JP2005110799A - 赤外線照射による非加熱殺菌方法 - Google Patents

赤外線照射による非加熱殺菌方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 加熱殺菌でなく、特定波長の吸収を利用することで有機物を構成する微生物の分子に共振・共鳴運動を誘発させ微生物を死滅させる一方、微生物が付着または微生物を含む被照射対象物を非加熱の状態で保持する、赤外線照射による非加熱殺菌方法を提供する。
【解決手段】 赤外線照射の照射波長域を近赤外線とそれに隣接する中赤外線の大部分により構成するとともに、前記赤外線照射を湿度30%〜100%の照射雰囲気で行う。
【選択図】 図1

Description

本発明は、赤外線照射によるウイルス、細菌、酵母、カビ等よりなる微生物の殺菌方法に関し、特に赤外線照射における特定波長の赤外放射の吸収により前記微生物を構成する有機物に分子の共振、共鳴振動を誘発させ、該誘発により死滅を惹起させる一方、前記微生物が付着又は含まれている被照射対象物を加熱することなく殺菌を行い、食品の場合は鮮度保持を可能とした、赤外線照射による微生物の殺菌方法に関する。
上記微生物のうちの病原性微生物を死滅させる殺菌手段としては、従来より加熱殺菌法と、加熱によらない微生物を短時間に死滅させる方法としての非加熱殺菌法が従来より使用されている。
上記加熱殺菌法として、低温殺菌(100℃以下の殺菌)、高温殺菌(100℃以上のレトルト等における殺菌)、高周波殺菌、マイクロ波殺菌、赤外線殺菌、遠赤外線殺菌が行われている。
上記遠赤外線殺菌を行う赤外線及び遠赤外線は、それが構成する電磁波の吸収により被照射物自体が発熱する高効率の放射伝熱性を持ち、
また、照射対象となる物質により吸収波長の差異を形成し、加熱されるものとされないものに選別できる選択性を持ち、
そして、前記赤外線及び遠赤外線の放射体の熱エネルギは空間を介して被加熱物へ光速で移動させ、即座に対応して殺菌処理を可能とする迅速性を持ち、
また、上記以外に放射エネルギの放射体温度、面積に比例する出力効果や、環境に優しいエネルギのため、
食品工業においては、遠赤外線を放射する食品包材の使用、遠赤外線照射により風味を損なうことなく行う食品殺菌処理や、または被殺菌物に遠赤外線吸収率の高い液体を塗布し、塗布した床表面や、履物の裏、手指、紙等の選択殺菌等が開発実施されている。
なお、上記非加熱殺菌には、電磁波による紫外線殺菌、γ線・X線・電子線等の放射線による放射殺菌、化学合成殺菌剤や微生物の増殖を抑制する静殺剤、天然抗菌剤やオゾンガスを使用した化学的殺菌法がある。
上記紫外線殺菌法の場合は、微生物の遺伝子や核蛋白質を崩壊させる。
なお、前記加熱殺菌や非加熱殺菌に使用されている電磁波と電磁波発生源と放射源とを、波長別に分類して下記に示す。
Figure 2005110799
赤外線殺菌方法において、前記した従来型の単なる加熱殺菌法以外の別の使用方法として、下記提案がされている。(例えば特許文献1参照)
上記提案は、食品製品を直接的、効果的、調整的に熱処理するためになされたものである。その構成は、図6に示すように、熱処理トンネル101と、該トンネルを通過する多孔質のコンベアベルト102と、該コンベアベルトの上下における赤外線要素105、106と、トンネル内のコンベアベルトの上部或いは下部に設けた複数の蒸気注入ノズル103と、水注入ノズル104とを備え、
前記蒸気注入ノズル103により形成された蒸気雰囲気のなかで、赤外線要素105、106による赤外線照射により、好適な食品の熱処理を行うようにしたものである。
なお、本発明においては、水注入ノズルにより殺菌水も製品上に適宜噴射する構成にしてある。
則ち、上記特許文献1に示す提案は、加熱殺菌を蒸気雰囲気の中で行い吸収率の向上を計るようにしたものである。
