蒸散量が減少することが明らかになった。
前述した照射光強度と蒸散量との関係をもとに、白色蛍光灯下での明所(1000Lx)・低温(10℃)条件において、LEDから発せられる中心波長および照射光強度を(iv)850nm(100μmol/m2/s)、(v)940nm(200μmol/m2/s)、(vi)940nm(100μmol/m2/s)として、照射時間を変えて前述のレタスに照射し、それぞれ蒸散量を求めた。蒸散量の算出方法および表示方法は、前述のとおりであり、試料数(n)は表9に示すとおりとした。その結果を表9に示す。表9に示すように、(iv)の条件では10分間、(v)の条件では1分間〜5分間、(vi)の条件では5分間の照射において、最も高い蒸散抑制効果が得られた。
さらに強い強度の明所条件下での近赤外光の効果を調べるため、白色蛍光灯下での明所(10000Lx)、白色LED下での明所(10000Lx)、自然光(太陽光)下での明所(40000Lx)条件において、照射光強度を100μmol/m2/sとして、LEDから発せられる中心波長850nmの近赤外光を前述のレタスにそれぞれ5分間照射し、蒸散量を求めた。蒸散量の算出方法および表示方法は、前述のとおりである。本実施例では、n=4〜6の平均値としての蒸散量を求めた。その結果を表10に示す。表10に示すように、白色蛍光灯下、白色LED下および自然光(太陽光)下のいずれの明所条件においても、近赤外光の照射により蒸散量が減少することが明らかになった。
明所条件下で近赤外光をさらに連続照射した場合の効果を調べるため、白色LED下での明所(10000Lx)条件において、照射光強度を60μmol/m2/sとして、LEDから発せられる中心波長850nmの近赤外光を前述のレタスにそれぞれ24間照射し、蒸散量を求めた。蒸散量の算出方法および表示方法は、前述のとおりである。本実施例では、n=7の平均値としての蒸散量を求めた。その結果を表11に示す。表11に示すように、連続24時間明所条件下において近赤外光を照射しても、蒸散量が減少することが明らかになった。このことは、白色LEDからの光に近赤外光成分を加えることにより、鮮度保持効果を発揮できることを示すものである。
前述のレタスに、暗所(0Lx)・低温(10℃)条件において、LEDから発せられる中心波長850nmの近赤外光を、照射光強度10μmol/m2/sおよび100μmol/m2/sとして、10分間照射した。照射後、10℃・暗所に静置し、30分後にレタスの葉をホモゲナイザーで部分的に破砕し、光学顕微鏡を用いて気孔開度を測定した。本実施例では、各5個体のレタスを用い、それぞれホモゲナイザーで破砕した5断片を対象に、それぞれ5つの気孔を観察し(各試験区で合計125の気孔を観察)、その平均値を求めた。その結果を表12に示す。表12に示すように、近赤外光を照射した場合には、いずれの光強度においても無照射に比べて気孔が閉じる傾向にあることが明らかになり、このことが蒸散量を低下させる理由のひとつであると推察された。
各種葉茎類、果菜類、果実類、菌茸類に、暗所(0Lx)・低温(10℃)条件下において、LEDから発せられる中心波長850nm(100μmol/m2/s)の近赤外光を5分間照射した。その後、暗所・低温条件下で1日間〜2週間貯蔵し、蒸散量を求めた。蒸散量の表示方法は、前述のとおりであり、試料数(n)は表13に示すとおりとした。その結果を表13に示す。表13に示すように、リーフレタス、ホウレンソウ、キャベツ、青ネギ、アスパラガス、ブロッコリー、コマツナ、オオバ、キュウリ、ミニトマト、ミディトマト、トマト、ピーマン、ナス、イチゴ、サクランボ、モモ、シイタケ、ブナシメジにおいても、蒸散量抑制効果が見られた。
(1)近赤外光照射による結球レタスの軟化抑制
暗所(0Lx)・低温(10℃)条件において、LEDから発せられる中心波長850nm(100μmol/m2/s)および940nm(100μmol/m2/s)の近赤外光を結球レタスに10分間照射した。その後、暗所・低温条件において20日間貯蔵し、果実硬度計(株式会社藤原製作所製、KM−5、商品名円錐ブランジャー)での硬度測定によって、葉の硬度値を測定した。葉の硬度値は、無照射を1.00とした相対値で表示した。無照射および本実施例において、n=5の平均値としての葉の硬度を求めた。その結果を表15および図4に示す。表15および図4に示すように、850nm、940nmの双方において、1回照射、毎日照射の双方で、無照射の場合よりも葉の硬度値が高く、軟化が抑制できた。また、毎日照射するよりも、1回照射の方が、高い軟化抑制効果が得られた。