また、遠赤外線による包装体に入れられた内容物の殺菌方法及び殺菌装置に係わる提案がある。(例えば特許文献2参照)
上記提案は、包装体に入れられた内容物の殺菌に際し、該内容物の効率的かつ十分な殺菌を可能とするとともに、殺菌中に包装体の過熱による変形と融着を防止するようにしたものである。
上記提案の構成は、図7に示すようにワークである包装体120を搬送する搬送装置115を貫通させたトンネル状殺菌装置110内に、入り口側より出口側へ向け設けた予熱部111aと昇温部111と過熱防止部112と殺菌部113と冷却部114とより構成する。
前記昇温部111と過熱防止部112と殺菌部113には、ワーク120の加熱殺菌用の遠赤外線照射装置116をコンベアラインの上下に設け、
過熱防止部112と殺菌部113には、ワークの過熱を防止して包装体の過熱による変形融着を防止する送風装置117を設け、
冷却部114には、冷却装置118を設け、ワークを常温に戻す構成にしてある。
則ち、ワーク120の包材が軟化するまでは遠赤外線照射装置116で赤外線を照射し、そして、軟化温度付近の包装体の過熱を防止するため送風装置117で過熱防止用の弱い送風により内容物を殺菌温度に保持する構成にしてある。
なお、上記遠赤外線照射装置116より所用波長の赤外線を輻射させ、赤外線の照射を受けたワーク120は前記波長域でエネルギを吸収し、ワーク内の微生物は分子運動を起し加熱され、効率的に死滅殺菌される。
則ち、上記特許文献2に示す提案は、加熱殺菌に過熱防止の送風冷却を付加したものである。
また、前記遠赤外線殺菌装置に係わる新たな提案がされている。(例えば特許文献3参照)
上記提案は、図8に示すように、遠赤外線殺菌装置130は消毒剤や紫外線を用いる事無く、高温に加熱することができない被照射対象物に対しても、遠赤外線照射による殺菌を可能としたものである。
本提案は、高温の加熱殺菌が不可能の手指の殺菌に係わるもので、
赤外線を吸収する塗布液を貯留する液体タンク132と、該塗布液を手指に噴射する噴霧ノズル134を介して噴き付け塗布する超音波噴霧部133と、塗布液の噴霧を受ける手指を挿入する第1の手指挿入室135とにより液体塗布手段を形成させ、
前記塗布した手指を殺菌のため挿入する第2手指挿入室136と、挿入された手指の殺菌をする遠赤外線を照射する遠赤外線ヒータ137と、手指が過度に前記遠赤外線ヒータに近づくのを防止する保護用金網よりなるシャッタ138と、該シャッタの駆動部139とで遠赤外線照射手段を形成させ、
前記超音波噴霧部133や駆動部139等の制御をする制御部140とより構成する。
上記手指に付着した微生物の殺菌のため、遠赤外線を吸収しやすく、かつ表面張力が弱く被照射対象物表面に簡単に広がる液を予め塗布してあるため、遠赤外線は前記液体を介して効率的に被照射対象物である手指表面の細菌に吸収され、手指を高温に加熱することなく殺菌を行っている。
則ち、上記特許文献3に示す提案は、加熱殺菌に吸収率向上用塗布液を付加し短時間殺菌により過熱防止をしたものである。
また、上記提案に類似した提案に遠赤外線殺菌方法に係わる下記提案がある。(例えば特許文献4参照)
上記提案は、消毒剤や紫外線など人体に対して有害性のあるものを用いる事無く高温度に加熱殺菌することができない被照射対象物の任意の部位に対して、余剰水分を残すことなく簡易な殺菌を可能としたものである。
そのため、殺菌処理すべき被照射対象物の周囲に液体の微粒子を含む空気(液化ガス)を供給噴霧して、前記対象物の周囲の空気を露点に到達させた後、遠赤外線放射効率の高いカーボンランプを用いて遠赤外線を照射する構成にしてある。
上記提案のカーボンランプヒータ構成により、従来の遠赤外線ヒータに比較して、発熱速度、発熱効率、遠赤外線の発生効率等を高めることができ、効率的殺菌を可能としている。
また、赤外線照射により被照射対象物の温度上昇を防ぐための冷却手段に液化ガスの噴霧を使用し極めて微量の水分を加える方法で構成してあるため、殺菌後に過剰水分が溜まることもなく、残存水分による菌の繁殖防止の効果を持つ。
則ち、上記特許文献4に示す提案は、加熱殺菌に吸収効率の向上と過熱防止のための液化ガスの噴霧を付加したものである。
また、前記加熱殺菌法や紫外線殺菌法とは異なる殺菌方法として、光パルスの閃光照射による殺菌法が提案されている。(例えば特許文献5参照)
上記提案は図9に示すように、キセノンランプ等の放電管141aを内蔵したストロボライト141と、キャパシターやトリガ回路等よりなる充放電回路142と、該回路142のキャパシターを充電するための電源回路143と、閃光回数や照射時間と発光のタイミングを設定する制御回路144とより構成する。なお前記制御回路144よりの同期駆動指令により駆動装置145を駆動してワークである殺菌対象物146を照射領域に搬送する搬送コンベア146aを設けてある。
則ち、本提案は、食品、食器、流体、気体等の殺菌対象物141にストロボライト141(ストロボ放電管)の光パルスを閃光照射して、前記対象物に付着あるいは混入する細菌を低温殺菌する方法に係わるものである。
そして、250nm〜1100nm(紫外線領域の中間より近赤外線の中間領域)の波長を含む光を、閃光時間が1/500秒〜1/17000秒の光の立ち上がりの急峻な光パルスを閃光照射して、殺菌する。
その際照射領域内を通過する殺菌対象物の搬送時間を設定し、前記光パルスの単位時間当たりの閃光回数を設定し、前記液体に混入する細菌、気体内を浮遊する細菌又は固体表面に付着する細菌に急峻な温度上昇を与えて殺菌する。
本提案の場合は、ストロボ光による光パルスの閃光照射により、通常の高温短時間殺菌法では達成できない短い時間に殺菌対象物に付着/混入した細菌に可視光から近赤外線を含む光を照射して急峻な温度上昇を惹起させ、細菌を死滅させている。例えばキセノンランプの場合分光分布は連続スペクトル部分に似た波長領域を有しており、あらゆる吸収特性を有する細菌に対応できる。
また、上記提案と略類似した光パルスの閃光照射による殺菌法に係わる提案 がある。(例えば特許文献6参照)
上記提案は、殺菌効果の高い波長帯を特定し、その波長帯を含む光パルスを使用して従来よりも殺菌効果を上昇させている。
そして、280nm以上の波長の紫外線及びまたは赤外線を少なくとも含む光パルスを使用する構成にしてある。
なお、使用している光パルスはキセノンランプから発生されたもので、波長はピーク0.486μmで、含まれる波長の25%が200nm〜400nmである。
また、上記提案に類似した光パルスの閃光照射による殺菌法に係わる提案がある。(例えば特許文献7参照)
上記提案は、フィルタを用いずに、且つ品質の劣化をさせずに殺菌処理ができ、包装材の制限を緩和できる食品の殺菌装置に係わるものである。
上記提案は、キセノンランプに冷却ファンを有するランプハウス及び電源部を備えた食品の殺菌装置より構成する。
そして食品の表面に照射する光パルスの積算エネルギ密度を0.5J/cm〜10J/cmの範囲内に押さえるとともに、
キセノンランプに入力する電流密度を100A/cm〜10000A/cmの範囲内で変化させ光パルスのエネルギ密度を調整可能とした。
また、紫外線照射と加熱を同時に行う構成とした。
上記構成により、食品の品質劣化(特に風味、色調の劣化)をさせることなく殺菌処理を可能にしている。
また、紫外線殺菌と瞬間的加熱殺菌の併用により包装材料の制限の緩和を可能にしている。
また、細菌類とその芽胞,真菌類とその胞子に対する殺菌を可能にしている。
特開平6−153881号公報 特公平6−51051号公報 特開平7−308369号公報 特開2002−143276公報 特開2000−107262公報 特開2002−177368公報 特開2002−291454公報
上記した、赤外線照射による殺菌方法に係わる先行技術を見るに、下記従来の殺菌方法の問題点の解決のためになされたもので、