暗所(0Lx)・低温(10℃)条件において、LEDから発せられる中心波長850nm(100μmol/m2/s)の近赤外光をイチゴに5分間照射した。その後、暗所・低温条件下で1週間貯蔵し、前記果実硬度計を用いてイチゴの果実硬度を測定した。無照射および本実施例において、n=11の平均値としての果実硬度を求めた。その結果を表16および図5に示す。図5において、aとbとの間で、Tukey検定により5%水準の有意差を示した。表16および図5に示すように、光照射をした方が、無照射の場合と比較して高い果実硬度を保つことができ、軟化が抑制できた。
(1)近赤外光照射による結球レタスの腐敗抑制
結球レタスを用い、4段階評価(1:健全、2:褐変している、3:一部に腐敗あり、4:腐敗している)による鮮度評価を行った。暗所(0Lx)・低温(10℃)条件において、LEDから発せられる中心波長850nm(100μmol/m2/s)および940nm(100μmol/m2/s)の近赤外光を、結球レタスに10分間照射した。その後、暗所・低温条件において20日間貯蔵し、前記4段階評価に従い、目視による鮮度評価を行った。その結果を図6および図7に示す。図6は、1回のみ照射した場合の結果を示し、図7は、20日間毎日照射した場合の結果を示す。図示のように、850nm、940nmの双方において、1回照射、毎日照射の双方で、無照射の場合よりも一部腐敗および腐敗の割合が低く、腐敗抑制効果が得られた。また、毎日照射するよりも、1回照射の方が、一部腐敗および腐敗の割合が低く、高い腐敗抑制効果が得られた。
暗所(0Lx)・低温(10℃)条件において、LEDから発せられる中心波長850nm(100μmol/m2/s)の近赤外光を、イチゴに5分間照射した。この際、イチゴを二段に重ねてパック詰めした状態で、前記近赤外光を照射した。その後、暗所・低温条件下で1週間貯蔵し、前記4段階評価に従い、目視による鮮度評価を行った。その結果を図8に示す。図示のように、光照射をした方が、無照射の場合と比較して、腐敗を抑制することができた。
近赤外光照射による結球レタスの褐変抑制
暗所(0Lx)・低温(10℃)条件において、LEDから発せられる中心波長850nm(100μmol/m2/s)および940nm(100μmol/m2/s)の近赤外光を、結球レタスに10分間照射した。その後、暗所・低温条件において20日間貯蔵し、色彩色差計(株式会社ミノルタ製、CR−200)を用いて褐変度合いを測定した。褐変度合いは、L*a*b*表色系におけるa*値およびb*値の比であるa/bの値が大きいほど葉が赤く褐変している。その結果を表17に示す。表17に示すように、無照射の場合と比較して褐変が抑制された。
本発明の実用性を評価するために、植物工場で生産されるリーフレタスへの適用試験を行った。収穫直後のリーフレタスに、近赤外光照射装置(LED:315個、消費電力:65W)を用いて、暗所(0Lx)・低温(10℃)条件、明所(1000Lx)・常温(22℃)条件それぞれにおいて、中心波長850nm(100μmol/m2/s)の近赤外光を、10分間照射した。その後、暗所・低温条件において5日間貯蔵し、蒸散量を求めた。蒸散量の表示方法は、前述のとおりである。その結果を図9に示す。図示のように、暗所・低温条件での照射、明所・常温条件での照射の双方において、無照射の場合と比較して蒸散量が抑制された。特に、暗所・低温条件での近赤外光照射の蒸散量抑制効果は顕著であった。