特に高温度での加熱方法は、人体皮膚や食品、器具などの対象物に熱損傷を惹起する問題がある。
一方消毒剤を使用する場合は、完全に殺菌することが困難であり、耐性菌が発生する問題や消毒剤そのものの薬害や臭いによる不具合を生じることが問題となる。
また、紫外線照射の場合は、紫外線の影の部分は殺菌されず、連続照射による対処物の劣化を引き起こす問題がある。
また、遠赤外線発生手段の場合は、セラミック製遠赤外線ヒータを使用するため、昇降温に時間が掛かるため、常に通電して置く必要がありエネルギ多消費型である。
そのため、上記特許文献1〜7に見るように、
加熱殺菌を蒸気雰囲気の中で行ったり、被照射対象物に吸収促進液の塗布を行う、または、被照射対象物の過熱防止のための該対象物への送風または液化ガスの噴霧を行う等の手段による被照射対象物の過熱防止の提案がされている。
一方、赤外線照射に代わる光パルスの閃光照射により、照射時間をなるべく小さく押さえて、対象物の温度上昇を低く押さえる殺菌手段も提案されている。
この場合は、光の閃光を使用しているため、高い輝度により品質劣化の問題があり、照射時間、閃光回数、照射エネルギ量に対する適性制御を必要とする。
然し、前記先行技術が示す前者の提案は、被照射対象物の過熱防止手段を設け、該過熱防止手段により被照射対象物の損傷の逓減を図ったもので、絶対的解決手段を提供したものではない。
また、後者の提案は紫外線領域の中間より近赤外線の中間領域の波長を持つ光パルスを閃光照射して、輝度の高いパルス光の短時間照射により対象物の過熱を防止したものであるが、上記1回の照射時間を限定し、照射間隔を決め照射回数を限定して照射を複数回繰り返し行うようにして、過度の照射を押さえるようにしており、確実な過熱防止を可能とする電磁波照射による微生物の殺菌方法でなく、この場合は被照射対象物の細胞破壊等の損傷を与える問題が憂慮される。
本発明は上記問題点に鑑みなされたもので、
加熱殺菌でなく、特定波長の吸収を利用することで有機物を構成する微生物の分子に共振・共鳴運動を誘発させ微生物を死滅させるが、微生物が付着また微生物を含む被照射対象物は非加熱の状態を保持させ、殺菌処理を可能とする、赤外線照射による非加熱殺菌方法の提供を目的とするものである。
そこで、本発明はかかる課題を解決するために、被照射対象物に付着ないし含まれている微生物を死滅させる赤外線照射による殺菌方法において、
前記赤外線照射の照射波長域を近赤外線と隣接する中赤外線領域の大部分により構成するとともに、前記赤外線照射を湿度30%〜100%、好ましくは55%〜60%以上の照射雰囲気で行い、該赤外線の被照射対象物内への浸透と該対象物に付着ないし含まれている微生物の吸収による死滅を前記対象物の加熱を伴うことなく可能としたことを特徴とする。
上記本発明は、加熱殺菌ではなく、特定波長を吸収して分子共振ないし共鳴運動を起こすことにより微生物を形成する有機物を崩壊させ、微生物の死滅を図ったもので、照射する電磁波の波長帯域の設定に際し、被照射対象物への浸透が大で且つ殺菌しようとする微生物が吸収する特定波長を含む波長帯域である、近赤外線から中赤外線領域の大半を占める領域までの波長帯域より構成する。
そして、電磁波発生源には、短波長の光に富むハロゲン電球等の赤外電球や、順バイアスされたpn接合を用い注入された電子、正孔の再結合に伴う可視領域又は近赤外領域での光の放出をする赤色発光ダイオードを使用する。なお、照射雰囲気の湿度は55%〜65%以上が望ましく、該湿度保持により被照射対象物に付着した微生物の吸収効率を上げるとともに、前記対象物の内部まで浸透させて被照射対象物内に含まれる微生物も効率的に死滅させる。
また、前記本発明の赤外線照射による非加熱殺菌方法における、
前記赤外線照射の照射波長域は、近赤外域を除く800〜1000nmを除く1μm〜10μmであることが好ましい。
上記発明は、本発明に使用する特定波長帯を特定したもので、10μm以上の中赤外線は微生物の死滅効果がそれほどないので使用波長帯より削除した。
また、前記1μmより波長の短い近赤外域や可視光や紫外線の波長帯は、微生物のDNAや蛋白質等の破壊を起こさせ、被照射対象物の損壊を伴うので使用する波長帯より削除した。
また、前記本発明の赤外線照射による非加熱殺菌方法における、
前記赤外線照射は、被照射対象物への殺菌剤を使用することなく行うようにした方が好ましい。
上記発明は、殺菌剤の非使用に係わるもので、殺菌剤使用の場合は完全に殺菌することが困難であり、耐性菌が発生する問題や殺菌材そのものの薬害や臭いによる不具合を生じること等問題があるため殺菌材の照射前の塗布等は使用しない構成とする。
また、前記本発明の赤外線照射による非加熱殺菌方法における、
前記微生物は、細菌類および糸状菌、真菌、大腸菌、サルモネラ、緑膿菌であり、
また、前記本発明の赤外線照射による非加熱殺菌方法における、
前記被照射対象物は、食品を対象とした方が好ましい。
以上記載のごとく本発明は、殺菌微生物の吸収波長を含む波長帯を近赤外線と中赤外線の大部分を占める波長帯域より構成するとともに、湿度30%〜100%以上の照射雰囲気での赤外線照射を行う構成としたため、被照射体の加熱を伴うことなく短時間のうちに微生物の死滅させ、効率的殺菌を可能にしている。
そして、被照射対象物を食品に設定した場合に、鮮度維持が可能となり、食品の衛生管理面からも特に有効である。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
以下に記載する実験1〜実験5により本発明の内容を下記図面および表を参照して説明する。但し、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は、本発明の赤外線照射による非加熱殺菌法における「殺菌条件の検討」を行った実験結果を示す図である。図2は、本発明の赤外線照射による非加熱殺菌法における「菌液での殺菌効果」に関する実験結果を示す図である。図3は、本発明の赤外線照射による非加熱殺菌法における「CaF(フッ化カルシウム)フィルタによる効果」に関する実験結果を示す図である。図4は、本発明の赤外線照射による非加熱殺菌法における「殺菌の湿度効果」に関する実験結果を示す図である。図5は、本発明の赤外線照射による非加熱殺菌法における「各種の菌に対する殺菌の効果」に関する実験結果を示す図である。また、表2〜表6は、それぞれ図1〜図5に対応し、赤外線照射を行う前のコロニー数を1として、減少した割合の具体的数値を示している。
実験1;「殺菌条件の検討」
大腸菌を培養して、寒天培地(プレート)に塗布して、従来から使用している赤外線ヒータで出力125w、照度0.4w/cmを照射した場合と、照射なしで直下雰囲気温度90℃に静置した場合の効果に付き比較試験を行った。(試験はインキュベータ内でファンによる撹拌下で行う)
Figure 2005110799
90℃静置の場合は温度のみによる殺菌効果はみられないが、図1にも示すように照射による殺菌効果が認められた。
実験2;「菌液での殺菌効果」
前記培養した大腸菌を寒天培地に塗布せずに、液体の培地中で行った場合と、培養液を塗布した場合(塗布層の厚み10μmまで)との比較試験を行った。但し、培養液を塗布した場合においてはコロニーの割合の数値が低いため、表に図示していない。
Figure 2005110799
図2に示すように液体培地の場合は殺菌効果は得られたもののその効果は落ちることが認められ、培養液塗布の場合は水の厚みが3μmと6μm付近で、吸収顕著になるため、遠赤外線がすべて吸収されている。
実験3;「CaF(フッ化カルシウム)フィルタによる効果」
実験1と同条件で、フッ化カルシウムフィルタをかけて、10μm以上の波長をカットした条件で本発明の1μm〜10μmの波長帯域における赤外線照射を行う場合(CaFwindowで表す)とフィルタをかけない場合(noで表す)とで比較試験を行った。