コマツナに、暗所(0Lx)・低温(10℃)条件下において、LEDから発せられる中心波長850nm(100μmol/m2/s)の近赤外光を5分間照射した。その後、暗所・23℃条件下で4日間貯蔵し、外観を目視により観察した。本実施例において、試料数は、10個とした。また、比較のために、無照射のコマツナについても前記と同様の条件で貯蔵し、外観を目視により観察した。図10(a)(b)は、その結果を示す写真である。図10(a)(b)において、左側の写真Xが無照射のコマツナであり、右側の写真Yが本実施例に係る近赤外光を照射したコマツナである。図10(a)に示すように、無照射の場合、Aで示す部分に萎れが見られたのに対し、近赤外光を照射したコマツナでは、無照射の場合と比較して葉先の萎れが少なく、葉先の乾燥を抑制できた。また、図10(a)に示すように、無照射の場合、Bで示す部分において葉の色が黄色く変化しており、葉が退色している部分が多く見られたのに対し、近赤外光を照射したコマツナでは、葉の色が黄色く変化している箇所がほとんどなく、葉の退色を抑制することができた。また、図10(b)に示すように、無照射の場合、Cで示す部分に茎細りが見られたのに対し、近赤外光を照射したコマツナでは、無照射の場合と比較して茎細りを抑制することができた。
オオバに、暗所(0Lx)・低温(10℃)条件下において、LEDから発せられる中心波長850nm(100μmol/m2/s)の近赤外光を5分間照射した。その後、暗所・4℃条件下で1日間貯蔵し、外観を目視により観察した。本実施例において、試料数は10個とした。また、比較のために、無照射のオオバについても前記と同様の条件で貯蔵し、外観を目視により観察した。図11は、その結果を示す写真である。図11において、左側の写真Xが無照射のオオバであり、右側の写真Yが本実施例に係る近赤外光を照射したオオバである。また、図11において、Aで示す部分は、黒点が見られた部分であり、Bで示す部分は、萎れが見られた部分である。まず、無照射では、葉の黒点の数が1枚あたり平均3.9個であったのに対し、近赤外光を照射したオオバでは、1.7個であり、黒点の発生を抑制することができた。また、図11に示すように、近赤外光を照射したオオバの方が、無照射の場合と比較して、葉先の萎れが少なく、葉先の乾燥を抑制することができた。さらに、無照射の場合、葉が全体的に褐変したのに対し、近赤外光を照射したオオバでは、葉が褐変している箇所がほとんどなく、葉の褐変を抑制することができた。
ホウレンソウに、暗所(0Lx)・低温(10℃)条件下において、LEDから発せられる中心波長850nm(100μmol/m2/s)の近赤外光を5分間照射した。その後、暗所・10℃条件下で7日間貯蔵し、外観を目視により観察した。本実施例において、試料数は、15個とした。また、比較のために、無照射のホウレンソウについても前記と同様の条件で貯蔵し、外観を目視により観察した。その結果を、図12および図13に示す。図12は、外観を撮影した写真であり、図13は、図12の写真を模式化した図である。図12および図13において、左側の図Xが無照射のホウレンソウであり、右側の図Yが本実施例に係る近赤外光を照射したホウレンソウである。図12および図13に示すように、ホウレンソウの茎の下部を持った場合、近赤外光を照射したホウレンソウでは、株のほとんどの茎がまっすぐ立っていたのに対し、無照射の場合は、ほとんどの茎が垂れた。このように、近赤外光を照射することにより、茎のしおれを抑制することができた。また、近赤外光を照射したホウレンソウの方が、無照射の場合と比較して、葉先の萎れが少なく、葉先の乾燥を抑制することができた。さらに、近赤外光を照射したホウレンソウの方が、無照射の場合と比較して、茎細りを防ぐことができた。
アスパラガスに、暗所(0Lx)・低温(10℃)条件下において、LEDから発せられる中心波長850nm(100μmol/m2/s)の近赤外光を5分間照射した。その後、暗所・10℃条件下で5日間貯蔵し、外観を目視により観察した。本実施例において、試料数は、22個とした。また、比較のために、無照射のアスパラガスについても前記と同様の条件で貯蔵し、外観を目視により観察した。図14は、その結果を示す写真である。図14において、左側の写真Xが無照射のアスパラガスであり、右側の写真Yが本実施例に係る近赤外光を照射したアスパラガスである。図14に示すように、無照射では、Aで示す部分に皺が見られ、芯部分の皺が目立ったのに対し、近赤外光を照射したアスパラガスでは、芯部分に目立つ皺が入っておらず、芯部分の皺を抑制することができた。また、無照射では、Bで示す部分に茶色く変色した腐りが見られ、茎下部の切り口の部分に腐りが生じているものが複数見られたのに対し、近赤外光を照射したアスパラガスでは、切り口の部分が腐ったものはなく、切り口の腐りを軽減することができた。
青ネギに、暗所(0Lx)・低温(10℃)条件下において、LEDから発せられる中心波長850nm(100μmol/m2/s)の近赤外光を5分間照射した。その後、暗所・10℃条件下で5日間貯蔵し、外観を目視により観察した。本実施例について、試料数は、3束とした。また、比較のために、無照射の青ネギについても前記と同様の条件で貯蔵し、外観を目視により観察した。図15は、その結果を示す写真である。図15において、左側の写真Xが無照射の青ネギであり、右側の写真Yが本実施例に係る近赤外光を照射した青ネギである。図15に示すように、無照射では、Aで示す芯部分に腐りが見られたのに対し、近赤外光を照射した青ネギでは、芯部分の腐りはなく、芯部分の腐りが抑制された。
キャベツに、暗所(0Lx)・低温(10℃)条件下において、LEDから発せられる中心波長850nm(100μmol/m2/s)の近赤外光を5分間照射した。その後、暗所・10℃条件下で1日間貯蔵し、外観を目視により観察した。本実施例において、試料数は、2個とした。また、比較のために、無照射のキャベツについても前記と同様の条件で貯蔵し、外観を目視により観察した。図16は、その結果を示す写真である。図16において、上の2つの写真Xが無照射のキャベツであり、下の2つの写真Yが本実施例に係る近赤外光を照射したキャベツである。図16に示すように、無照射の場合、Aで示す部分において外葉が萎れて縮んだのに対し、近赤外光を照射したキャベツでは、葉の萎れがなく、萎れを抑制できた。
ピーマンに、暗所(0Lx)・低温(10℃)条件下において、LEDから発せられる中心波長850nm(100μmol/m2/s)の近赤外光を5分間照射した。その後、明所・23℃条件下で5日間貯蔵し、外観を目視により観察した。本実施例において、試料数は、7個とした。また、比較のために、無照射のピーマンについても前記と同様の条件で貯蔵し、外観を目視により観察した。図17は、その結果を示す写真である。図17において、左側の写真Xが無照射のピーマンであり、右側の写真Yが本実施例に係る近赤外光を照射したピーマンである。図17に示すように、無照射では、ピーマンの表面が萎れ、つや感が失われたのに対し、近赤外光を照射したピーマンでは、表面に張りがあってつや感が失われておらず、つや感を維持することができた。
ナスに、暗所(0Lx)・低温(10℃)条件下において、LEDから発せられる中心波長850nm(100μmol/m2/s)の近赤外光を5分間照射した。その後、明所・10℃条件下で7日間貯蔵し、外観を目視により観察した。本実施例において、試料数は、10個とした。また、比較のために、無照射のナスについても前記と同様の条件で貯蔵し、外観を目視により観察した。図18は、その結果を示す写真である。図18において、左側の写真Xが無照射のナスであり、右側の写真Yが本実施例に係る近赤外光を照射したナスである。図18に示すように、無照射では、ナスの表面が萎れ、つや感が失われたのに対し、近赤外光を照射したナスの方では、表面に張りがあってつや感が失われておらず、つや感を維持することができた。
へたの向きを上にしたトマト(以下、「上向き保存」ともいう。)、および、へたの向きを下にしたトマト(以下、「下向き保存」ともいう。)それぞれに、暗所(0Lx)・低温(10℃)条件下において、LEDから発せられる中心波長850nm(100μmol/m2/s)の近赤外光を5分間照射した。その後、暗所・10℃条件下で3日間貯蔵して、蒸散量を求めた。本実施例において、試料数は、上向き保存および下向き保存それぞれ5個とした。なお、図19(a)に示す状態が上向き保存であり、図19(b)に示す状態が下向き保存である。蒸散量の表示方法は、前述のとおりである。その結果を、表19に示す。表19に示すように、無照射を1.00とした場合の蒸散量の相対値は、上向き保存の場合は、0.67であり、下向き保存の場合は、0.87であり、いずれの場合にも蒸散量抑制効果が見られた。