Figure 2005110799
図3に見るように、基本的には遜色のない殺菌効果が得られた。
実験4;「殺菌に対する照射雰囲気の湿度の影響」
実験3と同様にインキュベータ内の湿度を20から55%に変化させた条件下でフッ化カルシウムフィルタをかけた場合と、フィルタをかけた場合とかけない場合とでの比較試験を行った。
Figure 2005110799
図4に見るように、湿度が高い方が殺菌効果が顕著であった。
実験5;「各種の菌に対する殺菌効果」
黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌、緑膿菌を使用し実験3と同様の赤外線を使用して、上記実験材料に付き比較試験を行った。
Figure 2005110799
図5に見るように、大腸菌と同様の殺菌効果が得られた。黄色ブドウ球菌だけがグラム陽性菌であるので、膜構造の違いによる殺菌率に差がでている。
本発明は、赤外線照射における特定波長の赤外放射の吸収により前記微生物を構成する有機物に分子の共振、共鳴振動を誘発させ、該誘発により死滅を惹起させる一方、前記微生物が付着又は含まれている被照射対象物を加熱することなく殺菌を行い、食品の場合は鮮度保持を可能とした。
本発明の赤外線照射による非加熱殺菌法における「殺菌条件の検討」を行った実験結果を示す図である。 本発明の赤外線照射による非加熱殺菌法における「菌液での殺菌効果」に関する実験結果を示す図である。 本発明の赤外線照射による非加熱殺菌法における「CaF(フッ化カルシウム)フィルタによる効果」に関する実験結果を示す図である。 本発明の赤外線照射による非加熱殺菌法における「殺菌の湿度効果」に関する実験結果を示す図である。 本発明の赤外線照射による非加熱殺菌法における「各種の菌に対する殺菌の効果」に関する実験結果を示す図である。 従来の食品製品の熱処理装置の概略構成を示す図である。 従来の遠赤外線による包装体に入れられた内容物の殺菌装置の概略構成を示す図である。 従来の遠赤外線殺菌装置の概略構成を示す図である。 従来の光照射による殺菌装置の概略構成を示す図である。
符号の説明
101 熱処理トンネル
102 コンベアベルト
105、106 赤外線要素
103 蒸気注入ノズル
104 水注入ノズル
120 包装体
115 搬送装置
110 トンネル状殺菌
111 昇温部
112 過熱防止部
113 殺菌部
114 冷却部
130 遠赤外線殺菌装置
132 液体タンク
134 噴霧ノズル
133 超音波噴霧部
135 第1の手指挿入室

Claims (5)

  1. 被照射対象物に付着ないし含まれている微生物を死滅させる赤外線照射による殺菌方法において、
    前記赤外線照射の照射波長域を近赤外線と隣接する中赤外線領域の大部分により構成するとともに、前記赤外線照射を湿度30%〜100%の照射雰囲気で行い、該赤外線の被照射対象物内への浸透と該対象物に付着ないし含まれている微生物の吸収による死滅を前記対象物の加熱を伴うことなく可能としたことを特徴とする赤外線照射による非加熱殺菌方法。
  2. 前記赤外線照射の照射波長域は、約1μm〜10μmであることを特徴とする請求項1記載の赤外線照射による非加熱殺菌方法。
  3. 前記赤外線照射は、被照射対象物への殺菌剤を使用することなく行うようにしたことを特徴とする請求項1記載の赤外線照射による非加熱殺菌方法。
  4. 前記微生物は、細菌類および糸状菌、真菌、大腸菌、サルモネラ、緑膿菌であることを特徴とする請求項1記載の赤外線照射による非加熱殺菌方法。
  5. 前記被照射対象物は、食品を対象としたことを特徴とする請求項1記載の赤外線照射による非加熱殺菌方法。
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