モモに、暗所(0Lx)・低温(10℃)条件下において、LEDから発せられる中心波長850nm(100μmol/m2/s)の近赤外光を5分間照射した。その後、暗所・10℃条件下で8日間貯蔵し、外観を目視により観察した。本実施例において、試料数は5個とした。また、比較のために、無照射のモモについても前記と同様の条件で貯蔵し、外観を目視により観察した。図22(a)(b)は、その結果を示す写真である。図22(a)(b)において、左側の写真Xが無照射のモモであり、右側の写真Yが本実施例に係る近赤外光を照射したモモである。まず、図22(a)に示すように、皮付きの状態で観察した結果、無照射では、皮の表面においてAで示す部分に大きな傷みが見られたのに対し、近赤外光を照射したモモの方では、目立つ傷みは見られなかった。次に、図22(b)に示すように、皮をむいて観察したところ、無照射では、Aで示す部分が傷んで茶色く変色しており、傷んだ部分が広く見られたのに対し、近赤外光を照射したモモの方では、傷みはほとんど見られなかった。このように、近赤外光の照射により、傷みを軽減できた。
キクに、暗所(0Lx)・低温(10℃)条件下において、LEDから発せられる中心波長850nm(100μmol/m2/s)の近赤外光を5分間照射した。その後、明所・23℃条件下で、茎の切断面を水につけた状態で2週間貯蔵し、蒸散量を求めた。本実施例において、試料数は2以上とし、同様の試験を4回行った。蒸散量の表示方法は、前述のとおりである。その結果を、表20に示す。表20に示すように、無照射を1.00とした場合の蒸散量の相対値は、試験4回の平均が0.94であり、蒸散量抑制効果が見られた。
11 光源
12 コントローラ
13 農作物
20 トラック
21 輸送コンテナ
15 照射装置本体
16 ベルトコンベア
17 把持部
30、40 冷蔵庫
31、41 野菜室
50 ショーケース
51 開口部
52 透明部材
53 断熱箱体
54 収納室
Claims (9)
- 農作物に、発光ダイオード(LED)により近赤外光を照射し、
前記農作物が、生鮮野菜類、生鮮果実類および生鮮花卉類からなる群から選択された少なくとも1つであり、
前記近赤外光が800nmを超え1000nm以下の範囲の単波長光であるか、または、前記近赤外光が波長分布を有し、中心波長が800nmを超え1000nm以下の範囲であり、
前記近赤外光を、0.1μmol/m2/s〜10μmol/m2/sで1分以上、10μmol/m2/sを超え200μmol/m2/s未満で10秒以上、または、200μmol/m2/s〜10000μmol/m2/sで1ナノ秒以上照射することを特徴とする農作物の鮮度保持方法。 - 前記近赤外光の照射により前記農作物の蒸散量を抑制する請求項1記載の農作物の鮮度保持方法。
- 前記近赤外光の照射を、連続照射および間欠照射の少なくとも一方により行う請求項1または2記載の農作物の鮮度保持方法。
- 前記生鮮野菜類が、穀物以外の生鮮野菜類である請求項1から3のいずれか一項に記載の農作物の鮮度保持方法。
- 前記生鮮野菜類が、果菜類、穀物類、マメ類、葉茎類、葉菜類、茎菜類、花菜類、発芽野菜、根菜類、イモ類、および菌茸類からなる群から選択される少なくとも一つである請求項1から3のいずれか一項に記載の農作物の鮮度保持方法。
- 前記生鮮野菜類が、ナス、ペピーノ、トマト、ミニトマト、タマリロ、タカノツメ、トウガラシ、シシトウガラシ、ハバネロ、ピーマン、パプリカ、カラーピーマン、カボチャ、ズッキーニ、キュウリ、ツノニガウリ、シロウリ、ゴーヤ、トウガン、ハヤトウリ、ヘチマ、ユウガオ、オクラ、イチゴ、スイカ、メロン、マクワウリ、トウモロコシ、アズキ、インゲンマメ、エンドウ、エダマメ、ササゲ、シカクマメ、ソラマメ、ダイズ、ナタマメ、ラッカセイ、レンズマメ、ゴマ、アイスプラント、アシタバ、カラシナ、キャベツ、クレソン、ケール、コマツナ、サラダナ、サニーレタス、サイシン、サンチュ、山東菜、シソ、シュンギク、ジュンサイ、シロナ、セリ、セロリ、タアサイ、ダイコンナ(スズシロ)、タカナ、チシャ、チンゲンサイ、ツケナ、菜の花、野沢菜、白菜、パセリ、ハルナ、フダンソウ、ホウレンソウ、ホトケノザ、ミズナ、ミドリハコベ、コハコベ、ウシハコベ、ミブナ、ミツバ、メキャベツ、モロヘイヤ、リーフレタス、ルッコラ、レタス、ワサビナ、ネギ、細ネギ、アサツキ、ニラ、アスパラガス、ウド、コールラビ、ザーサイ、タケノコ、ニンニク、ヨウサイ、ネギ、ワケギ、タマネギ、アーティチョーク、ブロッコリー、カリフラワー、食用菊、なばな、フキノトウ、ミョウガ、スプラウト、モヤシ、かいわれ大根、カブ、ダイコン、ハツカダイコン、ワサビ、ホースラディッシュ、ゴボウ、チョロギ、ショウガ、ニンジン、ラッキョウ、レンコン、ユリ根などに加えて、サツマイモ、サトイモ、ジャガイモ、ナガイモ(大和芋)、ヤマノイモ(山芋、自然薯)、エノキタケ、エリンギ、キクラゲ、キヌガサタケ、シイタケ、シメジ、シロキクラゲ、タモギタケ、チチタケ、ナメコ、ナラタケ、ハタケシメジ、ヒラタケ、ブナシメジ、ブナピー、ポルチーニ、ホンシメジ、キシメジ、マイタケ、マッシュルーム、マツタケ、ヤマブシタケ、ショウロ、およびトリュフからなる群から選択される少なくとも一つである請求項1から3および5のいずれか一項に記載の農作物の鮮度保持方法。
- 前記生鮮果実類が、柑橘類、リンゴ、モモ、ナシ、西洋ナシ、バナナ、ブドウ、サクランボ、グミ、キイチゴ、ブルーベリー、ラズベリー、ブラックベリー、クワ、ビワ、イチジク、カキ、アケビ、マンゴー、アボカド、ナツメ、ザクロ、パッションフルーツ、パイナップル、バナナ、パパイア、アンズ、ウメ、スモモ、モモ、キウイフルーツ、カリン、ヤマモモ、クリ、ミラクルフルーツ、グァバ、およびスターフルーツからなる群から選択される少なくとも一つである請求項1から6のいずれか一項に記載の農作物の鮮度保持方法。
- 前記生鮮花卉類が、ホリホック、ブーバルジア、ゴデチア、ツキミソウ、ストック、ハボタン、ルナリア、アシダンセラ、イリス、グラジオラス、ハナビシソウ、ペペロミア、カルセオラリア、キンギョソウ、トレニア、サクラソウ、シクラメン、マツバギク、アンスリウム、カラー、カラジウム、ショウブ、シンゴニウム、スパシフィルム、ディーフェンバキア、フィロデンドロン、サボテン類、アジュガ、カクトラノオ、サルビア、ベゴニア、クルクマ、スイレン、ポーチュラカ、スミレ、フワイトレースフラワー、セトクレアセア、ムラサキオモト、ムラサキツユクサ、ホウセンカ、ツノナス、ペチュニア、ホオズキ、カーネーション、ナデシコ、セキチク、カスミソウ、宿根カスミソウ、ムシトリナデシコ、グズマニア、ストレリチア、シバザクラ、フロックス、オイランソウ、キョウカノコ、アマクリナム、アマリリス、キク、クンシラン、キルタンサス、スイセン、スノーフレーク、タマスダレ、ネリネ、ハマオモト、ユーチャリス、リコリス、リュウゼツラン、ケイトウ、センニチコウ、アサガオ、エボルブルス、クレオメ、ゼラニウム、カランコエ、スカビオサ、スイートピー、ルピナス、ルリジオ、ワスレナグサ、アスチルベ、ユキノシタ、アガパンサス、アマドコロ、アロエ、オーニソガルム、オモト、オリズルラン、ギボウシ、クロユリ、グロリオーサ、コルチカム、サンセベリア、サンダーソニア、ジャノヒゲ、チューリップ、ツルバキア、ドイツスズラン、ドラセナ、トリテレイア、ナルコユリ、ニューサイラン、バイモ、ヒアシンス、ホトトギス、ヤブカンゾウ、ヤブラン、ユリ、アルストロメリア、ルスカス、アツモリソウ、エビネ、オンシジウム、カトレア、コルマナラ、シラン、シンビジウム、セロジネ、デンドリビウム、ドリテノプシス、ナゴラン、パフィオペディルム、バンダ、ビルステケラ、ファレノプシス、ブラウナウ、ミルトニア、エキザカム、トルコギキョウ、リンドウ、ランタナ、バラ、サクラ、ガーベラ、サカキ、ソテツ、シダ、ドラセナ、ハラン、モンステラ、ポトス、コンパクター、ポリシャス、ジャングルブッシュ、リキュウソウ、ベアグラス、およびピトスポラムからなる群から選択される少なくとも一つである請求項1から7のいずれか一項に記載の農作物の鮮度保持方法。
- 生鮮農作物の生産方法であって、
収穫後の農作物に対し、鮮度保持処理を行う鮮度保持処理工程を含み、
前記鮮度保持処理工程が、請求項1から8のいずれか一項に記載の農作物の鮮度保持方法により行われることを特徴とする生産方法。
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